JP2007171892A - 粘着型光学フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粘着型光学フィルムとして、光学フィルム1と、光学フィルム1の少なくとも片面に積層された粘着剤層3と、光学フィルム1と粘着剤層3との間に介在され、オキサゾリン基含有ポリマーを含む下塗り層2とを備える。また前記下塗り層がオキサゾリン基含有ポリマーとポリアミン系ポリマーとの混合物からなる。
【選択図】図1
Description
液晶ディスプレイに貼着される光学フィルムとして、光学フィルムに、下塗り層を介して粘着剤を積層したものが知られている。
また、例えば、光学フィルムに、ポリアミン化合物により形成された下塗り層を介して、粘着剤層が積層された粘着型光学フィルムが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、粘着型光学フィルムとして積層される粘着剤には、苛酷な加熱によっても欠陥が発生しない高い耐加熱性が要求される。また、用途によっては、苛酷な加熱条件だけでなく、苛酷な加熱加湿条件で使用される場合もあり、高い耐湿熱性も要求される。
また、本発明の粘着型光学フィルムでは、前記下塗り層が、オキサゾリン基含有ポリマーとポリアミン系ポリマーとの混合物からなることが好適である。
また、本発明の粘着型光学フィルムでは、前記下塗り層が、オキサゾリン基含有ポリマーとポリアミン系ポリマーと複数のカルボキシル基を含有する化合物との混合物からなることが好適である。
また、本発明の粘着型光学フィルムでは、前記ポリアミン系ポリマーが、アクリル骨格からなる主鎖を含み、前記主鎖の側鎖にポリエチレンイミン鎖を含んでいることが好適である。
また、本発明の粘着型光学フィルムでは、前記下塗り層が、水分散型ポリマーからなることが好適である。
また、本発明の粘着型光学フィルムでは、前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤からなることが好適である。
また、本発明の粘着型光学フィルムでは、前記粘着剤層が、オキサゾリン基および/またはアミノ基と反応する官能基を含んでいることが好適である。
また、本発明の粘着型光学フィルムでは、オキサゾリン基および/またはアミノ基と反応する前記官能基が、カルボキシル基であることが好適である。
本発明において、粘着剤層に用いられる粘着剤としては、粘着剤層に通常使用される粘着剤が挙げられ、例えば、アクリル系粘着剤、天然ゴムラテックス系粘着剤などが挙げられる。好ましくは、アクリル系粘着剤が挙げられ、さらに好ましくは、水分散型アクリル系粘着剤が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、下記の一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
R2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、2−エチルへキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。
また、アクリル系粘着剤は、熱架橋させるための架橋点(官能基)を導入して、粘着剤層の被着体に対する接着性を向上することなどを目的として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外に、モノマー成分として、好ましくは、官能基含有モノマーを含んでいる。
多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの他、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。また、多官能性モノマーとして、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなども挙げられる。
これら官能基含有モノマーのうち、好ましくは、カルボキシル基含有不飽和モノマー、酸無水物基含有不飽和モノマーが挙げられる。カルボキシル基含有不飽和モノマーや酸無水物基含有不飽和モノマーであれば、これらに含まれる、または、これらから生じるカルボキシル基が、後述する下塗り層をなすオキサゾリン基含有ポリマーのオキサゾリン基や、ポリアミン系ポリマーのアミノ基と、効率よく反応して、光学フィルムとの密着力を高めることができる。
また、アクリル系粘着剤は、凝集力などの種々の特性の向上などを目的として、モノマー成分として、上記した(メタ)アクリル酸アクリルエステルと共重合可能な共重合性モノマーを含んでいてもよい。
シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリブトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−トリアルコキシシラン、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(メタ)アクリロイルオキシアルキル−ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
共重合性モノマーの配合割合は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して、例えば、30重量部以下、好ましくは、15重量部以下である。
そして、アクリル系粘着剤を調製するには、特に制限されず、上記したモノマー成分を、例えば、有機溶媒で溶液重合したり、水中で乳化重合するなどの公知の重合方法により重合する。
乳化剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用される乳化剤が用いられる。例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などが挙げられる。
これら乳化剤は、適宜、単独または併用して用いられる。また、乳化剤の配合割合は、全モノマー成分100重量部に対して、例えば、0.2〜10重量部、好ましくは、0.5〜5重量部である。
これら連鎖移動剤は、適宜、単独または併用して用いられる。また、連鎖移動剤の配合割合は、全モノマー成分100重量部に対して、例えば、0.001〜0.5重量部である。
なお、水分散型アクリル系粘着剤は、例えば、上記したモノマー成分を、乳化重合以外の方法によって重合した後に、上記した乳化剤により、水に分散させるようにして調製することもできる。
さらに、粘着剤には、粘度調整剤、必要に応じて、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料など)、老化防止剤、界面活性剤など、粘着剤に通常添加される添加剤を、適宜、添加してもよい。これら添加剤の配合割合は、特に制限されず、適宜、選択することができる。
このような粘着剤は、その固形分のゲル分率が、例えば、50〜100重量%、好ましくは、70〜100重量%である。ゲル分率が上記した値より低いと、この粘着剤を粘着型光学フィルムに適用して、高温高湿の雰囲気下で使用したときに、発泡や剥がれを生じる場合がある。
ゲル分率(重量%)=(浸漬後のテフロンシートに付着する粘着剤の重量/浸漬前の粘着剤の重量)×100
オキサゾリン基含有ポリマーは、例えば、アクリル骨格またはスチレン骨格からなる主鎖を含み、その主鎖の側鎖にオキサゾリン基を有しているものであって、好ましくは、アクリル骨格からなる主鎖を含み、その主鎖の側鎖にオキサゾリン基を有しているオキサゾリン基含有アクリル系ポリマーが挙げられる。
2−オキサゾリン基としては、一般に、下記一般式(2)で表される。
オキサゾリン基含有ポリマーは、その数平均分子量が、例えば、5000以上、好ましくは、10000以上であり、通常1000000以下が好ましい。数平均分子量が5000より低いと、下塗り層の強度が不足して凝集破壊を起こし、投錨力を向上できない場合がある。数平均分子量が1000000より高いと、作業性に劣る場合がある。また、オキサゾリン基含有ポリマーは、そのオキサゾリン価が、例えば、1500g solid/eq.以下、好ましくは、1200g solid/eq.以下である。オキサゾリン価が1500g solid/eq.より大きいと、分子中に含まれるオキサゾリン基の量が少なくなり、投錨力を向上できない場合がある。
オキサゾリン基含有ポリマーは、通常、一般の市販品が用いられ、具体的には、エポクロスWS−500(水溶液タイプ、固形分40%、主鎖:アクリル系、pH7〜9、オキサゾリン価220g solid/eq.、(株)日本触媒製)、エポクロスWS−700(水溶液タイプ、固形分25%、主鎖:アクリル系、pH7〜9、オキサゾリン価220g solid/eq.、(株)日本触媒製)などのオキサゾリン基含有アクリル系ポリマー、例えば、エポクロスK−1000シリーズ(エマルションタイプ、固形分40%、主鎖:スチレン/アクリル系、オキサゾリン価1100g solid/eq.、pH7〜9、(株)日本触媒製)、エポクロスK−2000シリーズ(エマルションタイプ、固形分40%、主鎖:スチレン/アクリル系、pH7〜9、オキサゾリン価550g solid/eq.、(株)日本触媒製)などのオキサゾリン基含有アクリル/スチレン系ポリマーなどが挙げられる。密着力を向上する観点からは、乳化剤を含むエマルションタイプよりも、水溶液タイプのオキサゾリン基含有アクリル系ポリマーが好ましい。
このようなオキサゾリン基含有ポリマーは、一般に、有機溶剤や水などの溶液に、溶解または水分散されており、オキサゾリン基含有ポリマーを含んだ樹脂溶液または水分散液として調製されている。なお、光学フィルムの変質を防止する観点からは、水分散液として調製されていることが好ましい。
ポリアミン系ポリマーは、分子内に複数の1級または2級アミノ基を有するポリマーであって、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、その他に、アクリル骨格からなる主鎖を含み、その主鎖の側鎖に、下記一般式(3)で表されるポリエチレンイミン鎖や下記一般式(4)で表されるポリアリルアミン鎖が変性された、エチレンイミン変性アクリル系ポリマーやアリルアミン変性アクリル系ポリマーなどが挙げられる。好ましくは、エチレンイミン変性アクリル系ポリマーが挙げられる。
ポリアミン系ポリマーは、その数平均分子量が、例えば、200以上、好ましくは、1000以上、さらに好ましくは、8000以上であり、通常1000000以下が好ましい。数平均分子量が200より小さいと、下塗り層の強度が不足して、凝集破壊を起こし、投錨力を向上できない場合がある。数平均分子量が1000000より大きいと、作業性に劣る場合がある。また、ポリアミン系ポリマーは、そのアミン水素当量が、例えば、1500g solid/eq.以下、好ましくは、1200g solid/eq.以下である。アミン水素当量が1500g solid/eq.より大きいと、分子中に含まれるアミノ基の量が少なくなり、投錨力を向上できない場合がある。
このような効果は、ポリアミン系ポリマーが有するアミノ基による水素結合や酸塩基相互作用による密着力の上昇効果に加え、オキサゾリン基含有ポリマーとポリアミン系ポリマーとの反応により下塗り層が架橋され、強固な下塗り層となることで、耐加熱性や耐湿熱性が高くなると推測される。
複数のカルボキシル基を含有する化合物としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、フタル酸などのジカルボン酸化合物、例えば、クエン酸などのトリカルボン酸化合物などの複数のカルボキシル基を含有する飽和の低分子化合物が挙げられる。
また、複数のカルボキシル基を含有する化合物が有するカルボキシル基は、その全部または一部が、カチオンと塩を形成していてもよい。
複数のカルボキシル基を含有する化合物は、通常、一般の市販品が用いられ、具体的には、ポイズ532A(アクリル酸/マレイン酸共重合体アンモニウム塩、数平均分子量約10000、花王(株)製)などが挙げられる。
ポリアミン系ポリマーの配合割合は、オキサゾリン基含有ポリマーとポリアミン系ポリマーと複数のカルボキシル基を含有する化合物との総量100重量部に対して、例えば、50〜98重量部、好ましくは、70〜97重量部、さらに好ましくは、80〜95重量部である。ポリアミン系ポリマーが50重量部より少ないと、耐湿熱性に劣る場合がある。ポリアミン系ポリマーが98重量部より多いと、耐加熱性に劣る場合がある。
図1に示す粘着型光学フィルムを得るには、まず、光学フィルム1を用意する。
光学フィルム1としては、光学特性を有し、液晶ディスプレイなどに貼着されるフィルムであれば特に制限されず、例えば、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大フィルムなどが挙げられる。
偏光子としては、特に制限されず、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質で染色し一軸延伸したものや、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などポリエン系配向フィルムなどが挙げられる。好ましくは、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色して一軸延伸した偏光子が挙げられる。
透明保護フィルムとしては、好ましくは、セルロース系ポリマーが挙げられる。透明保護フィルムの厚さは、特に制限されず、例えば、500μm以下、好ましくは、1〜300μm、さらに好ましくは、5〜200μmである。
位相差フィルムとしては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどが挙げられる。位相差フィルムの厚さは、特に制限されず、例えば、20〜150μmである。
輝度向上フィルムとしては、例えば、誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体など、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものなど、左回りまたは右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどが挙げられる。
下塗り層2を設けるには、例えば、光学フィルム1に、オキサゾリン基含有ポリマー、オキサゾリン基含有ポリマーとポリアミン系ポリマーとの混合物、オキサゾリン基含有ポリマーと複数のカルボキシル基を含有する化合物との混合物、または、オキサゾリン基含有ポリマーとポリアミン系ポリマーと複数のカルボキシル基を含有する化合物との混合物の、樹脂溶液または水分散液を、ナイフコーティング法などの公知のコーティング方法により、直接コーティングして乾燥する。
次いで、光学フィルム1の少なくとも片面に、下塗り層2を介して、粘着剤層3を設ける。
離型シート4としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、またこれら積層シート体などが挙げられる。離型シート4の表面には、粘着剤層3からの剥離性を高めるため、必要に応じて、シリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの処理がなされていてもよい。
このように、光学フィルム1の少なくとも片面に、下塗り層2を介して、粘着剤からなる粘着剤層3を設けることによって、本発明の粘着型光学フィルムを得ることができる。
このようにして得られる本発明の粘着型光学フィルムは、光学フィルムの光学特性などを損なわずに、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大フィルムなどの光学フィルムなどとして、各種産業用途に好適に用いられる。
さらに、このような粘着型光学フィルムは、高い耐加熱性を有するので、液晶ディスプレイなどに貼着すれば、高温雰囲気下においても、液晶ディスプレイとの密着力の低下を有効に防止して、高温雰囲気下でも優れた耐久性を得ることができる。
(水分散型アクリル系粘着剤の調製)
容器に、アクリル酸ブチル95.2部、アクリル酸4.76部、3−メタクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学工業(株)製)0.02部、反応性乳化剤アクアロンHS−10(第一工業製薬(株)製)2.0部(固形分)、水57.4部を加え、ホモジナイザーを用いて、6000min−1で5分間攪拌混合し、モノマーエマルションを調製した。また、別の容器に、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物(VA−057、和光純薬工業(株)製)0.1部を水に溶かして、10%開始剤水溶液を調製した。
(粘着剤層の形成)
水分散型アクリル系粘着剤を、離型フィルム(ポリエチレンテレフタレート基材、ダイヤホイル MRF38、三菱化学ポリエステル(株)製)上に、乾燥後の厚みが21μmとなるように、コーティングして、その後、熱風循環式オーブンで、100℃で2分間乾燥させて、離型フィルム上に粘着剤層を形成した。
(光学フィルムの調製)
ポリビニルアルコールフィルム(厚み80μm)を、40℃のヨウ素水溶液中で、元長の5倍に延伸し、その後、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液から引き上げ、50℃で、4分間乾燥させて、偏光子を得た。この偏光子の両側に、ポリビニルアルコール型接着剤を用いて、透明保護フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルムを接着して、光学フィルムを得た。
エポクロスWS−700(オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)を、水/エタノール(容量比で、1:1)混合溶液で、固形分2%に希釈し、下塗り剤溶液を調製した。この下塗り剤溶液を、マイヤーバー#5を用いて、光学フィルムの片面にコーティングし、40℃で2分間乾燥させて、下塗り層を設けた。次いで、下塗り層が設けられた光学フィルムの片面に、粘着剤層を形成した離型フィルムを貼り合わせて、粘着型光学フィルムを作製した。
下塗り剤溶液のエポクロスWS−700(オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)を、エポクロスWS−500(オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、粘着型光学フィルムを作製した。
下塗り剤溶液の固形分2%を、5%に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例4
実施例1の下塗り剤溶液の調製において、下塗り剤溶液のエポクロスWS−700(オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)を、エポクロスWS−700(オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)と、ポリメントSK−1000(エチレンイミン変性アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)との混合溶液(混合比は、固形分比で、5:95)に変更し、水/エタノール(容量比で、1:1)混合溶液を水に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、下塗り剤溶液を調製し、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例1の下塗り剤溶液の調製において、下塗り剤溶液のエポクロスWS−700(オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)を、エポクロスWS−700(オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)と、ポイズ532A(アクリル酸/マレイン酸共重合体アンモニウム塩、数平均分子量約10000、花王(株)製)との混合溶液(混合比は、固形分比で、95:5)に変更し、水/エタノール(容量比で、1:1)混合溶液を水に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、下塗り剤溶液を調製し、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例1の下塗り剤溶液の調製において、下塗り剤溶液のエポクロスWS−700(オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)を、エポクロスWS−700(オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)と、ポリメントSK−1000(エチレンイミン変性アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)と、ポイズ532A(アクリル酸/マレイン酸共重合体アンモニウム塩、数平均分子量約10000、花王(株)製)との混合溶液(混合比は、固形分比で、5:90:5)に変更し、水/エタノール(容量比で、1:1)混合溶液を水に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、下塗り剤溶液を調製し、粘着型光学フィルムを作製した。
下塗り剤溶液の固形分2%を、0.25%に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、粘着型光学フィルムを作製した。
比較例1
下塗り剤溶液のエポクロスWS−700(オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)を、水分散型ウレタン樹脂タケラックW−511(三井武田ケミカル(株))に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、粘着型光学フィルムを作製した。
下塗り剤溶液のエポクロスWS−700(オキサゾリン基含有ポリマー、(株)日本触媒製)を、水分散型ポリエステル系樹脂バイロンTAD−1000(東洋紡績(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、粘着型光学フィルムを作製した。
比較例3
下塗り剤溶液のエポクロスWS−700(オキサゾリン基含有ポリマー、(株)日本触媒製)を、水分散型酢酸ビニル系樹脂ボンコート9180(大日本インキ(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、粘着型光学フィルムを作製した。
下塗り剤溶液のエポクロスWS−700(オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)を、カルボジイミド基含有水分散型アクリル樹脂カルボジライトE−01(日清紡(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、粘着型光学フィルムを作製した。
実施例1の下塗り剤溶液の調製において、下塗り剤溶液のエポクロスWS−700(オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)を、ポリメントSK−1000(エチレンイミン変性アクリル系ポリマー、(株)日本触媒製)に変更し、水/エタノール(容量比で、1:1)混合溶液を水に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、下塗り剤溶液を調製し、粘着型光学フィルムを作製した。
下塗り層を設けないようにした以外は、実施例1と同様に処理して、粘着型光学フィルムを作製した。
(評価)
1) 下塗り層の厚み
各実施例および各比較例において、下塗り層のみを設けた粘着型光学フィルムを、2%ルテニウム酸水溶液により、2分間染色した後、これをエポキシ樹脂中に埋めこみ、超ミクロトーム(Ultracut S、ライカ社製)により、厚み約80nmに切削し、次いで、この光学フィルム切片の断面をTEM(Hitachi H−7650 加速電圧 100kV)で観察することにより、下塗り層の厚みを求めた。その結果を、表1に示す。
2) ヘイズ
各実施例および各比較例において、下塗り層のみを設けた光学フィルムを、50×50mmに切断し、ヘイズコンピューターHZ−1(スガ試験機(株))により、ヘイズを測定した。その結果を、表1に示す。なお、ヘイズは、通常2.0%以下であることが好ましく、2%を超えると、目視で白く見え、好ましくない。
3) 粘着剤層と光学フィルムとの密着力
各実施例および各比較例の粘着型光学フィルムを、25×120mmの大きさに切断し、これをサンプルとした。このサンプルを、23℃で60%RHの雰囲気下、50℃の雰囲気下、および、60℃で90%RHの雰囲気下で、それぞれ1日エージングした。エージング後、離型フィルムを剥離し、サンプルの粘着面にポリプロピレン多孔質膜を貼着し、このポリプロピレン多孔質膜上に粘着テープ(No.31B、日東電工(株)製)を貼着して補強した後、24時間以上、23℃、60%RHの雰囲気下で放置した。その後、放置後の粘着型光学フィルムの背面に、SUS304鋼板を両面テープを用いて貼り付け、引張試験器により180°方向に300mm/minの速度で、ポリプロピレン多孔質膜と粘着テープ(No.31B)とを剥離し、粘着剤層がポリプロピレン多孔質膜側に付着していることを確認した後、剥離応力を測定した。その結果を、表1に示す。なお、密着力は、通常5.0N/25mm以上であることが好ましい。
4) 耐加熱性
各実施例および各比較例の粘着型光学フィルムを、230×310mmの大きさに切断し、これをサンプルとした。サンプルの粘着面をガラス板(厚み0.7mm、コーニング#1737、コーニング(株)製)に貼着し、50℃、0.5MPaの雰囲気下に15分間放置した。その後、このサンプルを90℃で、500時間保存した後の粘着型光学フィルムの剥がれの有無を目視観察により確認した。その結果を、表1に示す。
5) 耐湿熱性
各実施例および各比較例の粘着型光学フィルムを、230×310mmの大きさに切断し、これをサンプルとした。サンプルの粘着面をガラス板(厚み0.7mm、コーニング♯1737、コーニング(株)製)に貼着し、50℃、0.5MPaの雰囲気下に15分間放置した。その後、このサンプルを60℃、90%RHで500時間保存した後の粘着型光学フィルムの剥がれの有無を目視観察により確認した。その結果を、表1に示す。
さらに、下塗り層において、オキサゾリン基含有アクリルポリマーと複数のカルボキシル基を含有する化合物とを併用した実施例5および6を、オキサゾリン基含有アクリルポリマーを単独で用いた実施例1〜3と比べると、下塗り層の厚みが厚い場合でも、密着力が低下することなく、特に加熱および加湿によるエージングでは、密着力が高くなることが分かる。
2 下塗り層
3 粘着剤層
4 離型シート
Claims (12)
- 光学フィルムと、
前記光学フィルムの少なくとも片面に積層された粘着剤層と、
前記光学フィルムと前記粘着剤層との間に介在され、オキサゾリン基含有ポリマーを含む下塗り層と
を備えていることを特徴とする、粘着型光学フィルム。 - 前記下塗り層が、オキサゾリン基含有ポリマーとポリアミン系ポリマーとの混合物からなることを特徴とする、請求項1に記載の粘着型光学フィルム。
- 前記下塗り層が、オキサゾリン基含有ポリマーと複数のカルボキシル基を含有する化合物との混合物からなることを特徴とする、請求項1に記載の粘着型光学フィルム。
- 前記下塗り層が、オキサゾリン基含有ポリマーとポリアミン系ポリマーと複数のカルボキシル基を含有する化合物との混合物からなることを特徴とする、請求項1に記載の粘着型光学フィルム。
- 前記オキサゾリン基含有ポリマーが、アクリル骨格からなる主鎖を含み、前記主鎖の側鎖にオキサゾリン基を含んでいることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の粘着型光学フィルム。
- 前記ポリアミン系ポリマーが、アクリル骨格からなる主鎖を含み、前記主鎖の側鎖にポリエチレンイミン鎖を含んでいることを特徴とする、請求項2、4または5に記載の粘着型光学フィルム。
- 前記複数のカルボキシル基を含有する化合物は、数平均分子量が、1000以上であることを特徴とする、請求項3または4に記載の粘着型光学フィルム。
- 前記下塗り層が、水分散型ポリマーからなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の粘着型光学フィルム。
- 前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤からなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の粘着型光学フィルム。
- 前記アクリル系粘着剤が、水分散型であることを特徴とする、請求項9に記載の粘着型光学フィルム。
- 前記粘着剤層が、オキサゾリン基および/またはアミノ基と反応する官能基を含んでいることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の粘着型光学フィルム。
- オキサゾリン基および/またはアミノ基と反応する前記官能基が、カルボキシル基であることを特徴とする、請求項11に記載の粘着型光学フィルム。
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