JP2007182343A - 感光性ペースト組成物およびそれを用いたフラットパネルディスプレイ部材 - Google Patents

感光性ペースト組成物およびそれを用いたフラットパネルディスプレイ部材 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明はパネルディスプレイの隔壁などの各種部材に用いる感光性ペーストに関して、タック性を解消して、結果として露光時のフォトマスクの汚れなどを生じない感光性ペースト組成物を提供する。
【課題手段】ガラス粉末と無機フィラーと感光性有機成分を有する感光性ペースト組成物であって、ガラス粉末が酸化ビスマスを含み、かつ無機フィラーが酸化マグネシウムを含む感光性ペースト組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、パネルディスプレイの隔壁などの各種部材に用いる感光性ペースト組成物に関する。
ブラウン管に代わる画像表示装置として、自発光型の放電型ディスプレイである電子放出素子を用いた画像表示装置が提案されている。これは液晶ディスプレイに比べて明暗のコントラストが非常に大きく、また視野角も広く、さらには大画面化、高精細化の要求に応えうることから、そのニーズが高まりつつある。電子放出素子には、熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子がある。冷陰極電子放出型には、電界放出型(フィールドエミッションディスプレイ:FED)、金属/絶縁層/金属型(MIM型)や表面伝導型(SED)などがある。冷陰極電子源を用いたディスプレイは、電子放出素子から放出される電子ビームを蛍光体に照射して蛍光を発光させることで画像を表示するものである。このような電子放出型平面画像表示装置のなかでも、カーボンナノチューブ(CNT)を電子放出素子に用いたCNT−FEDや電子放出素子をバックライト用の光源とするユニットなどが、電子放出特性や大面積化が容易であるという理由から、活発に開発が行われている。この装置の背面ガラス基板には、複数の電子放出素子とそれらの素子の電極を接続するマトリックス状の配線が設けられる。またマトリックス状の配線は、電子放出素子の電極部分で交差することになるので絶縁するための絶縁層が設けられる。さらに背面ガラス基板と前面ガラス基板の間で耐大気圧支持部材としてスペーサが形成されたり、発光領域を区切るため格子状などの隔壁が形成される。隔壁は放電の広がりを一定領域に押さえ、表示を規定のセル内で行わせると同時に、均一な放電空間を確保するために設けられている。
一方で、感光性ペーストを用いて、フォトリソグラフィ技術により隔壁を形成する方法が知られている。隔壁は障壁、リブ、バリアリブとも言う。隔壁を形成する方法としては、前面ガラス基板や背面ガラス基板にガラス粉末を含む感光性ペーストを塗布し、乾燥、露光、現像および焼成を行う方法がある。焼成はペースト中の溶剤分を蒸発させ、樹脂バインダー等の有機物が焼成炉内の空気と反応して熱・酸化分解される温度以上で、さらにはガラスの軟化点温度以上で行い、ガラスに軟化性、流動性を持たせて、多孔質化した箇所を埋めるように焼結させることが必要である。このとき、隔壁パターン全体に熱収縮が起こり熱収縮による引っ張りの力を受けて、隔壁の形状が崩れるが、それを防ぐために、無機成分中にフィラーを含有することで、焼結時の変形をより制御し、微細な隔壁パターンを得るという方法が提案されている(特許文献1参照)。また、感光性ペーストのガラス粉末として、ビスマス系ガラスを用いることで、隔壁のエッジ部の波打ちや乱れなどの欠点を解消し、高精細で且つ高アスペクト比の隔壁を形成する方法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、ここで使用されている感光性ペーストは、一般に感光性有機成分にポリマーやオリゴマーを用いているためにペースト表面のべたつき(タック性)が発生し、ごみや異物などが付着して塗布面が汚染され、露光工程において、高精細なパターンが形成できなかった。さらに、現像工程においては、隔壁とその下地層(ガラスやアンダーガラス)との接着性が悪くなり、極端な場合、隔壁が剥がれるなどの重大な欠点が生じるおそれがあった。
特開2004−053794号公報(段落31、77) 特開平09−110466号公報(段落9、13)
本発明はパネルディスプレイの隔壁などの各種部材に用いる感光性ペーストに関して、高精細なパターン形成ができ、さらにタック性を解消して、露光時のフォトマスクの汚れなどの問題を生じない感光性ペースト組成物を提供する。
すなわち本発明は、ガラス粉末と無機フィラーと感光性有機成分を有する感光性ペースト組成物であって、ガラス粉末が酸化ビスマスを含み、かつ無機フィラーが酸化マグネシウムを含む感光性ペースト組成物、およびそれを用いて作製したパネルディスプレイの部材である。
本発明によれば、高精細なパターン形成を維持しつつ、さらにペーストを塗布したときの表面のタック性を小さくすることができる。
以下、本発明の感光性ペースト組成物および、それを用いたパターン形成方法およびそれにより作製したフラットパネルディスプレイ部材について説明する。
本発明の感光性ペースト組成物で用いるガラス粉末は、ガラス成分として、SiO、Al、B、ZnO、Bi、ZrO、PbO、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属酸化物などの金属酸化物を含有し、これらのうち、少なくとも酸化ビスマスを含有したビスマス系ガラスである。また、ガラス粉末は、低融点ガラスであることが好ましい。低融点ガラスは、その成形加工に要するエネルギーやコストを抑えられる。低融点ガラスには、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラスやビスマス系ガラスなどがあるが、そのうち、鉛ガラスは、Pbイオンの大きな分極性により水分吸収を要求する不飽和結合をガラス表面に作らないとされており、非常に良い耐水性を示すが、環境負荷が懸念されており、感光性ペーストに使用するのは好ましくない。また、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラスは、ビスマス系ガラスと比較して耐水性が悪く、アルカリ現像液を用いたフォト微細加工には好ましくない。なお、ここでいう微細加工とは、焼成後のガラス厚みが50μm以下で、直径やキャビティの辺の長さが50μm以下の隔壁を形成することである。低融点で且つ耐水性に富みつつ、高精細で且つ高アスペクト比の隔壁を形成するには、ビスマス系ガラスが好ましい。
ビスマス系ガラス粉末には、電子放出特性およびフォト加工特性を劣化させるNaO、KO、Yなどの酸化物を含まないことが好ましい。これらの成分が多いと、アルカリ現像液を利用した時に、露光後の隔壁が膨潤するおそれがある。含有した場合も5重量%以下が好ましい。また、LiO、CaO、TiO、ZrO、Alなどを含有することもできるが、その量は10重量%未満であることが好ましい。CaO、AlやZrOは、ガラスの軟化点、転移点および電気絶縁性を制御するのに効果がある。
ビスマス系ガラス粉末の作製法としては、例えば原料であるSiO、Al、B、Bi、ZnO、およびZrO等を所定の配合組成となるように混合し、900〜1200℃で溶融後、急冷し、ガラスフリットにしてから粉砕して微細な粉末にする。原料は高純度の炭酸塩、酸化物、水酸化物などを使用できる。またガラス粉末の種類や組成によっては99.99%以上の超高純度なアルコキシドや有機金属の原料を使用し、ゾルゲル法で均質に作製した粉末を使用すると高電気抵抗で緻密な気孔の少ない、高強度な隔壁が得られるので好ましい。
ガラスの粉砕方法としては、ボールミル、ビーズミル、アトラクターやサンドミルなどがあり、そのうち、ボールミルやビーズミルが好ましく用いられる。
上記において使用されるガラス粉末粒子径は、作製しようとする隔壁の幅や高さを考慮して選ばれるが、粉末は50重量%平均粒子径(以下「D50」という)が0.3〜1.5μmであることが好ましい。さらに好ましくは、0.4〜1μmである。この範囲にあると、上下の径差の無い均一な隔壁が得られる。粉末粒子径が0.3μm未満になると、分散が難しく、凝集などの問題が生じやすくなる。このため現像時に隔壁の裾の乱れが生じる。また、粉末粒子径が1.5μmを越えると、粒子が大きいため、直径50μm以下の隔壁を形成するのが難しくなる。さらに焼成後の隔壁が緻密に形成できなくなるため、絶縁耐圧の低下が起こる可能性がある。
D50の測定には、日機装(株)のマイクロトラック粒度分布計HRAなどを用いることができる。粒度分布測定には、一般にレーザー回折・散乱法が用いられる。測定する粉末を適量、水などの溶媒に懸濁させ、超音波を用いて粉末の凝集を分散させて後、レーザー光を照射してその散乱と回折により粒度分布を得た。なお、D50とは、測定された粒子の累積度数を100%とした場合、50%時点における粒子径のことをいう。
また、隔壁のパターン形成における歩留まりを上げるために、最大粒子径が3μm以下であることが好ましい。この値を超えると、直径50μm以下の隔壁を形成するのが困難になる。
ガラス粉末のガラス軟化点(Ts)は420〜600℃であるのが好ましい。より好ましくは、450〜580℃である。420℃未満では、ガラス層の緻密性、強度や安定性が不十分となり、また、600℃より高温だと、隔壁のパターンが崩れるため、高精細なパターンを得ることが難しくなる。
このような特性を満たすビスマス系ガラス粉末組成として、酸化物換算表記で、Biは20〜85重量%の範囲で配合することが好ましい。さらに好ましくは50〜85重量%である。20重量%未満ではガラスペーストをガラス基板上に焼付けする時に、焼付け温度や軟化点を制御しにくくなる。85重量%を越えるとガラスの耐熱温度が低くなり過ぎてガラス基板上への焼き付けが難しくなる。
SiOは3〜30重量%の範囲で配合することが好ましく、3重量%未満の場合はガラス層の緻密性、強度や安定性が低下し、またガラス基板と熱膨張係数のミスマッチが起こる。また30重量%を越えるとガラス軟化点や転移点が上昇し、耐熱温度が増加する。
は2〜25重量%の範囲で配合することが好ましい。Bはペーストの焼付け温度をSiOが多い場合でも電気絶縁性、強度、熱膨張係数、絶縁層の緻密性などの電気、機械および熱的特性を損なうことのないように配合される。2重量%未満では絶縁層の強度が低下し、また25重量%を越えるとガラスの安定性が低下する。
ZnOは1〜20重量%の範囲で配合することが好ましい。1重量%未満では、絶縁層の緻密性向上に効果がない。20重量%を越えると、焼付けする温度が低くなり過ぎて制御できなくなり、また絶縁抵抗が低くなるので好ましくない。
本発明は、ビスマス系ガラス粉末の他に、酸化マグネシウムのフィラーを含むことで、感光性ペーストのタック性をより小さくすることができ、露光時のフォトマスクの汚れなどを無くすことができる。また酸化マグネシウムを添加してもパターン形成に悪影響を与えることなく、これまでに得られていた高精細なパターンを得ることができる。タックは、感光性ペースト組成物中のバインダーポリマーのカルボキシル基などの極性基に水分子などが付着することや、有機溶剤の残留成分などにより、発生していると考えられる。本発明は、フィラーとして酸化マグネシウムを入れることにより、バインダーポリマーをはじめとする感光性有機成分とのイオン架橋などの相互作用を発現させることで、タックを抑制できたと考えられる。
本発明においてフィラーとは、焼結時においても前記ガラス成分と固溶しない成分のことであり、酸化マグネシウムの他に、SiO、Al、ZrO、ムライト、スピネル、ZnOなどを好適に用いても良い。
酸化マグネシウムのフィラーはガラス粉末を含めた無機成分全体量に対し、2〜15重量%含むことが良く、好ましくは2〜10重量%、さらに好ましくは、2〜5重量%である。酸化マグネシウムのフィラーが2重量%未満だとタック性が小さくならない。15重量%以上だと、感光性ペースト組成物がゲル化しやすくなり、また焼成後の隔壁にひびが入るなどの問題が生じやすくなる。フィラーの平均粒子径は、20〜400nmであることが好ましい。20nm未満だと、感光性ペースト組成物およびその塗布膜内において凝集し、露光の透過を阻害する。従って、感光性ペースト組成物を用いて形成される塗布膜が含有するフィラーの平均粒子径は20nm以上が好ましい。また400nm以上より大きくなると、露光の透過が阻害されやすくなり、塗布膜の下部まで光が届かなくなり、パターン加工性が悪化する。
フィラーの平均粒子径は、島津製作所(株)のトライスター3000などの装置を利用して求められた比表面積から、フィラーを球形と仮定して求めることができる。すなわち、次の式、比表面積=(4πr)/((4πr/3)×ρ)、(ρ:フィラーの比重、r:半径)から粒子径(=r×2)を求め、数平均として平均粒子径を求めた。
感光性ペースト組成物に含まれる無機成分の量は、ペーストの全重量に対し70〜90重量%であることが望ましい。70重量%未満であるとペーストが液体状となって保形性が損なわれるおそれがあり、また、90重量%を超えると現像工程でパターン抜けが悪くなる。
感光性ペースト組成物の有機成分に用いるバインダーポリマーとしては、ペーストを塗布・乾燥したときにその形状を維持する作用を有するものであれば特に限定はなく、また、焼結時にタールやガスの発生などによる悪影響のないものであることが望ましい。
例えばバインダーポリマーとしては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、セルロース誘導体、ポリビニルアルコールなどの各種ポリマーを用いることができるが、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが好ましい。さらに、無機粉末の分散性や現像性の点および感光によるパターン形成性の点から、バインダーポリマーはカルボキシル基や水酸基、エチレン性不飽和二重結合などの反応性官能基を有していることが好ましい。
また、バインダーポリマーの熱分解温度が150℃〜500℃であることが好ましい。より好ましくは400〜450℃である。熱分解温度が150℃以上のバインダーポリマーを用いると、ペーストの熱安定性が保持される。また500℃以下のバインダーポリマーを用いると、焼成工程でのクラックや剥がれを防止できる。バインダーポリマーの熱分解温度を調整する手法は、共重合成分のモノマーを選択することで可能となる。特に低温で熱分解するモノマーを共重合成分とすることで共重合体の熱分解温度を低くできる。このように低温で熱分解する成分として、例えばメチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、α−メチルスチレン等を挙げることができる。熱分解温度は、TG測定装置(TGA−50、(株)島津製作所(株)製)にて約5mgの試料をセットし、空気雰囲気で流量20ml/min、昇温速度20〜0.6℃/minで700℃まで昇温する。その結果、温度(縦軸)と重量変化(横軸)の関係がプロットされたチャートを印刷し、分解前の部分と分解中の部分の接線を引き、その交点の温度を熱分解温度とする、等の方法で測定できる。
また、バインダーポリマーのTg(ガラス転移温度)は、−60〜30℃が好ましい。より好ましくは−40〜30℃で、さらに好ましくは−20〜30℃である。Tgを−60℃以上とすることでペーストの基板への粘着性を低減することができ、Tgを30℃以下とすることでペーストのタック性を低減することができる。バインダーポリマーのTgの測定法は、島津製作所(株)製のDSC−50型測定装置を用い、サンプル重量10mg、窒素気流下で昇温速度20℃/分で昇温し、ベースラインの偏起が開始する温度をTgとした。
さらに用いるバインダーポリマーの重量平均分子量は10万以下が好ましい。より好ましくは5千〜8万である。重量平均分子量を10万以下とすることにより、現像液に対する溶解性が保持され、精細なパターン化が可能となる。さらにバインダーポリマーの粘度は重量平均分子量に比例して増大するため、感光性ペースト組成物のペースト粘度を低くして、濾過や脱気、塗布工程での作業性を保持するためには、バインダーポリマーの重量平均分子量を低くすることが好ましい。バインダーポリマーの重量平均分子量はテトラヒドロフランを移動相としたサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した。カラムはShodex KF−803を用い、重量平均分子量はポリスチレン換算により計算した。
バインダーポリマーは、さらに側鎖に二重結合等の反応性官能基を有することが好ましい。このようなバインダーポリマーは、上述のようなエチレン性不飽和二重結合含有化合物の共重合により、あるいは共重合で得られたバインダーポリマーの反応性官能基の一部に、反応性官能基を有するエチレン性不飽和基含有化合物を付加するなどして得ることができる。
このようなバインダーポリマーの酸価は50〜140(mgKOH/g)であることが好ましい。酸価を140以下とすることで、現像許容幅を広くすることができ、酸価を50以上とすることで、無機粒子の良好な分散性が保持される。
酸価の測定方法としては、バインダーポリマーにエタノールを加えた溶液に対し、フェノールフタレインを適度に加え、その混合溶液に対し、滴定用の0.1規定水酸化カリウム水溶液を滴下し、溶液が赤色になったところで、滴下を終了し、その時滴定に利用した水酸化カリウム水溶液の重量と、利用したバインダーポリマーの固形分重量を次の式に代入し、そのバインダーポリマーの酸価が得た。
(滴定に利用したKOH水溶液の重量)×5.6/(バインダーポリマーの固形分重量)。
本発明における好ましいバインダーポリマーの具体例としては、メチルメタクリレート−メタクリル酸−スチレン共重合体にグリシジルメタクリレートを付加したもの、ブチルメタクリレート−2−エチルヘキシルメタクリレート−アクリル酸の共重合体にグリシジルメタクリレートを付加したもの、エチルアクリレート−メチルアクリレート−メタクリル酸の共重合体にグリシジルメタクリレートを付加したもの等が挙げられる。
感光性ペースト組成物の有機成分としてはバインダーポリマーの他に、感光性モノマー、光重合開始剤、紫外線吸収剤、増感剤などが挙げられる。必要に応じて、重合禁止剤、可塑剤、増粘剤、有機溶媒、酸化防止剤、分散剤、有機あるいは無機の沈殿防止剤やレベリング剤などの添加剤成分を用いることができる。有機成分はペーストの全重量に対して、10〜30重量%が好ましい。
感光性モノマーの例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、ビスフェノールA−ジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレート、また、これらの芳香環の水素原子のうち、1〜5個を塩素または臭素原子に置換したモノマー、もしくは、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、カルボキシメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、および、上記化合物の分子内のアクリレートを一部もしくはすべてをメタクリレートに変えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。
これら以外に、不飽和カルボン酸等の不飽和酸を加えることによって、感光後の現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれらの酸無水物などがあげられる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4、4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み合わせなどがあげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、感光性有機成分に対し、0.05〜10重量%の範囲で用いられ、より好ましくは、0.1〜5重量%である。光重合開始剤の量が少なすぎると、光感度が不良となり、光重合開始剤の量が多すぎれば、露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
紫外線吸収剤は高アスペクト比、高精細、高解像度が得られるので好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては有機系染料からなるもの、中でも350〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有機系染料が好ましく用いられる。具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、ジフェニルシアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は紫外線吸収剤として添加した場合にも、焼成後の隔壁中に残存しないで紫外線吸収剤による隔壁特性の低下を少なくできるので好ましい。これらの中でもアゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。ペースト中の紫外線吸収剤の含有量は0.05〜5重量%が好ましい。0.05重量%未満では紫外線吸収剤の添加効果が減少し、5重量%を超えると焼成後の隔壁特性が低下するので好ましくない。より好ましくは0.1〜1重量%である。
増感剤は、感度を向上させるために用いられる。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどがあげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤を感光性ペースト組成物に添加する場合、その含有量は感光性成分に対して0.05〜30重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量%である。増感剤の量が少なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなりすぎる。
本発明の感光性ペースト組成物は、さらに好ましく有機成分として重合禁止剤、可塑剤、酸化防止剤、有機溶媒などを含有していてもよい。重合禁止剤の具体的な例としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤を用いる場合、その含有量はペーストに対し0.001〜1重量%が好ましい。
可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール、グリセリンなどがあげられる。
酸化防止剤は、保存時におけるアクリル系共重合体などの有機成分が酸化することを防ぐ。具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤を用いる場合、その含有量はペースト全量に対し0.001〜1重量%が好ましい。
本発明に用いる感光性ペースト組成物は、粘度を調整するなどの目的に、有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。また、必要に応じて水が用いられることは差し支えない。
感光性ペースト組成物の粘度は無機成分、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は通常2〜200Pa・s(パスカル・秒)である。例えばガラス基板への塗布をスピンコート法で行う場合は、2〜5Pa・sが好ましい。スクリーン印刷法で1回塗布して膜厚3〜30μmを得るには、50〜200Pa・sが好ましい。ブレードコーター法やダイコーター法などを用いる場合は、2〜20Pa・sが好ましい。
粘度の測定は、回転粘度計(RVDVII+、ブルックフィールド社製)にて、温度25±0.1℃、回転数10rpm、測定開始から5分後の粘度を測定した。
感光性ペースト組成物を作製する場合、フィラーは5〜10回に分けて混入するのが好ましい。混入する度に良く混ぜ合わせ、フィラーの凝集をできるだけ抑えるのが良い。
本発明の感光性ペースト組成物は、上記構成物を、例えば3本ロールミル、コボールミルなどの混練装置や分散装置によって均一に混合することで得られる。一例を上げて説明する。有機成分をミキサーやスターラーで完全に均一に混合した後、無機成分を加え、更に混合して予備分散を行う。その後、3本ロールミルを通して混練する。3本ロールミルは2回から8回連続して通すことが好ましい。
次に本発明による感光性ペースト組成物を用いたフラットパネルディスプレイ部材について、一例を挙げてさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されない。
本発明のフラットパネルディスプレイ部材に用いる基板としては、一定の剛直性や平面性があり、焼成に耐える材質のものであれば特に制限はないが、取り扱いが容易であるのでガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板として、ソーダライムガラス(日本板硝子(株)製、(株)高尾製作所製、旭硝子(株)製など)や耐熱ガラス(旭硝子(株)製PD200、日本電気硝子(株)製PP8、サンゴバン(株)製CS25など)を好ましく用いることができる。また放熱性を考慮し、セラミック基板、金属基板や半導体基板(AlN、CuW、CuMo、SiC基板など)も用いることが可能である。
これら基板上には、必要に応じて、絶縁体、半導体、導体などを一層以上、あるいはそれらを組み合わせたものを形成しても構わない。この場合、絶縁体、半導体、導体などは焼結温度に耐えうるものを用いる。
次に基板上に感光性ペースト組成物を塗布する。感光性ペースト組成物を基板の全面もしくは部分的に塗布する塗布方法としては、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター等の一般的な方法を用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度を選ぶことによって調整できるが、乾燥や焼成による収縮を考慮して、乾燥後の厚みが3〜40μmになるように塗布することが好ましい。より好ましくは3〜30μmである。
感光性ペースト組成物から得られた塗布膜には、組成物に用いられる溶剤等にもよるが、熱処理(ベーク)を行っても良い。ベークの温度および時間は構成するペースト組成によって適宜設定することができ、50〜100℃で5分から30分程度施すのが好ましい。また、ベークは対流式ベーク炉や赤外線ベーク炉で行うことが望ましいが、特に制限はない。
感光性ペースト組成物を塗布し、膜を形成する際、1回の塗布では厚みが不足する場合等には重ね塗りすることは何ら差し支えない。重ね塗りの場合、その都度、熱処理を行うことが好ましい。このように同一のペーストにて多数回塗布された層は全体として一層として見ることができる。
次に、得られた塗布膜にパターン形成のための露光を行う。露光は、フォトマスクを用いてマスク露光する方法とレーザー光等で直接描画露光する方法を用いることができるが、フォトマスクを用いた露光のほうが、露光時間を短くでき、生産性に優れている。露光装置としては、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機等を用いることができる。
露光光線としては、例えば、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー光などが挙げられるが、これらの中で、紫外線が好ましく、その光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらの中でも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は塗布厚みによって異なるが、例えば0.01〜2J/cmの出力の超高圧水銀灯を用いて0.5〜30分間露光することが挙げられる。特に、露光量が0.05〜1J/cm程度の露光を行うことが好ましい。
次に、露光後、現像液を使用して現像を行うが、現像方法としては浸漬法やスプレー法、ブラシ法などの公知の方法が採用可能である。現像液は、ペースト中の有機成分が溶解あるいは分散可能である有機溶媒または水溶液を使用できる。また該有機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。ペースト中にカルボキシル基等の酸性基を持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液でも現像できる。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム水溶液などのような金属アルカリ水溶液を使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物またはアンモニウム塩を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液に含まれるアルカリ成分の濃度は0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低すぎれば未露光部が除去され難く、アルカリ濃度が高すぎれば、パターン部を剥離させ、また露光部を腐食させるおそれがあり好ましくない。また、現像液の温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
また、現像時に、現像液中で超音波処理を行うことが好ましく、さらに周波数変調型超音波処理が、特に20〜50KHzの間の波長範囲で変調される周波数変調型超音波処理が好ましい。このような超音波処理により、微細で均一なパターンの形成と共に、残渣の低減に大きな効果が得られる。残渣とは、現像で無くなるはずの箇所に、下地が見える程度に現像後も存在するペーストのことを示し、光学顕微鏡500倍にて観察できる。
また、現像液には、感光性ペースト組成物の塗布膜への塗れ性改善、現像の均一性や残渣の低減などのために、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン、アニオン、カチオン、両性の各種界面活性剤を用いることができる。
ノニオン型界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型や多価アルコール型が挙げられ、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンアビエチルエーテル、ポリオキシエチレンラノリンエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリルモノオレート、ポリオキシエチレングリセルモノステアレート、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノステアレート、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、ジスチレン化フェノールポリエチレンオキシド付加物、トリベンジルフェノールポリエチレンオキシド付加物、オクチルフェノールポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加物、グリセロールモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。
本発明に用いられるノニオン型界面活性剤は、ポリエチレングリール(ニッサンポリエチレングリコール:日本油脂(株)製)、ポリオキシエチレンオクチルエーテル(パイオニンD−1004:竹本油脂(株)製)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン147:花王(株)製)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(エマルゲン210:花王(株)製)、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル(パイオニンD−306:竹本油脂(株)製)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル(NIKKOL PBC:日光ケミカルズ(株)製)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンベヘニルエーテル(NIKKOL PBB:日光ケミカルズ(株)製)、ポリオキシエチレンオレイルアミン(パイオニンD−4407:竹本油脂(株)製)、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド(パイオニンD−4410:竹本油脂(株)製)、ソルビタンモノラウレート(NIKKOL SL−10:日光ケミカルズ(株)製)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(NIKKOL TL−10:日光ケミカルズ(株)製)などが挙げられる。
アニオン型界面活性剤としては、高級アルコール硫酸エステル塩類〔例えば、ラウリルアルコールサルフェートのナトリウム塩、オクチルアルコールサルフェートのナトリウム塩、ラウリルアルコールサルフェートのアンモニウム塩、第二ナトリウムアルキルサルフェートなど〕、脂肪族アルコールリン酸エステル塩類(例えば、セチルアルコールリン酸エステルのナトリウム塩など)、アルキルアリールスルホン酸塩類(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、ジナフタリンジスルホン酸のナトリウム塩、メタニトロベンゼンスルホン酸のナトリウム塩など)、アルキルアミドのスルホン酸塩類、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン酸塩類(例えば、ナトリウムスルホコハク酸ジオクチルエステル、ナトリウムスルホコハク酸ジヘキシルエステルなど)があり、好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩類が挙げられる。
カチオン型界面活性剤はアミン型と第四アンモニウム塩型が挙げられる。アミン型の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、N−アルキルプロピレンアミン、N−アルキルポリエチレンポリアミン、N−アルキルポリエチレンポリアミンジメチル硫酸塩、アルキルビグアニド、長鎖アミンオキシド、アルキルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリン、1−アセチルアミノエチル−2−アルキルイミダゾリン、2−アルキル−4−メチル−4−ヒドロキシメチルオキサゾリン等がある。
また、第四アンモニウム塩型の例としては、長鎖第1アミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルエチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルキノリニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、アルキルピリジニウム硫酸塩、ステアラミドメチルピリジニウム塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、アシルアミノエチルメチルジエチルアンモニウム塩、アルキルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩、脂肪酸ポリエチレンポリアミド、アシルアミノエチルピリジニウム塩、アシルコラミノホルミルメチルピリジニウム塩、ステアロオキシメチルピリジニウム塩、脂肪酸トリエタノールアミン、脂肪酸トリエタノールアミンギ酸塩、トリオキシエチレン脂肪酸トリエタノールアミン、脂肪酸ジブチルアミノエタノール、セチルオキシメチルピリジニウム塩、p−イソオクチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩などがある。
両性界面活性剤としては、例えばN−メチル−N−ペンタデシルアミノ酢酸ナトリウムのような化合物を含有してもよい。
本発明において好ましく用いられる界面活性剤はノニオン型又はアニオン型界面活性剤である。
また、界面活性剤の添加量としては、現像液に対する界面活性剤の重量濃度が0.01〜20重量%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。添加量が20重量%を越えると、現像性が不十分になる可能性が生じ、0.01重量%より少ないと、界面活性剤添加の効果が現れにくくなることがある。また、界面活性剤の添加量は、液体クロマトグラフ質量分析装置を用いて求めることができる。
次に、ペースト塗膜は、必要により所望のパターン形成を行った後、焼成される。焼成における雰囲気や、温度はペーストや基板の種類によって適宜選択することでき、空気中、窒素、水素等の雰囲気が用いられる。焼成温度は通常は420〜600℃で行う。ペースト膜がパターン加工されている場合は、420〜600℃の温度で5〜60分間保持して焼成を行うことが一般的である。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。また、以上の各工程中に、乾燥、予備反応の目的で、50〜300℃の加熱をおこなっても良い。
以上の工程によって形成された隔壁の側面および隔壁間に電子放出素子を形成することによりフラットパネルディスプレイ部材が得られる。
また、上記部材を、例えば背面板として使用し、別途作製された前面板と封着した後、配線の実装を行うことで、高輝度でコントラストの高いフラットパネルディスプレイを得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定されない。なお、実施例、比較例中の濃度は特に断らない限り重量%である。
感光性ペーストに用いた材料は次のとおりである。
有機成分
バインダー樹脂:40%のメタアクリル酸(MMA)、30%のメチルメタアクリレート(MMA)、30%のメタクリル酸からなる共重合体のカルボキシル基に対し、0.4当量のグリシジルメタアクリレート(GMA)を付加反応させた重量平均分子量19000、酸価107のものを用いた。
感光性モノマー:日本化薬(株)製カラヤッドTPA−330
光重合開始剤:2,4−ジメチルオキサントン(日本化薬(株)製)とイルガキュア369(チバスペシャルティケミカルズ社製)を1:2(重量比)混合物
紫外線吸光剤:スダン(化学式C2420O、分子量380.45のアゾ系有機染料)
分散剤:ノプコスパース(花王(株)製)
重合禁止剤:p−メトキシフェノール
溶剤:3−メチル−3−メトキシブタノール。
無機成分
D50の測定には、日機装(株)のマイクロトラック粒度分布計HRAを用いた。ガラス粉末を適量、装置所定の水に懸濁させ、超音波を用いてガラス粉末の凝集を分散した後、レーザー光を照射して、分散させたガラス粉末の散乱と回折から得られた屈折率から、D50の値を得た。超音波時間を300秒とした。なお、D50とは、測定されたすべての度数、すなわち累積度数を100%とした場合、最も小さい粒径の度数から順次足し合わせていき、それが累積度数を足し合わせた場合の半分、すなわち、50%になる時の粒子径のことを示す。
ガラス粉末A1:SiO 10.4%、Al 3.2%、B 12.3%、ZnO 3.3%、Bi 69%、ZrO 1.8%
ガラス粉末は三井鉱山(株)製ファインミルを用いてD50において1μmの微粉末にした。
ガラス粉末A2:SiO 7%、Al 3.3%、B 14.5%、ZnO 7.6%、Bi 65.2%、ZrO 2.4%
ガラス粉末は三井鉱山(株)製ファインミルを用いてD50において1.4μmの微粉末にした。
ガラス粉末A3:SiO 9.2%、Al 2.9%、B 12.6%、ZnO 3%、Bi 69.5%、ZrO 2.8%
ガラス粉末は三井鉱山(株)製ファインミルを用いてD50において0.4μmの微粉末にした。
ガラス粉末A4:SiO 8.9%、Al 2.2%、B 12.4%、ZnO 3.3%、Bi 70%、ZrO 3.2%
ガラス粉末は三井鉱山(株)製ファインミルを用いてD50において2.1μmの微粉末にした。
ガラス粉末A5:SiO 8.1%、Al 2.1%、B 12.3%、ZnO 3.3%、Bi 69%、ZrO 1%、MgO 4.2%
ガラス粉末は三井鉱山(株)製ファインミルを用いてD50において1.3μmの微粉末にした。
ガラス粉末B:SiO 44.2%、Al 29.8%、B 9.1%、ZnO 7%、NaO 10.9%(ホウケイ酸ガラス)
ガラス粉末は三井鉱山(株)製ファインミルを用いてD50において1.3μmの微粉末にした。
ガラス粉末C:SiO 67.2%、NaO 20.2%、CaO 12.6%(ソーダ石灰ガラス)
ガラス粉末は三井鉱山(株)製ファインミルを用いてD50において1μmの微粉末にした。
フィラーとして一次粒子径が以下のものを利用した。
平均粒子径23nmのマグネシア(宇部マテリアルズ(株)製)
平均粒子径30nmのマグネシア(宇部マテリアルズ(株)製)
平均粒子径55nmのマグネシア(宇部マテリアルズ(株)製)
平均粒子径98nmのマグネシア(宇部マテリアルズ(株)製)
平均粒子径150nmのマグネシア(宇部マテリアルズ(株)製)
平均粒子径390nmのマグネシア(宇部マテリアルズ(株)製)
平均粒子径25nmのシリカ(シーアイ化成(株))
平均粒子径36nmのチタニア(シーアイ化成(株))
平均粒子径34nmの酸化亜鉛(シーアイ化成(株))
フィラーの平均粒子径は、島津製作所(株)のトライスター3000を利用して求められた比表面積から、フィラーを球形と仮定して求めた。ここでいう平均とは、フィラーを球形と仮定することを意味し、比表面積 =(4πr)/((4πr/3)×ρ)、(ρ:フィラーの比重、r:半径)から平均粒子径(=r×2)を求めた。
実施例1
まず、感光性ペースト組成物の全重量に対して、有機成分21重量%(バインダー樹脂3.7重量%、感光性モノマー9重量%、光重合開始剤4重量%、紫外線吸光剤0.1重量%、分散剤0.2重量%、重合禁止剤0.5重量%、溶剤3.5重量%)を、ホモジナイザーで均一に分散、混合した。次に、その溶液中に、感光性ペースト組成物の全重量に対して、フィラーが2重量%になるように平均粒子径が55nmの酸化マグネシウムを5回に分けて追加し、ホモジナイザーで分散、混合した。さらにその後、感光性ペースト組成物の全重量に対して、ガラス粉末が77重量%となるようにガラス粉末A1を加え、ホモジナイザーで分散、混合した後、400メッシュのフィルターを用いて濾過し、感光性ペースト組成物を作製した。
その感光性ペースト組成物を厚み2.8mmで、表面にITO膜が塗布してあるPD200(旭硝子(株)製)のガラス基板上にスクリーン印刷法を用いて一様に塗布したものを2枚作製し、その後、2枚とも80℃で10分保持して乾燥し、厚さ20μmの感光性ペースト組成物の層を形成した。感光性ペースト組成物の評価方法は次のとおりである。得られた2枚を各々下記の評価に用いた。実施例1の評価結果を表1に示す。
<タック性評価>
JIS Z 0237で記載されている傾斜式ボールタック装置を用いる方法を採用した。傾斜角は30°とした。JIS G 4805で規定された材質のボールの大きさはJIS B 1501の“ボールの呼び”の1/16から1までの合計31種類(5/64、7/64、9/64、15/64、17/64の5種類は除く)とし、“ボールの呼び”の32倍の数値をボールナンバーと呼び、それがタック性の指標となる。傾斜式ボールタック装置の傾斜板上の所定の位置に感光性ペーストの塗布した面を上にしたガラス板(厚み1.3mm、12.5cm角)を取り付け、各大きさのボールをゲートにセットした後、ゲートをゆっくりと開いてボールを転がし、測定部内に完全に停止(5秒以上ボールが動かないこと)するようなボールのうちで最大のものを見つけ出し、そのときのボールナンバーが感光性ペースト組成物のタック値とする。一番小さなボールでも、止まらない場合を0とした。感光性ペーストには、熱処理(85℃10分)を行った。感光性ペーストの厚みを25±5μmになるようにした。また、感光性ペーストは、スクリーン印刷を用いて、10cm角になるように塗った。助走路には、感光性ペーストを塗ったガラスと段差が生じないように、それと同じ厚みのガラスを置き、その上から厚み25μmのPETフィルムを貼り付けた。また、ペーストが感光しないように、暗幕の中で測定を行った。
<パターン加工性評価>
20μm径の円径パターンを40μmピッチで有するネガ型クロムマスクを用いて、上面から0.5kw出力の超高圧水銀灯で感光性ペースト組成物層を紫外線露光した。露光量は1J/cmで行った。次に25℃に保持した水酸化ナトリウム0.1重量%の水溶液をシャワーで付与して30秒間現像し、その後シャワースプレーを用いて水洗浄し、ガラス基板上に約20μmの孔径をもつ隔壁パターンを形成した。この隔壁パターンを光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、マスクのビアパターン100個のうち、パターンが形成された割合をビア加工率として、パターン加工性の評価とした。
また、隔壁の残膜率を合わせて示した。残膜率は、現像前と現像後の隔壁パターンをSEM観察し、(現像後の隔壁の厚み)/(現像前の隔壁の厚み)×100で求めた。
実施例2〜24、比較例1
表1、2に記載した組成に基づき、感光性ペースト組成物を作製した。実施例1の場合と同様に、スクリーン印刷、乾燥、露光および現像を行い、タック性とパターン加工性を評価した。結果を表1、2に示す。
Figure 2007182343
Figure 2007182343
実施例25〜48、比較例2
表3、4に記載した組成に基づき、実施例1と同様にして感光性ペースト組成物を作製した。その感光性ペースト組成物を厚み1.3mmで、表面にはITO膜が塗布してあるソーダライムのガラス基板上にスクリーン印刷法を用いて一様に塗布したものを2枚作製し、その後、2枚とも80℃で10分保持して乾燥し、厚さ20μmの感光性ペースト組成物の層を形成した。感光性ペースト組成物の評価は実施例1と同様に行い、結果を表3、4に示す。
Figure 2007182343
Figure 2007182343
実施例49〜52、比較例3〜8
表5に記載した組成に基づき、感光性ペーストを作製した。実施例1の場合と同様に、スクリーン印刷、乾燥、露光および現像を行い、タック性とパターン加工性を評価した。
Figure 2007182343

Claims (3)

  1. ガラス粉末と無機フィラーと感光性有機成分を有する感光性ペースト組成物であって、ガラス粉末が酸化ビスマスを含み、かつ無機フィラーが酸化マグネシウムを含む感光性ペースト組成物。
  2. ガラス粉末の50重量%平均粒子径が0.3〜1.5μmである請求項1記載の感光性ペースト組成物。
  3. 請求項1記載の感光性ペースト組成物をパターン形成し、次いで焼成し、焼成されたパターンを基板上に有するフラットパネルディスプレイ部材。
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