JP7319841B2 - 有機el素子用組成物 - Google Patents
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前記固形分は、前記固形分の全量に対して5質量%以上含まれる主高分子化合物を少なくとも1種含み、
前記溶媒は、前記溶媒の全量に対して5質量%以上含まれる主溶媒を少なくとも2種含み、
前記主溶媒の中で大気圧での沸点が最も高い第1溶媒と、前記主高分子化合物の中で重量平均分子量が最も大きい第1高分子化合物とが、前記第1溶媒と前記第1高分子化合物とのみからなる溶液の温度23℃における粘度が1.12×103cP以上8.21×108cP以下となる含有比率で含まれており、
前記第1高分子化合物の重量平均分子量は1.4×105以上である、有機EL素子用組成物。
〔2〕 前記第1溶媒の大気圧での沸点が250℃以上である、〔1〕に記載の有機EL素子用組成物。
〔3〕 前記第1溶媒は式(1)で表される化合物である、〔1〕又は〔2〕に記載の有機EL素子用組成物。
[式(1)中、R1は、炭素原子数が10~12のアルキル基を表す。]
〔4〕 前記第1溶媒の濃度は、前記溶媒の全量に対して5質量%以上60質量%以下である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物。
〔5〕 前記主溶媒は、第2溶媒を含み、
前記第2溶媒は、式(1)で表される化合物を除く芳香族炭化水素である、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物。
〔6〕 前記第2溶媒は、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、及びテトラリンからなる群より選択される、〔5〕に記載の有機EL素子用組成物。
〔7〕 前記主溶媒は、第3溶媒をさらに含み、
前記第3溶媒は、芳香族エーテルである、〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物。
〔8〕 前記第3溶媒は、メチルアニソール、ジメチルアニソール、エチルアニソール、ブチルフェニルエーテル、ブチルアニソール、ペンチルアニソール、ヘキシルアニソール、ヘプチルアニソール、オクチルアニソール、及びフェノキシトルエンからなる群より選択される、〔7〕に記載の有機EL素子用組成物。
〔9〕 前記主高分子化合物は、いずれも重量平均分子量が3.0×104以上である、〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物。
〔10〕 前記第1高分子化合物は、発光性化合物である、〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物。
〔11〕 温度23℃における粘度が1cP以上10cP以下である、〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物。
〔12〕 〔1〕~〔11〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物から形成される膜。
〔13〕 〔12〕に記載の膜を備える有機EL素子。
〔14〕 〔1〕~〔11〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物を準備する準備工程と、
前記有機EL素子用組成物を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、
前記塗膜を乾燥する乾燥工程と、を有する、膜の製造方法。
〔15〕 前記乾燥工程は、前記塗膜を減圧雰囲気で乾燥する工程である、〔14〕に記載の膜の製造方法。
〔16〕 前記準備工程は、前記第1溶媒と前記第1高分子化合物とが、前記第1溶媒と前記第1高分子化合物とのみからなる前記溶液の温度23℃における前記粘度が1.12×103cP以上2.65×106cP以下となる含有比率で含まれている有機EL素子用組成物を準備する工程であり、
前記乾燥工程は、前記塗膜を温度が20℃以上45℃未満の減圧雰囲気で乾燥する工程である、〔15〕に記載の膜の製造方法。
〔17〕 前記準備工程は、前記第1溶媒と前記第1高分子化合物とが、前記第1溶媒と前記第1高分子化合物とのみからなる前記溶液の温度23℃における前記粘度が2.71×105cP以上8.21×108cP以下となる含有比率で含まれている有機EL素子用組成物を準備する工程であり、
前記乾燥工程は、前記塗膜を温度が45℃以上100℃以下の減圧雰囲気で乾燥する工程である、〔15〕に記載の膜の製造方法。
〔18〕 前記乾燥工程は、前記乾燥雰囲気を、大気圧から、1000Pa/秒以上30000Pa/秒以下の減圧速度で1000Paの圧力まで減圧する工程を含む、〔15〕~〔17〕のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1×103~1×108である重合体を意味する。高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に発光特性または輝度寿命が低下する可能性があるので、好ましくは安定な基である。この末端基としては、好ましくは主鎖と共役結合している基であり、例えば、炭素-炭素結合を介してアリール基または1価の複素環基と結合している基が挙げられる。
本発明の有機EL素子用組成物(以下、単に「組成物」とも称する。)は、固形分(以下、「固形分(A)」とも称する。)と溶媒(以下、「溶媒(B)」とも称する。)とを含む。
本明細書において、「主溶媒」(以下、「主溶媒(b)」とも称する。)とは、溶媒(B)の全量に対して5質量%以上含まれる溶媒を意味する。
本明細書において、「主高分子化合物」(以下、「主高分子化合物(a)」とも称する。)とは、固形分(A)の全量に対して5質量%以上含まれる高分子化合物を意味する。
本明細書において、「第1溶媒」とは、主溶媒(b)の中で大気圧での沸点が最も高い溶媒を意味する。
本明細書において、「第1高分子化合物」とは、主高分子化合物(a)の中で重量平均分子量が最も大きい高分子化合物を意味する。第1高分子化合物は、重量平均分子量が1.4×105以上である。第1高分子化合物は、重量平均分子量が2.5×105以下であることが好ましい。
本発明の組成物に含有される溶媒(B)は、主溶媒(b)を少なくとも2種含む。主溶媒(b)としては、式(1)で表される化合物である溶媒(b1)、式(1)で表される化合物を除く芳香族炭化水素である溶媒(b2)、芳香族エーテルである溶媒(b3)、が好適である。ここでいう「少なくとも2種」の「種」は、化合物としての種類を意味し、溶媒(b1)、溶媒(b2)、溶媒(b3)のそれぞれをカテゴリーとした場合のカテゴリーの種類を意味するものではない。したがって、例えば、溶媒(B)中に、主溶媒(b)として溶媒(b1)に属する異なる2種の化合物のみを含む場合も、主溶媒(b)を少なくとも2種含むことになる。なお、溶媒(b1)、溶媒(b2)、溶媒(b3)は、溶媒(B)中に、主溶媒(b)として含まれていてもよく、主溶媒(b)以外として、すなわち5質量%未満含まれる溶媒として含まれていてもよい。
溶媒(b2)は、式(1)で表される化合物を除く芳香族炭化水素である。
溶媒(b2)は、全炭素原子数が6~15であることが好ましく、7~15であることがより好ましい。
溶媒(b2)は、ベンゼン環を1個含むものであることが好ましく、全炭素原子数7~15の、アルキル基またはシクロアルキル基で置換されているベンゼンであることがより好ましい。
溶媒(b2)としては、例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、エチルメチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、ジプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリンが挙げられ、本発明の組成物を用いて形成される膜の平坦性がより優れるので、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンまたはテトラリンが好ましく、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンまたはテトラリンがより好ましく、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼンまたはシクロヘキシルベンゼンが更に好ましく、1-へプチルベンゼン、1-オクチルベンゼン、1-ノニルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンが特に好ましい。
溶媒(b3)は、芳香族エーテルである。
溶媒(b3)は、全炭素原子数が7~15であることが好ましい。
溶媒(b3)としては、全炭素原子数が7~15の、アリール部位がアルキル基で置換されていてもよいアルキルアリールエーテル、全炭素原子数が12~15の、アルキル基で置換されていてもよいジアリールエーテルが挙げられ、全炭素原子数が7~15の、フェニル部位がアルキル基で置換されていてもよいアルキルフェニルエーテル、全炭素原子数が12~15の、アルキル基で置換されていてもよいジフェニルエーテルが好ましい。
溶媒(b3)としては、例えば、アニソール、エチルフェニルエーテル、メチルアニソール、ジメチルアニソール、エチルアニソール、ブチルフェニルエーテル、ブチルアニソール、ペンチルアニソール、ヘキシルアニソール、ヘプチルアニソール、オクチルアニソール、1-メトキシナフタレン、ジフェニルエーテル、フェノキシトルエンが挙げられ、この中でも、メチルアニソール、ジメチルアニソール、エチルアニソール、ブチルフェニルエーテル、ブチルアニソール、ペンチルアニソール、ヘキシルアニソール、ヘプチルアニソール、オクチルアニソールまたはフェノキシトルエンが好ましく、2-メチルアニソール、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、2,5―ジメチルアニソール、2-エチルアニソール、4-エチルアニソールまたは3-フェノキシトルエンがより好ましく、2-メチルアニソール、3-メチルアニソール、4-メチルアニソールまたは3-フェノキシトルエンが更に好ましい。
本発明の組成物には、溶媒(b1)、溶媒(b2)、溶媒(b3)以外の溶媒(以下、「溶媒(b4)」とも称する。)が含まれていてもよい。溶媒(b4)は、溶媒(B)の全量に対して5質量%以上含まれる主溶媒(b)として含まれていてもよいし、溶媒(B)の全量に対して5質量%未満含まれる主溶媒以外の溶媒として含まれていてもよい。
主溶媒(b)の中で沸点が最も高い第1溶媒は、大気圧での沸点が200℃以上であることが好ましい。また、第1溶媒は、大気圧での沸点が350℃以下であることが好ましい。第1溶媒は、上記した溶媒(b1)であることが好ましい。第1溶媒の大気圧での沸点は、主溶媒(b)の中で大気圧での沸点が2番目に高い溶媒の大気圧での沸点との差が、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、30℃以上であることがさらに好ましい。第1溶媒の濃度は、主溶媒(b)の全量に対して5質量%以上60質量%以下であることが好ましく、10質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
溶媒(B)の一例において、主溶媒(b)は、溶媒(b1)、溶媒(b2)、及び溶媒(b3)を含み、溶媒(b1)の含有量:m1(質量)と、溶媒(b2)の含有量:m2(質量)と、溶媒(b3)の含有量:m3(質量)について、本発明の組成物を用いて形成される膜の平坦性がより優れるので、以下の関係式(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
0.05≦m1/(m1+m2+m3)≦0.50 (1)
0.10≦m2/(m2+m3)≦0.90 (2)
m1は、溶媒(b1)が2種以上含有されている場合、溶媒(b1)の合計含有量を示す。m2は、溶媒(b2)が2種以上含有されている場合、溶媒(b2)の合計含有量を示す。m3は、溶媒(b3)が2種以上含有されている場合、溶媒(b3)の合計含有量を示す。
本発明の組成物に含有される固形分(A)は、高分子化合物を含む。固形分(A)は、低分子化合物を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。高分子化合物は、固形分(A)の全量に対して5質量%以上含まれる主高分子化合物(a)を少なくとも1種含む。主高分子化合物(a)は、固形分(A)の全量に対して100質量%含まれていてもよく、95質量%以下含まれていてもよい。固形分(A)は、主高分子化合物(a)を、固形分(A)の全量に対して5質量%以上95質量%以下の範囲内で、2種含んでいてもよい。主高分子化合物(a)は、重量平均分子量が3.0×104以上であることが好ましい。高分子化合物及び低分子化合物は、例えば、発光材料、ホスト材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、酸化防止剤等である。
以下で共通して用いられる用語は、特記しない限り、次の意味である。
チルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、および、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
1価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等で置換された基が挙げられる。
ェニル)アミノ基が挙げられる。
[式中、RおよびRaは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表す。複数存在するRおよびRaは、各々、同一でも異なっていてもよく、Ra同士は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。]
2価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾールから、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられ、好ましくは、式(AA-1)~式(AA-34)で表される基である。2価の複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。
固形分(A)に含まれる高分子化合物は、発光材料であってもよく、発光材料である場合は、優れた発光特性を有する観点から、式(X)で表される構成単位および式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましい。
[式中、
aX1およびaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1およびArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2およびArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2およびArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
RX1、RX2およびRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX2およびRX3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
[式中、RY1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY1は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRY1同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
[式中、RY11は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY11は、同一でも異なっていてもよい。]
[式中、
RY1は、前記と同じ意味を表す。
XY1は、-C(RY2)2-、-C(RY2)=C(RY2)-または-C(RY2)2-C(RY2)2-で表される基を表す。RY2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY2は、同一でも異なっていてもよく、RY2同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
[式中、
RY1は、前記と同じ意味を表す。
RY3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
[式中、
RY1は、前記を同じ意味を表す。
RY4は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
[表中、p、q、r、sおよびtは、各構成単位のモル比率を示す。p+q+r+s+t=100であり、かつ、100≧p+q+r+s≧70である。その他の構成単位とは、式(Y)で表される構成単位、式(X)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。]
高分子化合物としては、
式(Y-8)で表される構成単位、式(Y-9)で表される構成単位および式(Y-10)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましく、
式(Y-8)で表される構成単位および式(Y-9)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることがより好ましく、
式(Y-8)で表される構成単位を含む高分子化合物であることが更に好ましい。
式(Y-1)で表される構成単位、式(Y-2)で表される構成単位、式(Y-3)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましく、
式(Y-1)で表される構成単位、式(Y-2)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることがより好ましく、
式(Y-2)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが更に好ましく、
式(Y-2)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位を含む高分子化合物であることが特に好ましい。
式(X)で表される構成単位および式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物は、ケミカルレビュー(Chem. Rev.),第109巻,897-1091頁(2009年)等に記載の公知の重合方法を用いて製造することができ、Suzuki反応、Yamamoto反応、Buchwald反応、Stille反応、Negishi反応およびKumada反応等の遷移金属触媒を用いるカップリング反応により重合させる方法が例示される。
イリジウム錯体は、本発明の組成物を用いて形成される膜を有する有機EL素子の発光効率がより優れるので、式(Ir-1)で表されるイリジウム錯体、式(Ir-2)で表されるイリジウム錯体、式(Ir-3)で表されるイリジウム錯体、式(Ir-4)で表されるイリジウム錯体または式(Ir-5)で表されるイリジウム錯体であることが好ましく、式(Ir-1)で表されるイリジウム錯体、式(Ir-2)で表されるイリジウム錯体または式(Ir-3)で表されるイリジウム錯体であることがより好ましい。
[式中、
nD1は、1、2または3を表す。nD2は、1または2を表す。
RD1、RD2、RD3、RD4、RD5、RD6、RD7、RD8、RD11、RD12、RD13、RD14、RD15、RD16、RD17、RD18、RD19、RD20、RD21、RD22、RD23、RD24、RD25、RD26、RD31、RD32、RD33、RD34、RD35、RD36およびRD37は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RD1、RD2、RD3、RD4、RD5、RD6、RD7、RD8、RD11、RD12、RD13、RD14、RD15、RD16、RD17、RD18、RD19、RD20、RD21、RD22、RD23、RD24、RD25、RD26、RD31、RD32、RD33、RD34、RD35、RD36およびRD37が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
-AD1---AD2-は、アニオン性の2座配位子を表す。AD1およびAD2は、そ
れぞれ独立に、イリジウム原子と結合する炭素原子、酸素原子または窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。-AD1---AD2-が複数存在する場
合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
[式中、
mDA1、mDA2およびmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
GDAは、窒素原子、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArDA1、ArDA2およびArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2およびArDA3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
TDAは、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
[式中、
*、**および***は、各々、ArDA1、ArDA2、ArDA3との結合を表す。
RDAは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は更に置換基を有していてもよい。RDAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
[式中、
RDAは、前記と同じ意味を表す。
RDBは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RDBが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
[式中、
np1は、0~5の整数を表し、np2は0~3の整数を表し、np3は0または1を表す。複数存在するnp1は、同一でも異なっていてもよい。
Rp1、Rp2およびRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。Rp1およびRp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
表される配位子が挙げられる。
[式中、
nD2は、1または2を表す。
Dは、式(D-A)で表される基を表す。複数存在するDは、同一でも異なっていてもよい。
RDCは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRDCは、同一でも異なっていてもよい。
RDDは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRDDは、同一でも異なっていてもよい。]
式(Y-4)で表される構成単位、式(Y-5)で表される構成単位、式(Y-6)で表される構成単位および式(Y-7)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましく、
式(Y-4)で表される構成単位および式(Y-6)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることがより好ましく、
式(Y-4)で表される構成単位を含む高分子化合物であることが更に好ましい。
式(Y-1)で表される構成単位、式(Y-2)で表される構成単位、式(Y-3)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましく、
式(Y-1)で表される構成単位、式(Y-2)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることがより好ましい。
主高分子化合物(a)の中で重量平均分子量が最も大きい第1高分子化合物は、重量平均分子量が1.4×105以上である。第1高分子化合物は、重量平均分子量が1.4×105以上であれば、種類は限定されない。本発明者らは、主高分子化合物(a)の中で重量平均分子量が最も大きい高分子化合物の重量平均分子量の値によって、平坦性に優れる膜を製造することができる基準溶液の粘度の好適範囲が異なることを見出し、本発明は、上記のように第1高分子化合物の重量平均分子量を規定したうえで、基準溶液の粘度の好適範囲を決定した。第1高分子化合物としては、例えば、式(X)で表される構成単位および式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物が挙げられる。第1高分子化合物としては、発光性化合物が例示される。発光性化合物は、それ自体が発光する化合物(発光材料)であってもよく、発光材料へ電荷を輸送することにより発光材料を発光させる化合物(ホスト材料)であってもよい。第1高分子化合物は、発光材料であることが好ましく、例えば青色発光材料であってもよい。第1高分子化合物は、固形分の全量に対して5質量%以上含まれるものであり、100質量%含まれていてもよい。
固形分(A)が、発光材料を含む場合、特に発光材料としてイリジウム錯体を含む場合、正孔輸送性、正孔注入性、電子輸送性および電子注入性からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能を有するホスト材料と併用することで、本発明の組成物を用いて形成される膜を有する有機EL素子の発光効率がより優れたものとなる。すなわち、本発明の組成物は、発光性材料としてイリジウム錯体を含む場合、さらにホスト材料を含むことが好ましい。本発明の組成物にホスト材料が含有される場合、ホスト材料は、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
式(Y-4)で表される構成単位、式(Y-5)で表される構成単位、式(Y-6)で表される構成単位および式(Y-7)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましく、
式(Y-4)で表される構成単位および式(Y-6)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることがより好ましく、
式(Y-4)で表される構成単位を含む高分子化合物であることが更に好ましい。
式(Y-1)で表される構成単位、式(Y-2)で表される構成単位、式(Y-3)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましく、
式(Y-1)で表される構成単位、式(Y-2)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることがより好ましい。
本発明の組成物に含有される固形分(A)は、下記の正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料および発光材料を含んでいてもよい。
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、好ましくは高分子化合物であり、より好ましくは架橋基を有する高分子化合物である。
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
正孔注入材料および電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料および電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
本発明の組成物には、正孔注入材料および電子注入材料が、各々、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
固形分(A)は、発光材料として例示した、上記の高分子化合物又は低分子化合物以外の発光材料(以下、「その他の発光材料」とも称する。)を含んでいてもよい。その他の発光材料としては、例えば、ナフタレンおよびその誘導体、アントラセンおよびその誘導体、並びに、ペリレンおよびその誘導体が挙げられる。
本発明の組成物は、溶媒(B)に可溶であり、発光および電荷輸送を阻害しない酸化防止剤を含有していてもよい。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
本発明の組成物は、固形分(A)と溶媒(B)とを含む。本発明の組成物において、固形分(A)の含有量は、溶媒(B)の含有量を100質量部とした場合、通常、0.1~10.0質量部であり、インクジェット印刷法での吐出性が優れるので、好ましくは0.2~7.0質量部であり、より好ましくは0.3~5.0質量部である。
本発明の組成物は、塗布性の観点から、温度23℃における粘度が1cP以上10cP以下であることが好ましく、2cP以上8cP以下であることがより好ましい。
本発明の有機EL素子用組成物は、例えば、固形分(A)、溶剤(B)及びその他の成分を混合することにより調製できる。各成分の混合順は限定されることはなく、固形分(A)の一部又は全部は、予め溶剤(B)の一部と混合した後に、残りの成分を、所定の濃度となるように混合することにより、目的の有機EL素子用組成物を調製してもよい。例えば、第1溶媒と第1高分子化合物とのみを予め混合して基準溶液を調製し、基準溶液の粘度が所望の粘度となるように調製した後に、残りの成分を混合して目的の有機EL素子用組成物を調製してもよい。基準溶液の粘度は、このように製造工程で測定した値であってもよいし、第1溶媒と第1高分子化合物との組成比に基づいて、予め測定した値から決定される値であってもよい。
膜は、本発明の組成物を用いて形成された膜である。膜には、本発明の組成物に含まれる固形分がそのまま含有されていてもよいし、固形分が、分子内又は分子間、もしくは、分子内及び分子間で架橋した状態(架橋体)で含有されていてもよい。固形分の架橋体を含有する膜は、固形分を含有する膜を、加熱、光照射等の外部刺激により架橋させて得られる膜である。固形分の架橋体を含有する膜は、溶媒に対して実質的に不溶化されているため、有機EL素子の積層化に好適に使用することができる。
250℃であり、より好ましくは150~200℃である。
膜は、本発明の組成物を塗布する工程と、組成物中の溶媒を蒸発させる乾燥工程とを有する方法により製造することができる。
本発明の有機EL素子は、本発明の組成物を用いて形成される膜を有する有機EL素子である。膜は、前述のとおり、本発明の組成物に含まれる固形分がそのまま含有されていてもよいし、固形分が、分子内又は分子間、もしくは、分子内及び分子間で架橋した状態(架橋体)で含有されていてもよい。本発明の有機EL素子の構成としては、例えば、陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられた本発明の組成物を用いて形成された膜とを有する。
本発明の組成物を用いて得られる膜は、通常、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層の1種以上の層であり、好ましくは、発光層である。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を含む。
有機EL素子における基板は、電極を形成することができ、かつ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板の場合には、基板から最も遠くにある電極が透明または半透明であることが好ましい。
ンジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
陽極および陰極は、各々、2層以上の積層構造としてもよい。
有機EL素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部にしたい層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極もしくは陰極、または、両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字、文字等を表示できるセグメントタイプの表示装置が得られる。ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極を共にストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動も可能である。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末等のディスプレイに用いることができる。面状の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、または、面状の照明用光源として好適に用いることができる。フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源および表示装置としても使用できる。
固形分として、ポリマー1(重量平均分子量:1.7×105、第1高分子化合物)とポリマー2(重量平均分子量:7.0×104)とを表2に示す比率で用い、溶媒として、デシルベンゼン(東京化成社製、大気圧での沸点:293℃、第1溶媒、表2において「D」と称する。)と、シクロヘキシルベンゼン(東京化成社製、大気圧での沸点:238℃、表2において「CHB」と称する。)と、4-メチルアニソール(東京化成社製、大気圧での沸点:175℃、表2において「MT」と称する。)とを表2に示す比率で用い、固形分を表2に示す固形分濃度となるようにして溶媒中に溶解させて、青色発光材料インクである組成物1~4を調製した。
デシルベンゼンとポリマー1とを、組成物1~4における比率と同じ比率で混合して、デジルベンゼンとポリマー1とのみを含む基準溶液を調製し、基準溶液の温度23℃での粘度を、自動携帯型ディスポーザブル粘度計(PDVa-100、Stony Brook Scientific社製)を使用して測定した。表2に測定結果を示す。
ポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の測定は、GPC法により以下の条件で行った。
装置 ;HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム ;TSK-GELG2000HXL
カラム温度 ;40℃
溶媒 ;THF
流速 ;1.0mL/min
被検液固形分濃度;0.001~0.01質量%
注入量 ;50μL
検出器 ;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENEF-40、F-4、F-288、A-2500、A-500
(東ソー(株)製)
組成物1~4を青色発光材料インクとして用いて発光層を形成する際の乾燥条件として、乾燥対象を真空乾燥装置内のステージ上に、ステージ上の温度を25℃、35℃、55℃、70℃のいずれかの温度に保ち、また真空乾燥装置内の圧力を、大気圧(101325Pa)から1Paまで図1に示す減圧条件A、B1、B2、B3、Cのいずれかの減圧条件にて減圧を行い、溶媒が蒸発するまで1Paを維持して乾燥を行った。なお、図1に示す減圧条件A、B1、B2、B3、Cについて、大気圧から1000Paに到達するまでに要する時間T(秒)、及び大気圧から1000Paに到達するまでの減圧速度V(Pa/秒)は、表3に示す通りであった。
(透明電極基板の準備)
370mm×470mm×0.5mmのサイズのガラス基板(コーニング社製イーグルXG)に、ジオマテック株式会社製の透明導電膜FLAT-ITOを所定のパターンで50nm形成した。
上記にて作製した透明導電膜付基板に対して、UV-O3洗浄装置(日立ハイテクノロジ―社製;PL3-200-15)を用い、積算光量400mJ/cm2下で親水化処理
を実施し、純水にて洗浄、エアーにて乾燥を実施した。この基板に対して、調製済みの感光性樹脂組成物を30g滴下し、スピンコータにて900rpmにて7秒回転させ、感光性樹脂組成物からなる薄膜を塗布形成した。その後、真空乾燥装置(東京応化工業株式会社製;TR28340CPD-CLT)にて66Paまで減圧乾燥を行い、ホットプレートにて110℃、110秒コンタクトしプリベークを実施した。次に、露光装置(日立ハイテクノロジ―社製;LE4000A)を用いて、露光を実施した。露光量は200mJ/cm2、Gapは100μmとした。フォトマスクには、パターン(遮光部の形状が、長軸方向200μm、短軸方向50μmの長方形から、その四隅を円弧状にカットした形(長丸))が同一平面上に形成されたものを用いた。その後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(トクヤマ(株)製、トクソーSD25)を濃度が2.38%となるように純水で希釈して調製した現像液を使用し、前記塗膜をシャワー現像機(セファテクノロジー株式会社製)にて、23℃で80秒間現像し、水洗およびエアー乾燥後、オーブン(エスペック社製:HSC-4)中、230℃で20分間ポストベークを行い、パターンを得た。
上記で得られた透明電極上に撥液性隔壁がパターニングされた基板を、LCD Glass分断装置(MS500、三星ダイヤモンド工業株式会社製)を用いて、370mm×470mm×0.5mmのサイズから50mm×50mm×0.5mmのサイズへと分断した。
正孔注入材料(ND-3202、日産化学工業株式会社製)を、インクジェット印刷装置(142P、Litrex社製)に導入した。次に塗布前の前処理として、50mm角のサイズに分断した基板を、230℃、15分間ベークした。その後、ガラス基板上に形成され、撥液性の隔壁で囲まれたITO膜上(ITO膜厚:50nm)に、インクジェット印刷法により、正孔注入材料を塗布し、ステージ温度13℃、減圧速度25790Pa/秒の条件下で、溶媒が蒸発するまで減圧乾燥させ、65nmの平均厚さの正孔注入層を成膜した。得られた膜を、大気雰囲気下において、ホットプレート上で230℃、15分間加熱することにより、正孔注入層を形成した。
混合溶媒(デシルベンゼン/シクロヘキシルベンゼン/4-メチルアニソール=18.4質量%/40.2質量%/41.4質量%)に、正孔輸送材料(高分子化合物)を、固形分濃度として0.5質量%溶解させた正孔輸送材料組成物を調製した。得られた正孔輸送材料組成物を、インクジェット印刷装置(Litrex社製、142P)に導入した。次に、正孔注入層上に、正孔輸送材料組成物をインクジェット印刷法により塗布し、ステージ温度23℃、減圧速度37000Pa/秒の条件下で、溶媒が蒸発するまで減圧乾燥させ、膜を20nmの平均厚さで成膜した。得られた膜を、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で200℃、30分間加熱することにより、正孔輸送層を形成した。
上記で調製した組成物1~4のいずれかを青色発光材料インクとして用い、これをインクジェット印刷装置(Litrex社製、142P)に導入した。次に、正孔輸送層上に、青色発光材料インクをインクジェット印刷法により塗布し、次に、表4に示す乾燥条件(ステージ温度及び減圧条件)で、溶媒が蒸発するまで減圧乾燥させ、狙い膜厚60nmの厚さで成膜した。得られた膜を、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
「正孔注入層/正孔輸送層」の2層、もしくは「正孔注入層/正孔輸送層/発光層」の3層を形成したガラス基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、正孔輸送層又は発光層の上にアルミニウムを約20nm蒸着することで測定用反射膜を形成し、膜形状測定素子を作製した。
「正孔注入層/正孔輸送層/測定用反射膜」の層構成の基板X1と、「正孔注入層/正孔輸送層/発光層/測定用反射膜」の層構成の基板X2の2種類の基板の膜厚を、非接触3次元表面形状測定装置(Zygo社製)により測定した。基板X1の3次元膜厚をD1、基板X2の3次元膜厚をD2とし、評価対象となる発光層単層の膜厚D3を下記式から得た。
D3=D2-D1
|y|=(1-(a/画素面積)/(b/狙い膜厚))×100
図2~図13は、試験例1~12について、基準溶液の粘度xと測定結果に基づいて得られた平坦度yとをプロットしたグラフである。図2~図13において、基準溶液の粘度xと平坦度yとの関係について、近似直線で示した関係があることがわかった。図2~図13の近似直線が示す関係式を導出関係式として、表4に示す。図14は、図2~図13に示すグラフを重ねあわせて示したグラフである。
各試験例において、上記における導出関係式に基づいて、所望の平坦度である-45%~15%の平坦度が得られる基準溶液の粘度を粘度の好適範囲としてその下限値及び上限値を計算した。その結果を表4に示す。基準溶液の粘度の好適範囲の下限値は、平坦度-45%になると算出される基準溶液の粘度であり、基準溶液の粘度の好適範囲の上限値は、平坦度が15%になると算出される基準溶液の粘度である。
試験例1~12では、発光層形成時の乾燥条件(温度、減圧速度)について、当業者が適宜採用し得る範囲内の乾燥条件を採用した。したがって、基準溶液の粘度xが、試験例1~12のいずれかで-45%~15%の平坦度が得られる粘度x(1.12×103cP以上8.21×108cP以下)を有する組成物であれば、当業者が適宜乾燥条件を調整することにより、-45%~15%の平坦度を実現し得ることがわかる。
Claims (16)
- 有機EL素子用組成物を準備する準備工程と、
前記有機EL素子用組成物を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、
前記塗膜を乾燥する乾燥工程と、を有する、膜の製造方法であって、
前記有機EL素子用組成物は、
固形分と溶媒とを含み、
前記固形分は、前記固形分の全量に対して5質量%以上含まれる主高分子化合物を少なくとも1種含み、
前記主高分子化合物の中で重量平均分子量が最も大きい第1高分子化合物の重量平均分子量は1.4×105以上であり、
前記溶媒は、前記溶媒の全量に対して5質量%以上含まれる主溶媒を少なくとも2種含み、
前記準備工程は、
前記有機EL素子用組成物中における、前記主溶媒の中で大気圧での沸点が最も高い第1溶媒と、前記第1高分子化合物とのみからなる基準溶液の温度23℃における粘度を特定する特定工程と、
前記粘度が1.12×103cP以上8.21×108cP以下となるように前記有機EL素子用組成物を調製する調製工程と、を含み、
前記乾燥工程は、前記基準溶液の前記粘度に応じて乾燥条件を決定する工程を含む、膜の製造方法。 - 前記第1溶媒の大気圧での沸点が250℃以上である、請求項1に記載の膜の製造方法。
- 前記有機EL素子用組成物において、前記第1溶媒の濃度は、前記主溶媒の全量に対して5質量%以上60質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
- 前記主溶媒は、第2溶媒を含み、
前記第2溶媒は、式(1)で表される化合物を除く芳香族炭化水素である、請求項1~4のいずれか1項に記載の膜の製造方法。 - 前記第2溶媒は、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、及びテトラリンからなる群より選択される、請求項5に記載の膜の製造方法。
- 前記主溶媒は、第3溶媒をさらに含み、
前記第3溶媒は、芳香族エーテルである、請求項1~6のいずれか1項に記載の膜の製造方法。 - 前記第3溶媒は、メチルアニソール、ジメチルアニソール、エチルアニソール、ブチルフェニルエーテル、ブチルアニソール、ペンチルアニソール、ヘキシルアニソール、ヘプチルアニソール、オクチルアニソール、及びフェノキシトルエンからなる群より選択される、請求項7に記載の膜の製造方法。
- 前記主高分子化合物は、いずれも重量平均分子量が3.0×104以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
- 前記第1高分子化合物は、発光性化合物である、請求項1~9のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
- 前記有機EL素子用組成物は、温度23℃における粘度が1cP以上10cP以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
- 前記乾燥工程は、前記塗膜を減圧雰囲気で乾燥する工程である、請求項1~11のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
- 前記調製工程は、前記基準溶液の温度23℃における前記粘度が1.12×103cP以上2.65×106cP以下となるように前記有機EL素子用組成物を調製する工程であり、
前記乾燥工程において、前記塗膜を温度が20℃以上45℃未満の減圧雰囲気で乾燥する、請求項12に記載の膜の製造方法。 - 前記調製工程は、前記基準溶液の温度23℃における前記粘度が2.71×105cP以上8.21×108cP以下となるように前記有機EL素子用組成物を調製する工程であり、
前記乾燥工程において、前記塗膜を温度が45℃以上100℃以下の減圧雰囲気で乾燥する、請求項12に記載の膜の製造方法。 - 前記乾燥工程は、雰囲気を、大気圧から、1000Pa/秒以上30000Pa/秒以下の減圧速度で1000Paの圧力まで減圧する工程を含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
- 請求項1~15のいずれか1項に記載の膜の製造方法により形成される膜を備える有機EL素子の製造方法。
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