JP2007180020A - 白色有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

白色有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2007180020A
JP2007180020A JP2006321115A JP2006321115A JP2007180020A JP 2007180020 A JP2007180020 A JP 2007180020A JP 2006321115 A JP2006321115 A JP 2006321115A JP 2006321115 A JP2006321115 A JP 2006321115A JP 2007180020 A JP2007180020 A JP 2007180020A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
light
polymer
light emitting
crosslinking agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006321115A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasunori Kamiya
保則 上谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2006321115A priority Critical patent/JP2007180020A/ja
Publication of JP2007180020A publication Critical patent/JP2007180020A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

【課題】効率等の素子性能に優れる白色高分子有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】電荷輸送材料又は発光材料として高分子材料を含み、異なる発光色を示す少なくとも二つの発光層が積層されてなり、該発光層のうち少なくとも一層が、架橋された発光層であり、全体として白色光を発光することを特徴とする白色有機エレクトロルミネッセンス素子。好ましくは架橋された発光層の少なくとも一層と、架橋されていない発光層の少なくとも一層が接している白色有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、白色有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)は、発光層中の発光材料や電荷輸送材料として有機化合物を用いた素子の総称である。有機EL素子を製造する場合、高分子材料の溶液を湿式塗布する方法は、低分子を蒸着する方法に比べて生産性に優れている。また、有機EL素子の中でも、白色に発光する白色素子は、白色モノカラーディスプレイ、カラーフィルターとの組み合わせによるエリアカラーディスプレイやフルカラーディスプレイ、白色照明等、応用範囲が広い。低分子系有機EL素子で白色発光を得る場合、たとえば「有機ELとディスプレイ」(2001年シーエムシー発行)第241〜250頁に示されるように、異なる色の発光層を真空蒸着法により積層する方法が採られている。これに対し、湿式塗布で積層構造を作る場合には、先に塗布した層が後で塗布する層の溶媒で溶解してしまい、積層構造を作成できない問題がある。従って高分子系有機EL素子の白色素子においては、たとえば「有機ELとディスプレイ」(2001年シーエムシー発行)第251〜257頁に示されるように、単層の発光層に複数種の色素を希薄な濃度で混合する方法が提案されている。しかしながらそのような方法で作成した白色素子は十分な発光効率が得られなかった。
有機ELとディスプレイ(2001年シーエムシー発行)第251〜257頁
本発明の目的は、効率等の素子性能に優れる白色高分子有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、高分子有機EL素子において、異なる発光色を示す発光層を積層する際に、少なくとも一層を架橋することにより、簡便に高効率の白色素子を作成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1] 電荷輸送材料又は発光材料として高分子化合物を含み、さらに異なる発光色を示す少なくとも二つの発光層が積層されてなり、該発光層のうち少なくとも一層が、架橋された発光層であり、全体として白色光を発光することを特徴とする白色有機エレクトロルミネッセンス素子。
[2] 架橋された発光層の少なくとも一層と、架橋されていない発光層の少なくとも一層が接していることを特徴とする[1]記載の白色有機エレクトロルミネッセンス素子。
[3] 架橋可能な発光層を塗布により形成し、該発光層を架橋させておき、次いで他の発光層を該発光層の上に積層する工程を含む方法により得られた、[1]または[2]に記載の素子。
[4] 架橋は架橋剤によって行なわれ、架橋剤は芳香環を含まない[1]〜[3]のいずれかに記載の素子。
[5] 前記架橋剤が、ビニル基、アセチレン基、ブテニル基、アクリル基、アクリレート基、アクリルアミド基、メタクリル基、メタクリレート基、メタクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基、シラノール基、シクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基、ラクトン基、及びラクタム基からなる群から選ばれる基を有する[1]〜[4]のいずれかに記載の素子。
[6] 前記架橋剤が(メタ)アクリレートである[1]〜[4]のいずれかに記載の素子。
[7] 前記架橋剤が脂肪族アルコールの(メタ)アクリレートである[6]に記載の素子。
[8] 前記架橋剤が2官能以上の(メタ)アクリレートである[6]又は[7]に記載の素子。
[9] 前記架橋剤がジペンタエリスリトールペンタ又はヘキサアクリレートである[8]に記載の素子。
[10] 前記高分子材料が共役系高分子化合物である、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の素子。
[11] 前記高分子材料が芳香族アミンから誘導される繰返し単位を有する[1]〜[10]のいずれか一項に記載の素子。
[12] 前記少なくとも二つの発光層が示す発光色が赤色と青色である[1]〜[11]のいずれか一項に記載の素子。
[13] [1]〜[12]のいずれか一項に記載の素子を用いたことを特徴とする面状光源。
[14] [1]〜[12]のいずれか一項に記載の素子を用いたことを特徴とするセグメント表示装置。
[15] [1]〜[12]のいずれか一項に記載の素子をバックライトとすることを特徴とするドットマトリックス表示装置。
[16] [1]〜[12]のいずれか一項に記載の素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置。
[17] 電荷輸送材料又は発光材料としての少なくとも二種の高分子材料であって、該少なくとも二種の高分子材料はそれぞれ異なる発光色を示し少なくとも一種が架橋可能であり、全体として白色光を発光する上記少なくとも二種の高分子材料の、白色有機エレクトロルミネッセンス素子への使用。
本発明の白色有機エレクトロルミネッセンス素子は、高効率な白色発光を示す。また、液晶ディスプレイのバックライト又は照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイ等の装置に好ましく使用できる。
本発明の白色有機エレクトロルミネッセンス素子は、高分子電荷輸送材料又は高分子発光体を含み、異なる発光色を示す発光層が積層されてなり、該発光層のうち少なくとも一層が、架橋された発光層であることを特徴とする。なお、高分子電荷輸送材料とは、電荷輸送材料としての高分子化合物のことを表し、高分子発光体とは、発光材料としての高分子化合物のことを表す。
白色は人間の網膜の3種類の錐体(赤(R)、緑(G)、青(B))すべてが均等に刺激された場合に感じる色である。有機EL素子において、白色発光を達成するためには、(i)R、G、Bの3波長からの各発光光を用いる方法、(ii)青+黄色〜橙色、又は青緑+赤の補色関係にある2波長の光を合成する方法がある。本発明においては、高分子化合物の電荷輸送材料又は発光材料を用い、上記(i)又は(ii)の方法で、異なる発光色を示す二つ以上の発光層を積層することによって、白色発光を達成する。
異なる発光色を示す二つ以上の発光層は、架橋可能な発光層を塗布し、該発光層を架橋し、次いで他の発光層を該発光層の上に積層することにより形成され、好ましくは、湿式で積層する。なお、湿式で積層するとは、層を形成する材料を溶媒に溶解又は分散させて溶液とし、該溶液を用いて塗布等により層を形成することをいう。
本発明によれば、二つ以上の発光層を湿式で積層する際に、先に塗布した層を溶媒不溶にするために架橋させる。架橋の方法としては、架橋剤を添加したり、又は架橋基を有する発光層を用いる方法が挙げられ、架橋剤を添加する方法が好ましい。架橋基を有する発光層には、発光性、又は電荷輸送性を持った高分子化合物自体に架橋基を合成的に付加したものが含まれる(US6107452、US2002/106529(特開2002−170667)、WO96/20253(特表平10−511718)参照)。さらに、WO2002/10129(特表2004−505169)、WO2004/100282に開示されるような発光性、又は電荷輸送性を持った低分子化合物と、架橋基を持った高分子化合物とを混合したものや、発光性、又は電荷輸送性を持った高分子化合物と、架橋基を持った高分子化合物又は芳香族ビスアジドに代表される架橋基を持った低分子化合物とを架橋剤として混合したものが含まれる。架橋剤や架橋基が芳香環を有していると、発光材料、又は電荷輸送材料が本来持っている発光性、又は電荷輸送性に悪影響を与える恐れがあるので、高分子電荷輸送材料又は高分子発光体を、芳香環を持たない架橋剤や架橋基を用いて硬化させることが好ましい。
架橋以外の手段を用いる積層方法として、隣り合った層に異なる極性の溶液を用いる方法がある。
架橋剤は、熱、光、及び熱重合開始剤又は光重合開始剤の作用で重合可能な基を有するモノマー化合物を指す。重合可能な基とは、重合反応を起こすことにより2分子以上の分子間で結合を形成し、架橋物を生成可能な基を指す。
本発明に用いられる架橋剤は、好ましくは芳香環を持たないため、形成される架橋物も芳香環を有しない。このような重合可能な基としては、たとえば、ビニル基、アセチレン基、ブテニル基、アクリル基、アクリレート基、アクリルアミド基、メタクリル基、メタクリレート基、メタクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基、シラノール基、小員環を有する基(たとえばシクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基等)、ラクトン基、ラクタム基、又はシロキサン誘導体を含有する基等がある。また、上記の基の他に、エステル結合やアミド結合を形成可能な基の組み合わせなども利用できる。例えば、エステル基とアミノ基、エステル基とヒドロキシル基などの組み合わせである。その中でも、とりわけ(メタ)アクリレート基を有するモノマーが好ましい。
(メタ)アクリレート基を有する単官能モノマーの具体例としては、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどが挙げられる。また(メタ)アクリレート基を有する2官能モノマーの具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。その他の(メタ)アクリレート基を有する多官能モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なかでも、2官能以上の多官能モノマーが硬化性に優れ、好ましく用いられる。
架橋剤は、高分子電荷輸送材料又は高分子発光体の合計100質量部に対して、通常1〜99質量部、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは5〜50質量部の範囲で含有される。架橋剤の含有量が、前記の基準で1〜60質量部の範囲であると、塗布膜の平滑性が良好になる傾向があり、好ましい。
架橋剤を用いた重合反応において、必要に応じて光重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤を使用する場合、その使用量は、架橋剤の合計量100質量部に対して、通常0.1〜40質量部、好ましくは1〜30質量部程度である。光重合開始剤としては、光を照射されることによって、活性ラジカルを発生する活性ラジカル発生剤、酸を発生する酸発生剤などが挙げられる。例えば活性ラジカル発生剤としては、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤などが挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えばジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
トリアジン系光重合開始剤としては、例えば2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
上記以外の活性ラジカル発生剤として、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などを用いることもできる。活性ラジカル発生剤として、市販のものを用いることもできる。市販の光重合開始剤としては、例えば商品名「Irgacure−907」(アセトフェノン系光重合開始剤、CIBA−GEIGY社製)などが挙げられる。
酸発生剤としては、例えば4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類などを挙げることができる。
また、活性ラジカル発生剤として上記した化合物の中には、活性ラジカルと同時に酸を発生する化合物もあり、例えばトリアジン系光重合開始剤は、酸発生剤としても使用される。
これらの光重合開始剤はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の素子の作成に用いられる組成物は、光重合開始助剤を含有していてもよい。光重合開始助剤は、光重合開始剤と組み合わせて、光重合開始剤によって開始した架橋剤の重合を促進するために用いられる化合物である。光重合開始助剤としては、例えばアミン系光重合開始助剤、アルコキシアントラセン系光重合開始助剤などが挙げられる。
アミン系光重合開始助剤としては、例えばトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
アルコキシアントラセン系光重合開始助剤としては、例えば9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。光重合開始助剤として市販のものを用いることもでき、市販の光重合開始助剤としては、例えば商品名「EAB−F」(保土谷化学工業(株)製)などが挙げられる。
かかる光重合開始助剤を用いる場合、その使用量は、光重合開始剤1モルあたり通常10モル以下、好ましくは0.01モル以上5モル以下である。光重合開始剤及び光重合開始助剤は、その合計量が架橋剤の合計量100質量部に対して通常3質量部以上30質量部以下、好ましくは5質量部以上25質量部以下である。
本発明の素子の作成に用いられる組成物は、さらに連鎖移動剤を含有していてもよい。連鎖移動剤としては、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、リモネンなどが挙げられる。かかる連鎖移動剤の含有量は、本発明の組成物の全固形分に対して重量分率で通常0.5%以上5%以下である。
熱重合開始剤としては、一般的にラジカル重合開始剤として知られているものが使用でき、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどの有機過酸化物;及び過酸化水素が挙げられる。ラジカル重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、過酸化物を還元剤とともに用いてレドックス型開始剤としてもよい。
次に、本発明の素子の作成に用いられる高分子電荷輸送材料又は高分子発光体について説明する。
本発明に用いる高分子電荷輸送材料又は高分子発光体は、ポリスチレン換算の数平均分子量が通常10〜10である。本発明の高分子電荷輸送材料又は高分子発光体のなかでは、共役系高分子化合物が好ましい。ここに、共役系高分子化合物とは高分子化合物の主鎖骨格に沿って非局在π電子対が存在している高分子化合物を意味する。この非局在電子としては、2重結合の代わりに不対電子又は孤立電子対が共鳴に加わる場合もある。
本発明に用いられる高分子電荷輸送材料又は高分子発光体は、単独重合体であっても共重合体でもよく、例えば、ポリフルオレン〔例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn.J.Appl.Phys.)第30巻、L1941頁(1991年)〕、ポリパラフェニレン〔例えば、アドバンスト・マテリアルズ(Adv.Mater.)第4巻、36頁(1992年)〕、ポリピロール、ポリピリジン、ポリアニリン、ポリチオフェン等のポリアリーレン系;ポリパラフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン等のポリアリーレンビニレン系(例えば、WO98/27136号公開明細書);ポリフェニレンスルフィド、ポリカルバゾール等が挙げられる〔総説としては、例えば「Advanced Materials Vol.12 1737−1750(2000)」や、「有機ELディスプレイ技術 月刊ディスプレイ 12月号増刊 P68〜73」〕。
中でも、ポリアリーレン系の高分子電荷輸送材料又は高分子発光体が好ましい。
ポリアリーレン系の高分子電荷輸送材料又は高分子発光体が含む繰り返し単位としては、アリーレン基、2価の複素環基が挙げられ、これらの繰り返し単位を20〜100モル%含むものが好ましく、50〜99モル%含むものがさらに好ましい。
ここに、アリーレン基の環を構成する炭素数は通常6〜60程度であり、その具体例として、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ペンタレンジイル基、インデンジイル基、ヘプタレンジイル基、インダセンジイル基、トリフェニレンジイル基、ビナフチルジイル基、フェニルナフチレンジイル基、スチルベンジイル基、フルオレンジイル基(例えば、下式(1)で、A=−C(R’)(R’)−である場合)等が挙げられる。
また、2価の複素環基の環を構成する炭素数は通常3〜60程度であり、具体例としては、ピリジンージイル基、ジアザフェニレン基、キノリンジイル基、キノキサリンジイル基、アクリジンジイル基、ビピリジルジイル基、フェナントロリンジイル基、下式(1)で、A=−O−、−S−、−Se−、−NR’’−、−C(R’)(R’)−、又は−Si(R’)(R’)−である場合が挙げられる。
更に好ましくは、下記式(1)で示される繰返し単位を含む。
Figure 2007180020

(式中、Aは、式中の2個のベンゼン環上の4個の炭素原子と一緒になって5員環又は6員環を完成させるための原子又は原子群を表し、R1a、R1b、R1c、R2a、R2b及びR2cは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基又はカルボキシル基を表し、R1bとR1c、及びR2bとR2cは、それぞれ一緒になって環を形成していてもよい。)
Aは、式(1)中の2個のベンゼン環上の4個の炭素原子と一緒になって5員環又は6員環を完成させるための原子又は原子群を表し、具体例としては、下記に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007180020

式中、R、R’、R’’はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシルオキシ基、置換アミノ基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基又は1価の複素環基を表す。R’はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基又は1価の複素環基を表す。R’’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基又は1価の複素環基を表す。
R、R’、R’’におけるハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、置換アミノ基、アミド基、酸イミド基、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基の定義、具体例は、上記R1a、R1b、R1c、R2a、R2b及びR2cに記載と同様である。
Aの中では、−O−、−S−、−Se−、−NR’’−、−CR’R’−又は−SiR’R’−が好ましく、−O−、−S−、−CR’R’−がより好ましい。
1a、R1b、R1c、R2a、R2b及びR2cにおけるハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基は前記と同様である。
上記式(1)で示される繰返し単位としては、下記の構造が例示される。
Figure 2007180020
Figure 2007180020

式中、ベンゼン環上の水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基又は1価の複素環基に置換されていてもよい。ベンゼン環の隣接位に2つの置換基が存在する場合、それらが互いに結合して環を形成してもよい。
本発明に用いる高分子電荷輸送材料又は高分子発光体は、アリーレン基、2価の複素環基の他に、例えば、芳香族アミンから誘導される繰り返し単位を含んでいてもよい。この場合、高分子電荷輸送材料又は高分子発光体に正孔注入性、輸送性を付与することができる。
この場合、アリーレン基、2価の複素環基からなる繰り返し単位と芳香族アミンから誘導される繰り返しのモル比率は、通常99:1〜20:80の範囲である。
芳香族アミンから誘導される繰返し単位としては、下記式(2)で表される繰返し単位が好ましい。
Figure 2007180020
式中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表す。Ar、Ar及びAr10は、それぞれ独立に、アリール基又は1価の複素環基を表す。o及びpはそれぞれ独立に0又は1を表し、0≦o+p≦2である。
ここで、アリーレン基、及び2価の複素環基の定義及び具体例は、上記に記載のものと同様である。アリール基及び1価の複素環基の定義及び具体例は、上記R1a、R1b、R1c、R2a、R2b及びR2cに記載のものと同様である。
上記式(2)で示される繰り返し単位の具体例としては、下記の構造が例示される。
Figure 2007180020
式中、芳香環上の水素原子はハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基及びカルボキシル基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
上記式(2)で表される繰返し単位の中で、下式(3)で表される繰り返し単位が特に好ましい。
Figure 2007180020
式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基又はカルボキシル基を表す。x及びyはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。zは0〜2の整数を示す。wは0〜5の整数を示す。
本発明に用いられる高分子電荷輸送材料又は高分子発光体は、ランダム、ブロック又はグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。発光の量子収率の高い高分子発光体を得る観点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロック又はグラフト共重合体が好ましい。主鎖に枝分かれがあり、末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーも含まれる。
本発明に用いられる高分子電荷輸送材料又は高分子発光体の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、素子にしたときの発光特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基で保護されていてもよい。主鎖の共役構造と連続した共役結合を有しているものが好ましく、例えば、炭素―炭素結合を介してアリール基又は複素環基と結合している構造が例示される。具体的には、特開平9−45478号公報の化10に記載の置換基等が例示される。
本発明に用いられる高分子電荷輸送材料又は高分子発光体は、数平均分子量がポリスチレン換算で10〜10程度であることが好ましく、中でも、数平均分子量がポリスチレン換算で10〜10程度である場合、更に好ましい。
また、薄膜からの発光を利用するので高分子発光体としては、固体状態で発光を有するものが好適に用いられる。
本発明に用いる高分子電荷輸送材料又は高分子発光体の合成法としては、例えば該当するモノマーを、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法、FeCl等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、あるいは適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法などが例示される。これらのうち、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法が、反応制御が容易であり、好ましい。
高分子発光体を高分子LEDの発光材料として用いる場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、重合前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製した後に重合することが好ましく、また合成後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、n−ブチルベンゼンなどが例示される。高分子電荷輸送材料又は高分子発光体の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
溶媒の量は、高分子電荷輸送材料又は高分子発光体100重量部に対して、通常1000〜100000重量部程度である。
高分子電荷輸送材料又は高分子発光体の他に、必要に応じ、低分子又はオリゴマー、デンドリマーの発光色素、及び電荷輸送材料等を混合して含有していてもよい。
高分子電荷輸送材料のうち、高分子正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などが例示される。
具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合又はラジカル重合によって得られる。
ポリシラン若しくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
ポリシロキサン若しくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖又は主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖又は主鎖に有するものが例示される。
高分子正孔輸送材料のうち、芳香族アミンから誘導される繰返し単位からなる高分子化合物が特に好ましい。芳香族アミンから誘導される繰返し単位については、前記式(2)で表されるものが好ましく、前記式(3)で表されるものがさらに好ましい。
高分子電荷輸送材料のうち、高分子電子輸送材料としては、公知のものが使用でき、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体等が例示される。
本発明に用いる高分子化合物を有機EL素子に用いる場合、その純度が発光特性等の素子の性能に影響を与えるため、重合前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等、カラムクロマトグラフィーの方法で精製した後に重合することが好ましい。また重合後、酸洗浄、アルカリ洗浄、中和、水洗浄、有機溶媒洗浄、再沈殿、遠心分離、抽出、カラムクロマトグラフィー、透析などの慣用の分離操作、精製操作、乾燥その他の操作による純化処理をすることが好ましい。
本発明の素子の作成に用いられる高分子組成物は、高分子電荷輸送材料を含む。層を溶媒不溶にするために架橋させる場合には、前記架橋剤を含んでいることが好ましい。本発明の組成物は通常はさらに溶媒を含む。また、それ以外に電荷輸送材料、発光材料、界面活性剤、安定剤などの添加剤を含んでいてもよい。本組成物中における高分子電荷輸送材料又は高分子発光体の割合は、溶媒を除いた組成物の全重量に対して20wt%〜100wt%であり、好ましくは40wt%〜100wt%である。
また本発明の素子の作成に用いられる組成物中の溶媒の割合は、組成物の全重量に対して1wt%〜99.9wt%であり、好ましくは60wt%〜99.5wt%であり、さらに好ましく80wt%〜99.0wt%である。
本発明の素子の作成に用いられる高分子組成物の成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。パターン形成や多色の塗分けが容易であるという点で、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法が好ましい。
本発明の素子の作成に用いられる高分子組成物の粘度は印刷法によって異なるが、インクジェットプリント法などインク組成物中が吐出装置を経由するもの場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために粘度が25℃において1〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
本発明の素子の作成に用いられる高分子組成物に用いる溶媒としては特に制限はないが、該組成物を構成する溶媒以外の材料を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該組成物を構成する材料が非極性溶媒に可溶なものである場合に、該溶媒としてクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、テトラリン、アニソール、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、デカリン、ビジクロヘキシル等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
本発明の素子の作成に用いられる高分子組成物を用いて製膜された層は、例えば、熱又は光の作用で硬化させることによって、上層を湿式塗布する場合の溶解を抑えることができる。湿式塗布する上層の上にさらに湿式塗布する場合には、高分子組成物を上層にも用いて硬化させることが好ましい。湿式塗布する上層の上に湿式塗布を行わない場合には溶解の恐れが無いので、上層には架橋剤を含まない組成物でもよい。
本発明の素子の作成に用いられる高分子組成物を用いて作られる有機EL素子において、電荷輸送層又は発光層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
また、本発明の有機EL素子は、陽極及び陰極からなる電極間に、電荷輸送層又は発光層を有し、該発光層が異なる発光色を示す少なくとも二つの発光層を積層して形成されていることを特徴とする。その場合、発光層が電荷輸送層を兼ねていてもよい。積層により白色発光を達成するためには、例えば、R、G、Bの3波長からの各発光を示す層を三層積層する方法、青+黄色〜橙色、又は青緑+赤などの補色関係にある2波長の発光を示す層を二層積層する方法がある。
本発明の有機EL素子においては、発光層に上記高分子発光体以外の発光材料を混合して使用してもよい。
該発光材料としては、公知のものが使用できる。低分子化合物の蛍光性材料としでは、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン若しくはその誘導体、ペリレン若しくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン若しくはその誘導体、又はテトラフェニルブタジエン若しくはその誘導体などを用いることができる。
具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
三重項発光錯体としては、例えば、イリジウムを中心金属とするIr(ppy)、BtpIr(acac)、白金を中心金属とするPtOEP、ユーロピウムを中心金属とするEu(TTA)phen等が挙げられる。
Figure 2007180020
Figure 2007180020
Figure 2007180020
Figure 2007180020

三重項発光錯体として具体的には、例えばNature,(1998),395,151、Appl.Phys.Lett.(1999),75(1),4、Proc.SPIE−Int.Soc.Opt.Eng.(2001),4105(Organic Light−Emitting Materials and DevicesIV),119、J.Am.Chem.Soc.,(2001),123,4304、Appl.Phys.Lett.,(1997),71(18),2596、Syn.Met.,(1998),94(1),103、Syn.Met.,(1999),99(2),1361、Adv.Mater.,(1999),11(10),852、Jpn.J.Appl.Phys.,34,1883(1995)などに記載されている。
本発明の有機EL素子を形成する基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明又は半透明であることが好ましい。
本発明の有機EL素子において、通常は、陽極及び陰極からなる電極の少なくとも一方が透明又は半透明であり、陽極側が透明又は半透明であることが好ましい。陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、又は金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
本発明の高分子組成物を用いて作られる有機EL素子で用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、又はそれらのうち2つ以上の合金、又はそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、又は金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよく、陰極作製後、該高分子LEDを保護する保護層を装着していてもよい。該高分子LEDを長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子が傷付くのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にダメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
本発明の有機EL素子は面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライト等として用いることができる。
本発明の有機EL素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極又は陰極のいずれか一方、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。カラーフィルター又は発光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ポリスチレン換算の数平均分子量はSECにより求めた。
カラム:TOSOH TSKgel SuperHM−H(2本)+TSKgel SuperH2000(4.6mm I.d.×15cm)、検出器:RI(SHIMADZU RID−10A)を使用。移動相はテトラヒドロフラン(THF)を用いた。
合成例1
<高分子化合物1の合成>
N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−n−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(3.3g、4.8mmol)及び2,2’−ビピリジル(1.9g、12mmol)を脱水したテトラヒドロフラン132mLに溶解した後、窒素でバブリングして系内を窒素置換した。窒素雰囲気下において、この溶液に、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)}(3.3g、12mmol)を加え、60℃まで昇温し、攪拌しながら3.5時間反応させた。反応後、この反応液を室温(約25℃)まで冷却し、25%アンモニア水30mL/メタノール480mL/イオン交換水160mL混合溶液中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥し、トルエン150mLに溶解させた。その後、1N塩酸120gを加えて3時間攪拌し、水層を除去し、有機層に25%アンモニア水140mLを加え、3時間攪拌した後に水層を除去した。有機層を水600mlで2回洗浄した。有機層を二分割して、それぞれメタノール600mLに滴下し、1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥した。得られた重合体(以後、高分子化合物1と呼ぶ)の収量は3.26gであった。ポリスチレン換算の平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=1.6×10、Mw=1.2×10であった。この高分子化合物は、薄膜で434nmの青色発光を示す。
合成例2
<高分子化合物2の合成>
Figure 2007180020

化合物A22.5gと2,2’−ビピリジル17.6gとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)1500gを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を31g加え、室温で10分間攪拌した後、60℃で3時間反応した。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。
反応後、この反応溶液を冷却した後、この溶液に、25%アンモニア水200ml/メタノール900ml/イオン交換水900ml混合溶液をそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿を減圧乾燥した後、トルエンに溶解した。このトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、このトルエン溶液を、アルミナを充填したカラムを通過させることにより精製した。次に、このトルエン溶液を、1規定塩酸水溶液で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液を、約3%アンモニア水で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液をイオン交換水で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液を、メタノール中にそそぎ込み、再沈生成した。
次に、生成した沈殿を回収し、メタノールで洗浄した後、この沈殿を減圧乾燥して、重合体6.0gを得た。この重合体を高分子化合物2と呼ぶ。得られた高分子化合物2のポリスチレン換算重量平均分子量は、8.2x10であり、数平均分子量は、1.0x10であった。この高分子化合物は、薄膜で450nmの青色発光を示す。
合成例3
Figure 2007180020

<高分子化合物3の合成>
不活性雰囲気下にて化合物B(10000mg,14.438mmol)、及び化合物C(8615mg,13.750mmol)、をトルエン(253g)に溶解させ、これにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(318mg,0.275mmol)を加え、室温にて10分間攪拌した。反応液に、続いてテトラエチルアンモニウムヒドロオキシド20%水溶液を(49.6g)を加え、昇温し、13時間加熱還流した。反応後、フェニルボロン酸(2515mg)を加え更に1時間加熱還流した。その後室温まで冷却し、反応マスをメタノール(2393ml)に滴下し、析出した沈殿を濾別した。得られた沈殿は、メタノールで洗浄し、減圧乾燥を行い、固形物を得た。
次に、得られた固形物をトルエン(598ml)に溶解させ、シリカ及びアルミナを充填したカラムに通液後、濃縮した。濃縮液をメタノール(2393ml)に加えて1時間攪拌し、析出した沈殿を濾別した。得られた沈殿を、メタノールで洗浄し、減圧乾燥を行い、高分子化合物3を得た。収量8880mg。得られた高分子化合物3のポリスチレン換算の分子量は、Mw=40,000、Mn=20,000であった。この高分子化合物は、薄膜で610nmの橙色発光を示す。
高分子化合物4の合成
200mlセパラブルフラスコにAliquat336 0.91g、化合物D 5.23g、化合物E 4.55gを取り、窒素置換した。トルエン70mlを加え、酢酸パラジウム 2.0mg、トリス(o−トリル)ホスフィン 15.1mgを加え、環流させた。炭酸ナトリウム水溶液19mlを滴下後、環流下終夜攪拌した後、フェニルホウ酸0.12gを加え、7時間攪拌した。300mlのトルエンを加え、反応液を分液し、有機相を酢酸水溶液、水で洗浄した後、ナトリウムN,N−ジエチルジチオカルバメート水溶液を加え、4時間攪拌した。分液後、シリカゲル−アルミナカラムを通し、トルエンで洗浄した。メタノールに滴下し、ポリマーを沈殿させた。ろ過、減圧乾燥後トルエンに溶解させ、得られたトルエン溶液をメタノールに滴下し、ポリマーを沈殿させた。ろ過、減圧乾燥し、6.33gの高分子化合物4を得た。Mn=8.8×10、Mw=3.2×10この高分子化合物は、薄膜で434nmの青色発光を示す。
Figure 2007180020
高分子化合物5の合成
500ml4口フラスコにAliquat336 1.72g、化合物D 6.2171g、化合物F 0.5085g、化合物G 6.2225g、化合物H 0.5487gを取り、窒素置換した。トルエン100mlを加え、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 7.6mg、炭酸ナトリウム水溶液24mlを加え、環流下で3時間攪拌した後、フェニルホウ酸0.40gを加え、終夜攪拌した。ナトリウムN,N−ジエチルジチオカルバメート水溶液を加え、さらに環流下で3時間攪拌した。反応液を分液し、有機相を酢酸水溶液および水で洗浄した後、メタノール中に滴下し、ポリマーを沈殿させた。ろ過、減圧乾燥後、トルエンに溶解させ、シリカゲル−アルミナカラムを通し、トルエンで洗浄した。得られたトルエン溶液をメタノール中に滴下し、ポリマーを沈殿させた。ろ過、減圧乾燥後、トルエンに溶解させ、メタノールに滴下し、ポリマーを沈殿させた。ろ過、減圧乾燥し、7.72gの高分子化合物5を得た。Mn=1.2×10、Mw=2.9×10この高分子化合物は、薄膜で460nmの青色発光を示す。
Figure 2007180020
<層1(発光層)の作成>
表1に示すとおり高分子化合物1及び3をトルエンに1wt%、さらに架橋剤としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製KAYARAD DPHA(商品名))を、高分子化合物に対し、25重量%の割合で添加した。その後0.2ミクロン径のテフロン(登録商標)フィルターでろ過して塗布溶液を調製した。スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、溶液をスピンコートにより製膜し、得られた膜を窒素雰囲気下において300℃/20minのベーク条件でベークした。
<発光層2の作成>
表1に示すとおり高分子化合物2をトルエンに0.5wt%、さらに4,4’−ビス(9−カルバゾイル)−ビフェニル((株)同仁化学研究所製、DCBP(商品名))を、高分子化合物に対し、160重量%の割合で混合し溶解させた。その後0.2ミクロン径のテフロン(登録商標)フィルターでろ過して塗布溶液を調製した。発光層1の上に、調製した高分子発光体塗布溶液を用いて、スピンコートにより約70nmの厚みで成膜し、発光層2を形成した。得られた積層体を減圧下90℃で1時間乾燥した後、陰極バッファー層として、フッ化リチウムを4nm、陰極として、カルシウムを5nm、次いでアルミニウムを100nm蒸着して、高分子LEDを作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜9×10−5Torrであった。得られた、発光部が2mm×2mm(面積4mm)の素子に電圧を段階的に印加することにより、高分子発光体からのEL発光の輝度を測定し、それより電流効率値を得た。得られた素子の電流効率の最大値、及びその時のEL発光のCIE色度座標(x,y)を表1に示す。
Figure 2007180020
実施例の素子は、450nmと610nmの二つのピークを持つスペクトルの、高効率白色発光を示した。
層3(正孔注入層)の作製
表2に示すとおり高分子化合物4をトルエンに1wt%、さらに架橋剤としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製KAYARAD DPHA(商品名))を、高分子化合物に対し、25重量%の割合で添加した。その後0.2ミクロン径のテフロン(登録商標)フィルターでろ過して塗布溶液を調製した。スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、溶液をスピンコートにより製膜し、得られた膜を窒素雰囲気下において300℃/20minのベーク条件でベークした。触針式膜厚計(Veeco社製DEKTAK)で測定した膜厚は25nmであった。
層4(発光層)の作製
表2に示すとおり高分子化合物3をトルエンに0.5wt%、さらに架橋剤としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製KAYARAD DPHA(商品名))を、高分子化合物に対し、25重量%の割合で添加した。その後0.2ミクロン径のテフロン(登録商標)フィルターでろ過して塗布溶液を調製した。ITO基板の上に作製した層3(正孔注入層)の上に、溶液をスピンコートにより製膜し、得られた膜を窒素雰囲気下において300℃/20minのベーク条件でベークした。触針式膜厚計(Veeco社製DEKTAK)で測定した膜厚は7nmであった。
層5(発光層)の作製
表2に示すとおり高分子化合物5をトルエンに1wt%で溶解させた。その後0.2ミクロン径のテフロン(登録商標)フィルターでろ過して塗布溶液を調製した。発光層4の上に、調製した高分子発光体塗布溶液を用いて、スピンコートにより約70nmの厚みで成膜し、発光層5を形成した。得られた積層体を減圧下90℃で1時間乾燥した後、陰極バッファー層として、フッ化リチウムを4nm、陰極としてアルミニウムを100nm蒸着して、高分子LEDを作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜9×10−5Torrであった。得られた、発光部が2mm×2mm(面積4mm)の素子に電圧を段階的に印加することにより、高分子発光体からのEL発光の輝度を測定し、それより電流効率値を得た。得られた素子の電流効率の最大値、及びその時のEL発光のCIE色度座標(x,y)を表2に示す。
Figure 2007180020
実施例の素子は、460nmと610nmの二つのピークを持つスペクトルの、高効率白色発光を示した。
本発明によれば効率等の素子性能に優れる白色高分子有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。

Claims (17)

  1. 電荷輸送材料又は発光材料として高分子材料を含み、異なる発光色を示す少なくとも二つの発光層が積層されてなり、該発光層のうち少なくとも一層が、架橋された発光層であり、全体として白色光を発光することを特徴とする白色有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 架橋された発光層の少なくとも一層と、架橋されていない発光層の少なくとも一層が接していることを特徴とする請求項1記載の白色有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 架橋可能な発光層を塗布により形成し、該発光層を架橋させておき、次いで他の発光層を該発光層の上に積層する工程を含む方法により得られた、請求項1または2に記載の素子。
  4. 架橋は架橋剤によって行なわれ、架橋剤は芳香環を含まない請求項1〜3のいずれかに記載の素子。
  5. 前記架橋剤が、ビニル基、アセチレン基、ブテニル基、アクリル基、アクリレート基、アクリルアミド基、メタクリル基、メタクリレート基、メタクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基、シラノール基、シクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基、ラクトン基、及びラクタム基からなる群から選ばれる基を有する請求項1〜4のいずれかに記載の素子。
  6. 前記架橋剤が(メタ)アクリレートである請求項1〜4のいずれかに記載の素子。
  7. 前記架橋剤が脂肪族アルコールの(メタ)アクリレートである請求項6に記載の素子。
  8. 前記架橋剤が2官能以上の(メタ)アクリレートである請求項6又は7に記載の素子。
  9. 前記架橋剤がジペンタエリスリトールペンタ又はヘキサアクリレートである請求項8に記載の素子。
  10. 前記高分子材料が共役系高分子化合物である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の素子。
  11. 前記高分子材料が芳香族アミンから誘導される繰返し単位を有する請求項1〜10のいずれか一項に記載の素子。
  12. 前記少なくとも二つの発光層が示す発光色が赤色と青色である請求項1〜11のいずれか一項に記載の素子。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の素子を用いたことを特徴とする面状光源。
  14. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の素子を用いたことを特徴とするセグメント表示装置。
  15. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の素子をバックライトとすることを特徴とするドットマトリックス表示装置。
  16. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置。
  17. 電荷輸送材料又は発光材料としての少なくとも二種の高分子材料であって、該少なくとも二種の高分子材料はそれぞれ異なる発光色を示し少なくとも一種が架橋可能であり、全体として白色光を発光する上記少なくとも二種の高分子材料の、白色有機エレクトロルミネッセンス素子への使用。
JP2006321115A 2005-11-30 2006-11-29 白色有機エレクトロルミネッセンス素子 Pending JP2007180020A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006321115A JP2007180020A (ja) 2005-11-30 2006-11-29 白色有機エレクトロルミネッセンス素子

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005346403 2005-11-30
JP2006321115A JP2007180020A (ja) 2005-11-30 2006-11-29 白色有機エレクトロルミネッセンス素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007180020A true JP2007180020A (ja) 2007-07-12

Family

ID=38304963

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006321115A Pending JP2007180020A (ja) 2005-11-30 2006-11-29 白色有機エレクトロルミネッセンス素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007180020A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009152015A (ja) * 2007-12-19 2009-07-09 Panasonic Corp 有機エレクトロルミネッセンス素子および製造方法
JP2011501449A (ja) * 2007-10-24 2011-01-06 メルク パテント ゲーエムベーハー 光電子デバイス
JP2011077024A (ja) * 2009-09-01 2011-04-14 Fujifilm Corp 有機電界発光素子、有機電界発光素子の製造方法、表示装置及び照明装置
JP2011176063A (ja) * 2010-02-24 2011-09-08 Daiden Co Ltd 白色有機電界発光素子及びその製造方法
JP2011253722A (ja) * 2010-06-02 2011-12-15 Mitsubishi Chemicals Corp 有機電界発光素子、有機el照明及び有機el表示装置
JP2020010028A (ja) * 2018-06-29 2020-01-16 住友化学株式会社 有機el素子用組成物
JP2020010027A (ja) * 2018-06-29 2020-01-16 住友化学株式会社 有機el素子用組成物
JP2020010026A (ja) * 2018-06-29 2020-01-16 住友化学株式会社 有機el素子用組成物
JP2020140987A (ja) * 2019-02-26 2020-09-03 住友化学株式会社 発光素子

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001060493A (ja) * 1999-08-23 2001-03-06 Seiko Epson Corp インクジェット記録方法を用いた有機発光素子の製造方法
JP2004346312A (ja) * 2003-04-30 2004-12-09 Showa Denko Kk 金錯体構造を有する有機高分子発光素子材料および有機高分子発光素子
JP2005243300A (ja) * 2004-02-24 2005-09-08 Sanyo Electric Co Ltd 有機エレクトロルミネッセント素子及びその製造方法
JP2005322633A (ja) * 2004-04-07 2005-11-17 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 発光装置、電子機器、およびテレビジョン装置
JP2006016577A (ja) * 2004-07-05 2006-01-19 Japan Science & Technology Agency 有機エレクトロルミネッセンス材料と発光素子
JP2006245003A (ja) * 2005-03-02 2006-09-14 Osram Opto Semiconductors Gmbh エレクトロルミネセンス装置
JP2006269253A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Seiko Epson Corp 発光装置

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001060493A (ja) * 1999-08-23 2001-03-06 Seiko Epson Corp インクジェット記録方法を用いた有機発光素子の製造方法
JP2004346312A (ja) * 2003-04-30 2004-12-09 Showa Denko Kk 金錯体構造を有する有機高分子発光素子材料および有機高分子発光素子
JP2005243300A (ja) * 2004-02-24 2005-09-08 Sanyo Electric Co Ltd 有機エレクトロルミネッセント素子及びその製造方法
JP2005322633A (ja) * 2004-04-07 2005-11-17 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 発光装置、電子機器、およびテレビジョン装置
JP2006016577A (ja) * 2004-07-05 2006-01-19 Japan Science & Technology Agency 有機エレクトロルミネッセンス材料と発光素子
JP2006245003A (ja) * 2005-03-02 2006-09-14 Osram Opto Semiconductors Gmbh エレクトロルミネセンス装置
JP2006269253A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Seiko Epson Corp 発光装置

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6011057112; Polymer Preprints 41(1), 2000, p.835-836. *

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011501449A (ja) * 2007-10-24 2011-01-06 メルク パテント ゲーエムベーハー 光電子デバイス
KR101482817B1 (ko) 2007-10-24 2015-01-14 메르크 파텐트 게엠베하 광전자 디바이스
JP2009152015A (ja) * 2007-12-19 2009-07-09 Panasonic Corp 有機エレクトロルミネッセンス素子および製造方法
JP2011077024A (ja) * 2009-09-01 2011-04-14 Fujifilm Corp 有機電界発光素子、有機電界発光素子の製造方法、表示装置及び照明装置
JP2011176063A (ja) * 2010-02-24 2011-09-08 Daiden Co Ltd 白色有機電界発光素子及びその製造方法
JP2011253722A (ja) * 2010-06-02 2011-12-15 Mitsubishi Chemicals Corp 有機電界発光素子、有機el照明及び有機el表示装置
JP2020010028A (ja) * 2018-06-29 2020-01-16 住友化学株式会社 有機el素子用組成物
JP2020010027A (ja) * 2018-06-29 2020-01-16 住友化学株式会社 有機el素子用組成物
JP2020010026A (ja) * 2018-06-29 2020-01-16 住友化学株式会社 有機el素子用組成物
JP7319842B2 (ja) 2018-06-29 2023-08-02 住友化学株式会社 有機el素子用組成物
JP7319841B2 (ja) 2018-06-29 2023-08-02 住友化学株式会社 有機el素子用組成物
JP7319843B2 (ja) 2018-06-29 2023-08-02 住友化学株式会社 有機el素子用組成物
JP2020140987A (ja) * 2019-02-26 2020-09-03 住友化学株式会社 発光素子
KR20210133980A (ko) * 2019-02-26 2021-11-08 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 발광 소자
KR102669954B1 (ko) 2019-02-26 2024-05-29 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 발광 소자

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007180020A (ja) 白色有機エレクトロルミネッセンス素子
JP5293120B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
JP4830186B2 (ja) 高分子蛍光体およびそれを用いた高分子発光素子
JP5454527B2 (ja) 白色発光素子
JP3747686B2 (ja) 高分子蛍光体およびそれを用いた高分子発光素子
KR101463271B1 (ko) 유기 전계발광 소자
WO2006118345A1 (ja) 高分子化合物およびそれを用いた高分子発光素子
JP2008098619A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4934888B2 (ja) 高分子蛍光体およびそれを用いた高分子発光素子
JP5211448B2 (ja) 高分子材料およびそれを用いた素子
US8268193B2 (en) Polymer composition for organic electroluminescence
WO2006070896A1 (ja) 高分子化合物およびそれを用いた素子
JP4724944B2 (ja) 高分子発光素子の製造方法および高分子発光素子
US20100165604A1 (en) White organic electroluminescent device
EP1962564B1 (en) White organic electroluminescent device
JP5134210B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス用高分子組成物
WO2002102925A1 (fr) Materiau fluorescent polymerique, procede de production, et element luminescent polymerique
JP5352968B2 (ja) 高分子化合物および高分子発光素子
WO2007142252A1 (ja) 高分子化合物および高分子発光素子
JP5140945B2 (ja) 高分子組成物及びそれを用いた高分子発光素子
JP2008244471A (ja) 有機エレクトロニクス用材料、並びにこれを用いた薄膜、有機エレクトロニクス素子及び有機エレクトロルミネセンス素子
JP2011246395A (ja) 新規化合物及びそれを用いた発光素子
JP2003206335A (ja) 共重合体およびそれを用いた高分子発光素子
WO2006129860A1 (ja) 高分子組成物および高分子発光素子
JP2005149766A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子および表示用パネル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090818

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111101

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111227

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120928