JP2007182150A - アクセル装置のキックダウンスイッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】体格大型化を抑制しつつ摺動部材の姿勢を安定化させて確実な作動が可能なアクセル装置のキックダウンスイッチを提供する。
【解決手段】弾性部材であるコイルスプリング42を複数個、つまり2個を、その軸方向に平行に並列に配置している。この構成により、ローラ41とコイルスプリング42との接点は、2箇所、すなわちローラ41の両端部付近となり、両コイルスプリング42の押接力は、ローラ41の姿勢変化に対する抵抗力として作用し、ローラ41の姿勢変化が抑制される。また、コイルスプリング42の個数を2個としたことにより、キックダウンスイッチ20の体格を増大させずに、クリック感の大きさの設定可能範囲を拡大することができる。したがって、体格大型化を抑制しつつローラ41の姿勢を安定化させて確実な作動が可能なアクセル装置10のキックダウンスイッチ20を提供することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両のアクセル装置に組み込まれ、アクセルペダルの踏み込み量が所定量以上になると信号を出力するアクセル装置のキックダウンスイッチに関するものである。
アクセル装置は、車両の運転者がそのアクセルペダルの踏み込み量を加減することによってエンジン出力を制御し、それにより走行速度を制御するためのものである。自動変速機を搭載する車両の場合、通常の走行状態においては、走行速度とアクセルペダルの踏み込み量に応じて最適な変速ギヤ段に自動的に切り替えられている。
ところで、追い越し動作時、あるいは平坦路から登り勾配に挿しかかった時等、通常走行時よりも大きい駆動力が必要となった場合、運転者がアクセルペダルをより強く踏み込むと、アクセル装置のキックダウンスイッチがアクセルペダルに押されて作動して、自動変速機がよりギヤ比の大きい変速段に切り替えられ(いわゆるシフトダウン動作)、その結果、駆動輪により強い駆動力が発生して滑らかな追い越し動作、あるいは登坂走行が可能となる。
通常走行中、運転者が意図しないときにキックダウンスイッチによる自動的なシフトダウンが行われると運転操作がし難くなる。そのため、キックダウンスイッチは、通常走行時における運転者によるアクセルペダルの踏力によっては作動せず、運転者がシフトダウンを意図してアクセルペダルを強く踏みアクセルペダルの踏み込み量が所定値を越えたときにのみ作動するように設定されている。
また、キックダウンスイッチは、その作動直前でアクセル踏力が増大し且つ作動するとアクセル踏力が減少するように設定されている。すなわち、アクセル反力に節度感を持たせている。これにより、運転者は、キックダウンスイッチが作動したことを、アクセルペダルを踏む足先に感じる感覚から容易に認識することができる。
キックダウンスイッチは、上述した特性を備えるために、たとえば、図8および図9に示すような構成を備えている。
従来のキックダウンスイッチ100は、図8に示すように、アクセル装置のアクセルペダル101と接する操作ボタン102を備えている。操作ボタン102は、アクセルペダル101が当接して押されることによりケーシング103の内部を移動する。詳しくは、アクセルペダル101は、図8に示すように、操作ボタン102を覆うように装着されたカバー111と接触する。操作ボタン102は、リターンスプリング109によってアクセルペダル101の踏み込みによる移動方向と逆方向へ押し付けられている。操作ボタン102は、その内部に径方向へ移動可能な一対の移動部材105を収容している。移動部材105は円柱状に形成されている。一対の移動部材105間には弾性部材104が配置され、移動部材105は、弾性部材104の弾性力によってそれぞれケーシング103側へ押し付けられている。ケーシング103は、アクセルペダル101側の端部に凹部106を備えている。
アクセルペダル101がキックダウンスイッチ100に当接していないときには、操作ボタン102はアクセルペダル101側に位置し、移動部材105は、弾性部材104の弾性力によってケーシング103の凹部106に押し付けられ収容されている。
運転者がアクセルペダル101を踏み込むと、アクセルペダル101が操作ボタン102のカバー111に当接し、操作ボタン102はアクセルペダル101に押されて図8の下方に移動する。これにより、移動部材105は操作ボタン102の第1壁部107と接し、アクセルペダル101とは反対側すなわち図8の下方へ力を受ける。そして、移動部材105が受ける図8の下向きの力が所定値よりも大きくなると、移動部材105は凹部106のアクセルペダル101とは反対側の端部108を乗り越える。その結果、操作ボタン102は、アクセルペダル101とは反対側へ移動する。この瞬間に、アクセルペダル101の反力が減少する。すなわち、運転者がアクセルペダル101を踏み込むのに必要な力が小さくなる。運転者が、このクリック感をその足を介して感じることにより、運転者はキックダウンスイッチ100が作動したことを認識できる。
一方、運転者によるアクセルペダル101の踏力が弱まると、操作ボタン102に加わる力が減少し、操作ボタン102は、リターンスプリング109の反発力によりアクセルペダル101側へ移動する。操作ボタン102に収容されている移動部材105は、操作ボタン102と一体的に移動し、弾性部材104の付勢力により押されてケーシング103の凹部106へ収容される。
従来のアクセル装置のキックダウンスイッチにおいて、弾性部材104としてはコイルスプリングが用いられ、その個数は、図9に示すように1個である。弾性部材104は、移動部材105軸方向のほぼ中央部に当接するように配置されている。言い換えると、弾性部材104は、移動部材105の重心近傍に当接している。したがって、移動部材105に何らかの外力が加えられると、移動部材105は、その重心、つまり弾性部材104との接点を支点として回転し易い状態となっている。
このため、運転者がキックダウンを意図してアクセルペダル101を強く踏み込んだ場合、移動部材105が凹部106のアクセルペダル101とは反対側の端部108を乗り越える際に、移動部材105は弾性部材104が当接する点近傍を中心として回転し傾斜する、すなわちその姿勢が不安定となる可能性がある。この結果、キックダウンスイッチ100作動時のクリック感が明瞭に感じられない、あるいはアクセルペダル101が操作ボタン102から離れても操作ボタン102が戻り難くなる、等の不具合が発生する可能性がある。
また、従来のアクセル装置のキックダウンスイッチにおいては、弾性部材104が1個であるため、キックダウンスイッチ作動時のクリック感の設定範囲が限られてしまう。特に、クリック感を強めるためには弾性部材104の弾性力を大きくする、つまりばね定数を大きくする必要があるが、そのためにばねが大きくなりキックダウンスイッチの体格が大型化してしまう。
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、体格大型化を抑制しつつ摺動部材の姿勢を安定化させて確実な作動が可能なアクセル装置のキックダウンスイッチを提供することである。
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
本発明の請求項1に記載のアクセル装置のキックダウンスイッチは、車両のアクセル装置に組み込まれ、アクセルペダルの踏み込み量が所定量以上になるとアクセル踏力に節度感を持たせるアクセル装置のキックダウンスイッチであって、アクセルペダルの踏み込み量が所定量以上になるとアクセルペダルに当接し且つ押されて第1方向へ移動する操作ボタンと、操作ボタンを第1方向へ移動可能に収容するケーシングと、操作ボタンの内部に第1方向と直交する第2方向に移動可能に収容保持され且つ操作ボタンと一体的に第1方向へ移動可能な円柱状の移動部材と、操作ボタンの内部に収容され移動部材をケーシングの内壁へ押し付けるように付勢する複数個の弾性部材とを備え、移動部材はその軸を第1方向および第2方向と直交させて配置され、複数個の弾性部材は軸に沿う方向に並列に配置されることを特徴としている。
上述した構成によれば、円柱状の移動部材は、その軸方向の複数箇所において弾性部材と当接し弾性力を受けている。これにより、移動部材の姿勢を安定化させることができる。
また、移動部材がケーシングの内壁に押し付けられる力は、各弾性部材の付勢力の総和となる。したがって、弾性部材の個数を複数個としたことにより、移動部材がケーシングの内壁に押し付けられる力、すなわちクリック感を、キックダウンスイッチの体格を増大させずに大きくすることができる。
本発明の請求項2に記載のアクセル装置のキックダウンスイッチは、弾性部材はコイルスプリングであることを特徴としている。
コイルスプリングは、弾性部材としての特性、つまりばね定数、セット力等の設定範囲が広く、容易に所望の特性を得ることができる。これにより、所望のクリック感を有するアクセル装置のキックダウンスイッチを容易に実現することができる。
以下、本発明によるアクセル装置の一実施形態を自動車に装着されるアクセル装置に適用した場合を例に図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態によるアクセル装置10のキックダウンスイッチ20が装着されるアクセル装置10の正面図である。なお、図1は、自動車の運転者がアクセルペダル12を踏み込んでいない状態を示している。
図2は、図1中のII−II線断面図であり、本発明の第1実施形態によるアクセル装置10のキックダウンスイッチ20部の断面図である。
図3は、図2中のIII−III線断面図である。
本発明の一実施形態によるアクセル装置10は、図1に示すように、本体11、アクセルペダル12およびキックダウンスイッチ20を備えている。本体11は軸部13を有している。アクセルペダル12は、本体11の軸部13を中心に回転可能である。アクセルペダル12は、本体11と反対側の端部14に図示しないパッドが取り付けられる。運転者がこのパッドを足で踏み込むと、アクセルペダル12は軸部13を中心にキックダウンスイッチ20側へ回転する。
アクセル装置10の本体11は、内部にアクセルペダル12の踏み込み量(アクセルペダル12の回転角度)を検出する図示しない検出部を備えている。これにより、本体11は、アクセルペダル12の踏み込み量を検出するとともに、図示しない制御装置へアクセルペダル12の踏み込み量に応じた電気信号を出力する。
アクセルペダル12は、図1に示すように、キックダウンスイッチ20側にペダルボタン15を備えている。ペダルボタン15は、アクセルペダル12上のキックダウンスイッチ20と接触と接触可能な位置に取り付けられ、アクセルペダル12と一体的に移動する。
キックダウンスイッチ20はアクセル装置10の本体11に設置されている。キックダウンスイッチ20は、図2に示すように、操作ボタン21、ケーシング30およびカバー22を備えている。
キックダウンスイッチ20は、概ね直方体状に形成されている。すなわち、断面形状が図3に示すように略長方形のケーシング30の外側に、同じく断面形状が図3に示すように略長方形の有底筒状の操作ボタン21がケーシング30を覆うように嵌合配置されている。操作ボタン21は、ケーシング30と嵌合しつつ、図2における上下方向に移動可能である。
操作ボタン21は、たとえば樹脂材料から形成され、図2に示すように、そのアクセルペダル12側をカバー22によって覆われている。カバー22は、たとえば樹脂材料から形成されている。アクセルペダル12が踏み込まれると、ペダルボタン15はカバー22に当接し、操作ボタン21は、ペダルボタン15の動きに対応して、図2において上下方向に、すなわち第1方向に移動する。
操作ボタン21は、アクセルペダル12側の端部に、第1方向に伸びる、すなわち図2において上下方向に伸びる、第1壁部23を備えている。操作ボタン21は、第1方向において第1壁部23と所定の間隔を設け且つ第1壁部23と概ね平行に形成された第2壁部24を備えている。第1壁部23と第2壁部24とは所定の間隔を隔てて形成されているので、両壁部23、24の間に収容室25が形成されている。この収容室25は、後述する移動部材であるローラ41を収容するものである。
操作ボタン21は、第2壁部24側の端部且つ中央部から、第1方向(図2の上下方向)においてアクセルペダル12とは反対側に突出する脚部26を備えている。脚部26は、後述するケーシング30の筒部31に第1方向に移動可能に嵌合している。
操作ボタン21は、第1壁部23および第2壁部24の外側を覆う笠部27を備えている。笠部27は、図2に示すように、操作ボタン21のアクセルペダル12側とは反対側へ折り返して形成されている。第1壁部23および第2壁部24と笠部27との間には、所定の隙間が形成されている。
操作ボタン21は、図3に示すように、対向する両収容室25と直交し且つ連通する貫通孔28が設けられている。貫通孔28は、その軸方向が第1方向とは直交する方向である第2方向に設定されている。本発明の一実施形態によるアクセル装置10のキックダウンスイッチ20においては、2個の貫通孔28が互いに平行に設けられている。各貫通孔28内には、後述する弾性部材であるコイルスプリング42が収容されている。
ケーシング30は、たとえば樹脂材料等から筒状に形成されている。ケーシング30は、その内側に、操作ボタン21を軸方向(図2において上下方向)に移動可能に支持する筒部31を備えている。筒部31には操作ボタン21の脚部26が収容され、筒部31の内壁は操作ボタン21の脚部26の外壁と摺動する。ケーシング30の外壁は、図2に示すように、操作ボタン21の笠部27の内壁と摺動する。これにより、操作ボタン21は、脚部26および笠部27と摺動するケーシング30によって軸方向の移動が案内される。
ケーシング30に対して操作ボタン21が移動する方向、すなわち図2の上下方向が第1方向である。また、第1方向に垂直な方向、すなわち図2において左右方向が第2方向である。
ケーシング30の内部には、リターンスプリング32が収容されている。リターンスプリング32は、コイルスプリングとして形成されている。リターンスプリング32は、キックダウンスイッチ20が図2に示す状態にあるとき、すなわちアクセルペダル12がキックダウンスイッチ20に当接していないときに、その弾性力により操作ボタン21をアクセルペダル12側へ付勢している。
キックダウンスイッチ20は、操作ボタン21の収容室25内に、移動部材であるローラ41を備えている。ローラ41は、耐摩耗性に優れる材質、たとえば鉄鋼材料等から円柱上に形成されている。ローラ41は、その軸を第1方向(図2において上下方向)および第2方向(図2において左右方向)と直交させて、つまり図2において紙面に垂直な方向に配置されている。ローラ41の直径は、操作ボタン21の第1壁部23と第2壁部24との距離寸法、つまり図2において収容室25の高さ寸法よりもわずかに小さく設定されている。そのため、ローラ41は、第1方向(図2において上下方向)および第2方向(図2において左右方向)の両方向に移動可能である。
平行に配置された2個のローラ41の間には、図2に示すように、弾性部材であるコイルスプリング42が配置されている。コイルスプリング42は、操作ボタン21の貫通孔28内に収容されている。コイルスプリング42の外径は貫通孔28の直径よりもやや小さく設定されている。このため、コイルスプリング42は、貫通孔28で自由に伸縮することができる。コイルスプリング42は操作ボタン21に圧縮状態で組み込まれているので、その弾性力により各ローラ41をケーシング30の内壁33に押し付けている。コイルスプリング42は複数個、本発明の一実施形態によるキックダウンスイッチ20においては2個が、図3に示すように、並列に配置されている。操作ボタン21の2個の貫通孔28は、図3に示すように、互いに操作ボタン21に対して対称関係となるように形成されている。したがって、2個のコイルスプリング42は、ローラ41に対してローラ41の軸方向において対称的に配置されている。これにより、ローラ41上におけるコイルスプリング42の弾性力の作用点2個の位置関係は、ローラ41の軸方向において対称となっている。
コイルスプリング42の両端と各ローラ41との間には、図2に示すように、パッド43が設置されている。パッド43は、耐摩耗性に優れ且つ低摩擦係数の材質、たとえば金属材料あるいは樹脂材料から形成されている。操作ボタン21がケーシング30に対して第1方向(図2において上下方向)に移動する際に、ローラ41はケーシング30の壁面33に対して転がり運動をするのため、ローラ41とコイルスプリング42との間に滑りが生じる。コイルスプリング42とローラ41との間にパッド43を装着することにより、ローラ41とコイルスプリング42間の摩擦力を低減してローラ41の滑らかな回転を実現し、同時にローラ41およびコイルスプリング42の磨耗を防止することができる。
ケーシング30は、その内壁33に凹部34が形成されている。凹部34は、ケーシング30のアクセルペダル12側端部に形成されている。凹部34は、ケーシング30の内壁33に対して操作ボタン21の収容室25から笠部27へ向かう方向にへこんでいる。凹部34の断面形状は略円弧状を成し、その半径は、ローラ41の半径よりもわずかに大きく設定されている。これにより、凹部34内にローラ41が収容される。
次に、以上説明したアクセル装置10の作動、特にキックダウンスイッチ20の作動について詳細に説明する。
自動車の運転者がアクセルペダル12を踏み込んでいないとき、アクセルペダル12は、本体11に装着されている図示しない弾性部材の弾性力を受けて図1に示す位置にある。すなわち、アクセルペダル12(詳しくはペダルボタン15)は、キックダウンスイッチ20から離れている。このとき、キックダウンスイッチ20の操作ボタン21は、図2に示すように、リターンスプリング32の弾性力を受けて、ケーシング30に対して最もアクセルペダル12側位置で停止しており、同時に、収容室25内に収容されているローラ41は、コイルスプリング42の弾性力を受けてケーシング30側方向へ移動して、ケーシング30の凹部34に当接し収容されている。
運転者がアクセルペダル12を踏み込んでいくと、アクセルペダル12は、図1において、軸部13を中心に時計回りに回転し、徐々にキックダウンスイッチ20に近づく。アクセルペダル12は、本体11に装着されている図示しない弾性部材の弾性力を受けて、踏み込まれる方向とは反対の方向へ付勢されている。したがって、運転者がアクセルペダル12を踏み込むことにより、アクセルペダル12の回転角度が大きくなるに連れて、運転者がアクセルペダル12を踏み込むために必要な力である踏力は、図4に示すように増大していく。
このとき、アクセル装置10の本体11の検出部は、図示しない制御装置へ所定の電圧を出力する。本体11の検出部から出力される電圧は、アクセルペダル12の踏み込み量の増大に応じて増大する。
やがて、アクセル装置10の本体11の検出部からの出力電圧は、図4に示すように、アクセル全開に対応する電圧値Voとなる。すなわち、この位置が、自動車の通常の走行状態におけるアクセルペダル12の踏み込み量の最大位置となっている。
運転者がさらにアクセルペダル12を踏み込むと、図5に示すように、アクセルペダル12のアクセルボタン15がキックダウンスイッチ20(詳しくは操作ボタン21のカバー22)に当接し、さらにアクセルペダル12が踏み込まれると、操作ボタン21が図2の下方に移動し始める。このとき、操作ボタン21において、ローラ41が第1壁部23に接する。一方、ローラ41は、コイルスプリング42の弾性力によりケーシング30の凹部34に押し付けられている。このため、操作ボタン21の第1壁部23を介してローラ41に図2において下向きの力が加えられても、ローラ41は、凹部34と内壁33との接続部分に形成される端部36によって図2において下向きの移動が阻止され、その結果、操作ボタン21の移動が規制される。
すなわち、運転者が、アクセル全開に対応する電圧値Voが出力される回転角度からさらにアクセルペダル12を踏み込んでいくと、アクセルペダル12のアクセルボタン15がキックダウンスイッチ20と接触したときに、アクセルペダル12の反力が急に増大してアクセルペダル12は一旦停止する。
この位置から、運転者がアクセルペダル12に加える踏力を増すと、或る値に達すると、ローラ41は、端部36を乗り越えてコイルスプリング42を押し縮めつつ第2方向を操作ボタン21の収容室25内方へ移動し、同時にローラ41は、ケーシング30の内壁33に沿って図2の下方へ移動する。
これにより、操作ボタン21の図2の下方への移動阻止は解除されて、運転者によるアクセルペダル12の踏み込みに応じてアクセルペダル12はさらに回転するが、やがて、図6に示す状態で停止する。このとき、キックダウンスイッチ20においては、図7に示すように、操作ボタン21の脚部26が、ケーシング30の筒部31の底部に当接しており、これにより、アクセルペダル12の回転が規制される。
上述のアクセルペダル12の回転動作に伴って、アクセル装置10の本体11の検出部からの出力電圧は、図4に示すように、上述した電圧値Voよりも増大していく。そして、出力電圧が所定値、つまり図4に示す電圧値Vcに達すると、図示しない制御装置は、キックダウンスイッチ20がONされたと判定し、自動変速機をシフトダウンさせる指令信号を発する。
一方、運転者がアクセルペダル12を踏み込むために必要な踏力が、図4に示すように、ローラ41がケーシング30の端部36を乗り越える直前に急増し、ローラ41がケーシング30の端部36を乗り越えた瞬間に急減することにより、運転者は、アクセルペダル12を踏む足を介して節度感、すなわちクリック感を体感する。このクリック感によって、運転者はキックダウンスイッチ20がONしたことを認識することができる。すなわち、クリック感が得られないうちは、キックダウンスイッチ20がまだONしていないことになる。
次に、以上説明した、本発明の第1実施形態によるアクセル装置10のキックダウンスイッチ20の特徴である、移動部材であるローラ41を付勢するための弾性部材であるコイルスプリング41を複数個、本実施形態では2個、並列に配置したことの作用効果について説明する。
先ず、従来のアクセル装置のキックダウンスイッチにおいては、弾性部材104としてはコイルスプリングが用いられ、その個数は、図9に示すように1個である。弾性部材104は、移動部材105軸方向のほぼ中央部に当接するように配置されている。言い換えると、弾性部材104は、移動部材105のほぼ重心に当接している。したがって、移動部材105に何らかの外力が加えられると、移動部材105は、その重心、つまり弾性部材104との接点を支点として回転し易い状態となっている。
このため、運転者がキックダウンを意図してアクセルペダル101を強く踏み込んだ場合、移動部材105が凹部106のアクセルペダル101とは反対側の端部108を乗り越える際に、移動部材105は弾性部材104が当接する点近傍を中心として回転し傾斜する、すなわちその姿勢が不安定となる可能性がある。この結果、キックダウンスイッチ100作動時のクリック感が明瞭に感じられない、あるいはアクセルペダル101が操作ボタン102から離れても操作ボタン102が戻り難くなる、等の不具合が発生する可能性がある。また、従来のアクセル装置のキックダウンスイッチにおいては、弾性部材104が1個であるため、キックダウンスイッチ作動時のクリック感の設定範囲が限られてしまう。特に、クリック感を強めるためには弾性部材104の弾性力を大きくする、つまりばね定数を大きくする必要があるが、そのためにばねが大きくなりキックダウンスイッチの体格が大型化してしまう。
これに対して、本発明の一実施形態によるアクセル装置10のキックダウンスイッチ20は、弾性部材であるコイルスプリング42を複数個、つまり2個を、その軸方向に平行に並列に配置している。
このような構成によれば、移動部材であるローラ41とコイルスプリング42との接点は、2箇所、すなわちローラ41の軸方向において両端部付近となり、ローラ41の重心からは外れている。このため、キックダウンスイッチ20の作動時にローラ41が何らかの外力を受けて姿勢変化が発生すると、両コイルスプリング42の押接力は、それに対する抵抗力として作用し、ローラ41の姿勢変化が抑制される。
これにより、キックダウンスイッチ20作動時におけるローラ41の姿勢が安定して維持されるので、キックダウンスイッチ20を安定して作動させることができ且つキックダウンスイッチ20作動時にクリック感を明瞭且つ確実に発生させることができる。
また、ローラ41がケーシング30の凹部34に押し付けられる力は、各コイルスプリング42の付勢力の総和となる。したがって、コイルスプリング42の個数を複数個、つまり2個としたことにより、コイルスプリング42の体格を大きくする、すなわちセット長さ、コイル径等を大きくすることなしに、全コイルスプリング42の押し付け力を増大させることが可能となる。したがって、キックダウンスイッチ20の体格を増大することなしに、クリック感の大きさの設定可能範囲を拡大することができる。
以上により、体格大型化を抑制しつつローラ41の姿勢を安定化させて確実な作動が可能なアクセル装置10のキックダウンスイッチ20を提供することができる。
なお、以上説明した本発明の第1実施形態によるアクセル装置10のキックダウンスイッチ20においては、コイルスプリング42の個数を2個としているが、2個に限る必要はなく、3個あるいはそれ以上としてもよい。
また、以上説明した本発明の第1実施形態によるアクセル装置10のキックダウンスイッチ20においては、ローラ41とコイルスプリング42との接触部にパッド43を装着しているが、必ずしもパッド43を装着しなくてもよい。
また、以上説明した本発明の第1実施形態によるアクセル装置10のキックダウンスイッチ20においては、移動部材として、円柱状のローラ41を用いている。しかし、移動部材は、円柱状のローラ41に限らず、球形状のボールであってもよい。ボールを用いる場合は、各コイルスプリング42の両端に1個のボールが配置される。このような構成においても、キックダウンスイッチ20の作動を安定化させることができ、且つキックダウンスイッチ20の体格を増大することなしに、クリック感の大きさの設定可能範囲を拡大させずに大きくすることができる。
また、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
本発明の第1実施形態によるアクセル装置のキックダウンスイッチ20が装着されるアクセル装置10の正面図であって、運転者がアクセルペダル12を踏み込んでいない状態を示す。 図1中のII−II線断面図であり、本発明の第1実施形態によるアクセル装置10のキックダウンスイッチ20部の断面図である。 図2中のIII−III線断面図である。 本発明の一実施形態によるアクセル装置10における、アクセルペダル12の回転角度と踏力および出力電圧との関係を示す模式図である。 本発明の第1実施形態によるアクセル装置のキックダウンスイッチ20が装着されるアクセル装置10の正面図であって、アクセルペダル12がキックダウンスイッチ20に当接した状態を示す。 本発明の第1実施形態によるアクセル装置のキックダウンスイッチ20が装着されるアクセル装置10の正面図であって、アクセルペダル12が運転者により最も踏み込まれた状態を示す。 図6中のVII−VII線断面図である。 従来のアクセル装置のキックダウンスイッチ100の断面図である。 図8中のIX−IX線断面図である。
符号の説明
10 アクセル装置
11 本体
12 アクセルペダル
13 軸部
14 端部
15 ペダルボタン
20 キックダウンスイッチ
21 操作ボタン
22 カバー
23 第1壁部
24 第2壁部
25 収容室
26 脚部
27 笠部
28 貫通孔
30 ケーシング
31 筒部
32 リターンスプリング
33 内壁
34 凹部
36 端部
41 ローラ(移動部材)
42 コイルスプリング(弾性部材)
43 パッド
100 キックダウンスイッチ
101 アクセルペダル
102 操作ボタン
103 ケーシング
104 弾性部材
105 移動部材
106 凹部
107 第1壁部
108 端部
109 リターンスプリング
110 カバー

Claims (2)

  1. 車両のアクセル装置に組み込まれ、アクセルペダルの踏み込み量が所定量以上になるとアクセル踏力に節度感を持たせるアクセル装置のキックダウンスイッチであって、
    前記アクセルペダルの踏み込み量が所定量以上になると前記アクセルペダルに当接し且つ押されて第1方向へ移動する操作ボタンと、
    前記操作ボタンを前記第1方向へ移動可能に収容するケーシングと、
    前記操作ボタンの内部に前記第1方向と直交する第2方向に移動可能に収容保持され且つ前記操作ボタンと一体的に前記第1方向へ移動可能な円柱状の移動部材と、
    前記操作ボタンの内部に収容され前記移動部材を前記ケーシングの内壁へ押し付けるように付勢する複数個の弾性部材とを備え、
    前記移動部材はその軸を前記第1方向および前記第2方向と直交させて配置され、
    複数個の前記弾性部材は前記軸に沿う方向に並列に配置されることを特徴とするアクセル装置のキックダウンスイッチ。
  2. 前記弾性部材はコイルスプリングであることを特徴とする請求項1に記載のアクセル装置のキックダウンスイッチ。
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