JP2007171405A - 光学物品及びそれを用いた表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性、特に人の皮脂に近いオレイン酸が介在した状態における耐摩耗性及びその持続性に優れる光学物品及びそれを用いた表示装置を提供する。
【解決手段】光学物品はディスプレイの前面に配置されて用いられ、光学的機能を発現する物品であり、その表面部は活性エネルギー線の照射により重合し得る反応基を1分子中に少なくとも3つ有するポリジオルガノシロキサンを含む原料組成物を成膜して形成される。前記原料組成物には、さらに平均粒子径10〜100nmの酸化アルミニウム微粒子等の金属酸化物微粒子が含まれていることが好ましい。光学物品としての減反射材は、透明基材の表面上にハードコート層、少なくとも1層の減反射層が順次積層された積層構造を有し、その表面部の減反射層が前記の構成を有している。この光学物品は、例えばプラズマディスプレイ等の電子ディスプレイの前面に配置されて使用される。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えばプラズマディスプレイ等の電子ディスプレイの前面に配置され、耐摩耗性及びその持続性に優れる光学物品及びそれを用いた表示装置に関するものである。
近年、大型テレビの普及や各種モバイル機器の発達、タッチパネルの多様化等、電子ディスプレイ分野の進展が非常に盛んであり、それに伴い様々な電子ディスプレイ部材の高性能化が急速に強く求められている。そのような電子ディスプレイ部材の一つに、電子ディスプレイ表示部に用いられる光学物品がある。光学物品とは、例えば発光体からの光を有効に伝える導光板、部材界面での光の透過や反射を制御する透過率向上部材や減反射材等であり、それぞれにおいて、各種性能の高度化、機能の多様化が強く求められている。
そのような中で、電子ディスプレイの光学物品の表面部には、本来の光学的性能に加え、電子ディスプレイの実際の使用条件を想定した物理的強度、例えば高い耐摩耗性、高い耐擦傷性等も同時に求められる。そのような物理的な強度、特に耐摩耗性が求められる背景としては、実際の使用(民生用途)において、人の皮脂、各種化粧品類等の油分や周囲の埃等の様々な汚れが付着した際に、それらを拭き取るために汚染部分を摩耗するという場面が非常に多いためである。
被摩耗体(ディスプレイの表面部分)の物理強度の向上というアプローチは重要な基本技術として検討がなされてきたが、他のアプローチとして、汚れの付着を防ぐという方法も近年では多数検討されるようになってきた。そのような例として、下記のような発明がなされ、提案されている。
パーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロアルキル基及び片末端に(メタ)アクリロイロキシ基を有するポリシロキサン、及び加水分解性基とラジカル重合性基を有する単量体の共重合体を含む低屈折率コーティング剤が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この低屈折率コーティング剤を加熱、硬化することにより低屈折率層が得られる。得られた低屈折率層は、撥水撥油性、密着性、耐摩耗性等に優れている。
また、パーフルオロオレフィン共重合体、両末端にメタアクリロイロキシ基を有するポリシロキサン、及び光分解型重合開始剤からなるコーティング剤が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。そのコーティング剤をコーティングし、そこに紫外線を照射して硬化することにより低屈折率層が得られる。この低屈折率層は塵埃の付着防止等に優れている。
特開2004−51849号公報(第2頁及び第8〜10頁) 特開2005−196122号公報(第80〜86頁)
しかしながら、特許文献1で得られる低屈折率層は撥水撥油性、密着性、耐摩耗性等に優れ、特許文献2で得られる低屈折率層は塵埃の付着防止等に優れているものの、いずれも有機化合物、例えば人の皮脂に近いオレイン酸が介在(付着)した状態における耐摩耗性及びその持続性が不十分であるという問題があった。これはすなわち、表面の汚染を低減することができるものの、それを防ぎきれずに付着してしまった汚れを拭き取る際の摩耗に対する耐久性が低いということを意味する。
オレイン酸等が表面に付着し、汚染された状態での耐摩耗性を向上させることは非常に難しい。耐摩耗性を向上させる添加剤を用いても、それが共有結合以外の形式により薄層のマトリックスに保持されている場合には、その薄層から容易に溶出してしまうため、添加剤の効果が十分に発揮されず、さらにその効果が持続しない。また、たとえ共有結合を形成し得る添加剤を用いても、必ずしもその効果は得られず、得られたとしてもその効果は小さい場合が多い。
ところが、先述の通り、表面が汚染された状態での高い耐摩耗性は、様々な汚れが付着する可能性がある民生用途ではとても重要な性能であり、高い耐オレイン酸摩耗性及びその持続性が強く求められている。
そこで、本発明の目的とするところは、耐摩耗性、特に人の皮脂に近いオレイン酸が介在した状態における耐摩耗性及びその持続性に優れる光学物品及びそれを用いた表示装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明における第1の発明の光学物品は、ディスプレイの前面に配置されて用いられ、光学的機能を発現する光学物品であって、その表面部は、活性エネルギー線の照射により重合し得る反応基を1分子中に少なくとも3つ有するポリジオルガノシロキサンを含む原料組成物を成膜して形成されるものであることを特徴とするものである。
第2の発明の光学物品は、前記原料組成物には、さらに平均粒子径が10〜100nmの金属酸化物微粒子が含まれていることを特徴とするものである。
第3の発明の光学物品は、第2の発明において、前記金属酸化物微粒子が酸化アルミニウム微粒子であることを特徴とするものである。
第4の発明の光学物品は、第1から第3のいずれかの発明において、透明基材の表面上にハードコート層、少なくとも1層の減反射層が順次積層された積層構造を有し、光学的機能として減反射機能を有することを特徴とするものである。
第5の発明の表示装置は、ディスプレイの前面に第1から第4のいずれかに係る発明の光学物品が配置されて構成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明の光学物品では、その表面部が活性エネルギー線の照射により重合し得る反応基を1分子中に少なくとも3つ有するポリジオルガノシロキサンを含む原料組成物を成膜して形成されるものである。このため、多官能のポリジオルガノシロキサンにより光学物品の架橋密度を高めることができ、摩耗刺激に耐え得る表面強度を発現することができるとともに、ポリシロキサン(ポリジオルガノシロキサン)のもつ性質によりオレイン酸に対する耐性を高めることができ、それらの作用が相乗的に発現されるものと考えられる。従って、光学物品は、耐摩耗性、特に人の皮脂に近いオレイン酸が介在した状態における耐摩耗性及びその持続性に優れている。
第2の発明の光学物品では、原料組成物にはさらに平均粒子径が10〜100nmの金属酸化物微粒子が含まれていることから、第1の発明の効果を向上させることができる上に、表面における耐擦傷性を発揮することができる。
第3の発明の光学物品では、前記金属酸化物微粒子が酸化アルミニウム微粒子であることから、その性質により第2の発明の効果を向上させることができる。
第4の発明の光学物品では、透明基材の表面上にハードコート層、少なくとも1層の減反射層が順次積層された積層構造を有することから、第1から第3のいずれかに係る発明の効果に加え、光学的機能として減反射機能を発揮することができる。
第5の発明の表示装置では、ディスプレイの前面に第1から第4のいずれかに係る発明の光学物品が配置されて構成されていることから、第1から第4のいずれかに係る発明の効果を発揮することができ、ディスプレイ前面に設置しても長期間取り替えなしに利用することができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の光学物品は、ディスプレイの前面に配置されて用いられ、光学的機能を発現する物品である。ここで、ディスプレイ(表示装置)とは、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、CRT(陰極線管、ブラウン管)ディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、表面電界ディスプレイ(SED)、タッチパネル等の電子ディスプレイのほか、自動現金引出し預け入れ装置(ATM:Automatic Teller Machine)、現金自動支払機(CD:Cash Dispenser)、ナビゲーション装置、陳列ケース、鑑賞用ケース等のディスプレイを意味する。また、光学的機能としては、減反射機能(防眩機能、反射防止機能)、透過光制御機能、導光機能、近赤外線吸収機能等が挙げられる。光学物品としては、減反射材(反射防止材、防眩材)、透過光制御材、導光板、近赤外線吸収材等が挙げられる。
係る光学物品は、その表面部が活性エネルギー線の照射により重合しうる反応基(重合性反応基)を1分子中に少なくとも3つ有するポリジオルガノシロキサンを含む原料組成物を成膜して形成される。従って、光学物品は皮膜(被膜)、薄膜、層、フィルム、シート等の形態を有している。原料組成物は、ベース成分と上記ポリジオルガノシロキサンとによって構成されている。ベース成分は、重合性反応基を有する単量体を必須成分として含み、無機微粒子等の無機材料、チオール基を有する重合体微粒子等の有機材料、光重合開始剤等の成分が含まれる。
まず、前記ポリジオルガノシロキサンについて説明する。このポリジオルガノシロキサンは、重合性反応基を1分子中に少なくとも3つ、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10、特に好ましくは4〜8つ有する化合物であり、下記に示す一般式(I)で表される。
一般式(I):
Figure 2007171405
一般式(I)中のA及びBは、直鎖状又は分岐状の有機基であり、アルキル鎖(炭素数1〜30)、パーフルオロアルキル鎖(炭素数1〜10)、アリールアルキル鎖、脂肪族乃至芳香族(ポリ)エステル鎖(該有機鎖の部分的な分子量100〜3000)、脂肪族乃至芳香族(ポリ)エーテル鎖(該有機鎖の部分的な分子量100〜3000)及び脂肪族乃至芳香族(ポリ)ウレタン鎖(該有機鎖の部分的な分子量100〜3000)からなる群より選ばれる少なくとも1種の骨格を有しており、該有機基中には重合性反応基が導入されていてもよく、分子内においてAとBは同一でも異なっていてもよく、A同士又はB同士においても同一でも異なっていてもよい。但し、A及びBに導入されている重合性反応基の数は、1分子当り3以上、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10、特に好ましくは4〜8である。さらに、重合性反応基は、合成の簡便さからBに導入されている方がより好ましい。一般式(1)中のcは、ポリシロキサン骨格の長さをc+1の形で表すものであり、好ましくは3〜250、より好ましくは6〜100の整数である。
重合性反応基としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシ基、α−フルオロアクリロイルオキシ基、エポキシ基等が挙げられ、特に重合反応性に優れる(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。重合性反応基とポリシロキサン骨格との間の結合方式としては、従来公知の結合方式、例えば(ポリ)エーテル型、(ポリ)エステル型、(ポリ)ウレタン型、(ポリ)エステル型と(ポリ)ウレタン型とを組み合わせた結合方式、(ポリ)エーテル型と(ポリ)ウレタン型とを組み合わせた結合方式、(ポリ)エステル型と(ポリ)エーテル型とを組み合わせた結合方式等の全てを採用することができる。
例えば、ポリエステル型とポリウレタン型とを組み合わせた結合方式の場合、ポリジオルガノシロキサン分子の構造は、下記の一般式(II)に示されているような基本骨格を有し、ポリシロキサン部位から延びる側鎖のうち、3つ以上の側鎖の末端には、重合性反応基が結合している。
一般式(II):
Figure 2007171405
一般式(II)中のXは3〜250の整数、好ましくは6〜100の整数であり、Y及びZはY+Zが3以上、好ましくはY+Zが4〜20であることを満たすような整数、m及びnはいずれも1〜10の整数である。mとnは同じでも異なっていてもよいが、同じである方がポリジオルガノシロキサンを簡便に調製できる点で好ましい。
一般式(II)中のRは、直鎖状アルキル基(炭素数1〜30)、パーフルオロアルキル基(炭素数1〜10)、アリールアルキル基、ポリエステル基(該側鎖の部分的な分子量200〜2000であり、Si原子にはアルキル鎖を介して結合している)、ポリエーテル基(該側鎖の部分的な分子量200〜2000であり、Si原子にアルキル鎖を介して結合している)及びポリウレタン基(該側鎖の部分的な分子量200〜2000であり、Si原子にアルキル鎖を介して結合している)のいずれかである。分子内においてRは同一でも異なっていてもよいが、ポリジオルガノシロキサンの調製が簡便であることから同一である方がより好ましい。また、使用時における樹脂との相溶性等の観点から、Rはメチル基である場合が最も汎用的で好ましい。
一般式(II)中のRは炭素数3〜30、好ましくは3〜15の直鎖又は分岐鎖であり、該鎖上にはウレタン結合を少なくとも2つ有し、該ウレタン結合を介してポリシロキサン骨格及びRと結合されている(但し、Rはポリジオルガノシロキサン1分子中に3つ以上含まれるように結合している)。分子内においてRは同一でも異なっていてもよいが、ポリジオルガノシロキサンの調製が簡便であることから同一である方がより好ましい。
一般式(II)中のRは、ポリエステル骨格、好ましくは3つ以上のエステル結合を含むポリエステル骨格を有する部位であり、末端には前述のような重合性反応基、好ましくは(メタ)アクリロイル基が結合されている。分子内においてRは同一でも異なっていてもよいが、ポリジオルガノシロキサンの調製が簡便であることから同一である方がより好ましい。また、使用時における樹脂との相溶性等の観点から、Rは3以上のカプロラクトンからなるポリカプロラクトン骨格を有する場合が最も汎用的で好ましい。
一般式(II)中のRは、水素、フッ素及びメチル基のいずれかであり、分子内においてRは同一でも異なっていてもよいが、ポリジオルガノシロキサンの調製が簡便であることから同一である方がより好ましい。
次に、上記のようなポリエステル型とポリウレタン型とを組み合わせた結合方式を用いた場合のより具体的な例を、その製造方法の一例と共にいくつか記載する。但し、下記の製造方法についての例は、前記ポリジオルガノシロキサンが下記の例に限定されることを意味するものではない。
例えば、従来公知の方法により得られる平均式(III)で表されるポリジメチルシロキサン、一般式(IV)で表されるトリイソシアネート、及びエチレングリコールモノメタクリレートを用いたε−カプロラクトンの開環重合により調製される重合性反応基含有ポリエステル(V)を1:2:4のモル比で用い、従来公知のウレタン結合形成反応により、平均式(VI)で表されるポリジメチルシロキサン化合物が得られる。このとき、トリイソシアネート(IV)中へポリジメチルシロキサン(III)を加えていきポリジメチルシロキサン(III)の両末端にウレタン結合を形成させた後に、重合性反応基含有ポリエステル(V)とのウレタン結合形成を行なうことで、副生成物〔例えばポリジメチルシロキサン(III)とトリイソシアネート(IV)のみからなる副生成物や、重合性反応基含有ポリエステル(V)とトリイソシアネート(IV)のみからなる副生成物等〕の生成を抑え、高収率で目的とするポリジメチルシロキサン(VI)を得ることができる。
ここで、平均式(VI)中のdは15〜20の整数、eは1〜5の整数、一般式(IV)中のfは4〜8の整数、一般式(V)及び平均式(VI)中のgは3〜5の整数である。また、平均式(III)、平均式(VI)、平均式(VII)及び平均式(X)において、Meはメチル基を表す。
平均式(III):
Figure 2007171405
一般式(IV):
Figure 2007171405
一般式(V):
Figure 2007171405
平均式(VI):
Figure 2007171405
この他にも、例えば従来公知の方法により得られた平均式(VII)で表されるポリジメチルシロキサン、一般式(VIII)で表されるジイソシアネート、及びペンタエリスリトールトリアクリレートを用いたε−カプロラクトンの開環重合により調製される重合性反応基含有ポリエステル(IX)を1:2:2のモル比で用いて、従来公知のウレタン結合形成反応により、平均式(X)で表されるポリジメチルシロキサン化合物が得られる。このとき、ジイソシアネート(VIII)中へポリジメチルシロキサン(VII)を加えていきポリジメチルシロキサン(VII)の両末端にウレタン結合を形成させた後に、重合性反応基含有ポリエステル(IX)とのウレタン結合形成を行なうことで、副生成物〔例えばポリジメチルシロキサン(VII)とジイソシアネート(VIII)のみからなる副生成物や、重合性反応基含有ポリエステル(IX)とジイソシアネート(VIII)のみからなる副生成物等〕の生成を抑え、高収率で目的とするポリジメチルシロキサン(X)を得ることができる。
ここで、平均式(VII)中のhは25〜35の整数、iは1〜5の整数、一般式(VIII)中のjは5〜10の整数及び一般式(IX)中のkは3〜5の整数である。
平均式(VII):
Figure 2007171405
一般式(VIII):
Figure 2007171405
一般式(IX):
Figure 2007171405
平均式(X):
Figure 2007171405
平均式(X)において、hは29、iは5、jは6及びkは5である。
さらに、例えば上記の2例を組み合わせて平均式(VII)で表されるポリジメチルシロキサン、トリイソシアネート(IV)及び重合性反応基含有ポリエステル(IX)を1:2:4のモル比で反応させ、12のアクリロイロキシ基を有するポリジメチルシロキサンを得ることもできる。
なお、この他にも、重合性反応基を有するポリエステル部分とポリウレタン部分を結合させた後にシロキサン骨格へ導入する方法や、重合性反応基の導入を最後に行なう方法等によりポリジメチルシロキサンを合成することも可能である。通常、一般式(I)で表される化合物は、単独乃至2種以上組み合わせて使用することができる。
また、重合性反応基を1分子中に1つ又は2つ有するオルガノポリシロキサン、例えば、片末端(メタ)アクリロイロキシ変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロアルキル基及び片末端に(メタ)アクリロイロキシ基を有するポリシロキサンや両末端(メタ)アクリロイロキシ変性ポリジメチルシロキサンと、前記の特定構造を有するポリジオルガノシロキサンとを組み合わせて使用することもできる。
以上のポリジオルガノシロキサンの配合量は、原料組成物中に0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。この配合量が0.1質量%未満の場合にはポリジオルガノシロキサンに基づく光学的機能を十分に発揮することができず、20質量%を越える場合には例えば屈折率が高くなり過ぎたり、原料組成物の成膜性が低下したりして好ましくない。
次に、光学物品として前述した減反射材について説明する。この減反射材においては、透明基材の片面上又は両面上に、直接又は複数の機能層を介して表面部(最表面部)に低屈折率層を形成することができる。そのような機能層としては、高屈折率層、ハードコート層、帯電防止層、紫外線防止層、防眩用のアンチグレア層、近赤外線防止層、電磁波遮蔽層等が挙げられるが、これらは透明基材の裏面側に低屈折率層を形成することなく独立に設けることもできる。減反射材としては、透明基材の表面上にハードコート層、少なくとも1層の減反射層が順次積層された積層構造が代表的な例である。
減反射層は、単層構成又は多層構成とすることができる。単層構成の場合には、ハードコート層上に該ハードコート層よりも屈折率の低い層(低屈折率層)を1層形成する。また、多層構成の場合には、ハードコート層の上に屈折率の異なる層を多層積層形成する。具体的には、ハードコート層側から見て順に高屈折率層及び低屈折率層からなる2層構成、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層からなる3層構成、高屈折率層、低屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層からなる4層構成等で構成される。減反射効果の観点からは3層から7層が好ましく、生産性及び生産コストの観点からは単層又は2層が好ましい。
減反射層の形成方法(成膜方法)は特に限定されず、例えばドライコーティング法、ウェットコーティング法等の方法が採用される。これらの方法のうち、生産性及び生産コストの面より、特にウェットコーティング法が好ましい。ウェットコーティング法は公知の方法でよく、例えばロールコート法、スピンコート法、ディップコート法等が代表的な方法である。これらの中では、ロールコート法等、連続的に減反射層を形成できる方法が生産性及び生産コストの点より好ましい。減反射層の減反射機能を発現させるために、低屈折率層の屈折率としては、その直下の層よりも低屈折率であることを要件とし、その屈折率は1.20〜1.55であることが好ましい。屈折率が1.55を越える場合にはウェットコーティング法では十分な減反射効果を得ることが難しく、1.20未満の場合には十分に硬い低屈折率層を形成することが困難となる傾向にある。
さらに、2層構成とする場合には、高屈折率層はその直上に形成される低屈折率層より屈折率を高くすることが必要であるため、その屈折率は1.60〜1.90であることが好ましい。屈折率が1.60未満の場合には十分な減反射効果を得ることが難しく、1.90を越える場合にはウェットコーティング法でそのような層を形成するのが困難となる傾向にある。また、中屈折率層を設けた多層構成とする場合には、積層する高屈折率層より屈折率が低く、低屈折率層より屈折率が高くなるように設定すればよく、その屈折率は特に限定されない。減反射層の厚さは、透明基材の種類、形状、減反射層の構成等によって異なるが、一層当たり可視光線の波長と同じ厚さ又はそれ以下の厚さが好ましい。
中屈折率層乃至高屈折率層を構成する材料としては特に限定されるものではなく、無機材料又は有機材料を用いることができる。無機材料としては、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化シラン、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、酸化ジルコニウム、酸化インジウム錫等の微粒子が挙げられる。特に、酸化インジウム錫等の導電性微粒子を用いた場合には表面抵抗値を下げることができ、帯電防止機能を付与することができる。また、導電性の面より酸化錫、酸化インジウム錫、及び屈折率の点より酸化チタン、酸化セリウム又は酸化亜鉛が好ましい。さらに、有機材料としては、例えば屈折率が1.60〜1.80のチオール基やフェニル基を含有する高屈折率の有機単量体や重合体を用いることができる。
無機材料の微粒子を含む場合には、ウェットコーティング法により形成することができる。その際、有機単量体や重合体をウェットコーティング時のバインダーとして用いることができる。無機材料の微粒子の平均粒子径は層の厚さを大きく越えないことが好ましく、特に0.1μm以下であることが好ましい。微粒子の平均粒子径が大きくなると、散乱が生じる等、高屈折率層の光学機能が低下するため好ましくない。
また、必要に応じて微粒子表面を各種カップリング剤等により修飾することができる。そのようなカップリング剤としては、例えば3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等の有機置換された珪素化合物が挙げられる。その他にも、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等の金属アルコキシドを含む有機酸塩等が挙げられる。特に、表面を(メタ)アクリロイル基等の反応性基で修飾することにより、硬度の高い減反射層を形成することができる。
低屈折率層を構成する材料としては、含フッ素有機化合物(フッ素原子を含む有機化合物)の単体若しくは混合物、又はその重合体、フッ素を含まない有機化合物(以下、非フッ素系有機化合物と略記する)の単体若しくは混合物、又はその重合体、金属酸化物等の無機微粒子、有機重合体微粒子等の有機微粒子を用いることができる。
含フッ素有機化合物は特に限定されるものではないが、例えば含フッ素単官能(メタ)アクリレート、含フッ素多官能(メタ)アクリレート、含フッ素イタコン酸エステル、含フッ素マレイン酸エステル、含フッ素珪素化合物等の単量体及びそれらの重合体等が挙げられる。これらの中では、反応性の観点より含フッ素(メタ)アクリレートが好ましく、特に含フッ素多官能(メタ)アクリレートが硬度及び屈折率の点から最も好ましい。これら含フッ素有機化合物を硬化させることにより、低屈折率かつ高硬度の層を形成することができる。
含フッ素単官能(メタ)アクリレートとしては、1-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシ-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13-へニコサフルオロトリデカンが挙げられる。含フッ素多官能(メタ)アクリレートとしては、含フッ素2官能(メタ)アクリレート、含フッ素3官能(メタ)アクリレート及び含フッ素4官能(メタ)アクリレートが好ましい。含フッ素2官能(メタ)アクリレートとしては、1,10−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロデカン、2−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデシル−2',2'−ビス{(メタ)アクリロイルオキシメチル}プロピオナート、1,10-ジ(メタ)アクリロイルオキシ-2,9−ジヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン等が挙げられる。また、含フッ素4官能(メタ)アクリレートとしては、1,2,9,10−テトラ(メタ)アクリロイルオキシ−4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカンが挙げられる。以上の含フッ素(メタ)アクリレートは、いずれも単独又は混合物として用いることができる。
上記含フッ素有機化合物の重合体としては、含フッ素有機化合物の単独重合体、共重合体、又は非フッ素系有機化合物との共重合体等の直鎖状重合体、鎖中に炭素環や複素環を含む重合体、環状重合体、櫛型重合体等が挙げられる。これらのうち、非フッ素系有機化合物としては、従来公知の単官能又は多官能(メタ)アクリレート、例えばジプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられ、特にジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のように高度にアクリレート化されたものは架橋性能が高く、強靭な塗膜が得られやすい点で好ましい。
低屈折率層中に含ませることが可能な無機微粒子として、例えば、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、フッ化セリウム、中空酸化珪素微粒子、コロイダル酸化珪素微粒子、金属酸化物微粒子等が用いられる。金属酸化物微粒子としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化ベリリウム等の微粒子が挙げられる。これらの金属酸化物微粒子のうち、特に酸化アルミニウムの微粒子が耐摩耗性及び耐擦傷性の観点から好ましい。
これら金属酸化物微粒子の平均粒子径は、低屈折率層の厚さを大きく越えないことが好ましく、通常0.1μm以下、特に好ましくは10〜100nmである。平均粒子径が0.1μmを越える場合には、光の散乱が生じる等、低屈折率層の光学性能が不本意な方向へ変化するため好ましくない。また、金属酸化物微粒子の屈折率や層中での含有率等に起因する透明性への影響も重要であり、光学物品の透明性を低下させるような金属酸化物微粒子の屈折率、含有率は好ましくない。さらに、金属酸化物微粒子の種類によっては、必要に応じて微粒子表面を各種カップリング剤等により修飾することができる。そのようなカップリング剤としては、前述したカップリング剤と同一化合物が使用可能である。
前記原料組成物中における金属酸化物微粒子の配合量は、通常0〜90質量%、好ましくは10〜70質量%である。但し、先述の酸化アルミニウムにおいては、透明性への影響が大きく、また少量の添加で十分な効果が得られることから、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
また、各減反射層には上記化合物以外に本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を含んでいても差し支えない。その他の成分は特に限定されるものではなく、例えば無機又は有機顔料、他の重合体、熱分解型重合開始剤、光重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤、レベリング剤等が挙げられる。
前記各層は、原料組成物を電子線等の活性エネルギー線により重合硬化したり、熱分解型重合開始剤や光重合開始剤の存在下に重合硬化したりすることにより得られる。これらの中では、光重合開始剤を添加した原料組成物を透明基材表面に塗布後、不活性ガス雰囲気下で紫外線を照射して重合硬化させる方法が好ましい。
そのような光重合開始剤としては、活性エネルギー線特に紫外線の照射による重合開始能を有するものであればよい。具体的には例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの光重合開始剤は単独又は混合物として用いることができる。
光重合開始剤の配合量は、含フッ素硬化性塗液中の固形分に対し、0.1〜20質量%であることが好ましい。光重合開始剤の配合割合が0.1質量%未満の場合には含フッ素硬化性塗液の重合硬化が不十分となり、20質量%を越える場合には重合硬化後の皮膜の屈折率が上昇するため好ましくない。紫外線照射に用いられる紫外線灯の種類は、一般的に用いられているものであれば特に限定されず、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が使用される。
紫外線照射の条件として、照射量は10mJ以上が好ましく、100mJ以上がさらに好ましい。照射量の上限は、この種の紫外線照射における常法に従って決定される。照射線量が10mJより少ない場合には重合硬化後に得られる皮膜に十分な硬度が得られない。また、重合硬化後にさらに紫外線照射による後硬化を行なってもよい。紫外線照射時の酸素濃度は、重合硬化時及び後硬化時とも、窒素、アルゴン等の不活性ガスを吹き込む等により1000ppm以下に抑えることが良好な重合硬化性を得るために好ましい。また、前記ハードコート層は、従来公知の全ての原材料や製造法が適用される。
前記透明基材としては、特に限定されるものではないが、フィルム状又はシート状が好ましく、量産性の点からフィルム状のものが好ましい。透明基材を構成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル(PVC)等の合成樹脂等を挙げることができる。
前記減反射材は通常のフィルムやシートに減反射処理が施された構造であるため、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ等の電子ディスプレイ(平面状電子ディスプレイ)の表面に貼り合わせること等によって、背景からくる蛍光灯等の映り込みを少なくすることができる。
次に、光学物品としての近赤外線吸収材について説明する。この近赤外線吸収材は従来公知のもの全てが含まれ、例えば近赤外線吸収剤とバインダーとなる樹脂とから形成される。係る樹脂としては、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が用いられ、これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの樹脂のうち、アクリル樹脂は光学的性質や加工性が良好である点から好適である。
前記近赤外線吸収剤としては、従来公知の有機系又は無機系の近赤外線吸収剤を適宜選択して用いることができる。特に有機系近赤外線吸収剤としては、ジイモニウム系色素、フタロシアニン系色素、ジチオール金属錯体系色素、置換ベンゼンジチオール金属錯体系色素、シアニン系色素、スクアリウム系色素等が好ましい。
次に、表示装置は、ディスプレイの前面に前記の光学物品が配置されて構成されている。ディスプレイとしては、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、表面電界ディスプレイ等の電子ディスプレイのほか、ATM、CD、ナビゲーション装置、陳列ケース、鑑賞用ケース等のディスプレイが用いられる。この場合、ディスプレイに光学物品による光学的機能が発揮され、表示装置に減反射機能、透過光制御機能、導光機能、近赤外線吸収機能等が発現される。
さて、本実施形態の光学物品の作用について説明すると、光学物品の表面部は活性エネルギー線の照射により重合しうる反応基を1分子中に少なくとも3つ有するポリジオルガノシロキサンを含む原料組成物を成膜して形成される。このため、多官能のポリジオルガノシロキサンにより光学物品の架橋密度を高めることができ、摩耗刺激に耐え得る表面強度を発現することができる。しかも、前記ポリジオルガノシロキサンのもつ性質によりオレイン酸に対する耐性を高めることができるとともに、滑り性を良好にすることができ、それらの作用が相乗的に発現されるものと推測される。その結果、光学物品は、表面にオレイン酸が付着している状態での耐摩耗性を高めることができる。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の光学物品では、その表面部は活性エネルギー線の照射により重合し得る反応基を1分子中に少なくとも3つ有するポリジオルガノシロキサンを含む原料組成物を成膜して形成されている。従って、光学物品は、表面強度及びオレイン酸耐性を向上させることができ、耐摩耗性、特に人の皮脂に近いオレイン酸が介在した状態における耐摩耗性及びその持続性に優れている。
・ 原料組成物にはさらに平均粒子径が10〜100nmの酸化アルミニウム微粒子等の金属酸化物微粒子が含まれていることにより、表面における耐擦傷性を向上させることができる。
・ 光学物品としての減反射材では、透明基材の表面上にハードコート層、少なくとも1層の減反射層が順次積層された積層構造を有し、光学的機能として減反射機能を発揮することができる。
・ 表示装置はディスプレイの前面に光学物品が配置されて構成され、ディスプレイ前面に設置しても長期間取り替えなしに利用することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。なお、これらの例において%及び部はそれぞれ質量%及び質量部を表す。また、(1)耐オレイン酸摩耗性及び(2)耐擦傷性の評価は、次の方法により行なった。
(1)耐オレイン酸摩耗性の評価
(株)本光製作所製の消しゴム摩耗試験機の先端に、市販のネル布をシリコーンゴム製のクッションを介して設置し、オレイン酸が介在する状態で5N(500gf)の荷重下でフィルム表面をネル布で往復させて摩耗した。被摩耗体であるフィルムは、適当な粘着剤を介してガラス板に貼り付けた状態で使用した。摩耗面に傷が入ったところで終了とし、その摩耗回数をもって耐オレイン酸摩耗性を評価した。
(2)耐擦傷性の評価
(株)本光製作所製の消しゴム摩耗試験機の先端に、#0000のスチールウールを固定し、2.5N(250gf)及び1N(100gf)の荷重をかけて、被擦傷体であるフィルムの表面上を10往復して摩擦した後の表面の傷を目視で観察し、下記の4段階で評価した。
◎:ほぼ傷なし、○:傷5〜15本、△:傷15〜30本、×:傷31本以上
また、フィルムは、(1)耐オレイン酸摩耗性の評価の場合と同様に、適当な粘着剤を介してガラス板に貼り付けた状態で試験を行った。
(製造例1、重合性反応基を4つ有するポリジオルガノシロキサンの製造方法)
攪拌機、コンデンサ、温度計を取り付けた四つ口フラスコに、f=5とした一般式(IV)で表されるトリイソシアネートを62g入れ、攪拌しながら70℃に加熱しているところへ、d=18、e=2とした平均式(III)で表されるポリジオルガノシロキサン148gをゆっくり加えていく。赤外線吸収スペクトル分析(IR)にてトリイソシアネート由来のNCO基の約30%が消費されたことが確認されたところで、g=3とした一般式(V)で表される重合性反応基含有ポリエステルを210g加えていった。IRにてイソシアネート由来のNCO基のほとんどが消費されたことが確認されたところで、重合性反応基含有ポリジオルガノシロキサン〔d=18、e=2、f=5、g=3とした平均式(VI)の化合物〕を得た。
(製造例2、重合性反応基を6つ有するポリジオルガノシロキサンの製造方法)
攪拌機、コンデンサ、温度計を取り付けた四つ口フラスコに、j=6とした一般式(VIII)で表されるジイソシアネートを40g入れ、攪拌しながら70℃に加熱しているところへ、h=30、i=3とした平均式(VII)で表されるポリジオルガノシロキサン241gをゆっくり加えていった。IRにてジイソシアネート由来のNCO基の約50%が消費されたことが確認されたところで、k=3とした一般式(IX)で表される重合性反応基含有ポリエステルを150g加えていった。IRにてイソシアネート由来のNCO基のほとんどが消費されたことが確認されたところで、重合性反応基含有ポリジオルガノシロキサン〔h=30、i=3、j=6、k=3とした平均式(X)の化合物〕を得た。
(製造例3、重合性反応基を有するフッ素ポリマーの製造方法)
四つ口フラスコにパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビスフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)104部とビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイドの8質量%パーフルオロヘキサン溶液11部を入れた。そして、その空間部を窒素置換した後、窒素気流下に20℃で24時間撹拌して高粘度の固体を得た。得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離後に真空乾燥させて無色透明なポリマーを得た。
このポリマーを19F−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、H−NMR、IRにより分析したところ、上記アリルエーテルの構造単位からなる側鎖末端に水酸基を有する含フッ素ポリマーであった。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により測定した数平均分子量は72,000、重量平均分子量は118,000であった。
得られたヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルポリマー5部とメチルエチルケトン(MEK)43部、ピリジン1部を四つ口フラスコ中に仕込み、5℃以下に氷冷した。そして、窒素気流下で撹拌しながらα−フルオロアクリル酸フルオライド1部をMEK9部に溶解したものを10分間かけて滴下した。その結果、重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマーの溶液を得た。
得られたMEK溶液の固形分は13%であり、19F−NMRにより分析した結果、α−フルオロアクリロイル基の導入率は40モル%であった。
(製造例4、変性中空シリカ微粒子の製造)
フラスコにイソプロピルアルコール(IPA)分散中空シリカゾル(商品名「ELCOM NY−1001SIV」、平均粒径60nm、触媒化成(株)製)2000部、γ‐アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM5103」、信越化学(株)製)70部及び蒸留水80部を混合し、変性中空シリカゾル用塗液を得た。その後、4時間加熱還流(反応温度:77℃)を行い、加水分解反応及び縮合反応を行なった。この操作により変性中空シリカ微粒子(ゾル)を得た。
(製造例5、変性シリカ微粒子の製造)
フラスコにIPA分散シリカゾル(商品名「XBA−ST」、日産化学(株)製)1400部、γ‐アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM5103」、信越化学(株)製)70部及び蒸留水80部を混合して、変性シリカゾル用塗液を得た。その後、4時間加熱還流(反応温度:75℃)を行い、加水分解反応及び縮合反応を行なった。この操作により変性シリカ微粒子(ゾル)を得た。
(製造例6、低屈層用塗液(L−1−1)の調製)
製造例3で得られた含フッ素反応性ポリマー50部(固形分)、製造例4で得られた変性中空シリカ微粒子(平均粒子径0.05μm)50部(固形分)、製造例1で得られた重合性反応基含有ポリジメチルシロキサン5部、光重合開始剤(商品名「IRGACURE 907」、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)2部及びIPA2000部を混合して、低屈層用塗液(L−1−1)を調製した。
(製造例7、低屈層用塗液(L−2−1)の調製)
製造例3で得られた含フッ素反応性ポリマー50部(固形分)、製造例4で得られた変性中空シリカ微粒子(平均粒子径0.05μm)50部(固形分)、製造例2で得られた重合性反応基含有ポリジメチルシロキサン5部、光重合開始剤(商品名「IRGACURE 907」、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)2部及びイソプロピルアルコール2000部を混合して、低屈層用塗液(L−2−1)を調製した。
(製造例8、低屈層用塗液(L−3−1)の調製)
1,2,9,10−テトラアクリロイルオキシー4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン50部、製造例4に記載の変性中空シリカ微粒子50部、製造例1に記載の重合性反応基含有ポリジメチルシロキサン3部、光重合開始剤(商品名「IRGACURE 184」、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)6部及びイソプロピルアルコール2000部を混合して、低屈層用塗液(L−3−1)を調製した。
(製造例9、低屈層用塗液(L−4−1)の調製)
1,10−ジアクリロイルオキシー4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカンー2,9−ジオール50部、製造例5で得られた変性シリカ微粒子50部、製造例1に記載の重合性反応基含有ポリジメチルシロキサン7部、光重合開始剤(商品名「IRGACURE 907」、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)4部及びイソプロピルアルコール2000部を混合して、低屈層用塗液(L−4−1)を調製した。
(製造例10、低屈層用塗液(L−5−1)の調製)
ジプロピレングリコールジアクリレート25部、ペンタエリスリトールトリアクリレート25部、製造例4に記載の変性中空シリカ微粒子50部、製造例1に記載の重合性反応基含有ポリジメチルシロキサン3部、光重合開始剤(商品名「IRGACURE 184」、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)6部及びIPA2000部を混合して、低屈層用塗液(L−5−1)を調製した。
(製造例11、低屈層用塗液(L−1−2)の調製)
製造例6に記載のL−1−1に、さらにアルミナ微粒子(平均粒子径0.03〜0.05μm)1部を加えて混合し、低屈層用塗液(L−1−2)を調製した。
(製造例12、低屈層用塗液(L−2−2)の調製)
製造例7に記載のL−2−1に、さらにアルミナ微粒子(平均粒子径0.03〜0.05μm)0.5部を加えて混合し、低屈層用塗液(L−2−2)を調製した。
(製造例13、低屈層用塗液(L−3−2)の調製)
製造例8に記載のL−3−1に、さらにアルミナ微粒子(平均粒子径0.03〜0.05μm)0.5部を加えて混合し、低屈層用塗液(L−3−2)を調製した。
(製造例14、低屈層用塗液(L−4−2)の調製)
製造例9に記載のL−4−1に、さらにアルミナ微粒子(平均粒子径0.03〜0.05μm)1部を加えて混合し、低屈層用塗液(L−4−2)を調製した。
(製造例15、低屈層用塗液(L−5−2)の調製)
製造例10に記載のL−5−1に、さらにアルミナ微粒子(平均粒子径0.03〜0.05μm)0.5部を加えて混合し、低屈層用塗液(L−5−2)を調製した。
(製造例16、低屈層用塗液(L−6)の調製)
製造例6に記載のL−1−1の調製において、製造例1に記載の重合性反応基含有ポリジメチルシロキサンの代わりに、重合性反応基(アクリロイロキシ基)を6つ有するジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名「DHPA」、日本化薬(株)製)を10部加えて混合し、低屈層用塗液(L−6)を調製した。
(製造例17、低屈層用塗液(L−7)の調製)
製造例6に記載のL−1−1の調製において、製造例1に記載の重合性反応基含有ポリジメチルシロキサンの代わりに、重合性反応基を有さないポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン添加剤(商品名「BYK−300」、ビック・ケミー(株)製)を同部加えて混合し、低屈層用塗液(L−7)を調製した。
(製造例18、低屈層用塗液(L−8)の調製)
製造例6に記載のL−1−1の調製において、製造例1に記載の重合性反応基含有ポリジメチルシロキサンの代わりに、重合性反応基(メタクリロイロキシ基)を1つだけ有するポリジメチルシロキサン添加剤〔商品名「X−22−1602」、信越化学工業(株)製〕を同部加えて混合し、低屈層用塗液(L−8)を調製した。
(製造例19、低屈層用塗液(L−9)の調製)
製造例6に記載のL−1−1の調製において、製造例1に記載の重合性反応基含有ポリジメチルシロキサンの代わりに、重合性反応基(アクリロイロキシ基)を2つ有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン添加剤〔商品名「BYK−UV 3500」、ビック・ケミー(株)製〕を同部加えて混合し、低屈層用塗液(L−9)を調製した。
(製造例20、低屈層用塗液(L−10)の調製)
製造例6に記載のL−1−1の調製において、製造例1に記載の重合性反応基含有ポリジメチルシロキサンの代わりに、アルミナ微粒子(平均粒子径0.03〜0.05μm)を1部加えて混合し、低屈層用塗液(L−10)を調製した。
(製造例21、表面にハードコート層を有するフィルムの製造)
光重合性ウレタンアクリレート〔商品名「紫光UV7600B」、日本合成化学工業(株)製〕50部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔商品名:「DPHA」、日本化薬(株)製〕20部、光重合開始剤〔商品名「IRGACURE184」、チバスペシャルティケミカルズ(株)製〕3部、IPA30部を混合して、ハードコート層用塗液を得た。
これを80μmの厚さのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム〔商品名「KC8UY」、コニカミノルタオプト(株)製〕上に、乾燥膜厚がおよそ4μmになるように精密ワイヤーバーを用いたウェットコート法で塗布した。ここで、精密ワイヤーバーとは、直径2〜40mmのコアシャフト(SUS304製)に線径25〜95μmのワイヤー(SUS304製)を巻き付けて作製され、巻き付けられたワイヤー間の隙間のばらつきが2μm以下であるようなワイヤーバーである。但し、本製造例においては、線径60μmのワイヤーと40mm径のコアシャフトからなる精密ワイヤーバーを用いた。その後、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて400mJの紫外線を該塗布膜へ照射し、ハードコート層用塗液を硬化させ、表面にハードコート層を形成したTACフィルム(以下、これをHC−TACと略記する)を作製した。
(製造例22、ハードコート層、高屈折率層の順に積層されたフィルムの製造)
平均粒子径が0.03μmの酸化チタン微粒子を80部、トリアクリル酸テトラメチロールメタン15部、光重合開始剤〔商品名「IRGACURE 907」、チバスペシャリティケミカルズ(株)製〕1部を混合し、高屈折率層用塗液を調整した。
該高屈折率層用塗液を、製造例19に記載のHC−TAC上に、ハードコート層を形成する場合と同様の方法(但し、線径25μmのワイヤーと直径20mmのコアシャフトからなる精密ワイヤーバーを使用)で約0.1μmの厚みになるように成膜し、高屈折率層を有するHC−TAC(以下、これをH−HC−TACと略記する)を得た。
(実施例1)
製造例6に記載のL−1−1を、製造例21に記載のHC−TACのハードコート層上に、乾燥膜厚がおよそ0.1μmになるようにディップコート法で塗布した。このとき、含フッ素硬化性塗液の成膜性は良好であった。その後、窒素雰囲気下、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて400mJの紫外線を照射して塗膜を硬化させ、減反射材(反射防止材)(以下、減反射TACフィルムと略記する)を得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は、表1に示す通りであった。さらに、得られた減反射TACフィルムをプラズマディスプレイの前面板に貼り合せ、減反射処理されたプラズマディスプレイを得た。
(実施例2)
実施例1に記載のL−1−1の代わりに製造例7に記載のL−2−1を用い、その他は実施例1と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は表1に示すとおりであった。得られた減反射TACフィルムをプラズマディスプレイの前面板に貼り合せ、減反射処理されたプラズマディスプレイを得た。
(実施例3)
実施例1に記載のL−1−1の代わりに製造例8に記載のL−3−1を用い、その他は実施例1と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は表1に示すとおりであった。得られた減反射TACフィルムをプラズマディスプレイの前面板に貼り合せ、減反射処理されたプラズマディスプレイを得た。
(実施例4)
実施例1に記載のL−1−1の代わりに製造例9に記載のL−4−1を用い、その他は実施例1と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は表1に示すとおりであった。得られた減反射TACフィルムをプラズマディスプレイの前面板に貼り合せ、減反射処理されたプラズマディスプレイを得た。
(実施例5)
実施例1に記載のL−1−1の代わりに製造例10に記載のL−5−1を用い、その他は実施例1と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は表1に示すとおりであった。得られた減反射TACフィルムをプラズマディスプレイの前面板に貼り合せ、減反射処理されたプラズマディスプレイを得た。
(実施例6)
実施例1に記載のL−1−1の代わりに製造例11に記載のL−1−2を用い、その他は実施例1と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は表1に示すとおりであった。得られた減反射TACフィルムをプラズマディスプレイの前面板に貼り合せ、減反射処理されたプラズマディスプレイを得た。
(実施例7)
実施例1に記載のL−1−1の代わりに製造例12に記載のL−2−2を用い、その他は実施例1と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は表1に示すとおりであった。得られた減反射TACフィルムをプラズマディスプレイの前面板に貼り合せ、減反射処理されたプラズマディスプレイを得た。
(実施例8)
実施例1に記載のL−1−1の代わりに製造例13に記載のL−3−2を用い、その他は実施例1と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は表1に示すとおりであった。得られた減反射TACフィルムをプラズマディスプレイの前面板に貼り合せ、減反射処理されたプラズマディスプレイを得た。
(実施例9)
実施例1に記載のL−1−1の代わりに製造例14に記載のL−4−2を用い、その他は実施例1と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は表1に示すとおりであった。得られた減反射TACフィルムをプラズマディスプレイの前面板に貼り合せ、減反射処理されたプラズマディスプレイを得た。
(実施例10)
実施例1に記載のL−1−1の代わりに製造例15に記載のL−5−2を用い、その他は実施例1と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は表1に示すとおりであった。得られた減反射TACフィルムをプラズマディスプレイの前面板に貼り合せ、減反射処理されたプラズマディスプレイを得た。
(実施例11)
製造例6に記載のL−1−1を、製造例22に記載のH−HC−TACフィルムの高屈折率層上に、乾燥膜厚がおよそ0.1μmになるように、精密ワイヤーバー(線径25μmのワイヤーと直径20mmのコアシャフトからなる)を用いたウェットコート法で塗布した。このとき、含フッ素硬化性塗液の成膜性は良好であった。その後、窒素雰囲気下、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて400mJの紫外線を照射して塗膜を硬化させ、減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は、表1に示す通りであった。得られた減反射TACフィルムをプラズマディスプレイの前面板に貼り合せ、減反射処理されたプラズマディスプレイを得た。
(実施例12)
実施例11に記載のL−1−1の代わりに製造例11に記載のL−1−2を用い、その他は実施例11と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は、表1に示す通りであった。得られた減反射TACフィルムをプラズマディスプレイの前面板に貼り合せ、減反射処理されたプラズマディスプレイを得た。
(実施例13)
実施例11に記載のL−1−1の代わりに製造例13に記載のL−3−2を用い、その他は実施例11と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は、表1に示す通りであった。得られた減反射TACフィルムをプラズマディスプレイの前面板に貼り合せ、減反射処理されたプラズマディスプレイを得た。
(実施例14)
実施例11に記載のL−1−1の代わりに製造例15に記載のL−5−2を用い、その他は実施例11と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は、表1に示す通りであった。得られた減反射TACフィルムをプラズマディスプレイの前面板に貼り合せ、減反射処理されたプラズマディスプレイを得た。
(比較例1)
製造例16に記載のL−6を、製造例21に記載のHC−TACフィルムのハードコート層上に、乾燥膜厚がおよそ0.1μmになるようにディップコート法で塗布した。このとき、含フッ素硬化性塗液の成膜性は良好であった。その後、窒素雰囲気下、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて400mJの紫外線を照射して塗膜を硬化させ、減反射材を得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は、表1に示す通りであった。得られた減反射TACフィルムをプラズマディスプレイの前面板に貼り合せ、減反射処理されたプラズマディスプレイを得た。
(比較例2)
比較例1に記載のL−6の代わりに製造例17に記載のL−7を用い、その他は比較例1と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は、表1に示す通りであった。
(比較例3)
比較例1に記載のL−6の代わりに製造例18に記載のL−8を用い、その他は比較例1と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は、表1に示す通りであった。
(比較例4)
比較例1に記載のL−6の代わりに製造例19に記載のL−9を用い、その他は比較例1と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は、表1に示す通りであった。
(比較例5)
比較例1に記載のL−6の代わりに製造例20に記載のL−10を用い、その他は比較例1と同様にして減反射TACフィルムを得た。得られた減反射TACフィルムの耐オレイン酸摩耗性及び耐擦傷性は、表1に示す通りであった。
Figure 2007171405
表1に示した結果より、重合性反応基を4つ又は6つ有するポリジオルガノシロキサンを用いた実施例1〜14においては、高い耐オレイン酸摩耗性及びその持続性を実現することができた。特に、アルミナ微粒子を併用している実施例6〜10及び実施例12〜14においては、極めて高い耐オレイン酸摩耗性及びその持続性と共に、高い耐擦傷性をも実現することができた。このようにアルミナ微粒子の併用により、耐オレイン酸摩耗性を一層向上させ、かつ耐擦傷性も向上させ得ることが分かった。
さらに、実施例1〜14において得られたプラズマディスプレイの前面に減反射TACフィルムが配置された表示装置は、反射が抑制され、画像を鮮明に認識することができた。
その一方、比較例1〜5では、耐オレイン酸摩耗性が不十分であり、耐擦傷性についても実施例1〜14に比べて同等以下という結果となった。具体的には、比較例1のように、1分子内に重合性反応性基を6つ有するがポリシロキサン骨格を有さない単量体を添加した系では、耐オレイン酸摩耗性は極めて低いものであった。このことから、複数の重合性反応基を有するだけでは高い耐オレイン酸摩耗性を得るのは難しく、ポリジオルガノシロキサン骨格を有することが必要であることがわかる。
比較例2のように、共有結合形成以外の方法によりポリジオルガノシロキサン分子を薄層のマトリックス中に保持している系では、耐オレイン酸摩耗性が極めて低いものであった。これは、介在するオレイン酸によりポリジオルガノシロキサン分子が溶出したためであり、このことから、薄層マトリックスとの共有結合形成が重要であることがわかる。
比較例3及び4のように、重合性反応基を1乃至2つ有する場合には、耐オレイン酸摩耗性の若干の向上が確認されたものの、実施例1〜14ほどの効果は得られなかった。このことから、ポリジオルガノシロキサン1分子内における重合性反応基の数も重要であることがわかる。
比較例5のように、重合性反応基を有するポリジオルガノシロキサンは含まずにアルミナ微粒子のみを添加した系では、耐擦傷性は比較的良好なものの、耐オレイン酸摩耗性が極めて低いものであった。このことから、アルミナ微粒子だけでは耐オレイン酸摩耗性は向上せず、同時に重合性反応基を有するポリジオルガノシロキサンを用いることが必要であることがわかる。
なお、本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。
・ 光学物品としての皮膜を、ディスプレイとしての絵画、写真等の前面に貼り付けて使用することができる。
・ 人の皮脂に近い成分として、オレイン酸以外の成分に対して耐摩耗性を向上させるように構成することも可能である。
・ 原料組成物には、重合性反応基を有していないポリシロキサンを配合することも可能である。
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
・ 前記原料組成物は、ベース成分と前記ポリジオルガノシロキサンとによって構成され、ベース成分は重合性反応基を有する単量体を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光学物品。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加え、原料組成物の重合性を向上させることができる。
・ 前記ディスプレイは、電子ディスプレイであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光学物品。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加え、電子ディスプレイの画面を良好に認識することができる。
・ 前記表面部が、その表面部とネル布の間にオレイン酸を介在させながら5Nの荷重下にネル布で表面部を摩耗させるオレイン酸摩耗試験で5000回往復以上の摩耗刺激に耐え得る表面強度を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光学物品。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果を向上させることができる。

Claims (5)

  1. ディスプレイの前面に配置されて用いられ、光学的機能を発現する光学物品であって、
    その表面部は、活性エネルギー線の照射により重合し得る反応基を1分子中に少なくとも3つ有するポリジオルガノシロキサンを含む原料組成物を成膜して形成されるものであることを特徴とする光学物品。
  2. 前記原料組成物には、さらに平均粒子径が10〜100nmの金属酸化物微粒子が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の光学物品。
  3. 前記金属酸化物微粒子が酸化アルミニウム微粒子であることを特徴とする請求項2に記載の光学物品。
  4. 透明基材の表面上にハードコート層、少なくとも1層の減反射層が順次積層された積層構造を有し、光学的機能として減反射機能を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光学物品。
  5. ディスプレイの前面に請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光学物品が配置されて構成されていることを特徴とする表示装置。
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