JP4711126B2 - アクセル装置のキックダウンスイッチ - Google Patents

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Description

本発明は、アクセル装置のキックダウンスイッチに関する。
車両の搭乗者は、アクセル装置のアクセルペダルの踏み込み量を加減することにより、車両のエンジン出力すなわち車速を制御する。自動変速機を搭載する車両の場合、車速に対してアクセル装置の開度が大きくなると、自動変速機がシフトダウンする、いわゆるキックダウン現象が生じる。そのため、例えば高速道路での追い越しや登坂道路などにおいて、車両の搭乗者が車両を加速させるためにアクセル装置の開度を大きくすると、搭乗者が現在の変速段における加速を望んでいるにも関わらず、搭乗者の意に反してキックダウンが生じ、搭乗者の違和感を招く。これは、搭乗者は、アクセル装置の開度がどの程度になると、キックダウンが生じるか認識できないからである。
そこで、アクセル装置の開度が大きくなり、キックダウンが生じる領域でアクセル装置の踏力が変化するキックダウンスイッチが公知である。キックダウンスイッチを設置することにより、アクセル装置の開度がキックダウンを招く位置になるとアクセル装置の踏力は変化する。そのため、搭乗者は、アクセル装置の踏力の変化によって、キックダウンが生じるか否かを認識することができる。
キックダウンスイッチは、アクセル装置の開度が所定値以上になると作動する。そのため、キックダウンスイッチは、図8に示すような構成を備えている(参考とする関連技術として、例えば特許文献1)。
特開昭59−86619号公報
従来のキックダウンスイッチは、図8に示すようにアクセル装置のアクセルペダルと接する操作ボタン101を備えている。操作ボタン101は、アクセルペダルと接することにより、ケーシング102の内部を軸方向へ移動する。操作ボタン101は、図示しない弾性部材によってアクセルペダルの踏み込みによる移動方向と逆方向へ押し付けられている。操作ボタン101は、内部に径方向へ移動可能な移動部材103、104を収容している。この移動部材103、104は、弾性部材105によってケーシング102側へ押し付けられている。ケーシング102は、アクセルペダル側の端部に凹部106を有している。
アクセルペダルとキックダウンスイッチとが接していないとき、図8(A)に示すように操作ボタン21はアクセルペダル側に位置し、移動部材103、104はケーシング102の凹部106に収容されている。アクセルペダルが踏み込まれると、移動部材103、104は操作ボタン101の第一壁部107と接し、アクセルペダルとは反対側すなわち図8の下方へ力を受ける。そして、移動部材103、104が受ける力が所定値よりも大きくなると、図8(B)、図8(C)に示すように移動部材103、104は凹部106のアクセルペダルとは反対側の端部108を乗り越える。その結果、操作ボタン101は、アクセルペダルとは反対側へ移動する。このとき、アクセルペダルを踏み込む搭乗者は、キックダウンスイッチの作動によってアクセルペダルからクリック感を得る。
しかしながら、アクセルペダルから操作ボタン101へ加わる力が操作ボタン101の幅方向の中央部に加わるとは限らない。すなわち、アクセル装置のアクセルペダルおよびキックダウンスイッチの寸法的な誤差などにより、アクセルペダルから操作ボタン101へ力が加わる力点は、操作ボタン101の幅方向の中央からいずれかの端部側へずれている。そのため、操作ボタン101は回転し、操作ボタン101から移動部材103、104へ加わる力は不均一になる。その結果、アクセルペダルから操作ボタン101へ力が加わったとき、操作ボタン101に収容されている二つの移動部材103、104は、図8(B)および図8(C)に示すように異なるタイミングで端部108を乗り越える。これにより、アクセルペダルを踏み込む搭乗者はクリック感を二回感じることとなる。特に、先に移動する移動部材103により後に移動する移動部材104にはより大きな力が加わる。そのため、前後する二回のクリック感のうち後のクリック感の方が先のクリック感よりも大きくなる。したがって、搭乗者の違和感や不快感が増大する。
そこで、本発明の目的は、操作ボタンが均一に踏み込まれ、アクセルペダルを踏み込む際の違和感や不快感を低減するアクセル装置のキックダウンスイッチを提供することにある。
請求項記載の発明では、操作ボタンのアクセルペダル側には曲面部を備えている。これにより、アクセルペダルからは曲面部に力が加わる。そのため、アクセルペダルから操作ボタンへ力が加わる位置がずれているとき、曲面部に加わる力によって操作ボタンは傾斜する。その結果、操作ボタンがアクセルペダルから力を受けるとき、操作ボタンに回転力が加わり、操作ボタンは均一に踏み込まれる。したがって、アクセルペダルを踏み込む際の違和感や不快感を低減することができる。
さらに、請求項記載の発明では、次の式の通り曲面部の半径を規定している。
Figure 0004711126
アクセルペダルから力を受ける力点が操作ボタンの幅方向の中央部からいずれかの端部側にずれているとき、二つの移動部材のうち力点から遠い移動部材には力点から近い移動部材に比較して加わる力が小さくなる。そこで、請求項3記載の発明では、曲面部の半径を規定することにより、二つの移動部材のうち力点から遠い移動部材には力点から近い移動部材に先立って力を加えることができる。すなわち、力点から遠い移動部材にある程度の力が加わった後、力点から近い移動部材に力が加わる。そのため、力点から遠い移動部材がある程度押し込まれてから、力点から近い移動部材に力が加わる。これにより、力点から遠い移動部材と近い移動部材とが凹部から移動を開始する時期はほぼ同時となる。したがって、操作ボタンは均一に踏み込まれ、アクセルペダルを踏み込む際の違和感や不快感を低減することができる。
請求項記載の発明では、曲面部は操作ボタンのアクセルペダル側に設置されるカバーに設定してもよい。すなわち、曲面部は、操作ボタンと一体に設置してもよく、操作ボタンを覆うカバーに設置してもよい。
以下、本発明によるアクセル装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図2に示すように、本発明の一実施形態によるアクセル装置10は、本体11、アクセルペダル12およびキックダウンスイッチ20を備えている。本体11は、軸部13を有している。アクセルペダル12は、本体11の軸部13を中心に回転可能である。アクセルペダル12は、本体11と反対側の端部14に図示しないパッドが取り付けられる。車両の搭乗者がパッドを踏み込むことにより、アクセルペダル12は軸部13を中心にキックダウンスイッチ20側へ回転する。アクセル装置10の本体11は、内部にアクセルペダル12の踏み込み量を検出する図示しない検出部を有している。これにより、本体11は、アクセルペダル12の踏み込み量を検出するとともに、図示しないECUへアクセルペダル12の踏み込み量に応じた電気信号を出力する。アクセルペダル12は、キックダウンスイッチ20側にペダルボタン15を有している。ペダルボタン15は、アクセルペダル12とともに移動し、キックダウンスイッチ20と接触可能である。
キックダウンスイッチ20は、本体11に設置されている。キックダウンスイッチ20は、図1に示すように操作ボタン21、ケーシング30およびカバー23を有している。操作ボタン21は、アクセルペダル12側がカバー23によって覆われている。アクセルペダル12のペダルボタン15は、カバー23の操作ボタン21とは反対側の端部に接触可能である。操作ボタン21は、アクセルペダル12側の端部に径方向外側へ突出する第一壁部24を有している。また、操作ボタン21は、軸方向において第一壁部24と所定の間隔を形成し、第一壁部24と概ね平行に径方向へ突出する第二壁部25を有している。第一壁部24と第二壁部25とは所定の間隔を形成しているため、第一壁部24と第二壁部25とは間に収容室26を形成する。操作ボタン21は、第二壁部25側の端部からアクセルペダル12とは反対側へ突出する脚部27を有している。脚部27は、操作ボタン21の中央部において軸方向へ伸びている。操作ボタン21は、第一壁部24および第二壁部25の径方向外側を覆う笠部28を有している。笠部28は、操作ボタン21のアクセルペダル12側の端部からアクセルペダル12とは反対側へ折り返して形成されている。第一壁部24および第二壁部25と笠部28との間には、所定の間隔が形成されている。
ケーシング30は、筒状に形成されており、内部に操作ボタン21を軸方向へ移動可能に収容している。ケーシング30は、中央部に操作ボタン21の脚部27を収容する筒部31を有している。筒部31の内壁は脚部27の外壁と摺動する。また、ケーシング30の外壁は笠部28の内壁と摺動する。これにより、操作ボタン21は、脚部27および笠部28と摺動するケーシング30によって軸方向の移動が案内される。ケーシング30の内部において操作ボタン21が移動する方向、すなわち図1の上下方向は操作ボタン21の軸方向となる。また、操作ボタン21の軸に垂直な図1の左右方向は、特許請求の範囲で定義する操作ボタン21の幅方向である。ケーシング30の内部には、操作ボタン21とともに弾性部材としてのスプリング32が収容されている。スプリング32は、軸方向へ伸びる力を有している。そのため、スプリング32は、操作ボタン21をアクセルペダル12側へ押し付ける。
キックダウンスイッチ20は、操作ボタン21の収容室26に収容される移動部材としてのローラ41、42を備えている。ローラ41、42は、収容室26の内部を操作ボタン21の径方向、すなわち操作ボタン21の幅方向へ移動可能である。また、ローラ41、42は、操作ボタン21の軸方向への移動にともなって操作ボタン21とともに軸方向へ移動する。キックダウンスイッチ20は、ローラ41、42をケーシング30の内壁に押し付ける押し付け手段を備えている。本実施形態の場合、押し付け手段は、弾性部材としてのスプリング33と、スプリング33の押し付け力をローラ41、42に伝達するパッド34とを有している。スプリング33は、操作ボタン21の径方向へ伸びる力を有している。そのため、スプリング33は、パッド34を経由してローラ41、42をケーシング30の内壁側へ押し付ける。
ローラ41、42は、略円柱状に形成されている。ローラ41、42の外径は、操作ボタン21の第一壁部24と第二壁部25との間に形成される収容室26よりもやや小さい。そのため、ローラ41、42は、スプリング33の押し付け力によって操作ボタン21の径方向すなわち操作ボタン21の幅方向だけでなく、操作ボタン21の軸方向へも移動可能である。
ケーシング30は、内壁に凹部35に有している。凹部35は、ケーシング30のアクセルペダル12側の端部に設置されている。凹部35は、ケーシング30の内壁において操作ボタン21側から径方向外側へ窪んでいる。凹部35は、ローラ41、42の外形と概ね同一の形状を有している。これにより、凹部35には、ローラ41、42が収容される。ケーシング30は、凹部35のアクセルペダル12とは反対側にガイド面部36を有している。ガイド面部36は、凹部35のアクセルペダル12とは反対側の端部からアクセルペダル12と反対側へ伸びて形成されている。凹部35とガイド面部36との接続部分には、端部37が形成されている。これにより、ローラ41、42は、凹部35からガイド面部36へ移動するとき、およびガイド面部36から凹部35へ移動するとき、端部37を乗り越える。凹部35から端部37を乗り越えたローラ41、42は、ガイド面部36と接しながら操作ボタン21とともに操作ボタン21の軸方向へ移動する。
カバー23は、上述のように操作ボタン21のアクセルペダル12側を覆っている。カバー23は、操作ボタン21とは反対側すなわちアクセルペダル12側に曲面部50を有している。曲面部50は、操作ボタン21の幅方向において両端部から中央部にかけてアクセルペダル12側へ突出する凸曲面状に形成されている。
次に、曲面部50の形状について詳細に説明する。
操作ボタン21の幅方向の中央でペダルボタン15と操作ボタン21とが接するとき、操作ボタン21の第一壁部24から二つのローラ41、42には均一に力が加わる。しかし、アクセル装置10の本体11、アクセルペダル12およびキックダウンスイッチ20の寸法誤差などにより、アクセルペダル12のペダルボタン15は操作ボタン21の幅方向の中央に接するとは限らない。すなわち、ペダルボタン15から操作ボタン21へは、操作ボタン21の幅方向の中央部から端部のいずれか側にずれた位置に力が加わる。
図3には、一例としてアクセルペダルから操作ボタン21へ力が加わる点、すなわち力点Pがローラ42側へずれている場合を示している。図3は、本実施形態のキックダウンスイッチ20の一部の構成を簡略化して示した模式図である。このとき、アクセルペダル12から操作ボタン21には、踏力Fkdが加わる。操作ボタン21の中央部すなわち操作ボタン21の中心軸clとアクセルペダル12から踏力Fkdが加わる力点Pまでの距離をLと定義する。アクセルペダル12から操作ボタン21に踏力Fkdが加わるとき、この踏力Fkdは力点Pにおいて曲面部50に垂直な方向の押し付け力Fと、曲面部50の接線方向の回転トルクT2r0とに分解される。さらに、踏力Fkdから曲面部50に垂直な方向へ加わる押し付け力Fは、操作ボタン21の軸方向の分力F1と、操作ボタン21の幅方向の分力F2とに分解される。スプリング32が操作ボタン21をアクセルペダル12側へ押し付ける押し付け力をF0と定義する。
ここで、ローラ41およびローラ42が操作ボタン21の第一壁部24と接しているとき、第一壁部24からローラ41が受ける力をFLと定義し、第一壁部24からローラ42が受ける力をFRと定義する。また、ローラ41の中心とローラ42の中心との間の距離は、L1と定義する。その結果、アクセルペダル12から操作ボタン21に踏力Fkdが加わっているとき、ローラ41およびローラ42に加わる力は下記の通りとなる。
FR=F1×(L1/2+L)/L1 (1)
FL=F1×(L1/2−L)/L1 (2)
また、ローラ41、42に加わる力FL、FRにより、ローラ41に加わるトルクTL、およびローラ42に加わるトルクTRは以下の通りとなる。ここで、操作ボタン21の幅方向の回転中心cを設定し、回転中心cとローラ41との接点crとを結ぶ仮想直線VL1を設定したとき、操作ボタン21の中心軸clと仮想直線VL1とがなす角度をθcとする。また、回転中心cと力点Pとを結ぶ仮想直線VL2を設定したとき、操作ボタン21の中心軸clと仮想直線VL2とがなす角度をθ0とする。さらに、仮想直線VL1において回転中心cと接点crとの距離をRcとし、仮想直線VL2において回転中心と力点との距離をR0とする。
TR=FR×sin(θc)×Rc (3)
TL=FL×sin(θc)×Rc (4)
さらに、力点Pに踏力Fkdが加わるとき、曲面部50に加わる回転トルクT2r0は以下の通りとなる。
T2r0=F2×cos(θ0)×R0 (5)
回転トルクのつり合いは、以下の式の通りとなる。
TR=TL+T2r0 (6)
上記の式(6)に式(3)、式(4)および式(5)を代入することにより、式(7)が得られる。
(FR−FL)=F2×cos(θ0)×R0/(sin(θc)×Rc) (7)
上記の式(7)から曲面部50の半径Rを求めると、以下の式(8)が得られる。
Figure 0004711126
カバー23の曲面部50の半径Rは、上記の式(8)で求められる値以下であればよいので、下記の式(9)を満たせばよいことになる。
Figure 0004711126
以上のようにカバー23の曲面部50の半径Rを設定することにより、曲面部50に踏力Fkdが加わると、カバー23が取り付けられた操作ボタン21には図3に示すように回転中心cを中心とした回転力が生じる。そのため、曲面部50に踏力Fkdが加わると、力点Pから遠いローラ41には力点Pから近いローラ42に先立って力FLが加わる。すなわち、曲面部50に踏力Fkdが加わると、まずローラ41に力FLが加わった後、ローラ42に力FRが加わる。その結果、二つのローラ41とローラ42との間には、常にほぼ同一の力が加わる。したがって、ローラ41とローラ42とは、ほぼ同時に端部を乗り越える。
次に、上記構成のアクセル装置10の作動について説明する。
車両の搭乗者がアクセルペダル12を踏み込んでいないとき、アクセルペダル12は本体11に設置されている図示しない弾性部材により図2に示す位置にある。そのため、アクセルペダル12は、キックダウンスイッチ20から離れている。このとき、キックダウンスイッチ20の操作ボタン21は、図1に示すようにスプリング32の押し付け力により最もアクセルペダル12側に位置する。収容室26に収容されているローラ41、42は、スプリング33の押し付け力によりケーシング30の内壁側へ押し付けられ、ケーシング30の凹部35に収容されている。
車両の搭乗者がアクセルペダル12を踏み込んでいくと、アクセルペダル12は徐々にキックダウンスイッチ20に接近していく。アクセルペダル12は、本体11に設置されている図示しない弾性部材によって踏み込まれる方向と逆方向へ押し付けられている。これにより、図示しない弾性部材からアクセルペダル12に加わる弾性力は徐々に増大する。その結果、車両の搭乗者によるアクセルペダル12の踏力は、図4の実線に示すようにアクセルペダル12の回転角度すなわち踏み込み量の増大にしたがって増大していく。このとき、本体11は、図示しないECUへ所定の電圧を出力する。本体11から出力される電圧は、図4に示すようにアクセルペダル12の踏力すなわち踏み込み量に応じて増大する。
車両の搭乗者がさらにアクセルペダル12を踏み込むと、図5に示すようにアクセルペダル12のペダルボタン15はキックダウンスイッチ20と接する。このとき、キックダウンスイッチ20の操作ボタン21は、第一壁部24が収容室26に収容されているローラ41、42と接する。ローラ41、42は、ケーシング30の内壁の凹部35に収容されている。また、ローラ41、42は、スプリング33によって凹部35側へ押し付けられている。これにより、操作ボタン21の第一壁部24からローラ41、42へ力が加わっても、ローラ41、42は凹部35とガイド面部36との接続部分に形成される端部37によって移動が規制されている。そのため、ローラ41、42に加わる力が所定の大きさになるまでローラ41、42は凹部35から移動しない。その結果、アクセルペダル12のペダルボタン15がキックダウンスイッチ20と接したとき、アクセルペダル12の踏力が所定の大きさになるまでローラ41、42は移動せず、アクセルペダル12は一旦停止する。このとき、本体11の検出部から出力される出力電圧は、アクセル全開に対応するVoとなる。
そして、搭乗者によるアクセルペダル12の踏力が図4に示すようにさらに大きくなり、踏力がMに達すると、ローラ41、42は端部37を乗り越えてガイド面部36へ移動する。これにより、ローラ41、42の移動制限は解除され、図6に示すようにアクセルペダル12はさらに踏み込まれる。ローラ41、42の移動制限が解除されることにより、操作ボタン21はアクセルペダル12とともに移動し、アクセルペダル12はさらに踏み込まれる。
このとき、搭乗者による踏力がMに達すると、ローラ41およびローラ42が同時に端部37を乗り越え、搭乗者は図4の実線に示すように一回のクリック感を感じる。また、本実施形態のように、カバー23に曲面部50を設置することにより、ローラ41に先行して力が加わるため、ローラ41とローラ42との間で端部37を乗り越える時期に相違がある場合、図4の破線で示すように先に端部37を乗り越えるローラ41によるクリック感が後に端部37を乗り越えるローラ42によるクリック感よりも大きくなる。そのため、ローラ41とローラ42との間でクリック感を生じる時期に相違がある場合でも、搭乗者は先にローラ41による大きなクリック感を得るため、後のローラ42によるクリック感は感じにくくなる。その結果、搭乗者に与える違和感や不快感は低減される。
端部37を乗り越えたローラ41は、図7に示すようにガイド面部36に案内されてアクセルペダル12とは反対側へ移動する。このとき、本体11の検出部は、アクセルペダル12の踏み込み量の変化に応じた電圧を図示しないECUへ出力する。そして、図4に示すように出力電圧がVcよりも大きくなると、図示しないECUはキックダウンスイッチ20がオンになったと判断し、ECUは自動変速機をキックダウンさせる。一方、車両の搭乗者は、ローラ41、42が端部を乗り越えることによって、クリック感を感じる。このクリック感によって、搭乗者はキックダウンスイッチ20がオンになったことを体感する。
搭乗者によるアクセルペダル12の踏力が減少すると、アクセルペダル12は本体11に設置されている図示しない弾性部材によって押し戻される。これとともに、キックダウンスイッチ20の操作ボタン21はスプリング32によってアクセルペダル12側へ押し戻される。ローラ41、42は、パッド34を経由してスプリング33から力を受けている。そのため、ローラ41、42は、ガイド面部36と接しながら操作ボタン21とともにアクセルペダル12側へ移動する。そして、ローラ41、42がガイド面部36に沿って端部37まで移動すると、ローラ41、42は端部37を乗り越えて凹部35へ収容される。
上述した一実施形態では、操作ボタン21のアクセルペダル12側を覆うカバー23に曲面部50が設置されている。これにより、アクセルペダル12から操作ボタン21へ加わる力の位置すなわち力点Pが操作ボタン21の幅方向の中央部からずれる場合でも、力点Pから遠い側のローラ41には力点Pに近い側のローラ42に先立って力が加わる。そのため、操作ボタン21から二つのローラ41およびローラ42に加わる力は概ね均一になる。その結果、ローラ41およびローラ42は、ほぼ同時に端部37を乗り越える。したがって、搭乗者には一回のクリック感のみを与え、アクセルペダル12を踏み込む搭乗者に与える違和感および不快感を低減することができる。また、ローラ41とローラ42との間で端部37を乗り越える時期が相違する場合でも、先に端部37を乗り越えるローラ41は後に端部37を乗り越えるローラ42よりも大きなクリック感を搭乗者に与える。したがって、搭乗者に与える違和感および不快感を低減することができる。
以上説明した本発明の一実施形態では、操作ボタン21を覆うカバー23に曲面部50を設置する例について説明した。しかし、曲面部50は操作ボタン21のアクセルペダル12側の端部に操作ボタン21と一体に設置してもよい。また、本発明の一実施形態では、曲面部50をアクセルペダル12側に突出する凸曲面状に形成する例について説明した。しかし、曲面部50は、アクセルペダル12側から操作ボタン21側へ窪む凹曲面状に形成してもよい。
上述のように本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
図2のI−I線における断面図である。 本発明の一実施形態によるアクセル装置を示す概略図であって、アクセルペダルかに搭乗者から力が加わっていない状態を示す図である。 本発明の一実施形態によるアクセル装置のキックダウンスイッチに加わる力の関係を示す概略図である。 本発明の一実施形態によるアクセル装置において、アクセルペダルの回転角度と踏力および出力電圧との関係を示す模式図である。 本発明の一実施形態によるアクセル装置を示す概略図であって、アクセルペダルとキックダウンスイッチとが接した状態を示す図である。 本発明の一実施形態によるアクセル装置を示す概略図であって、アクセルペダルが搭乗者によって最も踏み込まれた状態を示す図である。 図6のVII−VII線で切断した断面図である。 従来のアクセル装置におけるキックダウンスイッチのローラの移動を示す概略図である。
符号の説明
10 アクセル装置、12 アクセルペダル、20 キックダウンスイッチ、21 操作ボタン、23 カバー、30 ケーシング、35 凹部、41 ローラ、42 ローラ、50 曲面部

Claims (2)

  1. アクセルペダルの踏み込み量が所定量以上となると、キックダウンのための信号を出力するアクセル装置のキックダウンスイッチであって、
    前記アクセルペダルの踏み込み量が所定量以上になると、前記アクセルペダルの踏み込みによって軸方向へ移動する操作ボタンと、
    前記操作ボタンの前記アクセルペダル側に設置され、前記操作ボタンとともに移動し、前記アクセルペダルと接する曲面部と、
    前記操作ボタンの内部に前記軸と垂直な前記操作ボタンの幅方向へ移動可能に収容される二つの移動部材と、
    アクセルペダル側の端部の内壁に前記操作ボタン側から前記操作ボタンと反対側へ窪んで形成され前記移動部材を収容可能な二つの凹部を有し、前記操作ボタンを軸方向へ移動可能に収容するケーシングと、を備え、
    前記曲面部は、前記操作ボタンの幅方向の両端部から中央部にかけて前記アクセルペダル側へ突出する凸曲面状であり、
    前記操作ボタンの幅方向の中央部と前記操作ボタンが前記アクセルペダルから力を受ける力点との距離をLとし、
    前記操作ボタンの幅方向の回転中心から、前記二つの移動部材のうち前記力点から遠い移動部材と前記操作ボタンとの接点までの距離をRcとし、
    前記二つの移動部材の中心間の距離をL1とし、
    前記操作ボタンの幅方向の中央部を通る中心軸と、前記回転中心から前記接点を結ぶ仮想直線とがなす角度をθcとし、
    前記仮想中心軸と、前記回転中心から前記力点を結ぶ仮想直線とがなす角度をθ0としたとき、
    前記曲面部の半径Rは、
    Figure 0004711126
    であるキックダウンスイッチ。
  2. 前記操作ボタンの前記アクセルペダル側に設置され、前記操作ボタンとは反対側に前記曲面部を有するカバーをさらに備える請求項1記載のキックダウンスイッチ。
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