JP2007168617A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】操舵トルクセンサ16と、操舵をアシストするステアリングモータ10とを備え、操舵トルクセンサ16により検出された操舵トルクに応じてステアリングモータ10によるアシスト量を制御する車両の電動パワーステアリング装置において、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ18と、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ15を備え、ヨーレートセンサ18で検出されるヨーレートがゼロ近傍であり、操舵トルクセンサ16で検出される操舵トルクが所定値以上で、且つ、操舵角センサ15で検出される操舵角が所定値以上である場合に、前記アシスト量を通常時のアシスト量よりも増加する。
【選択図】図2
Description
ところで、車両が横勾配のある路面を走行しているときには、車両として直進状態にあっても路面の低い方向へ車体が流されてしまう。そのため、この車体流れに抗して直進させるには、車体が路面の低い方へ流れないように運転者はハンドルに操舵トルクを加え続けなければならず、運転者の疲労を早める場合がある。
この課題に対処するに、車両の傾斜角度を検出し、該傾斜角度に応じてアシスト量を補正する電動パワーステアリング装置が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
そのため、多数のストロークセンサが必要でコストアップになり、また、制御が複雑になるという課題があった。
そこで、この発明は、装置構成および制御が簡単ながら、車体流れ時の運転者の疲労を軽減することができる電動パワーステアリング装置を提供するものである。
請求項1に係る発明は、操作子(例えば、後述する実施例におけるステアリングホイール3)に加わる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段(例えば、後述する実施例における操舵トルクセンサ16)と、操舵をアシストするステアリングモータ(例えば、後述する実施例におけるステアリングモータ10)とを備え、前記操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクに応じて前記ステアリングモータによるアシスト量を制御する車両の電動パワーステアリング装置において、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段(例えば、後述する実施例におけるヨーレートセンサ18)を備え、該ヨーレート検出手段で検出されるヨーレートがゼロ近傍であり、前記操舵トルク検出手段で検出される操舵トルクが所定値以上である場合に、前記アシスト量を通常時のアシスト量よりも増加することを特徴とする。
このように構成することにより、ヨーレート検出手段で検出されるヨーレートがゼロ近傍であり、操舵トルク検出手段で検出される操舵トルクが所定値以上である場合には、車体流れに抗して車両を直進させる操舵状態(以下、車体流れ阻止操舵状態という)であると判断して、ステアリングモータによるアシスト量を車体流れが生じていない通常時のアシスト量よりも増加するので、車体流れ阻止操舵状態における運転者の操舵力を小さくすることができる。
このように構成することにより、車体流れ阻止操舵状態におけるアシスト量の増加制御を安定させることができる。
このように構成することにより、ヨーレート検出手段で検出されるヨーレートがゼロ近傍であり、操舵角検出手段で検出される操舵角が所定値以上である場合には、車体流れ阻止操舵状態であると判断して、ステアリングモータによるアシスト量を車体流れが生じていない通常時のアシスト量よりも増加するので、車体流れ阻止操舵状態における運転者の操舵力を小さくすることができる。
このように構成することにより、車体流れ阻止操舵状態におけるアシスト量の増加制御を安定させることができる。
このように構成することにより、車速がゼロ近傍での誤判断を避けることができる。
請求項2あるいは請求項4に係る発明によれば、車体流れ阻止操舵状態におけるアシスト量の増加制御を安定させることができる。
請求項5に係る発明によれば、車速がゼロ近傍での誤判断を避けることができる。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置は手動操舵力発生機構1を備えており、この手動操舵力発生機構1は、ステアリングホイール(操作子)3に一体結合されたステアリングシャフト4が、ユニバーサルジョイントを有する連結軸5を介してラック&ピニオン機構のピニオン6に連結されて構成されている。ピニオン6は、車幅方向に往復動し得るラック軸7のラック歯7aに噛合し、ラック軸7の両端には、タイロッド8,8を介して転舵輪としての左右の前輪9,9が連係されている。この構成により、ステアリングホイール3の操舵時に通常のラック&ピニオン式の転舵操作が可能であり、前輪9,9を転舵させて車両の向きを変えることができる。ラック軸7とタイロッド8,8は転舵機構を構成する。
操舵角センサ15は検出した操舵角に対応する電気信号を、操舵トルクセンサ16は検出した操舵トルクに対応する電気信号を、ヨーレートセンサ18は検出したヨーレートに対応する電気信号を、車速センサ19は検出した車速に対応した電気信号を、それぞれステアリング制御装置(EPS−ECU)20に出力する。
ステアリング制御装置20は、これらセンサ15,16,18,19からの入力信号を処理して得られる制御信号によりステアリングモータ10に供給すべき目標電流を決定し、駆動回路21を介してステアリングモータ10に供給することによりステアリングモータ10の出力トルクを制御し、ステアリング操作における補助操舵力(アシスト量)を制御する。
ステアリング制御装置20は、ベース電流算出部31、ヨーレート反力補正電流算出部32、トルクセンサ補正中点値算出部33を備え、ベース電流算出部31で算出したベース電流から、ヨーレート反力補正電流算出部32で算出したヨーレート反力補正電流を減算することにより、ステアリングモータ10の目標電流を算出する。
そこで、この電動パワーステアリング装置では、車体流れに抗して車両を直進させる操舵状態(車体流れ阻止操舵状態)にあると判断したときには、操舵トルクセンサ16のトルクセンサ中点値を補正することによって、車体流れが生じていないとき(以下、この出願においては「通常時」という)よりもアシスト量が大きくなるように制御し、これにより運転者の負担を軽減する。以下の説明の都合上、補正前のトルクセンサ中点値V0をトルクセンサ基本中点値V0と称す。
トルクセンサ補正中点値算出部33において実行される車体流れ阻止操舵状態判断処理およびトルクセンサ中点値補正処理について、図3に示すブロック図を参照して説明する。
車体流れ判断部34は、操舵角センサ15と操舵トルクセンサ16とヨーレートセンサ18の各出力信号に基づき、車体流れ阻止操舵状態にあるか否かを判断する。この実施例では、次の(1)〜(3)の3つの条件を同時に満足する状態が一定時間継続した場合に、車体流れ判断部34は車体流れ阻止操舵状態にあると判断する。
(1)ヨーレートセンサ18で検出されるヨーレートがゼロ近傍で安定している。
(2)操舵トルクセンサ16の出力電圧(操舵トルク)がトルクセンサ基本中点値V0から同方向(右回りあるいは左回り)に所定値以上オフセットしている。
(3)操舵角センサ15で検出される操舵角が中点値から同方向(右回りあるいは左回り)に所定値以上オフセットしている。
換言すると、上記(1)〜(3)の3つの条件を満たしても一定時間継続しないときや、上記(1)〜(3)の条件のいずれか1つでも満たしていないときには、車体流れ判断部34は車体流れ阻止操舵状態でないと判断する。
この実施例では上記(1)〜(3)の3条件と継続性を課すことによって、車体流れ阻止操舵状態の判断の正確性を期している。
ただし、簡易的な方法として、上記(2)と(3)のいずれか一方と(1)の条件とを同時に満足する状態が一定時間継続した場合に車体流れ阻止操舵状態であると判断することも可能である。
そして、トルクセンサ補正中点値算出部33は、操舵角センサ15で検出された操舵角の絶対値に基づき、トルクセンサ中点補正マップ36を参照して、操舵角の絶対値に応じた基本補正電圧を算出するとともに、車速センサ19で検出された車速に基づき、車速レシオマップ37を参照して、車速に応じた車速レシオRvを算出する。
この実施例における車速レシオマップ37では、車速が第1の車速v1に達するまでは車速レシオRvはゼロであり、第1の車速v1を越えると車速が大きくなるにしたがって車速レシオRvが徐々に大きくなり、車速が第2の車速v2に達すると車速レシオRvは最大値となり、第3の車速v3に達するまで車速レシオRvは前記最大値で一定で、第3の車速v3を越えると車速が大きくなるにしたがって車速レシオRvは徐々に小さくなり、車速が第4の車速v4に達するとそれ以上は車速レシオRvは所定の中間値で一定に設定されている。
フェードIN/OUT処理部38により徐々に補正電圧値Vhに移行させるのは、瞬時にトルクセンサ基本中点値V0からトルクセンサ補正中点値V0hに切り換えると操舵フィーリングが悪化するからである。
また、車速センサ19で検出される車速が第1の所定車速v1以下のときも車速レシオRvがゼロに設定されるので、補正電圧値Vhはゼロとなり、トルクセンサ中点値の補正は実質的に行われず、トルクセンサ補正中点値V0hはトルクセンサ基本中点値V0に一致する(V0h=V0)。これは、車速がゼロ近傍(第1の所定車速v1以下)で誤判断を避けるためである。
車体流れ判断部34が車体流れ阻止操舵状態ではないと判断して中点補正スイッチ35をOFFしたときも、基本補正電圧がゼロになるので、補正電圧値Vhもゼロとなり、トルクセンサ中点値の補正は実質的に行われず、トルクセンサ補正中点値V0hはトルクセンサ基本中点値V0に一致する(V0h=V0)。
この実施例における車速レシオマップ37では車速が第3の車速v3よりも高い高車速域では車速が高くなるにしたがって車速レシオRvを小さくしているので、高車速で車体流れ阻止操舵状態にあるときは操舵アシスト量の増加を抑え気味にすることができ、高車速域での操舵フィーリング悪化を防止することができる。
しかも、操舵トルクセンサ16およびヨーレートセンサ18は一般に電動パワーステアリング装置に初めから備えられており、操舵角センサ15を1つ追加するだけで前記作用・効果を得ることができるので、装置構成および制御が簡単になり、コストアップを抑えることができる。
操舵角センサ15の出力は操舵トルクセンサ16の出力よりもノイズが小さく、このノイズの小さい操舵角センサ15の出力値(つまり、操舵角)Vnに応じてトルクセンサ補正中点値V0hを算出しているので、トルクセンサ中点値の補正を安定して行うことができ、車体流れ阻止操舵状態におけるアシスト量の増加制御を安定させることができる。
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、前述した実施例では、操舵トルクセンサ16の中点値を補正することによって車体流れ阻止操舵状態のときの操舵アシスト量を増加させているが、トルクセンサ中点値を補正せずに操舵アシスト量を増加補正しても構わない。
また、図3に示されるトルクセンサ中点補正マップ36や車速レシオマップ37はいずれも一例である。
10 ステアリングモータ
15 操舵角センサ(操舵角検出手段)
16 操舵トルクセンサ(操舵トルク検出手段)
18 ヨーレートセンサ(ヨーレート検出手段)
19 車速センサ
Claims (5)
- 操作子に加わる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、操舵をアシストするステアリングモータとを備え、前記操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクに応じて前記ステアリングモータによるアシスト量を制御する車両の電動パワーステアリング装置において、
車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段を備え、該ヨーレート検出手段で検出されるヨーレートがゼロ近傍であり、前記操舵トルク検出手段で検出される操舵トルクが所定値以上である場合に、前記アシスト量を通常時のアシスト量よりも増加することを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記操作子の操舵角を検出する操舵角検出手段を備え、該操舵角検出手段で検出される操舵角が大きいほど、通常時のアシスト量よりも増加する増加量を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 操作子に加わる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、操舵をアシストするステアリングモータとを備え、前記操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクに応じて前記ステアリングモータによるアシスト量を制御する車両の電動パワーステアリング装置において、
車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、前記操作子の操舵角を検出する操舵角検出手段を備え、前記ヨーレート検出手段で検出されるヨーレートがゼロ近傍であり、前記操舵角検出手段で検出される操舵角が所定値以上である場合に、前記アシスト量を通常時のアシスト量よりも増加することを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記操舵角検出手段で検出される操舵角が大きいほど、通常時のアシスト量よりも増加する増加量を大きくすることを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
- 車速がゼロ近傍のときは、通常時のアシスト量よりも増加する増加量をゼロにすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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