JP2007165434A - 保持治具の製造方法 - Google Patents

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【課題】複数の小型電子部品を垂直に立設又は懸架した状態で粘着保持可能なゴム弾性部材を有する保持治具の製造方法の提供。
【解決手段】基板上に布置された、シリコーン生ゴム(a)と、粘着力向上剤(c)と、シリカ系充填材(e)とを含有する粘着性組成物を、100〜150℃、5〜20分の条件で一次加硫し、さらに、170〜220℃、2〜10時間の条件で二次加硫して、前記基板上にゴム弾性部材を形成することを特徴とする粘着性保持治具の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、保持治具の製造方法に関し、さらに詳しくは、複数の小型電子部品を垂直に立設又は懸架した状態で粘着保持可能なゴム弾性部材を有する保持治具の製造方法に関する。
従来から、チップコンデンサ等の小型電子部品を製造する際等に、この小型電子部品をその表面に粘着保持可能な保持治具が用いられている。この保持治具としては、基板と、その基板上に粘着性表面を有するゴム弾性部材とを備えた保持治具が一般的であり、例えば、少なくとも表面部が粘着性を有するゴム弾性材で形成された保持治具(特許文献1参照)、金属又は樹脂のような材料からなる板状の本体と、その本体上に形成された粘着膜とを備える電子部品チップ用ホルダ(特許文献2参照)等が挙げられる。
このような保持治具は、通常、粘着性組成物等の粘着性材料を基板上に塗布し、塗布された粘着性材料を、例えば、100℃から150℃、10分から2時間の条件で、加熱加硫することによって、製造される。
しかし、このようにして製造された保持治具は、そのゴム弾性部材に複数の小型電子部品全てを垂直に立設し、又は懸架することができないという問題があった。また、保持治具に小型電子部品を垂直に立設し、又は懸架することができても、小型電子部品全てを所望の粘着力で粘着保持することができず、製造工程中に、前記小型電子部品がゴム弾性部材から落下し、又は、一方の保持治具に立設し、又は懸架している小型電子部品全てを他方の保持治具に確実に移し替えることができないという問題があった。
このような問題を有する保持治具を小型電子部品の製造に用いると、複数の小型電子部品に形成されるそれぞれの電極等を所望の形成状態(大きさ、厚さ等の均一性)等に形成することができず、製造された小型電子部品の信頼性が損なわれると共に、小型電子部品の生産性が低下してしまうことになる。
特公平07−93247号公報 特許第2682250号明細書(特に、0029欄、図1参照)
この発明の目的は、複数の小型電子部品を垂直に立設又は懸架した状態で粘着保持可能なゴム弾性部材を有する保持治具の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、基板上に布置された、シリコーン生ゴム(a)と、粘着力向上剤(c)と、シリカ系充填材(e)とを含有する粘着性組成物を、100〜150℃、5〜20分の条件で一次加硫し、さらに、170〜220℃、2〜10時間の条件で二次加硫して、前記基板上にゴム弾性部材を形成することを特徴とする粘着性保持治具の製造方法であり、
請求項2は、前記粘着性組成物が、20〜80質量部の前記シリコーン生ゴム(a)と、80〜20質量部の前記粘着力向上剤(c)と、前記シリコーン生ゴム(a)及び前記粘着力向上剤(c)の合計100質量部に対して、1〜30質量部の前記シリカ系充填材(e)とを含有することを特徴とする請求項1に記載の粘着性保持治具の製造方法であり、
請求項3は、前記ゴム弾性部材は、予め設定した厚さに対して100±2.5%の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着性保持治具の製造方法であり、
請求項4は、前記ゴム弾性部材は、予め設定した粘着力対して100±7%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着性保持治具の製造方法である。
前記特定の粘着性組成物は、布置したときに形成される層が均一の厚さを有すると共に、二度の加熱加硫をすることができるので、この粘着性組成物における加硫時の硬化収縮が一定となり、その結果、均一で所望する厚さと粘着力とを有するゴム弾性部材を形成することができる。したがって、この発明に係る保持治具の製造方法によれば、複数の小型電子部品をほぼ全て垂直に立設又は懸架した状態でゴム弾性部材に粘着保持させることのできる保持治具を製造することができる。
このように、この発明に係る保持治具の製造方法によって製造された保持治具を小型電子部品の製造に用いれば、複数の小型電子部品をほぼ全て垂直に立設又は懸架した状態でゴム弾性部材に粘着保持可能になり、前記小型電子部品がゴム弾性部材から落下し、又は、一方の保持治具に立設し、又は懸架している小型電子部品のほぼ全てを他方の保持治具に確実に移し替えることが可能になる。したがって、製造された小型電子部品の信頼性を向上させることができると共に、小型電子部品の高い生産性を実現することができる。
この発明に係る保持治具の製造方法によって製造される保持治具は、小型電子部品を製造するのに用いられる。前記小型電子部品は、例えば、チップコンデンサ、チップ抵抗器、インダクタ、FPC、ウエハー等の完成品又は半完成品を挙げることができる。
前記保持治具は、前記小型電子部品を保持し、基板上に形成された粘着性表面を有するゴム弾性部材を備えた保持治具であればよく、その一例として、例えば、図1に示されるように、保持治具1は、基板2と、この基板2の少なくとも片方の表面に設けられたゴム弾性部材3とを備えてなる。
前記基板2は、小型電子部品の製造に適した形状であればよく、前記小型電子部品の形状、取付けられる装置の形状、製造工程、作業性等に応じて、任意の形状とされる。前記保持治具は、例えば、正方形、長方形、五角形、六角形等の多角形、円形、楕円形、不定形、又は、これらを組み合わせた形状等の板状体が挙げられる。なお、後述するゴム弾性部材3が形成されない一方の面側は、平面形状であっても、半円筒体等の立体形状であってもよい。また、基板2の大きさ及び厚さは、前記小型電子部品の大きさ、取付けられる装置の大きさ、作業性等に応じて、任意の大きさ及び厚さとされる。
基板2は、ゴム弾性部材3を支持することができる材料で形成されていればよいが、基板2上に前記粘着性組成物を布置してゴム弾性部材3を形成する場合には、後述する二次加硫の加硫温度に対する耐熱性を有する材料で形成されている必要がある。基板2を形成し得る材料として、炭素鋼、ステンレス鋼、銅、マグネシウム、アルミニウム合金及びニッケル合金等の金属製プレート、アルミニウム箔及び銅箔等の金属箔、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフィド、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリ塩化ビニル等の樹脂フィルム、樹脂板、並びに、和紙、合成紙及びポリエチレンラミネート紙等の紙、並びに、布、ガラス繊維、ガラス板、アルミナ、サイアロン、ジルコニア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン及び炭化ケイ素等のセラミックス、並びに、ガラスエポキシ樹脂板等の複合材料等を挙げることができる。これらの中でも、加工性、操作性、耐熱性の観点から、金属、耐熱性を有する樹脂又はセラミックスからなる硬質部材であるのがよく、金属製プレートがさらによく、特に、ステンレス鋼、アルミニウム合金がよい。
基板2は、後述するゴム弾性部材3が形成される表面の表面平滑性が高いのが好ましい。前記表面の表面平滑性が高いと、ゴム弾性部材3の表面平滑性をより一層高めることができる。
基板2は、図1に示されるように、1枚のシート体とされてもよく、シート体を複数積層してなる積層体としてもよい。
基板2には、基板2を水平移動させ、上下移動させ、及び、基板2が有する水平中心軸を中心にして軸回りに回転運動させることのできる基板変位手段(図示せず。)が併設されるのが、好ましい。この基板変位手段の機械的構成としては、上下移動、水平移動、及び回転動作させることができる限り種々の構成を採用することができる。
保持治具1における前記ゴム弾性部材3は、少なくともその表面が粘着性を有し、複数の前記小型電子部品のほぼ全てを垂直に立設又は懸架した状態で、着脱自在に粘着保持する。
保持治具1の例において、図1に示されるように、ゴム弾性部材3は前記基板2の一方の表面に形成されているが、ゴム弾性部材3は、基板2の両表面に形成されてもよく、表面の一部に形成されてもよく、また、複数のゴム弾性部材3が形成されてもよい。図1には、略正方形のゴム弾性部材3が示されているが、ゴム弾性部材3の形状は、正方形に限定されることなく、例えば、長方形、五角形、六角形等の多角形、円形、楕円形、不定形、又は、これらを組み合わせた形状等であってもよい。
ゴム弾性部材3は、その表面に粘着させる前記小型電子部品、前記小型電子部品の製造条件等に応じて、その厚さが決定される。例えば、長さ0.4mm程度の小型チップコンデンサ等を製造する場合には、ゴム弾性部材3の厚さは、1.8mm程度に設定される。
このゴム弾性部材3は、必須成分として、シリコーン生ゴム(a)と、粘着力向上剤(c)と、シリカ系充填材(e)とを含有する粘着性組成物によって、形成される。この粘着性組成物は、付加反応硬化型及び過酸化物硬化型のいずれでもよい。粘着性組成物が付加反応硬化型である場合には、粘着性組成物は、シリコーン生ゴム(a)と、シリコーン生ゴム(a)と架橋反応可能であり、Si原子に結合した水素原子を一分子中に少なくとも2個有するSiH結合含有ポリオルガノシロキサン(b)と、粘着力向上剤(c)と、前記シリコーン生ゴム(a)と前記SiH結合含有ポリオルガノシロキサン(b)との架橋反応を促進する触媒(d)と、シリカ系充填材(e)とを含有する。一方、粘着性組成物が過酸化物硬化型である場合には、粘着性組成物は、シリコーン生ゴム(a)と、粘着力向上剤(c)と、シリカ系充填材(e)と、有機過酸化物(f)とを含有する。
まず、付加反応硬化型の粘着性組成物について説明する。付加反応硬化型の粘着性組成物に含有される前記シリコーン生ゴム(a)成分としては、((CHSiO)単位を含み、置換基を有していてもよいポリジメチルシロキサンの長鎖重合体等であればよく、例えば、付加反応により架橋可能なアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン等を用いることができ、特に、下記(1)式で示されるポリオルガノシロキサンを好適に用いることができる。
(3−a)SiO−(RXSiO)−(R SiO)−SiR (3−b) (1)式
ただし、(1)式中、Rは脂肪族不飽和結合を有することのない1価の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても、異なっていてもよく、Xはアルケニル含有有機基であり、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。また、aは0〜3の整数、bは0〜3の整数、mは0以上の整数、nは100以上の整数であり、a、b及びmは同時に0とはならない。
前記式(1)において、Rとしては、炭素数1〜10の前記炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖又は分岐アルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基等を例示でき、特にメチル基、フェニル基が好ましい。また、Xで示されるアルケニル基含有有機基としては、炭素数2〜10のアルケニル基含有有機基が好ましく、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、アクリロイルプロピル基、アクリロイルメチル基、メタクリロイルプロピル基、シクロヘキセニルエチル基、ビニルオキシプロピル基等を例示できる。
この(a)成分は、オイル状、粘土状の性状を有していてもよく、その粘度は25℃において50mPa・s以上であるのが好ましく、特に100mPa・s以上であるのが好ましい。
この(a)成分は、一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
付加反応硬化型の粘着性組成物に含有される前記架橋成分(b)は、(a)成分と架橋反応可能な成分であり、例えば、1分子中にSi原子に結合したH原子を少なくとも2個以上、好ましくは3個以上有するSiH結合含有ポリオルガノシロキサン(以下、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと称することもある。)を用いることができる。
このポリオルガノシロキサンとしては、直鎖状、分枝状、環状のポリオルガノシロキサンの中から適宜に選択して使用することができ、例えば、下記(2)式又は(3)式で示されるポリオルガノシロキサンを好適例として挙げることができる。
HcR (3−c)SiO−(HRSiO)−(R SiO)−SiR (3−d) (2)式
Figure 2007165434
前記(2)式及び(3)式において、Rは前記と同様の1価の炭化水素基であり、同一であっても、異なっていてもよい。また、c、dは0〜3の整数、x、y、sは0以上の整数、rは1以上の整数であり、c、d、xは同時に0とはならず、さらに、x+y≧0である。また、r+s≧3、好ましくは8≧r+s≧3である。
これらのオルガノハイドロジェンポリシロキサンの中でも、オイル状の性状を有し、粘度が25℃において1〜5000mPa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
この(b)成分は、その一種を単独で用いることもでき、また、二種以上を混合して用いることもできる。
このような(b)成分の配合割合は、適宜に選択可能であるが、前記(a)成分がアルケニル基を含有すると共に、前記(b)成分がSiH結合を含有する場合、(a)成分中のアルケニル基に対する(b)成分中のSiH結合のモル比が0.5〜20であるのが好ましく、特に1〜15の範囲であるのが好ましい。このモル比が0.5未満では、後述する硬化後の架橋密度が低くなり、粘着層の形状を保持しにくくなることがある。一方、前記モル比が20を超えると、得られる粘着層の粘着力が低下することがある。
付加反応硬化型の粘着性組成物に含有される粘着力向上剤(c)は、粘着力を向上するために配合される成分であり、例えば、ポリオルガノシロキサンを用いることができ、特に、R SiO1/2単位及びSiO単位及び/又はR SiO2/3単位(ただし、Rは脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基である。)を含有するものを好適に用いることができる。ここで、Rとしては、炭素数1〜10のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖又は分岐アルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基等を例示でき、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
この(c)成分は、一般的に粘着性をより高度に確保するために、前記(a)成分及び(b)成分とともに架橋反応を生じない、又は、生じ難い構造を有するものが好ましい。
このような(c)成分としてポリオルガノシロキサンを用いる場合は、(R SiO1/2単位及び/又はR SiO2/3単位)/SiO2単位のモル比が0.6〜1.7となるものが好ましい。このモル比が0.6未満では、粘着層の粘着性が高くなり過ぎ、又は(a)成分と相溶し難くなって、分離して粘着性を発現しなくなることがある。一方、前記モル比が1.7を超えると粘着層の粘着力が低下することがある。
なお、このポリオルガノシロキサンは、Si原子に結合するOH基を含有していてもよく、その場合、OH基含有量が0〜4.0モル%とするのが好ましい。
Si原子に結合するOH基を含有するものを用いる場合、前記(a)成分として、下記(4)式に示されるポリオルガノシロキサンを含有するときには、(a)成分と(b)成分とが一部縮合反応物を形成していてもよい。
(OH)RYSiO−(RXSiO)−(R SiO)−SiR (OH) (4)式
ただし、(4)式中、Rは脂肪族不飽和結合を有さない1価の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても、異なっていてもよく、YはR又はアルケニル基含有有機基である。Xはアルケニル含有有機基である。また、pは1以上の整数、qは100以上の整数である。1価の炭化水素基及びアルケニル基含有有機基は前記したのと同様である。
このような(a)成分と(c)成分との縮合反応物を形成するには、トルエン等の溶剤に溶解した(a)成分及び(c)成分の混合物を、アルカリ性触媒の存在下で、室温乃至還流下で反応させればよい。
この(c)成分は一種単独で用いても、二種以上を混合して用いることもできる。
そして、このような(c)成分は、(a)成分/(c)成分の質量比として20/80〜80/20の範囲で用いるのが好ましく、特に、30/70〜70/30とするのが好適である。この範囲を超えて(c)成分が少ないと粘着性が不足しやすくなり、一方、多いと粘着層が硬くなるとともに弾性力が強く、粘着層が変形し難くなり、何れにおいても、被粘着物を粘着保持しにくくなることがある。
付加反応硬化型の粘着性組成物に含有される触媒(d)は、主として、前記(a)成分と前記(b)成分との架橋反応を促進する触媒であり、通常、ハイドロサイレーションの触媒として使用されるものであればよく、例えば、白金化合物等が挙げられる。白金化合物としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物等が挙げられる。
この(d)成分の配合割合は、前記(a)成分と前記(b)成分との合計質量に対し、白金成分として1〜5,000ppmとするのが好ましく、特に5〜2,000ppmとすることが好適である。配合割合が1ppm未満では硬化性が低下して架橋密度が低くなって粘着層の粘着力が低下することがあり、一方、5,000ppmを超えると処理浴の使用可能時間が短くなる場合がある。
付加反応硬化型の粘着性組成物に含有されるシリカ系充填材(e)は、前記各成分とともに添加され、粘着層の機械的強度を補強するとともに、粘着層を構成する成分、特に、粘着性を付与する前記(c)成分を粘着層に分散させて、小型電子部品等の確実な粘着保持に寄与する成分である。
シリカ系充填材(e)としては、シリカ、石英紛、珪藻土等が挙げられるが、好ましくはシリカである。好適なシリカとしては、BET法により測定されるその比表面積が50m/g、好ましくは100〜400m/gのシリカを挙げることができる。このような比表面積を有するシリカが粘着性組成物に含まれていると、ゴム弾性部材の引っ張り強度等の機械的強度を向上させることができるとともに粘着性を付与する成分が脱離し難くなり、微細な削りカスやのり残りが生じ難くなる。なお、比表面積が400m/gを超えるとゴム弾性部材の製造に時間がかかるとともにコストが増大してしまう。
前記(e)成分として、例えばヒュームドシリカ、焼成シリカ等の乾式法により合成されたシリカ、沈降シリカ及びシリカゲル等の湿式法により合成されたシリカ等を挙げることができる。前記比表面積を有するシリカを得やすいという理由で、ヒュームドシリカ、沈降シリカが好ましい。
このシリカ系充填材(e)は、一種単独で用いても、二種類以上を混合して用いることもできる。
また、必要に応じて、シリカの表面を、例えば、オルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等の表面処理剤で処理したものを用いてもよい。
この(e)成分の配合割合は、前記(a)成分と(c)成分との合計量100質量部に対して1〜30質量部とするのが好ましく、特に5〜20質量部とするのが好ましい。この(e)成分の配合割合が前記範囲よりも少ないとゴム弾性部材の粘着強度が低下して充分な粘着力が得られないことがあり、また使用時に粘着力残渣が生じ易くなることがあり、前記配合割合が前記範囲を超えると、粘着力が低下することがある。
付加反応硬化型の粘着性組成物には、さらに、前記(a)成分から前記(e)成分の他に、適宜、任意成分を添加することが可能である。例えば、任意成分として、前記成分を混合する時の架橋反応を抑制するための反応制御剤を添加することができる。この反応制御剤としては、例えば、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサノール、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ブチン、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン、3,5−ジメチル−3−トリメチルシロキシ−1−ヘキシン、1−エチニル−1−トリメチルシロキシシクロヘキサン、ビス(2,2−ジメチル−3−ブチノキシ)ジメチルシラン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン等が挙げられる。この反応制御剤を添加する場合、その配合割合は、前記(a)成分と前記(c)成分との合計100質量部に対して、0〜5.0質量部とするのが好ましく、特に0.05〜2.0質量部とするのが好ましい。この反応制御剤の配合割合が5.0質量部を超えると粘着性組成物の硬化時に硬化し難くなることがある。
また、この反応制御剤の他にも、適宜、任意成分を添加することが可能であり、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルジフェニルシロキサン等の非反応性のポリオルガノシロキサン、布置する際の粘度を下げるための溶剤として、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ヘキサン、オクタン、イソパラフィン等の脂肪族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤、染料、顔料等を使用することができる。
このような付加反応硬化型の粘着性組成物としては、適宜製造してもよく、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、前記触媒(d)を含有しない組成物である、信越化学工業株式会社製の商品名「KE1214」及び「X−40−3098」等のX−40系組成物等が入手可能である。
次に、過酸化物硬化型の粘着性組成物について説明する。過酸化物硬化型の粘着性組成物に含有される前記シリコーン生ゴム(a)成分としては、((CHSiO)単位を含み、置換基を有していてもよいポリジメチルシロキサンの長鎖重合体等であればよく、例えば、ポリジメチルシロキサン、その置換体等が挙げられる。この(a)成分の性状、粘度等は、前記付加反応硬化型の粘着性組成物に含有される前記(a)成分と基本的に同様である。(a)成分は、一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
過酸化物硬化型の粘着性組成物に含有される前記粘着力向上剤(c)及びシリカ系充填材(e)は、それぞれ、前記付加反応硬化型の粘着性組成物に含有される前記粘着力向上剤(c)及びシリカ系充填材(e)と基本的に同様である。
過酸化物硬化型の粘着性組成物に含有される有機過酸化物(f)は、主として、前記(a)成分同士を、又は、前記(a)成分と前記(c)成分とを架橋させる硬化剤であり、例えば、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類等が挙げられる。有機過酸化物(f)としては、ジアシルパーオキサイド類が好ましく、ベンゾイルパーオキサイドが特に好ましい。
この(f)成分の配合割合は、前記(a)成分と前記(c)成分との合計質量に対し、0.2〜5.0質量部とするのが好ましく、特に0.5〜2.5質量部とすることが好適である。配合割合が、0.2質量部未満では硬化性が低下して架橋密度が低くなって粘着層の粘着力が低下することがあり、一方、5.0質量部を超えると、粘着性組成物によって形成されるゴム弾性部材の硬度が高くなり、粘着力が低下するという欠点が生じる場合がある。
過酸化物硬化型の粘着性組成物には、さらに、前記(a)成分、前記粘着力向上剤(c)、前記シリカ系充填材(e)及び前記有機過酸化物(f)の他に、適宜、任意成分を添加することが可能である。任意成分としては、前記付加反応硬化型の粘着性組成物で例示した成分が挙げられる。
このような過酸化物硬化型の粘着性組成物としては、適宜製造してもよく、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、前記有機過酸化物(f)を含有しない組成物である、信越化学工業株式会社製の商品名「KR−101−10」、「KR−120」、「KR−130」及び「KR−140」等が入手可能である。
前記付加反応硬化型及び前記過酸化物硬化型の粘着性組成物は、布置される場合には、例えば、30〜50質量%程度の濃度、又は、25℃において、70〜200Pa・s程度の粘度を有しているのが好ましい。
この発明に係る保持治具1は、基板2上に布置された前記粘着性組成物を100〜150℃、5〜20分の条件で一次加硫し、さらに、170〜220℃、2〜10時間の条件で二次加硫して、製造される。
この発明における製造方法においては、まず、前記基板2上に、プレス成型法又はスクリーン印刷成形法によって、前記粘着性組成物を布置する。例えば、前記プレス成型法は、前記基板2をプレス金型にセットし、前記粘着性組成物を注入して、所望の圧力、例えば、5〜20MPa程度の圧力で、プレスする方法が挙げられ、前記スクリーン印刷成形法は、前記基板2上に、スクリーン印刷法によって、前記粘着性組成物を塗布し、所望により、乾燥等する方法が挙げられる。このとき、布置される前記粘着力組成物の厚さは、形成されるゴム弾性部材として予め設定された厚さ、及び、一次加硫及び二次加硫による硬化収縮率等を考慮して、決定される。なお、前記スクリーン印刷法に代えて、ディップ法、ドクターブレード法、ナイフコート法、バーコート法、スピンコート法、流延法、スプレー法、フローコート法、ロールコート法、リップコート法、ダイコート法、ロッドコート法、グラビアコート法等も採用することができる。前記粘着性組成物の塗布条件は、前記粘着性組成物を塗布することができる条件を任意に選択すればよい。ゴム弾性部材3を所望の形状に形成するには、前記所望の形状に対応する形状を有するマスキングシート等を用いたマスキング法等を採用すればよい。
前記基板2は、前記粘着性組成物が布置される表面の表面平滑性が高いのが好ましい。前記表面の表面平滑性が高いと、ゴム弾性部材3の表面平滑性をより一層高めることができる。また、基板2における前記粘着性組成物が布置される表面は、予め、ゴム弾性部材3との密着性を向上させるために、通常行われる方法に準拠して、脱脂処理、プライマー処理、コロナ処理、エッチング処理、プラズマ処理等を施しておくことが好ましい。
次いで、布置された前記粘着性組成物を一次加硫する。この一次加硫は、前記粘着性組成物を完全に加硫(架橋)させるものではなく、布置された前記粘着性組成物が、ある程度の形態保持性を有する程度に、加硫させる工程である。このように前記粘着性組成物を加硫させることによって、後述する二次加硫において、加硫時に生じる硬化収縮を、前記粘着性組成物全体において、略均一とすることができる。
前記一次加硫は、100〜150℃の温度範囲で行われる。一次加硫の加熱温度が100℃未満であると、布置された前記粘着性組成物をある程度の形態保持性を有する程度にまで加硫させることができない場合があり、又は、この程度まで加硫させるのに長時間を要し、生産性に劣る場合がある。一方、一次加硫の加熱温度が150℃を超えると、布置された前記粘着性組成物の加硫が進行しすぎて、二次加硫を行っても、硬化収縮を略均一とすることができない場合がある。一次加硫の加熱温度は、二次加硫において生じる硬化収縮がより一層均一になる点で、100〜135℃であるのが好ましく、110〜130℃であるのがさらに好ましい。
一次加硫は、5〜20分の範囲で行われる。一次加硫の加熱時間が5分未満であると、布置された前記粘着性組成物をある程度の形態保持性を有する程度にまで加硫させることができない場合がある。一方、一次加硫の加熱時間が20分を超えると、布置された前記粘着性組成物の加硫が進行しすぎて、二次加硫を行っても、硬化収縮を略均一にすることができない場合があり、また、生産性が劣る場合がある。一次加硫の加熱時間は、二次加硫において生じる硬化収縮がより一層均一になる点で、10〜20分であるのが好ましく、10〜15分あるのがさらに好ましい。
一次加硫は、前記加熱温度及び前記加熱時間の条件を満たせば、それ以外の条件は任意に設定することができる。例えば、一次加硫は、大気中で行ってもよく、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。また、一次加硫は、常圧下で行ってもよく、加圧下で行ってもよい。
一次加硫は、前記加熱温度及び前記加熱時間の条件を満足する方法で行われればよく、例えば、ヒータを備えた加熱乾燥機、熱風乾燥機、加圧成形機等を用いて、行うことができる。加圧成形機による一次加硫は、例えば、成形金型を用い、金型温度を前記加熱温度範囲に設定し、圧力を5〜20MPaに調整したプレス成形法等によって、行うことができる。
このようにして、基板2上に布置された前記粘着性組成物を、ある程度の形態保持性を有する程度に、加硫することができる。
次いで、一次加硫された前記粘着性組成物を二次加硫する。この二次加硫は、ある程度の形態保持性を有する程度に一次加硫された前記粘着性組成物をさらに加硫させる工程である。前記一次加硫によって、前記粘着性組成物がある程度加硫されているので、この二次加硫において、加硫時に生じる硬化収縮を、前記粘着性組成物の全体において、略均一とすることができる。
前記二次加硫は、前記一次加硫を行った後、100〜150℃の加熱温度を、一旦、室温程度まで低下させて、再度、加熱を開始して、170〜220℃の加熱温度に調整してもよいし、前記一次加硫における前記加熱温度を低下させることなく、さらに加熱して、170〜220℃の加熱温度に調整してもよい。
二次加硫は、170〜220℃の温度範囲で行われる。二次加硫の加熱温度が170℃未満であると、一次加硫された前記粘着性組成物を略均一な硬化収縮でさらに加硫させることができない場合があり、又は、加硫させるのに長時間を要し、生産性に劣る場合がある。一方、二次加硫の加熱温度が220℃を超えると、前記粘着性組成物に含まれる粘着力向上剤(c)が分解し、ゴム弾性部材3を形成することができなくなる場合がある。二次加硫の加熱温度は、硬化収縮がより一層均一になる点で、180〜210℃であるのが好ましく、185〜205℃であるのがさらに好ましい。
二次加硫は、2〜10時間の範囲で行われる。二次加硫の加熱時間が2時間未満であると、一次加硫された前記粘着性組成物を略均一な硬化収縮でさらに加硫させることができない場合がある。一方、二次加硫の加熱時間が10時間を超えると、生産性が劣る場合がある。二次加硫の加熱時間は、硬化収縮がより一層均一になる点で、2〜8時間であるのが好ましく、2.5〜6時間であるのがさらに好ましい。
二次加硫は、前記加熱温度及び前記加熱時間の条件を満たせば、前記一次加硫と同様に、それ以外の条件を任意に設定することができる。
二次加硫は、前記加熱温度及び前記加熱時間の条件を満足する方法で行われればよく、例えば、ヒータを備えた加熱乾燥機、熱風乾燥機、加圧成形機等を用いて、行うことができる。加圧成形機による二次加硫は、例えば、成形金型を用い、金型温度を前記加熱温度範囲に設定し、圧力を5〜20MPaに調整したプレス成形法等によって、行うことができる。
このようにして、基板2上に布置され、一次加硫された前記粘着性組成物を、略均一な硬化収縮でさらに加硫させて、均一で所望する厚さと粘着力とを有するゴム弾性部材3を形成することができる。
このゴム弾性部材3は、さらに、後処理が施されてもよい。前記後処理としては、例えば、ゴム弾性部材3を所望の形状に整える成形工程、ゴム弾性部材3の表面を保護する保護工程等が挙げられる。
このようにして、複数の前記小型電子部品をほぼ全て垂直に立設又は懸架した状態でゴム弾性部材3に粘着保持可能な保持治具1を製造することができる。
前記製造方法は、前記したように、前記粘着性組成物を基板2上に布置して、ゴム弾性部材3を形成する方法であるから、保持治具1の製造工程が少なく、生産性に優れる。
この発明における製造方法によって製造された保持治具1は、何れも、均一で所望する厚さと粘着力とを有するゴム弾性部材3を備えている。
具体的には、このゴム弾性部材3は、下記測定方法における厚さが、予め設定した厚さに対して100±2.5%の範囲にある。形成されたゴム弾性部材3の厚さが、この範囲にあると、複数の前記小型電子部品のほぼ全てを垂直に立設又は懸架した状態で粘着保持することができ、複数の小型電子部品に形成されるそれぞれの電極等のほぼ全てを所望の形成状態(大きさ、厚さ等の均一性)等に形成することができる。この効果がより優れる点で、ゴム弾性部材3の前記厚さは、予め設定した厚さに対して100±2.2%の範囲にあるのが好ましく、100±2.0%の範囲にあるのがより好ましい。
このゴム弾性部材3の厚さは、次のようにして求める。まず、ゴム弾性部材を水平に固定する吸着固定装置(例えば、商品名:電磁チャック、KET−1530B、カネテック(株)製)又は真空吸引チャックプレート等と、レーザ測定器、例えば、レーザ変位計(商品名:LK−G35、キーエンス社製)とを備えた厚さ測定装置を用意する。
この試験台上にゴム弾性部材を固定し、測定環境を21±1℃、湿度50±5%に設定する。次いで、試験台表面から基準距離に到達するまで被測定部位の上方にレーザ測定器を下降させ、このレーザ測定器からゴム弾性部材に向かってレーザを照射し、ゴム弾性部材の表面で反射した反射光を検出し、三角測量を応用した測定原理によって、ゴム弾性部材の厚さを測定する。この操作を、被測定部位の複数箇所で行い、得られる複数の厚さを算術平均し、得られる平均値をゴム弾性部材の厚さとする。
また、このゴム弾性部材3は、下記測定方法における粘着力が、予め設定した粘着力に対して100±7%の範囲にある。形成されたゴム弾性部材3の粘着力が、この範囲にあると、複数の前記小型電子部品のほぼ全てを垂直に立設又は懸架した状態で所望のように粘着保持することができる。ここで、前記小型電子部品を所望のように粘着保持するとは、前記小型電子部品がゴム弾性部材3から落下することなく、一方の保持治具に立設し、又は懸架している小型電子部品のほぼ全てを他方の保持治具に確実に移し替えることができることをいう。この効果がより優れる点で、ゴム弾性部材3の前記粘着力は、予め設定した粘着力に対して100±6%の範囲にあるのが好ましく、100±5%の範囲にあるのがより好ましい。
このゴム弾性部材3の粘着力は、次の方法によって、測定することができる。まず、ゴム弾性部材を水平に固定する吸着固定装置(例えば、商品名:電磁チャック、KET−1530B、カネテック(株)製)又は真空吸引チャックプレート等と、測定部先端に、直径10mmの円柱をなしたステンレス鋼(SUS304)製の接触子を取り付けたデジタルフォースゲージ(商品名:ZP−50N、(株)イマダ製)とを備えた荷重測定装置を用意する。
この試験台上にゴム弾性部材を固定し、測定環境を21±1℃、湿度50±5%に設定する。次いで、20mm/minの速度でゴム弾性部材の被測定部位に接触するまで前記荷重測定装置に取り付けられた前記接触子を下降させ、次いで、この接触子を被測定部位に所定の荷重で被測定部に対して垂直に3秒間押圧する。ここで、前記所定の荷重を、25g/mmに設定する。次いで、180mm/minの速度で前記接触子を被測定部位から引き離し、このときに前記デジタルフォースゲージにより測定される引き離し荷重を読み取る。この操作を、被測定部位の複数箇所で行い、得られる複数の引き離し荷重を算術平均し、得られる平均値を被測定部の粘着力とする。なお、この測定方法は、手動で行ってもよいが、例えば、テストスタンド(例えば、商品名:VERTICAl MODEL MOTORIZED STAND シリーズ、(株)イマダ製)等の機器を用いて、自動で行ってもよい。
前記保持治具1は、図1に示されるように、基板2とゴム弾性部材3との二層構造とされているが、前記基板2と前記ゴム弾性部材3との間に、例えば、前記プライマー層、前記接着層等が介在した3層以上の構造とされてもよい。
この発明における保持治具は、前記製造方法に代えて、前記粘着性組成物を100〜150℃、5〜20分の条件で一次加硫し、さらに、170〜220℃、2〜10時間の条件で二次加硫して、ゴム弾性部材を形成し、得られたゴム弾性部材を基板の表面に接着して、製造されてもよい。
この場合においては、まず、前記粘着性組成物を一次加硫する。前記一次加硫は、前記製造方法における一次加硫と基本的に同様にして、行うことができる。この製造方法においては、前記粘着力組成物は、前記基板上に布置されず、例えば、前記基板と同様の材質で形成された基材上に塗布され、又は、加圧成形機等の成形金型に挿入されて、一次加硫される。このようにして、前記粘着性組成物を、ある程度の形態保持性を有する程度に、加硫して、板状体に形成することができる。次いで、板状体に形成された前記粘着力組成物を、前記製造方法における二次加硫と基本的に同様にして、二次加硫する。このようにして、一次加硫された前記粘着性組成物を、略均一な硬化収縮でさらに加硫させて、均一で所望する厚さと粘着力とを有するゴム弾性部材を形成することができる。形成されたゴム弾性部材は、さらに、前記製造方法と同様にして、後処理が施されてもよい。前記後処理としては、前記した他に、例えば、前記基板に強固に接着させるための表面処理工程等が挙げられる。次いで、形成されたゴム弾性部材を、接続手段によって、前記基板の表面に接着する。前記接続手段は、前記基板上に前記ゴム弾性部材を固定できる手段であればよく、例えば、接着剤、接着層、粘着テープ等の接着手段、クリップ、ボルト/ナット等の締結手段等が挙げられる。
<実施例1>
厚さ0.8mmのステンレス鋼板を、一辺の長さが120mmの正方形試験片を切り出した。この試験片における一方の表面をアセトン等の有機溶媒で脱脂処理した後、シリコーンゴム接着用プライマー(信越化学工業株式会社製、製品名プライマーC)を適量塗布して、基板2を製造した。
触媒を含有しない前記付加反応硬化型の粘着性組成物としてシリコーン組成物(信越化学工業株式会社製、製品名:KE1214)と、前記触媒(d)として硬化剤(信越化学工業株式会社製、製品名:CLA−5)とを混合して(シリコーン組成物:硬化剤=100:5(なお、硬化剤の配合割合は、(a)成分と(b)成分との合計質量に対して、1〜5,000ppmの範囲にある。)、前記基板2上に、ゴム弾性部材3の形成後の厚さが1.8mmとなるように布置して、プレス成形した。
シリコーン組成物1がプレス成形された基板2を、金型温度を110℃に設定した平滑内表面を有する成形金型内に、装入し、約15MPaの圧力で、10分間保持し、一次加硫を行った。
次いで、基板2を、前記成形金型内から取り出し、ヒータを備えた加熱乾燥機(エタック株式会社製)に静置して、180℃で4時間加熱し、二次加硫を行った。このようにして、保持治具Aを製造した。
<実施例2及び3>
前記一次加硫の条件を、120℃、7分、又は、120℃、10分に変更した以外は、実施例1と同様にして、保持治具B及びCを製造した。
<実施例4及び5>
前記二次加硫の条件を、200℃、2時間、又は、200℃、4時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、保持治具D及びEを製造した。
<比較例1>
前記一次加硫を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、保持治具Fを製造した。
<比較例2>
前記二次加硫を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、保持治具Gを製造した。
<比較例3及び4>
前記二次加硫の条件を、150℃、2時間、又は、230℃、2時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、保持治具H及びIを製造した。
このようにして製造した保持治具A〜Iのゴム弾性部材3における厚さと粘着力とを、前記した測定方法(5箇所測定)にて、それぞれ測定し、それらの平均値を求めた。厚さ及び粘着力の平均値、並びに、予め設定したゴム弾性部材3の厚さ1.8mmに対する各測定点の変位量(厚さばらつき(%))の平均値、及び、予め設定した粘着力に対する各測定点の変位量(粘着力ばらつき(%))の平均値を求め、第1表に示した。
Figure 2007165434
第1表に示されるように、実施例1〜5における保持治具A〜Eは、何れも、予め設定した厚さ及び粘着力を達成することができ、かつ、厚さのばらつきを100±2.5%の範囲内に抑えることができると共に、粘着力のばらつきを100±7%の範囲内に抑えることができた。したがって、保持治具A〜Eは、均一で所望する厚さと粘着力とを有するゴム弾性部材を備えていた。一方、比較例1〜4における保持治具F〜Iは、予め設定した厚さ又は粘着力に対する厚さばらつき及び粘着力ばらつきが大きかった。
前記保持治具A〜Eを、チップコンデンサの製造に用いたところ、何れの保持治具においても、複数の小型電子部品をほぼ全て垂直に立設又は懸架した状態でゴム弾性部材に所望の粘着力で粘着保持させることができ、その結果、形成された電極の状態(形状、大きさ等)がほぼ全て同一であり、かつ、チップコンデンサがゴム弾性部材から落下することも、他の保持治具に移し替えることができないこともなかった。したがって、製造されたチップコンデンサは、高い生産性で製造することができ、高い信頼性を有していた。
一方、前記保持治具F〜Iを、同様に、チップコンデンサの製造に用いたところ、何れの保持治具においても、複数の小型電子部品を垂直に立設又は懸架した状態でゴム弾性部材に粘着保持させることができず、電極の状態(形状、大きさ等)が異なるチップコンデンサが多数形成され、かつ、多数のチップコンデンサがゴム弾性部材から落下し、又は、他の保持治具に確実に移し替えることができなかった。したがって、製造されたチップコンデンサは、信頼性が低く、生産性も悪かった。
前記付加反応硬化型の粘着層組成物及び触媒(d)の代わりに、前記有機過酸化物(f)を含有しない前記過酸化物硬化型の粘着性組成物としてシリコーン組成物(信越化学工業株式会社製、製品名:KR−130)と前記有機過酸化物(f)としてベンゾイルパーオキサイド(日本油脂株式会社社製、製品名:ナイパーBW)とを混合し(シリコーン組成物:ベンゾイルパーオキサイド=100:0.3(なお、ベンゾイルパーオキサイドの配合割合は、(a)成分と(c)成分との合計質量に対して、0.2〜5.0質量部の範囲にある。))、実施例1〜5と同様にして、保持治具を製造し、ゴム弾性部材の厚さと粘着力とを測定したところ、何れの保持治具も、予め設定した厚さ及び粘着力を達成することができ、かつ、厚さのばらつきを100±2.5%の範囲内に抑えることができると共に、粘着力のばらつきを100±7%の範囲内に抑えることができた。
図1は、保持治具の一例を示す概略斜視図である。
符号の説明
1 保持治具
2 基板
3 ゴム弾性部材

Claims (4)

  1. 基板上に布置された、シリコーン生ゴム(a)と、粘着力向上剤(c)と、シリカ系充填材(e)とを含有する粘着性組成物を、100〜150℃、5〜20分の条件で一次加硫し、さらに、170〜220℃、2〜10時間の条件で二次加硫して、前記基板上にゴム弾性部材を形成することを特徴とする粘着性保持治具の製造方法。
  2. 前記粘着性組成物は、20〜80質量部の前記シリコーン生ゴム(a)と、80〜20質量部の前記粘着力向上剤(c)と、前記シリコーン生ゴム(a)及び前記粘着力向上剤(c)の合計100質量部に対して、1〜30質量部の前記シリカ系充填材(e)とを含有することを特徴とする請求項1に記載の粘着性保持治具の製造方法。
  3. 前記ゴム弾性部材は、予め設定した厚さに対して100±2.5%の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着性保持治具の製造方法。
  4. 前記ゴム弾性部材は、予め設定した粘着力対して100±7%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着性保持治具の製造方法。


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