JP2007166816A - 圧電アクチュエータ、圧電アクチュエータの駆動方法、および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】振動体266において、第1駆動電極851と第2駆動電極852とにそれぞれ供給される第1駆動信号S1と第2駆動信号S2+/S2−との間に位相差を持たせた。この位相差により、屈曲振動の振幅を可変にでき、所望の楕円軌跡Eを実現できる。このような駆動信号の位相差の設定と併せて、第1駆動電極851の幅の変更を行うことにより、屈曲振動の調整を通じて楕円軌跡Eを自在に調整可能となり、所望の駆動特性を実現する理想的な楕円軌跡Eを実現できる。このことから、各駆動電極851,852のサイズなどに関わらず、圧電アクチュエータとしての出力調整を十分な範囲で容易に実施できる。これにより、駆動信号に位相差をつけない場合の略2倍の駆動効率に達するほどまでに、出力向上を図ることができ、また、逆方向への駆動も可能となる。
【選択図】図12
Description
ここで、縦振動と屈曲振動との混合モードによる楕円運動を実現するために、略矩形の板状の圧電素子の図心に対して回転対称となるように電極を設け、圧電素子の長手方向に対してアンバランスな電極配置としていた(例えば、特許文献1)。さらに、振動体の振動軌跡の切り替えによってロータを正逆回転させる場合は、圧電素子における一方の対角線上に正転用の電極を設け、他方の対角線上に逆転用の電極を設けるなど、圧電素子の長手方向に沿った中心線に対して略線対称となるように、電極をそれぞれ配置していた(特許文献1)。
一方、こうした電極の配置をアンバランスにする以外に、圧電素子の矩形平面を縦横二等分して4分割される領域に電極をそれぞれ設け、一方の対角線上に配置された電極に供給する駆動信号と、他方の対角線上に配置された電極に供給する駆動信号との間で0°〜180°の位相差を持たせることによって楕円運動を実現することも提案されている(特許文献2)。
一方、特許文献2では、2つの駆動信号の位相差を0°〜180°の範囲で調整することにより、楕円運動の軌跡における長径短径の長さおよび長軸の傾きが調整されているが、このように楕円軌跡の長軸の傾きを変化させることで得られる楕円軌跡の形状は限られており、被駆動体の駆動に最適な軌跡を得ているとは言い難い。特許文献2には、楕円軌跡がいくつか例示されているが、位相差の調整により何故、楕円軌跡が変わるかについての説明はない。このため、被駆動体を駆動する適正なトルクを得ることが難しく、また、組み立て等の要因で振動特性がばらつきやすい振動体の製造誤差に十分対応することも困難である。
ここで、主として縦振動を励振する第1駆動信号と主として屈曲振動を励振する第2駆動信号との間に位相差を持たせたため、縦振動と屈曲振動との重なりにより、楕円形状(円も含む)の軌跡を実現できる。例えば、縦振動と屈曲振動とが90°の位相差で組み合わさった軌跡(リサージュ図形)は楕円軌跡となるが、屈曲振動は縦振動に対して遅れるため、位相差90°を正の方向にずらす、つまり、位相差を100°などとすることにより、楕円の長軸が縦振動の方向にほぼ沿った楕円軌跡となる。これにより、振動体に所定の接触圧で当接された被駆動体と振動体との摩擦力が大きくなるので、高負荷の被駆動体を駆動できる。一方、位相差90°を負の方向にずらす、つまり、位相差を80°などとすることにより、縦振動に対して屈曲振動が遅れる度合が大きくなり、その結果、上記の楕円軌跡とは回り方向が逆の楕円軌跡となり、被駆動体を逆方向に駆動することが可能となる。このように、位相差の選定により屈曲振動が調整され、所望の駆動特性を実現する楕円軌跡に調整できる。
なお、第1、第2信号の位相差を設定する際には、縦振動に対する屈曲振動の遅れ(振動体固有の縦振動および屈曲振動の位相差)を加味する。すなわち、(振動体固有の縦振動および屈曲振動の位相差)をβと置くと、第1、第2駆動信号の設定位相差αは次のような関係式(1)を基に決められる。
−90°+β< α < 90°+β ・・・(1)
ここで、βの具体的な数値は、例えば20°であり、第1、第2駆動信号の設定位相差αは、例えば、−70°< α < 110°などの範囲で決められる。
また、本発明の圧電アクチュエータの駆動方法では、前記第1駆動信号の位相に対して前記第2駆動信号の位相を正に調整し、前記振動体の所定の振動軌跡により前記被駆動体を所定の正方向に駆動させるとともに、前記第1駆動信号の位相に対して前記第2駆動信号の位相を負に調整し、前記振動軌跡とは異なる前記振動体の振動軌跡により前記被駆動体を前記正方向とは逆の方向に駆動させることが好ましい。
さらに、第1駆動電極および第2駆動電極以外に別途、検出電極を設けることで、第1、第2駆動電極を振動検出に兼用することが不要となり、これら第1、第2駆動電極を振動検出時の高電圧に耐える回路構成としなくて済むため、回路を簡略化でき、低コスト化を図ることができる。
ここで、本発明の発明者による実験により、第1駆動電極と第2駆動電極とに同じ位相(位相差0°)の駆動信号を供給した際、原則、被駆動体は正方向に駆動されるが、所定の周波数帯域では、被駆動体が逆方向に駆動されることが判明している。これに基いて、第1駆動信号に対する第2駆動信号の位相差を負に調整することにより、被駆動体が逆方向に駆動される周波数帯域が増加し、被駆動体をより確実に逆転させることが可能となる。
なお、第1、第2駆動電極に同じ位相の駆動信号が供給された際に縦振動の歪および屈曲振動の歪が検出電極の位置においてほぼ同等となるのは、駆動周波数に対して、被駆動体が正方向に最大効率で駆動する際の周波数と、被駆動体が逆方向に最大効率で駆動する際の周波数との略中間の駆動周波数とされる場合などである。
そして、前記の屈曲振動の節の近傍に検出電極が設けられていることにより、正方向への駆動時、検出電極における屈曲振動の振動成分がキャンセルされ、主として縦振動の歪が寄与する正方向への駆動時における振動を良好に検出できるので、この検出電極からの検出信号を基に、正方向への駆動を実現する周波数に確実に制御できる。
また、前記の屈曲振動の腹の近傍にも検出電極が設けられていることにより、逆方向への駆動時、検出電極における縦振動の振動成分がキャンセルされ、主として屈曲振動の歪が寄与する逆方向への駆動時における振動を良好に検出できるので、この検出電極からの検出信号を基に、逆方向への駆動を実現する周波数に確実に制御できる。
なお、検出電極が設けられる位置については、屈曲振動の節以外の、屈曲振動による歪が小となる位置、および、屈曲振動の腹以外の、屈曲振動による歪が大となる位置にそれぞれ置換しても、同等の作用効果が得られるため、本発明と均等である。
ここで、より具体的には、前記第1駆動電極と前記第2駆動電極とに同じ位相の駆動信号を供給した際に、縦振動の共振周波数と屈曲振動の共振周波数との差が縦振動の共振周波数と縦振動の反共振周波数との差の1/4以下または3kHz以下である形態とされていることが好ましい。
ここで、縦振動の共振周波数と縦振動の反共振周波数との差の1/4以下または3kHz以下となる程、縦振動の共振周波数と屈曲振動の共振周波数とが互いに近接する振動体の形態としては、例えば矩形状の圧電素子の幅寸法を1.0とすると長手寸法が3.5の場合などである。逆に、縦振動の共振周波数と屈曲振動の共振周波数との差が縦振動の共振周波数と縦振動の反共振周波数との差の1/4を超える、あるいは3kHz超となる場合には、縦振動の振幅と屈曲振動の振幅との一方しか、あるいは縦の振幅も屈曲の振幅も大きくできず、第1、第2駆動信号の位相差を調整しても駆動力を大きくしたり、逆方向に駆動したりすることが難しくなる。
この発明における圧電素子の寸法としては、縦寸法が7mm、横寸法が2mmなどを例示できる。また、例えば2枚の圧電素子が補強板の両面にそれぞれ積層されて振動体が構成されている場合には、振動体全体の厚さ寸法として0.4mmなどを例示できる。ただし、寸法以外に、圧電素子および圧電素子に積層される補強板などの材料特性なども考慮される。
なお、電子機器としては、レンズユニット、プリンタ、カメラ、携帯電話、携帯情報端末、可動玩具、顕微鏡、望遠鏡などを例示できる。
加えて、圧電アクチュエータにおける利点、すなわち、磁気の影響を受けない、小型薄型化に有利、高トルクなどを実現できる。
以下、本発明の第1実施形態に係るレンズユニット10について説明する。なお、レンズユニット10は、機器としてのカメラに搭載され、または、カメラと一体に製造され、利用されるものである。
また、このカメラは、レンズユニット10の他、このレンズユニット10を構成するレンズ30,40,50によって結像される像を記録する記録媒体と、各レンズ30,40,50を駆動する駆動ユニットとしての駆動装置1と、これら全てが収納されるケースとを備えている。ただし、カメラ、記憶媒体、およびケースの図示は省略してある。
図1は、レンズユニット10を右上方から見た斜視図であり、図2は、レンズユニット10を左上方から見た斜視図である。図3(A)、(B)は、カム部材60の動作図であり、図4(A)、(B)は、カム部材70の動作図である。図5は、カム部材60を駆動する振動体66の拡大斜視図である。
さらに、筐体20の両側の側部22には、長孔形状の開口部23A,23B,23Cが設けられ、これらの開口部23A,23B,23Cは、レンズ30,40,50に設けられたカム棒31,41,51が十分動ける大きさに形成されている。
さらに、レンズ30,40,50は、本実施例では、集光部32,42,および第3レンズ50の集光部と枠取付部33,43,および第3レンズ50の枠取付部とがレンズ材
料で一体に形成されていたが、集光部32,42,および第3レンズ50の集光部のみをレンズ材料で形成し、枠取付部33,43,および第3レンズ50の枠取付部側を別材料で保持枠34,44,54と一体に形成してもよい。また集光部32,42,および第3レンズ50の集光部、枠取付部33,43,および第3レンズ50の枠取付部、ならびに保持枠34,44,54が一体のレンズ材で構成されていてもよい
材70の面状部分には、駆動用案内部としての1つのカム溝62Cが形成されている。このカム溝62Cは、略円弧状に形成されており、カム溝62Cには第1レンズ30のカム棒31が係合し、これによりカム部材60が回動すると、カム棒31がカム溝62Cに誘導され、これらカム溝62Cの形状に応じたスピードおよび移動範囲で動き、第1レンズ30が進退する。
また、カム部材60,70の面状部分に開口を設け、この開口内に振動体66,76を配置し、回動軸61,71の外周面に振動体66,76を当接してもよい。この場合、開口の大きさは、カム部材60,70が回動しても、振動体66,76と接触しない大きさを有する。そして、この場合の振動体66,76の支持は、筐体20の外面部25A,25B又はカバー部材10Aのどちら側であってもかまわない。
また、回動軸61,71の外周面においては、特に振動体66,76の当接部分は、摩耗を防ぐために、凹凸無く仕上げられている。振動体66,76の当接部分の外径は、大きければ大きいほどよく、このことで振動数に対する回動角度が少なくなるため、レンズ30,40,50を微細に駆動可能となる。そして、回動軸61,71の外径形状は、当接部分のみが円弧で、それ以外の面は特に円弧でなくてもよい。
補強板81は、その長手方向の両端の短辺略中央に凹部811が形成され、この凹部811に略楕円形状の凸部材81Aが配置されている。これらの凸部材81Aは、セラミックスなどの高剛性の任意の材料で構成され、その略半分が補強板81の凹部811内に配置され、残りの略半分は、補強板81の短辺から突出して配置されている。これらの凸部材81Aのうち、一方の凸部材81A先端が回動軸61の外周面に当接されている。
補強板81の長手方向略中央には、幅方向両側に突出する腕部81Bが一体的に形成されている。腕部81Bは、補強板81からほぼ直角に突出しており、これらの端部がそれぞれ図示しないビスによってカバー部材10Aに固定されている。このような補強板81は、ステンレス鋼、その他の材料から形成されている。
これらの溝83A,83Bにより、圧電素子82の幅方向略中央で長手方向に沿って設けられ、駆動信号が供給される第1駆動電極821と、圧電素子82の一方の対角線上両側に設けられて駆動信号が供給される一対の第2駆動電極822と、圧電素子82の他方の対角線上両側に設けられて駆動信号が供給される一対の第3駆動電極823との5つの電極が形成される。各第2駆動電極822は、圧電素子82の図心に対して回転対称に配置されるとともに、リード線L(図8)で互いに導通されている。各第3駆動電極823についても同様である。
図6に、振動体66が励振する縦振動および屈曲振動を模式的に示した。第1、第2駆動電極821,822に駆動信号を供給した場合、振動体66の凸部材81Aは、縦一次振動モードの振動と屈曲二次振動モードの振動とを組み合わせた略楕円軌跡E+を描いて振動する。この略楕円軌跡E+の一部において、凸部材81Aが回動軸61(図5)を接線方向に押圧し、回動軸61は正方向であるR+方向に回転する。
図7(A)に、振動体66における駆動周波数とインピーダンスとの関係を示し、図7(B)には、振動体66における駆動周波数と縦振動の振幅および屈曲振動の振幅との関係を示した。図7(A)に示すように、駆動周波数に対してインピーダンスが極小であって振幅が最大となる共振点が二点現れ、これらのうち最もインピーダンスの低い方が縦振動の共振点、もう一方のインピーダンスの極小点が屈曲振動の共振点となる。
すなわち、縦振動の縦共振周波数fr1と屈曲振動の屈曲共振周波数fr2との間で振動体66を駆動すると、縦振動および屈曲振動双方の振幅が確保され、振動体66は高効率で駆動する。本実施形態の振動体66では、縦共振周波数fr1と屈曲共振周波数fr2とが互いに近接し、縦共振周波数fr1と屈曲共振周波数fr2との差Δfrが小さくなっており、縦振動および屈曲振動の振幅がより大きくなる駆動周波数を設定することができる。
ここで、第1駆動電極821の幅寸法は、本実施形態では、圧電素子82の幅寸法の約1/3となっており、これは、良好な楕円軌跡Eを実現するように決められている。すなわち、振動体66,76は第1駆動電極821により主として縦振動を励振し、第2駆動電極822により主として屈曲振動を励振するところ、第1駆動電極821の幅を太くすると圧電素子82の長さ方向への変位が大きくなり、回動軸61への加圧力が高くなって振動体66と回動軸61との間の摩擦力が増加するため、高負荷で駆動できる。反対に、第1駆動電極821の幅を細くすると屈曲を主に励振する第2駆動電極822の圧電素子82における面積が増えることになり、圧電素子82の幅方向への変位が大きくなるため、凸部材81Aとの接線方向に回動軸61の高速駆動を実現できる。
一方、振動体76については、振動体66と同様な構成であり、振動体66を説明することで理解できるため、ここでの説明を省略する。
電圧印加装置84は、信号発生装置841と、移相器842と、2つのドライバ843、844と、正逆切替信号源845に接続され、ドライバ844の接続先を切り替えるスイッチ846とを備えている。
信号発生装置841は、所定の周波数の駆動信号を生成して2つのドライバ843,844に出力し、これらのドライバ843,844により、駆動信号は交番する印加電圧として振動体66の圧電素子82に供給される。
ここで、移相器842には、正逆切替信号源845からの指令信号が入力され、正転時、逆転時に応じて位相差をつけることが可能となっている。
ドライバ843には、信号発生装置841から出力された駆動信号が移相器842を介さずに入力され、このドライバ843を通じて振動体66の第1駆動電極821に駆動信号が供給される。
一方、もう1つのドライバ844は、スイッチ846に接続されている。スイッチ846は、正逆切替信号源845からの指令信号に応じて、ドライバ844を振動体66の第2駆動電極822および第3駆動電極823のいずれかに接続する。
本実施形態では、第1駆動信号S1の位相に対する第2駆動信号S2の位相差θ2は、約110°であり、第1駆動信号S1に対する第3駆動信号S3の位相差θ3も、約110°である。
なお、第2駆動信号S2+、S2−の第1駆動信号S1に対する位相差は、振動体266における縦振動に対する屈曲振動の遅れなどを考慮して適宜設定可能であるが、本実施形態では、第2駆動信号S2+の位相差θ+は、+90°に設定され、第2駆動信号S2−の位相差θ−は、−90°に設定されている。
なお、前述した移相器842は、正逆切替信号源845からの指令値に応じて、位相差θ2と位相差θ3とを互いに異なるものとすることが可能なように構成されている。
図10(A)は、本実施形態との比較例を示し、振動体66と略同様の構成の振動体66Zにおいて、第1、第2駆動電極821,822に同じ位相(位相差なし)の駆動信号を供給した場合を示している。この場合、振動体66Zの凸部材81Aは、縦振動および屈曲振動の組み合わせによって楕円軌跡EZを描く。
振動体66について示す実線の場合、駆動周波数に対する回動軸61の駆動速度は、破線で示した振動体66Zの場合よりも駆動周波数ほぼ全域に亘って高く、略最大の出力で比較すると、アクチュエータとしての振動体66の出力は、振動体66Zの出力の略2倍に達する。
すなわち、第1駆動信号S1に対して第2駆動信号S2あるいは第3駆動信号S3が正の位相差θ2,θ3(本実施形態では110°)を有することにより、出力が格段に向上することが検証された。
レンズユニット10が動作する際は、まず、回動軸61の外周に当接している振動体66が振動することにより、回動軸61が所定角度で回動する。これによって回動軸61と一体のカム部材60も所定の角度で回動する。するとカム部材60に形成されたカム溝62A,62Bも回動し、それぞれのカム溝62A,62Bに嵌合されているカム棒51,41の外周面がカム溝62A,62Bの内周面により誘導されながら開口部23A,23Bの中で移動する。
例えば、図3(A)の位置から回動軸61を反時計方向(R+)に回動させると、カム棒41,51を有する第2レンズ40と第3レンズ50とは、互いに離間する方向に移動し、図3(B)のように、第2レンズ40と第3レンズ50との間隔が広がることになる。
反対に、電圧が印加される第2駆動電極822と第3駆動電極823とを切り替えて、図3(B)の位置から回動軸61を時計方向(R−)に回動させると、第2レンズ40と第3レンズ50とは、互いに近接する方向に移動し、図3(A)のように戻る。
これにより第2レンズ40と第3レンズ50は、ズームレンズとして機能することになる。
例えば、図4(A)の位置から回動軸71を反時計方向(R+)に回動させると、カム棒51と連結された第1レンズ30は、筐体20の中心方向から外側方向に移動し、図4(B)のように、筐体20の端部側に寄る。
反対に、図4(B)の位置から回動軸71を時計方向(R−)に回動させると、第1レンズ30は、筐体20の中央側へ移動し、図4(A)のように戻る。これにより第1レンズ30は、フォーカスレンズとして機能することになる。
なお、図示しない読み取りセンサによってレンズ30,40,50の位置を読み取り、電圧印加装置84にフィードバックして駆動制御することにより、レンズ30,40,50を任意の位置に静止可能となっている。
(1)レンズユニット10の各レンズ30〜50を駆動する圧電アクチュエータとしての振動体66,76において、主として縦振動を励振する第1駆動電極821と主として屈曲振動を励振する第2、第3駆動電極822,823とにそれぞれ供給される第1駆動信号S1と第2、第3駆動信号S2,S3との間に位相差θ(図9)を持たせた。この位相差θにより、屈曲振動の振幅を可変にでき、楕円軌跡Eを実現できる。本実施形態では、第2、第3駆動信号S2,S3が第1駆動信号S1に対して正の位相差θ2,θ3を有するものとしたので、縦振動の方向に長軸がほぼ沿った楕円軌跡Eとすることができる。
このような第1、第2駆動信号S1,S2の位相差θ2,θ3の設定と併せて、圧電素子82に設けられた第1駆動電極821の幅等の変更を行うことにより、屈曲振動の調整を通じて楕円軌跡Eを自在に調整可能となり、所望の駆動特性が得られる理想的な楕円軌跡Eを実現できる。
以上により、回動軸61,71を大トルクで高速に駆動することができ、各レンズ30〜50を迅速に進退させることが可能となる。従ってズーム、フォーカスの操作性を向上させることができる。
また、このように出力調整が容易であるため、振動体66,76の組み立てなどの要因による製造誤差にも十分対応できる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、圧電アクチュエータへの駆動信号の供給態様が第1実施形態とは異なり、また、振動を検出して駆動周波数の制御を実施する点が第1実施形態とは異なる。
図12は、本実施形態における振動体266および電圧印加装置86の構成概略を示す。
振動体266に設けられた圧電素子82には、幅方向略中央で長手方向に沿って延びる第1駆動電極851と、圧電素子82の一方の対角線上両側にそれぞれ配置される一対の第2駆動電極852と、圧電素子82の歪みを検出する検出電極855とが設けられている。ここで、本実施形態では、圧電素子82の他方の対角線上両側に電極が設けられておらず、これらの領域は、残余領域としての開放領域OPとなっている。
また、本実施形態では、第2駆動電極852の幅および長さが第1実施形態の第2駆動電極822の幅および長さよりも大きい。このため、本実施形態の第1駆動電極851の幅寸法は、第1実施形態の第1駆動電極821の幅よりも小さく形成され、各第2駆動電極852が振動体266の長手方向略中央で行き交う部分では、第1駆動電極851の幅は圧電素子82の幅の約1/4の幅となっている。このように第1駆動電極851の幅が比較的細い分、第2駆動電極852の幅を大きくできるため、各第2駆動電極852の回転中心に対するアンバランス量が大きくなり、慣性により振動体266の幅方向への変位が大きくなるため、凸部材81Aとの接線方向に回動軸61,71を高速に駆動できる。
なお、この第1駆動電極851の形状、サイズなどは自在にでき、例えば1/2〜1/4の範囲で適宜調整できる。1/2程度に太くすると、トルクを大きくできる。
つまり、本発明における駆動電極のサイズ、形状等は任意に設定でき、第2駆動電極852のサイズについても、第1実施形態の第2駆動電極822のように、圧電素子82における約1/6のサイズとする必要がない。
図14(B)は、本実施形態との比較例として、振動体266と略同様の構成の振動体266Zにおいて、第1、第2駆動電極851,852に同じ位相の駆動信号を供給したことを示している。このとき、凸部材81Aは楕円軌跡EZを描く。
図14(A)および(C)は、本実施形態の振動体266をそれぞれ示す。図14(A)では、第1駆動電極851には第1駆動信号S1が供給され、第2駆動電極852には、第2駆動信号S2+が供給されている。この場合、第2駆動信号S2+が第1駆動信号S1に対して正の位相差θ+(図13)を有することから、縦振動に対する屈曲振動の遅れの度合が小さくなり、振動体266Zの軌跡EZよりも長軸が長く、また縦振動の方向に長軸がほぼ沿った楕円軌跡E+となる。これにより、大トルクで回動軸61を高速に回動させることができる。
なお、第2駆動信号S2+、S2−の第1駆動信号S1に対する位相差は、振動体266における縦振動に対する屈曲振動の遅れなどを考慮して適宜設定可能であるが、本実施形態では、第2駆動信号S2+の位相差θ+は、+90°に設定され、第2駆動信号S2−の位相差θ−は、−90°に設定されている。
振動体266における第2駆動電極852に第2駆動信号S2+を供給した場合(図14の(A)、図15の実線)、駆動周波数に対する回動軸61の駆動速度が、振動体266Zを使用した場合(図14の(B)、図15の破線)よりも駆動周波数ほぼ全域に亘って高く、略最大出力で比較すると、振動体266Zの出力の略2倍の出力を有する。また、振動体266Zでは、所定の周波数帯域において逆転方向に駆動する逆転帯域BPが認められるが、図14(A)の構成では、このような帯域がなく、回動軸61を駆動可能な周波数帯域略全体において、正転方向への駆動が可能となる。
一方、振動体266における第2駆動電極852に第2駆動信号S2−を供給した場合(図14の(C)、図15の点線)、逆転帯域BPが増加し、逆転方向への駆動に有利なことがわかる。なお、逆転帯域BPは、屈曲共振周波数fr2(図7)の近傍となっている。
以上により、位相差θ+、θ−は、位相差なしで駆動信号を供給した際の振動体266Zの駆動特性(図14(B)、図15の破線)に基いて選定することができ、これによって正転、逆転ともに安定化させることができる。
本実施形態では、電圧印加装置86により、正転時に略最大効率を実現する駆動周波数F+と、逆転時に略最大効率を実現する駆動周波数F−とに第1、第2駆動信号S1,S2+,S2−の周波数を制御する周波数制御を実施している。
本実施形態では、正転時、逆転時ともに、共通の目標位相差θ0を規定し、第1駆動信号S1と検出信号との位相差をフィードバックして周波数制御を行う。
なお、検出電極855の位置を選定する際には、当該検出電極855による検出信号と第1駆動信号S1との位相差が、縦振動の共振および屈曲振動の共振の間の反共振点fr11(図7)と屈曲振動の共振周波数fr2との間の周波数で変化し、良好に周波数制御できる位置が選択される。
前述のように、検出電極855は、第1、第2駆動電極851,852に同じ位相の駆動信号が供給された際に縦振動の歪および屈曲振動の歪がほぼ同等となる位置に設けられるが、このように歪みが同等となるのは、駆動周波数F+と駆動周波数F−との略中間の駆動周波数とされる場合などである。
周波数制御手段87は、位相差−電圧変換回路871と、定電圧回路872と、比較回路873と、電圧調整回路874と、移相器842と、リセット回路847とを備えている。
位相差−電圧変換回路871は、検出電極855から検出された検出信号Vaの位相と、第1駆動電極851に供給される駆動信号Vh(駆動信号S2+あるいはS2−)の位相との位相差を検出し、平均位相差に相当する電圧値を有する位相差電圧信号Vjを比較回路873に出力する。
位相差−電圧変換回路871は、位相差検出部871Aと、平均電圧変換部871Bとを備えている。位相差検出部871Aは、検出信号Vaおよび駆動信号Vhが入力されると、両信号の位相差に相当するパルス幅を有する位相差信号Vpdを生成し、平均電圧変換部871Bに出力する。平均電圧変換部871Bは、図示しない積分回路により位相差信号Vpdのパルス幅に相当する平均電圧値を有する位相差電圧信号Vjを生成し、比較回路873に出力する。
比較回路873は、位相差−電圧変換回路871からの位相差電圧信号Vjと定電圧回路872からの基準位相差信号Vkとを入力し、両者を比較するものである。つまり、位相差電圧信号Vj≧基準位相差信号Vkである場合には、比較回路873は“H”となる比較結果信号Veを電圧調整回路874に出力し、位相差電圧信号Vj<基準位相差信号Vkである場合には、比較回路873は“L”となる比較結果信号Veを電圧調整回路874に出力する。
ドライバ843,844は、電圧制御発振器861からの基準信号Vgを受けて、この基準信号Vgの周波数で一定の電圧値となる駆動信号Vhを振動体266の第1駆動電極851または第2駆動電極852に出力する。
このような動作を繰り返すことにより、振動体266に印加される駆動信号Vhの周波数は減少し、位相差電圧信号Vj≧基準位相差信号Vkとなった場合には、逆に駆動信号Vhの周波数が増加するため、駆動信号Vhと検出信号Vaとの位相差θに相当する位相差電圧信号Vjは基準位相差信号Vk近辺で制御されることとなる。
また、何かの具合により駆動信号Vhの周波数が低くなりつづけ、リセット回路847の所定値以下となった場合には、電圧調整回路874の調整信号Vfが初期値Vf1に対応した値にリセットされ、もう一度駆動周波数の調整範囲の上限値から周波数の制御を行う。
このようにして、第1駆動信号S1と検出信号Vaとの位相差をフィードバックすることにより、第1、第2駆動信号S1,S2+,S2−の駆動周波数が制御される。
このように、第1、第2駆動信号S1,S2の位相差θ+,θ−の変更により速度調整が定常的に実施される。
(5)第1駆動信号S1の位相に対する第2駆動信号S2+,S2−の位相差θ+,θ−の調整により、正転、逆転ともに可能となるため、駆動電極を正転時、逆転時で同一にできる。これにより、正転用とは別に、逆転用に駆動電極を用意することが不要となり、圧電素子82の領域の略全体を駆動に使用することができる。このため、同一サイズの圧電素子82において駆動力を向上させることが可能となる。また、駆動電極の圧電素子82におけるサイズや形状、配置などを自在にでき、屈曲振動の調整が容易となる。さらに、実装が容易な電極の配置を採用することも可能となり、低コスト化を促進できる。
そして、検出電極855が設けられていることで、第1、第2駆動電極851,852を振動検出に兼用することが不要となり、配線が容易となるとともに、これら第1、第2駆動電極851,852を振動検出時の高電圧に耐える回路構成としなくて済む。このため、回路を簡略化でき、低コスト化を図ることができる。
これは、例えば第1、第2駆動電極851,852のうち使用していない部分を検出電極として兼用して使用する場合などでは、振動軌跡を切り替えるために駆動電極を切り替えると、これに伴って検出電極も切り替える必要があり、電極構成や配線、制御動作が複雑となる。特に、検出の高電圧に耐え得る設計とする必要がある。これに対して、本実施形態の検出電極855は、第1、第2駆動電極851,852とは別個に設けられているので、実装が容易化され、低コスト化が図られる。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図17は、本実施形態における振動体366および電圧印加装置86の構成概略を示す。前述の第2実施形態では、検出電極が1つだけ設けられていたが、本実施形態では、振動の検出電極が2つ設けられている。
振動体366は、第2実施形態における振動体266と略同様、第1駆動電極851と、一対の第2駆動電極852とがそれぞれ圧電素子82に設けられている。
なお、本実施形態の振動体366は、第2実施形態の振動体266と比べて、第2駆動電極852の長さおよび幅が小さく、その分、振動体366中央部における第1駆動電極851の幅が広くなっている。ただし、このような形状の相違に関わらず、第1駆動電極851には第1駆動信号S1が供給され、第2駆動電極852には、正転、逆転に応じて、第1駆動信号S1に対して所定の位相差を有する第2駆動信号S2+,S2−がそれぞれ供給される。
第1検出電極881は、開放領域OPにおいて、第1駆動電極851、第2駆動電極852の両方に隣接する角隅部に設けられている。この第1検出電極881の位置は、振動体366における縦振動の節の近傍(振動体366の略中央における屈曲振動の節の近傍でもある)となっている。
一方、第2検出電極882は、凸部材81Aと離れた側の開放領域OPにおける長手方向略中央に配置されている。この第2検出電極882の位置は、振動体366における屈曲振動の腹の近傍となっている。
なお、これらの第1、第2検出電極881,882は、第2実施形態の検出電極855(図12)の両側にそれぞれ設けられている。言い換えると、第2実施形態の検出電極855は、本実施形態の検出電極881,882の略中間に設けられている。
一方、R−方向への逆転時には、第2検出電極882により振動が検出される。第2検出電極882の位置は屈曲振動の腹近傍であることから、屈曲振動の歪が略最大となり、第2検出電極882における振動検出において縦振動がキャンセルされる。
これらのことから、第1、第2検出電極881,882により、正転時、逆転時の振動を別々に良好に検出できるので、電圧印加装置86の周波数制御手段87において、これら第1、第2検出電極881,882からの検出信号を基に、正転、逆転を実現する駆動周波数に確実に制御できる。
また、本実施形態によれば、前記各実施形態による効果と略同様の効果を奏する。
次に、本発明の第4実施形態を説明する。本実施形態の振動体では、その固有の形態により、振動特性が作りこまれている。
図18に、本実施形態の圧電アクチュエータとしての振動体466を簡略に示した。図18(A)は平面図、(B)は側面図である。
振動体466は、第1実施形態における振動体66(図5)と略同様に、2枚の矩形板状の圧電素子482が補強板81の両面に重ねられ、各圧電素子482には1つの第1駆動電極821と、一対の第2駆動電極822と、一対の第3駆動電極823とが形成されている。なお、振動体466には、振動の検出電極は設けられていない。
ここで、振動体466には、第2、第3実施形態の振動体266,366のように、第1駆動電極851および第2駆動電極852のみが設けられていても良く、この場合も下記と同様の作用効果を奏する。
すなわち、駆動周波数のスイープ駆動を行う場合、図16などに示した電圧印加装置86においてさらに、圧電素子482を流れる電流を検出する電流検出回路や、回動軸61の回転数を検出する回転数検出器などを具備し、これら電流検出回路や回転数検出器などによる検出に基いて、所望の駆動特性が得られるまで駆動周波数をスイープする。なお、スイープの結果得られた駆動周波数における第2駆動信号S2+,S2−と検出信号との位相差を目標として、当該位相差のフィードバックによる周波数制御を実施してもよい。
(13)振動体466の形態は、縦振動の共振周波数fr1と屈曲振動の共振周波数fr2とが略一致するように、前述した寸法、材質等に形成されているので、駆動周波数掃引時に駆動速度が負として把握される周波数帯域(図15中、逆転帯域BP)が増加し、逆転が容易となる。ここでさらに位相差θ+、θ−を調整することによって、逆転をより確実にできる。
また、縦振動の振幅と屈曲振動の振幅との両方が大きく確保され、正方向への駆動時における駆動力をも向上させることができる。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、本発明にかかる圧電アクチュエータを機器としての時計に適用したものである。
図19は、本実施形態にかかる時計9の日付表示機構90を示す平面図である。この図19において、日付表示機構90の主要部は、振動体466と、この振動体466によって回転駆動される被駆動体としてのロータ92と、ロータ92の回転を減速しつつ伝達する減速輪列と、減速輪列を介して伝達される駆動力により回転する日車93とから大略構成されている。減速輪列は、日回し中間車94と日回し車95とを備えている。これらの振動体466、ロータ92、日回し中間車94、および日回し車95は、底板9Aに支持されている。
日回し中間車94の側方の底板9Aには、板バネ944が設けられており、この板バネ944の基端部が底板9Aに固定され、先端部が略V字状に折り曲げられて形成されている。板バネ944の先端部は、日回し中間車94の切欠部943に出入可能に設けられている。板バネ944に近接した位置には、接触子945が配置されており、この接触子945は、日回し中間車94が回転し、板バネ944の先端部が切欠部943に入り込んだときに、板バネ944と接触するようになっている。そして、板バネ944には、所定の電圧が印加されており、接触子945に接触すると、その電圧が接触子945にも印加される。従って、接触子945の電圧を検出することによって、日送り状態を検出でき、日車93の1日分の回転量が検出できる。
なお、日車93の回転量は、板バネ944や接触子945を用いたものに限らず、ロータ92や日回し中間車94の回転状態を検出して所定のパルス信号を出力するものなどが利用でき、具体的には、公知のフォトリフレクタ、フォトインタラプタ、MRセンサ等の各種の回転エンコーダ等が利用できる。
補強板81の腕部81Bはビスなどによって底板9Aに固定され、凸部材81Aがロータ92の側面に当接されている。
ロータ92には、板ばね922が取り付けられており、ロータ92が振動体466側に付勢されている。これにより凸部材81Aとロータ92側面との間に適切な摩擦力が発生し、振動体466の駆動力の伝達効率が良好となる。
ロータ92の回転運動は、日回し中間車94に伝達され、切欠部943に日回し車95の歯が係合すると、日回し中間車94によって日回し車95が回転し、日車93を回転させる。この回転により日車93が表示する日付が変更される。
なお、計時による日付変更は、R+方向への正転により行われ、日付補正時の日付変更は、R−方向への逆転により行われる。
また、振動体466が時計9の日付表示機構90に利用されているので、振動体466の駆動効率が常に最適に制御され、日付表示機構90の駆動の確実性を向上させることができ、日付を正確に表示できる。また、振動体466の小型化を促進できることにより、時計9の小型化も促進できる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
図22は、第1駆動電極851、第2駆動電極852、逆位相電極922にそれぞれ供給される駆動信号S1,S2+/S2−,Spの波形を示す。図22(A)は、正転時の波形、図22(B)は、逆転時の波形である。
このように、逆位相電極922に第2駆動信号S2+,S2−とは逆位相となる駆動信号Spを供給することにより、第2駆動電極852が設けられた圧電素子82の部分が伸張する際、逆位相電極922が設けられた圧電素子82の部分は収縮し、反対に、第2駆動電極852が設けられた圧電素子82の部分が収縮する際、逆位相電極922が設けられた圧電素子82の部分は伸張する。つまり、第2電極による圧電素子82の伸縮に逆位相電極922が設けられた圧電素子82の部分が追従することから、屈曲振動の振幅を大きくできる。これにより、第1、第2駆動電極851,852のみに駆動信号を供給した場合よりも大きな駆動力が得られる。
ここで、各種の電子機器としては、時計機能を備えた携帯電話、非接触ICカード、パソコン、携帯情報端末(PDA)、カメラ等が例示できる。
また、時計機能を備えないカメラ、ディジタルカメラ、ビデオカメラ、カメラ機能付き携帯電話、顕微鏡、望遠鏡等の電子機器にも適用可能である。これらカメラ機能を備えた電子機器に適用する場合には、レンズの合焦機構や、ズーム機構、絞り調整機構等の駆動に本発明の圧電アクチュエータを用いることができる。
さらに、計測機器のメータ指針の駆動機構や、自動車等のインパネ(instrumental panel)のメータ指針の駆動機構、圧電ブザー、プリンタのインクジェットヘッド、プリンタの紙送り機構、乗り物並びに人形などの可動玩具類の駆動機構および姿勢補正機構、超音波モータ等に本発明の圧電アクチュエータを用いてもよい。
なお、前記各実施形態では、圧電アクチュエータの適用例として腕時計を例示したが、これに限定されず、本発明は、懐中時計、置時計、掛け時計などにも適用できる。これらの各種時計において、例えばからくり人形などを駆動する機構としても利用できる。
なお、被駆動体としては、回転駆動されるロータ、直線駆動されるリニア駆動体などを採用でき、被駆動体の駆動方向は限定されない。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (13)
- 略矩形状の圧電素子を有して前記圧電素子への駆動信号の供給により振動する振動体を備え、この振動体の振動を被駆動体に伝達して駆動する圧電アクチュエータであって、
前記圧電素子には、当該圧電素子の長手方向に沿って設けられる第1駆動電極と、前記圧電素子の幅方向両側で前記圧電素子の長手方向における離間位置にそれぞれ配置される一対の第2駆動電極とが設けられ、
前記駆動信号は、前記第1駆動電極に供給される第1駆動信号と、前記第2駆動電極にそれぞれ供給される第2駆動信号とを含み、
前記第1駆動信号と前記第2駆動信号とは、位相差を有する
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記第2駆動電極は、前記圧電素子の一方の対角線上両側にそれぞれ配置され、
前記圧電素子の他方の対角線上両側には、第3駆動信号が供給される一対の第3駆動電極がそれぞれ配置され、
前記被駆動体は、前記圧電素子における前記第2駆動信号の供給と前記第3駆動信号の供給とがいずれかに切り替えられることにより、前記振動体の振動軌跡が互いに異なる正方向と逆方向とのいずれかに駆動され、
前記第2駆動信号および前記第3駆動信号は、前記第1駆動信号に対してそれぞれ位相差を有する
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記圧電素子の前記第1駆動電極の両側の領域は、当該圧電素子の長手方向にそれぞれ二分され、
前記圧電素子の一方の対角線上両側に配置された領域は、前記第2駆動電極とされ、
前記圧電素子の他方の対角線上両側に配置された残余領域には、駆動信号が供給されない
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項3に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記残余領域には、前記第2駆動信号の位相とはほぼ逆位相の駆動信号が供給される逆位相電極が設けられる
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1から4のいずれかに記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記圧電素子には、前記第1駆動電極および前記第2駆動電極が設けられた領域以外の領域に前記振動体の振動を検出する検出電極が設けられ、
前記第1駆動信号および前記第2駆動信号のいずれか一方の位相と前記検出電極により検出される検出信号の位相との位相差に前記第1駆動信号および前記第2駆動信号の周波数を追従させる周波数制御が実施される
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1、および3から5のいずれかに記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記振動体は、前記第1駆動信号の位相に対する前記第2駆動信号の位相が正に調整された際に、所定の振動軌跡を描いて前記被駆動体を所定の正方向に駆動し、前記第1駆動信号の位相に対する前記第2駆動信号の位相が負に調整された際に、前記振動軌跡とは異なる振動軌跡を描いて前記被駆動体を前記正方向とは逆の方向に駆動する
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項6に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記検出電極は、前記振動体において、縦振動による歪と屈曲振動による歪とがほぼ同等となる領域に設けられる
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項6に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記検出電極は、前記振動体における屈曲振動の節の近傍と、屈曲振動の腹の近傍とにそれぞれ設けられる
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1から8のいずれかに記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記振動体は、前記第1駆動電極と前記第2駆動電極とに同じ位相の駆動信号を供給した際に、縦振動の共振周波数と屈曲振動の共振周波数とが互いに近接する形態とされている
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 略矩形状の圧電素子を有して前記圧電素子への駆動信号の供給により振動する振動体を備え、この振動体の振動を被駆動体に伝達して駆動する圧電アクチュエータの駆動方法であって、
前記圧電素子には、当該圧電素子の長手方向に沿って設けられる第1駆動電極と、前記圧電素子の幅方向両側で前記圧電素子の長手方向における離間位置にそれぞれ配置される一対の第2駆動電極とを設け、
前記第1駆動電極には、所定の第1駆動信号を供給するとともに、
前記第2駆動電極には、前記第1駆動信号の位相に対して位相差を有する第2駆動信号を供給する
ことを特徴とする圧電アクチュエータの駆動方法。 - 請求項10に記載の圧電アクチュエータの駆動方法において、
前記第1駆動信号の位相に対して前記第2駆動信号の位相を正に調整し、前記振動体の所定の振動軌跡により前記被駆動体を所定の正方向に駆動させるとともに、
前記第1駆動信号の位相に対して前記第2駆動信号の位相を負に調整し、前記振動軌跡とは異なる前記振動体の振動軌跡により前記被駆動体を前記正方向とは逆の方向に駆動させる
ことを特徴とする圧電アクチュエータの駆動方法。 - 請求項1から9のいずれかに記載の圧電アクチュエータと、この圧電アクチュエータで駆動される被駆動体とを備える
ことを特徴とする電子機器。 - 請求項12に記載の電子機器は、計時部と、前記計時部で計時された計時情報を表示する計時情報表示部とを備えた時計である
ことを特徴とする電子機器。
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