JP2007167370A - テーパー用毛とその製造方法並びに歯ブラシ - Google Patents

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Abstract

【課題】毛先のソフトな当たり心地と用毛としての耐久性を維持しながら、歯垢掻き出し効果と掻き出し実感に優れたテーパー用毛とその製造方法並びにこのテーパー用毛を用いた歯ブラシを提供する。
【解決手段】少なくとも一方の端部がテーパー状とされた合成樹脂製の用毛11であって、該用毛の表面に、略球形状の熱硬化性樹脂粒子14からなる微細凸部と、略球形状の水溶性無機化合物粒子16の溶解痕からなる微細凹部15を形成した。ベース樹脂に混練する熱硬化性樹脂粒子14はそのモース硬度を3〜6、その粒径を5〜100μm、水溶性無機化合物粒子16はその粒径を5〜100μmとした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、表面に微細凹凸部を有するテーパー用毛とその製造方法並びに該テーパー用毛を用いた歯ブラシに関するものである。
特許文献1には、テーパー先端部に微細凹部を形成した歯ブラシ用毛材が示されている。微細凹部は、用毛表面部に含有した無機化合物を溶解して形成している。この歯ブラシ用毛材を用いた場合、毛先の歯間進入性は良好であるが、テーパー用毛にさらに凹部を形成したことで、毛先先端部の耐摩耗性が著しく劣ると予測され、結果的に早期に歯垢除去力が低下するおそれがある。また、表面に凸部を形成した用毛の場合に比べて刷掃実感に欠ける。
特許文献2には、直毛フィラメントを構成するベース樹脂に、ベース樹脂よりも熱強度が高いプラスチック粒子を含有させて、用毛表面に凸部を形成した歯ブラシ用フィラメントとこれを用いた歯ブラシが示されている。凸部を形成するための研磨粒子としては、ベース樹脂よりも融点が高いプラスチックであるベンゾグアナミン系熱硬化性樹脂が挙げられているが、この樹脂は汎用性に乏しく、安価に製造できるものではない。また、樹脂のモース硬度も記載されておらず、合成樹脂といえども硬度が高い場合は歯肉への為害性が懸念される。さらに、単一の樹脂からなる用毛であるため、用毛表面に凸部を形成するには多量のプラスチック粒子を混練しなければならず、それに伴う用毛の耐屈曲性の低下は避けられない。
特許文献3には、直毛フィラメントを構成するベース樹脂に、研磨効果のある別種の合成樹脂を混練することで用毛表面に凸部を形成した歯ブラシ用フィラメントとこれを用いた歯ブラシが示されている。このフィラメントの場合、用毛が二重芯鞘構造であり、鞘部にのみ当該合成樹脂を混練することで、用毛の耐久性低下は回避されている。しかしながら、毛先がテーパー加工ではなく直毛であり、かつ表面に凸部を形成しているので、基本的に歯間進入性が劣る。また、用毛の溶融紡糸時の温度によっては、合成樹脂の粒子形状が保てず、一定の凸部形状が得られないことがある。
特許文献4には、表面に凸部を形成したテーパー用毛とこれを用いた歯ブラシが示されている。このテーパー用毛の場合、良好な歯間進入性と歯垢除去力を有している。さらに、二重芯鞘構造とすることにより、用毛の耐久性も保持している。しかしながら、研磨粒子として無機化合物、植物の粒子、ポリマー粒子を用いているが、何れも硬度を特定しておらず、歯肉への為害性が懸念される。特に、鉱物系の無機化合物を用いた場合は、その高い硬度のために歯肉への為害性が顕著になる。また、研磨粒子の表面処理およびカップリングを行なっていないので、研磨粒子が用毛から脱落しやすくなる。
特許文献5には、テーパー用毛表面に凸部を形成した歯ブラシが示されている。この歯ブラシの場合、テーパー加工により、歯間進入性を向上させ、用毛表面の凸部形成により、歯垢除去力を向上させることができる。また、研磨粒子の表面処理およびカップリング処理を施すことにより、研磨粒子と用毛の相互作用を高めており、用毛からの研磨粒子の脱落を抑制している。しかしながら、テーパー用毛表面の凸部形成を無機化合物または植物の粒子の用毛表面への露出により行なっているため、これらの研磨粒子は硬度が高く、特に鉱物系の無機化合物を用いた場合は、歯肉への為害性が顕著になる。また、凸部形成のための研磨粒子の粒径が0.1〜10μmと小さく、十分な刷掃実感が得られない。
特表平10−313949公報(全頁) 特表平11−513440号公報(全頁、全図) 特表平11−216018号公報(全頁、全図) 特開2005−310号公報(全頁、全図) 特表平10−513083号公報(全頁、全図)
一般に、テーパー用毛を用いた歯ブラシは、歯間進入性が高いという長所を有するが、毛先が柔らかいため、用毛の毛先や毛腹で磨く場合などにおいては、研磨力が十分でなく、汚れ除去実感に劣ることがある。そこで、前記特許文献に示されているように用毛表面に凹部または凸部を形成させて刷掃実感を確保する技術が提案されているが、次のような問題があった。
(1)研磨粒子練りこみタイプの用毛では、紡糸工程で研磨粒子がベース樹脂中に埋没してしまうため、用毛表面に露出しにくく、効率的に露出させるためには大きなサイズの粒子を配合する必要がある。しかしながら、この方法では全体の用毛径が太くなることから、歯間進入性も低下しやすい。さらに、テーパー用毛の場合においては、毛先部分にも大きな凸部が形成されるため、毛先部の耐久性の低下という問題が発生しやすい。
(2)上記(1)の課題を解決するために、研磨粒子の含有量を増加させることによって用毛表面への露出量を増やし、多くの凸部を形成させる手法もあるが、全体の用毛径はさらに太くなり、歯間進入性は著しく低下する。また、単一樹脂からなるモノフィラメントの場合、ベース樹脂を改質しても、研磨粒子の含有量が50%を超えると用毛の耐屈曲性の低下が顕著になる。
(3)一方、表面に凹部を形成させた用毛の場合、歯間進入性は阻害されない。しかしながら、その構造上、歯垢掻き出し実感が凸部形成用毛と比べて低く、かつ毛先がへたりやすいなどの問題が生じる。さらに、テーパー用毛の場合においては、毛先部分の耐久性は著しく低下することが予想される。
(4)用毛の耐屈曲性の低下防止のために、側糸などで研磨用の芯糸をカバーする方法があるが、製造工程が複雑化するばかりでなく、側糸が芯糸を被う構造のため、研磨力が十分に発揮されない。また側糸くずが製造設備に悪影響を及ぼすことがある。
(5)研磨粒子練りこみタイプの用毛において、研磨粒子として無機化合物を用いて凸部を形成する場合、その硬度によっては、歯肉への為害性が懸念される。特に鉱物系の無機化合物を用いた場合は、硬度が高いため、この傾向はいっそう顕著になる。
(6)研磨粒子練りこみタイプの用毛において、ゴムまたはプラスチックなどの研磨樹脂を用いて凸部を形成する場合、無機化合物と比べて硬度が低いため、歯肉への為害性は軽減される。しかしながら、紡糸時の温度によっては、研磨樹脂も溶融してしまうため、粒子形状が保てず、一定の凸部形状が得られない問題がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、毛先のソフトな当たり心地と用毛としての耐久性を維持しながら、歯垢掻き出し効果と掻き出し実感に優れたテーパー用毛とその製造方法並びにこのテーパー用毛を用いた歯ブラシを提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、本発明は次のような手段を採用した。
すなわち、請求項1記載のテーパー用毛は、少なくとも一方の端部がテーパー状とされた合成樹脂製の用毛であって、該用毛の表面に、略球形状の熱硬化性樹脂粒子からなる微細凸部および/または略球形状の水溶性無機化合物粒子の溶解痕からなる微細凹部が形成されていることを特徴とするものである。
請求項2記載のテーパー用毛は、前記請求項1記載のテーパー用毛において、前記熱硬化性樹脂粒子のモース硬度が3〜6、その粒径が5〜100μmであり、前記水溶性無機化合物粒子の粒径が5〜100μmであることを特徴とするものである。
請求項3記載のテーパー用毛は、前記請求項1または2記載のテーパー用毛において、前記熱硬化性樹脂粒子の含有量が1〜60重量%、前記水溶性無機化合物粒子の含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とするものである。
請求項4記載のテーパー用毛は、前記請求項1〜3のいずれかに記載のテーパー用毛において、前記用毛が単一樹脂のモノフィラメントからなることを特徴とするものである。
請求項5記載のテーパー用毛は、前記請求項1〜3のいずれかに記載のテーパー用毛において、前記用毛が芯部と鞘部を有する多重芯鞘構造になることを特徴とするものである。
請求項6記載のテーパー用毛の製造方法は、略球形状の熱硬化性樹脂粒子および/または略球形状の水溶性無機化合物粒子を混練したベース樹脂を用いて所定径、所定長さの用毛を作成し、該作成された用毛の少なくとも一方の端部を溶解処理することにより、当該用毛の端部をテーパー化すると同時に、ベース樹脂中に混練されている熱硬化性樹脂粒子および/または水溶性無機化合物粒子を用毛表面に露出させ、次いで、該テーパー化された用毛を洗浄水または中和剤液中に浸漬することにより、水溶性無機化合物粒子が混練されている場合においては用毛表面に露出している水溶性無機化合物粒子を溶解し、用毛表面に熱硬化性樹脂粒子からなる微細凸部および/または水溶性無機化合物粒子の溶解痕からなる微細凹部を形成することを特徴とするものである。
請求項7記載のテーパー用毛の製造方法は、前記請求項6記載の製造方法において、前記熱硬化性樹脂粒子の含有量が1〜60重量%、前記水溶性無機化合物粒子の含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とするものである。
請求項8記載のテーパー用毛の製造方法は、前記請求項6または7記載のテーパー用毛の製造方法において、前記熱硬化性樹脂粒子がモース硬度3〜6、粒径が5〜100μmであり、前記水溶性無機化合物粒子が粒径5〜100μmであることを特徴とするものである。
請求項9記載のテーパー用毛の製造方法は、前記請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法において、複数種類のベース樹脂を用い、これら複数種類のベース樹脂中の任意のベース樹脂に前記熱硬化性樹脂粒子および/または水溶性無機化合物粒子を混練し、これら複数のベース樹脂を用いて共押出し成形によって多重芯鞘構造の用毛を作成し、該多重芯鞘構造になる用毛の少なくとも一方の端部をテーパー化することを特徴とするものである。
請求項10記載の歯ブラシは、ヘッド部の植毛面に植設された刷毛の全部または一部に、前記請求項1〜5のいずれかに記載のテーパー用毛を用いたことを特徴とするものである。
本発明は、上記のような手段を採用したので、略球形状をした熱硬化性樹脂粒子からなる微細凸部を形成した場合には、毛先のソフトな当たり心地を確保しながら、歯間部などの狭い隙間の歯垢や汚れを効果的に、かつ高い実感をもって掻き出すことができる。また、略球形状をした水溶性無機化合物粒子の溶解痕による微細凹部を形成した場合には、毛先のソフトな当たり心地を確保しながら、歯間部などの狭い隙間の歯垢や汚れを効果的に、かつ高い歯間進入性をもって掻き出すことができる。特に、略球形状をした熱硬化性樹脂粒子からなる微細凸部と、略球形状をした水溶性無機化合物粒子の溶解痕による微細凹部の両方を同時に形成した場合には、凸部のみあるいは凹部のみを形成した場合に比べて用毛表面がより複雑な表面形態となり、歯垢などの汚れ除去力の向上を図ることができる。また、用毛径の増大による歯間進入性の低下や耐屈曲性の低下などといった、凸部のみあるいは凹部のみを形成した用毛が有する課題も回避することができる。
なお、微細凸部と微細凹部の両方を形成する場合には、凸部、凹部毎に別々に施す必要はなく、用毛のテーパー化処理の一連の工程において同時に行なうことができ、極めて効率的である。さらに、微細凸部として用いる粒子は熱硬化性樹脂であるため、溶融紡糸時の熱によって粒子の形状が変形することがなく、略球状を維持する。従って、用毛表面には安定した形状の凸部が得られる。
本発明のテーパー用毛は、凸部を形成する熱硬化性樹脂粒子の硬さをモース硬度3〜6としている。これにより、歯垢などの掻き出し実感を確保しながら、歯肉への為害性を抑制することができる。また、熱硬化性樹脂粒子の粒径を5〜100μm、水溶性無機化合物粒子の粒径を5〜100μmと比較的大きな粒径にすることにより、高い汚れ除去力を発揮できるとともに、刷掃実感も得ることができる。
また、用毛を二重芯鞘などの多重芯鞘構造とすることにより、微細凹凸部を形成するための熱硬化性樹脂粒子と水溶性無機化合物粒子の含有量を芯部と鞘部とで別々に設定することができ、微細凹凸部の形成部位を任意に制御することができる。さらに、多重芯鞘構造において、前記熱硬化性樹脂粒子および水溶性無機化合物粒子を最外層の鞘部のみに分散させれば、熱硬化性樹脂を1〜60重量%、水溶性無機化合物を0.1〜10重量%といった多めの含有量とした場合でも、用毛の耐久性を損ねることなしに用毛表面に微細凹凸部を多数形成させることができる。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
(1)用毛の材質と構成
本発明のテーパー用毛は、狭い隙間への高い進入性を実現させるために、少なくともその一端を毛先にいくほどその径が小さくなるテーパー形状とした用毛である。歯ブラシ用の場合、テーパー部の開始位置は毛先先端から5〜10mm程度の部位から始まり、テーパー先端径は5〜90μm程度、基部径(テーパーの施されていないストレート部の径)は140〜250μm程度とすることが望ましく、より望ましくはテーパー先端径10〜60μm程度、基部径150〜220μm程度(いずれも、微細凹凸部の突起部分を含まないベース樹脂部分の径)である。
毛先のソフトな当たり心地を維持しながら、歯間部などの狭い隙間の歯垢や汚れを効果的に掻き出したい場合には、微細凹凸部はテーパー部表面に形成することが望ましい。一方、毛先のソフトな当たり心地を維持しながら、歯牙の根元にある柔らかい象牙質を痛めることなしに歯面の汚れを刷掃したい場合には、微細凹凸部はテーパー部を除いたストレート部のみに形成することが望ましい。また、より高い刷掃実感を得たい場合には、大きな凹凸部を形成することが望ましい。なお、用毛の断面形状は円形が基本であるが、多角形など他の断面形状でもよく、特に制限されるものではない。
用毛先端を溶解処理(加水分解反応)することによってテーパー部を形成する場合、用毛を構成するベース樹脂としては、薬品加工性と加工品の安全性の点から、ポリエステル樹脂などを用いることが望ましい。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびこれらのブレンド樹脂などを挙げることができる。ポリアミドは薬品加工性の点で溶解処理には適しないが、テーパー形成を研磨処理などの機械的方法で行なうような場合には用毛材質には特に制限はなく、前記各樹脂に加え、ポリアミドも用いることができる。また、テーパー用毛を二重芯鞘などの多重芯鞘構造にする場合においては、芯部の樹脂は特に制限されるものではなく、用毛の耐久性を考慮して、ポリアミドなどの溶解処理の影響を受けないものが望ましい。
(2)微細凸部の材質と構成
用毛表面の微細凸部は、ベース樹脂に混練した略球形状になる熱硬化性樹脂粒子が用毛表面に露出することによって形成される。熱硬化性樹脂としては、目的に合わせて種々のものを用いることができるが、歯ブラシの場合、歯のエナメル質などを傷つける恐れのないものがよく、硬すぎるものは好ましくはない。また、微細凸部を有するテーパー部が歯周ポケットなどに入り込んで歯の根元まで磨けるようにした歯ブラシの場合には、微細凸部は歯の象牙質を損傷させない程度で硬いことが望ましい。さらに、ブラッシングによるストレスなどで崩れてしまうほど柔らかいものも適さない。
従って、微細凸部を形成するための熱硬化性樹脂としては、モース硬度が3〜6、好ましくは4〜5が望ましい。また、紡糸工程での溶融による形状変化を受けることなく、略球形状を維持したまま安定した形状の凸部を形成できるものが望ましい。また、用毛先端をアルカリ溶液あるいは酸性溶液に浸漬してテーパー加工を施す場合には、これらの溶液によって溶解・消失しないように、耐薬品性の高い熱硬化性樹脂を用いるのが望ましい。このような熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられるが、汎用性、安全性の点でメラミン樹脂が望ましい。
本発明のテーパー用毛は、単一樹脂からなるモノフィラメントとしてもよいが、芯部と鞘部からなる多重芯鞘構造の用毛として形成してもよい。多重芯鞘構造のテーパー用毛において、ストレート部位のみに微細凸部を形成させたい場合には、毛先部分を形成する芯部には微細凸部を形成するための熱硬化性樹脂粒子を含ませる必要がないため、鞘部にはテーパー先端径よりも径の大きな熱硬化性樹脂粒子、例えば鞘部厚さの2倍以下、より好ましくは1.5倍以下の熱硬化性樹脂粒子を混練させることが可能であり、高い刷掃実感を確保できる。
一方、多重芯鞘構造のテーパー用毛において、テーパー部位およびストレート部位の両方に微細凸部を形成させたい場合には、芯部、鞘部両部位に熱硬化性樹脂粒子を混錬する。通常、歯ブラシ用のテーパー先端径は5〜90μm程度、好ましくは10〜60μm程度であるから、テーパー部位を構成する芯部に混錬する熱硬化性樹脂粒子の粒径は1〜30μm程度、好ましくは5〜15μm程度とすることが望ましい。一方、鞘部にはテーパー先端径よりも径の大きな熱硬化性樹脂粒子、例えば鞘部厚さの2倍以下、より好ましくは1.5倍以下の熱硬化性樹脂粒子を混練させることが可能であり、これにより高い刷掃実感を確保できる。
溶融紡糸工程において、樹脂が口金から押し出された時点では、熱硬化性樹脂粒子は鞘部内に埋没しているが、この後の延伸工程により用毛表面に露出し、微細凸部を形成する。したがって、多重芯鞘構造の場合、鞘部に混練する熱硬化性樹脂粒子のサイズ(粒径)は、押し出し成形機の口金を問題なく通過すれば、鞘部厚みの仕上がり寸法よりも大きくても構わない。熱硬化性樹脂粒子のサイズは、小さすぎると研磨用毛としての刷掃実感に乏しく、逆に大きすぎると用毛の耐屈曲性などの品質が損なわれるばかりでなく、ベース樹脂から剥がれ落ちやすくなる。従って、鞘部に混練する熱硬化性樹脂粒子のサイズは、鞘部厚さの2倍以下、より好ましくは1.5倍以下にすることが望ましい。
用毛に混練する熱硬化性樹脂粒子の含有量は、1〜60重量%がよいが、より好ましくは10〜50重量%程度がよい。単一樹脂からなるテーパー用毛の場合、熱硬化性樹脂粒子を用毛表面に効果的に露出させるためには多めに混練するのがよいが、多すぎると用毛の耐久性が損なわれる。一方、多重芯鞘構造で、鞘部にのみ熱硬化性樹脂粒子を混練させる場合には、含有量が多い場合でも芯部の存在により、用毛の耐久性を維持できる。
露出した熱硬化性樹脂粒子が用毛表面から剥がれ落ちないように、熱硬化性樹脂粒子を表面処理し、かつ、カップリング剤を用いて熱硬化性樹脂粒子とベース樹脂との親和性を向上させるのが望ましい。表面処理剤としては脂肪酸が挙げられるが、より好ましくは、汎用性の点でステアリン酸を用いるのが望ましい。脂肪酸の処理量は、熱硬化性樹脂粒子の比表面積を勘案して、熱硬化性樹脂粒子の1〜5重量%程度が好ましい。熱硬化性樹脂粒子のサイズ(粒径)が小さいほど、脂肪酸の処理量を多くする必要がある。また、カップリング剤としては、エポキシシラン、第1アミンシラン、ジアミンシランが挙げられる。カップリング剤の処理量は、熱硬化性樹脂粒子の比表面積を勘案して、熱硬化性樹脂粒子の0.5〜1.5重量%程度が望ましい。
(3)微細凹部の構成
用毛表面に形成される微細凹部は、ベース樹脂に略球形状の水溶性無機化合物粒子を混練させて溶融紡糸し、所定径、所定長さの用毛を得た後、水溶性無機化合物を溶解可能な洗浄水あるいは中和剤液中に浸漬することにより形成させる。従って、用毛のテーパー化処理を薬剤を用いて行なう場合には、当該テーパー化処理と同時に水溶性無機化合物の溶解が生じ、水溶性無機化合物粒子の溶解痕として微細凹部が形成される。用いる水溶性無機化合物としては、塩化ナトリウム、炭酸カルシウムなどの微粉末を挙げることができる。
多重芯鞘構造のストレート部位のみに微細凹部を形成する場合、毛先部分を構成する芯部には水溶性無機化合物粒子を含ませる必要がないため、鞘部のみに水溶性無機化合物粒子を混練する。溶融紡糸工程において、樹脂が口金から押し出しされた時点では、水溶性無機化合物粒子は鞘部内に埋没しているが、後の延伸工程により用毛表面に露出し、微細凹部形成の核となる。従って、鞘部に混練する水溶性無機化合物粒子のサイズ(粒径)は、押し出し成形機の口金を問題なく通過すれば、鞘部厚みの仕上がり寸法よりも大きくても構わない。しかしながら、用毛表面における凹部の形成は、用毛の耐屈曲性および毛先の耐磨耗性の低下に影響を及ぼすので、好ましくは5〜10μmであることが望ましい。
テーパー部位にも凹部を形成する場合、毛先の耐屈曲性・耐摩耗性の点から、混練する水溶性無機化合物粒子の粒径はテーパー先端径よりもかなり小さくする必要がある。通常、歯ブラシ用のテーパー先端径は5〜90μm程度、好ましくは10〜60μm程度であるから、芯部に混練する水溶性無機化合物粒子の粒径は5〜10μm程度とすることが望ましい。5μm未満では、形成される凹部の径が小さすぎるため、研磨用毛としての刷掃実感に乏しく、逆に90μm超では、用毛の耐屈曲性などの品質が損なわれるため、好ましくない。
水溶性無機化合物の添加量は0.1〜10重量%、特に0.5%〜5重量%の範囲が望ましい。単一樹脂からなるテーパー用毛の場合、水溶性無機化合物粒子を用毛表面に効果的に露出させるためには、水溶性無機化合物粒子を多めに混練させるのがよいが、多すぎると凹部形成数が過多となり、用毛の耐久性が損なわれる。一方、用毛が多重芯鞘構造で鞘部にのみ水溶性無機化合物粒子を混練させる場合には、芯部の存在が用毛の耐久性を保持するので含有量が多くてもよい。
水溶性無機化合物を溶解するための溶剤は、後述するテーパー加工時に用いる溶剤がよい。これにより、用毛のテーパー加工時に、水溶性無機化合物粒子の溶解による凹部形成を同時に行なうことができる。さらに、微細凸部と微細凹部の両方を形成する場合には、このテーパー加工時に記熱硬化性樹脂粒子が表面に露出して凸部形成も行なわれるので、結果としてテーパー加工処理により用毛表面に微細な凹部と凸部の形成が同時に行なわれる。
(4)テーパー用毛の製造方法
単一樹脂からなる用毛、いわゆるモノフィラメントの表面に微細凸部および/または微細凹部を形成する場合、ベース樹脂に熱硬化性樹脂粒子および/または水溶性無機化合物粒子を混練して溶融紡糸すればよい。
一方、多重芯鞘構造のテーパー用毛、例えば二重芯鞘構造のテーパー用毛において、テーパー部とストレート部の両方に微細凸部および/または微細凹部を形成したい場合には、芯部と鞘部の両方のベース樹脂のそれぞれに、熱硬化性樹脂粒子および/または水溶性無機化合物粒子を混練し、共押し出し成形すればよい。また、ストレート部のみに微細凸部および/または微細凹部を形成したい場合には、芯部はベース樹脂のみとし、鞘部のベース樹脂に熱硬化性樹脂粒子および/または水溶性無機化合物粒子を混練すればよい。また、テーパー部のみに微細凸部および/または微細凹部を形成したい場合には、鞘部はベース樹脂のみとし、芯部のベース樹脂に熱硬化性樹脂粒子および/または水溶性無機化合物粒子を混練すればよい。
得られた単一樹脂からなる用毛あるいは多重芯鞘構造になる用毛を所定の本数束ねて定寸でカットした後、このカットピースの端部を高温・高濃度の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、ベース樹脂を加水分解することにより、用毛先端部を溶融して先鋭化し、テーパー用毛を得る。カットピース用毛の片端のみを浸漬溶融すれば、一方の端部のみをテーパー状とされたテーパー用毛が得られ、両端を浸漬溶融すれば、両端がテーパー状とされたテーパー用毛を得ることができる。
上記テーパー加工により、ベース樹脂の毛先がテーパー状に溶融されるため、ベース樹脂中に混練している熱硬化性樹脂粒子が用毛表面に露出し、微細凸部が形成される。さらに、このテーパー形成時にベース樹脂に混練している水溶性無機化合物粒子も用毛表面に露出する。そして、用毛表面から露出した水溶性無機化合物粒子は、テーパー化された用毛を洗浄水あるいは中和用の酸性溶剤液中に浸漬した際に溶解され、水溶性無機化合物粒子の溶解痕が微細凹部として形成される。したがって、一連のテーパー化処理工程の中で微細凸部も微細凹部も同時に形成することができる。このようにして得られた用毛表面に微細凸部および/または微細凹部を有するテーパー用毛を歯ブラシヘッド部の植毛面に植設すれば、本発明の歯ブラシを得ることができる。
テーパー用毛を植毛した歯ブラシは、必要に応じて刷毛先端を所定の形状にトリミングし、あるいは毛先の丸め加工を施してもよい。トリミングの形状は、平切り、山切り、波形カットなど、公知のものを採用することができる。
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏することができる。
(1)従来のテーパー用毛の特徴である高い歯間進入性を維持しながら、これまでのテーパー用毛では得られなかった高い歯垢掻き取り能力を得ることができる。
(2)用毛表面の微細凸部および/または微細凹部により、歯面などの部位に対して高い汚れ除去能力と刷掃感を実現する一方で、歯と歯肉の間などの柔らかく敏感な部位に対しては、テーパー用毛の毛先が優しく入り込み、柔らかな磨き心地を有する。
(3)用毛を多重芯鞘構造にして芯部を確保することにより、用毛の耐毛折れ性・屈曲性の低下を極力抑えることができ、長期間の使用においても、その清掃効果を充分に維持することができる。
(4)用毛を多重芯鞘構造にすることにより、用毛の耐毛折れ性・屈曲性を犠牲にすることなく、混錬する熱硬化性樹脂粒子や水溶性無機化合物粒子の量を増やしたり、大きな粒径で混錬することが可能であり、より高い研磨作用と清掃力を確保することができる。
(5)多重芯鞘構造になるテーパー用毛の各層のベース樹脂の組成を任意に設定することにより、耐屈曲性・耐毛開き性などの要素を自由に設計することができる。
(6)本発明のテーパー用毛の製造には、特別な工程・設備を必要とせず、従来用いられているテーパー用毛の製造設備をそのまま利用することができる。さらに、一連のテーパー化処理の中で用毛表面に微細凸部と微細凹部を同時に形成することができるので、微細凸部と微細凹部の両方を備えた高機能なテーパー用毛を低コストで、かつ、簡便に生産することが可能である。
図1に、本発明に係るテーパー用毛の第1の実施の形態を示す。
この第1の実施の形態になるテーパー用毛11は、芯部12(内層)と鞘部13(外層)からなる二重芯鞘構造のテーパー用毛の例であって、ストレート部を構成する鞘部13にのみ微細凹凸部を形成した場合の例である。
この第1の実施の形態では、芯部12のベース樹脂としてポリブチレンテレフタレートを用い、鞘部13のベース樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用いた。鞘部13には、熱硬化性樹脂粒子14(黒丸で表示)と水溶性無機化合物粒子16(白丸で表示)が混練分散されており、鞘部13の表面には、用毛表面から露出した熱硬化性樹脂粒子14によって微細凸部が形成され、さらに、用毛表面から露出していた水溶性無機化合物粒子16の溶解痕によって微細凹部15が形成されている。なお、この例の場合、熱硬化性樹脂粒子14としてメラミン樹脂を用い、水溶性無機化合物粒子16として炭酸カルシウムを用いた。
この第1の実施の形態の場合、テーパー用毛11の基部径(テーパーの施されていないストレート部の径)200μm、芯部12の直径120μm、鞘部13の厚み40μm、毛先先端からの0.1mm位置のテーパー部径20μm、メラミン樹脂14の粒径80μm、炭酸カルシウム16の粒径50μmとした。
上記第1の実施の形態になるテーパー用毛11を作るには、芯部12を構成するポリブチレンテレフタレート樹脂と、熱硬化性樹脂粒子14および水溶性無機化合物粒子16を混練した鞘部13を構成するポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて共押し出し成形することにより、芯部12と鞘部13からなる二重芯鞘構造の用毛を得る。この溶融紡糸工程において、樹脂が口金から押し出しされた時点では、熱硬化性樹脂粒子14と水溶性無機化合物粒子16は鞘部13内に埋没しているが、この後の延伸工程により熱硬化性樹脂粒子14と水溶性無機化合物粒子16が鞘部13の表面に露出し、鞘部13の微細凹部と微細凸部形成の核となる。
上記のようにして得られた二重芯鞘構造の用毛を所定の本数束ねて定寸でカットした後、このカットピースの両端あるいは一方の端部を高温・高濃度の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して加水分解することにより、用毛先端部を溶融先鋭化し、両端あるいは一方の端部がテーパー化された用毛を得る。
次いで、上記テーパー化された用毛を洗浄水あるいは中和用の酸性溶剤液中に浸漬する。用毛を洗浄水あるいは中和用の酸性溶剤液中に浸漬すると、鞘部13の表面から露出した水溶性無機化合物粒子16が溶解され、この溶解した水溶性無機化合物粒子16の溶解痕が微細凹部として形成される。一方、鞘部13の表面から露出している熱硬化性樹脂粒子14は洗浄水あるいは中和用の酸性溶剤液によって溶解されることなくそのまま残り、微細凸部を形成する。したがって、一連のテーパー化処理工程の中で微細凸部も微細凹部も同時に形成される。このようにして得られたストレート部の表面に微細凹凸部を有するテーパー用毛11を歯ブラシヘッド部の植毛面に植設すれば、本発明の歯ブラシを得ることができる。
この第1の実施の形態になるテーパー用毛11は、ストレート部を構成する鞘部13の表面にのみ微細凹凸部が形成されるため、用毛の毛腹を用いて歯の表面を刷掃する場合に、ストレート部表面の微細な凹凸部によって歯面の歯垢や汚れを効果的に除去することができる。
一方、歯の根元などの柔らかい象牙質部分に届くテーパー部を構成する芯部12の部分には、微細凹凸部が形成されていないため、その表面は滑らかであり、歯の根元等に対して柔らかく当たるようになり、優しい当り心地を確保することができる。さらに、芯部12には、熱硬化性樹脂粒子14と水溶性無機化合物粒子16が混錬されていないので、用毛としての強度も確保でき、用毛の毛折れも防ぐことができる。
図2に、本発明に係るテーパー用毛の第2の実施の形態を示す。
この第2の実施の形態になるテーパー用毛21は、二重芯鞘構造の芯部22と鞘部23の両方の表面に微細凹凸部を形成した場合の例である。この例の場合も、前記第1の実施の形態と同じく、芯部22のベース樹脂としてポリブチレンテレフタレートを、鞘部23のベース樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用い、また、熱硬化性樹脂粒子24,34(黒丸で表示)としてメラミン樹脂を、水溶性無機化合物粒子26,36(白丸で表示)として炭酸カルシウムを用いた。
この第2の実施の形態の場合、テーパー用毛21の基部径(テーパーの施されていないストレート部の径)200μm、芯部22の直径120μm、鞘部23の厚み40μm、毛先先端からの0.1mm位置のテーパー部径20μmとし、芯部22に混錬する熱硬化性樹脂粒子24の粒径を10μm、水溶性無機化合物粒子26の粒径を20μm、鞘部23に混錬する熱硬化性樹脂粒子34の粒径を80μm、水溶性無機化合物粒子36の粒径を40μmとした。
第2の実施の形態になるテーパー用毛21を作るには、熱硬化性樹脂粒子24および水溶性無機化合物粒子26を混練した芯部22を構成するポリブチレンテレフタレート樹脂と、熱硬化性樹脂粒子34および水溶性無機化合物粒子36を混練した鞘部23を構成するポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて共押し出し成形することにより、芯部22と鞘部23からなる二重芯鞘構造の用毛を得る。この溶融紡糸工程において、樹脂が口金から押し出しされた時点では、鞘部23に混練された熱硬化性樹脂粒子34と水溶性無機化合物粒子36は鞘部23内に埋没しているが、この後の延伸工程により熱硬化性樹脂粒子34と水溶性無機化合物粒子36が鞘部23の表面に露出し、鞘部23の微細凹部と微細凸部形成の核となる。
上記のようにして得られた二重芯鞘構造の用毛を所定の本数束ねて定寸でカットした後、このカットピースの両端あるいは一方の端部を高温・高濃度の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して加水分解することにより、用毛先端部を溶融先鋭化し、両端あるいは一方の端部がテーパー化された用毛を得る。
上記テーパー加工により、芯部22の毛先がテーパー状に溶融されるため、芯部22に混練されている熱硬化性樹脂粒子24がテーパー部表面に露出し、微細凸部が形成される。さらに、この芯部22に混練している水溶性無機化合物粒子26もテーパー部表面に露出する。
次いで、上記テーパー化された用毛を洗浄水あるいは中和用の酸性溶剤液中に浸漬する。用毛を洗浄水あるいは中和用の酸性溶剤液中に浸漬すると、芯部22と鞘部23の表面から露出している水溶性無機化合物粒子26,36が溶解され、この溶解した水溶性無機化合物粒子26,36の溶解痕が微細凹部として形成される。
一方、テーパー部と鞘部23の表面から露出している熱硬化性樹脂粒子24,34は洗浄水あるいは中和用の酸性溶剤液によって溶解されることなくそのまま残り、微細凸部を形成する。したがって、一連のテーパー化処理工程の中で微細凸部も微細凹部も同時に形成される。このようにして得られたテーパー部とストレート部の両方に微細凹凸部を有するテーパー用毛21を歯ブラシヘッド部の植毛面に植設すれば、本発明の歯ブラシを得ることができる。
この第2の実施の形態になるテーパー用毛21は、テーパー部とストレート部の両方に微細凹凸部が形成されているので、歯面や歯と歯の隙間など、それぞれの場所に応じた微細凹凸部により、高い刷掃実感を確保しながら、より効果的に歯の汚れなどを除去することができる。
図3に、本発明のテーパー用毛を用いて作製した歯ブラシの例を示す。
第1の実施の形態に係るテーパー用毛11(図1)を用いて作製した場合の例を示すもので、(a)は刷毛の先端を平切りとした場合の例、(b)は刷毛の先端を山切りとした場合の例である。
これらの歯ブラシの場合、歯ブラシヘッド部30に植毛されたテーパー用毛11のストレート部だけに、微細凹凸部14,15が形成されているので、この微細凹凸部によって歯面の歯垢や汚れを効果的に除去することができる。また、歯と歯の狭い間や、象牙質などの柔らかい部位においては、微細凹凸部の形成されていないテーパー化した毛先が入り込み、歯肉を傷つけることなく、優しい使用感で効果的に歯垢を掻き出すことができる。第2の実施の形態(図2)に係るテーパー用毛21を用いても同様に作製できることは勿論である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形ならびに変更が可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態では二重芯鞘構造のテーパー用毛において、微細凸部と微細凹部の両方を同時に形成した場合の例を示したが、微細凸部または微細凹部のいずれか一方のみを形成してもよいものである。また、芯鞘構造をとらない単一樹脂からなるモノフィラメントのテーパー用毛としてもよいし、あるいは3層以上の多重芯鞘構造とし、任意の層に、熱硬化性樹脂粒子または水溶性炭酸化合物粒子のいずれか一方あるいは両方を混錬してもよいものである。
熱硬化性樹脂粒子と水溶性無機化合物粒子の混練部位は、上記実施の形態の部位に限定されるものではなく、例えば鞘部には熱硬化性樹脂粒子のみ、芯部には水溶性無機化合物粒子のみというように、任意に変更することができる。また、熱硬化性樹脂粒子と水溶性無機化合物粒子の種類とその配合する層、ベース樹脂の種類などを変えることができるので、目的に応じてより効果的な研磨作用と刷掃感を有する用毛を提供することができる。
本発明のテーパー用毛は、歯ブラシだけでなく、工業用ブラシ、床・壁の清掃ブラシなど、幅広い用途に用いることができる。
本発明に係るテーパー用毛の第1の実施の形態を示すもので、(a)はテーパー用毛の毛先部分の模式拡大断面図図、(b)はその縦断面図である。 本発明に係るテーパー用毛の第2の実施の形態を示すもので、(a)はテーパー用毛の毛先部分の模式拡大断面図、(b)はその縦断面図である。 図1のテーパー用毛を用いて作成した本発明の歯ブラシの例を示すもので、(a)は刷毛先端を平切り加工した歯ブラシの例、(b)は刷毛先端を山切り加工した歯ブラシの例を示すものである。
符号の説明
11、21 テーパー用毛
12、22 芯部(内層)
13、23 鞘部(外層)
14、24,34 熱硬化性樹脂粒子(微細凸部)
15、25,35 微細凹部(水溶性無機化合物粒子の溶解痕)
16、26,36 水溶性無機化合物粒子
30 歯ブラシヘッド部

Claims (10)

  1. 少なくとも一方の端部がテーパー状とされた合成樹脂製の用毛であって、
    該用毛の表面に、略球形状の熱硬化性樹脂粒子からなる微細凸部および/または略球形状の水溶性無機化合物粒子の溶解痕からなる微細凹部が形成されていることを特徴とするテーパー用毛。
  2. 前記熱硬化性樹脂粒子のモース硬度が3〜6、その粒径が5〜100μmであり、前記水溶性無機化合物粒子の粒径が5〜100μmであることを特徴とする請求項1記載のテーパー用毛。
  3. 前記熱硬化性樹脂粒子の含有量が1〜60重量%、前記水溶性無機化合物粒子の含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1または2記載のテーパー用毛。
  4. 前記用毛が単一樹脂のモノフィラメントからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のテーパー用毛。
  5. 前記用毛が芯部と鞘部を有する多重芯鞘構造になることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のテーパー用毛。
  6. 略球形状の熱硬化性樹脂粒子および/または略球形状の水溶性無機化合物粒子を混練したベース樹脂を用いて所定径、所定長さの用毛を作成し、
    該作成された用毛の少なくとも一方の端部を溶解処理することにより、当該用毛の端部をテーパー化すると同時に、ベース樹脂中に混練されている熱硬化性樹脂粒子および/または水溶性無機化合物粒子を用毛表面に露出させ、
    次いで、該テーパー化された用毛を洗浄水または中和剤液中に浸漬することにより、水溶性無機化合物粒子が混練されている場合においては用毛表面に露出している水溶性無機化合物粒子を溶解し、
    用毛表面に熱硬化性樹脂粒子からなる微細凸部および/または水溶性無機化合物粒子の溶解痕からなる微細凹部を形成することを特徴とするテーパー用毛の製造方法。
  7. 前記熱硬化性樹脂粒子の含有量が1〜60重量%、前記水溶性無機化合物粒子の含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項6記載のテーパー用毛の製造方法。
  8. 前記熱硬化性樹脂粒子がモース硬度3〜6、粒径が5〜100μmであり、前記水溶性無機化合物粒子が粒径5〜100μmであることを特徴とする請求項6または7記載のテーパー用毛の製造方法。
  9. 複数種類のベース樹脂を用い、これら複数種類のベース樹脂中の任意のベース樹脂に前記熱硬化性樹脂粒子および/または水溶性無機化合物粒子を混練し、これら複数のベース樹脂を用いて共押出し成形によって多重芯鞘構造の用毛を作成し、該多重芯鞘構造になる用毛の少なくとも一方の端部をテーパー化することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のテーパー用毛の製造方法。
  10. ヘッド部の植毛面に植設された刷毛の全部または一部に、前記請求項1〜5のいずれかに記載のテーパー用毛を用いたことを特徴とする歯ブラシ。
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