JP7319843B2 - 有機el素子用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、有機EL素子用組成物に関し、当該有機EL組成用組成物から形成される膜、当該膜の製造方法、及び当該膜を備える有機EL素子にも関する。
有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)は、発光効率が高く、駆動電圧が低いことから、ディスプレイおよび照明の用途に好適に使用することが可能である。有機EL素子は、発光層、電荷輸送層等の有機層を備える。有機層は、溶媒中に、有機EL材料(有機エレクトロルミネッセンス材料)等の高分子化合物を溶解させた有機EL素子用組成物を用いることで、インクジェット印刷法に代表される吐出型の塗布法を用いて形成することができる。これまでに、有機EL素子用組成物について検討がなされている。
特開2013-026164号公報(特許文献1)には、インクジェット印刷法に用いる有機EL素子用組成物として、有機EL材料(具体的には、高分子有機EL材料)と、芳香族炭化水素溶媒(具体的には、シクロヘキシルベンゼン)と、芳香族エーテル溶媒(具体的には、4-メチルアニソール)とを含む組成物が開示されている。
特開2013-026164号公報
本発明は、高分子化合物と溶媒とを含有する有機EL素子用組成物であって、これを塗布して膜を製造する場合に、平坦性に優れる膜の製造に有用な有機EL素子用組成物を提供することを目的とする。本発明はまた、該有機EL素子用組成物から形成される膜、当該膜の製造方法、及び当該膜を備える有機EL素子を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す有機EL素子用組成物、膜、膜の製造方法、及び有機EL素子を提供する。
〔1〕 固形分と溶媒とを含む有機EL素子用組成物であって、
前記固形分は、前記固形分の全量に対して5質量%以上含まれる主高分子化合物を少なくとも1種と、前記固形分の全量に対して30質量%以上含まれる主低分子化合物を少なくとも1種と、を含み、
前記溶媒は、前記溶媒の全量に対して5質量%以上含まれる主溶媒を少なくとも2種含み、
前記主溶媒の中で大気圧での沸点が最も高い第1溶媒と、前記主高分子化合物の中で重量平均分子量が最も大きい第1高分子化合物とが、前記第1溶媒と前記第1高分子化合物とのみからなる溶液の温度23℃における粘度が1.30×10cP以上1.77×10cP以下となるような含有比率で含まれており、前記第1高分子化合物の重量平均分子量は1.4×10未満である、有機EL素子用組成物。
〔2〕 前記第1溶媒の大気圧での沸点が250℃以上である、〔1〕に記載の有機EL素子用組成物。
〔3〕 前記第1溶媒は式(1)で表される化合物である、〔1〕又は〔2〕に記載の有機EL素子用組成物。
Figure 0007319843000001

[式(1)中、Rは、炭素原子数が10~12のアルキル基を表す。]
〔4〕 前記第1溶媒の濃度は、前記溶媒の全量に対して5質量%以上60質量%以下である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物。
〔5〕 前記主溶媒は、第2溶媒をさらに含み、
前記第2溶媒は、式(1)で表される化合物を除く芳香族炭化水素である、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物。
〔6〕 前記第2溶媒は、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、及びテトラリンからなる群より選択される、〔5〕に記載の有機EL素子用組成物。
〔7〕 前記主溶媒は、第3溶媒をさらに含み、
前記第3溶媒は、芳香族エーテルである、〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物。
〔8〕 前記第3溶媒は、メチルアニソール、ジメチルアニソール、エチルアニソール、ブチルフェニルエーテル、ブチルアニソール、ペンチルアニソール、ヘキシルアニソール、ヘプチルアニソール、オクチルアニソール、及びフェノキシトルエンからなる群より選択される、〔7〕に記載の有機EL素子用組成物。
〔9〕 前記主高分子化合物は、いずれも重量平均分子量が3.0×10以上である、〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物。
〔10〕 前記第1高分子化合物は、発光性化合物である、〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物。
〔11〕 温度23℃における粘度が1cP以上10cP以下である、〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物。
〔12〕 〔1〕~〔11〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物から形成される膜。
〔13〕 〔12〕に記載の膜を備える有機EL素子。
〔14〕 〔1〕~〔11〕のいずれか1項に記載の有機EL素子用組成物を準備する準備工程と、
前記有機EL素子用組成物を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、
前記塗膜を乾燥する乾燥工程と、を有する、膜の製造方法。
〔15〕 前記乾燥工程は、前記塗膜を減圧雰囲気で乾燥する工程である、〔14〕に記載の膜の製造方法。
〔16〕 前記準備工程は、前記第1溶媒と前記第1高分子化合物とが、前記第1溶媒と前記第1高分子化合物とのみからなる前記溶液の温度23℃における前記粘度が2.20×10cP以上1.77×10cP以下となるような含有比率で含まれている有機EL素子用組成物を準備する工程であり、
前記乾燥工程は、前記塗膜を温度が30℃以上50℃以下の減圧雰囲気で乾燥する工程である、〔15〕に記載の膜の製造方法。
〔17〕 前記準備工程は、前記第1溶媒と前記第1高分子化合物とが、前記第1溶媒と前記第1高分子化合物とのみからなる前記溶液の温度23℃における前記粘度が1.30×10cP以上8.70×10cP以下となるような含有比率で含まれている有機EL素子用組成物を準備する工程であり、
前記乾燥工程は、前記塗膜を温度が20℃以上30℃未満の減圧雰囲気で乾燥する工程である、〔15〕に記載の膜の製造方法。
〔18〕 前記乾燥工程は、前記乾燥雰囲気を、大気圧から、1000Pa/秒以上30000Pa/秒以下の減圧速度で1000Paの圧力まで減圧する工程を含む、〔15〕~〔17〕のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
本発明の有機EL素子用組成物によると、平坦性に優れる膜を製造することができる。
各減圧条件における減圧制御方法を示す図である。 試験例1の基準溶液の粘度xと平坦度yとをプロットしたグラフである。 試験例2の基準溶液の粘度xと平坦度yとをプロットしたグラフである。 試験例3の基準溶液の粘度xと平坦度yとをプロットしたグラフである。 試験例4の基準溶液の粘度xと平坦度yとをプロットしたグラフである。 試験例5の基準溶液の粘度xと平坦度yとをプロットしたグラフである。 試験例6の基準溶液の粘度xと平坦度yとをプロットしたグラフである。 試験例7の基準溶液の粘度xと平坦度yとをプロットしたグラフである。 試験例8の基準溶液の粘度xと平坦度yとをプロットしたグラフである。 試験例9の基準溶液の粘度xと平坦度yとをプロットしたグラフである。 試験例10の基準溶液の粘度xと平坦度yとをプロットしたグラフである。
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1×10~1×10である重合体を意味する。高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に発光特性または輝度寿命が低下する可能性があるので、好ましくは安定な基である。この末端基としては、好ましくは主鎖と共役結合している基であり、例えば、炭素-炭素結合を介してアリール基または1価の複素環基と結合している基が挙げられる。
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×10以下の化合物を意味する。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[有機EL素子用組成物]
本発明の有機EL素子用組成物(以下、単に「組成物」とも称する。)は、固形分(以下、「固形分(A)」とも称する。)と溶媒(以下、「溶媒(B)」とも称する。)とを含む。
本明細書において、「主溶媒」(以下、「主溶媒(b)」とも称する。)とは、溶媒(B)の全量に対して5質量%以上含まれる溶媒を意味する。
本明細書において、「主高分子化合物」(以下、「主高分子化合物(a)」とも称する。)とは、固形分(A)の全量に対して5質量%以上含まれる高分子化合物を意味する。
本明細書において、「主低分子化合物」とは、固形分(A)の全量に対して30質量%以上含まれる低分子化合物を意味する。
本明細書において、「第1溶媒」とは、主溶媒(b)の中で大気圧での沸点が最も高い溶媒を意味する。
本明細書において、「第1高分子化合物」とは、主高分子化合物(a)の中で重量平均分子量が最も大きい高分子化合物を意味する。第1高分子化合物は、重量平均分子量が1.4×10未満である。第1高分子化合物は、重量平均分子量が7.0×10以上であることが好ましい。
本発明の組成物は、第1溶媒と第1高分子化合物とを、第1溶媒と第1高分子化合物とのみからなる溶液(以下、「基準溶液」とも称する。)の温度23℃における粘度が1.30×10cP以上1.77×10cP以下となるような含有比率で含む。第1溶媒と第1高分子化合物とのみからなる溶液の粘度が上記数値範囲であることにより、平坦性に優れる膜を製造することができる。
本発明者らは、第1溶媒と第1高分子化合物とのみからなる溶液(基準溶液)を最初に調製し、その後、その他の成分を添加する方法で組成物を調製したところ、基準溶液の粘度と製造される膜の平坦性とに相関があること、基準溶液の粘度と製造される膜の平坦性との相関は膜の乾燥条件によって異なること、を見出し、上記数値範囲内であれば、通常採用し得る製造条件内で平坦性に優れる膜を製造することができることを見出し、本発明に至ったものである。
<溶媒(B)>
本発明の組成物に含有される溶媒(B)は、主溶媒(b)を少なくとも2種含む。主溶媒(b)としては、式(1)で表される化合物である溶媒(b1)、式(1)で表される化合物を除く芳香族炭化水素である溶媒(b2)、芳香族エーテルである溶媒(b3)、が好適である。ここでいう「少なくとも2種」の「種」は、化合物としての種類を意味し、溶媒(b1)、溶媒(b2)、溶媒(b3)のそれぞれをカテゴリーとした場合のカテゴリーの種類を意味するものではない。したがって、例えば、溶媒(B)中に、主溶媒(b)として溶媒(b1)に属する異なる2種の化合物のみを含む場合も、主溶媒(b)を少なくとも2種含むことになる。なお、溶媒(b1)、溶媒(b2)、溶媒(b3)は、溶媒(B)中に、主溶媒(b)として含まれていてもよく、主溶媒(b)以外として、すなわち5質量%未満含まれる溶媒として含まれていてもよい。
≪溶媒(b1)≫
溶媒(b1)は、式(1)で表される。
Figure 0007319843000002

[式(1)中、Rは、炭素原子数が10~12のアルキル基を表す。]
で表される炭素原子数が10~12のアルキル基は、直鎖のアルキル基であっても分岐のアルキル基であってもよいが、直鎖のアルキル基であることが好ましい。
は、炭素原子数が10のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が10の直鎖のアルキル基であることが好ましい。
で表される炭素原子数が10~12のアルキル基としては、例えば、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の直鎖のアルキル基;メチルノニル基、メチルデシル基、メチルウンデシル基、ジメチルオクチル基、ジメチルノニル基、ジメチルデシル基、トリメチルヘプチル基、トリメチルオクチル基、トリメチルノニル基、テトラメチルヘキシル基、テトラメチルヘプチル基、テトラメチルオクチル基、ペンタメチルヘキシル基、ペンタメチルヘプチル基、ヘキサメチルヘキシル基等の分岐のアルキル基が挙げられ、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラメチルオクチル基、ペンタメチルヘプチル基またはヘキサメチルヘキシル基が好ましく、デシル基、ウンデシル基またはドデシル基がより好ましく、1-デシル基、2-デシル基、3-デシル基、4-デシル基、5-デシル基、1-ウンデシル基、2-ウンデシル基、3-ウンデシル基、1-ドデシル基、2-ドデシル基または3-ドデシル基が更に好ましく、1-デシル基、2-デシル基または3-デシル基が特に好ましい。
溶媒(b1)としては、例えば、デシルベンゼン(沸点:293℃)、ドデシルベンゼン(沸点:331℃)が挙げられる。
本発明の組成物には、溶媒(b1)が1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
≪溶媒(b2)≫
溶媒(b2)は、式(1)で表される化合物を除く芳香族炭化水素である。
溶媒(b2)は、全炭素原子数が6~15であることが好ましく、7~15であることがより好ましい。
溶媒(b2)は、ベンゼン環を1個含むものであることが好ましく、全炭素原子数7~15の、アルキル基またはシクロアルキル基で置換されているベンゼンであることがより好ましい。
溶媒(b2)としては、例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、エチルメチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、ジプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリンが挙げられ、本発明の組成物を用いて形成される膜の平坦性がより優れるので、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンまたはテトラリンが好ましく、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンまたはテトラリンがより好ましく、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼンまたはシクロヘキシルベンゼンが更に好ましく、1-へプチルベンゼン、1-オクチルベンゼン、1-ノニルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンが特に好ましい。
本発明の組成物には、溶媒(b2)が1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
≪溶媒(b3)≫
溶媒(b3)は、芳香族エーテルである。
溶媒(b3)は、全炭素原子数が7~15であることが好ましい。
溶媒(b3)としては、全炭素原子数が7~15の、アリール部位がアルキル基で置換されていてもよいアルキルアリールエーテル、全炭素原子数が12~15の、アルキル基で置換されていてもよいジアリールエーテルが挙げられ、全炭素原子数が7~15の、フェニル部位がアルキル基で置換されていてもよいアルキルフェニルエーテル、全炭素原子数が12~15の、アルキル基で置換されていてもよいジフェニルエーテルが好ましい。
溶媒(b3)としては、例えば、アニソール、エチルフェニルエーテル、メチルアニソール、ジメチルアニソール、エチルアニソール、ブチルフェニルエーテル、ブチルアニソール、ペンチルアニソール、ヘキシルアニソール、ヘプチルアニソール、オクチルアニソール、1-メトキシナフタレン、ジフェニルエーテル、フェノキシトルエンが挙げられ、この中でも、メチルアニソール、ジメチルアニソール、エチルアニソール、ブチルフェニルエーテル、ブチルアニソール、ペンチルアニソール、ヘキシルアニソール、ヘプチルアニソール、オクチルアニソールまたはフェノキシトルエンが好ましく、2-メチルアニソール、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、2,5―ジメチルアニソール、2-エチルアニソール、4-エチルアニソールまたは3-フェノキシトルエンがより好ましく、2-メチルアニソール、3-メチルアニソール、4-メチルアニソールまたは3-フェノキシトルエンが更に好ましい。
本発明の組成物には、溶媒(b3)が1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
≪その他の溶媒≫
本発明の組成物には、溶媒(b1)、溶媒(b2)、溶媒(b3)以外の溶媒(以下、「溶媒(b4)」とも称する。)が含まれていてもよい。溶媒(b4)は、溶媒(B)の全量に対して5質量%以上含まれる主溶媒(b)として含まれていてもよいし、溶媒(B)の全量に対して5質量%未満含まれる主溶媒以外の溶媒として含まれていてもよい。
溶媒(b4)としては、例えば、脂肪族炭化水素溶媒、単価アルコール溶媒、多価アルコール溶媒、エステル溶媒、ケトン溶媒、脂肪族エーテル溶媒、窒素原子を含む溶媒、硫黄原子を含む溶媒が挙げられる。
本発明の組成物には、溶媒(b4)が1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
≪第1溶媒≫
主溶媒(b)の中で沸点が最も高い第1溶媒は、大気圧での沸点が200℃以上であることが好ましい。また、第1溶媒は、大気圧での沸点が350℃以下であることが好ましい。第1溶媒は、上記した溶媒(b1)であることが好ましい。第1溶媒の大気圧での沸点は、主溶媒(b)の中で大気圧での沸点が2番目に高い溶媒の大気圧での沸点との差が、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、30℃以上であることがさらに好ましい。第1溶媒の濃度は、主溶媒(b)の全量に対して5質量%以上60質量%以下であることが好ましく、10質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
≪溶媒の組成比≫
溶媒(B)の一例において、主溶媒(b)は、溶媒(b1)、溶媒(b2)、及び溶媒(b3)を含み、溶媒(b1)の含有量:m1(質量)と、溶媒(b2)の含有量:m2(質量)と、溶媒(b3)の含有量:m3(質量)について、本発明の組成物を用いて形成される膜の平坦性がより優れるので、以下の関係式(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
0.05≦m1/(m1+m2+m3)≦0.60 (1)
0.10≦m2/(m2+m3)≦0.90 (2)
m1は、溶媒(b1)が2種以上含有されている場合、溶媒(b1)の合計含有量を示す。m2は、溶媒(b2)が2種以上含有されている場合、溶媒(b2)の合計含有量を示す。m3は、溶媒(b3)が2種以上含有されている場合、溶媒(b3)の合計含有量を示す。
溶媒(B)は、溶媒(B)の全量に対して5質量%未満の含有量であれば、第1溶媒より沸点が高い溶媒を含んでいてもよい。なお、第1溶媒より沸点が高い溶媒は、溶媒(B)の全量に対して、単独で1質量%未満であることが好ましく、合計で5質量%未満であることが好ましい。
<固形分(A)>
本発明の組成物に含有される固形分(A)は、高分子化合物及び低分子化合物を含む。高分子化合物は、固形分(A)の全量に対して5質量%以上含まれる主高分子化合物(a)を少なくとも1種含む。主高分子化合物(a)は、それぞれの含有量が固形分(A)の全量に対して5質量%以上70質量%未満であり、2種以上含まれる場合には全種類を合計した含有量が固形分(A)の全量に対して70質量%未満である。主高分子化合物(a)は、重量平均分子量が3.0×10以上であることが好ましい。
低分子化合物は、固形分(A)の全量に対して30質量%以上含まれる主低分子化合物を少なくとも1種含む。主低分子化合物は、それぞれの含有量が固形分(A)の全量に対して60質量%以下であることが好ましく、2種以上含まれる場合には全種類を合計した含有量が固形分(A)の全量に対して95質量%未満である。主低分子化合物は、分子量が1×10以下であり、1×10以上であることが好ましい。
高分子化合物及び低分子化合物は、例えば、発光材料、ホスト材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、酸化防止剤等である。
固形分(A)に含まれる低分子化合物は、低分子化合物は発光材料であってもよい。低分子化合物が発光材料である場合は、優れた発光特性を有する観点から、イリジウム錯体であることが好ましい。なお、イリジウム錯体は、低分子化合物としてではなく、イリジウム錯体の構造を有する構成単位(すなわち、イリジウム錯体を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個以上の水素原子を除いてなる基を有する構成単位。以下、「イリジウム錯体構成単位」ともいう)を含む高分子化合物として含まれていてもよい。
≪共通する用語の説明≫
以下で共通して用いられる用語は、特記しない限り、次の意味である。
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i-Prはイソプロピル基、t-Buはtert-ブチル基を表す。
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
金属錯体を表す式中、中心金属との結合を表す実線は、共有結合または配位結合を意味する。
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。
「アルキル基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。
アルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-ブチル基、2-エチルヘキシル基、3-プロピルヘプチル基、デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、ドデシル基、および、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられ、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。
シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基が挙げられる。
「アリール基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~20であり、より好ましくは6~10である。
アリール基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「アルコキシ基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~40であり、好ましくは4~10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。
アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブ
チルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、および、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~48である。アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表す。)とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。p価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団である「p価の芳香族複素環基」が好ましい。
「芳香族複素環式化合物」は、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、および、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物を意味する。
1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、2~60であり、好ましくは4~20である。
1価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等で置換された基が挙げられる。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基が好ましい。置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基およびジアリールアミノ基が挙げられる。アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフ
ェニル)アミノ基が挙げられる。
「アルケニル基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~30であり、好ましくは3~20である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは4~20である。「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは4~20である。
アルケニル基およびシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、7-オクテニル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
「アルキニル基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2~20であり、好ましくは3~20である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4~30であり、好ましくは4~20である。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4~30であり、好ましくは4~20である。
アルキニル基およびシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
「アリーレン基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。アリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、6~60であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
アリーレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられ、好ましくは、式(A-1)~式(A-20)で表される基である。アリーレン基は、これらの基が複数結合した基を含む。
Figure 0007319843000003
Figure 0007319843000004
Figure 0007319843000005
Figure 0007319843000006

[式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表す。複数存在するRおよびRは、各々、同一でも異なっていてもよく、R同士は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。]
2価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、2~60であり、好ましくは、3~20であり、より好ましくは、4~15である。
2価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾールから、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられ、好ましくは、式(AA-1)~式(AA-34)で表される基である。2価の複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。
Figure 0007319843000007
Figure 0007319843000008
Figure 0007319843000009
Figure 0007319843000010
Figure 0007319843000011
Figure 0007319843000012
Figure 0007319843000013

[式中、RおよびRは、前記と同じ意味を表す。]
「架橋基」とは、加熱処理、紫外線照射処理、近紫外線照射処理、可視光照射処理、赤外線照射処理、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基であり、好ましくは、式(B-1)-(B-17)のいずれかで表される基である。これらの基は、置換基を有していてもよい。
Figure 0007319843000014
「置換基」とは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキニル基を表す。置換基は架橋基であってもよい。
≪高分子化合物≫
固形分(A)に含まれる高分子化合物は、発光材料であってもよく、発光材料である場合は、優れた発光特性を有する観点から、式(X)で表される構成単位および式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましい。
本発明の組成物には、式(X)で表される構成単位および式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物が、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
(式(X)で表される構成単位)
Figure 0007319843000015

[式中、
X1およびaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1およびArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2およびArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2およびArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
X1、RX2およびRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX2およびRX3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
X1は、本発明の組成物を用いて形成される膜を有する発光素子の発光効率が優れるので、好ましくは2以下の整数であり、より好ましくは1である。
X2は、本発明の組成物を用いて形成される膜を有する発光素子の発光効率が優れるので、好ましくは2以下の整数であり、より好ましくは0である。
X1、RX2およびRX3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX1およびArX3で表されるアリーレン基は、より好ましくは式(A-1)または式(A-9)で表される基であり、更に好ましくは式(A-1)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX1およびArX3で表される2価の複素環基は、より好ましくは式(AA-1)、式(AA-2)または式(AA-7)-(AA-26)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX1およびArX3は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
ArX2およびArX4で表されるアリーレン基としては、より好ましくは式(A-1)、式(A-6)、式(A-7)、式(A-9)-(A-11)または式(A-19)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2およびArX4で表される2価の複素環基のより好ましい範囲は、ArX1およびArX3で表される2価の複素環基のより好ましい範囲と同じである。
ArX2およびArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲は、それぞれ、ArX1およびArX3で表されるアリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲と同様である。
ArX2およびArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。
Figure 0007319843000016

[式中、RXXは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
XXは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2およびArX4は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
ArX1~ArX4およびRX1~RX3で表される基が有してもよい置換基としては、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
式(X)で表される構成単位は、好ましくは式(X-1)-(X-7)で表される構成単位であり、より好ましくは式(X-1)-(X-6)で表される構成単位であり、更に好ましくは式(X-3)-(X-6)で表される構成単位である。
Figure 0007319843000017
Figure 0007319843000018
Figure 0007319843000019
Figure 0007319843000020
[式中、Rx4およびRx5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基またはシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRx4は、同一でも異なっていてもよい。複数存在するRx5は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRx5同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
式(X)で表される構成単位は、本発明の組成物を用いて形成される膜を有する有機EL素子の正孔輸送性が優れる観点から、高分子化合物中に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.1~50モル%であり、より好ましくは1~40モル%であり、更に好ましくは5~30モル%である。
式(X)で表される構成単位としては、例えば、式(X1-1)-(X1-11)で表される構成単位が挙げられ、好ましくは式(X1-3)-(X1-10)で表される構成単位である。
Figure 0007319843000021
Figure 0007319843000022
Figure 0007319843000023
Figure 0007319843000024
Figure 0007319843000025
式(X)で表される構成単位は、高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
(式(Y)で表される構成単位)
Figure 0007319843000026

[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
ArY1で表されるアリーレン基は、より好ましくは、式(A-1)、式(A-2)、式(A-6)-(A-10)、式(A-19)または式(A-20)で表される基であり、更に好ましくは、式(A-1)、式(A-2)、式(A-7)、式(A-9)または式(A-19)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArY1で表される2価の複素環基は、より好ましくは、式(AA-1)-(AA-4)、式(AA-10)-(AA-15)、式(AA-18)-(AA-21)、式(AA-33)または式(AA-34)で表される基であり、更に好ましくは、式(AA-4)、式(AA-10)、式(AA-12)、式(AA-14)または式(AA-33)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲は、それぞれ、前述のArY1で表されるアリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲と同様である。
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、式(X)のArX2およびArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基と同様のものが挙げられる。
ArY1で表される基が有してもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y-1)-(Y-10)で表される構成単位が挙げられ、本発明の組成物を用いて形成される膜を有する発光素子の輝度寿命の観点からは、好ましくは式(Y-1)-(Y-3)で表される構成単位であり、本発明の組成物を用いて形成される膜を有する発光素子の電子輸送性の観点からは、好ましくは式(Y-4)-(Y-7)で表される構成単位であり、本発明の組成物を用いて形成される膜を有する発光素子の発光効率又は正孔輸送性の観点からは、好ましくは式(Y-8)-(Y-10)で表される構成単位である。
Figure 0007319843000027

[式中、RY1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY1は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRY1同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
Y1は、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
式(Y-1)で表される構成単位は、好ましくは、式(Y-1’)で表される構成単位である。
Figure 0007319843000028

[式中、RY11は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
複数存在するRY11は、同一でも異なっていてもよい。]
Y11は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、より好ましくは、アルキル基またはシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Figure 0007319843000029

[式中、
Y1は、前記と同じ意味を表す。
Y1は、-C(RY2)-、-C(RY2)=C(RY2)-または-C(RY2)-C(RY2)-で表される基を表す。RY2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY2は、同一でも異なっていてもよく、RY2同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
Y2は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Y1において、-C(RY2)-で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは両方がアルキル基もしくはシクロアルキル基、両方がアリール基、両方が1価の複素環基、または、一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基若しくは1価の複素環基であり、より好ましくは一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。2個存在するRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、-C(RY2)-で表される基としては、好ましくは式(Y-A1)-(Y-A5)で表される基であり、より好ましくは式(Y-A4)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Figure 0007319843000030
Y1において、-C(RY2)=C(RY2)-で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは両方がアルキル基もしくはシクロアルキル基、または、一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Y1において、-C(RY2)-C(RY2)-で表される基中の4個のRY2は、好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基またはシクロアルキル基である。複数あるRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、-C(RY2)-C(RY2)-で表される基は、好ましくは式(Y-B1)-(Y-B5)で表される基であり、より好ましくは式(Y-B3)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Figure 0007319843000031

[式中、RY2は前記と同じ意味を表す。]
式(Y-2)で表される構成単位は、式(Y-2’)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 0007319843000032

[式中、RY1およびXY1は、前記と同じ意味を表す。]
Figure 0007319843000033

[式中、RY1およびXY1は、前記と同じ意味を表す。]
式(Y-3)で表される構成単位は、式(Y-3’)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 0007319843000034

[式中、RY11およびXY1は、前記と同じ意味を表す。]
Figure 0007319843000035
Figure 0007319843000036

[式中、
Y1は、前記と同じ意味を表す。
Y3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
Y3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
式(Y-4)で表される構成単位は、式(Y-4’)で表される構成単位であることが好ましく、式(Y-6)で表される構成単位は、式(Y-6’)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 0007319843000037

[式中、RY1およびRY3は、前記と同じ意味を表す。]
Figure 0007319843000038

[式中、
Y1は、前記を同じ意味を表す。
Y4は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
Y4は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y-101)-(Y-121)で表されるアリーレン基からなる構成単位、式(Y-201)-(Y-206)で表される2価の複素環基からなる構成単位、式(Y-301)-(Y-304)で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基からなる構成単位が挙げられる。
Figure 0007319843000039
Figure 0007319843000040
Figure 0007319843000041
Figure 0007319843000042
Figure 0007319843000043
Figure 0007319843000044
Figure 0007319843000045
Figure 0007319843000046
Figure 0007319843000047
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1がアリーレン基である構成単位は、本発明の組成物を用いて形成される膜を有する有機EL素子の輝度寿命が優れるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5~90モル%であり、より好ましくは30~80モル%である。
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1が2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基である構成単位は、本発明の組成物を用いて形成される膜を有する有機EL素子の発光効率、正孔輸送性または電子輸送性が優れるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5~50モル%であり、より好ましくは3~30モル%である。
式(Y)で表される構成単位は、高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
高分子化合物としては、例えば、表1の高分子化合物(P-101)~(P-107)が挙げられる。
Figure 0007319843000048

[表中、p、q、r、sおよびtは、各構成単位のモル比率を示す。p+q+r+s+t=100であり、かつ、100≧p+q+r+s≧70である。その他の構成単位とは、
式(Y)で表される構成単位、式(X)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。]
式(X)で表される構成単位および式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物のみを発光材料として用いる場合(すなわち、後述するイリジウム錯体等、他の発光材料を併用しない場合)、
高分子化合物としては、
式(Y-8)で表される構成単位、式(Y-9)で表される構成単位および式(Y-10)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましく、
式(Y-8)で表される構成単位および式(Y-9)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることがより好ましく、
式(Y-8)で表される構成単位を含む高分子化合物であることが更に好ましい。
また、高分子化合物としては、式(Y-8)で表される構成単位、式(Y-9)で表される構成単位および式(Y-10)で表される構成単位以外の構成単位として、
式(Y-1)で表される構成単位、式(Y-2)で表される構成単位、式(Y-3)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましく、
式(Y-1)で表される構成単位、式(Y-2)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることがより好ましく、
式(Y-2)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが更に好ましく、
式(Y-2)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位を含む高分子化合物であることが特に好ましい。
≪高分子化合物の製造方法≫
式(X)で表される構成単位および式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物は、ケミカルレビュー(Chem. Rev.),第109巻,897-1091頁(2009年)等に記載の公知の重合方法を用いて製造することができ、Suzuki反応、Yamamoto反応、Buchwald反応、Stille反応、Negishi反応およびKumada反応等の遷移金属触媒を用いるカップリング反応により重合させる方法が例示される。
前記重合方法において、単量体を仕込む方法としては、単量体全量を反応系に一括して仕込む方法、単量体の一部を仕込んで反応させた後、残りの単量体を一括、連続または分割して仕込む方法、単量体を連続または分割して仕込む方法等が挙げられる。
遷移金属触媒としては、パラジウム触媒、ニッケル触媒等が挙げられる。
重合反応の後処理は、公知の方法、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿をろ過した後、乾燥させる方法等を単独または組み合わせて行う。高分子化合物の純度が低い場合、例えば、再結晶、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製することができる。
≪イリジウム錯体≫
イリジウム錯体は、本発明の組成物を用いて形成される膜を有する有機EL素子の発光効率がより優れるので、式(Ir-1)で表されるイリジウム錯体、式(Ir-2)で表されるイリジウム錯体、式(Ir-3)で表されるイリジウム錯体、式(Ir-4)で表されるイリジウム錯体または式(Ir-5)で表されるイリジウム錯体であることが好ましく、式(Ir-1)で表されるイリジウム錯体、式(Ir-2)で表されるイリジウム錯体または式(Ir-3)で表されるイリジウム錯体であることがより好ましい。
Figure 0007319843000049
Figure 0007319843000050
Figure 0007319843000051

[式中、
D1は、1、2または3を表す。nD2は、1または2を表す。
D1、RD2、RD3、RD4、RD5、RD6、RD7、RD8、RD11、RD12、RD13、RD14、RD15、RD16、RD17、RD18、RD19、RD20、RD21、RD22、RD23、RD24、RD25、RD26、RD31、RD32、RD33、RD34、RD35、RD36およびRD37は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RD1、RD2、RD3、RD4、RD5、RD6、RD7、RD8、RD11、RD12、RD13、RD14、RD15、RD16、RD17、RD18、RD19、RD20、RD21、RD22、RD23、RD24、RD25、RD26、RD31、RD32、RD33、RD34、RD35、RD36およびRD37が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
-AD1---AD2-は、アニオン性の2座配位子を表す。AD1およびAD2は、そ
れぞれ独立に、イリジウム原子と結合する炭素原子、酸素原子または窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。-AD1---AD2-が複数存在する場
合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
式(Ir-1)で表されるイリジウム錯体において、RD1~RD8の少なくとも1つは、好ましくは、式(D-A)で表される基である。
式(Ir-2)で表されるイリジウム錯体において、好ましくはRD11~RD20の少なくとも1つは式(D-A)で表される基である。
式(Ir-3)で表されるイリジウム錯体において、好ましくはRD1~RD8およびRD11~RD20の少なくとも1つは式(D-A)で表される基である。
式(Ir-4)で表されるイリジウム錯体において、好ましくはRD21~RD26の少なくとも1つは式(D-A)で表される基である。
式(Ir-5)で表されるイリジウム錯体において、好ましくはRD31~RD37の少なくとも1つは式(D-A)で表される基である。
Figure 0007319843000052

[式中、
DA1、mDA2およびmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArDA1、ArDA2およびArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2およびArDA3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
DA1、mDA2およびmDA3は、通常10以下の整数であり、好ましくは5以下の整数であり、より好ましくは0または1である。mDA1、mDA2およびmDA3は、同一の整数であることが好ましい。
DAは、好ましくは式(GDA-11)~(GDA-15)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Figure 0007319843000053

[式中、
*、**および***は、各々、ArDA1、ArDA2、ArDA3との結合を表す。
DAは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は更に置換基を有していてもよい。RDAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
DAは、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArDA1、ArDA2およびArDA3は、好ましくは式(ArDA-1)~(ArDA-3)で表される基である。
Figure 0007319843000054

[式中、
DAは、前記と同じ意味を表す。
DBは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RDBが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
DAは、好ましくは式(TDA-1)~(TDA-3)で表される基である。
Figure 0007319843000055

[式中、RDAおよびRDBは、前記と同じ意味を表す。]
式(D-A)で表される基は、好ましくは式(D-A1)~(D-A3)で表される基である。
Figure 0007319843000056

[式中、
np1は、0~5の整数を表し、np2は0~3の整数を表し、np3は0または1を表す。複数存在するnp1は、同一でも異なっていてもよい。
p1、Rp2およびRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。Rp1およびRp2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
np1は、好ましくは0または1であり、より好ましくは1である。np2は、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。np3は好ましくは0である。
p1、Rp2およびRp3は、好ましくはアルキル基またはシクロアルキル基である。
-AD1---AD2-で表されるアニオン性の2座配位子としては、例えば、下記式で
表される配位子が挙げられる。
Figure 0007319843000057

[式中、*は、イリジウム原子と結合する部位を表す。]
式(Ir-1)で表されるイリジウム錯体としては、好ましくは式(Ir-11)~式(Ir-13)で表されるイリジウム錯体である。式(Ir-2)で表されるイリジウム錯体としては、好ましくは式(Ir-21)で表されるイリジウム錯体である。式(Ir-3)で表されるイリジウム錯体としては、好ましくは式(Ir-31)~式(Ir-33)で表されるイリジウム錯体である。式(Ir-4)で表されるイリジウム錯体としては、好ましくは式(Ir-41)~式(Ir-43)で表されるイリジウム錯体である。
式(Ir-5)で表されるイリジウム錯体としては、好ましくは式(Ir-51)~式(Ir-53)で表されるイリジウム錯体である。
Figure 0007319843000058
Figure 0007319843000059
Figure 0007319843000060
Figure 0007319843000061
Figure 0007319843000062

[式中、
D2は、1または2を表す。
Dは、式(D-A)で表される基を表す。複数存在するDは、同一でも異なっていてもよい。
DCは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRDCは、同一でも異なっていてもよい。
DDは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRDDは、同一でも異なっていてもよい。]
イリジウム錯体としては、例えば、下記式で表されるイリジウム錯体が挙げられる。
Figure 0007319843000063
Figure 0007319843000064
Figure 0007319843000065
Figure 0007319843000066
Figure 0007319843000067
イリジウム錯体は、例えば、特表2004-530254号公報、特開2008-179617号公報、特開2011-105701号公報、特表2007-504272号公報、特開2013-147449号公報、特開2013-147450号公報に記載されている方法に従って合成することができる。
固形分(A)は、イリジウム錯体構成単位を含む高分子化合物を含んでいてもよい。イリジウム錯体構成単位は、式(Ir-1)、式(Ir-2)、式(Ir-3)、式(Ir-4)または式(Ir-5)で表されるイリジウム錯体の構造を有する構成単位である。式(Ir-1)、式(Ir-2)、式(Ir-3)、式(Ir-4)または式(Ir-5)で表されるイリジウム錯体の構造を有する構成単位としては、好ましくは、式(Ir-1)、式(Ir-2)、式(Ir-3)、式(Ir-4)または式(Ir-5)で表されるイリジウム錯体から、該錯体を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個以上3個以下の水素原子を取り除いてなる基を有する構成単位であり、より好ましくは、式(Ir-1)、式(Ir-2)、式(Ir-3)、式(Ir-4)または式(Ir-5)で表されるイリジウム錯体から、該錯体を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いてなる基を有する構成単位である。
イリジウム錯体構成単位を含む高分子化合物としては、更に、前述した式(X)で表される構成単位および式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物が好ましい。
これらの中でも、イリジウム錯体構成単位を含む高分子化合物としては、
式(Y-4)で表される構成単位、式(Y-5)で表される構成単位、式(Y-6)で表される構成単位および式(Y-7)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましく、
式(Y-4)で表される構成単位および式(Y-6)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることがより好ましく、
式(Y-4)で表される構成単位を含む高分子化合物であることが更に好ましい。
また、イリジウム錯体構成単位を含む高分子化合物としては、式(Y-4)で表される構成単位、式(Y-5)で表される構成単位、式(Y-6)で表される構成単位および式(Y-7)で表される構成単位以外の構成単位として、
式(Y-1)で表される構成単位、式(Y-2)で表される構成単位、式(Y-3)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましく、
式(Y-1)で表される構成単位、式(Y-2)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることがより好ましい。
イリジウム錯体構成単位は、高分子化合物中に、1種のみ含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
≪第1高分子化合物≫
主高分子化合物(a)の中で重量平均分子量が最も大きい第1高分子化合物は、重量平均分子量が1.4×10未満である。第1高分子化合物は、重量平均分子量が1.4×10未満であれば、種類は限定されない。本発明者らは、固形分(A)として、重量平均分子量が1.4×10未満の第1高分子化合物と主低分子化合物とを含む場合に、平坦性に優れる膜を製造することができる基準溶液の粘度の好適範囲を見出し、基準溶液の粘度の好適範囲を決定した。第1高分子化合物としては、例えば、式(X)で表される構成単位および式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物が挙げられる。第1高分子化合物としては、発光性化合物が例示される。発光性化合物は、それ自体が発光する化合物(発光材料)であってもよく、発光材料へ電荷を輸送することにより発光材料を発光させる化合物(ホスト材料)であってもよい。第1高分子化合物は、ホスト材料であることが好ましく、例えば緑色発光材料のホスト材料であってもよいし、赤色発光材料のホスト材料であってもよい。また、第1高分子化合物は、緑色発光材料であってもよいし、赤色発光材料であってもよい。
≪ホスト材料≫
固形分(A)が、発光材料を含む場合、特に発光材料としてイリジウム錯体を含む場合、正孔輸送性、正孔注入性、電子輸送性および電子注入性からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能を有するホスト材料と併用することで、本発明の組成物を用いて形成される膜を有する有機EL素子の発光効率がより優れたものとなる。すなわち、本発明の組成物は、発光性材料としてイリジウム錯体を含む場合、さらにホスト材料を含むことが好ましい。本発明の組成物にホスト材料が含有される場合、ホスト材料は、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
本発明の組成物が、イリジウム錯体とホスト材料とを含有する場合、イリジウム錯体の含有量は、イリジウム錯体とホスト材料との合計含有量を100質量部とした場合、通常、0.05~80質量部であり、好ましくは0.1~60質量部であり、より好ましくは0.5~50質量部である。
ホスト材料の有する最低励起三重項状態(T1)は、本発明の組成物を用いて形成される膜を有する有機EL素子の発光効率が優れるので、イリジウム錯体の有するT1と同等のエネルギー準位、または、より高いエネルギー準位であることが好ましい。
ホスト材料は、低分子化合物(以下、「低分子ホスト」とも称する。)と高分子化合物(以下、「高分子ホスト」とも称する。)に分類され、低分子ホストおよび高分子ホストのいずれであってもよいが、高分子ホストであることが好ましい。
低分子ホストとしては、例えば、カルバゾール構造を有する化合物、トリアリールアミン構造を有する化合物、フェナントロリン構造を有する化合物、トリアリールトリアジン構造を有する化合物、アゾール構造を有する化合物、ベンゾチオフェン構造を有する化合物、ベンゾフラン構造を有する化合物、フルオレン構造を有する化合物、スピロフルオレン構造を有する化合物等が挙げられる。
低分子ホストの具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007319843000068
Figure 0007319843000069
Figure 0007319843000070
Figure 0007319843000071
高分子ホストとしては、前述した式(X)で表される構成単位および式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物が好ましい。
これらの中でも、高分子ホストとしては、
式(Y-4)で表される構成単位、式(Y-5)で表される構成単位、式(Y-6)で表される構成単位および式(Y-7)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましく、
式(Y-4)で表される構成単位および式(Y-6)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることがより好ましく、
式(Y-4)で表される構成単位を含む高分子化合物であることが更に好ましい。
また、高分子ホストとしては、式(Y-4)で表される構成単位、式(Y-5)で表される構成単位、式(Y-6)で表される構成単位および式(Y-7)で表される構成単位以外の構成単位として、
式(Y-1)で表される構成単位、式(Y-2)で表される構成単位、式(Y-3)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましく、
式(Y-1)で表される構成単位、式(Y-2)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることがより好ましい。
≪低分子化合物≫
固形分(A)に含有される低分子化合物としては、特に限定されることはなく、上記のイリジウム錯体等の発光材料、上記のホスト材料、下記の正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、酸化防止剤等が例示される。
≪その他の固形分≫
本発明の組成物に含有される固形分(A)は、下記の正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料および発光材料を含んでいてもよい。
(正孔輸送材料)
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、好ましくは高分子化合物であり、より好ましくは架橋基を有する高分子化合物である。
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体;側鎖または主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレンおよびその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、電子受容性部位が結合された化合物でもよい。電子受容性部位としては、例えば、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、トリニトロフルオレノン等が挙げられ、好ましくはフラーレンである。
本発明の組成物には、正孔輸送材料が、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
(電子輸送材料)
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、8-ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレンおよびジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、および、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
本発明の組成物には、電子輸送材料が、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
(正孔注入材料および電子注入材料)
正孔注入材料および電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料および電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリンおよびポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
本発明の組成物には、正孔注入材料および電子注入材料が、各々、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
正孔注入材料または電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは、1×10-5S/cm~1×10S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。
ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
ドープするイオンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(発光材料)
固形分(A)は、発光材料として例示した、上記の高分子化合物又は低分子化合物以外の発光材料(以下、「その他の発光材料」とも称する。)を含んでいてもよい。その他の発光材料としては、例えば、ナフタレンおよびその誘導体、アントラセンおよびその誘導体、並びに、ペリレンおよびその誘導体が挙げられる。
本発明の組成物には、その他の発光材料が、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
(酸化防止剤)
本発明の組成物は、溶媒(B)に可溶であり、発光および電荷輸送を阻害しない酸化防止剤を含有していてもよい。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
本発明の組成物には、酸化防止剤が、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
<組成比>
本発明の組成物は、固形分(A)と溶媒(B)とを含む。本発明の組成物において、固形分(A)の含有量は、溶媒(B)の含有量を100質量部とした場合、通常、0.1~10.0質量部であり、インクジェット印刷法での吐出性が優れるので、好ましくは0.2~7.0質量部であり、より好ましくは0.3~5.0質量部である。
<粘度>
本発明の組成物は、塗布性の観点から、温度23℃における粘度が1cP以上10cP以下であることが好ましく、2cP以上8cP以下であることがより好ましい。
[有機EL素子用組成物の製造方法]
本発明の有機EL素子用組成物は、例えば、固形分(A)、溶剤(B)及びその他の成分を混合することにより調製できる。各成分の混合順は限定されることはなく、固形分(A)の一部又は全部は、予め溶剤(B)の一部と混合した後に、残りの成分を、所定の濃度となるように混合することにより、目的の有機EL素子用組成物を調製してもよい。例えば、第1溶媒と第1高分子化合物とのみを予め混合して基準溶液を調製し、基準溶液の粘度が所望の粘度となるように調製した後に、残りの成分を混合して目的の有機EL素子用組成物を調製してもよい。基準溶液の粘度は、このように製造工程で測定した値であってもよいし、第1溶媒と第1高分子との組成比に基づいて、予め測定した値から決定される値であってもよい。
[膜]
膜は、本発明の組成物を用いて形成された膜である。膜には、本発明の組成物に含まれる固形分がそのまま含有されていてもよいし、固形分が、分子内又は分子間、もしくは、分子内及び分子間で架橋した状態(架橋体)で含有されていてもよい。固形分の架橋体を含有する膜は、固形分を含有する膜を、加熱、光照射等の外部刺激により架橋させて得られる膜である。固形分の架橋体を含有する膜は、溶媒に対して実質的に不溶化されているため、有機EL素子の積層化に好適に使用することができる。
膜を架橋させるための加熱の温度は、通常、25~300℃であり、好ましくは50~250℃であり、より好ましくは150~200℃である。
膜を架橋させるための光照射に用いられる光の種類は、例えば、紫外線、近紫外線、可視光、赤外線である。
膜は、発光素子における発光層、正孔輸送層または正孔注入層として好適である。膜の厚さは、通常、1nm~1μmである。膜の平坦度は0%であることが最も好ましい。膜が凹状である場合、膜の平坦度は、-45%以上であることが好ましく、-30%以上であることがより好ましく、-20%以上であることがさらに好ましい。膜が凸状である場合、膜の平坦度は、15%以下であることが好ましく、12%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。本明細書における膜の平坦度は、後述の算出方法により算出された値とする。
[膜の製造方法]
膜は、本発明の組成物を塗布する工程と、組成物中の溶媒を蒸発させる乾燥工程とを有する方法により製造することができる。
塗布工程は、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ-コート法、ノズルコート法等の塗布方法を用いることができ、膜の平坦性をより向上させることができる観点から、吐出型の塗布法であるインクジェット印刷法が好ましく用いられる。
乾燥工程は、乾燥工程の時間を短縮する観点から、好ましくは、減圧下で乾燥を行う。乾燥工程での圧力調整は、通常、真空チャンバー内に乾燥対象を載置した後に、真空チャンバー内の圧力を大気圧から徐々に又は段階的に低下させることによる。乾燥工程の到達圧力は、膜が固定化されていれば特に限定されるものではないが、100Pa以下が好ましく、10Pa以下がさらに好ましい。大気圧から1000Paまでの減圧速度は、例えば、1000Pa/秒~30000Pa/秒である。真空チャンバー内(より具体的には、乾燥対象を載置するステージ上)の温度は、例えば、20℃~100℃の範囲、好ましくは20℃~50℃の範囲に維持する制御を行う。乾燥時間の短縮化を図ることができる観点からは、真空チャンバー内の温度は高温である程好ましく、一方、耐熱性が低い乾燥対象は真空チャンバー内の温度が室温に近い程好ましい。
※山下コメント:限定は致しませんが、到達圧力の規定も入れておきたいと考えます。
乾燥工程における乾燥雰囲気の温度が30℃以上50℃以下である場合には、優れた平坦化を得られる観点から、基準溶液の温度23℃における粘度が2.20×10cP以上1.77×10cP以下となるように本発明の組成物を調製することが好ましい。
乾燥工程における乾燥雰囲気の温度が20℃以上30℃未満である場合には、優れた平坦化を得られる観点から、基準溶液の温度23℃における粘度が1.30×10cP以上8.70×10cP以下となるように本発明の組成物を調製することが好ましい。
本発明者らは、乾燥工程の乾燥条件(減圧速度、真空チャンバー内の温度)を適宜選択した複数の乾燥条件のもとで膜を製造し、乾燥条件を適宜選択することにより優れた平坦性を有する膜を製造することができる基準溶液の温度23℃での粘度の好適範囲を決定し、本発明に至った。
[有機EL素子]
本発明の有機EL素子は、本発明の組成物を用いて形成される膜を有する有機EL素子である。膜は、前述のとおり、本発明の組成物に含まれる固形分がそのまま含有されていてもよいし、固形分が、分子内又は分子間、もしくは、分子内及び分子間で架橋した状態(架橋体)で含有されていてもよい。本発明の有機EL素子の構成としては、例えば、陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられた本発明の組成物を用いて形成された膜とを有する。
<層構成>
本発明の組成物を用いて得られる膜は、通常、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層の1種以上の層であり、好ましくは、発光層である。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を含む。
有機EL素子は、陽極と陰極の間に発光層を有する。本発明の有機EL素子は、正孔注入性および正孔輸送性の観点からは、陽極と発光層との間に、正孔注入層および正孔輸送層の少なくとも1層を有することが好ましく、電子注入性および電子輸送性の観点からは、陰極と発光層の間に、電子注入層および電子輸送層の少なくとも1層を有することが好ましい。
正孔輸送層の材料、電子輸送層の材料および発光層の材料は、有機EL素子の作製において、各々、正孔輸送層、電子輸送層および発光層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に溶解する場合、該溶媒に該材料が溶解することを回避するために、該材料が架橋基を有することが好ましい。架橋基を有する材料を用いて各層を形成した後、該架橋基を架橋させることにより、該層を溶媒に対して実質的に不溶化させることができる。
本発明の有機EL素子において、発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法、溶液または溶融状態からの成膜による方法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液または溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。
積層する層の順番、数および厚さは、発光効率および輝度寿命を勘案して調整する。
<基板/電極>
有機EL素子における基板は、電極を形成することができ、かつ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板の場合には、基板から最も遠くにある電極が透明または半透明であることが好ましい。
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、イ
ンジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイトおよびグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、マグネシウム-アルミニウム合金、インジウム-銀合金、リチウム-アルミニウム合金、リチウム-マグネシウム合金、リチウム-インジウム合金、カルシウム-アルミニウム合金が挙げられる。
陽極および陰極は、各々、2層以上の積層構造としてもよい。
<用途>
有機EL素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部にしたい層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極もしくは陰極、または、両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字、文字等を表示できるセグメントタイプの表示装置が得られる。ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極を共にストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動も可能である。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末等のディスプレイに用いることができる。面状の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、または、面状の照明用光源として好適に用いることができる。フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源および表示装置としても使用できる。
以下、試験例によって本発明を更に詳細に説明する。
<組成物1~4の調製>
固形分として、ポリマー1(重量平均分子量:1.25×10、第1高分子化合物)と低分子化合物1(分子量:1.68×10、主低分子化合物)を表2に示す比率で用い、溶媒として、デシルベンゼン(東京化成社製、大気圧での沸点:293℃、第1溶媒、表2において「D」と称する。)と、シクロヘキシルベンゼン(東京化成社製、大気圧での沸点:238℃、表2において「CHB」と称する。)と、4-メチルアニソール(東京化成社製、大気圧での沸点:175℃、表2において「MT」と称する。)とを表2に示す比率で用い、固形分を表2に示す固形分濃度となるようにして溶媒中に溶解させて、緑色発光材料インクである組成物1~4を調製した。
<組成物1~4中の基準溶液の粘度測定>
デシルベンゼンとポリマー1とを、組成物1~4における比率と同じ比率で混合して、デジルベンゼンとポリマー1とのみを含む基準溶液を調製し、基準溶液の温度23℃での粘度を、自動携帯型ディスポーザブル粘度計(PDVa-100、Stony Brook Scientific社製)を使用して測定した。表2に測定結果を示す。
<固形分として用いられるポリマーの重量平均分子量の測定>
ポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の測定は、GPC法により以下の条件で行った。
装置 ;HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム ;TSK-GELG2000HXLカラム温度 ;40℃
溶媒 ;THF
流速 ;1.0mL/min
被検液固形分濃度;0.001~0.01質量%
注入量 ;50μL
検出器 ;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE
F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500
(東ソー(株)製)
Figure 0007319843000072
<乾燥条件>
組成物1~4を緑色発光材料インクとして用いて発光層を形成する際の乾燥条件として、乾燥対象を真空乾燥装置内のステージ上に、ステージ上の温度を25℃、35℃、55℃、70℃のいずれかの温度に保ち、また真空乾燥装置内の圧力を、大気圧(101325Pa)から1Paまで図1に示す減圧条件A、B1、B2、B3、Cのいずれかの減圧条件にて減圧を行い、溶媒が蒸発するまで1Paを維持して乾燥を行った。なお、図1に示す減圧条件A、B1、B2、B3、Cについて、大気圧から1000Paに到達するまでに要する時間T(秒)、及び大気圧から1000Paに到達するまでの減圧速度V(Pa/秒)は、表3に示す通りであった。
Figure 0007319843000073
[試験例1~10:膜形状測定素子の作製と評価]
(透明電極基板の準備)
370mm×470mm×0.5mmのサイズのガラス基板(コーニング社製イーグルXG)に、ジオマテック株式会社製の透明導電膜FLAT-ITOを所定のパターンで50nm形成した。
(撥液性隔壁付基板の作製)
上記にて作製した透明導電膜付基板に対して、UV-O洗浄装置(日立ハイテクノロジ―社製;PL3-200-15)を用い、積算光量400mJ/cm下で親水化処理
を実施し、純水にて洗浄、エアーにて乾燥を実施した。この基板に対して、調製済みの感光性樹脂組成物を30g滴下し、スピンコータにて900rpmにて7秒回転させ、感光性樹脂組成物からなる薄膜を塗布形成した。その後、真空乾燥装置(東京応化工業株式会社製;TR28340CPD-CLT)にて66Paまで減圧乾燥を行い、ホットプレートにて110℃、110秒コンタクトしプリベークを実施した。次に、露光装置(日立ハイテクノロジ―社製;LE4000A)を用いて、露光を実施した。露光量は200mJ/cm、Gapは100μmとした。フォトマスクには、パターン(遮光部の形状が、長軸方向200μm、短軸方向50μmの長方形から、その四隅を円弧状にカットした形
(長丸))が同一平面上に形成されたものを用いた。その後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(トクヤマ(株)製、トクソーSD25)を濃度が2.38%となるように純水で希釈して調製した現像液を使用し、前記塗膜をシャワー現像機(セファテクノロジー株式会社製)にて、23℃で80秒間現像し、水洗およびエアー乾燥後、オーブン(エスペック社製:HSC-4)中、230℃で20分間ポストベークを行い、パターンを得た。
(塗布用基板の作製)
上記で得られた透明電極上に撥液性隔壁がパターニングされた基板を、LCD Glass分断装置(MS500、三星ダイヤモンド工業株式会社製)を用いて、370mm×470mm×0.5mmのサイズから50mm×50mm×0.5mmのサイズへと分断した。
(正孔注入層の形成)
正孔注入材料(ND-3202、日産化学工業株式会社製)を、インクジェット印刷装置(142P、Litrex社製)に導入した。次に塗布前の前処理として、50mm角のサイズに分断した基板を、230℃、15分間ベークした。その後、ガラス基板上に形成され、撥液性の隔壁で囲まれたITO膜上(ITO膜厚:50nm)に、インクジェット印刷法により、正孔注入材料を塗布し、ステージ温度13℃、減圧速度25790Pa/秒の条件下で、溶媒が蒸発するまで減圧乾燥させ、65nmの平均厚さの正孔注入層を成膜した。得られた膜を、大気雰囲気下において、ホットプレート上で230℃、15分間加熱することにより、正孔注入層を形成した。
(正孔輸送層の形成)
混合溶媒(デシルベンゼン/シクロヘキシルベンゼン/4-メチルアニソール=18.4質量%/40.2質量%/41.4質量%)に、正孔輸送材料(高分子化合物)を、固形分濃度として0.5質量%溶解させた正孔輸送材料組成物を調製した。得られた正孔輸送材料組成物を、インクジェット印刷装置(Litrex社製、142P)に導入した。次に、正孔注入層上に、正孔輸送材料組成物をインクジェット印刷法により塗布し、ステージ温度23℃、減圧速度37000Pa/秒の条件下で、溶媒が蒸発するまで減圧乾燥させ、膜を20nmの平均厚さで成膜した。得られた膜を、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で200℃、30分間加熱することにより、正孔輸送層を形成した。
(発光層の形成)
上記で調製した組成物1~4のいずれかを緑色発光材料インクとして用い、これをインクジェット印刷装置(Litrex社製、142P)に導入した。次に、正孔輸送層上に、緑色発光材料インクをインクジェット印刷法により塗布し、次に、表4に示す乾燥条件(ステージ温度及び減圧条件)で、溶媒が蒸発するまで減圧乾燥させ、狙い膜厚80nmの厚さで成膜した。得られた膜を、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
(測定用反射膜の形成)
「正孔注入層/正孔輸送層」の2層、もしくは「正孔注入層/正孔輸送層/発光層」の3層を形成したガラス基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、正孔輸送層又は発光層の上にアルミニウムを約20nm蒸着することで測定用反射膜を形成し、膜形状測定素子を作製した。
(膜形状の評価)
「正孔注入層/正孔輸送層/測定用反射膜」の層構成の基板X1と、「正孔注入層/正孔輸送層/発光層/測定用反射膜」の層構成の基板X2の2種類の基板の膜厚を、非接触3次元表面形状測定装置(Zygo社製)により測定した。基板X1の3次元膜厚をD1、基板X2の3次元膜厚をD2とし、評価対象となる発光層単層の膜厚D3を下記式から得た。
D3=D2-D1
膜厚D3に関して、撥液性隔壁で囲まれた1つの画素内において、最も薄い膜厚をd、膜厚がd+5nm以下の範囲になる面積をa、平均膜厚をbとし、平坦度y(%)の絶対値|y|を下記式から得た。
|y|=(1-(a/画素面積)/(b/狙い膜厚))×100
さらに膜厚D3に関して、短軸の中心部で、画素長軸側の断面が得られるように輪切りした場合の撥液性隔壁端部から10μmの位置の2点の膜厚と画素中心の膜厚を比較し、撥液性隔壁端部から10μmの位置の2点の膜厚の内、どちらか一方でも画素中心より厚かった場合、膜形状を凹とみなし、yの値を負、画素中心の方が膜厚が厚かった場合は、膜形状を凸とみなし、平坦度yの値を正とし、平坦度y(%)を決定した。表4に測定結果に基づいて得られた平坦度y(%)を示す。
(基準溶液の粘度xと平坦度yとの関係)
図2~図11は、試験例1~10について、基準溶液の粘度xと測定結果に基づいて得られた平坦度yとをプロットしたグラフである。図2~図11において、基準溶液の粘度xと平坦度yとの関係について、近似直線で示した関係があることがわかった。図2~図11の近似直線が示す関係式を導出関係式として、表4に示す。
(所望の平坦度が得られる粘度範囲の算出)
各試験例において、上記における導出関係式に基づいて、所望の平坦度である-45%~15%の平坦度が得られる基準溶液の粘度を粘度の好適範囲としその下限及び上限値を計算した。その結果を表4に示す。基準溶液の粘度の好適範囲の下限値は、平坦度が-45%になると算出される基準溶液の粘度であり、基準溶液の粘度の好適範囲の上限値は、平坦度が15%になると算出される基準溶液の粘度である。
Figure 0007319843000074
(考察)
試験例1~10では、発光層形成時の乾燥条件(温度、減圧速度)について、当業者が適宜採用し得る範囲内の乾燥条件を採用した。したがって、基準溶液の粘度xが、試験例1~10のいずれかで-45%~15%の平坦度が得られる粘度x(4.40×10cP以上5.01×10cP以下)を有する組成物であれば、当業者が適宜乾燥条件を調整することにより、-45%~15%の平坦度を実現し得ることがわかる。
また、試験例2,4,6,8,10からは、乾燥温度が35℃の場合、基準溶液の温度23℃での粘度xが2.20×10cP以上1.77×10cP以下を有する組成物であれば高い平坦度を実現し得ることがわかる。試験例1,3,5,7,9からは、乾燥温度が25℃の場合、基準溶液の温度23℃での粘度xが1.30×10cP以上8.70×10cP以下を有する組成物であれば高い平坦度を実現し得ることがわかる。

Claims (16)

  1. 有機EL素子用組成物を準備する準備工程と、
    前記有機EL素子用組成物を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、
    前記塗膜を乾燥する乾燥工程と、を有する、膜の製造方法であって、
    前記有機EL素子用組成物は、
    固形分と溶媒とを含み、
    前記固形分は、前記固形分の全量に対して5質量%以上含まれる主高分子化合物を少なくとも1種と、前記固形分の全量に対して30質量%以上含まれる主低分子化合物を少なくとも1種と、を含み、
    前記主高分子化合物の中で重量平均分子量が最も大きい第1高分子化合物の重量平均分子量は1.4×10未満であり、
    前記溶媒は、前記溶媒の全量に対して5質量%以上含まれる主溶媒を少なくとも2種含み、
    前記準備工程は、
    前記有機EL素子用組成物中における、前記主溶媒の中で大気圧での沸点が最も高い第1溶媒と、前記第1高分子化合物とのみからなる基準溶液の温度23℃における粘度を特定する特定工程と、
    前記粘度が1.30×10cP以上1.77×10cP以下となるように前記有機EL素子用組成物を調製する調製工程と、を含み、
    前記乾燥工程は、前記基準溶液の前記粘度に応じて乾燥条件を決定する工程を含む、膜の製造方法。
  2. 前記第1溶媒の大気圧での沸点が250℃以上である、請求項1に記載の膜の製造方法。
  3. 前記第1溶媒は式(1)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の膜の製造方法。
    Figure 0007319843000075

    [式(1)中、Rは、炭素原子数が10~12のアルキル基を表す。]
  4. 前記有機EL素子用組成物において、前記第1溶媒の濃度は、前記主溶媒の全量に対して5質量%以上60質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
  5. 前記主溶媒は、第2溶媒をさらに含み、
    前記第2溶媒は、式(1)で表される化合物を除く芳香族炭化水素である、請求項1~4のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
  6. 前記第2溶媒は、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、及びテトラリンからなる群より選択される、請求項5に記載の膜の製造方法。
  7. 前記主溶媒は、第3溶媒をさらに含み、
    前記第3溶媒は、芳香族エーテルである、請求項1~6のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
  8. 前記第3溶媒は、メチルアニソール、ジメチルアニソール、エチルアニソール、ブチルフェニルエーテル、ブチルアニソール、ペンチルアニソール、ヘキシルアニソール、ヘプチルアニソール、オクチルアニソール、及びフェノキシトルエンからなる群より選択される、請求項7に記載の膜の製造方法。
  9. 前記主高分子化合物は、いずれも重量平均分子量が3.0×10以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
  10. 前記第1高分子化合物は、発光性化合物である、請求項1~9のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
  11. 前記有機EL素子用組成物は、温度23℃における粘度が1cP以上10cP以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
  12. 前記乾燥工程は、前記塗膜を減圧雰囲気で乾燥する工程である、請求項1~11のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
  13. 前記調製工程は、前記基準溶液の温度23℃における前記粘度が2.20×10cP以上1.77×10cP以下となるように前記有機EL素子用組成物を調製する工程であり、
    前記乾燥工程において、前記塗膜を温度が30℃以上50℃以下の減圧雰囲気で乾燥する、請求項12に記載の膜の製造方法。
  14. 前記調製工程は、前記基準溶液の温度23℃における前記粘度が1.30×10cP以上8.70×10cP以下となるように前記有機EL素子用組成物を調製する工程であり、
    前記乾燥工程において、前記塗膜を温度が20℃以上30℃未満の減圧雰囲気で乾燥する、請求項12に記載の膜の製造方法。
  15. 前記乾燥工程は、雰囲気を、大気圧から、1000Pa/秒以上30000Pa/秒以下の減圧速度で1000Paの圧力まで減圧する工程を含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
  16. 請求項1~15のいずれか1項に記載の膜の製造方法により形成される膜を備える有機EL素子の製造方法。
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