JP4201014B2 - 圧電アクチュエータの駆動制御方法、圧電アクチュエータの駆動制御装置、および電子機器 - Google Patents

圧電アクチュエータの駆動制御方法、圧電アクチュエータの駆動制御装置、および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、圧電アクチュエータの駆動制御方法、圧電アクチュエータの駆動制御装置、および電子機器に関する。
圧電素子は、電気エネルギーから機械エネルギーへの変換効率や、応答性などに優れているため、近年、圧電素子を有する振動体を備え、この振動体の振動をロータなどの被駆動体に伝達して駆動する圧電アクチュエータ(超音波モータ)が開発されている。今後は、カメラ、プリンタ、電子時計、玩具などの各種の電子機器において、圧電アクチュエータの利用が拡大される見通しである。
ここで、圧電振動体の共振を利用する共振型の圧電アクチュエータが知られ、このような圧電アクチュエータでは、圧電素子に供給される駆動信号と圧電振動体の振動状態から得られる検出信号との位相差を駆動に適した値でほぼ一定として、所定の振動特性を実現する必要がある。すなわち、圧電アクチュエータの駆動制御は、所定の駆動状態を実現する最適位相差を規定し、この最適位相差に基いて行われる。
このような圧電アクチュエータを高効率で駆動するには、圧電素子に供給する駆動信号の周波数を振動体の共振点近傍とする必要があるが、周囲の温度や負荷等の影響によって振動体の共振点は変動するため、位相差が最適位相差となるように駆動信号の周波数(駆動周波数)を変更する位相差フィードバック制御が知られている(例えば、特許文献1、および特許文献2参照)。すなわち、圧電アクチュエータの駆動中、目標位相差に対して位相差が大小いずれであるかに応じて駆動周波数が高低いずれかに変更される。
特許第2506895号公報 特開昭64−8875号公報
しかしながら、所定の駆動状態を実現する最適位相差は、圧電アクチュエータにおける振動体の被駆動体に対する加圧の個体差によってばらつきが有り、また、振動体と被駆動体との磨耗などの経時変化によっても変動し得る。最適位相差は、圧電アクチュエータの駆動制御において指標となるものであって、この最適位相差が変化することで、トルクが変わり、所望の駆動効率を実現することは困難となる。つまり、所定の駆動状態に適した最適位相差は、必ずしも一定ではない。この最適位相差の変化は、共振点の変化によるもので、特に、共振利用の圧電アクチュエータでは、共振点が少しずれ、最適位相差が適正値から少し外れただけでも駆動効率が大きく落ち込んでしまう。
さらに、前述のような位相差フィードバック制御では、駆動信号と検出信号との位相差の目標位相差に対する位相差の大小に駆動周波数を追従させているが、駆動状態によっては、位相差の大小の評価が逆転する場合があり、この場合は、駆動周波数が適切な向きと逆方向に変更されてしまい、駆動制御が不安定となってしまう。
すなわち、図38に示したように、所望の振動特性を最適駆動状態Gにより実現できるとして、駆動周波数を所定の幅で所定方向に掃引時、最適駆動状態Gにおける目標位相差θに再度、達する逆転ポイントPtがあるとする。この場合、この逆転ポイントPtの前後で目標位相差に対する位相差の大小に基く駆動周波数の追従方向は逆転し(このことを以下で位相差の逆転、逆転現象などと称する)、最適駆動状態Gを含み駆動に用いられる駆動範囲Aと隣接する範囲Bでは、目標位相差θに対する位相差が大(+)となるから、位相差を目標位相差θに近付けるべく、駆動周波数は、適切な向きとは逆方向、すなわち上げる方向に変更される。その結果、駆動状態は、範囲Bから範囲Cに移行してしまい、この範囲Cでは、目標位相差θに対する位相差の傾きが駆動範囲Aと同様であって、駆動範囲Aと同様の方向に駆動周波数が変更されるので、駆動状態は駆動範囲Aには復帰することなく、圧電アクチュエータは低い駆動効率で不安定な状態のまま、駆動される。この範囲Cや範囲Bにおける駆動周波数および位相差は、所望の振動特性を実現するには程遠い。
なお、駆動状態が駆動範囲Aから範囲Bに移行するのは、圧電アクチュエータの駆動中、位相差フィードバックによる駆動周波数の追従が連続して行われるためであり、仮に、駆動周波数を固定して駆動制御するのであれば、位相差の逆転はさほど影響がないが、駆動周波数を固定する構成では、温度や負荷の変動による共振点の変化に対応して駆動周波数を調節することができない。温度変化が大きい環境で駆動される場合や、大電力が加わったり、連続駆動が必要となって圧電素子に発熱が生じる場合には、やはり位相差フィードバックなどで駆動周波数を適宜、上下する必要がある。
ただし、位相差フィードバックにより駆動周波数を可変に制御することで温度や負荷の変動に対応できるとはいうものの、前述のように、位相差評価の逆転に起因して駆動周波数の制御の向きが異常となり、駆動状態が不安定となるのはかえって問題である。
ここで、位相差に逆転現象が生じる要因としては、ひとつには、振動体の組み立てにおける誤差が考えられる。すなわち、振動体の構造として、複数の圧電素子を補強板を挟んで貼り合わせたものなどがあり、貼り合わせの誤差によって各圧電素子の位相にずれが生じ、この位相のずれが重なったためと考えられる。
また、特許文献2のように位相が互いに異なる2つの駆動信号を圧電素子に供給するのではなく、縦振動の共振点および屈曲振動の共振点の間の周波数で1つの駆動信号を生成して圧電素子を駆動する場合があるが、この場合にも、縦振動の位相と屈曲振動の位相との合成により、位相差が逆転することが十分に考えられる。
このような問題に鑑みて、本発明の目的は、所定の駆動状態に適した駆動条件の変化に対応して、適切にかつ安定的に駆動制御できる圧電アクチュエータの駆動制御方法、圧電アクチュエータの駆動制御装置、および電子機器を提供することにある。
本発明の圧電アクチュエータの駆動制御方法は、圧電素子への駆動信号の供給により振動する振動体を備えてその振動を被駆動体に伝達するとともに前記振動体の振動状態を検出することが可能な圧電アクチュエータの駆動制御方法であって、前記駆動信号と前記検出された振動状態を表す検出信号との位相差に関し、前記駆動信号の周波数掃引を実施して所定の駆動状態を実現する位相差である最適位相差を取得する最適位相差取得工程と、前記駆動信号と前記検出信号との位相差を検出しつつ前記駆動信号の周波数掃引を前記所定の駆動状態を実現する周波数を含む所定範囲で所定方向に実施し、この際、前記位相差が前記最適位相差に再度達した際の位相差逆転周波数を検出する位相差逆転検出工程とを有する初期設定工程と、前記位相差逆転周波数から前記所定の駆動状態側の値において設定されるクランプ周波数に前記駆動信号の周波数が達しないように規制しつつ、前記駆動信号と前記検出信号との位相差を検出するとともに前記最適位相差に対する前記位相差の大小に基いて前記駆動信号の周波数を高低いずれかに変更することで前記位相差に前記駆動信号の周波数を追従させる駆動工程とを備え、前記初期設定工程を、所定の頻度で行うことにより、前記最適位相差および前記位相差逆転周波数をそれぞれ更新することを特徴とする。
また、本発明の圧電アクチュエータの駆動制御装置は、圧電素子への駆動信号の供給により振動する振動体を備えてその振動を被駆動体に伝達するとともに前記振動体の振動状態を検出することが可能な圧電アクチュエータの駆動制御装置であって、前記駆動信号と前記検出された振動状態を表す検出信号との位相差を検出する位相差検出手段と、前記駆動信号の周波数掃引を実施し前記位相差検出手段による前記位相差の検出に基いて所定の駆動状態を実現する位相差である最適位相差を取得する最適位相差取得手段と、前記駆動信号と前記検出信号との位相差を検出しつつ前記駆動信号の周波数掃引を前記所定の駆動状態を実現する周波数を含む所定範囲で所定方向に実施し、この際、前記位相差が前記最適位相差に再度達した際の位相差逆転周波数を検出する位相差逆転検出手段とを有する初期設定手段と、前記最適位相差を基に前記駆動信号の周波数を設定する制御手段と、前記初期設定手段による処理を、所定の頻度で行うことにより、前記最適位相差および前記位相差逆転周波数をそれぞれ更新する頻度制御手段とを備え、前記制御手段は、前記位相差逆転周波数から前記所定の駆動状態側の値において設定されるクランプ周波数に前記駆動信号の周波数が達しないように規制するクランプ手段を有し、前記クランプ手段による前記駆動信号の周波数の規制を実施しつつ、前記位相差検出手段により前記位相差を検出するとともに前記最適位相差に対する前記位相差の大小に基いて前記駆動信号の周波数を高低いずれかに変更することで前記位相差に前記駆動信号の周波数を追従させることを特徴とする。
これらの発明によれば、所定の駆動状態を実現する最適位相差が磨耗による振動体と被駆動体との加圧条件の経時変化、あるいは圧電アクチュエータの連続駆動による温度変化などによって変動しても、初期設定において最適位相差の取得が所定頻度で行われ、最適位相差が更新されて適切な最適位相差に補正されることとなるので、この最適位相差に基いて適切な駆動制御を実施でき、被駆動体の駆動に必要な適正な駆動力(トルク)によって、所望の駆動効率を実現できる。
なお、所定頻度は、例えば、数分〜数時間などの一定期間ごと、あるいは、圧電アクチュエータの起動回数、所定の動作を行った回数などで規定できる。
加えて、初期設定では位相差逆転検出をも実施する。すなわち、初期設定で初期化(更新)された最適位相差について位相差逆転が生じる場合の周波数を検出するので、最適位相差の更新に伴い位相差逆転周波数も更新されることになる。
位相差逆転検出工程では具体的に、駆動信号と検出信号との位相差を検出しつつ駆動周波数の掃引を実施し、この際、位相差が最適位相差に再度達した場合は、位相差の逆転が生じる周波数として位相差逆転周波数を検出する。そして、初期設定後の駆動制御に際しては、最適位相差に対する位相差の大小の逆転を防止するため、位相差逆転周波数を基に設定されるクランプ周波数に駆動信号の周波数が達しないように駆動周波数を規制しつつ、位相差に駆動信号の周波数を追従させる制御を行う。これにより、位相差の評価に係る逆転現象によって駆動周波数が逆方向に変更される異常な処理を防止でき、駆動制御を安定的に実施できる。なお、位相差逆転周波数およびクランプ周波数は、互いに同じでも良い。
以上により、磨耗などの経時変化や温度変化などで共振点とともに最適位相差が変化することと、圧電アクチュエータの振動特性として周波数掃引時に位相差が逆転する場合があることとに良好に対処できる。したがって、圧電アクチュエータの使用環境や、圧電アクチュエータの駆動時間などを問わず、圧電アクチュエータの利用範囲をより一層拡大でき(長時間の連続駆動も可能)、信頼性向上や低コスト化も図られる。
ここで、このような本発明では、振動体の振動状態を示す検出信号の位相と、駆動信号の位相との比較において、最適位相差を目標とする位相差フィードバック制御が実施されるため、圧電アクチュエータの電流値や被駆動体の駆動量(回転数など)に表れる駆動効率を所望の値に制御可能となる。これにより、被駆動体のスピードコントロールも可能となる。
本発明の圧電アクチュエータの駆動制御方法では、計時部と、前記計時部で計時された計時情報を表示する計時情報表示部とを備える計時装置に組み込まれて前記計時情報表示部を駆動する圧電アクチュエータの駆動制御方法であって、前記最適位相差取得工程は、当該最適位相差取得工程を実施する間に移動した前記被駆動体の位置を当該最適位相差取得工程開始時の位置に戻す移動量復帰工程を有し、前記駆動工程では、前記初期設定工程を実施する間の時間に応じて前記計時部から発信される指令値に基いて当該被駆動体の移動量を制御することが好ましい。
この発明によれば、時計などの計時装置において、指針などの計時情報表示部が連動する歯車等が被駆動体として組み込まれた圧電アクチュエータにおいて、初期設定工程における被駆動体の移動量をキャンセルできるため、初期設定工程の実施による運針の誤差、計時のくるいを解消できる。
本発明の圧電アクチュエータの駆動制御方法では、前記位相差逆転検出工程では、前記クランプ周波数から前記位相差逆転周波数までの値を前記記憶手段に記憶することが好ましい。
また、本発明の圧電アクチュエータの駆動制御装置では、前記制御手段は、前記クランプ周波数から前記位相差逆転周波数までの値が予め記憶される記憶手段を有することが好ましい。
これらの発明によれば、クランプ周波数から位相差逆転周波数までの値を記憶することにより、クランプ周波数を位相差逆転周波数に基いて位相差フィードバックの都度設定することが不要となり、構成を簡略化できる。
本発明の圧電アクチュエータの駆動制御方法では、前記被駆動体の駆動方向を正方向と逆方向とに切替可能とし、前記初期設定工程を、前記被駆動体の駆動方向が切替えられた際に行うことが好ましい。
また、本発明の圧電アクチュエータの駆動制御装置では、前記被駆動体は、その駆動方向が正方向と逆方向とに切替可能とされ、前記初期設定手段は、前記振動挙動が切替えられた際に用いられることが好ましい。
これらの発明によれば、被駆動体の駆動方向が切替えられた際に、初期設定が再度実施されて最適位相差および位相差逆転周波数が更新されるので、被駆動体を正方向に駆動する際と逆方向に駆動する際とで振動体の振動挙動特性が異なる(非対称)場合であっても、駆動制御の適切さおよび安定性が損なわれない。
本発明の圧電アクチュエータの駆動制御装置では、前記振動体は、複数の振動モードで振動し、前記駆動信号は、単相であることが好ましい。
この発明によれば、単相の駆動信号の供給により圧電素子を複数の振動モードで駆動するので、多相の駆動信号を用いる場合と比べて、構成を簡略にできる。
本発明の圧電アクチュエータの駆動制御装置では、前記振動体は、平面略矩形状に形成され、前記複数の振動モードは、前記振動体の長手方向に沿って伸縮する縦振動と前記長手方向に対して屈曲する屈曲振動との混合モードとされることが好ましい。
この発明によれば、縦振動の共振点と屈曲振動の共振点との間の周波数の駆動信号を振動体に供給することにより、振動体の一部における楕円運動を実現し得るので、簡略な構成で、ロータなどの被駆動体を高効率で駆動できる。
ここで、このような単相の駆動信号の供給による縦振動と屈曲振動との混合モードによれば、縦振動の位相と屈曲振動の位相との合成により、駆動信号と検出信号との位相差の逆転が生じ易くなると考えられるため、前述したような位相差逆転周波数の検出、およびこの位相差逆転周波数ないしクランプ周波数に基くクランプ処理などにより安定駆動を実現できることの効果がより際立つ。
本発明の電子機器は、圧電アクチュエータと、この圧電アクチュエータで駆動される被駆動体と、前述の圧電アクチュエータの駆動制御装置とを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、前述の圧電アクチュエータの駆動制御装置を備えたことにより、前述と同様の作用および効果を享受できる。
すなわち、磨耗、負荷の変動などの経時変化や、温度変化に対応して、適切な、安定した駆動制御を行うことができ、温度変化が激しい屋外などの環境で使用されたり、携行され姿勢に応じて負荷が変わったり、大パワーが投入される、あるいは連続駆動によって発熱しやすい各種電子機器に好適である。このような電子機器として、携帯電話、携帯情報端末、可動玩具、カメラ、プリンタ等を例示できる。
本発明の電子機器は、計時部と、前記計時部で計時された計時情報を表示する計時情報表示部とを備えた時計であることが好ましい。
この発明によれば、前述の圧電アクチュエータにより、計時部を構成する歯車や、計時情報表示部を構成する指示部材等を正確に駆動することが可能となり、信頼性を向上させることができる。
そして、圧電アクチュエータで時、分、秒などの時刻表示機構を駆動すれば、正確な運針を実現でき、連続駆動により発熱しても駆動制御が不安定となるのを防止できる。
なお、時刻表示機構以外に、日、月、曜などのカレンダ情報の計時部または計時情報表示部について、圧電アクチュエータを暦の変わり目に間欠的に駆動することで使用することもできる。
加えて、圧電アクチュエータにおける利点、すなわち、磁気の影響を受けない、応答性が高く微小送りが可能、小型薄型化に有利、高トルクなどを実現できる。
なお、前述した圧電アクチュエータの駆動制御装置は、ハードウェアで実現することもできるが、制御プログラムを用いて実現することもできる。
この制御プログラムでは、前述の駆動制御装置に組み込まれたコンピュータを、制御手段および位相差検出手段などとして機能させればよい。
このように構成すれば、前述の駆動制御装置と同様の作用効果を奏することができる。
ここで、この制御プログラムは、ネットワークなどを介してコンピュータに組み込んでもよいし、当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介して組み込んでもよい。
このような記録媒体やインターネット等の通信手段で提供される制御プログラム等を時計や携帯機器に組み込めば、プログラムの変更のみで前述の作用効果を実現でき、工場出荷時あるいは利用者が希望する制御プログラムを選択して組み込むこともできる。この場合、プログラムの変更のみで制御方式の異なる各種の時計や携帯機器を製造できるため、部品の共通化等が図れ、モデル展開時の製造コストを大幅に低減できる。
本発明によれば、所定の駆動状態に適した位相差などの駆動条件の変化に対応して、適切な駆動制御を実施できるとともに、位相差に駆動周波数を追従させるにあたり、温度や負荷の変動に際しても駆動制御を安定的に実施できる。
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[1.全体構成]
図1は、本実施形態に係る電子時計1を示す平面図である。電子時計1は、計時部としてのムーブメント2と、通常時刻を表示するための計時情報表示部としての文字板3、時針4、分針5、秒針6のほか、クロノグラフ時間を示す秒クロノグラフ針7A、分クロノグラフ針7Bを備えた計時装置としての腕時計(ウォッチ)である。電子時計1のケースには、りゅうず8と、りゅうず8を挟んでクロノグラフの操作ボタン9A,9Bとが設けられている。
時針4、分針5、秒針6は、通常のアナログクォーツと同様のものであって、水晶振動子が組み込まれた回路基板と、コイル、ステータ、ロータを有するステッピングモータと、駆動輪列と、電池とによって駆動される。
[2.秒クロノグラフ針の駆動機構]
秒クロノグラフ針7Aを駆動する駆動機構は、圧電アクチュエータ(超音波モータ)20と、この圧電アクチュエータ20によって回転駆動される被駆動体としてのロータ30と、ロータ30の回転を減速しつつ伝達する減速輪列40とを備えて構成されている。
減速輪列40は、ロータ30と同軸に配置されてロータ30と一体的に回転する歯車41と、この歯車41に噛合し、かつ、秒クロノグラフ針7Aの回転軸に固定された歯車42とで構成されている。
なお、圧電アクチュエータ20と、ロータ30および歯車41は、図2,3に示すように、圧電アクチュエータユニット10としてユニット化されている。
[3.圧電アクチュエータユニットの構成]
圧電アクチュエータユニット10は、電子時計1の地板などに固定される支持プレート11と、支持プレート11に固定された圧電アクチュエータ20と、支持プレート11に回転自在に取り付けられたロータ30および歯車41とを備えて構成されている。
なお、歯車41の回転は、歯車41の上方に配置された回転センサ15によって検出可能に構成されている。
支持プレート11は、軽量化のために孔12が形成されており、かつ、ネジ等の固定部材13によって地板などに固定されている。また、支持プレート11には圧電アクチュエータ20が取り付けられるスペーサ14が固定されている。
[4.圧電アクチュエータの構成]
圧電アクチュエータ20は、図2,3に示すように、略矩形板状の補強板21と、補強板21の両面に接着された圧電素子22とからなる振動体20Aを備えている。
補強板21の長手方向略中央には、両側に突出する腕部23が形成されており、これらの各腕部23がビス24によって前記スペーサ14に固定されている。なお、腕部23を備える補強板21は、導電性金属で構成されており、腕部23は圧電素子22に駆動信号を印加するための電極としても利用されている。
補強板21の長手方向一方の端部、具体的にはロータ30に対向する端部には、補強板21の長手方向に沿って突出する突起25が形成され、突起25は、ロータ30の側面に当接されている。この突起25は、ロータ30の外周面に対して所定の力で当接するように、ロータ30との相対位置が設定された状態で、ばねなどの任意の付勢手段によって付勢されており、突起25とロータ30側面との間に適切な摩擦力が働くことで、振動体20Aの振動が効率良くロータ30に伝達されるようになっている。
なお、本実施形態では、ロータ30の外周面には溝31(図2)が形成され、この溝31部分に突起25が配置されている。この溝31によって、電子時計1を落下した場合のように圧電アクチュエータ20に衝撃が加わった際に、突起25がロータ30の当接面から外れないようにガイドすることができる。
圧電素子22は、略矩形板状に形成され、補強板21両面の略矩形状部分に接着されている。圧電素子22の両面には、めっき、スパッタ、蒸着等によって電極が形成されている。
なお、圧電素子22の補強板21側の面には、その全面に1つの電極が形成され、この電極に接触する補強板21および腕部23を介して駆動制御装置50(図4)に電気的に接続されている(図4中、N参照)。
また、圧電素子22の表面側の面には、図3に示すように、5つに分割された電極が形成されている。すなわち、圧電素子22の表面側の電極は、圧電素子22の幅方向にほぼ三等分され、その中央の電極によって駆動電極221が形成されている。また、駆動電極221の両側の電極は、圧電素子22の長手方向に略二等分され、圧電素子の対角上でそれぞれ対となる駆動電極222および駆動電極223が形成されている。
これらの駆動電極221,222,223はそれぞれリード線などによって駆動制御装置50に接続され(図4中、P1〜P3参照)、補強板21(図4中、N参照)との間で電圧が印加される。なお、駆動制御装置50における電源は、駆動電極221と補強板21との間の電圧印加用と、駆動電極222と補強板21との間の電圧印加用と、駆動電極223と補強板21との間の電圧印加用との3つ、設けられている。
このような電子時計1では、駆動制御装置50(図4)によって圧電アクチュエータ20に単相の駆動信号が供給され、ロータ30が回転駆動される。
ここで、秒クロノグラフ針7Aを所定の正方向に回転させるか、逆方向に回転させるかによって圧電素子22に設けられた駆動電極222,223が選択的に用いられ、この際の振動体20Aの振動挙動に応じてロータ30が両方向に回転駆動される。
すなわち、振動体20Aの正方向挙動による正方向への駆動時は、駆動電極221と駆動電極222とを電圧印加の対象となり、圧電素子22の伸縮によって振動体20Aが励振する縦振動と屈曲振動との混合モードにおける位相差により、振動体20Aの突起25が圧電素子22の長手方向の中心線に対して傾斜した略楕円軌跡E(図3)を描く。この軌跡Eの一部で突起25がロータ30を押圧することによりロータ30が正方向(図3中、矢印方向)に回転する。
一方、振動体20Aの逆方向挙動による逆方向への駆動時は、駆動電極222の代わりに駆動電極223が電圧印加の対象となり、駆動電極222と駆動電極223とは、圧電素子22の長手方向の中心線を軸として線対称の位置関係にあるから、縦振動に対する交差方向が駆動電極222に電圧印加した場合とは略線対称となる屈曲振動が誘発される。したがって、振動体20Aの突起25の軌跡は、駆動電極222に電圧印加した場合とは略線対称に傾斜する略楕円軌跡となり、ロータ30は逆方向に回転駆動される。
このようなロータ30の回転により、ロータ30と一体の歯車41も回転し、歯車41の回転に伴い歯車42が回転し、秒クロノグラフ針7Aが正方向または逆方向に駆動する。
なお、振動体20Aの振動状態を示す検出信号(振動信号)は、ロータ30の正転時には、駆動信号が印加されない駆動電極223を介して検出され、ロータ30の逆転時には、駆動信号が印加されない駆動電極222を介して検出される。
[5.圧電アクチュエータの駆動装置の構成]
次に、圧電アクチュエータ20の駆動制御装置50の構成を図4に基いて説明する。
図4において、駆動制御装置50は、電圧制御発振器(VCO)51と、パルスコントロール回路52と、ゲートドライバ53と、電源54と、スイッチ回路55と、バンドパスフィルタ(BPF)56と、信号増幅器(AMP)57と、位相差検出手段60と、制御手段としてのコントローラ65とを備えて構成されている。
電圧制御発振器51は、印加される電圧によって出力する信号の周波数を可変できる発振器であり、圧電アクチュエータ20の駆動信号を生成している。
ところで、駆動信号の周波数(駆動周波数)については、振動体20Aにおける縦振動の共振点と屈曲振動の共振点などを考慮して決められる。
図5(A)に、振動体20Aにおける駆動周波数とインピーダンスとの関係を示し、図5(B)には、振動体20Aにおける駆動周波数と縦振動の振幅および屈曲振動の振幅との関係を示した。
図5(A)に示すように、駆動周波数に対してインピーダンスが極小であって振幅が最大となる共振点が二点現れ、これらのうち周波数の低い方が縦振動の共振点、高い方が屈曲振動の共振点となる。
すなわち、縦振動の縦共振周波数fr1と屈曲振動の屈曲共振周波数fr2との間で振動体20Aを駆動すると、縦振動および屈曲振動双方の振幅が確保され、圧電アクチュエータ20は高効率で駆動する。なお、縦共振周波数fr1と屈曲共振周波数fr2とを互いに近接させることで、縦振動および屈曲振動の振幅がより大きくなる駆動周波数を設定することができる。
図4に戻り、パルスコントロール回路52は、電圧制御発振器51で生成された駆動信号を制御するものであり、後述するスイッチ回路55の切替タイミングを制御して貫通電流を抑制するためのデットタイムを生成するデットタイム生成回路521と、ロータ30の回転方向を切替えるとともに、その指令値を出力する正逆回転回路522および電流制御回路523と、駆動信号の周期にデットタイムを挿入して駆動信号のデューティを規定する電流制限回路524とを有して構成されている。
正逆回転回路522は、制御信号に基づいて、ロータ30の回転方向を切替える指令値を第2ゲートドライバ53Bに出力する。具体的に、ロータ30の正回転時には、駆動電極221,222にそれぞれ対応する指令値を第2ゲートドライバ53Bに出力し、ロータ30の逆回転時には、駆動電極221,223にそれぞれ対応する信号を選択して第2ゲートドライバ53Bに出力する。
ゲートドライバ53は、パルスコントロール回路52から出力された駆動信号に基いてスイッチ回路55のオンオフを制御するドライブ回路であり、本実施形態では2つの第1ゲートドライバ53A、第2ゲートドライバ53Bを備えている。
そして、パルスコントロール回路52から第2ゲートドライバ53Bに入力される駆動信号はインバータ(NOT回路)IVを経由し、第1ゲートドライバ53Aに入力される駆動信号とは反転した信号となっている。
電源54は、本実施形態では、ロータ30の正逆回転時に使用される第1電源541と、ロータ30の正回転時のみ使用される第2電源542と、ロータ30の逆回転時のみ使用される第3電源543とからなり、これらの第1、第2、第3電源541,542,543により、圧電アクチュエータ20に対して電源VDDおよびVSS間の電位差の電圧、または電源VDDおよびGND間の電位差の電源電圧が印加される。
スイッチ回路55は、PチャネルMOS−FETで構成されるスイッチ551,552,555,557と、NチャネルMOS−FETで構成されるスイッチ553,554,556,558とで構成されている。これらの各スイッチ551〜556は、第1ゲートドライバ53A、第2ゲートドライバ53Bによってゲートに加えられる電圧が制御されることで、オンオフ制御されている。
なお、第2ゲートドライバ53Bは、正逆回転回路522に接続されており、ロータ30の正回転時には、スイッチ552,553(図4中、P1)およびスイッチ555,556(P2)のみを駆動する。
すなわち、ロータ30の正回転時には、スイッチ551,554を駆動する第1ゲートドライバ53Aと、スイッチ552,553(P1)およびスイッチ555,556(P2)を駆動する第2ゲートドライバ53Bとは、互いに反転した駆動信号で動作するため、同じPチャネルMOS−FETのスイッチ551,552は、一方のスイッチ551がオンされている場合には他方のスイッチ552はオフされる。なお、同じPチャネルMOS−FETのスイッチ551,555についても同様である。
また、同様に、NチャネルMOS−FETのスイッチ553,554は、一方のスイッチ553がオンされている場合には他方のスイッチ554はオフされる(NチャネルMOS−FETのスイッチ556,554についても同様)。
そして、直列に接続されたスイッチ551,554は、一方がオンの場合、他方がオフされる。同様に、直列に接続されたスイッチ552,553、あるいは、スイッチ555,556も、一方がオンの場合、他方がオフされる。
これらのスイッチ551〜554(あるいはスイッチ551,555,556,554)は、第1ゲートドライバ53A、第2ゲートドライバ53Bにより、圧電素子22に対してブリッジ接続され、ブリッジの対角に位置する一対のスイッチ551,553(またはスイッチ551,556)で構成されるスイッチ回路と、他の一対のスイッチ552,554(またはスイッチ555,554)で構成されるスイッチ回路とは、交互にオンオフ制御される。これにより、電源54によって印加される所定の電源電圧が交番する矩形波電圧に変換され、圧電アクチュエータ20に印加される。すなわち、第1電源541および第2電源542により、駆動電極221,222と補強板21(図2)との間で圧電素子22に交流電圧が印加され、ロータ30は正方向に回転する。
一方、ロータ30の逆回転時には、第2ゲートドライバ53Bは、スイッチ555,556(P2)の代わりにスイッチ557,558(P3)を駆動し、スイッチ551,552,553,554(またはスイッチ551,557,558,554)が、圧電素子22に対してブリッジ接続され、スイッチ551,553(およびスイッチ551,55
8)で構成されるスイッチ回路と、スイッチ554,552(またはスイッチ554,557)で構成されるスイッチ回路とが、交互にオンオフ制御される。すなわち、第1電源541および第3電源543により、駆動電極221,223と補強板21(図2)との間で圧電素子22に交流電圧が印加され、ロータ30が逆方向に回転する。
なお、各スイッチ551〜558のオンオフを切替える際に、直列に接続されたスイッチ551,554や、スイッチ552,553(あるいはスイッチ555,556やスイッチ557,558)が同時にオンとなってしまうと、貫通電流が流れてしまう。この貫通電流は、圧電アクチュエータ20の駆動動作に利用されないために消費電力の浪費になり、かつ、スイッチ素子の焼き付け等の原因となってしまう。このため、パルスコントロール回路52において、一方のスイッチがオフされてから、所定時間(デットタイム)経過後に他方のスイッチをオンすることで、貫通電流を防止している。
バンドパスフィルタ(単峰フィルタ)56は、圧電アクチュエータ20の振動状態に基いて、検出される検出信号を、所定の周波数範囲に含まれる周波数の検出信号だけ通過させ、それ以外の周波数の信号を減衰させるフィルタである。
なお、検出信号は、ロータ30の正転逆転に応じて、駆動電極222,223のうち駆動信号が供給されない一方を通じて(図4のP2,P3参照)検出される。ここで、検出信号は、腕部23(図5中、N)における電位を基準信号として、この基準信号に対する駆動電極222の電位の差、あるいは基準信号に対する駆動電極223の電位の差、つまりは、腕部23に対する駆動電極222,223の差動信号により検出される。
バンドパスフィルタ56を通過した検出信号は、信号増幅器57で増幅される。
位相差検出手段60は、位相制御器61、位相シフト器62、位相比較器63、およびローパスフィルタ(LPF)64を備えて構成されている。
位相制御器61は、検出信号の2周期ごとに、位相シフト器62に制御信号を出力し、これに応じて位相シフト器62は、予め設定された最適位相差分、検出信号の位相をシフトする。
位相比較器63は、位相シフト器62から出力された検出信号の位相と、電圧制御発振器51から出力された駆動信号の位相とを比較し、その位相差を出力する。ここで、前述の通り、位相シフト器62は、検出信号の位相を、最適位相差分だけシフトしており、位相比較器63の出力が零に近づくほど最適位相差に近づいていることになる。
ローパスフィルタ64は、所定の周波数以下の周波数の信号だけ通過させ、所定の周波数以上の周波数の信号は減衰させるフィルタであり、積分回路として機能する。
以上の位相差検出手段60によれば、位相シフト器62でシフトされた検出信号の位相と駆動信号の位相との差分、すなわち最適位相差との偏差(大小)がローパスフィルタ64を介してコントローラ65に出力される。
コントローラ65は、入力された最適位相差との偏差を解消するように、電圧制御発振器51に電圧信号を出力する。
図6は、コントローラ65の構成概略図であり、コントローラ65は、位相差検出手段60を通じてフィードバックされる位相差に駆動信号の周波数を追従させる周波数制御手段651、所定の駆動状態を実現する最適位相差を取得する最適位相差取得手段652、最適位相差の取得の頻度を規律する頻度制御手段653、および記憶手段654の各構成を含んで構成されている。
ここで、最適位相差取得手段652による最適位相差の取得は、頻度制御手段653により所定頻度で行われ、この頻度は、操作ボタン9A(図1)の操作により圧電アクチュエータ20が起動した時からの連続駆動時間で規定されている。本実施形態における頻度は、連続駆動時間1時間であり、当該時間が、記憶手段654に記憶されている。
[6.圧電アクチュエータの駆動制御]
次に、駆動制御装置50による圧電アクチュエータ20の作用について、図7および図8に示すフローチャートを参照して説明する。
駆動制御装置50のコントローラ65は、図7に示す最適位相差取得工程P1、および図8に示す駆動工程P2をそれぞれ実行する。
[6−1.頻度制御手段の作用]
コントローラ65は、頻度制御手段653のタイマ機能により、図7に示すように、圧電アクチュエータ20の起動時からの経過時間T、すなわち連続駆動時間を確認し(ステップS11)、最適位相差取得工程P1を所定頻度で実施する。すなわち、連続駆動時間の確認(ステップS11)において、圧電アクチュエータ20の起動時からの経過時間Tがコントローラ65の記憶手段654にメモリされた連続駆動時間Nに達した場合は(YES)、最適位相差取得工程P1を実施する一方、達していない場合は(NO)、図8に示す駆動工程P2に移行する。
なお、経過時間Tは、圧電アクチュエータ20の起動時に「0」で初期化される。
[6−2.最適位相差取得工程]
最適位相差取得工程P1では、コントローラ65の最適位相差取得手段652により、ロータ30を駆動制御して圧電アクチュエータ20の所望の駆動状態(本実施形態では、駆動効率(ロータ30の回転数)が略最大となる状態)を調べる。
具体的に、電圧制御発振器51で発振する駆動信号の周波数をまず低周波数(本実施形態では230kHz)にセットするとともに(ステップS21)、電流制限0の状態とし、回転センサ15(図2)から入力される回転数に基いてロータ30の回転速度を検出する(ステップS22)。この回転速度の検出では、回転数を保持する変数を2つ(Z0、Z1)使用して、回転速度を検出する度、その回転数をZ0に代入するとともに、Z0とZ1との比較において、Z0がZ1よりも大である場合に、Z0をZ1に代入する。これにより、駆動周波数を掃引する過程における暫定の最大回転速度に係る回転数がZ1に逐次代入、更新される。
この後、Z0とZ1とを比較し(ステップS23)、Z0(今回検出時の回転数)がZ1(暫定の最大回転速度に係る回転数として保持する値)と同じ、あるいはZ1よりも小さい場合は(NO)、回転速度のピークは未だ検出されていないので、駆動周波数を所定幅で上げ(ステップS24)、掃引(スイープ)を続行する。本実施形態では、掃引時の駆動周波数の上げ幅は0.5kHzで、駆動周波数は230kHzから280kHzまで一方向に掃引される。なお、上記、および以下において駆動周波数を掃引する際、高周波数から低周波数に下げることも可能である。
一方、ステップS23においてZ0がZ1よりも小さい場合は(YES)、回転速度がピークを超えたと判断できるので、前回検出時までのデータにより暫定保持していたZ1を最大回転速度(最大駆動効率)を表す回転数として決定し、次のステップS25に進む。
ステップS25で回転数がZ1となる周波数fdに固定し、この状態において、位相比較器63で位相差を測定する(ステップS26)。ここで測定された位相差を最適位相差として規定し、コントローラ65の記憶手段654に記憶する(ステップS27)。なお、共振を利用する圧電アクチュエータ20では、駆動周波数と検出信号との位相差を駆動に適した値でほぼ一定として、所定の振動特性を実現する必要があるから、記憶手段654に保持される最適位相差は、駆動制御装置50における駆動制御の指標として用いられる。同じ仕様の圧電アクチュエータ20でも、形状や組み立ての誤差などによって、所定の駆動状態を実現する最適位相差は異なるため、最適位相差取得工程P1の実施により、個体差による振動特性のばらつきを解消できる。
最後に、経過時間Tを「0」にリセットする(ステップS28)。
以上で、最適位相差取得工程P1を終了し、駆動工程P2に移行する。
[6−3.駆動工程]
図8に示す駆動工程P2では、周波数制御手段651により、先ず、前述の最適位相差取得工程P1でコントローラ65に記憶された最適位相差を位相シフト器62(図4)にセットする(ステップS31)。そして、駆動周波数を230kHzから掃引し(ステップS32)、位相差検出手段60(図4)および周波数制御手段651(図6)を通じて、位相差フィードバック制御を実施する。具体的に、位相比較器63から出力される位相差が「0」、つまり、位相シフト器62にセットされた最適位相差に位相差が一致するまで(ステップS33)、前述と同様の上げ幅で駆動周波数をスイープする(ステップS34)。
こうして、位相差が最適位相差に一致したら(ステップS33においてYES)、以降、位相差検出手段60を通じて同様に、位相差フィードバック制御を行い、検出信号と駆動信号との位相差に駆動信号の周波数を追従させる位相差フィードバック工程S35を行う。すなわち、位相比較器63からの出力が零、つまり位相差が最適位相差となるように、周波数制御手段651により、電圧制御発振器51に入力する電圧信号を制御する。
なお、位相差フィードバック工程S35では、所定のクロック信号ごとに、コントローラ65における経過時間Tを示す駆動時間計時変数を1つカウントアップする(ステップS351)。
位相差フィードバック工程S35は、駆動終了を示す信号がコントローラ65に入力されるまで(ステップS36)、継続される。
ここで、圧電アクチュエータ20の駆動制御に際しては、駆動信号と検出信号との位相差を指標(最適位相差)として、位相差フィードバック制御が行われるが、圧電アクチュエータ20が連続駆動され、起動時から所定時間が経過して、突起25とロータ30との磨耗が生じたり、突起25をロータ30に付勢する加圧条件などが変化すると、共振点が変化する場合がある。このため、当初は圧電アクチュエータ20の駆動効率を最大にできる位相差、すなわち、所望の駆動状態を実現する最適位相差を目標として位相差フィードバック制御を行うことにより、圧電アクチュエータ20を適切に駆動制御できていたが、時間経過による振動特性の変化により、駆動制御装置50の制御において指標となるべき駆動効率を最大にできる最適位相差そのものが変わり、適正トルクが得られない場合がある。
このような圧電アクチュエータ20の駆動特性の経時変化について、図9のグラフに示した。
図9のグラフに実線で示したロータ30の回転数、圧電アクチュエータ20における電流、および位相差はそれぞれ、圧電アクチュエータ20起動時の初期状態において、駆動周波数(グラフ横軸)を掃引した際の値であり、図9には、この初期状態から1時間後、3時間後に駆動周波数を掃引した際の回転数、電流、位相差がそれぞれ線種の異なる点線で示されている。
このグラフに示したように、駆動周波数掃引時における回転数、電流、および位相差は一定ではなく、初期状態から時間の経過に伴って変化していく。本実施形態では、圧電アクチュエータ20の振動体20Aにおける共振点(図9中、回転数が2500rpm近傍となる際の駆動周波数)は、当初はRであるが、1時間後はR、3時間後はRというように次第に高くなり、このため、駆動周波数掃引時の回転数、電流、位相差も遷移する。これらが遷移する要因としては、例えば、ロータ30や振動体20Aの突起25の磨耗、あるいは、突起25をロータ30に当接させる付勢力などの加圧条件の変化などが考えられる。
このような圧電アクチュエータ20の駆動特性の経時変化に対応して、駆動工程P2に
おける位相差フィードバック制御が所定時間経過すると、コントローラ65の頻度制御手段653は、経過時間Tが連続駆動時間Nに達したと判定し(図8のステップS37)、図7に示した最適位相差取得工程P1を再び実施する。すなわち、最適位相差取得工程P1は、コントローラ65に記憶された連続駆動時間(1時間)ごとに繰り返し実施され、最適位相差として規定される値が更新される。図9に示した例では、最適位相差として規定される値は、初期状態ではθ(約100°)であるのに対して、1時間後に最適位相差取得工程P1が実際された際はθ(約103°)となる。2時間後、3時間後にも、最適位相差取得工程P1は定期的に実施され、起動から3時間後に最適位相差取得工程P1が実施された際は、θ(約102°)が最適位相差として規定される。4時間後以降も、同様にして、最適位相差が1時間ごとに更新される。
このように、経時変化による共振点のずれなどに対応して、最適位相差として保持する値が補正されるので、この最適位相差を前提として、駆動制御装置50における駆動制御が適切に実施される。
[7.本実施形態による効果]
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)秒クロノグラフ針7Aを駆動する圧電アクチュエータ20の駆動制御装置50は、コントローラ65を備え、このコントローラ65が有する頻度制御手段653によって、最適位相差取得工程P1を所定の頻度で実施する。これにより、所定の駆動状態を実現するために必要な最適位相差(本実施形態では、駆動効率を最大にするために必要な最適位相差)が経時変化などで変化しても、最適位相差取得工程P1が実施されるたびに、最適位相差が再度規定されて適切な最適位相差に補正される。つまり、最適位相差の適切さを担保できるから、この最適位相差に基いて、駆動工程P2において適切な駆動制御を実施でき、ロータ30の駆動に必要なトルクにより、所望の駆動効率を実現できる。
(2)また、駆動制御装置50における駆動工程P2において、駆動周波数を固定せずに、最大効率を実現する最適位相差を目標値として、位相差のフィードバックによる駆動周波数の追従制御を行うので、圧電アクチュエータ20の駆動性能を最大限に発揮して、駆動効率を最大にできる。
(3)腕時計である電子時計1に駆動制御装置50を組み込んだことで、負荷などの変動に関わらず、適切な駆動制御を行うことができ、前述の効果を大きいものとできる。
本実施形態の駆動制御装置50は、温度変化が激しい屋外などの環境で使用されたり、携行され姿勢に応じて負荷が変わる腕時計に適し、特に、大パワーが投入される、或いは連続駆動によってロータ30および振動体20Aの突起25が磨耗、発熱しやすい秒針駆動に好適である。これにより、正確で安定した運針を実現できる。
(4)圧電アクチュエータ20の圧電素子22に供給される駆動信号の周波数が縦振動の共振周波数fr1と屈曲振動の共振周波数fr2との間にあるため、縦振動および屈曲振動の双方の振幅を大きくして、圧電アクチュエータ20の駆動効率を向上させることができるとともに、1つの駆動信号により圧電アクチュエータ20を駆動するため、構成を簡略にできる。
そのうえ、このように共振を利用する場合には駆動周波数の範囲が狭く、駆動周波数の制御が困難であって、経時変化や個体差により共振点がばらつくことで駆動状態が不安定となりやすいため、駆動制御装置50によって駆動制御の適正さ、安定性が確保されることの効果は大きい。
なお、駆動制御装置50は、圧電アクチュエータ20以外にも、共振を利用する圧電アクチュエータの駆動制御装置として、汎用的に利用できる。
(5)そして、通常、電子時計1における時針4、分針5、秒針6などの駆動手段はステ
ッピングモータであるが、このステッピングモータを圧電アクチュエータ20に置き換えることが可能となり、これによって電子時計1の一層の薄型化が実現できるとともに、圧電アクチュエータ20はステッピングモータよりも磁性の影響を受けにくいことから、電子時計1の高耐磁化をも図ることができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略する。
第1実施形態では、圧電アクチュエータ20を最大効率で駆動するための駆動制御を行っていたが、本実施形態は、圧電アクチュエータ20で駆動される被駆動体の駆動量を調整可能に駆動制御する点で前記実施形態とは相違する。
図10は、本実施形態における圧電アクチュエータ20の駆動制御装置50Aの構成を示すブロック図である。
駆動制御装置50Aは、前述の駆動制御装置50(図4)の構成に加えて、圧電アクチュエータ20部分を流れる電流を検出する電流検出器71と、電流指令値を出力する電流指令値源72と、電流検出器71で検出された電流値と、電流指令値源72から出力された電流指令値とに基いて、コントローラ65に対して制御信号を出力する電流制御器73とを備える。
そして、コントローラ65では、電流制御器73からの出力信号を基に、電圧制御発振器51に電圧信号を出力する。つまり、本実施形態では、圧電アクチュエータ20の電流値によるフィードバック制御が行われる。
このような本実施形態では、前述の効果に加えて、次のような効果も得られる。
(6)コントローラ65が電圧制御発振器51に出力する電圧信号が圧電アクチュエータ20における電流値を基に調整可能となるので、圧電アクチュエータ20における振動状態を制御可能となり、これによってロータ30の回転数などを制御することができる。このため、速度調整(スピードコントロール)が必要なロータ30を始めとする被駆動体の駆動源としても圧電アクチュエータ20を利用できる。また、このような電流値のフィードバックにより、圧電アクチュエータ20を適切かつ安定して駆動制御することができる。
〔第3実施形態〕
次に本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態では、第2実施形態とは異なる手段により、第2実施形態と略同様に、圧電アクチュエータ20の被駆動体であるロータの回転数が調整可能に駆動制御される。
図11は、本実施形態の駆動制御装置50Bを示す。
駆動制御装置50Bは、前述の駆動制御装置50(図4)の構成に加えて、ロータの回転数を検出する回転数検出器81と、回転数指令値を出力する回転数指令値源82と、回転数検出器81で検出された回転数と、回転数指令値源82から出力された回転数指令値とに基いて、コントローラ65に対して制御信号を出力する回転数制御器83とを備える。
回転数検出器81は、例えば、第1実施形態においてロータ30と一体の歯車41(図2)の回転数を検出する回転センサ15を含んで構成される。
図12は、本実施形態における最適位相差取得工程P1´を示すフローチャートである。
最適位相差取得工程P1´ではまず、回転数検出器81を0セット(ゼロセット)する(ステップS20)。次いで、前述の最適位相差取得工程P1(図7)と同様、ステップS21〜ステップS28を実施する。この間、回転数検出器81によるロータ30の回転数検出を継続して行う。
そして、最後に、回転数検出器81、回転数指令値源82、および回転数制御器83により、ステップS20の時点から回転したロータ30を回転数「0」になるまで逆転する(移動量復帰工程;ステップS29)。この後、駆動工程P2(図8)に移行する際は、最適位相差取得工程P1´の所要時間が加味された指令値が回路基板の計時部ブロックを介して回転数指令値源82に入力されるので、回転数制御器83により、ロータ30の回転数が調整される。
なお、回転数検出器81によるロータ30の回転数検出は、駆動工程P2においても、継続的に実施する。
このような本実施形態では、第1実施形態で得られる効果に加えて、次のような効果も得られる。
(7)前記第2実施形態では、圧電アクチュエータ20を流れる電流値に基づいてコントローラ65が制御を行っていたが、圧電アクチュエータ20は摩擦によってロータ30を回転駆動するため、すべり等が生じる可能性もあり、電流値の制御だけでは多少の誤差が生じる虞があった。これに対して本実施形態の構成によれば、直接ロータ30ないし歯車41の回転数を検出しているので、より正確な駆動制御を行うことができる。
(8)最適位相差取得工程P1´において、ステップS20およびステップS29を実施し、最適位相差取得工程P1´におけるロータ30の回転をキャンセルした後、駆動工程P2において最適位相差取得工程P1´の所要時間を基にロータ30の回転数を調整するので、最適位相差取得工程P1´の実施による秒クロノグラフ針7Aの運針の誤差を解消できる。
〔第4実施形態〕
次に本発明の第4実施形態について説明する。
図13に示す本実施形態の駆動制御装置50Cは、第2実施形態の電流値に基づく駆動制御と、第3実施形態の回転数に基づく駆動制御とを組み合わせたものである。
すなわち、駆動制御装置50Cは、電流検出器71、電流制御器73、回転数検出器81、回転数指令値源82、回転数制御器83を備えている。
回転数制御器83は、回転数指令値源82からの回転数指令値と、回転数検出器81で検出される回転数とに基いて電流制御器73に電流指令値を出力する。
電流制御器73は、回転数制御器83からの電流指令値と、電流検出器71で検出された電流値とに基づいてコントローラ65に制御信号を出力する。
従って、本実施形態におけるフィードバック制御では、ロータ回転数に基づく制御ループがメジャーループとされ、電流値に基づく制御ループがマイナーループとされている。
このような本実施形態では、前記第1〜3の各実施形態で得られる効果に加えて、次のような効果も得られる。
(9)圧電アクチュエータ20によって回転駆動されるロータ30の回転数と、圧電アクチュエータ20を流れる電流値との2つのパラメータに基づいて圧電アクチュエータ20における振動状態を制御しているので、ロータの回転数(回転速度)をより正確に制御することができる。
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態について説明する。前述の第1〜第8実施形態では、最適位相差が所定頻度で繰り返し取得されることが互いに共通の特徴であったのに対し、この第5実施形態以降、第8実施形態までは、駆動周波数掃引時に位相差の逆転が起こる周波数を取得し、これに基いて位相差フィードバックにおける駆動周波数をクランプすることを共通の特徴とする。
本実施形態で説明する圧電アクチュエータの駆動制御装置および駆動制御方法は、前述した第1実施形態等と同様に、時計1の秒クロノグラフ針7Aを駆動する圧電アクチュエータ20に適用できる。したがって、第1実施形態で示した図1〜図3および図5を参照し、これに加えて、本実施形態の特徴を示す図14〜図22を参照する。
[第5−1.圧電アクチュエータの駆動装置の構成]
図14は、本実施形態の圧電アクチュエータの駆動制御装置50Dの構成を示す。
駆動制御装置50Dが備える位相シフト器62´には予め、圧電アクチュエータ20の駆動制御の指標となる目標位相差が設定されている。これにより、駆動制御装置50Dが備えるコントローラ265は、ローパスフィルタ64を介して入力される位相差の目標位相差に対する偏差を解消するように電圧制御発振器51に電圧信号を出力する。
図15は、制御手段としてのコントローラ265の構成概略図であり、コントローラ265は、位相差検出手段60を通じてフィードバックされる位相差に駆動信号の周波数を追従させる周波数制御手段651、駆動周波数の掃引時に駆動信号の位相と検出信号の位相との位相差が目標位相差の値を複数回取り得るかを検出する位相差逆転検出手段655、駆動周波数を規制するクランプ手段656、および駆動周波数のテーブル情報TBL(図18)が記憶された記憶手段657の各構成を含んで構成されている。
コントローラ265内の周波数制御手段651は、位相差検出手段60を通じてフィードバックされる位相差に駆動信号の周波数を追従させる手段として機能しており、入力された目標位相差との偏差を解消するように、電圧制御発振器51に電圧信号を出力する。
ここで、コントローラ265は、圧電アクチュエータ20の駆動開始時に実施される第1工程(位相差逆転検出工程)である初期化モードM1(図19)と、初期化モード後M1に動作する第2工程である駆動モードM2(図20)とを有する。
記憶手段657に記憶されたテーブル情報TBL(図18)には、振動体20Aに供給する駆動信号の周波数を予め掃引した際に目標位相差に再度達した場合、この位相差の逆転に係るクランプ周波数が記憶されている。
図16は、駆動信号の周波数を掃引した際の振動体20Aの位相差、ロータ30の回転数、および圧電アクチュエータ20を流れる電流値を示すグラフであり、図17は、図16の要部拡大図である。なお、このグラフは、振動体20Aの固体差により、値や増減傾きが異なる場合がある。
駆動信号と検出信号との位相差は、振動体20Aの振動特性の指標であり、本実施形態では、ロータ30の回転数が略最大となる最適駆動状態(所定の駆動状態)Gにおける位相差を目標位相差θ(本実施形態では、約100°)としている。位相差がこの目標位相差θであるとき、振動体20Aにおける縦振動の共振および屈曲振動の共振により、圧電アクチュエータ20を最大効率で駆動できる。
駆動制御装置50Dには、位相差のフィードバック制御を行うにあたり、最適駆動状態Gを含むとともに、駆動周波数の掃引時に位相差の増減傾きが一方向となり、振動特性が安定している駆動範囲Aが設定されている。この駆動範囲Aでは、駆動周波数を上げる方向に変更した際に位相差が減少傾向に定まり、目標位相差θに対する位相差の大小に基づく駆動周波数の追従方向が逆転しない。
ここで、振動体20Aには、圧電素子22および補強板21の貼り合わせ誤差や、1つの駆動信号を振動体20Aに供給して駆動することによる縦振動の位相および屈曲振動の位相の重なりなどに起因し、図16に例示するように、駆動周波数を低周波数側から上げる方向に掃引した際、駆動範囲Aにおいて、位相差が目標位相差θから減少した後、増加し、再度目標位相差θに達する場合がある(逆転ポイントPt1)。この逆転ポイントPt1では、位相差は増加しており、最適駆動状態Gにおける位相差の傾き(減少)とは逆であり、この逆転ポイントPt1から、再々度、目標位相差θに達し、逆転前の増減傾きに復帰する復帰ポイントPt2までを、位相差フィードバック制御が不安定となる位相差逆転範囲Zとみなす。
この位相差逆転範囲Zの両側には、図17に示すように、逆転ポイントPt1における位相差逆転周波数T1から−0.5kHzの幅で位相差可逆範囲R1が、そして位相復帰ポイントPt2における復帰周波数T3から+0.5kHzの幅で位相差復帰範囲R2がそれぞれ設けられている。すなわち、位相差可逆範囲R1の境界値は、位相差逆転周波数T1およびこの位相差逆転周波数T1から0.5kHzマイナスしたクランプ周波数T2であり、位相差復帰範囲R2の境界値は、復帰周波数T3およびこの復帰周波数T3から0.5kHzプラスした復帰時クランプ周波数T4である。
これらの位相差逆転周波数T1、クランプ周波数T2、復帰周波数T3、復帰時クランプ周波数T4を含んだ位相差可逆範囲R1および位相差復帰範囲R2における周波数が記憶手段657に列挙されて記憶されている。
図18は、記憶手段657に格納されたデータ内容を示す。記憶手段657は、位相差可逆範囲R1および位相差復帰範囲R2における周波数をテーブル情報TBLとして記憶する。
[第5−2.圧電アクチュエータの駆動制御]
次に、駆動制御装置50Dによる圧電アクチュエータ20の駆動工程について、図19および図20に示すフローチャートを参照して説明する。
駆動制御装置50Dのコントローラ265は、圧電アクチュエータ20の駆動開始時に第1工程である初期化モードM1(図19)を実行し、その後、第2工程である駆動モードM2(図20)を実行する。
[第5−2−1.初期化モード]
図19に示す初期化モードM1では、ロータ30を回転させて圧電アクチュエータ20の最適駆動状態(本実施形態では、回転数が略最大となる状態G(図16))を調べるとともに、駆動周波数を掃引した際に目標位相差θに再度達して位相差の大小の評価が逆転する現象が生じているか否かを判定する(S41、S42)。ここで、目標位相差θを位相シフト器62に設定する。
これらの工程S41、S42では、具体的に、コントローラ265の位相差逆転検出手段655により、電圧制御発振器51で発振する駆動信号の周波数を230kHzから280kHzまで一方向に掃引(スイープ)しながら、位相差検出手段60を通じて位相差フィードバック処理を実施する。
そして、図16に例示したように、位相差の逆転現象が生じている場合は、この位相差逆転に係る判定結果は、「YES」となり、テーブル情報TBL(図18)を作成し(S43)、このテーブル情報TBLを記憶手段657に記憶する(S44)。
一方、位相差の逆転現象が生じていない場合は、位相差逆転の判定結果は、「NO」となり、本実施形態では、記憶手段657におけるテーブル情報TBLのデータを消去する。
以上で初期化モードM1を終了し、駆動モードM2に移行する。
[第5−2−2.駆動モード]
図20に示す駆動モードM2では、コントローラ265により、電圧制御発振器51で発振する駆動信号の周波数を230kHzから掃引開始し(S51)、検出信号と駆動信号との位相差に駆動信号の周波数を追従させるフィードバック処理を開始する(S52)。
フィードバック処理S52では、位相比較器63からの出力が零、つまり位相差が目標位相差θとなるように、コントローラ265が出力する電圧信号を制御するが(S521)、この電圧信号を生成して電圧制御発振器51に出力するにあたり、生成しようとする電圧信号が示す駆動周波数が、テーブル情報TBL(図18)の周波数と一致するか否かをクランプ手段656により判定する(S522)。
生成しようとする電圧信号が示す駆動周波数がテーブル情報TBLの周波数と一致しない場合(NO)、この電圧信号を生成して電圧制御発振器51に出力し、その結果、電圧制御発振器51が発振する駆動信号の周波数が変更される。
すなわち、駆動状態がQ1のとき、目標位相差θに対して位相差が大であるプラスの偏差D1が存在し、この場合は、位相差が減少するように、駆動周波数は上げる方向に変更される。また、駆動状態がQ2のとき、目標位相差θに対して位相差が小であるマイナスの偏差D2が存在し、この場合は、位相差が増加するように、駆動周波数は下げる方向に変更される。
これらの工程S521およびS522を、コントローラ265で生成すべき電圧信号が示す駆動周波数がテーブル情報TBLの周波数と一致しない限りは、繰り返し行う。
これにより、連続駆動によって振動体20Aが発熱した場合や、周囲温度の変化、あるいは電子時計1の姿勢変化による負荷の変動などで振動体20Aの共振点が変わり、振動特性が変化した場合にも良好に対応できる。
なお、事前に実施された初期化モードM1において、位相差の逆転が生じない場合は、本実施形態では、電圧信号が示す駆動周波数がテーブル情報TBL内の周波数と一致するか否かの判定(S522)は行わず、検出信号の入力ごとにコントローラ265が生成する電圧信号を制御する(S521)。
ただし本実施形態では、位相差の逆転が生じない場合は記憶手段657のテーブル情報TBLは空であるため、位相差の逆転が生じる生じないに関わらず、電圧信号が示す駆動周波数とテーブル情報TBLとを照合し、判定(S522)を行うこととしても、工程S522で常に「NO」と判定され、正常に駆動制御が行われる。
一方、コントローラ265で生成すべき電圧信号がテーブル情報TBL(図18)の周波数と一致した場合は(YES)、当該電圧信号の生成、出力処理をクランプする(S523)。
これに伴い、電圧制御発振器51が発振する駆動信号の周波数が維持され、駆動周波数の位相差への追従が規制されるため、駆動周波数がクランプ周波数T2を経て位相差逆転周波数T1に達し、位相差に基く駆動周波数の追従方向が逆転することを防止できる。
ここで仮に、駆動周波数の位相差への追従が規制されない場合は、圧電アクチュエータ20の駆動状態が位相差可逆範囲R1における駆動状態Q3を経て、駆動状態Q4に移行する可能性がある。この駆動状態Q4では、最適駆動状態Gに近づけるように、駆動周波数を下げる必要があるにも関わらず、位相差が目標位相差θに対して大(+)であることから、位相差が減少するよう、駆動周波数が上げる方向に変更されてしまう。
すなわち、逆転ポイントPt1の前後で、目標位相差θに対する位相差の大小に基く駆動周波数の追従方向が逆転しているから、駆動周波数が適切な向きとは逆方向に変更され、駆動状態Q4から駆動状態Q5へと、最適駆動状態Gとは離れる方向に駆動状態が移行してしまう。この駆動状態Q4とQ5との間で、位相差の増減傾きが変わり、以降、目標位相差θと位相差レベルが同じである復帰ポイントPt2の前後で、位相差フィードバックにより駆動周波数が変更され、圧電アクチュエータ20の駆動状態は、最適駆動状態Gから遠ざかることはあっても、最適駆動状態Gの近傍に戻ることは殆んど不可能な状態となる。
このような不具合を防止するため、位相差への駆動周波数の追従を前述のように規制している。
ここで、位相差への追従や温度変化によって駆動周波数が振れる幅よりも大きい幅(0.5kHz)で位相差逆転周波数T1から離れたクランプ周波数T2を設定し、前述のように、駆動周波数をクランプ周波数T2に達しないように規制することで、位相差の評価が逆転した状態でフィードバック制御が行われることを確実に防止できる。
なお、クランプ(S523)後は、工程S521に戻って次の検出信号に応じた処理を継続し、工程S522で「NO」の場合には、駆動信号の周波数を位相差に追従させる。
以上により、駆動周波数を固定することなく位相差に追従させて、温度変化などによる振動体20Aの振動特性の変化に対応できるとともに、位相差に逆転現象が生じる場合であっても、誤った方向に駆動周波数が制御されることなく、圧電アクチュエータ20を安定的に駆動制御できる。
ここで、記憶手段657におけるテーブル情報TBL(図18)には、位相差可逆範囲R1のほかに、位相差復帰範囲R2における周波数のデータも格納されており、この位相差復帰範囲R2における値は、次のような場合に使用される。
例えば、クランプ周波数T2が参照されてコントローラ265における電圧信号の出力がクランプされた際に、復帰ポイントPt2よりも高周波数側の駆動範囲J(図16)に遷移して駆動する必要がある場合などは、この位相差復帰範囲R2における周波数を参照し、駆動状態が不安定とならないように、駆動周波数を規制することが望ましい。すなわち、位相差に駆動周波数を追従させる処理において、駆動周波数を変更する前に、変更しようとする駆動周波数が位相差復帰範囲R2における値と一致するか否かを判定し、一致する場合は、駆動周波数を維持するために処理をクランプする。
このような駆動制御を行えば、駆動制御が不安定となる位相差逆転範囲Zを除いた状態で、駆動制御を安定的に行うことが可能となる。
また、復帰ポイントPt2よりも高周波数側に最適駆動状態があり、駆動範囲Jで圧電アクチュエータ20を駆動する必要がある場合も同様に、この位相差復帰範囲R2を参照して駆動周波数を規制する処理を行えばよい。
なお、駆動周波数掃引時の位相差が図16に示すように、増加、減少を繰り返し、位相差の増減傾きが一定でない場合、設定された目標位相差(例えば図16中のθ´)に対する位相差の評価の逆転現象が複数箇所で生じる場合も考えられる。
このような場合には、これらの逆転箇所における位相差可逆範囲および位相差復帰範囲の駆動周波数についてもテーブル情報TBL(図18)に追加し、駆動制御することを検討できる。
このようにすれば、位相差が逆転する範囲を除いた、駆動周波数をスイープさせる230kHz〜280kHzの全範囲において、駆動制御装置50Dにより圧電アクチュエータ20を駆動制御することが可能となる。
図21は、圧電アクチュエータ20における駆動特性を示すグラフであり、図22は、図21と比較するために、この圧電アクチュエータ20において、駆動周波数の規制を行わなかった際の駆動特性を示すグラフである。これら図21、図22において、圧電アクチュエータ20の連続駆動時間を横軸にとった。
駆動周波数の規制を実施すると、連続駆動により、振動体20Aの発熱が生じやすい環境であるにも関わらず、図21に示すように、駆動周波数の上下の振れが抑制され、ロータ30の回転数も安定している。これに対して、図22では、振動体20Aの発熱に伴う温度変化などに起因して、駆動周波数が上下しており、上下に変化する部分ではロータ30の回転数が上がらず、駆動状態が非常に不安定であることがわかる。
すなわち、前述した駆動制御装置50Dによる駆動周波数の規制により、温度変化等に関わらず、圧電アクチュエータ20の駆動制御が安定することが確認できた。
[第5−3.本実施形態による効果]
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(10)圧電アクチュエータ20の駆動制御装置50Dが備えるコントローラ265において、位相差検出手段60で検出された位相差に駆動信号の周波数を追従させるにあたり、初期化モードM1で記憶手段657に記憶されたテーブル情報TBLを参照し、位相差に追従すると駆動周波数がクランプ周波数T2に達する場合は駆動周波数の位相差への追従をクランプするように、駆動周波数の規制が実施される。このため、駆動周波数を掃引した際に、目標位相差θに対する位相差の大小の評価に逆転が生じている場合でも、駆動周波数が逆方向に変更される異常な処理を未然に防止でき、駆動制御を安定的に実施できる。
(11)コントローラ265による駆動周波数の掃引時に、位相差逆転周波数T1から最適駆動状態G側に0.5kHz離れたクランプ周波数T2を設定し、このクランプ周波数T2の値とならないように、駆動周波数の位相差への追従が制御されるため、駆動周波数の変動によって駆動状態が逆転ポイントPt1に近づいても、位相差の評価の逆転現象により駆動周波数を適切でない方向に追従させることを確実に防止できる。
なお、クランプ周波数T2は、振動体20Aの短辺が約1.98mm、長辺が約7mmで、目標位相差が約100°、駆動周波数が約250kHzの場合、位相差逆転周波数T1から0.3〜0.7kHzの範囲で離れていることが好ましい。
すなわち、クランプ周波数T2が0.7kHzを超えるほど位相差逆転周波数T1から離れている場合は、周囲の温度や負荷が少しでも変動すると、駆動周波数の位相差への追従が停止され、以降、温度や負荷に応じた駆動周波数の制御は行われないから好ましくない。すなわち、温度や負荷の変動によって駆動状態が不安定となり、駆動制御が低下するおそれがある。
一方、クランプ周波数T2が位相差逆転周波数T1から離れている量が、0.3kHz未満の場合は、周波数を位相差に基いて可変に制御する関係上、駆動周波数が位相が逆転する周波数範囲に変更されることを未然に防止できず、駆動制御が不安定となる。
(12)コントローラ265は、駆動開始時に実行される初期化モードM1を有し、初期化モードM1時に、位相差可逆範囲R1における周波数が列挙されたテーブル情報TBLを記憶手段657に記憶することから、圧電アクチュエータ20の起動時ごとに、記憶手段657の位相差可逆範囲R1の情報を更新することができ、圧電アクチュエータ20の最新の状態に基いて、駆動制御を実施することが可能となる。
ここで、初期化モードM1を、例えば、数時間ごとなど、所定の間隔で実行することも検討できる。
また、位相差可逆範囲R1の周波数がテーブル情報TBLとして記憶手段657に予め記憶されたので、コントローラ265において、クランプ周波数T2、復帰時クランプ周波数T4等を、位相差がフィードバックされる都度設定することが不要となり、構成を簡略化できる。
(13)腕時計である電子時計1に駆動制御装置50Dを組み込んだことで、温度や負荷の変動に関わらず、安定した駆動制御を行うことができ、前述の効果を大きいものとできる。
本実施形態の駆動制御装置50Dは、温度変化が激しい屋外などの環境で使用されたり、携行され姿勢に応じて負荷が変わる腕時計に適し、特に、大パワーが投入される或いは連続駆動によって発熱しやすい秒針駆動に好適である。これにより、正確で安定した運針を実現できる。
(14)圧電アクチュエータ20の圧電素子22に供給される駆動信号の周波数が縦振動の共振周波数fr1と屈曲振動の共振周波数fr2との間にあるため、縦振動および屈曲振動の双方の振幅を大きくして、圧電アクチュエータ20の駆動効率を向上させることができるとともに、1つの駆動信号により圧電アクチュエータ20を駆動するため、構成を簡略にできる。
そのうえ、このように共振を利用する場合には駆動周波数の範囲が狭く、駆動周波数の制御が困難であって、温度変化などで共振点がずれることで駆動状態が不安定となりやすいため、駆動制御装置50Dによって駆動制御の安定性が確保されることの効果は大きい。
また、駆動制御装置50Dは、圧電アクチュエータ20以外にも、共振を利用する圧電アクチュエータの駆動制御装置として、汎用的に利用できる。
(15)そして、通常、電子時計1における時針4、分針5、秒針6などの駆動手段はステッピングモータであるが、このステッピングモータを圧電アクチュエータ20に置き換えることが可能となり、これによって電子時計1の一層の薄型化が実現できるとともに、圧電アクチュエータ20はステッピングモータよりも磁性の影響を受けにくいことから、電子時計1の高耐磁化をも図ることができる。
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
第5実施形態では、圧電アクチュエータ20を最大効率で駆動するための駆動制御を行っていたが、本実施形態は、圧電アクチュエータ20で駆動される被駆動体の駆動量を調整可能に駆動制御する点で前記実施形態とは相違する。
図23は、本実施形態における圧電アクチュエータ20の駆動制御装置50Eの構成を示すブロック図である。
駆動制御装置50Eは、前述の駆動制御装置50D(図14)の構成に加えて、圧電アクチュエータ20部分を流れる電流を検出する電流検出器71と、電流指令値を出力する電流指令値源72と、電流検出器71で検出された電流値と、電流指令値源72から出力された電流指令値とに基いて、コントローラ265に対して制御信号を出力する電流制御器73とを備える。
そして、コントローラ265では、電流制御器73からの出力信号を基に、電圧制御発振器51に電圧信号を出力する。つまり、本実施形態では、圧電アクチュエータ20の電流値によるフィードバック制御が行われる。
このような本実施形態では、前述の効果に加えて、次のような効果も得られる。
(16)コントローラ265が電圧制御発振器51に出力する電圧信号が圧電アクチュエータ20における電流値を基に調整可能となるので、圧電アクチュエータ20における振動状態を制御可能となり、これによってロータ30の回転数などを制御することができる。このため、速度調整(スピードコントロール)が必要なロータ30を始めとする被駆動体の駆動源としても圧電アクチュエータ20を利用できる。また、このような電流値のフィードバックにより、圧電アクチュエータ20を安定して駆動制御することができる。
〔第7実施形態〕
次に本発明の第7実施形態について説明する。
本実施形態では、第6実施形態とは異なる手段により、第6実施形態と略同様に、圧電アクチュエータ20の被駆動体であるロータの回転数が調整可能に駆動制御される。
図24は、本実施形態の駆動制御装置50Fを示す。
駆動制御装置50Fは、前述の駆動制御装置50D(図14)の構成に加えて、ロータの回転数を検出する回転数検出器81と、回転数指令値を出力する回転数指令値源82と、回転数検出器81で検出された回転数と、回転数指令値源82から出力された回転数指令値とに基いて、コントローラ265に対して制御信号を出力する回転数制御器83とを備える。
回転数検出器81は、例えば、第1実施形態においてロータ30と一体の歯車41(図2)の回転数を検出する回転センサ15を含んで構成される。
このような本実施形態では、第5実施形態で得られる効果に加えて、次のような効果も得られる。
(17)前記第6実施形態では、圧電アクチュエータ20を流れる電流値に基づいてコントローラ265が制御を行っていたが、圧電アクチュエータ20は摩擦によってロータ30を回転駆動するため、すべり等が生じる可能性もあり、電流値の制御だけでは多少の誤差が生じる虞があった。これに対して本実施形態の構成によれば、直接ロータ30ないし歯車41の回転数を検出しているので、より正確な駆動制御を行うことができる。
〔第8実施形態〕
次に本発明の第8実施形態について説明する。
図25に示す本実施形態の駆動制御装置50Gは、第6実施形態の電流値に基づく駆動制御と、第7実施形態の回転数に基づく駆動制御とを組み合わせたものである。
すなわち、駆動制御装置50Gは、電流検出器71、電流制御器73、回転数検出器81、回転数指令値源82、回転数制御器83を備えている。
回転数制御器83は、回転数指令値源82からの回転数指令値と、回転数検出器81で検出される回転数とに基いて電流制御器73に電流指令値を出力する。
電流制御器73は、回転数制御器83からの電流指令値と、電流検出器71で検出された電流値とに基づいてコントローラ265に制御信号を出力する。
従って、本実施形態におけるフィードバック制御では、ロータ回転数に基づく制御ループがメジャーループとされ、電流値に基づく制御ループがマイナーループとされている。
このような本実施形態では、前記第5〜7の各実施形態で得られる効果に加えて、次のような効果も得られる。
(18)圧電アクチュエータ20によって回転駆動されるロータ30の回転数と、圧電アクチュエータ20を流れる電流値との2つのパラメータに基づいて圧電アクチュエータ20における振動状態を制御しているので、ロータの回転数(回転速度)をより正確に制御することができる。
〔第9実施形態〕
次に、本発明の第9実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態の特徴と、第5実施形態の特徴とを併せ持つ。本実施形態で説明する圧電アクチュエータの駆動制御装置および駆動制御方法は、前述した第1実施形態等と同様に、時計1の秒クロノグラフ針7Aを駆動する圧電アクチュエータ20に適用できる。したがって、第1実施形態で示した図1〜図3および図5を参照し、これに加えて、図26〜図29を参照する。
[第9−1.圧電アクチュエータの駆動装置の構成]
図26は、本実施形態の圧電アクチュエータの駆動制御装置50Hの構成を示す。
図27は、制御手段としてのコントローラ365の構成概略図であり、コントローラ365は、周波数制御手段651、最適位相差取得手段652、頻度制御手段653、位相差逆転検出手段655、クランプ手段656、および記憶手段658の各構成を含んで構成されている。ここで、最適位相差取得手段652と位相差逆転検出手段655とを有して初期設定手段が構成されている。
記憶手段658には、前述の記憶手段654(図6)の内容と記憶手段657(図15)の内容と略同様の内容、すなわち、圧電アクチュエータ20が起動した時からの連続駆動時間(例えば1時間)と、駆動周波数のテーブル情報とが記憶される。
ここで、記憶手段658に記憶されるテーブル情報には、振動体20Aに供給する駆動信号の周波数を掃引した際に最適位相差に再度達した場合、前掲の図18のように、位相差の逆転に係るクランプ周波数が記憶されている。すなわち、前掲の図16および図17のように、本実施形態では、ロータ30の回転数が略最大となる最適駆動状態(所定の駆動状態)Gにおける位相差を最適位相差(図16、図17におけるθ参照)としており、前述した位相差逆転周波数T1、クランプ周波数T2、復帰周波数T3、および復帰時クランプ周波数T4を含んだ位相差可逆範囲R1および位相差復帰範囲R2における周波数が記憶手段658に列挙されて記憶されている。
[第9−2.圧電アクチュエータの駆動制御]
次に、駆動制御装置50Hによる圧電アクチュエータ20の作用について、図28および図29に示すフローチャートを参照して説明する。
駆動制御装置50Hのコントローラ365は、図28に示す最適位相差取得工程P1、位相差逆転検出工程P4、および図29に示す駆動工程P5をそれぞれ実行する。
なお、最適位相差取得工程P1と位相差逆転検出工程P4とを有して初期設定工程が構成されている。
[第9−2−1.頻度制御手段の作用]
コントローラ365は、頻度制御手段653のタイマ機能により、図28に示すように、圧電アクチュエータ20の起動時からの経過時間T、すなわち連続駆動時間を確認し(ステップS11)、最適位相差取得工程P1および位相差逆転検出工程P4を所定頻度で実施する。すなわち、連続駆動時間の確認(ステップS11)において、圧電アクチュエータ20の起動時からの経過時間Tがコントローラ65の記憶手段658にメモリされた連続駆動時間Nに達した場合は(YES)、最適位相差取得工程P1を実施する一方、達していない場合は(NO)、図8に示す駆動工程P5に移行する。
なお、経過時間Tは、圧電アクチュエータ20の起動時に「0」で初期化される。
[第9−2−2.最適位相差取得工程]
最適位相差取得工程P1では、コントローラ365の最適位相差取得手段652により、ロータ30を駆動制御して圧電アクチュエータ20の所望の駆動状態(本実施形態では、駆動効率(ロータ30の回転数)が略最大となる状態)を調べる。
具体的に、電圧制御発振器51で発振する駆動信号の周波数をまず低周波数(本実施形態では230kHz)にセットするとともに(ステップS21)、電流制限0の状態とし、回転センサ15(図2)から入力される回転数に基いてロータ30の回転速度を検出する(ステップS22)。この回転速度の検出では、回転数を保持する変数を2つ(Z0、Z1)使用して、回転速度を検出する度、その回転数をZ0に代入するとともに、Z0とZ1との比較において、Z0がZ1よりも大である場合に、Z0をZ1に代入する。これにより、駆動周波数を掃引する過程における暫定の最大回転速度に係る回転数がZ1に逐次代入、更新される。
この後、Z0とZ1とを比較し(ステップS23)、Z0(今回検出時の回転数)がZ1(暫定の最大回転速度に係る回転数として保持する値)と同じ、あるいはZ1よりも小さい場合は(NO)、回転速度のピークは未だ検出されていないので、駆動周波数を所定幅で上げ(ステップS24)、掃引(スイープ)を続行する。本実施形態では、掃引時の駆動周波数の上げ幅は0.5kHzで、駆動周波数は230kHzから280kHzまで一方向に掃引される。なお、この駆動周波数掃引の際、高周波数から低周波数に下げることも可能である。
一方、ステップS23においてZ0がZ1よりも小さい場合は(YES)、回転速度がピークを超えたと判断できるので、前回検出時までのデータにより暫定保持していたZ1を最大回転速度(最大駆動効率)を表す回転数として決定し、次のステップS25に進む。
ステップS25で回転数がZ1となる周波数fdに固定し、この状態において、位相比較器63で位相差を測定する(ステップS26)。ここで測定された位相差を最適位相差として規定し、コントローラ65の記憶手段654に記憶する(ステップS27)。ここで記憶した最適位相差に基いて、次の位相差逆転検出工程P4を行う。
位相差逆転検出工程P4では、駆動周波数を掃引した際に最適位相差(図16、図17のθ参照)に再度達して位相差の大小の評価が逆転する現象が生じているか否かを判定する(S41、S42)。ここで、最適位相差(θ)を位相シフト器62に設定する。
これらの工程S41、S42では、具体的に、コントローラ365の位相差逆転検出手段655により、電圧制御発振器51で発振する駆動信号の周波数を230kHzから280kHzまで一方向に掃引(スイープ)しながら、位相差検出手段60を通じて位相差フィードバック処理を実施する。そして、図16に例示したように、位相差の逆転現象が生じている場合は、この位相差逆転に係るクランプ手段656による判定結果は、「YES」となり、テーブル情報TBL(図18)を作成し(S43)、このテーブル情報TBLを記憶手段657に記憶する(S44)。
一方、位相差の逆転現象が生じていない場合は、位相差逆転の判定結果は、「NO」となり、本実施形態では、記憶手段658におけるテーブル情報TBLのデータを消去する。
以上の最適位相差取得工程P1および位相差逆転検出工程P4が終了したら、経過時間Tを「0」にリセットし(ステップS28)、駆動工程P5に移行する。
[第9−2−3.駆動工程]
図29に示す駆動工程P5では、コントローラ365により、先ず、前述の最適位相差取得工程P1で記憶手段658に記憶された最適位相差を位相シフト器62(図26)にセットする(ステップS31)。そして、駆動周波数を230kHzから掃引し(ステップS32)、位相差検出手段60および周波数制御手段651(図26)を通じて、位相差フィードバック制御を実施する。具体的に、位相比較器63から出力される位相差が「0」、つまり、位相シフト器62にセットされた最適位相差に位相差が一致するまで(ステップS33)、前述と同様の上げ幅で駆動周波数をスイープする(ステップS34)。
こうして、位相差が最適位相差に一致したら(ステップS33においてYES)、以降、位相差検出手段60を通じて同様に、位相差フィードバック制御を行い、検出信号と駆動信号との位相差に駆動信号の周波数を追従させる位相差フィードバック工程S35を行う。すなわち、位相比較器63からの出力が零、つまり位相差が最適位相差となるように、周波数制御手段651により、電圧制御発振器51に入力する電圧信号を制御する。ここで、電圧信号を生成して電圧制御発振器51に出力するにあたり、生成しようとする電圧信号が示す駆動周波数が、テーブル情報TBL(図18)の周波数と一致するか否かを判定する(S522)。
生成しようとする電圧信号が示す駆動周波数がテーブル情報TBLの周波数と一致しない場合(NO)、この電圧信号を生成して電圧制御発振器51に出力し、その結果、電圧制御発振器51が発振する駆動信号の周波数が変更される。
すなわち、駆動状態がQ1(図17)のとき、最適位相差(図17のθ参照)に対して位相差が大であるプラスの偏差D1(図17)が存在し、この場合は、位相差が減少するように、駆動周波数は上げる方向に変更される。また、駆動状態がQ2のとき、目標位相差(θ)に対して位相差が小であるマイナスの偏差D2(図17)が存在し、この場合は、位相差が増加するように、駆動周波数は下げる方向に変更される。
これらの工程S35およびS522を、コントローラ365で生成すべき電圧信号が示す駆動周波数がテーブル情報TBLの周波数と一致しない限りは、繰り返し行う。
なお、事前に実施された位相差逆転検出工程P4において、位相差の逆転が生じない場合は、本実施形態では、電圧信号が示す駆動周波数がテーブル情報TBL内の周波数と一致するか否かの判定(S522)は行わず、検出信号の入力ごとにコントローラ365が生成する電圧信号を制御する(S35)。
一方、コントローラ365で生成すべき電圧信号がテーブル情報TBL(図18)の周波数と一致した場合は(YES)、当該電圧信号の生成、出力処理をクランプする(S523)。
これに伴い、電圧制御発振器51が発振する駆動信号の周波数が維持され、駆動周波数の位相差への追従が規制されるため、駆動周波数がクランプ周波数T2を経て位相差逆転周波数T1に達し、位相差に基く駆動周波数の追従方向が逆転することを防止できる。これにより、位相差の評価が逆転した状態でフィードバック制御が行われることを確実に防止できる。
なお、クランプ(S523)後は、工程S35に戻って次の検出信号に応じた処理を継続し、工程S522で「NO」の場合には、駆動信号の周波数を位相差に追従させる。
そして、位相差フィードバック工程S35、S522、S523の一連の処理の度に、コントローラ365における経過時間Tを示す駆動時間計時変数を1つカウントアップする(ステップS351)。
以上の駆動工程P5は、駆動終了を示す信号がコントローラ365に入力されるまで(ステップS36)、または秒クロノグラフ針7Aの回転方向の切替を示す信号がコントローラ365に入力されるまで(ステップS38)、継続される。
ここで、圧電アクチュエータ20の駆動制御に際しては、駆動信号と検出信号との位相差を指標(最適位相差)として、位相差フィードバック制御が行われるが、前掲の図9のように、圧電アクチュエータ20の連続駆動による磨耗や発熱などの経時変化により、圧電アクチュエータ20の振動特性が変化し、駆動制御装置50Hの制御において指標となるべき最適位相差そのものが変わり、適正トルクが得られない場合がある。
また、このような経時変化により、位相差逆転周波数T1やクランプ周波数T2なども変化し、駆動制御に影響する。
このような圧電アクチュエータ20の駆動特性の経時変化に対応して、駆動工程P5における位相差フィードバック制御が所定時間経過すると、コントローラ65の頻度制御手段653は、経過時間Tが連続駆動時間Nに達したと判定し(図29のステップS37)、図28に示した最適位相差取得工程P1および位相差逆転検出工程P4を再び実施する。すなわち、最適位相差取得工程P1は、コントローラ365に記憶された連続駆動時間(1時間)ごとに繰り返し実施され、最適位相差として規定される値が更新される。また、位相差逆転検出工程P4も、コントローラ365に記憶された連続駆動時間(1時間)ごとに繰り返し実施され、記憶手段658に保持される位相差逆転周波数T1やクランプ周波数T2などの値が更新される。
このように、経時変化による共振点のずれなどに対応して、最適位相差として保持する値、位相差逆転周波数T1、およびクランプ周波数T2などが補正されるので、最適位相差を前提とする駆動制御装置50Hの駆動制御が適切に実施される。
ここで、前述のように駆動電極221,222,223に選択的に駆動信号が供給されることにより、圧電アクチュエータ20はロータ30を正方向および逆方向に駆動することが可能に構成されているが、縦振動と屈曲振動との位相差の合成が正方向への駆動時と逆方向への駆動時とでは対称とならず、駆動特性が互いに異なる場合が多い。
このため、秒クロノグラフ針7Aの正逆回転方向についてのユーザ操作時や、所定時間の経過、時刻補正時など、正逆回転回路522(図26)を通じて正回転/逆回転の切替を示す信号がコントローラ365に入力された際にも(S38でYES)、図28に示した最適位相差取得工程P1および位相差逆転検出工程P4(これらの工程P1およびP2により初期設定工程が構成されている)を再び実施する。
このように駆動制御される圧電アクチュエータ20の駆動特性は、前掲の図21と略同様となる。
[第9−3.本実施形態による効果]
本実施形態では、前述した第1実施形態および第5実施形態により得られる効果に加えて、次のような効果も得られる。
(19)最適位相差取得工程P1と位相差逆転検出工程P4とをコントローラ365によって所定頻度で行うことにより、磨耗などの経時変化や温度変化などで共振点とともに最適位相差が変化することと、圧電アクチュエータ20の振動特性として周波数掃引時に位相差が逆転する場合があることとに良好に対処できる。したがって、秒クロノグラフ針7Aを圧電アクチュエータ20で長時間連続で駆動する際も、正確にかつ安定的な駆動を実現できる。また、圧電アクチュエータ20が組み込まれた時計1の使用環境を問わない。すなわち、圧電アクチュエータの利用範囲をより一層拡大でき、信頼性向上や低コスト化に繋げることができる。
(20)また、秒クロノグラフ針7Aの正回転/逆回転が切替えられた際には(S38)、圧電アクチュエータ20起動からの連続駆動時間の経過(S37)に関わらず、最適位相差取得工程P1および位相差逆転検出工程P4を実施することとしたので、ロータ30を正方向に駆動する際と逆方向に駆動する際とで振動体20Aの振動挙動特性が異なる場合であっても、最適位相差、位相差逆転周波数、およびクランプ周波数などの更新により、駆動制御装置50Hによる圧電アクチュエータ20の駆動制御の適切さおよび安定性を確保できる。
(21)なお、縦振動の共振点(図5のfr1)と屈曲振動の共振点(図5のfr2)との間の周波数の単相の駆動信号が振動体20Aに供給されることにより、縦振動の位相と屈曲振動の位相とが合成され、位相差の逆転現象が生じ易くなると考えられるため、前述したような位相差逆転周波数の検出と、これに基くクランプ処理とによって安定駆動を実現できることの効果をより大きくできる。
[第9−4.本実施形態の変形例]
以上の第9実施形態では、最適位相差取得工程P1(図28)が駆動周波数の掃引(スイープ)を実施するステップ(S21およびS24)を有するとともに、位相差逆転検出工程P4も駆動周波数の掃引を実施するステップ(S41)を有し、これら駆動周波数の掃引に係る処理(S24およびS24とS41とのこと)において掃引される駆動周波数の幅は230kHz〜280kHzで共通していた。
ここで、図30、図31を参照し、本実施形態における変形例について説明する。
図30には、駆動周波数掃引ステップ(S21およびS24と、S41´)における掃引幅が異なる例を示した。すなわち、最適位相差取得工程P1におけるステップS21およびS24における掃引幅は図28の場合と変わらないが、次の位相差逆転検出工程P4におけるステップS41´では、最適位相差取得工程P1で取得された最適位相差と、経時変化により共振点が変化して駆動信号と検出信号との位相差が変動し得る範囲と、位相差フィードバックに基く周波数可変駆動制御において駆動周波数が変動し得る範囲とに基いて、所定の周波数掃引幅を設定し(S40)、この掃引幅(例えば245kHz〜260kHz)で掃引を行う(S41´)。なお、ステップS40では、例えば図9などに示した経時変化による共振点の変化などに鑑みて、駆動周波数の掃引幅を設定する。S41´で示した掃引幅は一例に過ぎない。
また、図31には、駆動周波数掃引ステップ(S21およびS24と、S41)を1つにまとめた(最適位相差取得・位相差逆転検出工程P6)例を示した。この場合、S21´で掃引開始する周波数を例えば245kHzとし、最大回転数が検出された際の(S23でYES)駆動周波数fdまで掃引して(S24)最適位相差を取得する(S27)までの過程において、位相差の逆転をも検出する(S61)。これに加え、最適位相差を取得した後のステップS41´´において、最適位相差に対応する駆動周波数fdから例えば260kHzまで駆動周波数を掃引し、最適位相差に再度達して位相差の大小の評価が逆転する現象が生じているか否かを判定する(S42)。ここで、ステップS21´からS27における掃引幅と、ステップS41´´における掃引幅とは重複しない。この図31の場合は、最適位相差を実現する駆動周波数および位相差の逆転が生じる駆動周波数をある一定範囲に想定し、経時変化により変動し得る範囲および位相差フィードバック処理により変動し得る範囲に応じた駆動周波数の幅で、掃引を実施している。
この図31のような構成は、特に、コントローラ365をプログラムで構成し、このプログラムを情報処理装置に読み込んで処理することによって容易に実現できる。
これらの図30、図31のような方法によれば、駆動周波数の掃引を重複して同じ駆動周波数幅で行わないので、最適位相差取得工程P1および位相差逆転検出工程P4に要する時間を短縮できる。これにより、これら最適位相差取得工程P1および位相差逆転検出工程P4を行うことによる秒クロノグラフ針7Aの運針への影響を小さくできる。
〔第10実施形態〕
次に、本発明の第10実施形態について説明する。
第9実施形態では、圧電アクチュエータ20を最大効率で駆動するための駆動制御を行っていたが、本実施形態は、圧電アクチュエータ20で駆動される被駆動体の駆動量を調整可能に駆動制御する点で前記各実施形態とは相違する。
図32は、本実施形態における圧電アクチュエータ20の駆動制御装置50Iの構成を示すブロック図である。
駆動制御装置50Iは、前述の駆動制御装置50H(図26)の構成に加えて、圧電アクチュエータ20部分を流れる電流を検出する電流検出器71と、電流指令値を出力する電流指令値源72と、電流検出器71で検出された電流値と、電流指令値源72から出力された電流指令値とに基いて、コントローラ365に対して制御信号を出力する電流制御器73とを備える。
このような本実施形態によれば、第9実施形態による効果に加えて、前述の第2実施形態の駆動制御装置50A(図10)によるものと略同様の効果を奏する。
〔第11実施形態〕
次に本発明の第11実施形態について説明する。
本実施形態では、第10実施形態とは異なる手段により、第10実施形態と略同様に、圧電アクチュエータ20の被駆動体であるロータの回転数が調整可能に駆動制御される。
図33は、本実施形態の駆動制御装置50Jを示す。
駆動制御装置50Jは、前述の駆動制御装置50H(図26)の構成に加えて、ロータの回転数を検出する回転数検出器81と、回転数指令値を出力する回転数指令値源82と、回転数検出器81で検出された回転数と、回転数指令値源82から出力された回転数指令値とに基いて、コントローラ365に対して制御信号を出力する回転数制御器83とを備える。
回転数検出器81は、例えば、ロータ30と一体の歯車41(図2)の回転数を検出する回転センサ15を含んで構成される。
図34は、本実施形態における最適位相差取得工程P1´を示すフローチャートである。
最適位相差取得工程P1´ではまず、回転数検出器81を0セット(ゼロセット)する(ステップS20)。次いで、前述の最適位相差取得工程P1(図28)と同様、ステップS21〜ステップS27を実施し、最適位相差S27を取得した(S27)後、位相差逆転検出工程P4を実施し、この後、経過時間Tをリセットする(S28)。このS21〜S28の間、回転数検出器81によるロータ30の回転数検出を継続して行う。
そして、最後に、回転数検出器81、回転数指令値源82、および回転数制御器83により、ステップS20の時点から回転したロータ30を回転数「0」になるまで逆転する(移動量復帰工程;ステップS29)。この後、駆動工程P5(図29)に移行する際は、最適位相差取得工程P1´および位相差逆転検出工程P4の所要時間が加味された指令値が回路基板の計時部ブロックを介して回転数指令値源82に入力されるので、回転数制御器83により、ロータ30の回転数が調整される。
なお、回転数検出器81によるロータ30の回転数検出は、駆動工程P5においても、継続的に実施する。
このような本実施形態によれば、第9実施形態による効果に加えて、前述の第3実施形態の駆動制御装置50B(図11)によるものと略同様の効果を奏する。
〔第12実施形態〕
次に本発明の第12実施形態について説明する。
図35に示す本実施形態の駆動制御装置50Kは、第10実施形態の電流値に基づく駆動制御と、第11実施形態の回転数に基づく駆動制御とを組み合わせたものである。
すなわち、駆動制御装置50Kは、電流検出器71、電流制御器73、回転数検出器81、回転数指令値源82、回転数制御器83を備えている。
回転数制御器83は、回転数指令値源82からの回転数指令値と、回転数検出器81で検出される回転数とに基いて電流制御器73に電流指令値を出力する。
電流制御器73は、回転数制御器83からの電流指令値と、電流検出器71で検出された電流値とに基づいてコントローラ365に制御信号を出力する。
従って、本実施形態におけるフィードバック制御では、ロータ回転数に基づく制御ループがメジャーループとされ、電流値に基づく制御ループがマイナーループとされている。
このような本実施形態によれば、第9実施形態による効果に加えて、前述の第4実施形態の駆動制御装置50C(図13)によるものと略同様の効果を奏する。
〔本発明の変形例〕
本発明は、前述の各実施形態に限定されるものではなく、各種の変形や改良が許容される。
図36は、第1実施形態で説明した駆動工程P2(図8)と置換可能な駆動工程P2´
を示す(第1変形例)。駆動工程P2´では、駆動工程P2が有する位相差フィードバック工程S35を行わず、その代りに、駆動周波数を固定して駆動制御する(ステップS75)。
このように、駆動工程では、必ずしも、位相差フィードバック制御を採用する必要はなく、駆動周波数は固定されていてもよい。
また、図37は、第9実施形態で説明した駆動工程P5(図29)と置換可能な駆動工程P5´を示す(第2変形例)。駆動工程P5´では、駆動工程P5が有する位相差フィードバック工程S35を行わず、その代りに、駆動周波数を固定して駆動制御する(ステップS75)。
このように、位相差逆転検出を行うにしても、駆動工程では、必ずしも、位相差フィードバック制御を採用する必要はなく、駆動周波数は固定されていてもよい。
以上において、最適位相差を所定頻度で取得するにあたり、任意の手段により、時間や起動回数、所定の動作を行った回数をカウントする必要があるが、この際、カウント中の値を圧電アクチュエータの非駆動時にも不揮発性のメモリなどに保持し、再度、圧電アクチュエータを起動したときに、途中までカウントされた値をカウントアップしてもよい。これにより、圧電アクチュエータの起動時に無条件に最適位相差取得工程を実施する必要がなくなり、圧電アクチュエータの駆動が短いスパンで繰り返され、駆動時間や回数が累積した場合にも、磨耗状態などに応じて変動し得る最適位相差の取得を所定の頻度で確実に実施できる。
前記各実施形態では、駆動制御装置50のコントローラ65が、周波数制御手段、最適位相差取得手段、頻度制御手段、位相差逆転検出手段、クランプ手段、および記憶手段の各構成を含んで制御手段として構成されていたが、これらの各手段は、別々のコントローラに実装されていてもよく、任意に構成できる。コントローラ65は、ハードウェアのみならず、ソフトウェアによって構成されていてもよい。
そして、頻度制御手段により規律される最適位相差取得工程P1が実施される頻度は、前記各実施形態では、1時間ごとであったが、頻度として設定する時間は、1時間に限られない。被駆動体の負荷の大小などに応じて、例えば、数分〜数時間の範囲で適宜決められる。また、初期状態からの経過時間が長くなるほど、頻度を上げる、すなわち、時間間隔を狭めて最適位相差取得工程を実施するなど、経過時間の長短に応じて頻度を決めることも検討できる。
さらに、最適位相差取得工程が実施される頻度は、時間以外の要素で規定することも可能である。すなわち、圧電アクチュエータの起動回数などで頻度を決めてもよく、例えば、頻度を起動回数255回として、コントローラの記憶手段に記憶しておいてもよい。また、圧電アクチュエータの電子機器への組み込み時によって頻度を規定してもよい。この組み込み時には、振動体と被駆動体との当接部の磨耗などに伴う圧電アクチュエータの交換も含まれれる。
頻度の決め方は、被駆動体の負荷や圧電アクチュエータの動作モードなどに応じて適宜決められる。前述したロータの正回転/逆回転の別に応じて、頻度が決められていてもよい。
また、第1実施形態などでは、最適位相差は、圧電アクチュエータの駆動効率を最大とするように規定されていたが、これに限らず、最大駆動効率で駆動する必要がない場合などは、駆動効率が最大ではない所定の駆動状態に適するように、最適位相差を決めてもよい。
また、前記各実施形態における位相差検出手段60は、位相シフト器62、位相比較器63等を有し、位相シフト器62に目標位相差θが設定されており、位相比較器63からの出力が小さくなるように制御することで目標位相差に制御できていたが、これに限らず、目標位相差と、検出信号の位相と、駆動信号の位相とに基いて、目標位相差に対する検出信号と駆動信号との位相差の偏差を検出する限り、位相差検出手段の構成は任意である。例えば、位相差検出手段60(図4等)がハードウェアではなくコンピュータに制御プログラムを組み込むことで構成されている場合には、位相シフト器62を設けずに位相比較器63に目標位相差θを設定しておき、位相比較器63で直接位相差を算出してその位相差と目標位相差θとを比較し、目標位相差θに対する位相差の偏差を検出するようにしてもよい。
第5実施形態では、振動体20Aの振動特性として図16を例示して説明したが、この図16のような場合に限らず、最適駆動状態における位相差の傾きが増加方向である場合もあり、その場合は、駆動周波数を低周波数側から上げる方向に掃引した際、位相差が目標位相差から増加した後、減少し、再度、目標位相差に達する部分が逆転ポイントとなる。すなわち、この逆転ポイントにおける位相差逆転周波数から最適駆動状態側の値(位相差逆転周波数も含む)となるようにクランプ周波数を設定すればよい。
また、第1工程において駆動信号の周波数を掃引する範囲、および方向は、第5実施形態に限定されない。第5実施形態では、初期化モードM1において、駆動周波数を低周波数側から上げる方向に掃引したが、駆動周波数を高周波数側から下げる方向に掃引し、最適駆動状態Gにおける周波数から低周波側にクランプ周波数を設定してもよい。掃引する周波数の範囲も、第5実施形態のように230〜280kHzの範囲に限定されず、所望の駆動状態に応じて適宜設定できる。
また、第9実施形態で最適位相差取得工程P1および位相差逆転検出工程P4をロータ30の正回転/逆回転の切替のタイミングで行うことについて説明したが(S38)、このことは、第1実施形態や第5実施形態についても勿論適用可能であって、このように振動体の振動挙動の切替時に、初期設定工程を構成する最適位相差取得工程および位相差逆転検出工程を行うことによって、被駆動体を正方向に駆動する際と逆方向に駆動する際とで駆動特性が相違する場合に対処できる。すなわち、正方向への駆動時における駆動量(被駆動体の移動量や振動体を流れる電流で表される)と逆方向への駆動時における駆動量とを同等にしたり、所定の差を設けるなどの制御が可能となる。
本発明は、前記実施形態の電子時計に適用されるものに限らず、各種の電子機器に適用可能であり、特に小型化が要求される携帯用の電子機器に好適である。
ここで、各種の電子機器としては、時計機能を備えた電話、携帯電話、非接触ICカード、パソコン、携帯情報端末(PDA)、カメラ等が例示できる。
また、時計機能を備えないカメラ、ディジタルカメラ、ビデオカメラ、カメラ機能付き携帯電話等の電子機器にも適用可能である。これらカメラ機能を備えた電子機器に適用する場合には、レンズの合焦機構や、ズーム機構、絞り調整機構等の駆動に本発明の駆動手段を用いることができる。
さらに、計測機器のメータ指針の駆動機構や、自動車等のインパネ(instrumental panel)のメータ指針の駆動機構、圧電ブザー、プリンタのインクジェットヘッド、プリンタの紙送り機構、乗り物並びに人形などの可動玩具類の駆動機構および姿勢補正機構、超音波モータ等に本発明の駆動制御装置を用いてもよい。
また、前記各実施形態では、圧電アクチュエータ20を電子時計1の時刻を示す指針の駆動に用いていたが、これに限らず、日付や曜を表示する機構の駆動に本発明の圧電アク
チュエータを用いてもよい。
なお、前記各実施形態では、圧電アクチュエータの適用例として腕時計を例示したが、これに限定されず、本発明は、懐中時計、置時計、掛け時計などにも適用できる。これらの各種時計において、例えばからくり人形などを駆動する機構としても利用できる。
なお、被駆動体としては、回転駆動されるロータ、直線駆動されるリニア駆動体などを採用でき、被駆動体の駆動方向は限定されない。
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明の第1実施形態における時計の外観図。 前記実施形態における圧電アクチュエータユニットの斜視図。 前記実施形態における圧電アクチュエータユニットの平面図。 前記実施形態における圧電アクチュエータの駆動制御装置の構成を示すブロック図。 前記実施形態における振動体について、(A)は、駆動周波数とインピーダンスとの関係を示すグラフ、(B)は、駆動周波数と縦振動および屈曲振動の振幅との関係を示すグラフ。 前記実施形態の圧電アクチュエータの駆動制御装置が備えるコントローラの外略構成を示すブロック図。 前記実施形態の圧電アクチュエータの駆動制御装置における最適位相差取得工程を示すフローチャート。 前記実施形態の圧電アクチュエータの駆動制御装置における駆動工程を示すフローチャート。 前記実施形態における圧電アクチュエータの駆動特性の変化を示す図。 本発明の第2実施形態における圧電アクチュエータの駆動制御装置の構成を示すブロック図。 本発明の第3実施形態における駆動制御装置の構成を示すブロック図。 前記実施形態の圧電アクチュエータの駆動制御装置における最適位相差取得工程を示すフローチャート。 本発明の第4実施形態における駆動制御装置の構成を示すブロック図。 本発明の第5実施形態における圧電アクチュエータの駆動制御装置の構成を示すブロック図。 前記実施形態の圧電アクチュエータの駆動制御装置が備えるコントローラの外略構成を示すブロック図。 前記実施形態における振動体について、駆動信号の周波数掃引時の位相差、ロータの回転数、電流値の変化を示すグラフ。 図6のグラフの要部拡大図。 前記実施形態における記憶手段に記憶されたテーブル情報を示す図。 前記実施形態の圧電アクチュエータの初期化モードにおける駆動制御を示すフローチャート。 前記実施形態の圧電アクチュエータの駆動モードにおける駆動制御を示すフローチャート。 前記実施形態の圧電アクチュエータの駆動特性を示すグラフ。 図11と比較する図であって、前記実施形態の圧電アクチュエータにおいて、駆動周波数の規制を実施しなかった際の駆動特性を示すグラフ。 本発明の第6実施形態における圧電アクチュエータの駆動制御装置の構成を示すブロック図。 本発明の第7実施形態における駆動制御装置の構成を示すブロック図。 本発明の第8実施形態における駆動制御装置の構成を示すブロック図。 本発明の第9実施形態における圧電アクチュエータの駆動制御装置の構成を示すブロック図。 前記実施形態の圧電アクチュエータの駆動制御装置が備えるコントローラの外略構成を示すブロック図。 前記実施形態の圧電アクチュエータの駆動制御装置における最適位相差取得工程および位相差逆転検出工程を示すフローチャート。 前記実施形態の圧電アクチュエータの駆動制御装置における駆動工程を示すフローチャート。 前記実施形態の変形例における最適位相差取得工程および位相差逆転検出工程を示すフローチャート。 前記実施形態の他の変形例における最適位相差取得工程および位相差逆転検出工程を示すフローチャート。 本発明の第10実施形態における圧電アクチュエータの駆動制御装置の構成を示すブロック図。 本発明の第11実施形態における駆動制御装置の構成を示すブロック図。 前記実施形態の圧電アクチュエータの駆動制御装置における最適位相差取得工程を示すフローチャート。 本発明の第12実施形態における駆動制御装置の構成を示すブロック図。 本発明の第1変形例における駆動工程を示すフローチャート。 本発明の第2変形例における駆動工程を示すフローチャート。 駆動信号の周波数掃引時の位相差、ロータの回転数(駆動量)、電流値の変化を示すグラフ。
符号の説明
1・・・電子時計(時計、計時装置)、2・・・ムーブメント(計時部)、3・・・文字板(計時情報表示部)、4・・・時針(計時情報表示部)、5・・・分針(計時情報表示部)、6・・・秒針(計時情報表示部)、7A・・・秒クロノグラフ針(計時情報表示部)、7B・・・分クロノグラフ針(計時情報表示部)、20・・・圧電アクチュエータ、20A・・・振動体、22・・・圧電素子、30・・・ロータ(被駆動体)、50,50A〜50K・・・駆動制御装置、60・・・位相差検出手段、65,265,365・・・コントローラ(制御手段)、651・・・周波数制御手段、652・・・最適位相差取得手段、653・・・頻度制御手段、654,657,658・・・記憶手段、655・・・位相差逆転検出手段、656・・・クランプ手段、P1,P1´・・・最適位相差取得工程、P2,P2´・・・駆動工程、θ,θ,θ・・・最適位相差、S29・・・移動量復帰工程、T1・・・位相差逆転周波数、T2・・・クランプ周波数、TBL・・・テーブル情報。

Claims (11)

  1. 圧電素子への駆動信号の供給により振動する振動体を備えて前記振動を被駆動体に伝達するとともに前記振動体の振動状態を検出することが可能な圧電アクチュエータの駆動制御方法であって、
    前記駆動信号と前記検出された振動状態を表す検出信号との位相差に関し、前記駆動信号の周波数掃引を実施して所定の駆動状態を実現する位相差である最適位相差を取得する最適位相差取得工程と、
    前記駆動信号と前記検出信号との位相差を検出しつつ前記駆動信号の周波数掃引を前記所定の駆動状態を実現する周波数を含む所定範囲で所定方向に実施し、この際、前記位相差が前記最適位相差に再度達した際の位相差逆転周波数を検出する位相差逆転検出工程とを有する初期設定工程と、
    前記位相差逆転周波数から前記所定の駆動状態側の値において設定されるクランプ周波数に前記駆動信号の周波数が達しないように規制しつつ、前記駆動信号と前記検出信号との位相差を検出するとともに前記最適位相差に対する前記位相差の大小に基いて前記駆動信号の周波数を高低いずれかに変更することで前記位相差に前記駆動信号の周波数を追従させる駆動工程とを備え、
    前記初期設定工程を、所定の頻度で行うことにより、前記最適位相差および前記位相差逆転周波数をそれぞれ更新する
    ことを特徴とする圧電アクチュエータの駆動制御方法。
  2. 請求項1に記載の圧電アクチュエータの駆動制御方法は、
    計時部と、前記計時部で計時された計時情報を表示する計時情報表示部とを備える計時装置に組み込まれて前記計時情報表示部を駆動する圧電アクチュエータの駆動制御方法であって、
    前記最適位相差取得工程は、当該最適位相差取得工程を実施する間に移動した前記被駆動体の位置を当該最適位相差取得工程開始時の位置に戻す移動量復帰工程を有し、
    前記駆動工程では、前記初期設定工程を実施する間の時間に応じて前記計時部から発信される指令値に基いて当該被駆動体の移動量を制御する
    ことを特徴とする圧電アクチュエータの駆動制御方法。
  3. 請求項1または2に記載の圧電アクチュエータの駆動制御方法において、
    前記位相差逆転検出工程では、前記クランプ周波数から前記位相差逆転周波数までの値を記憶手段に記憶する
    ことを特徴とする圧電アクチュエータの駆動制御方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の圧電アクチュエータの駆動制御方法において、
    前記被駆動体の駆動方向を正方向と逆方向とに切替可能とし、
    前記初期設定工程を、前記被駆動体の駆動方向が切替えられた際に行う
    ことを特徴とする圧電アクチュエータの駆動制御方法。
  5. 圧電素子への駆動信号の供給により振動する振動体を備えて前記振動を被駆動体に伝達するとともに前記振動体の振動状態を検出することが可能な圧電アクチュエータの駆動制御装置であって、
    前記駆動信号と前記検出された振動状態を表す検出信号との位相差を検出する位相差検出手段と、
    前記駆動信号の周波数掃引を実施し前記位相差検出手段による前記位相差の検出に基いて所定の駆動状態を実現する位相差である最適位相差を取得する最適位相差取得手段と、
    前記駆動信号と前記検出信号との位相差を検出しつつ前記駆動信号の周波数掃引を前記所定の駆動状態を実現する周波数を含む所定範囲で所定方向に実施し、この際、前記位相差が前記最適位相差に再度達した際の位相差逆転周波数を検出する位相差逆転検出手段とを有する初期設定手段と、
    前記最適位相差を基に前記駆動信号の周波数を設定する制御手段と、
    前記初期設定手段による処理を、所定の頻度で行うことにより、前記最適位相差および前記位相差逆転周波数をそれぞれ更新する頻度制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記位相差逆転周波数から前記所定の駆動状態側の値において設定されるクランプ周波数に前記駆動信号の周波数が達しないように規制するクランプ手段を有し、前記クランプ手段による前記駆動信号の周波数の規制を実施しつつ、前記位相差検出手段により前記位相差を検出するとともに前記最適位相差に対する前記位相差の大小に基いて前記駆動信号の周波数を高低いずれかに変更することで前記位相差に前記駆動信号の周波数を追従させることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動制御装置。
  6. 請求項5に記載の圧電アクチュエータの駆動制御装置において、
    前記制御手段は、前記クランプ周波数から前記位相差逆転周波数までの値が予め記憶される記憶手段を有する
    ことを特徴とする圧電アクチュエータの駆動制御装置。
  7. 請求項5または6に記載の圧電アクチュエータの駆動制御装置において、
    前記振動体は、複数の振動モードで振動し、
    前記駆動信号は、単相である
    ことを特徴とする圧電アクチュエータの駆動制御装置。
  8. 請求項7に記載の圧電アクチュエータの駆動制御装置において、
    前記振動体は、平面略矩形状に形成され、
    前記複数の振動モードは、前記振動体の長手方向に沿って伸縮する縦振動と前記長手方向に対して屈曲する屈曲振動との混合モードとされる
    ことを特徴とする圧電アクチュエータの駆動制御装置。
  9. 請求項5から8のいずれかに記載の圧電アクチュエータの駆動制御装置において、
    前記被駆動体は、その駆動方向が正方向と逆方向とに切替可能とされ、
    前記初期設定手段は、前記振動挙動が切替えられた際に用いられる
    ことを特徴とする圧電アクチュエータの駆動制御装置。
  10. 圧電アクチュエータと、この圧電アクチュエータで駆動される被駆動体と、請求項5から9のいずれかに記載の圧電アクチュエータの駆動制御装置とを備える
    ことを特徴とする電子機器。
  11. 請求項10の電子機器は、計時部と、前記計時部で計時された計時情報を表示する計時情報表示部とを備えた時計である
    ことを特徴とする電子機器。
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