JP4411940B2 - 無機材料ペースト、およびプラズマディスプレイ部材ならびにプラズマディスプレイ - Google Patents
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Description
D50(L)<D50(H)
D50(L)<D50(H) (2)
ここで、Ts(H)は最も軟化点の高いガラスフリットHの軟化点、Ts(L)は最も軟化点の低いガラスフリットLの軟化点、D50(L)はガラスフリットLの平均粒子径、D50(H)はガラスフリットHの平均粒子径である。また、ガラスフリットとは焼成温度で焼結するガラスフリットのことを指し、フィラー(骨材)を意味しない。
本発明に用いるガラスフリットの粒度分布は特に限定されないが、ガラスフリットHが2山分布を示すことが好ましい。2山分布だとガラスフリットの充填密度を高くできるのでガラスフリット同士が接触する確率が高くなり、焼成時の欠陥が発生しにくい傾向にあるからである。また、最大粒子径は、15μm以下、より好ましくは10μm、さらにより好ましくは7μm以下である。
ガラスフリットの粉砕方法も特に限定されないが、平均粒子径を小さくするには湿式粉砕法が好ましい。
また、ガラスフリットLとガラスフリットHの配合重量比は0.1:99.9〜50:50の範囲が好ましい。より好ましくは0.1:99.9〜30:70である。さらにより好ましくは0.1:99.9〜15:85である。さらにより一層好ましくは0.1:99:9〜5:95である。この範囲とすることで、焼成欠陥の発生を抑制することができる。この範囲外にある場合、焼成時に巨大気泡が発生しやすい傾向である。
また、本発明を感光性ペースト法で用いる場合、ガラスフリットLとガラスフリットHの密度の差は小さいことが好ましい。具体的には密度差が0.5g/cm3以下であることが好ましい。より好ましくは、0.3g/cm3である。さらにより好ましくは0.1g/cm3以下である。この範囲内にあることで、露光光の直進性が向上しパターン形成性が向上するからであ。
本発明で用いられるペーストはいずれも架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤が熱重合開始剤から発生したラジカルを開始点として3次元網目構造を形成することにより、現像時の耐現像液性が向上し、また焼成時に焼成応力が発生しても亀裂や断線といった欠陥を抑制することができる。架橋剤としては、活性な炭素−炭素二重結合を有する化合物が好ましく、官能基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリレート基、アクリルアミド基を有する単官能および多官能化合物が応用される。特に多官能(メタ)アクリレート化合物を有機成分中に5〜80重量%含有させたものが好ましい。(メタ)アクリレート化合物には多様な種類の化合物が開発されているので、それらから反応性、屈折率などを考慮して選択し、場合によってはそれらを組み合わせることが可能である。また、ポリマーに炭素−炭素2重結合を有する側鎖を導入するなどの方法を用いることも好ましい。
ウレタン化合物の含有量は、ペースト中の0.1〜20重量%であることが好ましい。含有量を0.1重量%以上とすることで、適切なはがれ抑制の効果が得られる。20重量%を超えると、有機成分と無機微粒子の分散性が低下し、欠陥のが生じやすくなる。
転写シートのカバーフィルムやベースフィルムの材料は公知のものが使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ナイロンなどが使用できる。
本発明のペーストをフィルム上へ塗布する方法も特に限定されないが、ダイーコータ、ブレードコータ、コンマコータ、リバースロールコータ、スプレーコータなどを用いることができる。積層した転写シートを作製する場合、これらの塗布方法を複数用いても構わない。
プラズマディスプレイの背面板の基板としては、通常、ソーダガラスや旭硝子社製の“PD−200”、日本電気硝子社製の“PP−8”などの高歪み点ガラス基板が用いられる。
このようにしてプラズマディスプレイの背面板を作成できる。
前面板に用いるガラス基板については、背面板に述べたものと同様である。
ガラス基板上に、酸化錫、ITOなどの透明電極をリフトオフ法、フォトエッチング法などによって形成する。
次に、透明電極を形成したガラス基板上に、銀やアルミ、銅、金、ニッケル等をスクリーン印刷や感光性導電ペーストを用いたフォトリソグラフィー法によって、バス電極層をパターン形成する。
透明電極およびバス電極を形成したガラス基板上に、透明誘電体層用ペーストをスクリーン印刷法やスリットダイコータなどにより塗布し、乾燥後焼成を行い誘電体層を形成する。
粒度分布は、分散性、焼成膜の表面粗さ、耐電圧などから、平均粒子径0.5〜5μm、より好ましくは0.8〜3.5μmである。
このようにして前面板を製造することができる。
プラズマディスプレイ用部材の背面板と前面板を用いて、背面板と前面板とを封着後、前背面の基板間隔に形成された空間に、ヘリウム、ネオン、キセノンなどから構成される放電ガスを封入後、駆動回路を装着し、エージングを行いプラズマディスプレイを作製できる。
ガラス軟化点は熱機械特性評価装置(セイコーインスツルメンツ製TMA/6200)を用いて、10℃/分の昇温速度でガラスが軟化するまで測定を行った。ガラスが軟化し試料長さの変化がマイナスに転じた極大点をガラス軟化点とした。試料は直径5〜6mmφ、長さ20mmとした。測定の前に、予め測定したガラス転移点と同じ温度で10時間アニールを行い、歪みを除去した。
粒度分布:
ガラスフリットの平均粒子径(D50)は、レーザー回折散乱法を利用した粒度分布計(マイクロトラック社製HRA粒度分析計“MODEL No.9320−X100”)を用いて測定した。測定条件は下記の通りで行った。
試料量 :100mg
分散条件 :精製水中で5分間超音波分散、分散しにくい場合は0.2%ヘキサメタリ ン酸ナトリウム水溶液中で行う。
焼成まで行った隔壁(42インチ基板)を画像検査装置にて欠陥検査を行った。検出できる隔壁欠陥の大きさはおよそ30μm以上の完全断線である。30μm以上の欠陥があると蛍光体ペーストを塗布した後に隣接するセルへ他の蛍光体が混ざり混色するので、ディスプレイとしては不適となる。欠陥の数は0個が好ましく、1個以上ある場合はNGとなる。50枚画像検査を行い、その欠陥の総数を評価した。
次に実施例を説明するが、実施例中の濃度は、断りのない限り重量%である。また、実施例表中のバインダー樹脂の添加量は、溶媒を除いた樹脂のみの添加量を示す。
バインダー樹脂A:アクリル系ポリマー(スチレン/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応したもの。重量平均分子量43,000、酸価95)。40%γ−ブチロラクトン溶液として用いた。
バインダー樹脂B:エチルセルロース(数平均分子量80000)。5%テルピネオール溶液として用いた。
架橋剤:トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬(株)製、“TPA330”、3官能)
ウレタン化合物:UA−3348PE(新中村化学(株)製、分子量22000)
重合開始剤A:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン
ガラスフリットA:酸化リチウム7%、酸化ケイ素23%、酸化ホウ素50%、酸化バリウム2%、酸化アルミニウム13%、酸化カルシウム1%、酸化マグネシウム1%、酸化亜鉛1%。ガラス転移点480℃、軟化点530℃、熱膨張係数75×10-7/℃、密度2.54g/cm3、平均屈折率1.586。
ガラスフリットB:アルミナホウ珪酸系ガラス、ガラス転移点455℃、軟化点495℃、熱膨張係数85×10-7/℃、密度2.56g/cm3。
ガラスフリットE:PbO−B2O3−ZnO系ガラス、ガラス転移点398℃、軟化点430℃、熱膨張係数85×10-7/℃、密度4.22g/cm3。
まず、背面板を作製した。電極ペーストをガラス基板上に塗布、乾燥後、露光した。そしてアルカリ現像を行い590℃で焼成してアドレス電極パターンを作製した。次に誘電体ペーストをスクリーン印刷機を用いて塗布し、180℃でキュアを行った。そして、表1に示すようなガラスリット添加した隔壁ペーストを乾燥後厚み180μmになるようにスリットダイコーターで塗布し、熱風乾燥機を用いて100℃で乾燥した。乾燥後フォトマスクを介して露光を行い、0.5%のエタノールアミン水溶液中で現像した。さらに、誘電体と隔壁を同時に590℃で焼成して隔壁パターンを作製した。隔壁の露光に用いたネガ型露光マスクは、幅30μm、ピッチ300μmとした。焼成後の隔壁形状を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、いずれの実施例も頂部幅30μm、高さ120μmの良好なストライプ状パターンであった。同様にそれぞれ50枚の背面板基板を作製した。
欠陥の有無に関わらず、スクリーン印刷法でRGBの蛍光体ペーストを塗布し、蛍光体層を形成した。隔壁欠陥が生じている部分を紫外線ランプで照射して調べたところ、混色が生じていた。隔壁欠陥が発生しなかった基板と予め作製しておいた前面板と張り合わせ、放電ガスを封入し、プラズマディスプレイを作製した。駆動回路を実装して表示させたところ、問題なかった。
まず、誘電体ペーストは、バインダー樹脂B100重量部、ガラスフリット(ガラス転移点475℃、軟化点515℃、100重量部)、フィラー(酸化ケイ素(日本アエロジル社製、“アエロジル200”)、30重量部)を添加して3本ローラー混練機で混練して作製した。
実施例1と同様にアドレス電極を形成した基板に誘電体ペーストをスクリーン印刷機で塗布し590℃で焼成を行った。
スリットダイコータで隔壁ペーストを塗布し、乾燥後ドライフィルムレジストをラミネートし、実施例1と同様の露光マスクを用いて露光し現像後、サンドブラスト、レジスト剥離、焼成(590℃)を行った。隔壁は頂部幅30μm、高さ120μmの良好なストライプ状パターンであった。同様にそれぞれ50枚の背面板基板を作製した。
欠陥の有無に関わらず、スクリーン印刷法でRGBの蛍光体ペーストを塗布し、蛍光体層を形成した。隔壁欠陥が生じている部分を紫外線ランプで照射して調べたところ、混色が生じていた。隔壁欠陥が発生しなかった基板と予め作製しておいた前面板と張り合わせ、放電ガスを封入し、プラズマディスプレイを作製した。駆動回路を実装して表示させたところ、問題なかった。
前面板透明誘電体ペーストを、バインダー樹脂B100重量部、ガラスフリット120重量部(総量、種類は、配合比は表1の通りとした)を3本ロール混練機で作製し、実施例1と同様に背面板を作製した。
前面板と背面板を張り合わせ、放電ガスを封入し、プラズマディスプレイを作製した。駆動回路を実装して表示させたところ、突起に欠陥のあった部位は異常放電が生じた。それ以外では問題なかった。
隔壁ペーストを表1のようにした以外は実施例1と同様に背面板を作製した。焼成後の隔壁形状を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、いずれの実施例も頂部幅30μm、高さ120μmの良好なストライプ状パターンであった。同様にそれぞれ50枚の背面板基板を作製した。
欠陥の有無に関わらず、スクリーン印刷法でRGBの蛍光体ペーストを塗布し、蛍光体層を形成した。隔壁欠陥が生じている部分を紫外線ランプで照射して調べたところ、混色が生じていた。隔壁欠陥が発生しなかった基板と予め作製しておいた前面板と張り合わせ、放電ガスを封入し、プラズマディスプレイを作製した。駆動回路を実装して表示させたところ、問題なかった。
隔壁ペーストを表1のようにした以外は比較例1と同様に背面板を作製した。焼成後の隔壁形状を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、いずれの実施例も頂部幅30μm、高さ120μmの良好なストライプ状パターンであった。同様にそれぞれ50枚の背面板基板を作製した。
欠陥の有無に関わらず、スクリーン印刷法でRGBの蛍光体ペーストを塗布し、蛍光体層を形成した。隔壁欠陥が生じている部分を紫外線ランプで照射して調べたところ、混色が生じていた。隔壁欠陥が発生しなかった基板と予め作製しておいた前面板と張り合わせ、放電ガスを封入し、プラズマディスプレイを作製した。駆動回路を実装して表示させたところ、問題なかった。
誘電体突起用ペーストを表1のようにした以外は実施例7と同様に前面板を作製した。ストライプの形状は幅30μm、高さ20μmで良好なパターンであった。同様にそれぞれ50枚の前面板基板を作製した。
前面板と背面板を張り合わせ、放電ガスを封入し、プラズマディスプレイを作製した。駆動回路を実装して表示させたところ、突起に欠陥のあった部位は異常放電が生じた。それ以外では問題なかった。
Claims (9)
- 無機成分と有機成分を含有する無機材料ペーストであって、無機成分中に2種類以上のガラスフリットを含み、最も軟化点の高いガラスフリットHの軟化点をTs(H)、最も軟化点の低いガラスフリットLの軟化点をTs(L)、ガラスフリットHの平均粒子径をD50(H)、ガラスフリットLの平均粒子径をD50(L)としたときに、以下の6式を満足し、ガラスフリットLとガラスフリットHの重量比が2:98〜20:80であり、有機成分中に感光性成分を含むことを特徴とする無機材料ペースト。
Ts(H)−Ts(L)≦100℃
D50(L)<D50(H)
515℃≦Ts(H)≦530℃
430℃≦Ts(L)≦495℃
2.5μm≦D50(H)≦3.2μm
0.7μm≦D50(L)≦1.7μm - D50(L)とD50(H)が以下の式を満足することを特徴とする請求項1に記載の無機材料ペースト。
D50(H)−D50(L)>1.0μm - ガラスフリットLの平均粒子径が1.5μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の無機材料ペースト。
- さらに、焼成温度で溶融しないフィラーを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無機材料ペースト。
- フィラーとガラスフリットの重量比が0.1:99.9〜40:60であることを特徴とする請求項4に記載の無機材料ペースト。
- ガラスフリットHとガラスフリットLの密度の差が0.5g/cm3以下、さらにガラスフリットHの密度が2.54〜4.61g/cm 3 の範囲内かつガラスフリットLの密度が2.55〜4.22g/cm 3 の範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の無機材料ペースト。
- プラズマディスプレイの隔壁パターンの形成に用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の無機材料ペースト。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の無機材料ペーストを用いて作製したことを特徴とするプラズマディスプレイ部材。
- 請求項8に記載のプラズマディスプレイ部材を用いて作製したことを特徴とするプラズマディスプレイ。
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