JP4563317B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
ところで、前輪駆動でハイパワーの車両では、発進加速時に左右の駆動力差によりハンドルが左右どちらかに取られてしまう事象(所謂、トルクステア)が生じることがある。このような場合、運転者はこれに対応するためにハンドルでの修正操舵を強いられることがあり、煩わしかった。
そこで、トルクステアが発生した場合に、トルクステアを打ち消す方向のトルクステア防止補助トルクを算出し、これと前記補助操舵トルクとを加算して補正後補助操舵トルクを算出し、補正後補助操舵トルクを発生するようにステアリングモータを制御する電動パワーステアリング装置が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
そこで、この発明は、トルクステアを抑制可能で且つ操舵フィーリングが良好な電動パワーステアリング装置を提供するものである。
請求項1に係る発明は、操作子(例えば、後述する実施例におけるステアリングホイール3)に加わる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段(例えば、後述する実施例における操舵トルクセンサ16)と、操舵をアシストするステアリングモータ(例えば、後述する実施例におけるステアリングモータ10)とを備え、前記操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクに応じて前記ステアリングモータによるアシスト量を制御する電動パワーステアリング装置において、前記操作子の操舵角を検出する操舵角検出手段(例えば、後述する実施例における操舵角センサ15)と、左右の駆動力差が生じているときに前記アシスト量を減算補正する補正手段(例えば、後述する実施例における駆動力差補正電流算出部33)とを備え、前記補正手段は、前記左右の駆動力差が大きいほど前記減算補正の補正量を大きくし、且つ、前記操舵角検出手段により検出された操舵角が大きいほど前記減算補正の補正量を大きくすることを特徴とする。
このように構成することにより、左右の駆動力差に起因するトルクステアを抑制することができる。しかも、操舵角に応じてアシスト量を補正するので操舵フィーリングがよい。特に、駆動力差が同じ場合で比較したときには、操舵角が大きいほど前記アシスト量を減算補正する補正量が大きくなるので、発進時の車体の偏向抑制を大にでき、操舵フィーリングが向上する。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記補正手段は、左右の駆動力差が生じているときに、前記操舵角検出手段により検出された操舵角が第1の所定角度以下の場合には前記アシスト量の減算補正をせず、前記操舵角が前記第1の所定角度より大きく且つ第2の所定角度以下である場合には、前記操舵角が大きくなるにしたがって前記操舵角に基づく前記アシスト量の減算補正を大きくし、前記操舵角が前記第2の所定角度よりも大きい場合には、前記操舵角に基づく前記アシスト量の減算補正を前記第2の所定角度での操舵角に基づく前記アシスト量の減算補正と同一にすることを特徴とする
図1に示すように、電動パワーステアリング装置は手動操舵力発生機構1を備えており、この手動操舵力発生機構1は、ステアリングホイール(操作子)3に一体結合されたステアリングシャフト4が、ユニバーサルジョイントを有する連結軸5を介してラック&ピニオン機構のピニオン6に連結されて構成されている。ピニオン6は、車幅方向に往復動し得るラック軸7のラック歯7aに噛合し、ラック軸7の両端には、タイロッド8,8を介して転舵輪としての左右の前輪9,9が連係されている。この構成により、ステアリングホイール3の操舵時に通常のラック&ピニオン式の転舵操作が可能であり、前輪9,9を転舵させて車両の向きを変えることができる。ラック軸7とタイロッド8,8は転舵機構を構成する。
操舵角センサ15は検出した操舵角に対応する電気信号を、操舵トルクセンサ16は検出した操舵トルクに対応する電気信号を、ヨーレートセンサ18は検出したヨーレートに対応する電気信号を、車速センサ19は検出した車速に対応した電気信号を、それぞれステアリング制御装置(EPS−ECU)20に出力する。
また、この車両の駆動源であるエンジン(図示せず)を制御するエンジン制御装置(ENG−ECU)40は、エンジンの運転状態に基づいて駆動力を算出し、この駆動力に応じた電気信号をステアリング制御装置20に出力する。
ステアリング制御装置20は、ベース電流算出部31、ヨーレート反力補正電流算出部32、駆動力差補正電流算出部33を備え、ベース電流算出部31で算出したベース電流から、ヨーレート反力補正電流算出部32で算出したヨーレート反力補正電流と、駆動力差補正電流算出部33で算出した駆動力差補正電流とを減算することにより、ステアリングモータ10の目標電流を算出する。
詳述すると、ベース電流算出部31は、操舵トルクセンサ16および車速センサ19の出力信号に基づき、ベース電流テーブル(図示略)を参照して、操舵トルクと車速に応じたベース電流を算出する。ここで、ベース電流テーブルは、操舵トルクが大きくなるにしたがってベース電流が大きくなり、車速が大きくなるにしたがってベース電流が小さくなるように設定されている。
ヨーレート反力補正電流算出部32は、ヨーレートセンサ18の出力信号に基づき、ヨーレート反力補正電流テーブル(図示略)を参照して、ヨーレート反力補正電流を算出する。ヨーレート反力補正電流は、例えば車両の旋回走行時などにおいてヨーレートが発生したときに、このヨーレートを打ち消す方向のトルクを発生させる反力成分である。ヨーレート反力補正電流テーブルは、ヨーレートが大きくなるにしたがってヨーレート反力補正電流が大きくなるように設定されている。
駆動力差補正電流算出部33は、駆動力差算出部34において、エンジン制御装置40から入力したエンジンの駆動力と、この車両の車両特性に基づいて、現在のエンジン運転状態に応じた左右の駆動力差を算出する。
さらに、駆動力差補正電流算出部33は、駆動力差算出部34で算出した駆動力差に基づき駆動力差ベース補正電流マップ35を参照して駆動力差ベース補正電流を算出し、この駆動力差ベース補正電流に、車速センサ19の出力信号に基づき車速レシオマップ36を参照して算出した車速レシオRvと、操舵角センサ15の出力信号に基づき操舵角レシオマップ37を参照して算出した操舵角レシオRθを積算して、駆動力差補正電流を算出する。
この実施例における車速レシオマップ36では、車速がゼロから第1の車速V1に達するまでは車速レシオRvは最大値で一定であり、第1の車速V1を越えると車速が高くなるにしたがって車速レシオRvが急激に小さくなり、第2の車速V2以上では車速レシオRvはゼロに設定されている。
この実施例における操舵角レシオマップ37では、操舵角が第1の操舵角θ1に達するまでは操舵角レシオRθはゼロであり、第1の操舵角θ1を越えると操舵角が大きくなるにしたがって操舵角レシオRθが徐々に大きくなり、第2の操舵角θ2に達すると操舵角レシオRθは最大値となり、第2の操舵角θ2以上では操舵角レシオRθは前記最大値で一定に設定されている。
しかしながら、操舵角が小さいとき(第1の操舵角θ1以下)は操舵角レシオRθがゼロであるので、駆動力差に関わらず駆動力差補正電流はゼロに設定される。そして、操舵角が大きくなるほど操舵角レシオRθが大きくなるので、駆動力差が同じ場合でも、操舵角が大きいほど駆動力差補正電流は大きい値に設定される。
また、車速が低いとき(第1の車速V1以下)は車速レシオRvが最大値であるので駆動力差補正電流も大きくなるが、車速が第1の車速V1を越えると車速レシオRvが急激に小さくなるので駆動力差補正電流も小さい値に設定され、特に第2の車速V2以上になると車速レシオRvがゼロになるので、駆動力差に関わらず駆動力差補正電流はゼロに設定される。これはトルクステアは駆動力変化が大きい発進加速時に起こる事象だからである。
特に、駆動力差が同じ場合で比較したときには、操舵角が大きいほど駆動力差補正電流が大きくなるので、発進時の車体の偏向抑制を大にでき、操舵フィーリングが向上する。
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。例えば、図2に示される駆動力差ベース補正電流マップ、車速レシオマップ、舵角レシオマップはいずれも一例である。
10 ステアリングモータ
15 操舵角センサ(操舵角検出手段)
16 操舵トルクセンサ(操舵トルク検出手段)
20 ステアリング制御装置
Claims (2)
- 操作子に加わる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、操舵をアシストするステアリングモータとを備え、前記操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクに応じて前記ステアリングモータによるアシスト量を制御する電動パワーステアリング装置において、
前記操作子の操舵角を検出する操舵角検出手段と、
左右の駆動力差が生じているときに前記アシスト量を減算補正する補正手段とを備え、
前記補正手段は、前記左右の駆動力差が大きいほど前記減算補正の補正量を大きくし、且つ、前記操舵角検出手段により検出された操舵角が大きいほど前記減算補正の補正量を大きくすることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記補正手段は、左右の駆動力差が生じているときに、前記操舵角検出手段により検出された操舵角が第1の所定角度以下の場合には前記アシスト量の減算補正をせず、前記操舵角が前記第1の所定角度より大きく且つ第2の所定角度以下である場合には、前記操舵角が大きくなるにしたがって前記操舵角に基づく前記アシスト量の減算補正を大きくし、前記操舵角が前記第2の所定角度よりも大きい場合には、前記操舵角に基づく前記アシスト量の減算補正を前記第2の所定角度での操舵角に基づく前記アシスト量の減算補正と同一にすることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
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