JP2007160598A - プロテクトフィルム及び前記プロテクトフィルムがレジスト樹脂組成物層に積層されている積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】極めて簡単かつ容易な構造で経済的なプロテクトフィルム及び前記プロテクトフィルムが感光性樹脂組成物層に積層されている積層体を提供する。
【解決手段】少なくとも片面側に粗面化層が形成されている二軸延伸ポリプロピレンフィルムであって、三次元表面粗さ計で測定した算術平均表面粗さ(SRa)が0.05〜0.5μmかつ十点平均粗さ(SRz)が0.5〜4.0μmであり、下記(I)の0.5%強度試験において、0.5%強度が5〜25N/15mm幅である。前記粗面化層はエチレン・プロピレンブロックコポリマーを含有する。その含有量は、10〜100重量%であり、アンチブロッキング剤を実質的に含有しない。
【選択図】図1
【解決手段】少なくとも片面側に粗面化層が形成されている二軸延伸ポリプロピレンフィルムであって、三次元表面粗さ計で測定した算術平均表面粗さ(SRa)が0.05〜0.5μmかつ十点平均粗さ(SRz)が0.5〜4.0μmであり、下記(I)の0.5%強度試験において、0.5%強度が5〜25N/15mm幅である。前記粗面化層はエチレン・プロピレンブロックコポリマーを含有する。その含有量は、10〜100重量%であり、アンチブロッキング剤を実質的に含有しない。
【選択図】図1
Description
この発明は、プロテクトフィルム及び前記プロテクトフィルムがレジスト樹脂組成物層に積層されている積層体に関する。
半導体素子等の製造に用いられるプリント配線基板などの回路形成には、感光性ドライフィルムが用いられている。この感光性ドライフィルムは、支持体となるベースフィルム、レジスト樹脂組成物層、及びそれを保護するためのプロテクトフィルムからなっている。通常、ベースフィルムには、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂が用いられ、プロテクトフィルムには、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系の樹脂が用いられることが多い。
前記ドライフィルムを用いたプリント配線基板の回路形成方法の概略を説明すると、まず、プロテクトフィルムを感光性のレジスト樹脂組成物層から剥がして、プリント配線基板の金属積層板上にレジスト樹脂組成物層を圧着する、いわゆるラミネート工程を行う。次に、ベースフィルム上に回路パターンが描かれたフォトマスクを載せて露光し、レジスト樹脂組成物層を選択的に硬化させる。
露光後はフォトマスク及びベースフィルムを剥がし、レジスト樹脂組成物層をアルカリ溶液等で現像を行う。そして、露光されていない箇所を除去し、フォトレジストパターンと呼ばれる前記樹脂組成物層のパターンを形成する。さらに、このフォトレジストパターンをマスクとして、基板をエッチング後、フォトレジストパターンを除去すると、所望の回路が形成される。
上述のようなプリント配線基板上の回路パターンは複雑な凹凸を有するため、プリント配線板へレジスト樹脂組成物層を積層、圧着させるときに、前記回路パターンの凹凸部に気泡を巻き込みやすい。この気泡の巻き込みを防止して、空気が抜けやすい構造とするために、レジスト樹脂組成物層にプロテクトフィルムを圧着させて、プロテクトフィルム表面の凹凸を転写している。そのため、プロテクトフィルムはある程度の表面粗さが要求されている。
また、このようなドライフィルムに用いられるプロテクトフィルムは、感光性のレジスト樹脂組成物層が金属配線基板上に積層される面に、直接に圧着されるため、前記フィルム特性がレジスト樹脂組成物層のレジスト特性に影響を及ぼすことが多い。例えば、プロテクトフィルムには前述の通り、ポリエチレンが用いられることが多いが、特にポリエチレンを主成分とするプロテクトフィルムはフィッシュアイが形成されることが問題となっていた。
フィッシュアイがプロテクトフィルムに形成されると、該フィルムの表面に略突起状の凹凸が生じ、レジスト樹脂組成物層を傷つけるおそれがあり、また、金属基板とレジスト樹脂組成物層との間に気泡を巻き込む原因となる。そのため、フォトレジストパターンに欠損部が生じるなどして、結果的に配線回路が断線したりショートを引き起こす場合がある。
そこで、フィッシュアイの直径及び個数を規定したプロテクトフィルムがある(特許文献1参照)。しかしながら、ここでのフィッシュアイの測定は、フィルム透過光の観察に基づくものであり、直径が大きいものは別として、フィッシュアイとフィルムの表面粗さとの相関関係は実際には不明確である。
そのため、ポリエチレンの本質的な性質を変えてプロテクトフィルムとしての適合性を高めたプロテクトフィルムもある(特許文献2,3参照)。しかし、このようなポリエチレンの本質的な改質には、高い反応圧力及び反応系におけるラジカル重合禁止剤の共存等が必要であり、製造コストが嵩み経済的なプロテクトフィルムを得ることは困難である。
さらに、近年では電子機器の小型化、軽量化に伴いプリント配線基板の高密度化が進み、より緻密な配線回路の形成が可能な高解像度ドライフィルムが求められており、解像度を上げるには、レジスト樹脂組成物層を薄膜化する必要がある。前記樹脂組成物層に適合させるために、プロテクトフィルムも薄膜化が要求されているが、ポリエチレンのように、架橋する樹脂の場合には、プロテクトフィルムの厚さの制御に限界があるとされている。
特開平11−153861号公報
特開2003−342307公報
特開2003−231759公報
従って、本発明は、前記の問題点を鑑みてなされたものであり、極めて簡単かつ容易な構造であって、経済的なプロテクトフィルム及び前記プロテクトフィルムがレジスト樹脂組成物層に積層されている積層体を提供するものである。
すなわち、請求項1の発明は、少なくとも片面側に粗面化層が形成されている二軸延伸ポリプロピレンフィルムであって、三次元表面粗さ計で測定した算術平均表面粗さ(SRa)が0.05〜0.5μmかつ十点平均粗さ(SRz)が0.5〜4.0μmであり、下記(I)の0.5%強度試験において、0.5%強度が5〜25N/15mm幅であることを特徴とするプロテクトフィルムに係る。
なお、(I)0.5%強度試験は、幅15mm、厚さが均一であるフィルム試験片を作製し、JIS−K−7127に基づいて、フィルムの機械方向(以下、MDという)及びMDに直交する方向(以下、TDという)のそれぞれについて、もとのフィルムに対する伸びが0.5%であるときの引張応力を測定する。前記測定により得られた各引張応力の和を0.5%強度とする試験である。
請求項2の発明は、前記粗面化層はエチレン・プロピレンブロックコポリマーを含有する請求項1に記載のプロテクトフィルムに係る。
請求項3の発明は、前記粗面化層におけるエチレン・プロピレンブロックコポリマーの含有量は10〜100重量%である請求項1又は2に記載のプロテクトフィルムに係る。
請求項4の発明は、前記粗面化層はアンチブロッキング剤を実質的に含有しない請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプロテクトフィルムに係る。
請求項5の発明は、前記フィルムは感光性ドライフィルムのためのものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプロテクトフィルムに係る。
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の前記プロテクトフィルムをレジスト樹脂組成物層に積層したことを特徴とする積層体に係る。
請求項1の発明に係るプロテクトフィルムによると、少なくとも片面側に粗面化層が形成されている二軸延伸ポリプロピレンフィルムであって、三次元表面粗さ計で測定した算術平均表面粗さ(SRa)が0.05〜0.5μmかつ十点平均粗さ(SRz)が0.5〜4.0μmであり、0.5%強度試験において、0.5%強度が5〜25N/15mm幅であるため、プロテクトフィルムと被保護物との密着性が良好である。
請求項2の発明に係るプロテクトフィルムによると、請求項1に記載の発明において、前記粗面化層はエチレン・プロピレンブロックコポリマーを含有するため、表面状態が良好で、プロテクトフィルムとして好適なフィルムが得られる。
請求項3の発明に係るプロテクトフィルムによると、請求項1又は2に記載の発明において、前記粗面化層におけるエチレン・プロピレンブロックコポリマーの含有量は10〜100重量%であるため、表面状態が良好で、プロテクトフィルムとして好適なフィルムが得られる。
請求項4の発明に係るプロテクトフィルムによると、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発明において、前記粗面化層はアンチブロッキング剤を実質的に含有しないため、プロテクトフィルム表面に突起状の凹凸が形成されるのを極力抑制することができる。
請求項5の発明に係るプロテクトフィルムによると、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発明において、前記フィルムは感光性ドライフィルムのためのものであるため、プロテクトフィルムがレジスト樹脂組成物層を傷つけるおそれがほとんどなく、プロテクトフィルムとレジスト樹脂組成物層との密着性が良好である。
請求項6の発明に係る積層体によると、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の前記プロテクトフィルムをレジスト樹脂組成物層に積層したため、プロテクトフィルムとレジスト樹脂組成物層の間に気泡を巻き込むのを極力防止することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示す断面図である。図2は本発明の別例であるプロテクトフィルムを積層した積層体の断面図である。
請求項1の発明として規定するように、プロテクトフィルムは、少なくとも片面側に粗面化層が形成されている二軸延伸ポリプロピレンフィルムであって、三次元表面粗さ計で測定した算術平均表面粗さ(SRa)が0.05〜0.5μmかつ十点平均粗さ(SRz)が0.5〜4.0μmであり、0.5%強度試験において、0.5%強度が5〜25N/15mm幅であることを特徴とするものである。なお、0.5%強度試験については、後述する。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの原料は、ポリプロピレンを主体とした樹脂であり、ポリプロピレン単体のみからなる重合体のホモポリプロピレン、共重合体であるランダムコポリマー、ブロックコポリマーなどが適宜選択されて、単独あるいは組み合わせて使用される。ランダムコポリマー、ブロックコポリマーにおいて、共重合モノマーとしては特に限られないが、エチレンが好ましく、エチレン・プロピレンブロックコポリマー及びエチレン・プロピレンランダムコポリマー等が用いられる。なお、前記フィルムには、その成膜性、加工適性などを向上させるために、通常使用される熱安定剤、帯電防止剤、有機系滑剤、無機系滑剤等あらゆる種類の添加剤や、エチレン系等のポリプロピレン以外の樹脂を、本発明の特性を損なわない範囲で配合することができる。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、公知の二軸延伸法により作製することができ、製造方法の一例を説明すると、上記のような原料樹脂をそれぞれ押出機において混練し、押出機に接続されたTダイとよばれる横長の口金から、加熱溶融された原料樹脂が冷却ロール上に押し出される。本実施例では後述のように、粗面化層である第1層、基層である第2層、及び第3層が共押出によりシート状物に作製される。
このシート状物は縦延伸機により縦方向に延伸された後、テンターにより横方向に延伸される。このような逐次延伸又はテンターにより縦横を同時に延伸する同時延伸などによりフィルムが作製される。このとき、フィルムの機械方向をMD、MDに直交する方向をTDという。仮に、フィルムを一方向にのみ延伸すると、強度及び伸びに方向性が生じ、一般的に実用性を損なうことが多いが、二軸延伸法でフィルムを製造すると、直角2方向であるMD及びTDに延伸し、強度や伸びに方向性が少なく、均一なフィルムが得られる。また、プロテクトフィルムの表面状態が良好なものが得られる。
前記のように製造された二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、前記フィルムを構成する層のなかで最外層である表面の、少なくとも片面側には粗面化層が形成されている。フィルムの表裏を区別なく使用することを可能とし、利便性を高めるために、前記粗面化層は前記フィルムの最外表面層である両側に形成されていることがさらに好ましい。
本実施例においては、図1に示すように、二軸延伸ポリプロピレンからなるプロテクトフィルム10は、粗面化層11(第1層)、基層15(第2層)、及び第3層18とから構成されている。プロテクトフィルムの厚さ及び所望の機能を得るために、前記二軸延伸ポリプロピレンフィルムを構成する層は1層又は2層であってもよいし、3層以上の複数の層が積層されていてもよい。
また、粗面化層とは、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面状態を調製するために形成された層あるいはフィルム表面、又は用途に応じた二次元あるいは三次元表面粗さを有するフィルム表面をいうものとする。例えば、本実施例におけるプロテクトフィルムにおいては、三次元表面粗さ計で測定した算術平均表面粗さ(SRa)が0.05〜0.5μmかつ十点平均粗さ(SRz)が0.5〜4.0μmであることが好ましい。以下、請求項5の発明として規定するように、プロテクトフィルムを主に感光性ドライフィルムのために用いる場合を説明するが、該プロテクトフィルムを他の用途に用いてももちろん構わない。なお、感光性ドライフィルムは、プリント配線基板等の回路形成などに用いられるフィルムであって、前記フィルムを構成するプロテクトフィルム以外のもの、例えば、ベースフィルム及びレジスト樹脂組成物層等は特に限られず、適宜好適なものを使用することができる。
感光性ドライフィルム20は、図2に示すように、支持体となるベースフィルム27と、感光性のレジスト樹脂組成物層25と、それを保護するためのプロテクトフィルム10とからなっている。すなわち、請求項6の発明として規定するように、前記プロテクトフィルムをレジスト樹脂組成物層に積層した積層体として構成されている。なお、レジスト樹脂組成物層は、特に限定はなく、公知のものを用いることができる。
ドライフィルムを製造する際の、特にレジスト樹脂組成物層とプロテクトフィルムのラミネート工程において、プロテクトフィルムとレジスト樹脂組成物層の間に気泡を巻き込まないように、前記フィルムには適度の強度と表面粗さが必要である。
また、プロテクトフィルムを剥がしたレジスト樹脂組成物層はプリント配線基板上に圧着され、ベースフィルム上に回路パターンが描かれたフォトマスクを載せて露光後、レジスト樹脂組成物層が選択的に硬化される。このとき、プリント配線板上の回路パターンは複雑な凹凸を有するため、プリント配線板へレジスト樹脂組成物層を積層、圧着させるときに、前記回路パターンの凹凸部に気泡を巻き込みやすい。この気泡の巻き込みを防止し、空気が抜けやすい構造とするためにも、レジスト樹脂組成物層にプロテクトフィルム表面の凹凸を転写している。
さらに、このようなプロテクトフィルムによって、レジスト樹脂組成物層のレジスト特性が影響を及ぼされる場合も多く、プロテクトフィルムに突起状の凹凸が生じている場合等には、フォトレジストパターンに欠損部が生じるなどして、結果的に配線回路が断線したりショートを起こす原因となる。また、ドライフィルムを製造する際の、レジスト樹脂組成物層とプロテクトフィルム間に気泡の巻き込みによっても、同様の結果が生じることがある。
このように、プロテクトフィルムの表面状態は極めて重要であると共に、該フィルムの強度も被保護物へのラミネーション特性などに影響を及ぼす。本発明においては、三次元表面粗さ計で測定した算術平均表面粗さ(SRa)が0.05〜0.5μmかつ十点平均粗さ(SRz)が0.5〜4.0μmであり、さらには、算術平均表面粗さ(SRa)は0.06〜0.35μm、十点平均粗さ(SRz)は0.7〜3.0μmであることが好ましい。なお、前記表面粗さ(SRa)及び十点平均粗さ(SRz)は、小坂研究所株式会社製SE−3500Kを用いてJIS−B−0601に準拠して測定した値である。
プロテクトフィルムは前記に加えて、下記の0.5%強度試験において、0.5%強度が5〜25N/15mm幅、さらには、8〜20N/15mm幅であることが望ましい。0.5%強度試験について説明すると、まず、幅15mm、厚さが均一であるフィルム試験片を作製する。JIS−K−7127に基づいて、フィルムのMD及びMDに直交するTDのそれぞれについて、もとのフィルムに対する伸びが0.5%であるときの引張応力を測定する。前記測定により得られたTDとMDの各引張応力の和を0.5%強度とする試験である。
プロテクトフィルムがレジスト樹脂組成物層から剥離される際における、剥離性が良好であるとともに、レジスト樹脂組成物層との間に気泡を巻き込むことなく密着性を向上させるには、プロテクトフィルムにはある程度の強度(腰の強さ)が要求される。そのため、0.5%強度を測定することで、得られた値を指標として、厚さを加味したプロテクトフィルムの強度を評価することができるるため、0.5%強度試験はプロテクトフィルムの評価方法として好適な方法である。
プロテクトフィルム表面は、前記の三次元表面粗さ計で測定した算術平均表面粗さ(SRa)、十点平均粗さ(SRz)及び0.5%強度について前記数値範囲の条件を満たすことが好ましい。さらに、プロテクトフィルム表面には突起状物等が極力形成されていないことが望ましい。前述のように、フィルム表面に突起状物が形成されていると、レジスト樹脂組成物層などの被保護物を傷つけて、解像度を低下させ、銅配線の太りや欠陥などの発生の原因となり、レジスト特性が低下する可能性が高いためである。
ところで、フィルムと被保護物の間の密着性や剥離性等を調整する目的で粗面化層を形成させるために、一般的には、フィルムにアンチブロッキング剤を含有させることがよく行われている。アンチブロッキング剤は、基材樹脂を主成分とし、この基材樹脂にメタクリル樹脂等の有機系あるいはシリカなどの無機系の添加物を含有させたものである。このようなアンチブロッキング剤を用いることで、プロテクトフィルムの表面粗さを調製することができる。
しかしながら、特に、感光性ドライフィルムのプロテクトフィルムとして用いられる場合には、高度の保護機能が要求されるため、このような際には、請求項4の発明として規定するように、粗面化層は、アンチブロッキング剤を実質的に含有しない方が好ましい。アンチブロッキング剤を添加することにより粗面化層を形成すると、フィルム表面に突起状物が形成される場合があり、プロテクトフィルムの被保護物を傷つけるおそれがある。そのため、フォトレジストパターンに欠損部が生じるなどして、結果的に配線回路が断線したりショートを起こす場合等があるためである。
従って、ドライフィルムに用いるプロテクトフィルムとして、該フィルムの表面状態が良好なものを得るために、請求項2の発明として規定するように、前記粗面化層にはエチレン・プロピレンブロックコポリマーが含有されることが望ましい。プロテクトフィルムの粗面化層にエチレン・プロピレンブロックコポリマーを含有させることで、実質的な突起状物がほとんどないプロテクトフィルム表面を得ることができる。
なお、粗面化層はエチレン・プロピレンブロックコポリマー単独の層でもよく、又は他にホモポリプロピレン、ランダムコポリマー、他のブロックコポリマーや樹脂などが適宜選択され、組み合わせて含有されてもよい。また、粗面化層だけではなく、基層(第2層)又は第3層あるいは、その他の層にエチレン・プロピレンブロックコポリマーを含有されても構わない。
前記エチレン・プロピレンブロックコポリマーとして、通常の市販されている樹脂原料を用いることができ、例えば日本ポリプロ株式会社製のノバテックPP BC6Dなどを使用することができる。請求項3の発明として規定するように、特に粗面化層におけるエチレン・プロピレンブロックコポリマーの含有量は10〜100重量%であることが望ましく、さらには30〜100重量%であることが望ましい。
また、本実施例のポリプロピレンを主成分とするプロテクトフィルムにおいては、粗面化層(第1層)、基層(第2層)及び第3層からなり、それぞれの層の厚さは粗面化層が約2μm、基層が約6〜26μm、第3層が約2μm程度である。そのため、約10〜30μm程度の厚さのプロテクトフィルムを得ることが可能である。近年のレジスト樹脂組成物層は解像度を上げるために、40〜50μm程度の厚さとすることが要求されており、レジスト樹脂組成物層の薄膜化に適応したプロテクトフィルムを得ることが可能である。なお、前記実施例の各層における厚さに限られず、それぞれの層の厚さは所望とする特性に応じて適宜選択される。
このように得られたプロテクトフィルムは、前述したように、感光性ドライフィルムのために用いるのみではなく、様々な分野におけるプロテクトフィルムとして使用することもできる。
[試料の作製方法]
プロテクトフィルム試料の作製にあたり、下記表1に示すホモポリプロピレン(A)、エチレン・プロピレンブロックコポリマー(B−1、B−2、B−3)、エチレン・プロピレンランダムコポリマー(C)の原料樹脂を用いた。前記原料樹脂は全て日本ポリプロ株式会社製である。なお、備考欄における特注品とは、委託製造品である。
プロテクトフィルム試料の作製にあたり、下記表1に示すホモポリプロピレン(A)、エチレン・プロピレンブロックコポリマー(B−1、B−2、B−3)、エチレン・プロピレンランダムコポリマー(C)の原料樹脂を用いた。前記原料樹脂は全て日本ポリプロ株式会社製である。なお、備考欄における特注品とは、委託製造品である。
本実施例におけるプロテクトフィルムは、粗面化層(第1層)、基層(第2層)及び第3層より構成した。実施例1における各層の原料含有量は以下の通りである。粗面化層(第1層)において、B−1の含有量は100重量%、基層(第2層)において、Aが50重量%、B−2が50重量%、及び第3層においてAが100重量%とした。前記含有量となるように樹脂原料の調製・混練後、押出機に接続されたTダイから、適宜の温度で加熱溶融された原料樹脂を冷却ロール上に押し出し、粗面化層、基層、及び第3層を共押出によりシート状物に作製した。次に、縦延伸機により前記シート状物のMDを延伸し、テンターによりTDを延伸して二軸延伸ポリプロピレンフィルムを作製した。
続いて、実施例2ないし9、併せて比較例1ないし7のプロテクトフィルムについても実施例1と同様の手法によって、それぞれのプロテクトフィルムを構成する各層の原料含有量が下記表2に示す値となるように調製・作製を行った。
実施例1ないし9の粗面化層は、エチレン・プロピレンブロックコポリマーを含有すると共に、いわゆるアンチブロッキング剤を含有していない。それに対して、プロテクトフィルムの表面粗さを調製するために比較例2、比較例3及び比較例4には、粗面化層にアンチブロッキング剤(D−1、D−2、又はD−3)を配合した。また、比較例5には粗面化層に低密度ポリエチレン(E)を配合した。それぞれの含有量は、表2に示す通りである。
なお、アンチブロッキング剤D−1、D−2及びD−3は、いずれも表1に示す原料A(ホモポリプロピレン)をベース原料としている。このベース原料に添加物を1重量%含有させてアンチブロッキング剤を調製しており、D−1、D−2、及びD−3は日本ポリプロ株式会社製のテスト品である。なお、各添加物である原料の商品名、及び製造会社名は下記表3に示す。また、原料Eは、日本ポリオレフィン株式会社製のノバテックPE HE30である。
[各試料の評価]
上記の方法により得られたそれぞれのプロテクトフィルム試料(実施例1ないし9及び比較例1ないし7)について、三次元表面粗さ計により算術平均表面粗さ(SRa)及び十点平均粗さ(SRz)の測定を行った。また、厚さ及び0.5%強度の測定を行い、走査型電子顕微鏡(以下、SEM(Scanning Electron Microscope)という)によりプロテクトフィルムの表面状態を確認した。プロテクトフィルムの性能評価としてラミネーション特性、レジスト特性及び総合評価を行った。以下に評価、測定方法の詳細を示す。
上記の方法により得られたそれぞれのプロテクトフィルム試料(実施例1ないし9及び比較例1ないし7)について、三次元表面粗さ計により算術平均表面粗さ(SRa)及び十点平均粗さ(SRz)の測定を行った。また、厚さ及び0.5%強度の測定を行い、走査型電子顕微鏡(以下、SEM(Scanning Electron Microscope)という)によりプロテクトフィルムの表面状態を確認した。プロテクトフィルムの性能評価としてラミネーション特性、レジスト特性及び総合評価を行った。以下に評価、測定方法の詳細を示す。
[厚さ及び表面粗さの測定]
各試料フィルムの厚さはJIS−K−7130に基づき測定を行った。また、算術平均表面粗さ(SRa)及び十点平均粗さ(SRz)は、三次元表面粗さ計である小坂研究所株式会社製SE−3500Kを用い、JIS−B−0601に準拠してダイヤモンド針0.7mN及びカットオフ0.25mmにて測定を行った。
各試料フィルムの厚さはJIS−K−7130に基づき測定を行った。また、算術平均表面粗さ(SRa)及び十点平均粗さ(SRz)は、三次元表面粗さ計である小坂研究所株式会社製SE−3500Kを用い、JIS−B−0601に準拠してダイヤモンド針0.7mN及びカットオフ0.25mmにて測定を行った。
[0.5%強度の測定]
幅15mm、厚さが均一である各プロテクトフィルム試料において、JIS−K−7127に基づいて、フィルムのMD及びTDのそれぞれについて、もとのフィルムに対する伸びが0.5%であるときの引張応力を測定した。前記測定により得られたTDとMDにおけるそれぞれの引張応力の和により、0.5%強度を求めた。
幅15mm、厚さが均一である各プロテクトフィルム試料において、JIS−K−7127に基づいて、フィルムのMD及びTDのそれぞれについて、もとのフィルムに対する伸びが0.5%であるときの引張応力を測定した。前記測定により得られたTDとMDにおけるそれぞれの引張応力の和により、0.5%強度を求めた。
[プロテクトフィルムの表面状態]
粗面化層にエチレン・プロピレンブロックコポリマーを含有し、かつアンチブロッキング剤を含有しないプロテクトフィルムである実施例1の表面(図3(a))及び粗面化層にアンチブロッキング剤を含有するプロテクトフィルムである比較例3の表面(図3(b))についてSEMにより観察を行った。各プロテクトフィルムの表面状態について図3に示す。なお、SEMは日本電子データム株式会社製のJSM−5400LVを用いた。
粗面化層にエチレン・プロピレンブロックコポリマーを含有し、かつアンチブロッキング剤を含有しないプロテクトフィルムである実施例1の表面(図3(a))及び粗面化層にアンチブロッキング剤を含有するプロテクトフィルムである比較例3の表面(図3(b))についてSEMにより観察を行った。各プロテクトフィルムの表面状態について図3に示す。なお、SEMは日本電子データム株式会社製のJSM−5400LVを用いた。
図3から明らかなように、粗面化層にアンチブロッキング剤を含有する比較例3のプロテクトフィルム表面には(図3(b))、約20μm程度の突起状物が随所に形成されていた。それに対して、粗面化層にエチレン・プロピレンブロックコポリマーを含有し、アンチブロッキング剤を含有しない実施例1のプロテクトフィルム表面には(図3(a))、比較例3のような突起状物は確認されなかった。
[性能評価]
本実施例では、各試料であるプロテクトフィルムを積層する際の被保護物としてレジスト樹脂組成物層を用いてドライフィルム試料を作製し、性能評価を行った。性能評価としてラミネーション特性及びレジスト特性の評価を行い、その結果に基づいて総合評価を行った。評価方法の詳細については、後述する。
本実施例では、各試料であるプロテクトフィルムを積層する際の被保護物としてレジスト樹脂組成物層を用いてドライフィルム試料を作製し、性能評価を行った。性能評価としてラミネーション特性及びレジスト特性の評価を行い、その結果に基づいて総合評価を行った。評価方法の詳細については、後述する。
ドライフィルム試料は、ベースフィルム、レジスト樹脂組成物層、及び前記プロテクトフィルム試料により構成した。ベースフィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)で、厚さが19μmの帝人デュポンフィルム株式会社製、テトロンフィルム G2を用いた。また、レジスト樹脂組成物層として、厚さ16μmのアクリル系の感光性樹脂を用いた。まず、ベースフィルム上に感光性樹脂を積層させ、さらに、プロテクトフィルム試料の粗面化層が形成されている側のフィルム面が、感光性樹脂と密着するようにプロテクトフィルムを積層して金属ロール及びゴムロール間でニップにてエアー抜きを行い、前記プロテクトフィルム試料(実施例1ないし9及び比較例1ないし7))の各々について、ドライフィルム試料を作製した。
[ラミネーション特性]
前記各ドライフィルム試料について、エアーボイド評価及び表面状態評価を行うことにより、ラミネーション特性について総合的に評価を行った。ここで、エアーボイド評価は、各ドライフィルム試料を作製する際に生じたエアー溜りの状態を、目視観察して行った。また、表面状態評価は、前記ドライフィルム試料からプロテクトフィルムを剥離した後の感光性樹脂の表面状態を目視により確認した。エアーボイド評価及び表面状態の評価結果に基づく、ラミネーション特性の評価基準を表4に示す。
前記各ドライフィルム試料について、エアーボイド評価及び表面状態評価を行うことにより、ラミネーション特性について総合的に評価を行った。ここで、エアーボイド評価は、各ドライフィルム試料を作製する際に生じたエアー溜りの状態を、目視観察して行った。また、表面状態評価は、前記ドライフィルム試料からプロテクトフィルムを剥離した後の感光性樹脂の表面状態を目視により確認した。エアーボイド評価及び表面状態の評価結果に基づく、ラミネーション特性の評価基準を表4に示す。
[レジスト特性]
前述のように作製した各ドライフィルム試料について、レジスト特性の評価を行った。レジスト特性は、積層したプロテクトフィルムをドライフィルムから剥離し、銅張り積層板にラミネートし、最小線幅20μm、30μm、50μmの線画パターンで、露光、現像、エッチングを施した。パターン形成の状態をSEM(日本電子データム株式会社製JSM−5900LV)により確認して、評価を行った。
前述のように作製した各ドライフィルム試料について、レジスト特性の評価を行った。レジスト特性は、積層したプロテクトフィルムをドライフィルムから剥離し、銅張り積層板にラミネートし、最小線幅20μm、30μm、50μmの線画パターンで、露光、現像、エッチングを施した。パターン形成の状態をSEM(日本電子データム株式会社製JSM−5900LV)により確認して、評価を行った。
その評価基準は、最小線幅20μm、30μm及び50μmの線画パターン全てで良好なものは“◎”、最小線幅30μm及び50μmの線画パターンで良好であるが、20μmで一部不良が発生したものは“○”、最小線幅50μmの線画パターンで良好であるが、20μm及び30μmで一部不良が発生したものは“△”、最小線幅20μm、30μm及び50μmの線画パターン全てにおいて不良が発生したものは“×”とした(下記表5参照)。
[総合評価]
総合評価は、上述のラミネーション特性及びレジスト特性を併せた評価である。上述の測定及び性能評価により得られた結果を下記表5に示す。なお、表5中ラミ特性とはラミネーション特性を意味する。ラミネーション特性及びレジスト特性の両方の評価で“◎”であるときの総合評価は“◎”、ラミネーション特性あるいはレジスト特性のどちらか一方の評価が“○”であり、かつどちらも“×”でないものは総合評価は“○”、ラミネーション特性あるいはレジスト特性のどちらか一方の評価が“△”であるものは総合評価は“△”、ラミネーション特性あるいはレジスト特性のどちらか一方の評価が“×”であるものは総合評価は“×”とした。
総合評価は、上述のラミネーション特性及びレジスト特性を併せた評価である。上述の測定及び性能評価により得られた結果を下記表5に示す。なお、表5中ラミ特性とはラミネーション特性を意味する。ラミネーション特性及びレジスト特性の両方の評価で“◎”であるときの総合評価は“◎”、ラミネーション特性あるいはレジスト特性のどちらか一方の評価が“○”であり、かつどちらも“×”でないものは総合評価は“○”、ラミネーション特性あるいはレジスト特性のどちらか一方の評価が“△”であるものは総合評価は“△”、ラミネーション特性あるいはレジスト特性のどちらか一方の評価が“×”であるものは総合評価は“×”とした。
表5から明らかなように、実施例1ないし9のプロテクトフィルム試料は、ラミネーション特性及びレジスト特性が良好であった。なかでも、実施例1,2及び9においては、ラミネーション特性及びレジスト特性に極めて優れており、総合評価が特に優れたプロテクトフィルムを得ることができた。
一方、比較例1ないし7にあっては、ラミネーション特性あるいはレジスト特性において良好な結果が得られず、その結果、プロテクトフィルムとしての総合評価においても悪い結果となった。総合評価が極めて悪い比較例1、2、3及び4は、0.5%強度が5〜25N/15mm幅という条件を満たすものの、三次元表面粗さ計で測定した算術平均表面粗さ(SRa)が0.05〜0.5μmかつ十点平均粗さ(SRz)が0.5〜4.0μmという条件を満たしていなかった。
また、総合評価の悪い比較例6及び7については、算術平均表面粗さ(SRa)及び十点平均粗さ(SRz)が前記条件を満たすものの、0.5%強度が前記条件の範囲から外れていた。フィルムの腰が強すぎても、弱すぎても性能評価では良好な結果が得られなかった。以上のことから、三次元表面粗さ計で測定した算術平均表面粗さ及び十点平均粗さ(SRz)並びに0.5%強度が、プロテクトフィルムの性能を決定する重要な指標であることが推察される。
10 プロテクトフィルム
11 粗面化層(第1層)
15 基層(第2層)
18 第3層
20 感光性ドライフィルム
25 レジスト樹脂層
27 支持フィルム
11 粗面化層(第1層)
15 基層(第2層)
18 第3層
20 感光性ドライフィルム
25 レジスト樹脂層
27 支持フィルム
Claims (6)
- 少なくとも片面側に粗面化層が形成されている二軸延伸ポリプロピレンフィルムであって、
三次元表面粗さ計で測定した算術平均表面粗さ(SRa)が0.05〜0.5μmかつ十点平均粗さ(SRz)が0.5〜4.0μmであり、
下記(I)の0.5%強度試験において、0.5%強度が5〜25N/15mm幅であることを特徴とするプロテクトフィルム。
((I)0.5%強度試験:幅15mm、厚さが均一であるフィルム試験片を作製する。JIS−K−7127に基づいて、フィルムの機械方向(以下、MDという)及びMDに直交する方向(以下、TDという)のそれぞれについて、もとのフィルムに対する伸びが0.5%であるときの引張応力を測定する。前記測定により得られた各引張応力の和を0.5%強度とする。) - 前記粗面化層はエチレン・プロピレンブロックコポリマーを含有する請求項1に記載のプロテクトフィルム。
- 前記粗面化層におけるエチレン・プロピレンブロックコポリマーの含有量は10〜100重量%である請求項1又は2に記載のプロテクトフィルム。
- 前記粗面化層はアンチブロッキング剤を実質的に含有しない請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプロテクトフィルム。
- 前記フィルムは感光性ドライフィルムのためのものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプロテクトフィルム。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の前記プロテクトフィルムをレジスト樹脂組成物層に積層したことを特徴とする積層体。
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---|---|---|---|
JP2005357436A JP2007160598A (ja) | 2005-12-12 | 2005-12-12 | プロテクトフィルム及び前記プロテクトフィルムがレジスト樹脂組成物層に積層されている積層体 |
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JP2019014523A (ja) * | 2017-07-07 | 2019-01-31 | 旭化成パックス株式会社 | シーリングフィルム、シーリングフィルム巻回体、及びシーリングフィルム収納体 |
-
2005
- 2005-12-12 JP JP2005357436A patent/JP2007160598A/ja active Pending
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JP2019014523A (ja) * | 2017-07-07 | 2019-01-31 | 旭化成パックス株式会社 | シーリングフィルム、シーリングフィルム巻回体、及びシーリングフィルム収納体 |
JP7000053B2 (ja) | 2017-07-07 | 2022-01-19 | 旭化成パックス株式会社 | シーリングフィルム、シーリングフィルム巻回体、及びシーリングフィルム収納体 |
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