JP2007180291A - プラズマ処理装置用部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐ガス腐食性を有すると共に、耐スティッキング性に優れ、プラズマプロセス中の異常放電を抑制することが可能なプラズマ処理装置用部材を提供する。
【解決手段】ワークにプラズマ処理を施すプラズマ処理装置を構成するプラズマ処理装置用部材であって、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基材2と、基材2の表面に形成された陽極酸化皮膜3とを備え、陽極酸化皮膜3は、印加電圧100V時のリーク電流密度が0.9×10-5(A/cm)を超えるプラズマ処理装置用部材1として構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体、液晶を製造するための成膜、エッチング等を行うプラズマ処理装置を構成するプラズマ処理装置用部材に関する。
従来、半導体、液晶を製造するための成膜、エッチング等を行うプラズマ処理装置を構成する部材には、多数のアルミニウム部材が使用されている。特に、図2に示すように、プラズマ処理装置(CVD装置)10においては、処理チャンバ11内部の上部、下部に設置される上部電極12、下部電極13は、高い耐食性が要求されると共に、これら電極の表面状態がプロセスの均一性、安定性に大きく影響するため、その表面は、機械的形状の制御、表面処理による制御など、様々な工夫が行なわれている。
また、プラズマ処理装置(CVD装置)10においては、下部電極13には、ウエハ、ガラス基板等のワークWが直接載置されている。そして、ワークWの成膜処理が終了すると、下部電極13の外周端部の数箇所に設けられた孔15を貫通して上昇するノックピン16が、ワークWを下部電極13の上方に持ち上げ、持ち上げられたワークWはロボットハンド(図示せず)等によって処理チャンバ11から取り出される。このようなノックピン16でワークWを持ち上げる際に、ワークWが静電吸着により下部電極13から離れなくなる、いわゆる「スティッキング」が発生することがある。このようなスティッキングの発生は、ノックピン16の破損、ひいてはワークWの破損につながるため、スティッキングを防止する観点から、下部電極13の表面にブラスト処理などを施すことが行われる場合がある。
このようなブラスト処理については、特許文献1に記載があり、このブラスト処理による方法では、突出した急峻な先端部が下部電極13の表面上に形成され、ワーク(ウエハ)Wとの磨耗により発生する固体粒子が不純物汚染の原因となること、加えて、下部電極13の磨耗進展により、下部電極13とウエハWとの接触割合が増大し、下部電極13からウエハWへの熱伝導が変化し、ウエハWの膜のプロセス条件に悪影響を及ぼすことが記載されている。そして、ブラスト後に急峻な先端部を除去する目的で、下部電極13の表面を化学的エッチングにより研磨処理する方法が提案され、この研磨処理により、下部電極13とウエハWとの接触面積が減少、静電吸着力が低減して、スティッキングが防止されることが記載されている。また、特許文献2においても、旋盤加工により、下部電極13の表面に波打ち形状等の凹凸を設け、ウエハWとの接触面積を減らし、スティッキングを防止することが記載されている。
特許第3160229号公報(段落0008〜0010、0021、0025、図2) 特開平8−70034号公報(請求項5、段落0016、図10)
しかしながら、下部電極13の場合、特許文献1のようにブラスト処理を行うと、下部電極13に不可避的に残留応力が生じ、下部電極13が反り、ウエハWを安定に保持できないことがある。また、特許文献2のように下部電極13の表面を波打ち形状等にパターン化すると、下部電極13のパターンに沿って、ウエハWに成膜ムラが生じる恐れがある。したがって、ブラスト処理または表面パターン化処理を行なった特許文献1または2のプラズマ処理装置用部材は、下部電極13に要求される耐スティッキング性と性能に優れたものではなかった。
また、下部電極13、上部電極12に代表されるプラズマ処理装置用部材においては、部材に静電気が保持された状態では、プラズマプロセス中に、部材の微小欠陥などの電気的に弱い部分に局所的に電気が集中し、異常放電などの不具合を生じる恐れもある。
本発明は前記問題を解決するものであり、耐スティッキング性に優れ、プラズマプロセス中の異常放電を抑制することが可能なプラズマ処理装置用部材を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ワークにプラズマ処理を施すプラズマ処理装置を構成するプラズマ処理装置用部材であって、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基材と、前記基材の表面に形成された陽極酸化皮膜とを備え、前記陽極酸化皮膜は、印加電圧100V時のリーク電流密度が0.9×10-5(A/cm)を超えるプラズマ処理装置用部材として構成したものである。
前記構成によれば、基材の表面に陽極酸化皮膜を備えることにより、プラズマ処理装置用部材に耐食性が付与される。また、陽極酸化皮膜が所定のリーク電流密度を有することにより、ワーク表面への半導体製膜処理等のプラズマプロセス中に、プラズマ処理装置用部材に帯電する電荷が少なくなり、ワークが部材表面に静電吸着することが抑制されると共に、プラズマ処理装置用部材の電荷分布が均一となり、電気的に集中する部分が少なくなる。
また、請求項2に記載の発明は、前記陽極酸化皮膜の膜厚が3μm以上で、当該陽極酸化皮膜の少なくとも一部がベーマイトおよび/または擬ベーマイトであるプラズマ処理装置用部材として構成したものである。
前記構成は、封孔処理により実現でき、封孔処理により導入される微細なクラックにより陽極酸化皮膜のリーク電流密度の制御が出来、より好ましいリーク電流密度を有することとなり、プラズマ処理装置用部材に帯電する電荷がより少なくなると共に、電荷分布がより均一となる。
本発明に係るプラズマ処理装置用部材によれば、プラズマ処理装置の下部電極として使用した際の耐スティッキング性に優れ、また、プラズマ処理装置の下部電極、上部電極またはその他の部材に使用した際のプラズマプロセス中の異常放電を抑制することが可能となる。
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1はプラズマ処理装置用部材の構成を模式的示す断面図、図2はCVD装置の構成を模式的に示す断面図である。
本発明は、ワークにプラズマ処理を施すプラズマ処理装置を構成するプラズマ処理装置用部材である。そして、プラズマ処理装置とは、ドライエッチング装置、CVD装置、PVD装置、イオン注入装置、スパッタリング装置等の半導体や液晶の製造工程(成膜、エッチング等)で使用する装置である。
図2に示すように、プラズマ処理装置の代表的なものであるCVD装置10は、所定の内部空間を有する処理チャンバ11と、その処理チャンバ11内に対向するように配置される上部電極12および下部電極13とを備える。上部電極12は、処理チャンバ11の上部に配置され、ガス取入口(図示せず)に接続している。下部電極13は、処理チャンバ11の下部に下部電極支持アーム14により支持されている。また、下部電極13は、その端部には所定間隔(例えば、下部電極13が円盤形状の場合には、外周端部に3〜4箇所)に、孔15が穿設されている。さらに、そのピンホール15内には、ノックピン16が挿通されている。
そして、CVD装置10では、ソースガス(例えば、テトラエチルオルソシリケートと酸素ガスとの混合ガス)が、ガス取入口(図示せず)から上部電極12を介して、真空排気された処理チャンバ11内に導入される。下部電極13およびその表面に載置されたワーク(ウエハ、ガラス)Wは、下部電極13に内蔵あるいはボルト等により締結されたヒータ(図示せず)により、所定温度に加熱される。そして、処理チャンバ11内を所定圧力に減圧維持し、上部電極12に所定の高周波電力を印加することにより、上部電極12と下部電極13との間にプラズマを発生させる。これにより、ウエハWの上に所定厚みの半導体膜(例えば、シリコン酸化膜)が成長する。成膜終了したウエハWは、ノックピン16を孔15内で上昇させることにより、下部電極13から分離し(持ち上げられ)、ロボットハンド(図示せず)等によって処理チャンバ11から取り出される。
なお、本発明のプラズマ処理装置用部材は、前記のCVD装置10においては、上部電極12および下部電極13を構成する部材として好適に使用されるが、上部電極12および下部電極13に限定されず、CVD装置10を構成する、例えば、処理チャンバ11、ノックピン16等を構成する部材として使用してもよい。
次に、本発明のプラズマ処理装置用部材の構成について説明する。
図1に示すように、プラズマ処理装置用部材1は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基材2と、前記基材2の表面に形成された陽極酸化皮膜3とを備える。以下、各構成について、説明する。
(基材)
基材2となるアルミニウムまたはアルミニウム合金は特に限定されないが、プラズマ処理装置用部材として十分な機械的強度、熱伝導率、電気伝導率を有する観点から、JIS規定の3000系合金(Al−Mn系合金)、5000系合金(Al−Mg系合金)、または6000系合金(Al−Mg−Si系合金)が好ましい。
基材2の形態は、プラズマ処理装置用部材1の使用箇所によって異なるが、圧延材、押出材または鍛造材であることが好ましい。したがって、基材2は、従来公知の圧延方法、押出方法または鍛造方法によって作製される。
(陽極酸化皮膜)
陽極酸化皮膜3は、中央部にポア(空孔)4を有する六角柱形状のセル7を基本構成とするセル集合体であって、ポーラス層(ポア4が形成された部分)5とバリア層(前記ポーラス層5と基材2との間に介在してポア4のない層)6とを積層した複合皮膜である。また、陽極酸化皮膜3の少なくとも一部が、ベーマイトおよび/または擬ベーマイトであることが好ましい。なお、このような陽極酸化皮膜3が基材2の表面に形成されることにより、本発明に係るプラズマ処理装置用部材1に耐ガス腐食性が付与される。ここで、基材2の表面とは、基材2の全表面だけでなく、一部のみに陽極酸化皮膜3が形成されているものも含まれる。例えば、プラズマ処理装置用部材1を、図2に示すようなCVD装置10の下部電極13として使用する際には、少なくともウエハWと接する側の表面に陽極酸化皮膜3が形成されていればよい。
本発明においては、陽極酸化皮膜3に適度なリーク電流を発生させ、そのリーク電流密度を所定範囲に調整する、具体的には、印加電圧100V時のリーク電流密度が0.9×10-5(A/cm)を超えるように調整する。陽極酸化皮膜3が、このようなリーク電流密度を有することにより、本発明に係るプラズマ処理装置用部材1を、図2に示すようなCVD装置10の下部電極13として使用した際に、ウエハWのスティッキングを抑制することが可能となる。また、プラズマ処理装置用部材1を上部電極12、下部電極13、あるいは他の部材に適用した際には、プラズマプロセス中の異常放電を抑制することも可能となる。リーク電流密度が0.9×10-5(A/cm2)以下であると、前記効果が低下する。耐スティッキング性の観点からはリーク電流密度の上限を特に定めるものではないが、リーク電流密度が20×10-5(A/cm)を超えると耐ガス腐食性が低下することから、リーク電流密度は、0.9×10-5(A/cm)を超え20×10-5(A/cm)以下が好ましい。
すなわち、CVD装置10において、本発明に係るプラズマ処理装置用部材1で下部電極13を構成すると、ウエハWの表面の半導体成膜処理時に、下部電極13に帯電する電荷が陽極酸化皮膜の微細クラックから放電され、その電荷が少なくなる。その結果、半導体成膜処理後、ウエハWの下部電極13への静電吸着が抑制され、ウエハWの取り外し時にスティッキングが生じない。また、プラズマ処理装置用部材1で上部電極12、下部電極13または他の部材を構成すると、プラズマ処理装置用部材1に帯電する電荷が陽極酸化皮膜の微細クラックから放電され、電極または部材に電気的に集中する部分が少なくなり、電荷分布が均一となる。そのため、プラズマプロセス中において電気的に弱い部分に電気が集中して起こるいわゆる異常放電を抑制することができ、プラズマの均一性を向上することが出来る。
前記のリーク電流密度は、陽極酸化皮膜3の膜厚および構造制御により制御することができる。陽極酸化皮膜3のリーク電流密度を膜厚のみで制御する場合には、膜厚は10μm未満が好ましい。膜厚が10μm以上であると、膜厚制御だけではリーク電流密度を制御することが難しい。ただし、膜厚が10μm未満においても、より安定してリーク電流の値のばらつきを制御するためには以下に示す陽極酸化皮膜3の構造制御を行うことがより好ましい。また、酸、アルカリなどへの耐薬品性、及び耐ガス腐食性の観点から、陽極酸化皮膜3の膜厚は3μm以上に制御することが好ましい。従って、膜厚を3μm以上に制御して以下の陽極酸化皮膜3の構造制御を行なうことがより好ましい。一方、膜厚が120μmを超えると、膜厚が厚くなりすぎて内部応力などの影響により陽極酸化皮膜3が皮膜剥離を起こし易くなる。したがって、膜厚は3〜120μmがより好ましく、最適膜厚としては10〜70μmである。なお、膜厚の制御は、後記する陽極酸化処理の条件を制御することによって行なわれる。
陽極酸化皮膜3の構造制御とは、リーク電流の発生と耐ガス腐食性を両立させるため、陽極酸化皮膜3に発生するクラックの密度、分布を制御し、クラックが微小、かつ膜厚すべてに伝播しないようにするものである。このような制御は、後記する陽極酸化皮膜3の水和処理(封孔処理)によって、陽極酸化皮膜3の少なくとも一部がベーマイトおよび/または擬ベーマイト化することによって行なわれる。ここで、陽極酸化皮膜3の一部がベーマイトおよび/または擬ベーマイト化したかどうかは、りん酸−クロム酸水溶液浸漬試験(JISH8683−2)での、陽極酸化皮膜3の溶解速度により確認することができる。そして、陽極酸化皮膜3の溶解速度が100mg/dm2/15min以下であれば、陽極酸化皮膜3の一部がベーマイトおよび/または擬ベーマイト化したとみなすことができる。また、このようなベーマイトおよび/または擬ベーマイト化の制御は、水和処理(封孔処理)の条件を制御することによって行なうことができる。
前記のリーク電流密度、水和酸化物を有する陽極酸化皮膜3を基材2の表面に形成する陽極酸化処理方法は、以下のとおりである。
陽極酸化処理は、電解液中にアルミニウム合金を浸漬して電圧を印加し、陽極において発生する酸素に起因する酸化現象を利用して、アルミニウム合金表面に酸化アルミニウム皮膜を形成するものである。そして、この陽極酸化処理には、その通電方式として直流法、交流法および交直重畳法等、様々な方式が用いられる。
陽極酸化処理の電解液は特にこだわらず、硫酸溶液、りん酸溶液、クロム酸溶液、ほう酸溶液などの無機酸系溶液、或いはギ酸溶液、シュウ酸溶液などの有機酸系溶液およびこれらの混合液が例示される。
陽極酸化処理時の電解電圧については特に限定されず、皮膜成長速度や電解液濃度などに応じて適宜制御すればよい。例えば、シュウ酸溶液を用いる場合、電解電圧が低いと皮膜硬度が小さくなることがある。また、十分な皮膜成長速度が得られなくなり、陽極酸化効率が悪化する。一方、電解電圧が高いと陽極酸化皮膜3が溶解されやすくなり、陽極酸化皮膜3に欠陥が生じることがある。したがって、電解電圧は、好ましくは10V以上120V以下、より好ましくは15V以上100V以下とする。さらに、陽極酸化処理時間としては特に限定されず、所望する陽極酸化皮膜3の膜厚が得られる程度の時間を適宜計算しながら処理時間を決めればよい。
本発明においては、リーク電流を発生するため、前記の陽極酸化処理後、陽極酸化皮膜3(ポーラス層5)を高温の水に接触させる水和処理(封孔処理)を施すことがよい。水和処理方法としては、陽極酸化皮膜3を熱水中に浸漬(熱水浸漬)する方法、または、水蒸気に曝す方法が挙げられる。水蒸気に曝して水和処理する場合、水蒸気を高温(例えば100℃以上)にする等、水和可能な状態となる様に処理条件を適宜調整すればよい。ただし、皮膜表面付近の皮膜膨張が過剰に進行すると、膜厚すべてに伝播するクラックが発生することがある。その結果、プラズマ処理装置用部材1の耐ガス腐食性が低下を招く。そのため、水和処理時の温度、処理時間などの精緻な制御が必要となる。特に、水蒸気に曝す水和処理では、より精緻な制御が必要となるため、熱水浸漬による水和処理が推奨される。そして、熱水(沸騰水)浸漬の温度、処理時間は、陽極酸化処理の電解液の種類、陽極酸化皮膜3の膜厚、陽極酸化皮膜3へのクラックの発生条件により適宜決定するが、80〜100℃×5〜310分が好ましく、80〜100℃×5〜60分がより好ましい。
次に、本発明の実施例について説明する。
JIS規定の6061合金、5052合金からなるアルミニウム基材に、表1に示す条件にて陽極酸化処理(通電方法は直流法)および封孔処理を行い、アルミニウム基材表面に陽極酸化皮膜が形成された供試材を作製した。得られた供試材について、以下に示す測定方法で、リーク電流密度、および、りん酸−クロム酸水溶液浸漬試験による陽極酸化皮膜の溶解速度を測定した。ここで、実施例1〜6、8、9、11〜15では陽極酸化処理および封孔処理を行ない、実施例7、実施例10、比較例1〜4では陽極酸化処理のみ行い、封孔処理は行なわなかった。
(リーク電流密度の測定)
前記供試材から試験片(50×50×5mm)を作製し、試験片の陽極酸化皮膜表面にアルミニウムを約1μm蒸着し、測定用の約1cm角の電極を形成した。そして、市販の電流電圧測定器を用い、印加電圧100Vでのリーク電流密度を測定した。その結果を表2に示す。
(溶解速度の測定)
JISH8683−2 1999に基づいて前記試験片をりん酸−クロム酸水溶液に浸漬した後、浸漬前後の試験片の質量減少を測定し、溶解速度(mg/dm/15min)を算出した。JISH8683−2 1999に記載されている様に、試験片は硝酸水溶液(500mL/L、18〜20℃)に10分間浸漬させた後、試験片を取り出して脱イオン水で洗浄し温風乾燥した後、質量を測定した。次いで試験片を38±1℃に保持したりん酸−無水クロム酸水溶液(りん酸35mL、無水クロム酸20gを脱イオン水1Lに溶かしたもの)に15分間浸漬させた。試験片を取り出し、水槽中で洗浄してから流水中で十分に洗浄し、更に脱イオン水中で十分洗浄し温風乾燥した後、質量を測定し、単位面積あたりの質量減少を算出した。その結果を表3に示す。ここで、溶解速度が、100mg/dm/15min以下であれば、陽極酸化皮膜の一部がベーマイトおよび/または擬ベーマイト化したとみなすことができる。
次に、前記供試材を用いて、以下の試験を行い、耐スティッキング性、異常放電の抑制について評価し、その結果を表2に示す。
(耐スティッキング性試験)
前記供試材から、図2に示すようなCVD装置10の下部電極13(φ250mm)を作製し、CVD装置10を用いて、ウエハW100枚(φ200mm)を処理し、スティッキング発生の有無を調査した。スティッキングは下部電極13の外周端部4箇所(90度毎4箇所)からノックピン16を上昇させ、ウエハWが下部電極13からスムーズに剥がれるかを目視にて判定した。そして、この試験結果で、ウエハWのスティッキングが全く発生しなかったものを耐スティッキング性が優れるとして「○」、1〜2枚のウエハWにスティッキングが発生したものを耐スティッキング性が良好として「△」、5枚以上のウエハWにスティッキングが発生したものを耐スティッキング性が劣るとして「×」、と各々評価した。
なお、CVD装置10は、ソースガスを用いて処理チャンバ11内の清掃を行なった上で、下部電極13と下部電極13上に載置したウエハWを300〜380℃に加熱し、約2〜5Torr(約260〜670Pa)に減圧維持された処理チャンバ11内で、プラズマを発生させ、ウエハWの表面に500nm程度のシリコン酸化皮膜を生成させるものを使用した。
(異常放電試験)
前記供試材から、図2に示すようなCVD装置10の上部電極12(φ250mm)を作製し、CVD装置10を用いて、前記耐スティッキング性試験と同様にしてウエハW100枚(φ200mm)を処理し、異常放電発生の有無を調査した。異常放電の抑制の評価は、前記スティッキング試験と同時に行い、上部電極12の上に約0.1〜1mm程度の褐色〜黒色の点状痕の有無を目視にて判定した。そして、試験の結果で、点状痕が全くないものを異常放電の抑制に優れるとして「○」、点状痕が1〜2点のものを異常放電の抑制が良好として「△」、点状痕が3点以上のものを異常放電の抑制に劣るとして「×」、と各々評価した。
Figure 2007180291
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表1〜3の結果から、実施例1〜15は、請求の範囲を満足するため、耐スティッキング性および異常放電の抑制に優れていた。また、比較例1〜4は、請求の範囲を満足しないため、耐スティッキング性および異常放電の抑制に劣っていた。また、表3の結果から、実施例1〜6、8、9、11〜15では、陽極酸化皮膜の溶解速度が100mg/dm2/15min以下で、陽極酸化皮膜の一部がベーマイトおよび/または擬ベーマイト化されていることが確認された。そして、実施例7、実施例10、比較例1〜4では、陽極酸化皮膜の溶解速度が100mg/dm2/15min以上で、陽極酸化皮膜がベーマイトおよび/または擬ベーマイト化されていないことが確認された。
本発明に係るプラズマ処理装置用部材の構成を模式的に示す断面図である。 CVD装置の構成を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 プラズマ処理装置用部材
2 基材
3 陽極酸化皮膜
4 ポア
5 ポーラス層
6 バリア層
7 セル

Claims (2)

  1. ワークにプラズマ処理を施すプラズマ処理装置を構成するプラズマ処理装置用部材であって、
    アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基材と、
    前記基材の表面に形成された陽極酸化皮膜とを備え、
    前記陽極酸化皮膜は、印加電圧100V時のリーク電流密度が0.9×10-5(A/cm)を超えるものであることを特徴とするプラズマ処理装置用部材。
  2. 前記陽極酸化皮膜の膜厚が3μm以上で、当該陽極酸化皮膜の少なくとも一部がベーマイトおよび/または擬ベーマイトであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置用部材。
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