JP2010208139A - 二軸延伸ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】有機樹脂の配合によって、優れた離型性を有する多層のポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも二層から構成された二軸延伸ポリエステルフィルムであって、前記フィルムの少なくとも一方の表層に配された層が、熱可塑性ポリエステル樹脂99.9〜95.0質量%と0.1〜5.0質量%のポリメチルペンテンおよび/またはマレイミド系共重合体とからなる層(A)であって、層(A)は表面の中心線平均粗さ(SRa)が0.10〜0.50μmであり、前記フィルム全体のボイド率が2.8%以下であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリメチルペンテンおよび/またはマレイミド系共重合体の添加よりなるフィルム表面を粗面化した二軸延伸ポリエステルフィルムに関し、電子機器等のプリント配線基板積層工程で好適に用いられる離型性に優れる多層の二軸延伸ポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエチレンテレフタレ−ト等の二軸延伸フィルムは、透明性、機械的強度、寸法安定性等の物理的物性、耐薬品性等の化学的特性に優れているため広範な分野で用いられている。フィルムの表面を粗面化させて離型性を付与することにより、多層の導体回路を有するプリント配線基板積層工程のキャリアフィルムとしても利用されている。
多層の導体回路を有するプリント配線基板は、例えば、多数のビアホ−ルを形成した導体回路とガラスクロスにエポキシ樹脂等を含浸させたプリプレグを絶縁、接着及び導体保護のため多層積層して形成される。プリント配線基板の製造工程においては、加熱真空プレス及び高圧加熱プレスを一連の工程を通して一体化させる方法が一般的であるが、このとき、通常、離型性フィルムを介して搬送される。
プリント配線基板の製造工程では、プリント配線基板積層体は、離型性フィルムを用いて上下から挟み込むようにして搬送され、加熱真空プレス及び高圧加熱プレス工程を経た後は、離型性フィルムは、プリント配線基板積層体から剥がされて巻き取られる。離型性フィルムは、前記製造工程において、工程移送中のキャリアフィルムとしてプレス板との接着防止のために用いられる。
特に、加熱プレス工程時には、軟化したエポキシ樹脂等が導体回路に形成されたビアホ−ルを通り離型性フィルムに接触することがあり、このときプリント配線基板積層体と離型性フィルムの剥離不良があった場合、著しい操業性の悪化を招き、歩留まりが低下する。したがって、プリント配線基板積層工程で使用される離型性フィルムには、プリント配線基板材料やプレス板との離型性、均一な成形性が求められている。
こうした要求を満たすために、離型性フィルムとして、粗面化されたポリエステルフィルムが提案されている。ポリエステルフィルムの粗面化方法としては、無機や有機の不活性粒子をポリエステルに配合させて二軸延伸を行うことでフィルム表面を粗面化させる方法や、塗布剤を使用してサンドブラストやエンボス加工、化学薬品処理などの表面エッチング加工によって粗面化させる方法がある。
有機粒子を用いた粗面化方法として、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、有機シリコ−ン樹脂、アクリル− スチレン共重合体等の微粒子を配合したポリエステルフィルムが開示されている(特許文献1)。しかしながら、これらの有機粒子を配合させても十分な突起は得られず、プリント配線基盤製造工程用キャリアフィルムとして必要なフィルム面の中心線平均粗さ(SRa)を達成することは困難であった。
また、ポリメチルペンテンを配合した微細気泡含有ポリエステルフィルムが提案されている(特許文献2)。しかしながら、このフィルムは内部に多量の微細気泡が形成されたものであり、フィルムの強度及び伸度不足となり、プリント配線基板の製造工程中にフィルムの切断が著しく、操業性が著しく劣るものであった。
特開2007−039515号公報 特公平7−17779号公報
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、有機樹脂の配合によって、優れた離型性を有するポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討した結果、熱可塑性ポリエステル樹脂に特定の樹脂を配合することによってフィルム表層を粗面化させ、離型に適したフィルム面の中心線平均粗さ(SRa)に制御し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)少なくとも二層から構成された二軸延伸ポリエステルフィルムであって、前記フィルムの少なくとも一方の表層に配された層が、熱可塑性ポリエステル樹脂99.9〜95.0質量%と0.1〜5.0質量%のポリメチルペンテンおよび/またはマレイミド系共重合体とからなる層(A)であって、層(A)は表面の中心線平均粗さ(SRa)が0.10〜0.50μmであり、前記フィルム全体のボイド率が2.8%以下であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルム。
(2)層(A)、およびポリメチルペンテンまたはマレイミド系共重合体のいずれも含有しない熱可塑性ポリエステル樹脂からなる層(B)の少なくとも二層を構成層に含んでいることを特徴とする(1)記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
(3)層構成が、(A)/(B)の二種二層、(A)/(B)/(A)の二種三層、(A)/(B)/(A)/(B)/(A)の二種五層のいずれかである(2)記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
(4)引張伸度が80%以上である(1)〜(3)いずれかに記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
(5)空気抜け時間が1.5秒以下である(1)〜(4)いずれかに記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
(6)同時二軸延伸で得られる(1)〜(5)いずれかに記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
(7)(1)〜(6)いずれかに記載の二軸延伸ポリエステルフィルムからなるプリント配線基盤製造工程用キャリアフィルム。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは、ポリメチルペンテンおよび/またはマレイミド系共重合体の配合量を所定量配合することで、離型性に優れたフィルム面の中心線平均粗さを得ることができる。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは、逐次延伸で得られたものよりも、同時二軸延伸を用いたものの方が、引張伸度の低下要因となるボイド率を増加させずに、優れたフィルム面の中心線平均粗さを達成することができるので、好ましい。
このように、プリント配線基板製造工程のコストダウン及び生産性を高度に維持することができ、その工業的価値は非常に高い。
本発明において、空気抜け時間を測定するための装置の断面図である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは、少なくとも二層で構成されている。
本発明において、二軸延伸ポリエステルフィルムの各層を構成する熱可塑性ポリエステル樹脂は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリトリメチレンテレフタレ−ト、ポリエチレン−2、6−ナフタレ−ト、ポリ−1、4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレ−トあるいはポリ−p−エチレンオキシベンゾエ−ト、ポリ乳酸等が挙げられる。中でもポリエチレンテレフタレ−トが安価であり、延伸性に優れることから好適に使用される。ポリエチレンテレフタレ−トは、通常、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコ−ルとからのエステル交換方法、あるいは、テレフタル酸とエチレングリコ−ルとからの直接エステル化法によりオリゴマ−を得た後、溶融重合、あるいはさらに固相重合して得られる。
熱可塑性ポリエステル樹脂には、さらには、他の成分を共重合することができる。他の共重合成分としては、ジカルボン酸成分として、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、ダイマ−酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンや乳酸などが挙げられる。また、グリコ−ル成分として、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル、トリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、ビスフェノ−ルAやビスフェノ−ルSのエチレンオキシド付加物などが挙げられる。
熱可塑性ポリエステル樹脂の固有粘度については特に限定されないが、十分な機械特性を有するためには、原料として0.5dl/g以上の熱可塑性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。特に、JIS K7210 B法に準拠して温度280℃、荷重10kgで測定したメルトフローレート(以下、MFRと略す)が、50〜500g/10分のものを用いることが好ましく、さらに好ましくは200〜400g/10分である。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、いずれか一方の表層は、熱可塑性ポリエステル樹脂99.9〜95.0質量%に対して、0.1〜5.0質量%のポリメチルペンテンおよび/またはマレイミド系共重合体とからなる層(A)である。二軸延伸ポリエステルフィルムの両方の表層が層(A)で構成されていてもよく、この場合には、熱可塑性ポリエステル樹脂とポリメチルペンテンおよび/またはマレイミド系共重合体との配合比率が異なっていてもよい。ポリメチルペンテン(以下、PMPと略す)とマレイミド系共重合体は、いずれかのみを用いてもよいし、両者を併用してもよい。併用する場合には、両樹脂の合計が0.1〜5.0質量%の範囲であればよい。ポリメチルペンテン、マレイミド系共重合体はともに、熱可塑性ポリエステル樹脂に対して非相溶の樹脂であり、上述の範囲で溶融混合されると熱可塑性ポリエステル樹脂中に島状に分散する傾向がある。このようなモルホロジーの樹脂を延伸してフィルムとすれば、表面に微細な突起を生ずる。
層(A)における、熱可塑性ポリエステル樹脂とPMPおよび/またはマレイミド系共重合体の配合比は、99.5/0.5〜95.0/5.0(質量%/質量%)の範囲が好ましく、より好ましくは、99.0/1.0〜95.0/5.0(質量%/質量%)である。
PMPとは、80モル%以上、好ましくは90モル%以上が4−メチルペンテン−1から誘導される単位を有するポリマ−であり、他の成分としてはエチレン単位、プロピレン単位、ブテン−1単位、3−メチルブテン−1等からの誘導単位が例示される。
原料として用いるPMPのMFRは、JIS K7210 B法に準拠した温度280℃、荷重10kgの数値が200〜1100g/10分の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは300〜1000g/10分の範囲である。MFRが1g/10分未満の場合、未延伸シ−トを延伸する工程でのフィルムの切断頻度が高くなり好ましくない。またMFRが1100g/10分を超えると、得られるポリエステルフィルム面の中心線平均粗さ(SRa)が低くなる傾向にある。
本発明において用いることのできる市販のPMPとしては、三井化学社製TPX MX004、RT18、RT31などが挙げられる。
本発明に用いられるマレイミド系共重合体は、マレイミド系単量体と芳香族ビニル単量体と必要に応じてさらに不飽和ジカルボン酸無水物単量体とその他の共重合可能な単量体とから構成されるものである。
マレイミド系単量体の例としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−トリルマレイミド、N−(ハロゲン化フェニル)マレイミド、N−(アルキルフェニル)マレイミド、N−(ニトロフェニル)マレイミド、N−(ヒドロキシルフェニル)マレイミド、N−ナフチルマレイミド、α−クロル−N−フェニルマレイミド、α−メチル−N−フェニルマレイミドなどが挙げられる。
芳香族ビニル単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ハロゲン化スチレンなどが挙げられる。
不飽和ジカルボン酸無水物単量体の例としては、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、無水1,2−ジメチルマレイン酸、無水エチルマレイン酸、無水フェニルマレイン酸などが挙げられる。
他の共重合可能な単量体の例としては、アクリル系単量体が挙げられ、アクリル系単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどがある。ここでメチル(メタ)アクリレートとはメチルアクリレートあるいはメチルメタアクリレートを示すものとする。
原料として用いるマレイミド系共重合体のMFRは、JIS K7210 B法に準拠した温度280℃、荷重10kgにおける数値が1〜100g/10分の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは5〜50g/10分の範囲である。MFRが1g/10分未満の場合、未延伸シ−トを延伸する工程でのフィルムの切断頻度が高くなり好ましくない。またMFRが100g/10分を超えると、得られるポリエステルフィルム面の中心線平均粗さ(SRa)が低くなる傾向にある。
本発明において用いることのできる市販のマレイミド系共重合体としては、電気化学工業社製デンカIP MS−NA、MS−CP、MS−NCなどが挙げられる。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの層構成としては、フィルム表面の凹凸を形成させるためにPMPおよび/またはマレイミド系共重合体を配合した熱可塑性ポリエステル樹脂層(A)と、PMPまたはマレイミド系共重合体のいずれも配合していない熱可塑性ポリエステル樹脂層(B)を用いた構成とすることが、ボイド率や見掛け密度を調整しやすいため好ましい。層(A)と層(B)を用いた構成としては、A/Bの二種二層、A/B/Aの二種三層、A/B/A/Bの二種四層、A/B/A/B/Aの二種五層などが挙げられ、さらには層(A)のみを用いたA/Aの一種二層も挙げられる。A/Aの一種二層、A/Bの二種二層、A/B/Aの二種三層の構成が、各層の厚みコントロールが比較的容易である。使用用途に応じて、層(A)が両面に配置されている場合と、層(A)が片面にのみ配置されている場合を適宜選択することができる。
また、PMPおよび/マレイミド系共重合体を配合したポリエステル層(A)の合計厚み(厚み1)とPMPまたはマレイミド系共重合体のいずれも配合していないポリエステル層(B)の合計厚み(厚み2)の比率が(厚み1)/(厚み2)=1/1〜1/3のような範囲であると、ボイド率や引張伸度等の物性を調整しやすいため好ましい。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの厚さは、フィルムに剛性を与えて巻取り時の切断を抑制するためには10μm以上であることが好ましく、プリント配線基板製造工程におけるキャリアフィルムとして使用する場合には15〜50μmが好適である。さらに好ましくは、20〜40μmである。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの引張伸度は、プリント配線基板の製造工程中におけるフィルム切れが抑制できるという観点から、80%以上であることが好ましい。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムのボイド率は2.8%以下とする必要がある。ボイド率2.8%を超える場合は、フィルムの強度及び伸度不足となり、プリント配線基板の製造工程中に伸度不足によるフィルム切れが発生しやすくなる。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、フィルム面中心線平均粗さ(SRa)は、0.10〜0.50μmであることが必要である。SRaが0.10μm未満では目的とする離型性が得られない。一方、SRaが0.50μmを超える場合には、SRaに追従してボイド率も増加傾向にあり、プリント配線基板の製造工程中にフィルム切れが発生しやすくなる。
以下、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは、所望の層構成、例えば、A/A、A/B、A/B/A、A/B/A/B、もしくは、A/B/A/B/Aなどを有する、二層以上の多層構造を有する無定形のポリエステルシートを得て、このポリエステルシートを縦および横方向に二軸延伸後、熱処理することにより得られる。
PMPおよび/またはマレイミド系共重合体を熱可塑性ポリエステル樹脂に配合する方法は特に限定されるものではなく、例えば予め熱可塑性ポリエステル樹脂と所望量のPMPおよび/またはマレイミド系共重合体チップを均一に混合して押出機の原料供給ホッパ−に投入すればよい。また、押出機の原料投入口に熱可塑性ポリエステル樹脂とPMPおよび/またはマレイミド系共重合体チップをそれぞれ定量的に供給する方法は、特に簡便で、配合ムラが少ないことから好ましく採用される。
たとえば、A/B/Aの二種三層のフィルムを得る場合には、2台の押出機で溶融した樹脂をTダイ内でポリエステル層(A)を外層に、ポリエステル層(B)を内層となるようにスリット状に押出された溶融樹脂を冷却して、前記構成の無定形のポリエステルシ−トが得られる。なお、ポリエステルフィルムの層構成によって、押出機の数は2種に限定ざれず適宜設定されるが、各押出機にて熱可塑性ポリエステル樹脂を溶融混練する温度条件は、用いる樹脂により適宜設定し、例えば250〜320℃の温度とすることが好ましい。また、溶融樹脂の冷却温度は、70℃以下とすることが好ましい
二軸延伸ポリエステルフィルムのポリエステル層(A)における、熱可塑性ポリエステル樹脂とPMPおよび/またはマレイミド系共重合体の配合比は、99.9/0.1〜95.0/5.0(質量%/質量%)である。PMPおよび/またはマレイミド系共重合体の配合量が5.0質量%を超える場合は、ボイド率が2.8%を超えるために、引張強度が80%未満となり、プリント配線基板の製造工程中にフィルムの切断が生じてしまう。配合量が0.1質量%未満の場合、フィルム表面の中心線平均粗さ(SRa)が0.1μm以下となってしまい、十分な空気抜け速度が得られないためにプリント配線基板製造工程におけるキャリアフィルムとしての離型性が損なわれる。
多層構造の無定形ポリエステルシ−トを二軸延伸する温度は、熱可塑性ポリエステル樹脂のガラス転移温度〜結晶化温度の範囲内で行われ、ガラス転移温度〜(ガラス転移温度+30)℃の範囲が好ましい。熱可塑性ポリエステル樹脂のガラス転移温度より低い温度では、熱可塑性ポリエステル樹脂が溶融しにくくなるためフィルムの延伸性が悪くなる。(ガラス転移温度+30)℃よりも高い温度で二軸延伸した場合、PMPおよび/またはマレイミド系共重合体が熱可塑性ポリエステル樹脂とともに変形しやすくなり、海成分である熱可塑性ポリエステル樹脂中でPMPおよび/またはマレイミド系共重合体が島成分となりにくく、結果として突起物が形成されにくい。
延伸倍率としては、面積倍率を3倍以上とすることが好ましい。より好ましくは面積倍率が6〜20倍、さらに好ましくは、面積6.5〜13倍の範囲である。面積倍率が3倍未満の場合、0.10μm以上のフィルム表面の中心線平均粗さ(SRa)を得ることができないことがあり、面積倍率が20倍を超えると、フィルム破断が頻発する傾向がある。
また、逐次二軸延伸においては、縦延伸倍率が2.0倍以上、横延伸は1.5以上が好ましく、同時二軸延伸においては、面積倍率で通常3倍以上、好ましくは面積倍率にして6〜20倍、より好ましくは、6.5〜13倍の範囲である。面積倍率が3倍未満の場合、空気抜け時間の短いフィルムを得ることは困難である。
二軸延伸方法としては、テンタ−式同時二軸機により縦方向と横方向に同時に延伸する同時二軸延伸方法、ロ−ル式延伸機で縦方向に延伸した後、テンタ−式横延伸機で横方向に延伸する逐次二軸延伸方法等を用いることができるが、逐次二軸延伸の場合、同じ面積倍率に延伸した同時二軸延伸フィルムと比較してもフィルム表面の中心線平均粗さ(SRa)が小さくなるため、同時二軸延伸方法が好適である。
延伸後のフィルムを熱処理する条件としては、例えば、テンタ−内で縦及び横方向に弛緩率を0〜10%として150℃〜(ポリエステルの融点−5℃)以下で数秒間熱処理することが挙げられる。フィルムはその後、室温まで冷却される。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、ボイド率を2.8%以下とするためには、フィルムを構成する熱可塑性ポリエステル樹脂とPMPおよび/またはマレイミド系共重合体の混合割合を所定の範囲とするとともに、これらを混合したポリエステルフィルムを延伸する際の延伸応力をコントロールすることが重要である。延伸応力は、(1)延伸方法、(2)延伸温度、(3)延伸倍率などの要因に影響を受けるため、前記した製造条件の範囲内で、これらを適宜組み合わせて制御することができる。延伸応力を高くするとボイド率は高くなり、延伸応力を低くするとボイド率は低くなる傾向となる。以下、前記(1)〜(3)の各要因が延伸応力とボイド率に与える影響を説明する。
延伸方法の選択に関して、ポリエステルフィルムのボイド形成は、延伸応力が高いほど促進される傾向があるが、逐次二軸延伸は、縦延伸の後に横延伸を行うため、縦延伸時にフィルムの配向結晶化が進行してしまい、横延伸時に大きな延伸応力が必要となる。このため、一般的に、逐次二軸延伸法は、縦横同時に延伸する同時二軸延伸法に比べると延伸応力が高くなる。本願発明のポリエステルフィルムにおいては、逐次二軸延伸法を採ると、ポリエステルフィルムのボイド率が本願発明で規定する範囲を超えてしまうことがあるのに対して、同時二軸延伸法ではボイド率を規定範囲に制御しやすい。よって、本発明において、延伸方法としては、逐次二軸延伸法より同時二軸延伸法が有利である。
延伸温度が低ければ延伸応力は高くなり、延伸温度が低ければ延伸応力は低くなる傾向にある。したがって、延伸温度が高いほどボイド率を高くすることができる。
延伸倍率が高ければ延伸応力は高くなり、延伸倍率が低ければ延伸応力は高くなる傾向にある。したがって、延伸倍率が高いほどボイド率を高くすることができる。
フィルム表面の中心線平均粗さ(SRa)は、二軸延伸フィルムの表面に生じる突起の発現を制御することにより調整される。具体的には、多層構造を有する未延伸シートの外層ポリエステル層(A)中にPMPおよび/またはマレイミド系共重合体を海島構造に分散させて、この未延伸シートを二軸延伸することによりフィルム表面に、島部であるPMPおよび/またはマレイミド系共重合体に由来する突起が形成される。このような表面状態の制御は、PMPおよび/またはマレイミド系共重合体の配合量を前記範囲とし、原料として使用する樹脂のMFRを前記した範囲のものを使用することのほか、延伸条件を調整することにより制御される。
延伸方法としては、同時二軸延伸と逐次二軸延伸とを比較した場合、同時二軸延伸方法はよりSRaが大きくなる傾向にある。また、延伸倍率としては、低い延伸倍率のときにSRaがより大きくなる傾向がある。これら延伸条件を前記した数値範囲内で組み合わせることにより本発明のSRaの範囲内に調整できる。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムにおいては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、各種の添加剤などを配合してよい。添加剤としては、例えば抗酸化剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、滑剤、マット剤、蛍光増白剤、界面活性剤、シリコ−ン系界面活性剤などが挙げられる。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは、離型性に優れるため、プリント配線基板の製造工程のキャリアフィルムとして好適である。離型性の指標としては、後述の方法で測定される空気抜け時間が1.5秒以下であることが好ましい。空気抜け時間が1.5秒を超えると、プリント配線基板のプレス工程を経て、プリント配線基板からポリエステルフィルムを剥がす際に抵抗を受けて容易に剥がれない。さらには、プリント配線基板からポリエステルフィルムを剥がして巻き取る際に、ポリエステルフィルムの剛性不足のためシワが発生し、巻き取り張力に負けてフィルムが切断することがあり好ましくない。また、巻き取り張力を弱めて巻き取った場合、高圧加熱プレス部へシワが伝播することがあり、製品品位に影響して不良率が上がる。空気抜け時間は、図1に示す測定装置を使用して測定する。すなわち、台1(350mm×500mm)の中央部に60mmΦの円形ガラス板2を取り付け、取り付けたガラス板2の外周に沿って空気溝8及び空気孔9を形成させる。そして、その空気孔9と真空ポンプ5をコック4のついたホ−ス3で接続し、台1の上部に、ガラス板2を覆い隠す大きさの試料フィルム6を市販のビニールテープ7で固定し、真空ポンプ5を駆動させる。真空ポンプにより、ポンプの真空度が10Pa以下になったらコック4を開き、ガラス板2の外周に干渉縞が出現してからガラス板2全体に広がり、最終的にその移動が止まるまでの時間(秒)を測定し、それを空気抜け時間とする。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは、プリント配線基板の多数の導体層と絶縁層からなる積層体を積層させるビルドアップ工法における離型性に優れるキャリアフィルムとして好適に使用される。プリント配線基板の多数の導体層と絶縁層を積層させるビルドアップ工法とは、銅箔からなる導体とガラスにエポキシ樹脂等を含浸したプリプレグを加熱加圧して積層する方法、エポキシ、ポリイミド等の樹脂付きの銅箔を加熱加圧して積層する方法、エポキシ、ポリイミド等の樹脂液をフィルム上にコ−ティングした絶縁樹脂体の上に銅メッキしたプリプレグを加熱加圧して積層する方法等があげられるがいずれの方法のキャリアフィルムにも適用できる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.測定方法
(1)各層厚み
走査型電子顕微鏡(SEM)によりフィルム断面観察を行い、撮影された写真より各層の厚みを測定した。
(2)見掛け密度
(株)島津製作所乾式自動密度計1330−03型を使用し、原料樹脂またはフィルムの見掛け密度を測定した。サンプルの測定質量は0.6〜0.8gとした。
(3)ボイド率(%)
見掛け密度の値に基づき、以下の計算式により求めた。
(式1)
ボイド率(%)=([理論フィルム密度]−[フィルムの見掛け密度])/[理論フィルム密度])×100
ただし、理論フィルム密度は以下の式により算出した。
(式2)
理論フィルム密度=([添加樹脂配合率(質量%)]×[添加樹脂見掛け密度])+([ポリエステル樹脂配合率(質量%)]×[ポリエステル樹脂見掛け密度])である。
(4)中心線平均粗さ(SRa)
小坂研究所(株)製表面粗さ測定器SE−3AK型を使用し、JISB−0601−1976の方法に準じて測定した。触針径2μmR、触針圧10mg、高さ倍率50000倍とした。
(5)空気抜け時間
図1に示す測定装置を使用して、台1の中央部に円形のガラス板2を取り付け、取り付けたガラス板2の外周に沿って空気溝8及び空気孔9を形成させる。そして、その空気孔9と真空ポンプ5をコック4のついたホ−ス3で接続し、台1の上部に、ガラス板2を覆い隠す大きさの試料フィルム6を市販のビニールテープ7で固定し、真空ポンプ5を駆動させ、コック4を開き、ガラス板2の外周に干渉縞が出現してからガラス板2全体に広がり、最終的にその移動が止まるまでの時間(秒)を測定し、それを空気抜け時間とする。
(6)引張伸度
(株)島津製作所社製DSS−500型オ−トグラフを使用しASTMD882に準じて測定し、縦、横方向の平均値で測定した。
(7)プリント配線基板モデルテスト1
直径約0.1mmのビアホ−ルを5個/cm形成した銅箔(400mm×400mm)とガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸したプリプレグ(400mm×400mm)とを銅箔/プリプレグ/銅箔/プリプレグ/銅箔の構成からなる積層板を準備し、上下にポリエステルフィルムを挟み込んで固定し、さらにアルミ板で挟んで油圧プレス機に導入する。次に105℃とした油圧プレス機で2.5MPaの圧力で10分間プレス処理を行い、油圧プレス機から取り外す。さらに冷却後、アルミ板を取り外した後、ポリエステルフィルムを剥がし、剥離強力が0.1N/cm未満であるものを○、0.1以上0.3N/cm未満であるものを△、0.3N/cm以上であるものを×とした。剥離強力が0.3N/cm以上であると、ポリエステルフィルムが積層板から剥がれる際に抵抗を受けて容易に剥がれない。
(8)プリント配線基板モデルテスト2
プリント配線基板モデルテスト1において10分間のプレス処理後、ポリエステルフィルムを10N/cmで引っ張りながら油圧プレスを解放する。この際、フィルムの切断が生じなければ○、フィルムが切断すれば×とした。
2.原料
なお、以下の見掛け密度値は前記測定方法(2)によるもので、ポリエチレンテレフタレートを除き、樹脂ペレットについて測定した値である。
(1)ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す。):
極限粘度0.62、MFR300g/10分(JIS K7210のB法に準拠して温度280℃、荷重10kgで測定した値。以下、同じ。)、見掛け密度1.431g/cm。なお見掛け密度は比較例1で得られた延伸フィルムにおける値である。
(2)PMP:
三井化学社製ポリメチルペンテンTPX MX004、MFR1050g/10分、見掛け密度0.845g/cm
(3)マレイミド系共重合体:
電気化学工業社製デンカIP MS−NA、MFR17g/10分、見掛け密度1.172g/cm
(4)ポリプロピレン:三井化学株式会社製、ノーブレンドF0−50F、見掛け密度0.902g/cm
(5)低密度ポリエチレン:日本ポリエチレン株式会社製ノバテックLF443、見掛け密度0.919g/cm
(6)高密度ポリエチレン:日本ポリエチレン株式会社製ノバテックHF560、見掛け密度0.929g/cm
(7)ポリスチレン:三井化学株式会社製、トーポレックス570−57U、見掛け密度1.056g/cm
実施例1
PMP3.0質量部及びPET97.0質量部を押出機A(スクリュ−径150mm)に投入し280℃で溶融押出した。一方、PETのみを押出機B(スクリュ−径220mm)に投入し280℃で溶融押出した。押出機A、Bでそれぞれ溶融した2種の樹脂をTダイ中で重ね合わせて、PMPとPETをA層、PETのみをB層としてA/B/Aの三層構成となるように、Tダイからシ−ト状に押し出し、表面温度25℃の冷却ドラム上に静電印可キャスト法により密着させて冷却し、A/B/A=60/130/60(μm)となる250μmの未延伸シ−トを得た。得られた未延伸シ−トを延伸温度92℃にて、縦方向3.6倍、横方向3.4倍の延伸条件で逐次延伸した後、温度240℃で5秒間熱処理を施し、さらに温度240℃の状態のまま横方向の弛緩率を5%とした後、80℃で冷却して巻き取り、厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=6/13/6μmであった。
実施例2
PMP3.0質量部及びPET97.0質量部を押出機A(スクリュ−径150mm)に投入し280℃で溶融押出した。一方、PETのみを押出機B(スクリュ−径220mm)に投入し280℃で溶融押出した。押出機A、Bでそれぞれ溶融した2種の樹脂をTダイ中で重ね合わせて、PMPとPETをA層、PETのみをB層としてA/B/Aの三層構成となるように、Tダイからシ−ト状に押し出し、表面温度25℃の冷却ドラム上に静電印可キャスト法により密着させて冷却し、A/B/A=60/130/60(μm)となる250μmの未延伸シ−トを得た。得られた未延伸シ−トをテンタ−式同時二軸延伸機を用い、延伸温度92℃にて、縦方向3倍、横方向3.3倍の延伸条件で同時二軸延伸した後、温度240℃で5秒間熱処理を施し、さらに温度240℃の状態のまま横方向の弛緩率を5%とした後、80℃で冷却して巻き取り、厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=6/13/6μmであった。
実施例3
押出機Aに投入する樹脂をPMP5.0質量部及びPET95.0質量部とした以外は実施例1と同様の方法により厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=6/13/6μmであった。
実施例4
押出機Aに投入する樹脂をPMP5.0質量部及びPET95.0質量部とした以外は実施例2と同様の方法により厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=6/13/6μmであった。
実施例5
押出機Aに投入する樹脂をマレイミド系共重合体3.0質量部及びPET97.0質量部とした以外は実施例1と同様の方法により厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=6/13/6μmであった。
実施例6
押出機Aに投入する樹脂をマレイミド系共重合体3.0質量部及びPET97.0質量部とした以外は実施例2と同様の方法により厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=6/13/6μmであった。
実施例7
押出機Aに投入する樹脂をマレイミド系共重合体5.0質量部及びPET95.0質量部とした以外は実施例1と同様の方法により厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=6/13/6μmであった。
実施例8
押出機Aに投入する樹脂をマレイミド系共重合体5.0質量%及びPET95.0質量部とした以外は実施例2と同様の方法により厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=6/13/6μmであった。
実施例9
押出機Aに投入する樹脂をPMP5.0質量部及びPET95.0質量部とし、実施例1と同様の方法により、A/B/A=30/190/30(μm)となる250μmの未延伸シ−トを得た。得られた未延伸シートを用いて、実施例1と同様の方法により延伸し、厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=3/19/3μmであった。
実施例10
押出機Aに投入する樹脂をマレイミド系共重合体5.0質量部及びPET95.0質量部とし、実施例1と同様の方法により、A/B/A=30/190/30(μm)となる250μmの未延伸シ−トを得た。得られた未延伸シートを用いて、実施例1と同様の方法により延伸し、厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=3/19/3μmであった。
実施例11
押出機Aに投入する樹脂をマレイミド系共重合体5.0質量部及びPET95.0質量部とし、実施例1と同様の方法により、A/B/A=30/120/30(μm)となる180μmの未延伸シ−トを得た。得られた未延伸シートを用いて、実施例1と同様の方法により延伸し、厚さ18μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=3/12/3μmであった。
実施例12
押出機Aに投入する樹脂をマレイミド系共重合体3.0質量部、PMP2.0質量部およびPET95.0質量部とした以外は実施例2と同様の方法により厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=6/13/6μmであった。
実施例13
押出機Aにマレイミド系共重合体5.0質量部及びPET95.0質量部を投入し280℃で溶融押出した。一方、押出機BにPETのみを投入し280℃で溶融押出した。押出機A、Bでそれぞれ溶融した2種の樹脂をTダイ中で重ね合わせて、PMPとPETをA層、PETのみをB層としてA/B/A/B/Aの五層構成となるように、Tダイからシ−ト状に押し出し、表面温度25℃の冷却ドラム上に静電印可キャスト法により密着させて冷却し、A/B/A/B/A=40/65/40/65/40μmとなる250μmの未延伸シ−トを得た。得られた未延伸シ−トをテンタ−式同時二軸延伸機を用い、延伸温度92℃にて、縦方向3倍、横方向3.3倍の延伸条件で同時二軸延伸した後、温度240℃で5秒間熱処理を施し、さらに温度240℃の状態のまま横方向の弛緩率を5%とした後、80℃で冷却して巻き取り、厚さ25μmの五層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A/B/A=4/6.5/4/6.5/4μmであった。
実施例14
押出機Aにマレイミド系共重合体3.0質量%及びPET97.0質量部を投入し280℃で溶融押出した。一方、押出機BにPETのみを投入し280℃で溶融押出した。押出機A、Bでそれぞれ溶融した2種の樹脂をTダイ中で重ね合わせて、PMPとPETをA層、PETのみをB層としてA/Bの二層構成となるように、Tダイからシ−ト状に押し出し、表面温度25℃の冷却ドラム上に静電印可キャスト法により密着させて冷却し、A/B=120/130μmとなる250μmの未延伸シ−トを得た。得られた未延伸シ−トをテンタ−式同時二軸延伸機を用い、延伸温度92℃にて、縦方向3倍、横方向3.3倍の延伸条件で同時二軸延伸した後、温度240℃で5秒間熱処理を施し、さらに温度240℃の状態のまま横方向の弛緩率を5%とした後、80℃で冷却して巻き取り、厚さ25μmの二層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B=12/13μmであった。なお、A層側の表層についてSRaの測定を行った。
比較例1
押出機AにPETのみを投入した以外は実施例2と同様の方法により厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=6/13/6μmであった。
比較例2
押出機Aにポリプロピレン5.0質量部およびPET95.0質量部を投入した以外は実施例2と同様の方法により厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=6/13/6μmであった。
比較例3
押出機Aに低密度ポリエチレン5.0質量部およびPET95.0質量部を投入した以外は実施例2と同様の方法により厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=6/13/6μmであった。
比較例4
押出機Aに高密度ポリエチレン5.0質量部およびPET95.0質量部投入した以外は実施例2と同様の方法により厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=6/13/6μmであった。
比較例5
押出機Aにポリスチレン5.0質量部およびPET95.0質量部投入した以外は実施例2と同様の方法により厚さ25μmの三層フィルムを得た。得られたフィルムは、A/B/A=6/13/6μmであった。
実施例1〜11および比較例1〜5の結果をまとめて表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜14では優れた二軸延伸ポリエステルフィルムが得られた。
これに対して、比較例1〜5では、いずれも表層にPMPまたはマレイミド共重合体を配合させなかったため、フィルム面の中心線平均粗さ(SRa)が本発明で規定する範囲を下方に外れており、空気抜け時間が長い。また、プリント配線基板の製造工程においてフィルムの離型性が劣り、プリント配線基板からフィルムを剥がすことが困難なうえ、フィルムの切断も生じた。
1 台(350mm×500mm)
2 ガラス平板(60mmΦ)
3 吸引ホ−ス
4 コック
5 真空ポンプ
6 試料フィルム
7 ビニールテープ
8 空気溝
9 空気孔

Claims (7)

  1. 少なくとも二層から構成された二軸延伸ポリエステルフィルムであって、前記フィルムの少なくとも一方の表層に配された層が、熱可塑性ポリエステル樹脂99.9〜95.0質量%と0.1〜5.0質量%のポリメチルペンテンおよび/またはマレイミド系共重合体とからなる層(A)であって、層(A)は表面の中心線平均粗さ(SRa)が0.10〜0.50μmであり、前記フィルム全体のボイド率が2.8%以下であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルム。
  2. 層(A)、およびポリメチルペンテンまたはマレイミド系共重合体のいずれも含有しない熱可塑性ポリエステル樹脂からなる層(B)の少なくとも二層を構成層に含んでいることを特徴とする請求項1記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
  3. 層構成が、(A)/(B)の二種二層、(A)/(B)/(A)の二種三層、(A)/(B)/(A)/(B)/(A)の二種五層のいずれかである請求項2記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
  4. 引張伸度が80%以上である請求項1〜3いずれかに記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
  5. 空気抜け時間が1.5秒以下である請求項1〜4いずれかに記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
  6. 同時二軸延伸で得られる請求項1〜5いずれかに記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載の二軸延伸ポリエステルフィルムからなるプリント配線基盤製造工程用キャリアフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015058690A (ja) * 2013-09-20 2015-03-30 三井化学東セロ株式会社 離型フィルム
JP2015058691A (ja) * 2013-09-20 2015-03-30 三井化学東セロ株式会社 多層離型フィルム
JP2019209490A (ja) * 2018-05-31 2019-12-12 東レ株式会社 離型用二軸配向ポリエステルフィルム

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