JP2007179949A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池システムの起動時に、酸化剤極内に蓄積された透過水素が新規に供給される空気により押し出される際に、効率よく透過水素を希釈し、燃費性能の低下、及び
大量の希釈空気の排出騒音を防止する。
【解決手段】空気コンプレッサ20からカソード4へ空気を供給する空気供給路21は、カソード空気供給路22とバイパス空気流路23に分岐する。カソード空気排出路26とバイパス空気流路23とは合流して排気管27に接続する。燃料電池システムの起動時、カソード4へ空気供給する前に、カソード空気弁24を閉、バイパス空気弁25及び空気圧力調整弁28を開いて、空気コンプレッサ20からバイパス空気流路23へ空気を供給する。次いで、カソード空気弁24を開いて、カソード4へ空気供給を開始する。カソード滞留水素は、バイパス空気流により効率よく希釈される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池システムに係り、特に起動停止を繰り返す移動体駆動用電源に好適な燃料電池システムに関する。
燃料電池は、水素ガスなどの燃料ガスと酸素を有する酸化ガスとを電解質を介して電気化学的に反応させ、電解質両面に設けた電極間から電気エネルギを直接取り出すものである。特に固体高分子電解質を用いた固体高分子型燃料電池は、動作温度が低く、取り扱いが容易なことから電動車両用の電源として注目されている。すなわち、燃料電池車両は、高圧水素タンク、液体水素タンク、水素吸蔵合金タンクなどの水素貯蔵装置を車両に搭載し、そこから供給される水素と、酸素を含む空気とを燃料電池に送り込んで反応させ、燃料電池から取り出した電気エネルギで駆動輪につながるモータを駆動するものであり、排出物質は水だけであるという究極のクリーン車両である。
このような固体高分子型燃料電池システムにおいては、システムの運転停止後、燃料極側から酸化剤極側へ燃料ガスの水素が透過し、また酸化剤極側から燃料極側へ空気が透過する。そして、これらガス透過量を推定し、推定したガス透過量に応じてシステム起動時における燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給量を補正する燃料電池システムが知られている。この燃料電池システムでは、システム起動時に適切な量の燃料ガスおよび酸化剤ガスが供給されるため、出力電圧の立ち上がり特性を改善することができる(例えば特許文献1参照)。
特開2005−174855号公報(第6頁、図2)
しかしながら上記従来例にあっては、燃料電池システムの運転停止中に、燃料極側から酸化剤極側へ電解質膜を透過した水素は、酸化剤極触媒を介して酸化剤極空気中の残存酸素と反応して水となるが、透過水素の当量が残存酸素の当量より多ければ、運転停止中の透過水素は、酸化剤極に蓄積される。また、燃料電池起動時には、酸化剤極へ空気を供給せずに、燃料極へ水素を供給して電流を取り出すVLC制御を行うことがある。この場合、酸化剤極が換気されないので、燃料極から酸化剤極へ水素が透過し、酸化剤極へ水素が滞留することがある。
従って、燃料電池システムの起動時に、酸化剤極へ空気供給を開始する際には、酸化剤極内に蓄積された透過水素が新規に供給される空気により押し出され、高濃度の水素が系外へ排出されることになる。この場合、水素の燃焼限界が広いため、排出水素を燃焼下限界未満に希釈するためには、大量の空気が必要となり、空気コンプレッサが大電力を消費して燃費性能が低下するとともに、大量の希釈空気の排出により騒音が発生するという問題点があった。
上記問題点を解決するために、本発明は、燃料極と酸化剤極との間に電解質膜を挟持させてなるセルを複数積層した燃料電池と、前記燃料極に燃料ガスを供給する燃料供給手段と、前記燃料極から排出された燃料ガスを再度燃料極へ循環させる燃料循環経路と、燃料循環経路内のガスを圧送する燃料循環手段と、前記燃料循環経路から不純物を含む燃料ガスを系外へ排出する排出手段と、前記酸化剤極に空気を供給する空気供給手段と、前記空気供給手段と前記酸化剤極入口との間の空気供給路から分岐して前記酸化剤極出口の下流で合流するバイパス空気流路と、前記空気供給手段から前記酸化剤極と前記バイパス空気流路とに供給するそれぞれの空気流量を調節する空気流量調節手段と、を備えた燃料電池システムであって、燃料電池システムの起動時に、前記酸化剤極へ空気を供給しない状態で前記バイパス空気流路に空気を供給し、その後、前記酸化剤極に空気を供給することを要旨とする。
本発明によれば、燃料電池システムの起動時に、酸化剤極に滞留した水素がバイパス空気流路を流れる空気により効率よく希釈され、希釈のための空気流量が少なくてすむので、空気コンプレッサが水素の希釈のために大電力を消費して燃費性能が低下することを防止できるとともに、大量の希釈空気の排出により騒音が発生することも防止できるという効果がある。
次に図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、特に限定されないが以下の各実施例は、燃料電池車両用の電源として、好適な燃料電池システムである。
図1は、本発明に係る燃料電池システム1の実施例1の概略構成を説明するシステム構成図である。同図において、燃料電池システム1は、例えば固体高分子型の燃料電池2を備えている。燃料電池2は、図示しない電解質膜をアノード(燃料極)3とカソード(酸化剤極)4で挟持した単電池(セル)が複数積層された構造を有するが単電池のみ模式的に図示している。燃料電池2は、スタックケース5に覆われ、燃料電池2のガス供給、ガス排出、電力取出は、全てスタックケースを貫通して行われる。
アノード3には燃料として水素ガス、カソード4には酸化剤ガスとして空気が供給され、以下に示す電極反応が進行され、直流電力が発電される。
アノード(燃料極) :H2 → 2H+ +2e- …(1)
カソード(酸化剤極):2H+ +2e- +(1/2)O2 → H2O …(2)
このときカソード4で生成された水の一部は水蒸気となって、電解質膜を透過してアノード3へ侵入する。燃料ガスとしての水素は、高圧水素タンク11から、減圧弁12、水素供給弁9。水素供給路14を通じてアノード3へ供給される。高圧水素タンク11から供給される高圧水素は、減圧弁12で機械的に所定の圧力まで減圧され、さらに水素圧力調整弁13でアノード3の入口の水素圧力が所望の圧力となるように減圧される。アノード入口の水素圧力は、圧力計17により検出され、システム制御部30に入力される。
アノード3の出口からアノード3の入口へアノードで消費されなかった燃料ガスを循環させる水素循環路16が備えられる。水素循環ポンプ15は、水素循環路16内の燃料ガスを昇圧させて循環させる燃料循環手段である。水素循環ポンプ15は図示しない電動機によって回転駆動される。
カソード4には、酸化剤として空気を供給するため、化学反応しない窒素が、電解質膜を透過して、アノード3、水素循環路16及び水素循環ポンプ15を含む水素循環系に蓄積する。水素循環系に蓄積した窒素量が多くなりすぎると、水素循環系の気体の質量密度が増加し、水素循環ポンプ15によるガス循環量を維持できなくなるため、水素循環系内の窒素量を管理する必要がある。したがって、水素循環系内の窒素を含んだガスをパージ弁18により外部に排出し、水素循環系内に存在する窒素量を循環性能が維持できるようにする。
カソード4への空気は空気供給手段である空気コンプレッサ20により供給される。空気コンプレッサ20が圧縮した空気は、空気供給路21に供給され、空気供給路21は、カソード空気供給路22とバイパス空気流路23に分岐する。カソード空気供給路22上には、カソード空気弁24が配置され、カソード空気供給路22からカソード4へ供給する空気量を調整可能となっている。バイパス空気流路23は、カソード4をバイパスして、カソード出口26に接続するカソード空気排出路26と合流する。バイパス空気流路23とカソード空気排出路26との合流点より下流は、排気管27であり、排気管27上には、空気圧力調整弁28が配置されている。
燃料電池システムの通常運転時には、バイパス空気流路23に空気を流す必要はないので、バイパス空気弁25は、閉じられている。
燃料電池システムの起動時には、予めカソード空気弁24を閉じて、バイパス空気弁25及び空気圧力調整弁28を開いた状態で空気コンプレッサを起動し、排気管27に十分な空気流を形成し後に、カソード空気弁24を開く。これにより、カソード4に供給された空気が運転停止中にカソード4に蓄積した透過水素、或いは起動時のVLC制御中にアノードからカソードへ透過した水素をカソード空気排出路26へ押し出す。このとき、既にバイパス空気流路23から排気管27にかけて十分な空気流が形成されているために、カソード空気排出路26に排出された透過水素は、効率よくバイパス空気流路23から供給される空気により希釈され、水素燃焼下限界未満の濃度で系外へ排出される。
システム制御部30は、燃料電池システムの起動、停止、発電時に、各センサ信号を用いてシステム内の各アクチュエータをコントロールして、酸化剤ガス及び燃料ガスのガス供給、燃料循環路のガス循環、不純物を含んだガスの排出、及び燃料電池2からの電流取り出しを制御する制御手段である。
電力制御装置31は、燃料電池2から電流を取り出して、負荷装置32へ電力を供給する電流取出手段である。
尚、本実施例においては、システム制御部30は、CPUと、制御プログラム及び制御パラメータを記憶したROMと、作業用RAMと、入出力インタフェースとを備えたマイクロプロセッサで構成され、その制御機能は、制御プログラムの実行により達成される。
次に、図3のフローチャートを参照して、システム制御部30による燃料電池システムの起動時の動作を説明する。図示しないキースイッチがオフからオンの状態へ切り換えられたり、燃料電池システムの低負荷時のアイドルストップ状態から復帰する場合、図3の起動制御が開始される。
起動制御が開始されると、まずステップ(以下、ステップをSと略す)102において、システム制御部30は、カソード空気弁24、バイパス空気弁25、空気圧力調整弁28を閉じ、次いで、S104でパージ弁18を閉じる。尚、燃料電池システムの停止状態の仕様によっては、停止中に、空気圧力調整弁28及びパージ弁18を閉じた状態に保持するものがあり、その場合には、S102における空気圧力調整弁28の閉鎖及びS104は省略可能である。
次いで、システム制御部30は、水素循環ポンプ15を起動して、アノード3と水素循環路16との間にガス流を形成する。これは、水素供給開始前に、燃料循環系にガス流を生じさせることにより、水素供給を開始したときに、各セルへ均等に水素が分配されるようにするためである。このとき、水素循環ポンプ15を回転駆動する目標回転速度は、アノード3に供給される循環ガスが燃料電池2を構成する各セルに均一にガスが分配される目標回転速度とする。
次いで、S108で水素供給を開始してもよいか否かを判断し、判断結果がOKとなるまで、S108を繰り返す。この判断は、例えば、水素循環ポンプの回転速度が目標回転速度まで立ち上がってから、アノード3と水素循環路16内のガスがほぼ均一と見なせるまでに循環を繰り返すのに要する所定時間を経過した場合に水素供給開始と判断する。この所定時間は、アノード3内部のガス流路の容積、形状や、水素循環路16の容積、形状、及び水素循環ポンプ15の循環能力により異なる値であり、実機により予め実験的に求めて、システム制御部30に記憶させておくものとする。
S108で、水素供給を開始してもよいと判断すると、S110へ進み、水素圧力調整弁13を開いて水素供給を開始する。このとき、既に水素循環ポンプ15が動作しているので、燃料電池2のアノード3には、各セルに均一にガスが分配されるガス流が形成されている。このため、水素圧力調整弁13から供給される水素は、燃料電池2を構成する各セルへ均一に分配される。
通常、燃料電池2は、アノード3に燃料ガスを供給するための燃料供給マニホルドと、アノード3で消費されなかった燃料ガスを排出するための燃料排出マニホルドとを備えている。この燃料供給マニホルドから燃料電池2を構成する各セルのアノード入口へ分岐するガス通路の形状、及び各セルのアノード出口から集合して燃料排出マニホルドに至るガス通路の形状に従って、各セルへ均一にガスが分配される水素循環ポンプ15の回転速度(或いは回転速度領域)が決まる。
本実施例では、水素供給開始前に、燃料ガスが各セルに均一に分配される回転速度で、予め水素循環ポンプ15を回転駆動しているために、水素供給を開始したときには、水素が各セルへ均一に供給される。これにより、VLC制御のために燃料電池2から電流を取り出したときに、水素供給不足のセルが転極を起こす虞がなくなり、転極による劣化を防止することができる。
次いで、S112では、燃料電池2から電力制御装置31によって電流取出を開始するか否かの判断を行う。この判断は無条件に成立するとして、直ちにS114の電流取出開始へ進んでもよいし、電力制御装置31が検出した燃料電池2の電圧(総電圧)が所定値以上となって、各セルへ水素が到達し始めたことを確認してから電流取出を開始すると判断してもよい。
S112で電流取出を開始すると判断した場合、S114へ進み、システム制御部30から電力制御装置31へ指示して、燃料電池2から電流取出を行わせる。このとき、取り出した電流は、図示しないバッテリ等の蓄電装置へ充電してもよいし、電力制御装置31内部で消費させてもよい。この電流取出により、カソード4の内部の空気中の酸素が消費されるとともに、燃料電池2のスタック電圧の上昇が制限される(VLC制御)。
ここで、空気圧力調整弁28は閉じられており、空気コンプレッサ20は、回転していないので、カソード4は密閉され、カソード4中の酸素は、電流消費とともに発電反応により水となって消費され、取出電流は0へ向かって低下する。
次いで、S116で電流取出の終了を判断する。電流取出終了と判断されないと、電流取出を継続しながら、電流取出終了と判断されるまでS116で待機する。電流取出終了の判断条件は、例えば、取出電流が所定電流値以下となったことである。このとき、回転停止している空気コンプレッサ20から漏洩する僅かな空気や、場合によっては、空気圧力調整弁28からの漏洩空気により、取出電流は完全に0とならず、燃料電池2の定格電流(例えば、移動体駆動用では、100[A]のオーダ)に比べて非常に小さい或る電流値に落ち着くことがある。このため、S116における所定電流値は、空気コンプレッサ20の回転停止時の気密性能等を考慮して、実験的に決定することとなるが、例えば、数十[mA]とすることができる。
S116で電流取出終了と判断されると、S118へ進み、電力制御装置31の電流取出を停止する。次いでS120で、システム制御部30は、バイパス空気弁25及び空気圧力調整弁28を開き、S122で空気コンプレッサ20を起動する。これにより、空気コンプレッサ20、バイパス空気流路23、排気管27という経路で空気の流れが作られる。ここで、空気コンプレッサ20からバイパス空気流路23へ供給する空気流量は、燃料電池2のカソード4内部に滞留している水素量に応じて求まる空気流量以上の流量とすることが好ましい。図4は、カソード内水素量に対する空気流量の関係例を示すグラフである。カソード4の内部に滞留している水素量は、主にVLC制御時にアノードからカソードへ透過する水素量とすれば、透過水素量は透過膜両面における圧力差に比例する。このため、図5に示すように、圧力計17が検出したアノード3の水素圧力にカソードの水素量が比例するものとして、カソードの水素量を推測することができる。これにより、必要最小限の空気流量でカソードに滞留した水素を燃焼下限界未満に希釈することができる。また、図6に示すように、起動時のVLC制御の継続時間であるアノード内水素保持時間から、カソード4内の滞留水素量を推定することもできる。
次いでS124で、システム制御部30は、カソード4へ空気供給を開始するか否かを判断する。S124の判定は、例えば空気コンプレッサ20の起動から所定時間経過したか否かで判定する。これには、予め空気コンプレッサ20の起動から十分な空気流が作られるのに要する時間を実験的に求めて、システム制御部30に記憶しておき、空気コンプレッサ20の起動後の経過時間と所定時間とを比較して判定できる。
S124で、カソード4へ空気供給を開始すると判定した場合、S126へ進み、カソード空気弁24を開いてカソード4への空気供給を開始する。次いで、S128で、カソードに供給された空気により、カソード4に蓄積していた透過水素が十分排出されたか否か、言い換えればカソード換気が完了したか否かを判定する。完了していなければ、S128を繰り返して完了するまで待機する。この判定は、カソード空気弁24を開いてからの経過時間が予め実験的に求めたカソード換気に要する所定時間を経過したか否かで判定することができる。
S128で、システム制御部30がカソード換気か完了したと判定した場合、S130でバイパス空気弁25を閉じて、起動完了となる。
尚、本実施例では、カソード空気弁24とバイパス空気弁25とを独立した弁として設けたが、これら2つの弁を一つの開度調節可能な三方弁として設けることも可能である。この場合、カソード側開度を0として三方弁から予めバイパス空気流路側へ空気を流しておき、空気流量が立ち上がった後に、カソード供給側の開度を0から増加させることにより、カソード滞留水素を効率的に希釈することができる。三方弁の開度変更に応じてカソードから押し出されるガスがタイミング良くバイパス空気と混合されるためには、バイパス流路側の容積をカソード側の容積より大きくすることが好ましい。
以上説明した本実施例によれば、燃料電池システムの起動時に、酸化剤極に滞留した水素がバイパス空気流路を流れる空気により効率よく希釈され、希釈のための空気流量が少なくてすむので、空気コンプレッサが水素の希釈のために大電力を消費して燃費性能が低下することを防止できるとともに、大量の希釈空気の排出により騒音が発生することも防止することができるという効果がある。
次に、本発明に係る燃料電池システムの実施例2を説明する。図2は、本発明に係る燃料電池システム1の実施例2の概略構成を説明するシステム構成図である。本実施例の構成と、図1に示した実施例1の構成上の相違は、バイパス空気流路23がスタックケース5内を通過していることと、スタックケース5の内部とカソード4のガス流路とを切り離すために、カソード空気排出路26を開閉するカソード空気排出弁29が追加されていることである。カソード空気排出弁29は、VLC制御中のカソード密閉時に閉じられ、それ以外は開くように制御される。本実施例では、バイパス空気流路23がスタックケース5を経由しているため、バイパス空気流路に流す空気により、燃料電池2からスタックケース5の内部に漏洩した水素も効率よくバイパス空気流路から供給される空気で希釈することができる。
尚、本実施例の制御フローチャートは、図3に示した実施例1の制御フローチャートと同様であるが、バイパス空気流路への空気供給タイミングを早めることもできる。即ち、S110の水素供給開始に引き続いて、バイパス空気弁25及び空気圧力調整弁28を開いて空気コンプレッサ20を起動し、スタックケースの換気を始めてもよい。
また、スタックケース5の内部に水素濃度センサを設けて、この水素濃度センサが検出した水素濃度が燃焼下限界未満の所定濃度を超えないような空気流量で、バイパス空気流路23からスタックケース5内部へ空気を供給するようにすれば、必要最低限の空気流量でスタックケースへ漏洩した水素を燃焼下限界未満に希釈することができる。
また、上記の空気流量をシステム制御部30に記憶しておき、次回の起動時には、この記憶した空気流量を利用して、スタックケース5内部の換気空気流量の初期値を設定するようにすれば、起動の初期から適正な空気流量を供給することができるという効果がある。
本発明に係る燃料電池システムの実施例1を示すシステム構成図である。 本発明に係る燃料電池システムの実施例2を示すシステム構成図である。 実施例1における燃料電池システム起動時のフローチャートである。 カソード内水素量に対するバイパス空気流路の空気供給量の関係例を示す図である。 アノード内水素圧力に対するカソード内水素量の関係例を示す図である。 アノード内水素保持時間に対するカソード内水素量の関係例を示す図である。
符号の説明
1:燃料電池システム
2:燃料電池
3:アノード
4:カソード
5:スタックケース
11:高圧水素タンク
12:減圧弁
13:水素圧力調整弁
14:水素供給路
15:水素循環ポンプ
16:水素循環路
17:圧力計
18:パージ弁
20:空気コンプレッサ
21:空気供給路
22:カソード空気供給路
23:バイパス空気流路
24:カソード空気弁
25:バイパス空気弁
26:カソード空気排出路
27:排気管
28:空気圧力調整弁
29:カソード空気排出弁
30:システム制御部
31:電力制御装置
32:負荷装置

Claims (12)

  1. 燃料極と酸化剤極との間に電解質膜を挟持させてなるセルを複数積層した燃料電池と、
    前記燃料極に燃料ガスを供給する燃料供給手段と、
    前記燃料極から排出された燃料ガスを再度燃料極へ循環させる燃料循環経路と、
    燃料循環経路内のガスを圧送する燃料循環手段と、
    前記燃料循環経路から不純物を含む燃料ガスを系外へ排出する排出手段と、
    前記酸化剤極に空気を供給する空気供給手段と、
    前記空気供給手段と前記酸化剤極入口との間の空気供給路から分岐して前記酸化剤極出口の下流で合流するバイパス空気流路と、
    前記空気供給手段から前記酸化剤極と前記バイパス空気流路とに供給するそれぞれの空気流量を調節する空気流量調節手段と、
    を備えた燃料電池システムであって、
    燃料電池システムの起動時に、前記酸化剤極へ空気を供給しない状態で前記バイパス空気流路に空気を供給し、その後、前記酸化剤極に空気を供給することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記バイパス空気流路へ供給する空気流量は、燃料電池システムの起動時に酸化剤極に滞留している水素量に応じて求まる最低流量以上であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記酸化剤極に滞留している水素量は、運転開始前の燃料極の圧力に基づいて推定することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記酸化剤極に滞留している水素量は、運転停止中に燃料極内の水素が存在している時間に基づいて推定することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  5. 前記酸化剤極に滞留している水素量は、運転開始前の燃料極の圧力と、運転停止中に燃料極内の水素が存在している時間と、に基づいて推定することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  6. 前記分岐点から前記合流点までの前記バイパス空気流路の容積は、前記分岐点から前記合流点までの空気流路を含む酸化剤極の容積より大きいことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  7. 前記燃料電池を覆うスタックケースを備え、
    前記バイパス空気流路は、前記スタックケース内を通過することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  8. 燃料電池システムの起動時に、前記酸化剤極へ空気を供給しない状態で前記バイパス空気流路に空気を供給するとともに、燃料極へ水素を供給し、燃料極内が水素で置換された後に、前記酸化剤極に空気を供給することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料電池を覆うスタックケースを備え、
    前記バイパス空気流路は、前記スタックケース内を通過することを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。
  10. 前記バイパス空気流路へ供給する空気流量は、運転開始前の燃料極の圧力に基づいて求まる空気流量以上とすることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池システム。
  11. 前記バイパス空気流路へ供給する空気流量は、バイパス空気流が前記スタックケース通過後の水素濃度が所定濃度未満となるような流量とすることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池システム。
  12. 前回起動時のバイパス空気流量を記憶する記憶手段を備え、
    次回の起動時には、該記憶手段に記憶したバイパス空気流量をバイパス空気流量の初期値とすることを特徴とする請求項11に記載の燃料電池システム。
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