JP4628829B2 - 操舵装置 - Google Patents
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従来の反力成分制御手段としては、車両挙動(例えばヨーレート)に応じて操舵反力成分を制御するもの(例えば、特許文献1参照)や、ハンドルの操舵角に応じて操舵反力成分を制御するもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
また、操舵角に応じて操舵反力成分を制御する場合は、直進付近での操舵のしっかり感(安定感)については十分に満足できるが、車両挙動に対する車両偏向抑制作用がないので、車両挙動に対する安定性に満足が得られない。
そこで、この発明は、操舵フィーリングの向上と車両挙動に対する安定性向上を同時に図ることができる操舵装置を提供するものである。
このように構成することにより、操舵角が小さいときほど、操舵角反力成分による影響を大きくすることができるので、路面μにかかわらず直進付近の操舵のしっかり感(安定感)を向上することができる。
また、操舵角が大きいときには、車両挙動反力成分による影響を大きくすることができるので、操舵角が比較的に大きいときの車両の安定性を向上することができる。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置は手動操舵力発生機構1を備えており、この手動操舵力発生機構1は、ステアリングホイール(操作子)3に一体結合されたステアリングシャフト4が、ユニバーサルジョイントを有する連結軸5を介してラック&ピニオン機構のピニオン6に連結されて構成されている。ピニオン6は、車幅方向に往復動し得るラック軸7のラック歯7aに噛合し、ラック軸7の両端には、タイロッド8,8を介して転舵輪としての左右の前輪9,9が連係されている。この構成により、ステアリングホイール3の操舵時に通常のラック&ピニオン式の転舵操作が可能であり、前輪9,9を転舵させて車両の向きを変えることができる。ラック軸7とタイロッド8,8は転舵機構を構成する。
また、車体の適所には、車両のヨーレート(車両挙動)を検出するヨーレートセンサ(車両挙動検出手段、ヨーレート検出手段)18と、車速を検出する車速センサ19とが取り付けられている。ヨーレートセンサ18は検出したヨーレートに対応する電気信号を、車速センサ19は車速に対応した電気信号を、それぞれステアリング制御装置20に出力する。
ステアリング制御装置20は、ベース電流算出部31と、イナーシャ補償電流算出部32と、ダンパ補償電流算出部33と、反力補正電流算出部34とを備えている。
ベース電流算出部31においては、操舵トルクセンサ16および車速センサ19の出力信号に基づき、ベース電流テーブル(図示略)を参照して、操舵トルクと車速に応じたベース電流値が決定される。ここで、ベース電流テーブルは、操舵トルクが大きくなるにしたがってベース電流が大きくなり、車速が大きくなるにしたがってベース電流が小さくなるように設定されている。
反力補正電流算出部34は、ヨーレートと操舵角と車速に基づいて反力補正電流Irを算出する。反力補正電流算出部34については後で詳述する。
したがって、この実施例の電動パワーステアリング装置においては、反力補正電流算出部34において設定される反力補正電流Irは操舵アシスト力に対する反力成分(つまり、操舵反力成分)ということができる。
ヨーレート反力補正電流算出部35は、ヨーレートセンサ18の出力信号に基づき、ヨーレート反力補正電流テーブル(図示略)を参照して、ヨーレート反力補正電流Iyを算出する。ここで、ヨーレート反力補正電流テーブルは、ヨーレートが大きくなるにしたがってヨーレート反力補正電流Iy(車両挙動反力成分)が大きくなるように設定されている。
この実施例の配分比テーブル37では、操舵角が所定値以下のときは配分比Rは「0.5」で一定であり、操舵角が前記所定値を超えると操舵角の増大にしたがって配分比Rが徐々に減少し、操舵角が別の所定値以上になると配分比Rが「0.1」で一定に設定されている。ただし、配分比Rの前記数値は一例であり、これら数値に限定されるものではない。
Ir=Is・R + Iy・(1−R) ・・・ 式(1)
そして、反力補正電流算出部34は、式(1)で求めた反力補正電流Irを操舵反力成分として出力する。
その結果、操舵角が小さいときほど、操舵角反力補正電流Isが反力補正電流Irに大きく影響を与えるので、低μ路などのようにヨーレートの位相遅れが大きい状況でも、直進付近の操舵のしっかり感(安定感)が向上する。特に、高速域では車速係数Ksが大きくなり、操舵角反力補正電流Isが大きくなることから、高速時の直進安定性向上の効果が大きい。
また、操舵角が大きいときには、ヨーレート反力補正電流Iyが反力補正電流Irに大きく影響を与えるので、操舵角が比較的に大きいときの車両の安定性が向上する。
したがって、この電動パワーステアリング装置によれば、直進安定性の向上と、路面μにかかわらない車両の安定性向上を同時に達成することができる。
参考例の電動パワーステアリング装置が前記実施例のものと相違する点は、ステアリングモータ10の電流制御における反力補正電流Irの算出方法にあり、これについて図4の制御ブロック図を参照して説明する。
参考例の電動パワーステアリング装置におけるステアリング制御装置20の反力補正電流算出部34が、ヨーレート反力補正電流算出部(車両挙動反力成分制御手段)35と、操舵角反力補正電流算出部(操舵角反力成分制御手段)36とを備える点、および、ヨーレート反力補正電流算出部35におけるヨーレート反力補正電流Iyの算出方法については前記実施例と同じである。
この参考例の配分比テーブル38では、車速が所定値以下のときは配分比Rは「0.1」で一定であり、車速が前記所定値を超えると車速の増大にしたがって配分比Rが徐々に増大し、車速が別の所定値以上になると配分比Rが「0.5」で一定に設定されている。ただし、配分比Rの前記数値は一例であり、これら数値に限定されるものではない。
Irb=Is・R + Iy・(1−R) ・・・ 式(2)
さらに、参考例における反力補正電流算出部34では、車速センサ19の出力信号(車速)に基づき車速係数テーブル39を参照して、車速係数Kvを算出する。この参考例の車速係数テーブル39では、車速が所定値に達するまでは車速の増大にしたがって車速係数が増大し、車速が前記所定値以上になると車速係数は一定になるように設定されている。
そして、反力補正電流算出部34は、式(2)で求めた反力補正基本電流Irbに、車速係数テーブル39で求めた車速係数Kvを乗じて反力補正電流Irを算出し(Ir=Irb・Kv)、これを操舵反力成分として出力する。
これにより、車速が高いときほど、操舵角反力補正電流Isが反力補正電流Irに大きく影響を与えるので、この操舵角反力補正電流Isによって、高速時のヨーレートの位相遅れによるヨーレート反力補正電流Iyの発生遅れを補償することができる。その結果、高速直進付近での車両の安定性を向上させることができ、且つ、操舵フィーリングを向上させることができる。
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、前述した実施例では車両挙動のパラメータとしてヨーレートを用いたが、ヨーレートの代わりに横加速度や車体スリップ角を用いて車両挙動反力成分を制御することも可能である。
また、この発明に係る操舵装置は、前述した実施例の電動パワーステアリング装置への適用に限るものではなく、ステア・バイ・ワイヤ・システムの車両用操舵装置(SBW)、アクティブ・ステアリング・システムの車両用操舵装置、バリアブル・ギヤ・レシオ・ステアリング・システムの車両用操舵装置(VGS)にも適用可能である。
なお、ステア・バイ・ワイヤ・システムとは、操作子と転舵機構とが機械的に分離されていて、操作子に反力を作用させる反力モータと、転舵機構に設けられて転舵輪を転舵させる力を発生させるステアリングモータとを備えた操舵システムである。
アクティブ・ステアリング・システムとは、前輪舵角および後輪舵角を運転者のステアリング操作や車両の運動状況に応じて制御する操舵システムである。
バリアブル・ギヤ・レシオ・ステアリング・システムとは、操舵角の大きさに応じてステアリング・ギヤ・レシオを変更可能な操舵システムである。
36 操舵角反力補正電流算出部(操舵角反力成分制御手段)
Claims (2)
- 車両挙動に応じて車両挙動反力成分を制御する車両挙動反力成分制御手段と、
操舵角に応じて操舵角反力成分を制御する操舵角反力成分制御手段と、
を備え、前記車両挙動反力成分制御手段の出力に第1の係数を乗じた値と、前記操舵角反力成分制御手段の出力に第2の係数を乗じた値との和に基づいて操舵反力を決定し、操舵角が小さいほど前記第2の係数を大きくし、前記第1の係数を小さくしたことを特徴とする操舵装置。 - 前記第1の係数と前記第2の係数の和は常に一定であることを特徴とする請求項1に記載の操舵装置。
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