JP2007178006A - 薬液弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】 シール性を向上させると共に、気泡の滞留することのない薬液弁を提供すること。
【解決手段】 流体が流れる流路上に設けられ、ダイアフラム弁体15を作動させて弁座14に当接又は離間させることにより流体の供給を制御するものであって、ダイアフラム弁体15とサックバック用ダイアフラム弁体16とを一体的に作動させるようにした薬液弁であって、一端がサックバック用ダイアフラム弁体16と連結され、他端11aが球面状であってダイアフラム弁体15と当接する連結棒11を有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液体を供給又は遮断する薬液弁に関するものである。
従来、半導体製造装置では、半導体ウエハに所定量の薬液を塗布して、薄膜を形成している。近年、半導体製造工程では微細加工が進み、薄膜の膜厚を均一にするため、薬液の塗布量を厳しく管理する必要がある。そのため、半導体製造装置では、サックバック機構を使用している。サックバック機構では、薬液弁と塗布ノズルとの間にサックバックバルブを配設することにより、薬液弁が薬液を遮断したときに、サックバックバルブが、塗布ノズルの先端から所定の位置まで薬液を引き込むようにサックバックして、薬液が液垂れしないようにしている。これは、半導体ウエハに余分な薬液を塗布することを防ぐとともに、その次の半導体ウエハに対する薬液の塗布量が少なくなることを防いで、薬液の塗布量を均一化することにより、歩留まり率を向上させるためである。
しかしながら、従来のサックバック機構には、以下の問題があった。
すなわち、従来のサックバック機構は、薬液弁とサックバックバルブとが経時的変化により作動タイミングにズレを発生し、薬液の吸い戻し量にバラツキを生じていた。薬液弁とサックバックバルブは、一定のタイミングで出力される電気信号に従って作動するが、薬液弁のダイアフラム弁体と、サックバックバルブのダイアフラム弁体とを機械的に作動させるため、電気信号が出力される電気信号出力時間と作動を完了する作動完了時間との間にタイムラグが生じ、さらに、薬液弁の作動完了時間とサックバックバルブの作動完了時間との間にタイムラグが生じていた。
ここで、薬液弁とサックバックバルブは、各々のダイアフラム弁体を独立して作動させるため、ダイアフラム弁体の劣化の程度に差が生じ、タイムラグが経時的変化によってズレを生じていた。このタイムラグのズレにより、サックバックバルブが薬液を吸い戻すタイミングや液量などにバラツキが生じ、ひいては、薬液を塗布ノズルの先端から所定の位置まで引き込むことが困難な場合があった。
その問題を解決するために、本出願人は、特願2002−77522号として、特許出願を行った。また、特開2003−185053号公報(特許文献1)として公開されているものがある。
その弁の構造は、ダイアフラム弁体15と、それと略同一形状で逆向きに取り付けられたサックバック用ダイアフラム弁体とを連結棒23で連結させ、同期させて動かすことを基本的な技術的思想としている。
特開2003−185053号公報
しかしながら、従来の薬液弁には、次のような問題点があった。
(1)特許文献1には明確に記載されていないが、本出願人の特願2002−77522号には、図5に示す薬液弁が開示されている。ただし、図5は、図中「上」「下」と記載されたように取り付けられるが、これは、特願2002−77522号の図1を90度回転させた状態を示している。
貫通孔10に嵌挿された連結棒11の左端部は円筒形状であり、弁座14に当接又は離間するダイアフラム弁体15に形成された円筒孔が、連結棒11の左端部に嵌合され連結されている。また、連結棒11の右端部は円筒形状であり、ダイアフラム弁体15と同一
形状をなすサックバック用ダイアフラム弁体16に形成された円筒孔が、連結棒11の右端部に嵌合され連結されている。これにより、ダイアフラム弁体15とダイアフラム弁体16とは逆向きに連結され、ダイアフラム弁体15とサックバック用ダイアフラム弁体16とは、貫通孔10に対して、対向する様にそれぞれ取り付けられている。
ここで、ダイアフラム弁体15が弁座14に当接することにより、流体が遮断されシールさせている。しかしながら、ダイアフラム弁体15が連結棒11の左端部に嵌合して連結され、連結棒11の右端部がサックバック用ダイアフラム16に嵌合して連結されているので、ダイアフラム弁体15が弁座14に当接する角度がサックバック用弁体16の動きの影響を受けるため、ダイアフラム弁体15が弁座14に対して垂直に当接できず片当たりして、シールが不完全となり流体が漏れる可能性があった。
(2)特願2002−77522号の図1に記載された薬液弁は、本願の図5に記載されたものと90度回転した状態でいる。従来、特願2002−77522号の図1に記載された方向で使用するのが一般的であるが、気泡がダイアフラム弁体15の付近に滞留していて抜けないため、薬液を供給するときに、気泡が混入するという不都合があった。そのため、現場においては、本願の図2に示すような上下方向で使用していた。
しかしながら、図2のように使用しても、ダイアフラム作動室17の上部に気泡が滞留する問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、シール性を向上させると共に、気泡の滞留することのない薬液弁を提供することを目的とする。
本発明に係る薬液弁は、次のような構成を有している。
(1)流体が流れる流路上に設けられ、ダイアフラム弁体を作動させて弁座に当接又は離間させることにより流体の供給を制御するものであって、ダイアフラム弁体とサックバック用ダイアフラム弁体とを一体的に作動させるようにした薬液弁であって、一端がサックバック用ダイアフラム弁体と連結され、他端が球面状であってダイアフラム弁体と当接する連結棒を有する。
(2)(1)に記載する薬液弁において、前記サックバック用ダイアフラム弁体は、前記ダイアフラム弁体と略同一形状をなし、前記ダイアフラム弁体とは逆向きに取り付けられることを特徴とする。
(3)流体が流れる流路上に設けられ、ダイアフラム弁体を作動させて弁座に当接又は離間させることにより流体の供給を制御するものであり、ダイアフラム弁体とサックバック用ダイアフラム弁体とを一体的に作動させるようにした薬液弁であって、ダイアフラム弁体がその一部を形成するダイアフラム弁室に設けられた気泡用開口と、気泡用開口と連通して、ダイアフラム作動室に停滞した気泡を自動的に排除する気泡抜き弁とを有する。
次に、上記構成を有する薬液弁の作用・効果を説明する。
上記(1)に記載する薬液弁によれば、ダイアフラム弁体側の連結棒の端部が球面状であって、ダイアフラム弁体と当接しているので、ダイアフラム弁体が連結棒に対して回動可能な状態にある。それにより、ダイアフラム弁体が弁座に当接したときに、ダイアフラム弁体がサックバック用ダイアフラムの影響を受けることが無いため、ダイアフラム弁体が弁座に均一に当接でき、シール性が向上する。ここで、ダイアフラム弁体と連結棒とは当接しているのみで連結されていないが、上下に設けられた圧縮バネによりダイアフラム弁体と連結棒とは常に当接する方向に付勢されているので、上下方向には連結された状態で作動している。
上記(2)に記載する薬液弁によれば、サックバック用ダイアフラム弁体はダイアフラム弁体と対応して作動し、ダイアフラム弁体の作動に伴う容積変化量とサックバック用ダイアフラム弁体の作動に伴う容積変化量とが同じになるため、ダイアフラム弁体が弁座に当接しているときでも、また、離間しているときでも、ダイアフラム弁体で仕切られる空間とサックバック用ダイアフラム弁体で仕切られる空間との総容積が変化せず、薬液の押し出しを効果的に防止することができる。
上記(3)に記載する薬液弁によれば、最も気泡が滞留しやすい箇所に気泡用開口を設けると共に、気泡用開口と連通する気泡抜き弁を自動的に作動させることにより、気泡の滞留を防止することができる。気泡抜き弁は、本体であるダイアフラム弁体が作動していないとき等、ダイアフラム弁の作用に影響を与えないときに作動させる。
本発明に係る薬液弁の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、薬液弁の断面図である。薬液弁は、大きく薬液弁本体1と、気泡抜き弁30とより構成されている。図中、「上」と記載した方向が実際に上向きに、「下」と記載した方向が実際に下向きに取り付けられる。
制御部は、円筒形状のシリンダ2にカバー3を取り付けてピストン室4が形成され、そのピストン室4にピストンロッド5が摺動可能に嵌挿されて、上側ピストン室4aと下側ピストン室4bに分割されている。ピストンロッド5には、上側ピストン室4aに装備された付勢バネ6によって常に図中下向きの力が作用している。その一方で、上側ピストン室4aにはカバー3に形成された吸排気ポート7が連通するとともに、下側ピストン室4bにはシリンダ2に形成された操作ポート8が連通している。そのため、ピストンロッド5には、操作ポート8から下側ピストン室4bに圧縮空気を流入させることによって図中左向きの力を作用させることができ、さらに、操作ポート8から圧縮空気を流出させることによって、図中右向きの力を解除させることができるようになっている。
一方、弁部は、制御部に固定されるボディ9に内設されている。ボディ9には、ピストン室4及びピストンロッド5と同軸上に貫通孔10が形成され、そこに連結棒11が嵌挿されている。貫通孔10の両端には、貫通孔10より大径の開口部が形成され、制御部側(図中上側)開口部には入力ポート12が、また、反制御部側(図中下側)開口部には出力ポート13がそれぞれ連通し、さらに、制御部側(図中左側)開口部と貫通孔10との間の段差を利用して弁座14が設けられている。
貫通孔10に嵌挿された連結棒11の左端部11aは半球面状である。そして、弁座14に当接又は離間するダイアフラム弁体15の右端面には、左端部11aと略同じ形状の半球面孔が形成されている。その半球面孔に連結棒11の左端部11aが当接されており、連結棒11は、ダイアフラム弁体15に対して回動自在とされている。
連結棒11の右端部には、ダイアフラム弁体15と同一形状をなすサックバック用ダイアフラム弁体16がダイアフラム弁体15とは逆向きに固定され、そのダイアフラム弁体15とサックバック用ダイアフラム弁体16は制御部側(図中左側)開口部と反制御部側(図中右側)開口部に対向する様にそれぞれ取り付けられている。
ダイアフラム弁体15は、ボディ9とシリンダ2で狭持される周縁部15aと、中心部に設けられて弁座14に当接又は離間する弁体部15cが肉厚に形成され、その周縁部15aと弁体部15cとの間に薄膜部15bが一体的に形成されている。弁体部15cは、連結棒11と連結するために連結棒11側に突出し、その突出方向と反対方向に薄膜部15bが湾曲している。こうしたダイアフラム弁体15は、弁体部15cが制御部のピストンロッド5の右端部に螺合接続され、薄膜部15bでボディ9の制御部側(図中左側)開口部を仕切って作動室17を形成している。
一方、サックバック用ダイアフラム弁体16は、ボディ9とダイアフラム保持部材19で狭持される周縁部16aと、中心部に設けられた弁体部16cが肉厚に形成され、その周縁部16aと弁体部16cとの間に薄膜部16bが一体的に形成されている。弁体部16cは、連結棒11と連結するために連結棒11側に突出し、その突出方向と反対方向に薄膜部16bが湾曲している。こうしたサックバック用ダイアフラム弁体16は、弁体部15cがダイアフラム保持部材19に摺動可能に嵌挿されたバネ受け21に固定され、薄膜部16bでボディ9の反制御部側(図中右側)開口部を仕切ってサックバック室20を形成している。
従って、入力ポート12と出力ポート13は、ダイアフラム作動室17、弁座14、貫通孔10、サックバック室20を介して連通し、薬液の流路を形成している。
そして、ダイアフラム弁体15の弁体部15cには、制御部のピストンロッド5を介して付勢バネ6の図中右向きの力を常に作用させている。その一方で、サックバック用ダイアフラム弁体16の弁体部16cには、バネ受け21を介してダイアフラム保持部材19と取付板22との間に装備されたスプリング23の図中左向きの力を常に作用させている。つまり、ダイアフラム弁体15には、常に弁体部15cを弁座14に当接する力を作用させ、薬液弁40をノーマルクローズタイプの弁にしている。同時に、スプリング6及びスプリング23の付勢力により、連結棒11が常にダイアフラム弁体15に押圧されており、連結棒11とダイアフラム弁15とは、左右方向に関しては常に一体的に移動する。
次に、気泡抜き弁30の構成を説明する。
ダイアフラム作動室17の断面積は、ダイアフラムの薄膜部15b側が小さく弁座14側が大きく形成されている。すなわち、ダイアフラム作動室17の外壁部は弁座側に向かって広がるように傾斜が形成されている。その傾斜の頂点付近の一箇所、図中ダイアフラム作動室17の最上端部に気泡用開口18が形成されている。
気泡用開口18は、連通路40を介して気泡抜き弁室44と連通している。気泡抜き弁室44には、弁座39が形成されている。弁座39には、ダイアフラム弁体38が当接及び離間可能なように取り付けられている。ダイアフラム弁体38は、パイロット弁のピストンロッド32の右端部に連結されている。ピストンロッド32のピストン部は、シリンダ室45a,45bとを隔離している。シリンダ室45aには、パイロット空気供給口33が連通され、気泡抜き弁2を作動させるための作動空気が供給される。ピストンロッド32は、バネ34により常に弁座39に当接する方向に付勢されている。
一方、ピストンロッド32の左端には、調整ロッド35が当接しており、調整ロッド35の位置により、気泡抜きの量を調整可能としている。調整ロッド35は、調整つまみ36により調整され、ロックナット37により固定される。
次に、上記構成を有する薬液弁の作用を説明する。始めに、薬液弁本体1の動作について説明する。
図1の状態で操作ポート8から下側ピストン室4bに圧縮空気を供給すると、ピストンロッド5が付勢バネ6の力に反して図中上向きに移動し、ダイアフラム弁体15の弁体部15cを図1の状態から図2の状態まで引き上げる。そのため、ダイアフラム弁体15の弁体部15cは、弁座14から離間する一方、連結棒11を介してサックバック用ダイアフラム弁体16の弁体部16cをスプリング23の図中下方向の力に反して図1の状態から図2の状態まで引き上げる。これにより、入力ポート12と出力ポート13が弁座14を介して連通し、薬液が図示しない塗布ノズルから半導体ウエハ上に塗布される。
そして、半導体ウエハに薬液を所定量塗布すると、操作ポート8から圧縮空気を流出させる。ピストンロッド5は、図中左向きの力を解除されて、付勢バネ6の力で図中右向きに移動し、ダイアフラム弁体15の弁体部15cを押し下げる。そのため、ダイアフラム
弁体15の弁体部15cは、弁座14に当接する一方、連結棒11を介してサックバック用ダイアフラム弁体16の弁体部16cを押し下げる。このとき、サックバック用ダイアフラム弁体16は、スプリング23の図中右向きの力を連結棒11を介してダイアフラム弁体15に伝達し、ダイアフラム弁体15には、付勢バネ6とスプリング23の図中右向きの力が作用して、弁体部15cが弁座14に密着する。これにより、入力ポート12と出力ポート13がダイアフラム弁体15で遮断され、薬液が塗布ノズル60から半導体ウエハ上に塗布されなくなる。
ここで、連結棒11の左端部11aが半球形状であり、一方ダイアフラム弁体15の右端面に略同じ半球形状孔が形成されていて、半球形状孔に左端部11aが当接しているので、連結棒11は、ダイアフラム弁体15と左右方向に一体的に移動しながら、回動できるため、ダイアフラム弁体15は、弁座14に対して均一な力で当接できる。これにより、シール性が向上し、流体が漏れるおそれがない。
次に、ダイアフラム弁体15とサックバック用ダイアフラム弁体16の作動関係について説明する。図2は、ダイアフラム弁体15及びサックバック用ダイアフラム弁体16の作動に関するタイムチャートである。図3は、ダイアフラム弁体15の薄膜部15bの作用説明図であって、閉弁状態を実線で示し、開弁状態を点線で示している。図4は、サックバック用ダイアフラム弁体16の薄膜部16bの作用説明図であって、サックバック状態を実線で示し、非サックバック状態を点線で示している。
図2に示すように、薬液弁1は、薬液弁1に開動作信号を入力すると、作動し始め、図3に示すように、ダイアフラム弁体15の弁体部15cを所定量Mだけ上向きに移動させる。この機械的動作のため、開動作信号出力時間Aと現実にダイアフラム弁体15が開動作を完了する開動作完了時間Bとの間にはタイムラグが生じる。その一方で、サックバック用ダイアフラム弁体16は、ダイアフラム弁体15と連結棒11を介して連結するため、図2及び図4に示すように、ダイアフラム弁体15の開動作開始時間A及び開動作完了時間Bと同じタイミングで、すなわち、ダイアフラム弁体15と同期して所定量Mだけ引き上げられる。
このとき、ダイアフラム弁体15では、図3に示すように、薄膜部15bの弁体部15c側端部を所定量Mだけ引き上げ、薄膜部15bによって仕切られる容積をSだけ大きくするため、ダイアフラム作動室17の容積が大きくなる。それに対して、サックバック用ダイアフラム弁体16では、図4に示すように、薄膜部16bの弁体部16c側端部を所定量Mだけ引き上げられ、薄膜部16bによって仕切られる容積がTだけ小さくなるため、サックバック室20の容積が小さくなる。ここで、ダイアフラム弁体15とサックバック用ダイアフラム弁体16とは同一形状をなし、しかも、薄膜部15b,16bの変位量が同じであるため、ダイアフラム作動室17の容積増加量Sとサックバック室20の容積減少量Tとが同じになり、ダイアフラム作動室17とサックバック室20の総容積は、ダイアフラム弁体15の開動作によって変化しない。
そして、図2に示すように、薬液弁1は、開動作信号を入力しなくなると、作動を停止し、ダイアフラム弁体15の弁体部15cを図3に示すように所定量Mだけ下向きに移動させる。この機械的動作のため、開動作開始信号出力時間Cと現実にダイアフラム弁体15が閉動作を完了する閉動作完了時間Dとの間にはタイムラグが生じる。その一方で、サックバック用ダイアフラム弁体16は、ダイアフラム弁体15と連結棒11を介して連結するため、図2及び図4に示すように、ダイアフラム弁体15の閉動作開始時間Cと閉動作完了時間Dと同じタイミングで、すなわち、ダイアフラム弁体15と同期して所定量Mだけ押し下げられる。
このとき、ダイアフラム弁体15では、図3に示すように、薄膜部15bの弁体部15
c側端部を所定量Mだけ押し下げ、薄膜部15bによって仕切られる容積をSだけ小さくするため、ダイアフラム作動室17の容積が小さくなる。それに対して、サックバック用ダイアフラム弁体16では、図4に示すように、薄膜部16bの弁体部16c側端部を所定量Mだけ押し下げられ、薄膜部16bによって仕切られる容積がTだけ大きくなるため、サックバック室20の容積が大きくなる。ここで、ダイアフラム弁体15とサックバック用ダイアフラム弁体16とは同一形状をなし、しかも、薄膜部15b,16bの変位量が同じであるため、ダイアフラム作動室17の容積減少量Sとサックバック室20の容積増加量Tとが同じになり、ダイアフラム作動室17とサックバック室20の総容積は、ダイアフラム弁体15の閉動作によって変化しない。
従って、本実施の形態の薬液弁によれば、ダイアフラム弁体15とサックバック用ダイアフラム弁体16とが同期して作動するため(図2参照)、ダイアフラム弁体15とサックバック用ダイアフラム弁体16の経時的変化を同程度とすることができ、両者の作動タイミングにズレが発生しないので、薬液を常に一定量ずつ吸い戻し、液垂れを防止することができる。そのため、薬液を塗布ノズルの先端から所定の位置まで常に吸い込み、薬液の塗布量が安定する。
そして、薬液弁は、従来のサックバックバルブと同様の機能を果たすサックバック用ダイアフラム弁体16を内蔵しているので、サックバックバルブを薬液弁1と別個独立に設ける必要がなく、部品点数を減らして流路を効率的に短くすることができる。
また、本実施の形態の薬液弁によれば、ダイアフラム弁体15とサックバック用ダイアフラム弁体16とが連結棒11を介して上下方向に一体的に作動するので(図1参照)、簡単な構造でサックバック用ダイアフラム弁体16をダイアフラム弁体15と同期して作動させることができる。
更に、本実施の形態の薬液弁によれば、サックバック用ダイアフラム弁体16がダイアフラム弁体15と対応して同じ量Mだけ作動し、サックバック用ダイアフラム弁体16の薄膜部16bがダイアフラム弁体15の薄膜部15bと対応して同じ量だけ変位するので(図3、図4参照)、ダイアフラム弁体15の薄膜部15bの変位に伴う容積変化量Sとサックバック用ダイアフラム弁体16の薄膜部16bの変位に伴う容積変化量Tとが同じになる。そのため、ダイアフラム弁体15が弁座14に当接しているときでも、また、離間しているときでも、ダイアフラム作動室17とサックバック室20の総容積が変化せず、薬液の押し出しを効果的に防止することができる。
次に、気泡抜き弁30の作用を説明する。気泡抜きは、薬液弁に対して影響を与えないようにするため、薬液を供給していないとき、具体的には、薬液を供給する所定時間前等に行う。薬液供給の直後に行うと、まだ、気泡が出きっていない場合があるからである。
パイロット空気供給口33に空気を供給することにより、ピストンロッド32が調整ロッド35に当接する位置まで左側に移動する。これにより、弁が開いて気泡抜き開口31と気泡抜き口44とが連通し、気泡は気泡抜き口44へと移動する。
このとき、ダイアフラム作動室17に傾斜が設けられており、気泡抜き開口31がダイアフラム作動室の最上部に形成されているので、ダイアフラム作動室17内にある全ての気泡を効率よく抜くことができる。
これにより、薬液を供給するときに薬液に気泡が混入することがなくなり、安定して薬液を供給することができる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態の薬液弁によれば、流体が流れる流路上に設けられ、ダイアフラム弁体15を作動させて弁座14に当接又は離間させることにより流体の供給を制御するものであって、ダイアフラム弁体15とサックバック用ダイアフラム
弁体16とを一体的に作動させるようにした薬液弁であって、一端がサックバック用ダイアフラム弁体16と連結され、他端11aが球面状であってダイアフラム弁体15と当接する連結棒11を有しているので、ダイアフラム弁体15が弁座14に当接したときに、ダイアフラム弁体15がサックバック用ダイアフラム16の影響を受けることが無いため、ダイアフラム弁体15が弁座14に均一に当接でき、シール性が向上する。
また、サックバック用ダイアフラム弁体16は、ダイアフラム弁体15と略同一形状をなし、ダイアフラム弁体15とは逆向きに取り付けられているので、サックバック用ダイアフラム弁体16はダイアフラム弁体15と対応して作動し、ダイアフラム弁体15の作動に伴う容積変化量とサックバック用ダイアフラム弁体16の作動に伴う容積変化量とが同じになるため、ダイアフラム弁体15が弁座14に当接しているときでも、また、離間しているときでも、ダイアフラム弁体15で仕切られる空間とサックバック用ダイアフラム弁体16で仕切られる空間との総容積が変化せず、薬液の押し出しを効果的に防止することができる。
また、流体が流れる流路上に設けられ、ダイアフラム弁体を作動させて弁座に当接又は離間させることにより流体の供給を制御するものであり、ダイアフラム弁体とサックバック用ダイアフラム弁体とを一体的に作動させるようにした薬液弁であって、ダイアフラム弁体がその一部を形成するダイアフラム弁室に設けられた気泡用開口と、気泡用開口と連通して、ダイアフラム作動室に停滞した気泡を自動的に排除する気泡抜き弁とを有するので、ダイアフラム作動室17内にある全ての気泡を効率よく抜くことができ、薬液を供給するときに薬液に気泡が混入することがなくなり、安定して薬液を供給することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、上記実施形態の連結棒の左端部11aは、半球形状としたが、半球状でなくても円弧状であってダイアフラム弁体15がある程度回動できるものであれば良い。
また、気泡抜き弁として空気圧によるパイロット弁を説明したが、電磁弁等を用いても良いのは当然である。
本発明の実施の形態である薬液弁の構成を示す断面図である。 ダイアフラム弁体及びサックバック用ダイアフラム弁体の作動に関するタイムチャートである。 ダイアフラム弁体の薄膜部の作用説明図であって、閉弁状態を実線で示し、開弁状態を点線で示している。 サックバック用ダイアフラム弁体の薄膜部の作用説明図であって、サックバック状態を実線で示し、非サックバック状態を点線で示している。 本出願人が特願2002−77522号で提案した薬液弁の構成を示す断面図である。
符号の説明
1 薬液弁本体
11 連結棒
14 弁座
15 ダイアフラム弁体
16 サックバック用ダイアフラム弁体

Claims (1)

  1. 流体が流れる流路上に設けられ、ダイアフラム弁体を作動させて弁座に当接又は離間させることにより流体の供給を制御するものであって、前記ダイアフラム弁体とサックバック用ダイアフラム弁体とを一体的に作動させるようにした薬液弁において、
    前記ダイアフラム弁体がその一部を形成するものであり、前記ダイアフラム弁体側から前記弁座側へ広がるように外壁部に傾斜が設けられたダイアフラム弁室と、
    前記傾斜の頂点付近に設けられた気泡用開口と、
    前記気泡用開口と連通して、前記ダイアフラム作動室に停滞した気泡を自動的に排除する気泡抜き弁とを有することを特徴とする薬液弁。
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