JP2005163982A - 薬液弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】 流体が流れる流路上に設けられ、弁体を揺動させて、弁座に当接又は離間させることにより流体を制御するとともに、薬液弁内部を流路部と作動部とに隔離した薬液弁において、弁の内部容積の変化により発生する薬液の液垂れ、吸込を防止するとともに、弁体の可動部分の劣化も防止することができる薬液弁を提供する。
【解決手段】 流路12a内に形成した、棒状部10bと、棒状部10b先端に形成され、弁座14と当接離間する球状弁部10aと、棒状部10b上部より延出するとともに、球状弁部10a及び棒状部10bと一体に形成された膜部10cを有するとともに、流路12aと作動空間21とを隔離するダイアフラム弁体10をピストン33によりロッド23を介して揺動操作可能に構成する。
【選択図】 図1










Description

本発明は、液体を供給又は遮断する薬液弁に関するものである。
従来、半導体製造装置では、半導体ウエハに所定量の薬品を塗布して、薄膜を形成している。近年、半導体製造工程では微細加工が進み、薄膜の膜厚を均一にするため、薬液の塗布量を厳密に管理する必要がある。
しかしながら、従来の薬液弁として利用されていたダイアフラム弁では、流路が複雑に折曲しており、流体の流れも遅いため、流路内での液溜りが発生し、薬液品質に悪影響を及ぼしている。更に、弁体が変位した際の薬液弁内部の容積変化が大きいため、薬液弁の開動作時には、薬液を吸い込み、閉動作時には、薬液を押し出してしまう。この結果、薬液塗布ノズルにおいて、液垂れが生じ、半導体ウエハにおける薬液塗布量に、大きな誤差が生じてしまう。
このように、従来の薬液弁の単独使用では、薬液塗布量の厳密な管理をすることができず、サックバック機構を設けなければならなかった。
このサックバック機構(特許文献1図6参照)は、薬液弁と塗布ノズルの間に、サックバック弁を配設してなり、薬液弁が薬液を遮断した際に、サックバック弁が塗布ノズルの先端から所定の位置まで引き込むようにサックバックし、液垂れを防止するように構成したものである。これにより、半導体ウエハにおける薬液の塗布量を厳密に管理することを可能とし、薬液塗布量の均一化を可能としたものである。
しかし、特許文献1図6に記載されているような、従来の薬液弁とサックバック弁の2つの弁を配設する場合には、2つの弁自体のスペースに加え、2つの弁の連結管のスペースも必要となる。この結果、配管スペースを大きく確保しなければならず、半導体製造装置自体が大きくなってしまう。また、薬液弁及びサックバック弁は、ともに弁内部の流路が複雑に屈曲しているので、屈曲部における液溜りの発生、気泡の滞留といった問題点を有している。
そこで、前述した問題点を解決するために、特許文献1には、薬液弁とサックバック弁を一体化した弁に関する技術が公開されている。
特許文献1記載の弁は、薬液弁と略同一形状で逆向きに、サックバック弁を取り付け一体化し、薬液弁とサックバック弁の弁体の作動を連結棒で連結し、その作動を同期させたものである。
更に、弁体の移動前、移動後において、弁内部の容量変化がない弁として、特許文献2に記載されたものがある。特許文献2には、弁室及び環状に形成されたシール部材の内部によって形成される一定の流路空間内において、シール部材より延出される舌部を、板バネを介して駆動装置により揺動させる。この舌部の揺動により、2箇所に設けられた流出口を選択的に開放及び閉塞して、流路を切り替える切替弁が公開されている。
特許文献2によれば、薬液の流下する空間内に常に舌部が存在しているので、舌部の移動前、移動後において、弁内部において薬液の占める容量の変化はない。この結果、弁の開動作時における薬液の吸込、閉動作時における薬液の押出を防止することができる。
特開2003−185053号公報 実公平03−25475号公報
特許文献1記載のサックバック機能付薬液弁を配設する場合には、2つの弁を設けた場合よりは小さな配管スペース、短い配管経路で配設することが可能となるが、それでも、配管スペースを大きく確保しなければならず、近年、進んできている半導体製造ラインのコンパクト化にそぐわない。
また、特許文献1記載の薬液弁において、薬液弁及びサックバック機構内部の流路は、多数の屈曲部を有してなり、従来の薬液弁とサックバック弁配設時と同様に配管抵抗の増大や、屈曲部における液溜りの発生、気泡の滞留といった問題が発生する。
特許文献2記載の弁は、ゴム等の弾性体によりシール部材が形成されている。そして、シール部材は、薬液の弁外部へ漏出を防止する環状部と、環状部から環状中心方向に延出し、揺動することにより弁座に当接離間する舌部から構成されている。
ここで、舌部の揺動の中心軸となる揺動軸は、薬液の漏出を防止している環状部に存在している。舌部の揺動に伴い、舌部の付け根である環状部は、圧縮、引張を繰り返すことになり、ゴム等の弾性体にて形成されている環状部が劣化してしまう。薬液のシールをしている環状部が劣化してしまうと、弁外部への薬液の漏出が発生してしまう。
また、特許文献2記載の切替弁においては、ゴム等の弾性体にて形成されているシール部材の環状部分に板バネが挿入されている。舌部の揺動に対する支点がゴム等の弾性体で形成されているシール部材の環状部分となるため、揺動に対する支点は、環状部分の弾性変形とともに、常に移動し舌部の挙動が不安定となる。
この結果、舌部を弁座に押圧する封止力が不安定となり、安定して薬液を封止することができないという問題を有する。さらに、揺動軸が常に移動し、不安定であるため、弁座に当接する舌部の位置も不安定となる。これにより、流路面積が常に変動し、薬液の流量が常に変動する状態となってしまうという問題を有する。
薬液を封止する力と、薬液流量が不安定であるので、特許文献2記載の弁体を使用した場合に、薬液塗布量の厳密な管理をすることは非常に困難である。
本発明は、上述した課題を鑑みてなされたものであり、薬液塗布量の厳密な管理を可能とする。さらに、広い配管スペースを必要とせずに弁本体がコンパクトであるとともに、気泡の滞留がなく、長期使用による薬液の漏出がない薬液弁を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため請求項1に係る薬液弁では、流体が流れる流路上に設けられ、弁体を移動させて、弁座に当接又は離間させることにより流体を制御するとともに、薬液弁内部を流路部と作動部とに隔離した薬液弁において、前記流路部に突出形成した棒状部と、前記棒状部先端に形成され、弁座と当接離間する弁部と、前記棒状部上部より延出するとともに、前記弁部及び棒状部と一体に形成された膜部を有するとともに、前記流路部と前記作動部とを隔離するダイアフラム弁体と、前記棒状部より前記作動部まで延出されるとともに、前記作動部において支軸を有する弁操作棒と、前記弁操作棒を介して支軸を中心に弁体を揺動し、弁座に当接又は離間させる作動手段を備えることを特徴とする。
また、請求項2に係る薬液弁では、前記請求項1に記載の薬液弁において、前記膜部は、前記棒状部下端より波状に形成されていることを特徴とする。
更に、請求項3に係る薬液弁では、流体が流れる流路上に設けられ、弁体を移動させて、弁座に当接又は離間させることにより流体を制御するとともに、薬液弁内部を流路部と作動部とに隔離した薬液弁において、前記流路部に突出形成した棒状部と、前記棒状部先端に形成され、弁座と当接離間する弁部と、前記棒状部および弁部と一体に形成された膜部を有するとともに、前記流路部と前記作動部とを隔離するダイアフラム弁体と、前記棒状部より前記作動部まで延出した弁操作棒と、前記作動部にて前記ダイアフラム弁体と別個に形成されるとともに、弁操作棒を軸支する支軸と、前記弁操作棒端部に当接して弁体を揺動し、弁座に当接又は離間させる作動手段を備えることを特徴とする。
また、請求項4に係る薬液弁では、前記請求項1乃至3に記載の薬液弁の何れかにおいて、前記流路部には、流入口と、流出口となる2箇所の開口部を備え、開口部周縁には、前記弁部と当接し、流体の供給を遮断するための突部を有する弁座を備えることを特徴とする。
更に、請求項5に係る薬液弁では、前記請求項1乃至4に記載の薬液弁の何れかにおいて、前記流路部には、前記2箇所の開口部を供えるとともに、前記2箇所の開口部が存在しない面に新たな開口部を備えることを特徴とする。
前記請求項1記載の薬液弁では、弁座と当接離間する弁部が前記ダイアフラム弁体により隔離された流路部内に配設されるとともに、前記弁操作棒を介して、前記を揺動させて弁の開閉を行う。
これにより、弁部及び棒状部は、一定容量の流路部内に存在するので、弁の開閉時における弁本体内部の流体容量をほぼ不変とすることができる。弁の開閉時に弁本体内部において液体の占める容量がほとんど変化しない薬液弁を提供することが可能となり、液垂れ、液の吸い込みのない薬液弁を提供可能となる。この結果、薬液弁の単独使用時も、薬液塗布量の厳密な管理が可能となり、従来、薬液塗布量の管理目的で用いられていたサックバック弁が不要となる。
さらに、ダイアフラム弁体は、前記棒状部上部より延出するとともに、前記弁部及び棒状部と一体に形成された膜部を有するので、弁部を弁座に当接離間するのに十分な可動範囲が得られる。そして、弁部及び棒状部の揺動に伴い発生する引張、圧縮による負荷は、棒状部上部より延出された膜部により緩和されるため、可動部分の劣化を防止することができる。
また、前記請求項2記載の薬液弁では、前記膜部は、前記棒状部下端より波状に形成されている。これにより、弁部及び棒状部を揺動させ、弁座に当接離間するのに十分な可動範囲が得られる。そして、弁部及び棒状部の揺動に伴い発生する引張、圧縮による負荷が局部集中することを緩和することができるので、可動部分の劣化を防止することができる。
更に、前記請求項3記載の薬液弁では、ダイアフラム弁体を揺動させる弁操作棒を軸支する支軸が、作動部にてダイアフラム弁体とは別に固定して形成されるので、弁部及び棒状部の挙動が安定する。この結果、常に一定の力で弁部が押圧されるので、薬液を封止する力が長期にわたり安定する。さらに、弁部及び棒状部の流路部内での挙動が限定され、流路面積の変動がなくなるため、薬液の流量が変動することが無くなる。つまり、作動部にて、ダイアフラム弁体と別に支軸を固定して設けたことにより、弁における封止力及び薬液の流れを安定させることができる。
また、前記請求項4記載の薬液弁は、前記請求項1乃至3に記載の薬液弁の何れかにおいて、前記流路部には、流入口と、流出口となる2箇所の開口部を備え、開口部周縁には、前記弁部と当接し、流体の供給を遮断するための突部を有する弁座を備えるので、前記弁部と、前記弁座が当接した際に確実に流体の遮断を行うことができる。更に、前記突部を有することにより、長期の使用による弁座の変形を要因とする薬液の不完全な遮断を防止することが可能となる。
更に、前記請求項5記載の弁は、前記請求項1乃至4に記載の薬液弁の何れかにおいて、前記流路部には、前記2箇所の開口部を供えるとともに、前記2箇所の開口部が存在しない面に新たな開口部を備えるので、内部容積がほとんど変わらずに流路を切り替えることができる。これにより、液垂れ、吸込を起こさずに、流入する薬液を切り替えることが可能な3方弁を提供することができる。
以下、本発明を具体化した薬液弁1の一実施形態に関して、図面を参照しながら詳細に説明する。薬液弁1は、半導体製造工程において、薬液配管上に配設され、不図示の塗布ノズルと直接接続され、塗布ノズルより吐出し、半導体ウエハに塗布する薬液を供給または遮断するものである。
まず、薬液弁1の構成について詳細に説明する。図1は、薬液弁1の弁開時における断面図である。図2は、薬液弁の弁閉時における断面図である。
薬液弁1は、ボディ11、ケース20、シリンダ30、カバー32により外殻が形成される。機能的には、薬液を塗布ノズルに供給又は遮断する弁部2と、その弁部2を制御する制御部3とから構成される。さらに、弁部2は、薬液の流下する流路12aを有する流路部4と、後述するダイアフラム弁体10に制御部3の揺動させる動きを伝達する作動部5とで構成されている。
ここで、流路部4の構成について詳細に説明する。
流路部4は、ボディ11に、ダイアフラム弁体10と、取付板16とを組み合わせて構成された部分である。
ボディ11は、外観、直方体状に形成されている。ボディ11内部には、後述するダイアフラム弁体10が収容される弁室12が略円筒状の空間として形成されている。そして、ボディ11の一側面には、弁室12と不図示の薬液配管とを連通し、薬液を流入する流入口13が穿設されている。流入口13の弁室12側開口部周縁には、流入口13からの流体の供給を遮断するための突部を有する弁座14が形成されている。さらに、ボディ11上面には、弁室12と連通し、薬液が流出する流出口15が穿設されている。流入口13および流出口15の薬液弁1外方端部は、前述した薬液配管と接続するため、管状に延出して形成されている。
取付板16は、ボディ11上面において、流出口挿通部16aに流出口15を挿通して配設される。
ダイアフラム弁体10について、図5を参照して詳細に説明する。図5は、本実施例におけるダイアフラム弁体10の拡大図である。ダイアフラム弁体10は、弁室12内において弁座14と当接離間して薬液の供給及び遮断を行なう球状弁部10aと、球状弁部10aと一体に形成され、球状弁部10aとともに弁室12内にて揺動する棒状部10bと、棒状部10b上部より延出するとともに、球状弁部10a及び棒状部10bと一体に形成されるとともに、流路部4と作動部5とを隔離する膜部10cにより構成されている。
このダイアフラム弁体10は、弁室12に球状弁部10a及び棒状部10bを収容し、膜部10cの外側端部をボディ11及び後述するケース20にて挟持して配設される。
弁室12内において、ダイアフラム弁体10を除く部分が薬液の流下する流路12aとなる。
次に、作動部5について詳細に説明する。
作動部5は、ケース20に、第1バネ22、ロッド23、ピン24を配設して構成されている。
ケース20は、外観直方体で、ボディ11及びシリンダ30と嵌合可能に形成されたものである。ケース20内部には、ダイアフラム弁体10を隔てて、弁室12と対向するとともに、後述するロッド23が揺動可能な作動空間21が形成されている。さらに、ケース20のシリンダ30と嵌合する面には、後述するピストン33がシリンダ30より作動空間21へと突出可能に連通する連通口21aが穿設されている。また、作動空間21において連通口21aと対向する位置には、凹部21bが設けられている。
ロッド23は、ダイアフラム弁体10と同期して運動するとともに、棒状部10b下面に嵌合し、棒状部11bを延長したように形成される棒状部材である。ここで、ロッド23は、作動空間21に配設した際に、端部が連通口21aより遠方に位置するまで延長された構成である。
ピン24は、ダイアフラム弁体10及びロッド23の揺動の中心軸となるものである。ピン24は、球状弁部10aが弁座14に当接離間し、薬液の封止が可能な範囲において、ロッド23に固定して配設したものである。
第1バネ22は、連通口21aと対向する凹部21bに設けられたものである。第1バネ22は、ロッド23と当接し、連通口21a方向への付勢手段である。
そして、次に制御部3の構成について、詳細に説明する。
制御部3は、シリンダ30及びカバー32により外観が形成され、内部にピストン33、第2バネ37を配設する構成である。
シリンダ30は、外観直方体状で、内部にピストン33が摺動可能な筒状のピストン摺動空間36を形成したものである。シリンダ30開口部の一端は、ケース20における連通口21aが穿設された側面部と嵌合し、シリンダ30開口部と連通口21aとが対向するように形成される。もう一方のシリンダ30開口部は、後述するカバー32に嵌合可能に形成されている。シリンダ30における連通口21a側の開口部には、後述するピストン33を摺動可能に案内する筒状部材30aが内向きに形成されている。シリンダ30の一側面外方には、操作ポート31が形成されている。操作ポート31は、シリンダ30表面より筒状に突出し、ピストン摺動空間36と連通している。
ピストン33は、夫々径の異なる3本の円柱部分を組み合わせた構成である。ケース20側面に穿設された連通口21a内を円滑に往復運動し、ロッド23と当接する当接部分と、シリンダ30内部にて筒状部材30aと当接するピストン部分と、シリンダ30内部にてピストン摺動空間36側面と当接する鍔部分とにより構成されている。
ピストン33におけるピストン部分側面には、筒状部材30aとピストン33表面の間を閉塞するO−リング34が配設されている。同様に、鍔部分側面には、シリンダ30内表面とピストン33表面の間を閉塞するO−リング35が配設されている。鍔部底面には、後述する第2バネ37が収まるバネ凹部38が形成されている。
カバー32は、シリンダ30他端側の開口部を閉塞する有底箱状部材である。カバー32内側中央部には、ピストン33側のバネ凹部38に対向するようにバネ取付部39が設
けられている。また、カバー32一側面には、操作ポート31aが形成されている。操作ポート31aは、カバー32表面より筒状に突出し、薬液弁1外部の空間と、カバー32とピストン33底面との間に形成される空間とを連通している。
第2バネ37は、ピストン33底面のバネ凹部38と、カバー32内表面のバネ取付部39とに、両端を挟持されて配設された付勢手段である。ここで、第2バネ37は、ピストン33をロッド23方向へ押圧している。これは、第1バネ22がピストン33をカバー32方向に押圧する力よりも大きい。
次に、本実施形態における薬液弁1の開閉動作について説明する。
図1に示す薬液弁1の開状態から、図2に示す薬液弁1の閉状態へ移行する場合には、まず、作動流体である圧縮空気を操作ポート31より圧入する。薬液弁1内部に圧入された圧縮空気は、ピストン摺動空間36において、O−リング34及びO−リング35によって閉塞された密閉空間36aに満たされる。これにより、密閉空間36a内の圧力が上昇し、密閉空間36aを形成する部材の内で、唯一移動可能であるピストン33をカバー32方向に移動させる力が働く。圧縮空気によるピストン33にかかる圧力と、ケース20内でロッド23を押圧する第1バネ22の力の総和が、ピストン33をケース20方向に押圧する第2バネ37の力よりも大きくなった時に、ピストン33は、カバー32方向への移動を開始する。ピストン33の移動とともに、ピン24を軸としてロッド23が移動し始める。ロッド23とダイアフラム弁体10は、ピン24を支点とした梃子動作をするので、ロッド23端部がピストン33側に移動すると、ダイアフラム弁体10の球状弁部10aが弁座14に接近移動する。これらの動作の結果として、球状弁部10aが弁座14に当接し、薬液の供給を遮断する薬液弁1の閉状態を実現するのである。
次に、前述の動作によって得られた図2に示す薬液弁1の閉状態より、図1に示す薬液弁1の開状態への移行動作について説明する。まず、密閉空間36a内部の圧力を抜くために、作動流体である圧縮空気を操作ポート31より放出する。これにより、密閉空間36a内部の圧力が低下していく。圧縮空気によるピストン33にかかる圧力と、ケース20内でロッド23を押圧する第1バネ22の力の総和が、ピストン33をケース20方向に押圧する第2バネ37の力よりも小さくなった時に、ピストン33は、ケース20方向への移動を開始する。ここで、バネ本体の弾性力としては、第1バネ22よりも第2バネ37のほうが強いので、圧縮空気の放出に伴い、ピストン33はケース20方向へと移動することになる。この結果、ピストン33がケース20方向へ移動していくことにより、ロッド23端部を押圧する。ロッド23とダイアフラム弁体10は、ピン24を支点とした梃子動作をするので、ロッド23端部がケース20側に移動すると、ダイアフラム弁体10の球状弁部10aが弁座14より離間し始める。これらの動作の結果として、球状弁部10aが弁座14より離間し、薬液を供給する薬液弁1の開状態を実現するのである。
本実施形態に係る構成の薬液弁1においては、弁座14と当接離間する球状弁部10aを有するダイアフラム弁体10が、膜部10cにより隔離された流路12a内に配設されるとともに、ロッド23を介して、ダイアフラム弁体10を揺動させて弁の開閉を行っている。これにより、球状弁部10a及び棒状部10bは、一定容量の流路12a内に存在するので、弁の開閉時における弁本体内部の流体容量をほぼ不変とすることができる。弁の開閉時に弁本体内部において液体の占める容量がほとんど変化しない薬液弁1を提供することが可能となり、液垂れ、液の吸い込みのない薬液弁1を提供可能となる。この結果、薬液弁1の単独使用時も、薬液塗布量の厳密な管理が可能となり、従来、薬液塗布量の管理目的で用いられていたサックバック弁が不要となる。
さらに、ダイアフラム弁体10は、棒状部10b上部より延出するとともに、球状弁部10a及び棒状部10bと一体に形成された膜部10cを有する。膜部10cを棒状部10b上部より延出して、十分な長さで形成したことにより、球状弁部10aを弁座14に当接、離間する時に膜部10cが障害とならず、十分な可動範囲が得られる。そして、球状弁部10a及び棒状部10bの揺動に伴い発生する引張、圧縮による負荷は、棒状部10b上部より延出された膜部10cが十分な長さを持つことにより緩和されるため、可動部分の劣化を防止することができる。
ダイアフラム弁体10を揺動させるロッド23を軸支するピン24が、作動部5にてダイアフラム弁体10とは別に固定して形成されるので、球状弁部10a及び棒状部10bの挙動が安定する。この結果、常に一定の力で球状弁部10aが押圧されるので、薬液を封止する力が長期にわたり安定する。さらに、球状弁部10a及び棒状部10bの流路12a内での挙動が限定され、流路面積の変動がなくなるため、薬液の流量が変動することが無くなる。つまり、作動部5にて、ダイアフラム弁体10と別にピン24を固定して設けたことにより、弁における封止力及び薬液の流れを安定させることができる。
そして、ダイアフラム弁体10及びロッド23を、ピン24を軸として揺動させる構成にしたことにより、流体の封止力と流体流量において、ユーザの重視する性能に応じた薬液弁1を提供することができる。
つまり、本実施例の薬液弁1において、ユーザが流体の封止力を重視するならば、ピン24の位置を、ロッド23の中心軸上であり且つ球状弁部10aが弁座14に当接離間し、薬液の封止が可能な範囲内において、ダイアフラム弁体10近傍に配設すればよい。弁体の揺動軸となるピン24が、ダイアフラム弁体10近傍に存在することにより、梃子の原理により同一の力でより強い封止力を得ることができる。また、ユーザが流体の流量を重視する場合には、ピン24の位置をロッド23の中心軸上であり且つ球状弁部10aが弁座14に当接離間し、薬液の封止が可能な範囲内において、ピストン33との当接部付近に配設すればよい。これにより、流路12a内において、球状弁部10a及び棒状部10bのストロークが大きくなり、弁開時に流出する流量を多くすることができる。
また、流路部4には、流入口13と、流路部4の上面に穿設する流出口15を備え、流入口13周縁には、球状弁部10aと当接し、流体の供給を遮断するための突部を有する弁座14を備えるので、球状弁部10aと、弁座14が当接した際に確実に流体の遮断を行うことができる。更に、突部を有することにより、長期の使用による弁座14の変形を要因とする薬液の不完全な遮断を防止することが可能となる。
そして、流路部4の上面に流出口15を穿設したことにより、流路内に気泡が発生した際には、気泡の特性上、上面に集まり流出口15から外部へと円滑に排出される。この結果、気泡抜けの良い薬液弁1を提供することができる。
ここで、前述した実施例とは別に、本発明を利用した三方弁の実施形態を、実施例2として挙げ、この実施例2に関して、図面を参照しつつ詳細に説明する。図3は、三方弁50の断面図である。図4は、三方弁50を一方の流路を開にし、他方の流路を閉にした状態を示す断面図である。
実施例2に例示する三方弁50は、基本的な構成及び作用、効果については、前述の実施例1と同様である。よって、ここでは、実施例1と共通する部分に関しては説明を省略し、実施例1で述べた薬液弁1と異なる部分に関して説明する。
実施例2に係る三方弁50は、実施例1とは、弁室12における流入口に関して相違点が存在する。
実施例2における三方弁50の流入口は、弁室12において、実施例1の流入口13と同じ位置に配設された第1流入口51と、第1流入口51と対向し、ダイアフラム弁体10が揺動した時に球体部10aが当接する位置に配設された第2流入口52とで構成される。
第1流入口51の弁室12側開口部周縁には、第1流入口51からの流体の供給を遮断するための突部を有する第1弁座54が形成されている。同様に、第2流入口52の弁室12側開口縁には、第2流入口52からの流体の供給を遮断するための突部を有する第2弁座55が形成されている。
また、ボディ11上面には、第1流入口51若しくは第2流入口52より薬液を薬液配管に流下する流出口53が配設されている。流出口53の外方端部は、前述した薬液配管と接続するため、管状に延出されている。
実施例2の三方弁50における実施例1との相違点は、上記の記載のみであり、その他の部分においては共通である。
そして、実施例1において得られた特有の効果は、この相違点による影響を受けず、実施例2においても、本発明特有の効果を発揮するものである。
次に、実施例2における実施例1との相違点である「弁室12に第1流入口51及び第2流入口52の2つの流入口を設け、ダイアフラム弁体10の揺動により、どちらか一方を閉塞可能とすること」より得られる実施例2における効果について述べる。
まず、弁室12に第1流入口51及び第2流入口52の2つの流入口を設け、ダイアフラム弁体10の揺動により、どちらか一方を選択的に閉塞可能とすることにより、内部容積をほとんど変化させずに流路を切り替えることができる。これにより、液垂れ、吸込を起こさずに、流入する薬液を切り替えることが可能な三方弁を提供することができる。
以上、本発明はこのような実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
例えば、本実施例においては、流路部4と作動部5とを隔離する膜部10cを棒状部10b上部より延出する構成としたが、棒状部10b下端より波状に形成にする構成(図6参照)としてもよい。この場合においても、球状弁部10a及び棒状部10bを揺動させ、弁座14に当接離間するのに十分な可動範囲が得られる。そして、球状弁部10a及び棒状部10bの揺動に伴い発生する引張、圧縮による負荷が局部集中することを緩和することができるので、可動部分の劣化を防止することができる。
そして、本実施例1においては、操作ポート31より空気圧をかけることによって、弁閉状態に変更するノーマルオープン弁を例示したが、空気圧をかけることによって弁開状態に変更するノーマルクローズ弁としてもよい。この場合においても、本発明の効果に何等の使用もきたさない。
さらに、実施例1のノーマルオープンの薬液弁1においては、ノーマルクローズ弁に容易に変更可能である。まず、カバー32を取り外し第2バネ37及びピストン33を取り外す。その後、筒状部材30aを挿入可能な径を有し、第2バネに等しい弾性力を持つコイルバネを筒状部材30a外側に配設する。コイルバネ端部と鍔部が当接するようにピストン33を筒状部材30aに挿入し、カバー32を取り付ける。この結果、ノーマルオープン弁での使用時の操作ポート31から、操作ポート31aに変更するとノーマルクローズ弁としての使用が可能となる。
また、本実施例においては、エアオペレート弁として説明したが、エアオペレート弁に拘泥する必要はなく、ピストンの操作方式を電磁式やモータ式当に変更したとしても、本発明の実施について何等支障をきたすことは無い。
実施例1に係る薬液弁の弁開時における断面図である。 実施例1に係る薬液弁の弁閉時における断面図である。 実施例2に係る三方弁の断面図である。 実施例2に係る薬液弁の第2流入口閉塞時における断面図である。 本実施例に係る薬液弁に用いるダイアフラム弁体の拡大図である。 本実施例に係る薬液弁に用いる別態様のダイアフラム弁体の拡大図である。
符号の説明
1 薬液弁
10 ダイアフラム弁体
10a 球状弁部
10b 棒状部
10c 膜部
11 ボディ
12 弁室
13 流入口
14 弁座
15 流出口
20 ケース
22 第1バネ
23 ロッド
24 ピン
30 シリンダ
31 操作ポート
32 カバー
33 ピストン
34 O−リング
35 O−リング
37 第2バネ

Claims (5)

  1. 流体が流れる流路上に設けられ、弁体を移動させて、弁座に当接又は離間させることにより流体を制御するとともに、薬液弁内部を流路部と作動部とに隔離した薬液弁において、
    前記流路部に突出形成した棒状部と、前記棒状部先端に形成され、弁座と当接離間する弁部と、前記棒状部上部より延出するとともに、前記弁部及び棒状部と一体に形成された膜部を有するとともに、前記流路部と前記作動部とを隔離するダイアフラム弁体と、
    前記棒状部より前記作動部まで延出されるとともに、前記作動部において支軸を有する弁操作棒と、
    前記弁操作棒を介して支軸を中心に弁体を揺動し、弁座に当接又は離間させる作動手段を備えることを特徴とする薬液弁。
  2. 前記請求項1に記載の薬液弁において、前記膜部は、前記棒状部下端より波状に形成されていることを特徴とする薬液弁。
  3. 流体が流れる流路上に設けられ、弁体を移動させて、弁座に当接又は離間させることにより流体を制御するとともに、薬液弁内部を流路部と作動部とに隔離した薬液弁において、
    前記流路部に突出形成した棒状部と、前記棒状部先端に形成され、弁座と当接離間する弁部と、前記棒状部および弁部と一体に形成された膜部を有するとともに、前記流路部と前記作動部とを隔離するダイアフラム弁体と、
    前記棒状部より前記作動部まで延出した弁操作棒と、
    前記作動部にて前記ダイアフラムと別個に形成されるとともに、弁操作棒を軸支する支軸と、
    前記弁操作棒端部に当接して弁体を揺動し、弁座に当接又は離間させる作動手段を備えることを特徴とする薬液弁。
  4. 前記請求項1乃至3に記載の薬液弁の何れかにおいて、前記流路部には、流入口と、流出口となる2箇所の開口部を備え、
    開口部周縁には、前記弁部と当接し、流体の供給を遮断するための突部を有する弁座を備えることを特徴とした薬液弁。
  5. 前記請求項1乃至4に記載の薬液弁の何れかにおいて、前記流路部には、前記2箇所の開口部を供えるとともに、前記2箇所の開口部が存在しない面に新たな開口部を備えることを特徴とした弁。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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