JP2007152494A - 研削用粉末、研削用粉末の製造方法および研削方法 - Google Patents

研削用粉末、研削用粉末の製造方法および研削方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小径化しても十分な研削性(研削速度)を示す高硬度の研削用粉末、かかる研削用粉末を確実に製造可能な研削用粉末の製造方法、および研削用粉末を用いて被処理部材を効率よく研削する研削方法を提供すること。
【解決手段】本発明の研削用粉末は、被処理部材の表面に衝突させることにより、被処理部材を研削する媒体となるものである。この研削用粉末は、主として平均結晶粒径10〜70nmの結晶質金属の集合物で構成されていることを特徴とする。また、この結晶質金属は、Feを主成分とし、Siを含有率4〜9wt%で、B(ホウ素)を2〜5wt%でそれぞれ含むのが好ましい。また、この結晶質金属は、さらに、Crを含有率1〜3wt%で、Cを含有率1wt%以下でそれぞれ含むのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、研削用粉末、研削用粉末の製造方法および研削方法に関するものである。
研削方法として、例えば、金属粉末を被処理部材に噴射し、金属粉末中の粒子を被処理部材に衝突させることにより研削する方法(ショットブラスト法)がある。
ショットブラスト法で用いる研削材としては、砂やセラミックス材料等の非金属材料の粉末や、各種金属粉末等が用いられる。
特に、金属粉末は、含まれる粒子の比重が大きいために、粒子を小径化しても十分な衝突エネルギー(運動エネルギー)を被処理部材に付与することができ、優れた研削性(研削速度)を発揮する。これにより、微細な研削も可能になる。
しかしながら、従来の金属粉末は、単一の結晶質金属またはマイクロ(μm)オーダーの比較的大きな結晶粒で構成されているため、結晶質金属中のすべり面や、結晶粒界を起点とした破壊が生じ易いという問題がある。
このような問題を解消するために、研削材をアモルファス金属(非晶質金属)で構成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
アモルファス金属は、すべり面や結晶粒界を有しないことから、研削材の硬度を高めることができる。
ところが、近年、半導体や表示機器の分野においては、生産効率の向上や高性能化を図るために、研削する範囲(面積)が拡大する傾向にある。このため、研削においてさらに高い研削性(研削速度)を確保する必要が生じており、研削材のさらなる高硬度化が求められている。
特開2002−4015号公報
本発明の目的は、小径化しても十分な研削性(研削速度)を示す高硬度の研削用粉末、かかる研削用粉末を効率よく製造可能な研削用粉末の製造方法、および研削用粉末を用いて被処理部材を効率よく研削する研削方法を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の研削用粉末は、被処理部材の表面を研削する研削用粉末であって、
主として平均結晶粒径10〜70nmの結晶質金属の集合物で構成されていることを特徴とする。
これにより、小径化しても十分な研削性(研削速度)を示す高硬度の研削用粉末が得られる。
本発明の研削用粉末では、前記結晶質金属同士の間隙に、非晶質金属が存在することが好ましい。
これにより、アモルファス金属の特徴が効果的に作用して、結晶粒界に生じる亀裂の進展をより確実に防止することができる。
本発明の研削用粉末では、前記非晶質金属の含有率が、1〜15vol%であることが好ましい。
このような比較的少ない割合でアモルファス金属が含まれていると、結晶質金属が微小であるという特徴が確実に発揮されるとともに、結晶粒界がアモルファス金属によって確実に充填され、亀裂の進展を特に効果的に防止することができる。
本発明の研削用粉末では、前記結晶質金属の平均結晶粒径をA[μm]、当該研削用粉末の平均粒径をB[μm]としたとき、A/Bが5×10−4〜5×10−3であることが好ましい。
A/Bは、1つの研削用粉末に含まれる結晶粒の数に対応しており、A/Bが小さいほど結晶粒の数が多く、A/Bが大きいほど結晶粒の数が少ないことを示す。このようなA/Bは、前述の結晶粒界に生じる亀裂の進展に影響する指標であると言え、1つの研削用粉末に含まれる結晶粒が前述の範囲内にあると、結晶粒界の亀裂の進展をより確実に防止することができる。
本発明の研削用粉末では、マイクロビッカース硬さ試験機で測定したときのビッカース硬度Hv(JIS Z 2244に規定)が、850以上であることが好ましい。
これにより、研削用粉末は、一般的な金属材料、ガラス材料より硬度の高いものとなり、これらの材料に対して優れた研削性を示すものとなる。
本発明の研削用粉末では、平均粒径が、5〜50μmであることが好ましい。
このような平均粒径の研削用粉末であれば、微小な結晶質金属が均一に形成され易く、形成後も安定的に維持されるものとなる。また、マイクロオーダーの微細なパターンの形成に好適に用いられることができ、さらに、被処理部材を高い寸法精度で研削することができる。
本発明の研削用粉末では、Feを主成分とし、SiおよびB(ホウ素)を含んでおり、
Siの含有率が4〜9wt%、Bの含有率が2〜5wt%であることが好ましい。
SiとBの含有率がそれぞれ前記範囲内にあることにより、研削用粉末の製造時に、金属のアモルファス化が促進される。そして、不安定な状態のアモルファス金属から、より安定な状態の結晶質金属に移行(変化)して、前述のような平均結晶粒径である微小な結晶質金属を生成することができる。
本発明の研削用粉末では、さらに、Crを含有率1〜3wt%で含むことが好ましい。
Crは、耐食性に優れた不働態被膜を形成するため、研削用粉末の耐磨耗性および耐食性を高めることができる。
本発明の研削用粉末では、さらに、C(炭素)を含有率1wt%以下で含むことが好ましい。
Cは、研削用粉末中の他の元素と炭化物を形成する。この炭化物は、熱的に安定であるため、結晶粒の成長が抑制される。そして、Cの含有率が前記範囲内であると、前述のような結晶粒径の微小な結晶質金属となることができる。
本発明の研削用粉末では、少なくとも1回の再利用に供されるものであることが好ましい。
これにより、新たな研削用粉末の使用量を削減することができ、研削工程のコスト低減を図ることができる。
本発明の研削用粉末の製造方法は、本発明の研削用粉末を製造する研削用粉末の製造方法であって、
原料金属の溶融物を冷却するとともに粉末化して、非晶質金属で構成される一次粉末を得る第1の工程と、
該一次粉末に熱処理を施すことにより、前記一次粉末中において、前記非晶質金属を結晶化して、平均結晶粒径10〜70nmの結晶質金属を析出させる第2の工程とを有することを特徴とする。
これにより、研削用粉末を効率よく製造することができる。
本発明の研削用粉末の製造方法では、前記第2の工程において、前記熱処理の温度および時間の少なくとも一方を設定することにより、前記金属結晶の結晶粒径を調整することが好ましい。
これにより、析出する結晶質金属の結晶粒の粒径を調整することができる。
本発明の研削用粉末の製造方法では、前記熱処理の温度は、前記非晶質金属が結晶化し始める結晶化温度をC[℃]としたとき、C〜C+200[℃]であることが好ましい。
これにより、一次粉末中に析出した結晶質金属を、その平均結晶粒径が前述のような範囲となるよう適切に成長させることができる。
本発明の研削用粉末の製造方法では、前記熱処理の時間は、1〜60分であることが好ましい。
これにより、一次粉末中に析出した結晶質金属の平均結晶粒径のバラツキを抑制することができる。
本発明の研削用粉末の製造方法では、前記第1の工程において、アトマイズ法により前記溶融物を冷却するとともに粉末化することが好ましい。
これにより、微小で球形状をなすアモルファス金属の一次粉末を容易に製造することができる。
本発明の研削用粉末の製造方法では、前記アトマイズ法は、高速回転水流アトマイズ法であることが好ましい。
この方法では、冷却効率が非常に高いため、比較的粒径が大きく熱容量の大きな一次粉末(研削用粉末)を容易に製造することができる。さらに、比較的粒径の小さな一次粉末(研削用粉末)であれば、より効率よく製造することができる。
本発明の研削方法は、被処理部材の表面を、本発明の研削用粉末で研削することを特徴とする。
これにより、被処理部材を効率よく研削することができる。
本発明の研削方法では、前記研削により生じた被処理部材の研削屑と前記研削後の研削用粉末との混在物中から、磁力により誘引して、前記研削用粉末を選択的に回収することが好ましい。
これにより、回収した研削用粉末を再利用することができ、新たな研削用粉末の使用量を削減することにより、研削工程のコスト低減を図ることができる。
以下、本発明の研削用粉末、研削用粉末の製造方法および研削方法について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
[研削用粉末]
まず、本発明の研削用粉末について説明する。
本発明の研削用粉末は、被処理部材の表面に衝突させることにより、被処理部材を研削する媒体となるものである。
本発明の研削用粉末は、主として、平均結晶粒径10〜70nmの結晶質金属の集合物で構成されているという特徴を有する。
従来、研削用の金属粉末としては、単一の結晶質金属やマイクロオーダーの比較的大きな結晶粒で構成された金属粉末、または、アモルファス金属(非晶質金属)で構成された金属粉末が開発されている。これらの金属粉末は、セラミックス材料で構成された研削用粉末よりも比重が高く、研削性に優れている。
しかしながら、これらの金属粉末は、強度または硬度の面では不十分であり、比較的硬度の高い被処理部材を研削する際には、特に研削速度が低下するという問題があった。
そこで、本発明では、平均結晶粒径10〜70nmの金属結晶の集合物で研削用粉末を構成することとした。このようなナノ(nm)オーダーの微小な金属結晶は、マイクロオーダーの金属結晶に比べ、結晶粒内における転位、すなわち原子配置のズレ(原子レベルでのズレ)が極めて生じ難いため、高硬度かつ高強度の研削用粉末を得ることができる。
また、微小な金属結晶は、結晶粒界において亀裂が生じ難く、仮に生じた場合でも、亀裂の進展を不連続的に分断できる。かかる観点からも、研削用粉末の硬度および強度の向上に寄与している。
一方、アモルファス金属には、結晶粒が存在しないため、転位は生じないが、原子配置が不規則なため、原子同士の相互作用にバラツキがあり、原子同士の配置がズレ易い傾向にある。
すなわち、ナノオーダーの微小な金属結晶は、結晶の規則的な原子配置に起因する原子同士の相互作用と、微小なため転位が生じ難いという効果とが相乗的に作用するため、前述のような高硬度および高強度を示すものとなる。その結果、このような微小な金属結晶の集合物で構成された研削用粉末は、小径化しても優れた研削性を有するものとなる。
また、上記のような微小な結晶質金属同士の間隙に、アモルファス金属が存在するよう研削用粉末を構成するのが好ましい。これにより、アモルファス金属の特徴が効果的に作用して、結晶粒界に生じる亀裂の進展をより確実に防止することができる。その結果、研削用粉末の硬度および強度をより高めることができる。
この場合、アモルファス金属の含有率は、1〜15vol%程度であるのが好ましく、1〜10vol%程度であるのがより好ましい。このような比較的少ない割合でアモルファス金属が含まれていると、結晶質金属が微小であるという特徴が確実に発揮されるとともに、結晶粒界がアモルファス金属によって確実に充填され、亀裂の進展を特に効果的に防止することができる。
また、前述したように、微小な結晶質金属の平均結晶粒径は10〜70nm程度とされるが、10〜40nm程度であるのが好ましく、20〜30nm程度であるのがより好ましい。結晶質金属の平均結晶粒径が前記範囲内であれば、転位が生じ難く、結晶粒界が小さいという微小な(ナノオーダーの)結晶特有の現象が特に顕著となるため、結果として、研削用粉末の硬度および強度が特に高められる。
なお、平均結晶粒径が前記下限値を下回ると、原子同士の相互作用が生じ難くなり、アモルファス金属の特性が現れるようになる。このため、硬度および強度は、アモルファス金属と同等程度に低下するおそれがある。
また、平均結晶粒径が前記上限値を上回ると、結晶粒内における転位が生じ易くなり、硬度および強度が低下する。
一方、このような微小な結晶質金属の集合物で構成される研削用粉末は、その平均粒径が、5〜50μm程度であるのが好ましく、5〜30μm程度であるのがより好ましい。微小な金属結晶は、後述するように、アモルファス金属に熱処理を施すことにより好適に析出し得るが、このような平均粒径の研削用粉末であれば、微小な結晶質金属が均一に形成され易く、形成後も安定的に維持されるものとなる。
また、マイクロオーダーの微細なパターンの形成に好適に用いられることができ、さらに、被処理部材を高い寸法精度で研削することができる。
また、レーザー式粒度分布計で測定した粒径50μm以上の粉末の比率が、10wt%以下であるのが好ましく、5wt%以下であるのがより好ましい。これにより、研削用粉末中に、著しく粒径の大きな粒子が含まれることによる研削の寸法精度の低下を防止することができる。
さらに、結晶質金属の平均結晶粒径をA[μm]、研削用粉末の平均粒径をB[μm]としたとき、A/Bが5×10−4〜5×10−3であるのが好ましく、1×10−3〜3×10−3であるのがより好ましい。ここで、A/Bは、1つの研削用粉末に含まれる結晶粒の数に対応しており、A/Bが小さいほど結晶粒の数が多く、A/Bが大きいほど結晶粒の数が少ないことを示す。このようなA/Bは、前述の結晶粒界に生じる亀裂の進展に影響する指標であると言え、1つの研削用粉末に含まれる結晶粒が前述の範囲内にあると、結晶粒界の亀裂の進展をより確実に防止することができる。
また、このような研削用粉末をマイクロビッカース硬さ試験機で測定したときのビッカース硬度Hv(JIS Z 2244に規定)は、850以上であるのが好ましく、1000以上であるのがより好ましい。これにより、研削用粉末は、一般的な金属材料、ガラス材料より硬度の高いものとなり、これらの材料に対して優れた研削性を示すものとなる。
ここで、微小な結晶質金属の組成としては、特に限定されないが、例えば、Fe−Si−B系、Fe−B系、Fe−Co−Si−B系、Fe−Zr−B系、Ni−Si−B系、Ni−P−B系、Co−Si−B系等が挙げられる。
これらの中でも特に、Fe−Si−B系が好ましい。Fe−Si−B系の結晶質金属は、微小な結晶を析出し易く、また、この微小な結晶質金属の状態を比較的安定して維持することができる。
この場合、Fe−Si−B系の結晶質金属は、Feを主成分とし、SiとB(ホウ素)とを含むものである。
Feは、研削用粉末の主成分をなし、研削用粉末の基本的な機械的特性(強度、靭性、硬度等)、磁性等に大きな影響を与える成分である。なお、本発明において、主成分とは、研削用粉末を構成する各成分の中で、最も含有率の高いもののことを言う。
Siは、微小な結晶質金属の生成を促進し得る成分である。Siの含有率は、前述したように、4〜9wt%であるのが好ましく、4.5〜8.5wt%であるのがより好ましい。
Bは、Siと同様に、結晶質金属の生成を促進し得る成分である。Bの含有率は、前述したように、2〜5wt%とされるが、2.5〜4wt%であるのが好ましい。
SiとBの含有率がそれぞれ前記範囲内にあることにより、研削用粉末の製造時に、金属のアモルファス化が促進される。そして、不安定な状態のアモルファス金属から、より安定な状態の結晶質金属に移行(変化)して、前述のような平均結晶粒径である微小な結晶質金属を生成することができる。
さらに、Fe−Si−B系の結晶質金属で構成された研削用粉末は、強磁性体であるFeの影響により着磁性を示すため、例えば、磁力により容易に誘引される。このため、研削用粉末で被処理部材を研削した後、永久磁石のような磁場発生手段を用いることにより、研削用粉末を選択的に回収することができる。
また、被処理部材がガラス材料等の比較的低比重の材料で構成されている場合、比重の差を利用して回収することができ、Fe−Si−B系以外の研削用粉末においても、磁力や比重の差等を利用して、研削用粉末を選択的に回収することができる。
なお、回収後の研削用粉末は、少なくとも1回、研削用粉末として再利用に供されるのが好ましい。本発明の研削用粉末は、硬度および強度が高いため、被処理部材を研削した後でも粉末に破壊や変形等の不具合を生じ難く、再利用しても優れた研削性を繰り返し発揮する。したがって、再利用することにより、新たな研削用粉末の使用量を削減することができ、研削工程のコスト低減を図ることができる。
また、研削用粉末は、さらに、Crを含有率1〜3wt%で含むのが好ましく、1.5〜2.5wt%で含むのがより好ましい。Crは、耐食性に優れた不働態被膜を形成するため、研削用粉末の耐磨耗性および耐食性を高めることができる。
また、研削用粉末は、さらに、Cを含有率1wt%以下で含むのが好ましく、0.3〜1wt%で含むのがより好ましい。Cは、研削用粉末中の他の元素と炭化物を形成する。この炭化物は、熱的に安定であるため、結晶粒の成長が抑制される。そして、Cの含有率が前記範囲内であると、前述のような結晶粒径の微小な結晶質金属となることができる。
[研削用粉末の製造方法]
次に、本発明の研削用粉末の製造方法について説明する。
本発明の研削用粉末の製造方法は、アモルファス金属で構成される一次粉末を得る第1の工程と、一次粉末中に結晶質金属を析出させる第2の工程とを有する。
以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、研削用粉末の原料となる金属材料を溶融した溶融物を、冷却するとともに粉末化する。これにより、アモルファス金属で構成される一次粉末を得る(第1の工程)。
溶融物は、原料となる金属材料を、例えば、誘導炉、ガス炉等の溶解炉中で溶融することにより得られる。
溶融物を冷却するとともに粉末化する方法としては、例えば、アトマイズ法、冷却ロール法等が挙げられるが、これらの中でもアトマイズ法が好ましい。
アトマイズ法は、溶融物(溶湯)を、冷却媒(液体やガス等)に衝突させることにより、金属原料を粉末化する方法である。溶湯は、噴霧されたり、冷却媒と衝突することにより、微細な液滴となるとともに、この液滴が冷却媒と接触することにより急速に冷却され固化する。このとき、液滴の冷却が極めて急速に行われるため、各原子が液体状態の無秩序な原子配置を保存したまま固化に至る。その結果、アモルファス金属の一次粉末が得られる。
さらに、液滴が表面張力によって球形化し、微小で球形状の一次粉末を容易に製造することができる。このように、一次粉末が球形状であれば、すなわち、研削用粉末が球形状であれば、被処理部材を研削する際に、研削領域に研削用粉末が挟まり難くなる。また、球形状の粉末は、荷重に対する耐久性に優れた形状的な特性があるため、衝突の際に研削用粉末の変形や破壊が防止され、より再利用に適したものとなる。
アトマイズ法としては、水アトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法、ガスアトマイズ法、真空溶解ガスアトマイズ法、ガス−水アトマイズ法、超音波アトマイズ法等が挙げられるが、これらの中でも高速回転水流アトマイズ法が好ましい。
高速回転水流アトマイズ法(SWAP法)では、円筒の内壁面に沿って冷却水を高速回転させ、この水流に溶湯を噴霧することにより、溶湯の液滴を急速に冷却して固化させることができる。また、この方法では、冷却効率が非常に高いため、比較的粒径が大きく熱容量の大きな一次粉末(研削用粉末)を容易に製造することができる。さらに、比較的粒径の小さな一次粉末(研削用粉末)であれば、より効率よく製造することができる。
[2]次に、一次粉末に熱処理を施す。これにより、一次粉末中において、アモルファス金属を結晶化して、結晶質金属を析出させる(第2の工程)。
熱処理は、例えば、電気炉、ガス炉等による加熱、赤外線、マイクロ波等の電磁波照射による加熱等により施すことができる。
アモルファス金属で構成された一次粉末では、熱処理により、アモルファス金属が結晶化し始める結晶化温度に達すると、結晶質金属が析出し始める。この際、次のような変化が生じていると推察される。
アモルファス金属では、原子が不規則に配置されているため、エネルギー的に不安定な状態にある。
一方、結晶質金属では、原子が規則的に配置されており、エネルギー的にはアモルファス金属より安定な状態にある。
したがって、アモルファス金属から結晶質金属に移行(変化)する際には、各状態間のエネルギー差に相当する熱が生じる。この熱は、再び、アモルファス金属の結晶化を誘起する。このような変化が連続的に生じることにより、アモルファス金属から結晶質金属への移行(変化)が連鎖的に行われる。
その結果、熱処理終了後には、一次粉末の全体に微小な結晶質金属が析出した研削用粉末が得られることとなる。
以上のように、一旦、原料金属をアモルファス金属に変化させた後、アモルファス金属を結晶化させて、微小な結晶質金属を析出させる方法を用いることにより、一次粉末の全体にわたって均一な粒径の結晶質金属を析出させることができる。その結果、機械的特性のバラツキの小さい研削用粉末を効率よく製造することができる。
ここで、熱処理の温度および時間の少なくとも一方を設定することにより、析出する結晶質金属の結晶粒の粒径を調整することができる。
例えば、熱処理の温度を高く、または、時間を長くすることにより、一次粉末に付与される熱量が増加するため、析出した結晶質金属の成長が促進され、粒径が大きくなる。
一方、熱処理の温度を低く、または、時間を短くすることにより、一次粉末に付与される熱量が減少するため、析出した結晶質金属の成長が鈍化し、粒径の拡大が抑制される。
このような方法で結晶質金属の平均結晶粒径を前述したような範囲内に調整することにより、高硬度および高強度の研削用粉末を効率よく製造することができる。
また、上記のような観点から、熱処理の温度は、結晶化温度をC[℃]としたとき、C〜C+200[℃]程度に設定するのが好ましく、C+20〜C+130[℃]程度に設定するのがより好ましい。これにより、一次粉末中に析出した結晶質金属を、その平均結晶粒径が前述のような範囲となるよう適切に成長させることができる。
また、熱処理の時間は、熱処理の温度に応じて若干異なるが、1〜60分程度に設定するのが好ましく、10〜30分程度に設定するのがより好ましい。これにより、一次粉末中に析出した結晶質金属の平均結晶粒径のバラツキを抑制することができる。
具体的には、例えば、微小な結晶質金属の組成がFe−Si−B−Cr−C系であり、各構成元素の含有率が前述の範囲内にある場合、このような金属材料の結晶化温度Cは、Fe単体の結晶化温度(550℃付近)より若干低下した520℃付近であると推察される。
したがって、かかる組成のアモルファス金属で構成された一次粉末に熱処理を施す場合、熱処理の温度は、520〜720℃に設定するのが好ましく、540〜650℃に設定するのがより好ましい。
なお、研削用粉末の製造後、必要に応じて、研削用粉末の分級を行うようにしてもよい。
分級の方法としては、例えば、乾式分級法、湿式分級法、ふるい分け分級法等を用いることができる。
以上のようにして、本発明の研削用粉末が得られる。
[研削方法]
次に、本発明の研削方法について説明する。
本発明の研削方法は、被処理部材の表面に、前述したような研削用粉末を衝突させて、表面を研削する方法である。
本発明の研削方法は、いかなるものを被処理部材として適用してもよいが、以下では、一例として、液晶表示パネル等に用いられる照明装置(バックライト)用の導光板を製造するための導光板成形型の製造に適用した場合について説明する。
図1は、導光板を備えた照明装置および表示パネルを模式的に示す縦断面図、図2は、導光板成形型を模式的に示す縦断面図、図3は、図2に示す導光板成形型およびこの導光板成形型で成形される導光板の部分拡大図、図4〜5は、図2に示す導光板成形型の製造方法を説明するための模式図である。なお、以下の説明では、図1〜図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す照明装置20は、液晶パネルのような表示パネル10に対して光を照射する装置であり、表示パネル10の下側(表示内容を視認する観察者から見て表示パネル10の奥側)に配置される。
このような照明装置20は、光源21、導光板30および反射板23を有している。
光源21は、導光板30の光入射面(側面)32に光を照射するものであり、例えば、冷陰極管や発光ダイオード(LED)等が用いられる。
導光板30は、光透過性を有する板状部材であり、光源21から照射された光を、光入射面32から入射させ、表示パネル10側に出射するものである。
この導光板30の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、カーボネート系樹脂のような熱可塑性樹脂等が挙げられる。
導光板30の上面は、導光板30内から表示パネル10側に出射する光出射面31として機能している。
この光出射面31には、図3に示すように多数の突起(凸部)311が設けられている。この突起311は、凸レンズとして機能し、出射する光の方向を分散させるものである。
また、光出射面31の上側には、散乱板22が設けられている。この散乱板22は、光出射面31から出射した光をさらに散乱させる。そして、表示パネル10に到達する光の面内均一性を高めることができる。
一方、導光板30の下面には、反射板23が設けられている。この反射板23は、導光板30内から下側に出射しようとする光を、光出射面31から出射するよう上側に反射させるよう機能する。
ここで、導光板30は、例えば、前述のような樹脂材料を、図2に示すような導光板成形型50を用いて成形することにより製造することができる。
成形方法としては、例えば、射出成形、プレス成形等を用いることができるが、以下では、射出成形を例に説明する。
図2に示す導光板成形型50は、枠状の側壁部材51と、この側壁部材51の下側に設けられた光出射面成形部材60と、上側に設けられた対向部材52とを有している。そして、これらの各部材51、52、60により、導光板30を射出成形するためのキャビティ(成形空間)55が画成されている。
また、光出射面成形部材60のキャビティ55を臨む面(上面)は、成形面61である。この成形面61には、図3に示すように、前述の突起311に対応する多数の凹部611が設けられている。
次に、このような導光板成形型50の製造方法を説明する。
[I]まず、導光板成形型50を製造するに際し、光出射面成形部材60を製造するための基板105を用意する。
この基板105は、厚さが均一で、たわみや傷がなく、射出成形時の圧力に耐え得るものが好適に用いられる。
基板105の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼のような金属材料、ガラス材料等が挙げられるが、特に、非磁性材料であるのが好ましい。これにより、後述する工程[V]において、基板105を着磁性の研削材で研削する際に、これらの磁性の違いを利用して、研削屑と研削材とを確実に分離・回収することができる。
なお、必要に応じて、基板105に、脱脂や洗浄等の前処理を施すようにしてもよい。
[II]次に、図4(a)に示すように、用意した基板105の表面に、開口部161を有するマスク106を形成する。また、基板105の裏面(マスク106を形成する面と反対側の面)に裏面保護膜169を形成する。
マスク106のパターン形成方法としては、例えば、印刷法、フォトリソグラフィー法等が挙げられる。
開口部161に露出した部分の基板105には、後述する工程[III]の研削により凹部が形成される。
なお、マスク106は、後述する工程[III]において、後述する工程[IV]におけるエッチングに対する耐性を有するものが好ましい。
また、裏面保護膜169は、次工程以降で基板105の裏面を保護するためのものである。この裏面保護膜169により、基板105の裏面の侵食、劣化等が好適に防止される。この裏面保護膜169は、例えば、マスク106と同様の材料で構成されている。このため、裏面保護膜169は、マスク106の形成と同時に、マスク106と同様に設けることができる。
[III]次に、図4(b)に示すように、基板105にエッチングを施す。これにより、基板105上に、開口部161に対応する多数の凹部611を形成することができる。
エッチングの方法は、特に限定されず、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング等が挙げられる。
開口部161が形成されたマスク106で被覆された基板105に対して、エッチングが施されると、図4(b)に示すように、基板105は、開口部161を起点として食刻され、基板5上に開口部161の配置を反映した位置に、多数の凹部611が形成される。
[IV]次に、図4(c)に示すように、マスク106および裏面保護膜69を除去する。
[V]次に、図5(d)に示すように、基板105の表面に向けて、ノズル110から研削材(本発明の研削用粉末)1を噴射しつつ、ノズル110を基板105に対して相対的に移動(水平移動)させる。これにより、基板105上に形成されている凹部611の表面、および基板105の上面の凹凸を緩和して、平滑性を高めることができる。
すなわち、その結果、凹部611で成形される突起311の表面と、基板105の上面とで成形される成形面61は、平滑性の高いものとなる。
また、このとき、研削材1は、比重および硬度が高いため研削力が高く、上記の平滑化処理を比較的短時間で行うことができる。
さらに、より粒径の小さな研削材1を用いることにより、より高い平滑性を得ることもできる。
以上のようにして、光出射面成形部材60を製造することができる。
[VI]次に、側壁部材51と対向部材52とを用意する。そして、前記工程[V]で得られた光出射面成形部材60の成形面と対向部材52とを対向させ、これらの間隙を側壁部材51で封止するように組立てる。これにより、導光板成形型50を製造することができる。
なお、本工程の終了後、図5(e)に示すように、基板105の研削屑152と、噴射された研削材1との混在物153が生じることとなる。
[VII]次に、必要に応じて、図5(f)に示すように、混在物153に磁場発生手段7を接近させる。これにより、混在物153の周囲に外部磁場を発生させる。
混在物153に磁場発生手段7が接近すると、外部磁場に応じて混在物153中から研削材1を磁場発生手段7に磁力で誘引し、研削材1を選択的に分離・回収(磁選分離)することができる。これにより、回収した研削材1を、再度、前記工程[V]で再利用することができ、その結果、新たな研削材1を用意する場合に比べてコストの低減を図ることができる。
磁場発生手段7は、磁場を発生し得るものであれば特に限定されないが、例えば、永久磁石、電磁石等を用いることができる。
また、研削材1の回収方法は、上記方法に限定されず、例えば、混在物153を回収した後に、研削材1を分離・回収するようにしてもよい。
以上、本発明の研削用粉末、研削用粉末の製造方法および研削方法について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、本発明の研削方法を導光板成形型の製造方法に適用した場合を代表に説明したが、本発明は、このような場合に限定されない。
本発明の研削方法は、例えば、サーフェスエレクトロンエミッターディスプレイパネル(SED)用基板のようなフラットディスプレイパネル用基板の製造方法、半導体基板の切断、穴開け加工、各種バリ取り、下地処理、クリーニング処理等に適用することができる。
1.研削材および導光板成形型の製造
(実施例1)
<1>まず、以下の各元素が、それぞれ以下の含有率で含まれるように原料を秤量し、各原料の混合物をガス炉で溶融して溶融物を得た。
<構成元素含有率>
・Si:7.5wt%
・B :3.8wt%
・Cr:2.3wt%
・C :0.5wt%
・Fe:残部
<2>次に、得られた溶融物を、高速回転水流アトマイズ(SWAP)法で粉末化して、一次粉末を得た。
ここで、得られた一次粉末について、X線回折法による結晶構造解析を行った。その結果、得られたX線回折スペクトルには、先鋭なピークが認められなかった。このことから、この一次粉末は、アモルファス金属で構成されていることが確認できた。
<3>次に、得られた一次粉末に、以下の条件で熱処理を施し、さらに、32μmを上限値に設定して分級した。これにより、研削材を得た。
<熱処理条件>
・加熱方法 :電気炉による加熱
・熱処理温度:530℃
・熱処理時間:15分
<4>次に、得られた研削材について、レーザー式粒度分布計で粒径を測定した。その結果、平均粒径が13μm、粒径50μm以上の粉末の比率が3wt%であった。
また、得られた研削材について、再度、X線回折法による結晶構造解析を行った。その結果、得られたX線回折スペクトルには、先鋭なピークが認められた。このことから、この研削材は、結晶質金属で構成されていることが確認できた。
<5>次に、得られた研削材を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。そして、観察像から、研削材中の結晶質金属の平均結晶粒径を測定したところ、平均結晶粒径は15nmであった。
<6>次に、ステンレス鋼(SUS304)基板を用意した。
<7>次に、ステンレス鋼基板の表面上にドライフィルムレジストを積層した後、フォトリソグラフィー法とエッチング法とにより、開口部を有するレジストマスク(マスク)を形成した。
また、ステンレス鋼基板の裏面にも、同様にして保護膜を形成した。
<8>次に、マスクを形成したステンレス鋼基板に、ウェットエッチングを施した。これにより、ステンレス鋼基板の表面に凹部を形成した。
<9>次に、マスクと保護膜とを除去した。
<10>次に、ステンレス鋼基板の表面に向けて、研削材を5分間、全面にわたって噴射した。これにより、表面を研磨して、導光板成形型を得た。
(実施例2〜9)
溶融物に含まれる構成元素、各構成元素の含有率および熱処理条件を、それぞれ、表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして研削材を得、この研削材を用いて導光板成形型を得た。
なお、得られた研削材の平均結晶粒径は、それぞれ、表1に示すようになった。
(実施例10)
前記工程<2>において、溶融物を水アトマイズ法で粉末化した以外は、前記実施例1と同様にして研削材を得、この研削材を用いて導光板成形型を得た。
なお、得られた研削材の平均結晶粒径は、表1に示すようになった。
(実施例11)
前記工程<3>の分級の上限値を25μmに変更した以外は、前記実施例9と同様にして研削材を得、この研削材を用いて導光板成形型を得た。
なお、得られた研削材の平均結晶粒径は、表1に示すようになった。
(比較例1)
熱処理温度を750℃に変更した以外は、前記実施例1と同様にして研削材を得、この研削材を用いて導光板成形型を得た。
なお、得られた研削材の平均結晶粒径は、223nmであった。
(比較例2)
熱処理温度を500℃に変更した以外は、前記実施例1と同様にして研削材を得、この研削材を用いて導光板成形型を得た。
なお、結晶構造解析の結果、得られた研削材はアモルファス金属で構成されていることが確認された。
(比較例3、4、5)
まず、前記工程<3>において、熱処理を省略した以外は、それぞれ前記実施例1、10、11と同様にして研削材を得、この研削材を用いて導光板成形型を得た。
次に、得られた研削材について、それぞれ前記実施例1と同様にしてX線回折法による結晶構造解析を行ったところ、得られたX線回折スペクトルには、いずれも先鋭なピークが認められなかった。このことから、これらの研削材は、それぞれアモルファス金属で構成されていることが確認できた。
2.評価
2−1 研削材の硬度
各実施例および各比較例で製造した研削材のビッカース硬度を測定し評価した。
研削材のビッカース硬度は、マイクロビッカース硬さ試験機を用い、JIS Z 2244に準じて以下の条件で測定し、全測定点の平均値とした。
<ビッカース硬度測定条件>
・ビッカース圧子荷重:25gf(0.25N)
・測定箇所 :研削材断面の任意の10点
2−2 導光板成形型の外観
各実施例および各比較例で製造した導光板成形型の研磨面の外観を、以下の基準にしたがって評価した。
◎:研磨面全体において鏡面反射する金属光沢が認められる
○:研磨面全体においてやや曇ったような金属光沢が認められる
△:研磨面の一部が曇りガラス様になっている
×:研磨面の全体が曇りガラス様になっている
以上、1の各種条件および2の評価結果を表1に示す。
Figure 2007152494
各実施例の研削材は、いずれも850以上の高いビッカース硬度を示した。
特に、実施例2〜5および実施例7〜9では、いずれもビッカース硬度が1000以上であった。
また、実施例1と実施例10とを比較したところ、実施例1の方が高いビッカース硬度を示した。これは、高速回転水流アトマイズ法で製造した研削材の方が、水アトマイズ法で製造した研削材よりも、構成されている結晶質金属の平均結晶粒径が小さいことに起因していると考えられる。
一方、比較例の研削材の中には、ビッカース硬度が850未満と低いものがあった。
特に、比較例1では、噴射後の研削材に欠損しているものが認められた。これは、高温(750℃)の熱処理によって、結晶が肥大化し、研削材の硬度が著しく低下していることに起因している。
また、各実施例の導光板成形型では、研磨面全体に金属光沢が認められた。
特に、実施例2〜5および実施例7〜9では、研磨面が鏡面反射しているのが認められた。
一方、比較例では、研磨面の一部または全部が曇りガラス様になっているのが認められた。これは、研削材の硬度が低く、5分程度の研磨では不十分だったためと考えられる。
導光板を備えた照明装置および表示パネルを模式的に示す縦断面図である。 導光板成形型を模式的に示す縦断面図である。 図2に示す導光板成形型およびこの導光板成形型で成形される導光板の部分拡大図である。 図2に示す導光板成形型の製造方法を説明するための模式図である。 図2に示す導光板成形型の製造方法を説明するための模式図である。
符号の説明
1……研削材 7……磁場発生手段 10……表示パネル 20……照明装置 21……光源 22……散乱板 23…反射板 30……導光板 31……光出射面 311……突起 32……光入射面 50……導光板成形型 51……側壁部材 52……対向部材 55……キャビティ 60……光出射面成形部材 61……成形面 611……凹部 105……基板 106……マスク 110……ノズル 152……研削屑 153……混在物

Claims (18)

  1. 被処理部材の表面を研削する研削用粉末であって、
    主として平均結晶粒径10〜70nmの結晶質金属の集合物で構成されていることを特徴とする研削用粉末。
  2. 前記結晶質金属同士の間隙に、非晶質金属が存在する請求項1に記載の研削用粉末。
  3. 前記非晶質金属の含有率が、1〜15vol%である請求項1または2に記載の研削用粉末。
  4. 前記結晶質金属の平均結晶粒径をA[μm]、当該研削用粉末の平均粒径をB[μm]としたとき、A/Bが5×10−4〜5×10−3である請求項1ないし3のいずれかに記載の研削用粉末。
  5. マイクロビッカース硬さ試験機で測定したときのビッカース硬度Hv(JIS Z 2244に規定)が、850以上である請求項1ないし4のいずれかに記載の研削用粉末。
  6. 平均粒径が、5〜50μmである請求項1ないし5のいずれかに記載の研削用粉末。
  7. Feを主成分とし、SiおよびB(ホウ素)を含んでおり、
    Siの含有率が4〜9wt%、Bの含有率が2〜5wt%である請求項1ないし6のいずれかに記載の研削用粉末。
  8. さらに、Crを含有率1〜3wt%で含む請求項7に記載の研削用粉末。
  9. さらに、C(炭素)を含有率1wt%以下で含む請求項7または8に記載の研削用粉末。
  10. 少なくとも1回の再利用に供されるものである請求項1ないし9のいずれかに記載の研削用粉末。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の研削用粉末を製造する研削用粉末の製造方法であって、
    原料金属の溶融物を冷却するとともに粉末化して、非晶質金属で構成される一次粉末を得る第1の工程と、
    該一次粉末に熱処理を施すことにより、前記一次粉末中において、前記非晶質金属を結晶化して、平均結晶粒径10〜70nmの結晶質金属を析出させる第2の工程とを有することを特徴とする研削用粉末の製造方法。
  12. 前記第2の工程において、前記熱処理の温度および時間の少なくとも一方を設定することにより、前記金属結晶の結晶粒径を調整する請求項11に記載の研削用粉末の製造方法。
  13. 前記熱処理の温度は、前記非晶質金属が結晶化し始める結晶化温度をC[℃]としたとき、C〜C+200[℃]である請求項11または12に記載の研削用粉末の製造方法。
  14. 前記熱処理の時間は、1〜60分である請求項11ないし13のいずれかに記載の研削用粉末の製造方法。
  15. 前記第1の工程において、アトマイズ法により前記溶融物を冷却するとともに粉末化する請求項11ないし14のいずれかに記載の研削用粉末の製造方法。
  16. 前記アトマイズ法は、高速回転水流アトマイズ法である請求項15に記載の研削用粉末の製造方法。
  17. 被処理部材の表面を、請求項1ないし10のいずれかに記載の研削用粉末で研削することを特徴とする研削方法。
  18. 前記研削により生じた被処理部材の研削屑と前記研削後の研削用粉末との混在物中から、磁力により誘引して、前記研削用粉末を選択的に回収する請求項17に記載の研削方法。
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