JP4923548B2 - 圧電アクチュエータの駆動制御方法、圧電アクチュエータの駆動制御装置、および電子機器 - Google Patents

圧電アクチュエータの駆動制御方法、圧電アクチュエータの駆動制御装置、および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、圧電アクチュエータの駆動制御方法、圧電アクチュエータの駆動制御装置、および電子機器に関する。
圧電素子は、電気エネルギーから機械エネルギーへの変換効率や、応答性などに優れているため、近年、圧電素子を有する振動体を備え、この振動体の振動をロータなどの被駆動体に伝達して駆動する圧電アクチュエータ(超音波モータ)が開発されている。今後は、カメラ、プリンタ、電子時計、玩具などの各種の電子機器において、圧電アクチュエータの利用が拡大される見通しである。
ここで、圧電振動体の共振を利用する共振型の圧電アクチュエータが知られ、このような圧電アクチュエータでは、圧電素子に供給される駆動信号の周波数と圧電振動体の振動状態から得られる検出信号との位相差を駆動に適した値でほぼ一定として、所定の駆動特性を実現する必要がある。
このため、位相差をフィードバックし、駆動に適した目標位相差となるように駆動信号の周波数(駆動周波数)を変更する位相差フィードバック制御が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭64−8875号公報
しかしながら、特許文献1のような位相差フィードバック制御は、振動体の振動を検出するセンサおよび検出回路や、位相シフト器および位相比較器を含んで構成される位相制御回路などが必要となり、回路構成が大規模となるため、コスト面で不利となる。
そのうえ、駆動に適した位相差は、振動体の製造誤差や振動体の被駆動体に対する加圧の個体差等により、個々の振動体においてばらつきが有り、さらに、振動体の磨耗などの経時変化や周囲温度の変化等によっても当該位相差は変動し得る。このような位相差の変化は、共振点の変化によるもので、特に、共振利用の圧電アクチュエータでは、共振点が少しずれただけでも駆動効率が大きく落ち込み、安定した駆動が困難となってしまう。つまり、ロバスト性に欠ける。このため、位相差フィードバック制御に際しては、駆動に適した位相差を初期値として設定するとともに、温度変化、磨耗などによる位相差変動の補償回路を追加する必要があるが、これにより、回路構成の一層の複雑化、コスト高を招いてしまう。また、このような補償回路により経時変化等に応じて位相差を補正することにより、磨耗が促進され、駆動不安定に繋がるおそれがある。
このような問題に鑑みて、本発明の目的は、経時変化等により駆動特性が変化しても安定駆動を実現するロバスト性を備えながら、構成を格段に簡略化できる圧電アクチュエータの駆動制御装置、圧電アクチュエータの駆動制御方法、および電子機器を提供することにある。
本発明の圧電アクチュエータの駆動制御装置は、圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の供給により振動する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエータの駆動制御装置であって、前記駆動信号の信号源であり、白色雑音に近似する擬似白色雑音を発生させる信号発生手段と、前記擬似白色雑音のうち所定の通過周波数
帯域の周波数成分を通過させ、前記通過周波数帯域以外の周波数成分を減衰させる周波数帯域フィルタとを備え、前記通過周波数帯域は、前記駆動信号の周波数掃引時に所定の駆動状態を実現した特定周波数を含むように設定され、前記特定周波数近傍から、当該特定周波数が経時変化によって変化する方向に応じて設定され、前記駆動信号の周波数は、少なくとも前記通過周波数帯域に亘ることを特徴とする。
この発明によれば、すべての周波数成分を一様に含む仮想的な定常雑音である白色雑音に近似する擬似白色雑音を駆動信号源とし、この擬似白色雑音を所定の通過周波数帯域を有するフィルタで処理することにより、駆動信号の周波数(駆動周波数)が少なくともフィルタの通過周波数帯域全体に亘って分布することとなる。すなわち、駆動周波数は通過周波数帯域に応じた幅を有し、少なくともこの通過周波数帯域の幅で周波数が可変である駆動信号が圧電アクチュエータの振動体に供給される。このため、磨耗や温度変化などの経時変化、外乱等で駆動特性が変化し、所定の駆動状態を得られる駆動周波数が変動した場合であっても安定駆動を実現するロバスト性を確保できる。また、所定の通過周波数帯域に亘る駆動周波数で圧電アクチュエータが駆動可能であるため、経時変化などによる駆動特性の変化以外に、振動体の製造誤差等による固有振動数のばらつきにも対応できる。
このようなロバスト性に優れる構成を、本発明では、擬似白色雑音発生手段とフィルタとを最小限の構成要素とする極めて簡略な構成で実現した。本発明の駆動制御装置における設定値は、フィルタの通過周波数帯域のみであるから、駆動制御が非常に容易である。このような簡略かつ制御容易な構成により、大幅にコストダウンできる。
また、位相差フィードバックを行う場合のように、位相差変動の補償回路を追加する必要がない。
ここで、フィルタの通過周波数帯域は、所定の駆動状態となる駆動周波数を含んで設定される。所定の駆動状態とは、例えば被駆動体の移動量が最大となる状態である。
また、通過周波数帯域の幅を広くすると、駆動の安定度が増し、逆に、通過周波数帯域の幅を狭くして信号が減衰する遮断周波数帯域を増やすと、所定の駆動状態を実現する駆動周波数から離れた周波数における駆動信号の電圧レベルが下がり、駆動効率が向上する。すなわち、駆動の安定度よりも駆動効率を優先する場合は、通過周波数帯域を狭くし、逆に、駆動効率よりも駆動の安定度を優先する場合は、通過周波数帯域を広くすればよい。つまり、圧電アクチュエータが組み込まれる製品において要求される出力や、使用環境、使用時間等に応じて、通過周波数帯域を適宜設定することが可能となる。
本発明の圧電アクチュエータの駆動制御装置では、前記通過周波数帯域は、前記駆動信号の周波数掃引時に所定の駆動状態を実現した特定周波数を含むように設定されている。
この発明によれば、実測に基く特定周波数を含むように通過周波数帯域が設定されているので、ロバスト性を十分に確保できる。これにより、通過周波数帯域の幅を狭くして、特定周波数から離れた周波数における駆動信号の電圧レベルを下げることも可能となるため、駆動効率を向上させることができる。
本発明の圧電アクチュエータの駆動制御装置では、前記通過周波数帯域は、前記特定周波数近傍から、当該特定周波数が経時変化によって変化する方向に応じて設定されている。
この発明によれば、駆動周波数の掃引を例えば1時間ごとに予め実施することで把握された特定周波数の変化に応じてフィルタの通過周波数帯域が設定されているので、経時変化に確実に対応できる。すなわち、磨耗や温度変化、負荷変動などの経時変化により、特定周波数が徐々に高くなる傾向が把握された場合は、この特定周波数近傍を通過周波数帯域の始端として、高周波側に向かうように通過周波数帯域を設定すればよい。これにより、経時変化に整合した好適な通過周波数帯域を設定でき、駆動の安定度および駆動効率を共に向上させることができる。
本発明の圧電アクチュエータの駆動制御装置では、前記振動体は、複数の振動モードで振動し、前記駆動信号は、単相であることが好ましい。
この発明によれば、単相の駆動信号の供給により圧電素子を複数の振動モードで駆動するので、多相の駆動信号を用いる場合と比べて、構成を簡略にできる。
例えば、矩形板状とした振動体が縦一次振動と屈曲二次振動とを励振する場合、これら縦振動と屈曲振動との位相差により、振動体の一部における略楕円の振動軌跡を実現し得る単相の駆動信号を印加することで、簡略な構成で、ロータなどの被駆動体を高効率で駆動できる。
本発明の圧電アクチュエータの駆動制御装置では、前記圧電素子には、前記駆動信号を供給可能な複数の電極が設けられ、前記振動体の共振周波数は、前記電極が選択的に用いられることで調整され、前記通過周波数帯域は、前記振動体の前記調整された共振周波数に応じて設定されることが好ましい。
この発明によれば、圧電素子における電極のレイアウトに応じて振動体の共振周波数が変わるところ、複数の電極のうち選択した電極についてのみ、駆動信号を供給することにより、振動体の共振周波数の作り込みが可能となる。そして、この振動体の共振周波数を含むように、フィルタの通過周波数帯域を設定することによって、構成の簡略さと十分なロバスト性を維持しつつ、駆動効率の大幅な向上が望める。
本発明の圧電アクチュエータの駆動制御方法は、圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の供給により振動する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエータの駆動制御方法であって、前記駆動信号の信号源であり、白色雑音に近似する擬似白色雑音を発生させる信号発生工程と、前記擬似白色雑音のうち所定の通過周波数帯域の周波数成分を通過させ、前記通過周波数帯域以外の周波数成分を減衰させる周波数帯域フィルタリング工程とを備え、前記通過周波数帯域は、前記駆動信号の周波数掃引時に所定の駆動状態を実現した特定周波数を含むように設定され、前記特定周波数近傍から、当該特定周波数が経時変化によって変化する方向に応じて設定され、前記駆動信号の周波数を少なくとも前記通過周波数帯域に亘らせることを特徴とする。
この発明によれば、擬似白色雑音の信号発生工程に続いて周波数帯域フィルタリング工程を実施することにより、前述と同様の作用効果を享受できる。
本発明の電子機器は、圧電アクチュエータと、この圧電アクチュエータで駆動される被駆動体と、前述の圧電アクチュエータの駆動制御装置とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、前述の圧電アクチュエータの駆動制御装置を備えたことにより、前述と同様の作用および効果を享受できる。
すなわち、駆動制御装置が簡略な構成でありながらロバストであることから、電子機器の低コスト化および信頼性の向上を共に実現できる。
なお、電子機器としては、プリンタ、カメラ、携帯電話、携帯情報端末、可動玩具、顕微鏡、望遠鏡などを例示できる。
本発明の電子機器では、計時部と、前記計時部で計時された計時情報を表示する計時情報表示部とを備えた時計であることが好ましい。
この発明によれば、前述の圧電アクチュエータにより、計時部を構成する歯車や、計時情報表示部を構成する指示部材等を周囲温度等に関わらず常に安定駆動することが可能となり、信頼性を向上させることができる。
加えて、圧電アクチュエータにおける利点、すなわち、磁気の影響を受けない、小型薄型化に有利、高トルクなどを実現できる。
なお、前述した圧電アクチュエータの駆動制御装置は、ハードウェアで実現することもできるが、制御プログラムを用いて実現することもできる。
この制御プログラムでは、前述の駆動制御装置に組み込まれたコンピュータを、擬似白色雑音の信号発生手段、および周波数帯域フィルタなどとして機能させればよい。
このように構成すれば、前述の駆動制御装置と同様の作用効果を奏することができる。
ここで、この制御プログラムは、ネットワークなどを介してコンピュータに組み込んでもよいし、当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介して組み込んでもよい。
このような記録媒体やインターネット等の通信手段で提供される制御プログラム等を時計や携帯機器、プリンタ等に組み込めば、プログラムの変更のみで前述の作用効果を実現でき、工場出荷時あるいは利用者が希望する制御プログラムを選択して組み込むこともできる。この場合、プログラムの変更のみで制御方式の異なる各種の電子機器を製造できるため、部品の共通化等が図れ、モデル展開時の製造コストを大幅に低減できる。
本発明によれば、経時変化等により駆動特性が変化しても安定駆動を実現するロバスト性を備えながら、構成を大幅に簡略化できる。
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[1.全体構成]
図1は、本実施形態に係る電子時計1を示す平面図である。電子時計1は、計時部としてのムーブメント2と、通常時刻を表示するための計時情報表示部としての文字板3、時針4、分針5、秒針6のほか、クロノグラフ時間を示すクロノグラフ秒針7A、クロノグラフ分針7Bを備えた腕時計(ウォッチ)である。電子時計1のケースには、りゅうず8と、りゅうず8を挟んでクロノグラフの操作ボタン9A,9Bとが設けられている。
時針4、分針5、秒針6は、通常のアナログクォーツと同様のものであって、水晶振動子が組み込まれた回路基板と、コイル、ステータ、ロータを有するステッピングモータと、駆動輪列と、電池とによって駆動される。
[2.クロノグラフ秒針の駆動機構]
クロノグラフ秒針7Aを駆動する駆動機構は、圧電アクチュエータ(超音波モータ)20と、この圧電アクチュエータ20によって回転駆動される被駆動体としてのロータ30と、ロータ30の回転を減速しつつ伝達する減速輪列40とを備えて構成されている。
減速輪列40は、ロータ30と同軸に配置されてロータ30と一体的に回転する歯車41と、この歯車41に噛合し、かつ、クロノグラフ秒針7Aの回転軸に固定された歯車42とで構成されている。
なお、圧電アクチュエータ20と、ロータ30および歯車41は、図2に示すように、圧電アクチュエータユニット10としてユニット化されている。
[3.圧電アクチュエータユニットの構成]
圧電アクチュエータユニット10は、電子時計1の地板などに固定される支持プレート11と、支持プレート11に固定された圧電アクチュエータ20と、支持プレート11に回転自在に取り付けられたロータ30および歯車41とを備えて構成されている。
なお、歯車41の回転は、歯車41の上方に配置された回転センサ15によって検出可能に構成されている。
支持プレート11は、軽量化のために孔12が形成されており、かつ、ネジ等の固定部材13によって地板などに固定されている。また、支持プレート11には圧電アクチュエータ20が取り付けられるスペーサ14が固定されている。
[4.圧電アクチュエータの構成]
圧電アクチュエータ20は、図2に示すように、略矩形板状の補強板21と、補強板21の両面に接着された圧電素子22とからなる振動体20Aを備えている。
補強板21の長手方向略中央には、両側に突出する腕部23が形成されており、これらの各腕部23がビス24によって前記スペーサ14に固定されている。なお、腕部23を備える補強板21は、導電性金属で構成されており、腕部23は圧電素子22に駆動信号を印加するための電極としても利用されている。
補強板21の長手方向一方の端部、具体的にはロータ30に対向する端部には、補強板21の長手方向に沿って突出する突起25が形成され、突起25は、ロータ30の側面に当接されている。この突起25は、ロータ30の外周面に対して所定の力で当接するように、ロータ30との相対位置が設定された状態で、ばねなどの任意の付勢手段によって付勢されており、突起25とロータ30側面との間に適切な摩擦力が働くことで、振動体20Aの振動が効率良くロータ30に伝達されるようになっている。
なお、本実施形態では、ロータ30の外周面には溝31(図2)が形成され、この溝31部分に突起25が配置されている。この溝31によって、電子時計1を落下した場合のように圧電アクチュエータ20に衝撃が加わった際に、突起25がロータ30の当接面から外れないようにガイドすることができる。
圧電素子22は、略矩形板状に形成され、補強板21両面の略矩形状部分に接着されている。圧電素子22の両面には、めっき、スパッタ、蒸着等によって電極が形成されている。
なお、圧電素子22の補強板21側の面には、その全面に1つの電極が形成され、この電極に接触する補強板21および腕部23を介して駆動制御装置50(図4)に電気的に接続されている(図4中、N参照)。
また、圧電素子22の表面側の面には、図3に示すように、5つに分割された電極が形成されている。すなわち、圧電素子22の表面側の電極は、圧電素子22の幅方向にほぼ三等分され、その中央の電極によって駆動電極221が形成されている。また、駆動電極221の両側の電極は、圧電素子22の長手方向に略二等分され、圧電素子の対角上でそれぞれ対となる駆動電極222および駆動電極223が形成されている。
これらの駆動電極221,222,223はそれぞれリード線などによって駆動制御装置50に接続され(図4中、T1、K1、K2参照)、補強板21(図4中、N参照)との間で電圧が印加される。なお、駆動制御装置50における電源は、駆動電極221と補強板21との間の電圧印加用と、駆動電極222と補強板21との間の電圧印加用と、駆動電極223と補強板21との間の電圧印加用との3つ、設けられている。
このような電子時計1では、駆動制御装置50(図4)が圧電アクチュエータ20への単相の駆動信号を制御することにより、この駆動信号に基いて圧電素子22が伸縮し、これに伴う振動体20Aの縦振動および屈曲振動により、ロータ30は回転駆動される。
ここで、必要に応じて圧電素子22に設けられた駆動電極222,223を使い分けることにより、ロータ30を両方向に回転駆動することができる。
すなわち、駆動電極221と駆動電極222とを電圧印加の対象として圧電素子22に所定の周波数で駆動信号を供給すると、圧電素子22の伸縮により振動体20Aは縦振動および屈曲振動を励振し、これら縦振動と屈曲振動との位相差により、振動体20Aの突起25が圧電素子22の長手方向の中心線に対して傾斜した略楕円軌跡E(図3)を描く。この軌跡Eの一部で突起25がロータ30を押圧することによりロータ30が順方向(図3中、矢印方向)に回転する。一方、駆動電極222の代わりに駆動電極223を電圧印加の対象として圧電素子22に駆動信号を供給した場合には、駆動電極222と駆動電極223とは、圧電素子22の長手方向の中心線を軸として線対称の位置関係にあるから、縦振動に対する交差方向が駆動電極222に電圧印加した場合とは線対称となる屈曲振動が誘発される。したがって、振動体20Aの突起25の軌跡は、駆動電極222に電圧印加した場合とは線対称に傾斜する略楕円軌跡となり、ロータ30は反対方向に回転駆動される。
このようなロータ30の回転により、ロータ30と一体の歯車41も回転し、歯車41の回転に伴い歯車42が回転し、クロノグラフ秒針7Aが駆動する。
なお、振動体20Aの振動状態を示す検出信号は、ロータ30の正転時には、駆動信号が印加されない駆動電極223を介して検出され、ロータ30の逆転時には、駆動信号が印加されない駆動電極222を介して検出される。
[5.圧電アクチュエータの駆動装置の構成]
次に、圧電アクチュエータ20の駆動制御装置50の構成について説明する。
駆動制御装置50は、図4に示すように、信号発生手段としての擬似白色雑音発生回路51と、周波数帯域フィルタとしてのデジタル式のバンドパスフィルタ52と、デジタルアナログ変換回路53と、増幅器54と、正逆制御回路55と、電流制御回路56と、増幅率制御器57とを備えて構成されている。
擬似白色雑音発生回路51は、図5に示すように、8つのタップ付きデジタル遅延回路511〜518と、3つのXOR(排他的論理和)回路51A〜51Cとが連結されて構成され、制御器510により遅延回路511〜518のタップを参照して、8ビットのノイズパターンを得、逐次、パルス列を生成して出力する。
遅延回路511〜518により構成されるディレイ列では、遅延回路518から遅延回路511に向かって、タップの値が順次転送される。遅延回路511〜518のタップには、圧電アクチュエータ20の起動時に初期値「10101010」の各ビット値がそれぞれ設定される。
ここで、擬似白色雑音発生回路51は、圧電アクチュエータ20に供給される駆動信号の信号源であり、そのサンプリング時間Tは、圧電アクチュエータ20の駆動効率が略最大となる250kHzを基に決められている。すなわち、この250kHzを駆動周波数としたとき、サンプリング定理により、サンプリング時間Tは、「1/T > 駆動周波数×2」を満たすように決められるところ、本実施形態では、「1/T >= 駆動周波数×4」を充足する「1μ秒」がサンプリング時間Tとなっている。このサンプリング時間Tを遅延時間として各遅延回路511〜518が動作する。このようにサンプリング時間Tが駆動周波数に対して充分に短いため、駆動周波数を含んだ擬似白色雑音を発生させることができる。
また、タップ数をNとすると、遅延回路511〜518がデジタルであるため遅延回路511〜518全体のディレイについては「1/2^N×T」と表されるところ、前記でサンプル時間Tを決めるに際して「1/T >= 駆動周波数×4」としたことと合わせて、本実施形態では、「1/2^N×T < 駆動周波数×1/4」を充足する「8」をタップ数としている。このように、遅延回路511〜518全体のディレイが駆動周波数に対して充分に長いことから、良好なノイズパターンを得ることができる。
XOR回路51A〜51Cは、遅延回路511〜518の列において、遅延回路512,513間、遅延回路513,514間、および遅延回路517,518間にそれぞれ挿入される。各遅延回路511〜518は、サンプリング周波数(クロック、1/T)に応じてタップの「1」または「0」を順次シフトする。ここで、XOR回路51A〜51Cには、遅延回路511と、遅延回路513,514,518とからそれぞれ「1」または「0」が入力され、これらのXOR回路51A〜51Cを通じて、遅延回路511〜518における各タップの値が変化する。そして、遅延回路511〜518の各タップの値で決まる「2^N」パターンのTに対するディレイを基に、擬似白色雑音発生回路51が発生するパルスの周波数が決められる。擬似白色雑音発生回路51は、図6に示すようなパルス列を発生する。また、このときの周波数特性を図7に示す。すなわち、擬似白色雑音発生回路51は、すべての周波数成分を一様に含む仮想的な定常雑音である白色雑音に近似する擬似的な白色雑音を発生し、この擬似白色雑音をバンドパスフィルタ52に出力する。
次に、バンドパスフィルタ(単峰フィルタ、BPF)52は、擬似白色雑音発生回路51から入力された擬似白色雑音のうち、所定の通過周波数帯域に含まれる周波数の信号のみ通過させ、それ以外の周波数の信号を減衰させるフィルタとして構成される。図8、図9に、バンドパスフィルタ52の出力をそれぞれ示した。すなわち、図8に示すように260kHzを高域側の遮断周波数とし、260kHz以下の周波数成分を通過させる一方、図9に示すように250kHzを低域側の遮断周波数とし、250kHz以上の周波数成分を通過させる。よって、バンドパスフィルタ52の通過周波数帯域は、250〜260kHzとなっている。
ここで、バンドパスフィルタ52の通過周波数帯域は、振動体20Aの駆動電極221,222または駆動電極221,223に駆動信号を供給した際のインピーダンス特性に基いて選定されている。
図10(A)に、振動体20Aにおける駆動周波数とインピーダンスとの関係を示し、図10(B)には、振動体20Aにおける駆動周波数と縦振動の振幅および屈曲振動の振幅との関係を示した。図10(A)に示すように、駆動周波数に対してインピーダンスが極小であって振幅が最大となる共振点が二点現れ、これらのうち周波数の低い方が縦振動の共振点、高い方が屈曲振動の共振点となる。すなわち、縦振動の縦共振周波数fr1と屈曲振動の屈曲共振周波数fr2との間で振動体20Aを駆動すると、縦振動および屈曲振動双方の振幅が確保され、圧電アクチュエータ20は高効率で駆動する。なお、縦共振周波数fr1と屈曲共振周波数fr2との差Δfrを小さくすることで、縦振動および屈曲振動の振幅がより大きくなる駆動周波数を設定することができる。
これと関連して、図11に、駆動周波数掃引時のロータ30の回転数および圧電アクチュエータ20の電流値を示した。すなわち、本実施形態の圧電アクチュエータ20は、駆動信号の周波数が約250kHzのとき、最大効率で駆動する。バンドパスフィルタ52の通過周波数帯域は、この特定周波数である250kHzを始端として、260kHzまでの範囲となっている。図12に、バンドパスフィルタ52のフィルタゲインを示す。
このようなバンドパスフィルタ52の出力は、デジタルアナログ変換回路53でアナログ信号に変換される。このアナログ変換後の時点で、信号周波数特性について図13に示した。この図13と図7とを比較すると、擬似白色雑音発生回路51から出力された擬似白色雑音のうち、バンドパスフィルタ52の通過周波数帯域である250〜260kHzの周波数成分がバンドパスフィルタ52を通過し、それ以外の周波数成分は減衰している。図13に示すように、電圧の振幅比(magnitude dB)は、約250kHzにおいて最大を記録する。
このようにバンドパスフィルタ52で処理され、デジタルアナログ変換回路53でアナログ変換された信号は、増幅器54により電圧レベルが調整されてから圧電アクチュエータ20に出力され、圧電アクチュエータ20のドライブ回路を通じて駆動信号として圧電素子22に供給される。
図4に戻り、電流制御回路56は、電流値制御信号に基き適切な増幅率制御信号を増幅率制御器57に出力し、この制御信号により、増幅率制御器57は増幅器54における増幅率を制御する。
増幅器54は、増幅率制御器57で制御される増幅率に基いてデジタルアナログ変換回路53から入力された信号を増幅し、正逆制御回路55に出力する。
正逆制御回路55は、ロータ30の回転方向を切り替える指令値を圧電アクチュエータ20に出力する。具体的に、ロータ30の正回転時には、駆動電極221,222にそれぞれ対応するT1,K1(図4)の信号を選択して圧電アクチュエータ20に出力し、ロータ30の逆回転時には、駆動電極221,223にそれぞれ対応するT1、K2(図4)の信号を選択して圧電アクチュエータ20に出力する。
圧電アクチュエータ20は、図示しないが、圧電素子22にブリッジ接続されるMOS−FETなどのスイッチや、ゲートドライバ、NOT回路などで構成されるドライブ回路が実装された回路基板を備えている。そのゲートドライバは第1〜第3電源を備え、第1電源により、駆動電極221に対応するスイッチ(図4中、T1)と補強板21(図4中、N)との間で電圧が印加され、第2電源により、駆動電極222に対応するスイッチ(図4中、K1)と補強板21(図4中、N)との間で電圧が印加され、第3電源により、駆動電極223に対応するスイッチ(図4中、K2)と補強板21(図4中、N)との間で電圧が印加される。そして、ゲートドライバは、正逆制御回路55からの信号入力を基に、使用する駆動電極221〜223に対してスイッチングを実施し、電源電圧が交番する駆動信号を圧電アクチュエータ20に供給する。このとき、駆動周波数は、図12、図13を反映して、少なくとも約200〜300kHzの範囲で可変であり、圧電アクチュエータ20は、これらの駆動周波数の範囲で平準化された駆動効率で駆動し、ロータ30を回転させる。
[6.圧電アクチュエータの駆動周波数帯域と駆動効率]
以上説明した駆動制御装置50によれば、擬似白色雑音発生回路51により擬似白色雑音の信号発生工程が実施され、続いて、バンドパスフィルタ52により周波数帯域フィルタリング工程が実施され、以後、デジタルアナログ変換回路53、増幅器54を介して圧電アクチュエータ20が駆動制御される。
ところで、圧電アクチュエータ20の起動後、圧電アクチュエータ20の駆動が連続すると、振動体20Aとロータ30との摩擦により磨耗が生じ、振動体20Aの突起25をロータ30に当接させる加圧条件の変化などの経時変化が生じ得る。また、摩擦に伴う発熱や、周囲温度の変化も生じ得る。
このような圧電アクチュエータ20の駆動特性の経時変化について、図14のグラフに示した。図14のグラフに実線で示したロータ30の回転数、圧電アクチュエータ20における電流はそれぞれ、圧電アクチュエータ20起動時の初期状態において、駆動周波数(グラフ横軸)を掃引した際の値であり、図14には、この初期状態から1時間後、3時間後にそれぞれ駆動周波数を掃引した際の回転数および電流がそれぞれ線種の異なる点線で示されている。このグラフに示したように、駆動周波数掃引時における回転数および電流は、初期状態から時間の経過に伴って変化していく。本実施形態では、圧電アクチュエータ20の振動体20Aにおける共振点であって駆動効率が最大となる特定周波数(図14中、回転数が2500rpm近傍となる際の駆動周波数)は、当初はR(約250kHz)であるが、1時間後はR、3時間後はRというように次第に高くなり、駆動周波数掃引時の回転数、電流が変化する。
このため、共振点Rを単一の駆動周波数として圧電アクチュエータ20を駆動した場合、起動直後の初期状態では最大効率で駆動できるものの、経時変化によって共振点が変化した場合の駆動の安定度に欠ける。すなわち、図14に示すように、共振点が変化すると駆動効率が大きく落ち込み、ロータ30を回転させる適正トルクが得られない。
一方、図14には、圧電アクチュエータ20の駆動特性の経時変化と併せて、バンドパスフィルタ52のゲインも示した。バンドパスフィルタ52のゲインは、通過周波数帯域A(250〜260kHz)を略最大としつつ、少なくとも230〜280kHzという広い範囲の全域で出力されており、共振点がR、R、Rと変化した際に圧電アクチュエータ20が駆動可能な周波数帯域(図14において約245〜265kHz)を十分にカバーしている。これにより、圧電アクチュエータ20は、経時変化によらず安定的に駆動し、ロータ30を回転させる適正トルクを実現する。図13を参照すると、バンドパスフィルタ52の通過周波数帯域250〜260kHzにおいて、略中心値255kHz±5kHz(幅10kHz)に相当する安定度が得られ、駆動制御装置50はロバスト性に優れる。
その反面、擬似白色雑音から生成された駆動信号の周波数は可変であり、共振点R、R、Rなどから離れた周波数では、駆動効率が低くなる。このため、駆動制御装置50による圧電アクチュエータ20の駆動効率は、バンドパスフィルタ52の通過周波数帯域の略中心値である255kHzの単一周波数で駆動した場合を100%とすると、約22%となる。
ここで、駆動効率を上げるには、共振点Rから離れた駆動周波数におけるフィルタゲインを下げ、駆動効率が低い周波数における駆動電圧を小さくすればよい。それには、バンドパスフィルタ52の通過周波数帯域Aを狭くする。
図15は、バンドパスフィルタ52における通過周波数帯域を狭め、252.5kHzを略中心値として±2.5kHzである250〜255kHzとした場合の周波数特性を示す。このように通過周波数帯域の幅が5kHzである場合、フィルタゲインの図示は省略するが、駆動制御装置50による圧電アクチュエータ20の駆動効率は、通過周波数帯域の略中心値252.5kHzを単一の駆動周波数とした場合を100%とすると、約45%に上昇する。
また、図16は、バンドパスフィルタ52の通過周波数帯域を図15よりもさらに狭め、略中心値250.5kHz±0.5kHzである250〜251kHzとした場合の周波数特性を示す。このように通過周波数帯域の幅が1kHzである場合、駆動制御装置50による圧電アクチュエータ20の駆動効率は、通過周波数帯域の略中心値255kHzを単一駆動周波数とした場合を100%とすると、約63%まで上昇する。
なお、これら図15、図16の場合、図7の場合と比べて駆動効率が向上する代わりに、駆動安定度が低下し、図15の場合では、バンドパスフィルタ52の通過周波数帯域の中心値252.5kHz±2.5kHz(幅5kHz)に相当する安定度となり、図16の場合では、通過周波数帯域の中心値250.5kHz±0.5kHz(幅1kHz)に相当する安定度となる。すなわち、駆動制御装置50において、駆動効率とロバスト性(駆動安定度)とはトレードオフの関係にあり、バンドパスフィルタ52の通過周波数帯域は、電子時計1において要求されるトルクや消費電力などを考慮して適宜決められる。
なお、駆動制御装置50は、経時変化など以外に、圧電素子22と補強板21との組み立て誤差等による振動体20Aの振動特性のばらつきにも対応し、共振点の相違などの個体差を許容できるため、圧電アクチュエータ20を個体差によらず、安定駆動できる。
[7.本実施形態による効果]
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)クロノグラフ秒針7Aを駆動する圧電アクチュエータ20の駆動制御装置50では、擬似白色雑音発生回路51が発生する擬似白色雑音を駆動信号の信号源とし、この擬似白色雑音をバンドパスフィルタ52で処理することにより、駆動周波数が少なくともバンドパスフィルタ52の通過周波数帯Aに亘って分布する。すなわち、駆動周波数は通過周波数帯域Aに応じた幅を有し、この通過周波数帯域Aを超える広い範囲(本実施形態では約200〜300kHz)で周波数が可変である駆動信号が圧電アクチュエータ20に供給される。このため、磨耗や温度変化などの経時変化、外乱等で振動体20Aの共振点がR、R、Rというように変動した場合であっても安定駆動を実現するロバスト性を確保できる。
このようなロバスト性に優れる構成を、擬似白色雑音発生回路51と、バンドパスフィルタ52との2つを最小の構成要素とする極めて簡略な構成で実現したことに意義があり、駆動制御装置50における設定値は、バンドパスフィルタ52の通過周波数帯域(本実施形態では250〜260kHz)のみであり、オープン制御が可能である。これにより、駆動制御が非常に容易であるとともに、大幅にコストダウンできる。
(2)また、バンドパスフィルタ52における通過周波数帯域Aの幅設定により、駆動効率と駆動安定度とのバランスをとることができるので、必要トルクや連続駆動時間、使用環境などに関する様々な要求に応えられる。これにより、圧電アクチュエータ20の利用を一層拡大できる。
(3)圧電アクチュエータ20の起動時、起動1時間後、3時間後にそれぞれ駆動周波数を掃引すると、特定周波数(共振点R、R、R参照)は次第に高くなることから、バンドパスフィルタ52の通過周波数帯域Aは、始端である250kHz(共振周波数R)から高周波側に向かって、260kHzが終端に設定されている。これにより、経時変化に整合した好適な通過周波数帯域Aを設定でき、駆動の安定度および駆動効率を共に向上させることができる。
ここで、駆動周波数を掃引して特定周波数(共振点R、R、R)を実測することにより、十分なロバスト性を確保できるので、通過周波数帯域の幅を例えば5kHz〜1kHzなどに狭くすることも可能であって、これにより、駆動効率をより一層向上させることができる。
(4)腕時計である電子時計1に駆動制御装置50を組み込んだことで、周囲温度や負荷などの変動に関わらず、ロバストな駆動制御を行うことができ、前述の効果を大きいものとできる。
本実施形態の駆動制御装置50は、温度変化が激しい屋外などの環境で使用されたり、携行され姿勢に応じて負荷が変わる腕時計に適し、特に、大パワーが投入される、或いは連続駆動によってロータ30および振動体20Aの突起25が磨耗、発熱しやすい秒針駆動に好適である。これにより、正確で安定した運針を実現できる。
(5)圧電アクチュエータ20の圧電素子22に供給される駆動信号の周波数が縦振動の共振周波数fr1と屈曲振動の共振周波数fr2との間にあるため、縦振動および屈曲振動の双方の振幅を大きくして、圧電アクチュエータ20の駆動効率を向上させることができるとともに、1つの駆動信号により圧電アクチュエータ20を駆動するため、構成を簡略にできる。
そのうえ、このように共振を利用する場合には駆動周波数の範囲が狭く、駆動周波数の
制御が困難であって、経時変化や個体差により共振点がばらつくことで駆動状態が不安定となりやすいため、駆動制御装置50によって駆動制御の安定度が確保されることの効果は大きい。
なお、駆動制御装置50は、圧電アクチュエータ20以外にも、共振を利用する圧電アクチュエータの駆動制御装置として、汎用的に利用できる。
(6)そして、通常、電子時計1における時針4、分針5、秒針6などの駆動手段はステッピングモータであるが、このステッピングモータを圧電アクチュエータ20に置き換えることが可能となり、これによって電子時計1の一層の薄型化が実現できるとともに、圧電アクチュエータ20はステッピングモータよりも磁性の影響を受けにくいことから、電子時計1の高耐磁化をも図ることができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略する。
本実施形態では、振動体20Aの共振周波数が作り込まれており、以下にその一例を示す。
図17は、本実施形態における振動体60の平面図である。振動体60の突起65は、振動体60の長手方向に沿った中心線に対して偏心した位置にあり、振動体60は、補強板21(図2)に形成された片腕66で地板に固定され、突起65の押圧によりロータ30を一方向に回転させるものとなっている。
また、平面略矩形状の振動体60の圧電素子22(図2)表面に設けられた電極は、エッチングなどによる線状溝60AおよびT字状溝60Bで区画されて高精度にパターニングされている。圧電素子22の表面略中央には、駆動信号が供給される駆動電極61が形成され、圧電素子22の対角位置にはそれぞれ、振動体60の長手方向に沿って3つずつ、調整用電極621,622,623が形成されている。
各調整用電極621〜623は、線状溝60AとT字状溝60Bとの間に導通部60Cを有し、この導通部60Cにより駆動電極61に選択的に導通される。例えば、電流印加によるジュール熱による溶断、エンドミル、レーザーなどで導通部60Cを電気的に切断すると、調整用電極621〜623が駆動電極61から絶縁され、圧電素子22における駆動信号の印加領域が小さくなる。
ここで、調整用電極621〜623の数、大きさ、並ぶ方向、寸法比などは、振動体60における共振周波数のばらつきを適切に調整するように決められており、選択した調整用電極621〜623の導通部60Cを切断することにより、縦振動および屈曲振動の各共振周波数を調整することが可能である。図17には、調整用電極621〜623の選択が異なる例を(A)および(B)の2つだけ示した。これらの図17(A)および(B)における振動体60に電圧を印加すると、想像線で示したように、振動体60はそれぞれ縦振動および屈曲振動を励振する。
この際、図17(B)の方が、図17(A)よりも調整用電極621〜623の選択数が多く(621〜623の3つ)、振動体60の幅方向両側において電圧が印加されずに振動を拘束する領域が多くなるため、屈曲振動の固有振動数が大きいものとなる。
駆動電極61に導通させる調整用電極621〜623の選択に際しては、個々の振動体60において、屈曲共振周波数fr2と縦共振周波数fr1との差分(Δfrという)のばらつきを解消するように行われる。それには、調整用電極621〜623の段階的な選択によってそれぞれ見込まれたΔfrの各調整量を基に、Δfrの測定値と必要トルクなどで規定されたΔfrの規定値とを比較し、測定されたΔfrをΔfr規定値により近付けることができるように、調整用電極621〜623の選択態様を決定する。
このようにΔfrを調整することにより、図18に示すように、サンプルロット内のすべての振動体60におけるΔfrがこの場合の規定値4.1kHzを中心として±0.4kHzの狭い範囲(図18中、Δfr適正範囲)に収束する。
このように共振周波数が作り込まれた振動体60のインピーダンス特性および振幅を図19に示した。この図19と図10とを比較すると、振動体60では、縦共振周波数fr1と屈曲共振周波数fr2とがより近接して、Δfrが小さくなっている。また、縦振動および屈曲振動の振幅は大きくなっている。
このため、駆動周波数掃引時のロータ30の回転数および電流値は図11に示したよりも増加し、駆動効率が向上するとともに、略最大の効率を実現できる駆動周波数の幅はより狭い範囲に収束する。
以上説明した振動体60を備える圧電アクチュエータ20を前述の駆動制御装置50で駆動制御する際は、振動体60の共振周波数を含むようにバンドパスフィルタ52の通過周波数帯域を設定する。これにより、バンドパスフィルタ52の通過周波数帯域をより狭い範囲に絞り込むことが可能となり、駆動効率を格段に向上させることができる。
すなわち、本実施形態によれば、構成の簡易さと十分なロバスト性を維持しつつ、駆動効率の大幅な向上が望める。
なお、図17の例とは反対に、駆動電極61と調整用電極621〜623とがエッチング溝で予め絶縁されており、必要に応じて各調整用電極621〜623を駆動電極61に対してリード線、はんだなどで導通することにより、調整用電極621〜623を駆動電極61に選択的に導通してもよく、本実施形態と略同様の効果が得られる。
また、本実施形態で例示した以外に共振周波数を作り込む方法として、振動体20Aの突起25の形状、質量等を変更することなどが考えられる。つまり、突起25の形状、質量等に応じて振動体20Aの振動時における慣性質量が変わり、共振周波数を調整できる。その他、駆動信号の位相差を調整することなどによって、振動体の共振周波数を作り込むことも考えられる。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態は、圧電アクチュエータ20で駆動される被駆動体の駆動量を調整可能に駆動制御する点で前記各実施形態とは相違する。
図20は、本実施形態における圧電アクチュエータ20の駆動制御装置50Aの構成を示すブロック図である。
駆動制御装置50Aは、前述の駆動制御装置50(図4)の構成に加えて、圧電アクチュエータ20部分を流れる電流を検出する電流検出器71と、電流指令値を出力する電流指令値源72と、電流検出器71で検出された電流値および電流指令値源72から出力された電流指令値に基いて電流制御回路56に対して制御信号を出力する電流制御器73とを備える。
電流制御回路56では、電流制御器73からの出力信号を基に、増幅率制御器57を通じて増幅器54に電圧信号を出力する。つまり、本実施形態では、圧電アクチュエータ20の電流値によるフィードバック制御が行われる。
このような本実施形態では、前述の効果に加えて、次のような効果も得られる。
(7)増幅器54の出力が圧電アクチュエータ20における電流値を基に調整可能となるので、圧電アクチュエータ20における振動状態を制御可能となり、これによってロータ30の回転数などを制御することができる。このため、速度調整(スピードコントロール)が必要なロータ30を始めとする被駆動体の駆動源としても圧電アクチュエータ20を利用できる。また、このような電流値のフィードバックにより、圧電アクチュエータ20を適切かつ安定して駆動制御することができる。
〔第4実施形態〕
次に本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態では、第3実施形態とは異なる手段により、圧電アクチュエータ20の被駆動体であるロータの回転数が調整可能に駆動制御される。
図21は、本実施形態の駆動制御装置50Bを示す。
駆動制御装置50Bは、前述の駆動制御装置50(図4)の構成に加えて、ロータの回転数を検出する回転数検出器81と、回転数指令値を出力する回転数指令値源82と、回転数検出器81で検出された回転数および回転数指令値源82から出力された回転数指令値に基いて電流制御回路56に対して制御信号を出力する回転数制御器83とを備える。
回転数検出器81は、例えば、第1実施形態においてロータ30と一体の歯車41(図2)の回転数を検出する回転センサ15を含んで構成される。
このような本実施形態では、前述の効果に加えて、次のような効果も得られる。
(8)第3実施形態では、圧電アクチュエータ20を流れる電流値に基づいて制御していたが、圧電アクチュエータ20は摩擦によってロータ30を回転駆動するため、すべり等が生じる可能性もあり、電流値の制御だけでは多少の誤差が生じる虞があった。これに対して本実施形態の構成によれば、直接ロータ30ないし歯車41の回転数を検出しているので、より正確な駆動制御を行うことができる。
〔第5実施形態〕
次に本発明の第5実施形態について説明する。
図22に示す本実施形態の駆動制御装置50Cは、第3実施形態の電流値に基づく駆動制御と、第4実施形態の回転数に基づく駆動制御とを組み合わせたものである。
すなわち、駆動制御装置50Cは、電流検出器71、電流制御器73、回転数検出器81、回転数指令値源82、および回転数制御器83を備えている。
回転数制御器83は、回転数指令値源82からの回転数指令値と、回転数検出器81で検出される回転数とに基いて電流制御器73に電流指令値を出力する。
電流制御器73は、回転数制御器83からの電流指令値と、電流検出器71で検出された電流値とに基づいて電流制御回路56に制御信号を出力する。
従って、本実施形態におけるフィードバック制御では、ロータ回転数に基づく制御ループがメジャーループとされ、電流値に基づく制御ループがマイナーループとされている。
このような本実施形態では、前述の効果に加えて、次のような効果も得られる。
(9)圧電アクチュエータ20によって回転駆動されるロータ30の回転数と、圧電アクチュエータ20を流れる電流値との2つのパラメータに基づいて圧電アクチュエータ20における振動状態を制御しているので、ロータ30の回転数(回転速度)をより正確に制御することができる。
〔第6実施形態〕
次に本発明の第6実施形態について説明する。
図23に示す本実施形態の駆動制御装置50Dは、第5実施形態の駆動制御装置50Cが行っていた電流値および回転数に基づく駆動制御に加えて、被駆動体の位置制御を実施するものである。
駆動制御装置50Dは、位置制御に関する構成として、ロータの位置を検出する位置検出器101と、位置指令値を出力する位置指令値源102と、位置検出器101で検出されたロータの位置および位置指令値源102から出力された位置指令値に基いて回転制御器83に対して制御信号を出力する位置制御器103とを備える。
位置検出器101は、例えばロータ30と一体の歯車41(図2)に対向配置され、歯車41およびロータ30の位置を検出するロータリエンコーダなどを含んで構成されている。
回転制御器83は、位置制御器103からの位置指令値と、回転数検出器81で検出された回転数とに基づいて電流制御器73に制御信号を出力する。本実施形態における位置フィードバック制御は、回転数フィードバック制御に対してメジャーループを構成する。
このような本実施形態では、前述の効果に加えて、次のような効果も得られる。
(10)圧電アクチュエータ20によって回転駆動されるロータ30の回転数と、ロータ30の位置と、そして圧電アクチュエータ20を流れる電流値との3つのパラメータに基づいて圧電アクチュエータ20における振動状態を制御しているので、ロータ30のスピードコントロールをより正確に実施できる。
〔本発明の変形例〕
本発明は、前述の各実施形態に限定されるものではなく、各種の変形や改良が許容される。
図24は、本発明の変形例における駆動制御装置50Eの構成を示す。第1実施形態の駆動制御装置50(図4)などでは、アナログ式の増幅器54により増幅率を制御していたが、駆動制御装置50Eでは、デジタル的に増幅率をコントロールしている。駆動制御装置50Fは、デジタルアナログ変換回路53の前段に、デジタル乗算器58を備えるとともに、デジタルアナログ変換回路53の後段に、ゲインが一定の増幅器54´を備えている。
デジタル乗算器58には、増幅率制御器57からの増幅率制御信号が入力され、デジタル乗算器58は、この制御信号による増幅率に基いて信号を増幅し、デジタルアナログ変換回路53に出力する。このようにデジタル乗算器58によって増幅率がコントロールされるので、回路構成が簡略な、一定ゲインの増幅器54´を採用できる。
図25は、本発明の変形例における駆動制御装置50Fの構成を示す。本変形例の駆動制御装置50Fは、アナログ式のバンドパスフィルタ92を備え、前述した駆動制御装置50が備えていたようなデジタルバンドパスフィルタ52およびデジタルアナログ変換回路53を備えていない。このような駆動制御装置50Dによっても、前述の駆動制御装置50と略同様の効果が得られるうえ、構成を一層簡略化できる。ただし、通過周波数帯域の設定の容易さでは、デジタル式のバンドパスフィルタ52を用いる方が有利である。
また、図26は、本発明の変形例における駆動制御装置50Gの構成を示す。この駆動制御装置50Gは、擬似白色雑音発生回路51、デジタルバンドパスフィルタ52、デジタルアナログ変換回路53、およびゲインが一定の増幅器54´を備えている。駆動制御装置50Gでは、バンドパスフィルタ52の通過周波数帯域の幅を調整することで、圧電アクチュエータ20の電流値およびロータ30の回転数のコントロールが可能となる。
以上説明した本発明の圧電アクチュエータの駆動制御装置は、擬似白色雑音の信号発生手段、周波数帯域フィルタの2つを最小の構成とし、極めて簡易な構成でありながら、ロバスト性に非常に優れる。ここで、擬似白色雑音の信号発生手段や周波数帯域フィルタの構成は、前述したものに限定されない。周波数帯域フィルタの種類等は問わない。
周波数帯域フィルタにおける通過周波数帯域についても、前記各実施形態に限らず、振動体の形態や、被駆動体の駆動に必要なトルク、所定電力量などに応じて、適宜設定すべきものである。また、第1実施形態では、最大駆動効率を実現する共振点近傍の特定周波数近傍を始端として通過周波数帯域が設定されていたが、これに限らず、例えば、特定周波数を略中心値として通過周波数帯域が設定されていてもよい。これにより、特定周波数の上下いずれの方向にも駆動特性の変動を許容できる。
本発明は、前記実施形態の電子時計に適用されるものに限らず、各種の電子機器に適用可能であり、特に小型化が要求される携帯用の電子機器に好適である。
ここで、各種の電子機器としては、時計機能を備えた携帯電話、非接触ICカード、パソコン、携帯情報端末(PDA)、カメラ等が例示できる。
また、時計機能を備えないカメラ、ディジタルカメラ、ビデオカメラ、カメラ機能付き携帯電話、顕微鏡、望遠鏡等の電子機器にも適用可能である。これらカメラ機能を備えた電子機器に適用する場合には、レンズの合焦機構や、ズーム機構、絞り調整機構等の駆動に本発明の駆動手段を用いることができる。
さらに、計測機器のメータ指針の駆動機構や、自動車等のインパネ(instrumental panel)のメータ指針の駆動機構、圧電ブザー、プリンタのインクジェットヘッド、プリンタの紙送り機構、乗り物並びに人形などの可動玩具類の駆動機構および姿勢補正機構、超音波モータ等に本発明の駆動制御装置を用いてもよい。
また、前記各実施形態では、圧電アクチュエータ20を電子時計1の時刻を示す指針の駆動に用いていたが、これに限らず、日付や曜を表示する機構の駆動に本発明の圧電アクチュエータを用いてもよい。
なお、前記各実施形態では、圧電アクチュエータの適用例として腕時計を例示したが、これに限定されず、本発明は、懐中時計、置時計、掛け時計などにも適用できる。これらの各種時計において、例えばからくり人形などを駆動する機構としても利用できる。
なお、被駆動体としては、回転駆動されるロータ、直線駆動されるリニア駆動体などを採用でき、被駆動体の駆動方向は限定されない。
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明の第1実施形態における時計の外観図。 前記実施形態における圧電アクチュエータユニットの斜視図。 前記実施形態における圧電アクチュエータユニットの平面図。 前記実施形態における圧電アクチュエータの駆動制御装置の構成を示すブロック図。 前記実施形態における擬似白色雑音発生回路の構成を示すブロック図。 前記実施形態における擬似白色雑音発生回路の出力を示すグラフ。 前記実施形態における擬似白色雑音発生回路の出力の周波数特性を示すグラフ。 前記実施形態におけるバンドパスフィルタを構成するローパスフィルタの出力を示すグラフ。 前記実施形態におけるバンドパスフィルタを構成するハイパスフィルタの出力を示すグラフ。 前記実施形態の振動体について、(A)は、駆動周波数とインピーダンスとの関係を示すグラフ、(B)は、駆動周波数と縦振動および屈曲振動の振幅との関係を示すグラフ。 前記実施形態の振動体について、駆動周波数掃引時のロータの回転数、電流値の変化を示すグラフ。 前記実施形態の駆動制御装置において、バンドパスフィルタのゲインを示すグラフ。 前記実施形態の駆動制御装置において、バンドパスフィルタの入出力に係る信号周波数特性を示すグラフ。 前記実施形態における圧電アクチュエータの駆動特性の経時変化と、駆動制御装置のバンドパスフィルタによるゲインとを示す図。 前記実施形態の駆動制御装置において、バンドパスフィルタの通過周波数帯域を図13で示した場合よりも狭くしたときの信号周波数特性を示すグラフ。 前記実施形態の駆動制御装置において、バンドパスフィルタの通過周波数帯域を図15よりも更に狭くしたときの信号周波数特性を示すグラフ。 本発明の第2実施形態における圧電アクチュエータの振動体の平面図。 前記実施形態におけるロット内の振動体について、縦共振周波数と屈曲共振周波数との差(Δfr)を調整する前後におけるΔfrの分布を示す図。 前記実施形態の振動体について、(A)は、駆動周波数とインピーダンスとの関係を示すグラフ、(B)は、駆動周波数と縦振動および屈曲振動の振幅との関係を示すグラフであり、図10と比較される図。 本発明の第3実施形態における駆動制御装置の構成を示すブロック図。 本発明の第4実施形態における駆動制御装置の構成を示すブロック図。 本発明の第5実施形態における駆動制御装置の構成を示すブロック図。 本発明の第6実施形態における駆動制御装置の構成を示すブロック図。 本発明の変形例における駆動制御装置の構成を示すブロック図。 本発明の変形例における駆動制御装置の構成を示すブロック図。 本発明の変形例における駆動制御装置の構成を示すブロック図。
符号の説明
1・・・電子時計(電子機器)、2・・・ムーブメント(計時部)、3・・・文字板(計時情報表示部)、4・・・時針(計時情報表示部)、5・・・分針(計時情報表示部)、6・・・秒針(計時情報表示部)、7B・・・クロノグラフ分針(計時情報表示部)、7A・・・クロノグラフ秒針(計時情報表示部)、20・・・圧電アクチュエータ、20A,60・・・振動体、22・・・圧電素子、30・・・ロータ(被駆動体)、50,50A〜50G・・・駆動制御装置、51・・・擬似白色雑音発生回路(信号発生手段)、52,92・・・バンドパスフィルタ(周波数帯域フィルタ)、221,222,223,61・・・駆動電極、621,622,623・・・調整用電極(選択的に用いられる電極)、fr1・・・縦共振周波数、fr2・・・屈曲共振周波数、A・・・通過周波数帯域、R、R、R・・・共振点(特定周波数)。

Claims (6)

  1. 圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の供給により振動する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエータの駆動制御装置であって、
    前記駆動信号の信号源であり、白色雑音に近似する擬似白色雑音を発生させる信号発生手段と、
    前記擬似白色雑音のうち所定の通過周波数帯域の周波数成分を通過させ、前記通過周波数帯域以外の周波数成分を減衰させる周波数帯域フィルタとを備え、
    前記通過周波数帯域は、前記駆動信号の周波数掃引時に所定の駆動状態を実現した特定周波数を含むように設定され、前記特定周波数近傍から、当該特定周波数が経時変化によって変化する方向に応じて設定され、
    前記駆動信号の周波数は、少なくとも前記通過周波数帯域に亘る
    ことを特徴とする圧電アクチュエータの駆動制御装置。
  2. 請求項1に記載の圧電アクチュエータの駆動制御装置において、
    前記振動体は、複数の振動モードで振動し、前記駆動信号は、単相である
    ことを特徴とする圧電アクチュエータの駆動制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータの駆動制御装置において、
    前記圧電素子には、前記駆動信号を供給可能な複数の電極が設けられ、
    前記振動体の共振周波数は、前記電極が選択的に用いられることで調整され、
    前記通過周波数帯域は、前記振動体の前記調整された共振周波数に応じて設定される
    ことを特徴とする圧電アクチュエータの駆動制御装置。
  4. 圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の供給により振動する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエータの駆動制御方法であって、
    前記駆動信号の信号源であり、白色雑音に近似する擬似白色雑音を発生させる信号発生工程と、
    前記擬似白色雑音のうち所定の通過周波数帯域の周波数成分を通過させ、前記通過周波数帯域以外の周波数成分を減衰させる周波数帯域フィルタリング工程とを備え、
    前記通過周波数帯域は、前記駆動信号の周波数掃引時に所定の駆動状態を実現した特定周波数を含むように設定され、前記特定周波数近傍から、当該特定周波数が経時変化によって変化する方向に応じて設定され、
    前記駆動信号の周波数を少なくとも前記通過周波数帯域に亘らせる
    ことを特徴とする圧電アクチュエータの駆動制御方法。
  5. 圧電アクチュエータと、この圧電アクチュエータで駆動される被駆動体と、請求項1から3のいずれかに記載の圧電アクチュエータの駆動制御装置とを備える
    ことを特徴とする電子機器。
  6. 請求項5の電子機器は、計時部と、前記計時部で計時された計時情報を表示する計時情報表示部とを備えた時計である
    ことを特徴とする電子機器。
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