JP2007151519A - 緑化ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】仮設壁面の外側に突出することなく、仮設壁面のセットバック又は位置変更を行うこともなく、十分な土壌収容領域を確保できる緑化ユニットを提供する
【解決手段】プランタボックス部分(10)及び垂直パネル部分(20)を一体化した壁面緑化用の緑化ユニット(1)は、植物が登攀可能な下面を有する傾斜パネル(30)を有する。プランタボックス部分は、垂直パネル部分から後方に突出し、プランタボックス部分の植物は、傾斜パネルを登攀し、垂直パネル部分の開口部(25)からパネル部分の正面側に伸び、開口部から登攀又は垂下する。
【選択図】図1

Description

本発明は、緑化ユニットに関するものであり、より詳細には、仮設壁面の外観を向上すべく仮設壁面を天然植物で緑化する緑化ユニットに関するものである。
建築物等の壁面緑化及び屋上緑化が、ヒートアイランド現象緩和、美観向上、環境負荷軽減等の観点より、近年殊に、注目されている。壁面緑化方法として、付着根を有するつる植物を自立登攀させて壁面を覆う登攀式壁面緑化法、屋上、ベランダ等に設置したプランターから植物を垂らして壁面を緑化する垂下式壁面緑化法、ワイヤー等の補助材を用いてつる植物を登攀又は下垂させて壁面を緑化する補助材式壁面緑化法(特開2004-267084号公報)、つる植物を誘引・巻付け可能なユニットを用いたユニット式壁面緑化(特開2004-254565号公報)、更には、壁面緑化専用の植栽済み緑化パネルを用いて壁面を早期に緑化する立体基盤式壁面緑化法(特開2003-155714号公報、特開2001-169658号公報)等が知られている。
このような壁面緑化に関する従来の研究・開発は、主として、恒久的な建築又は土木構造物の緑化に向けられており、建築・土木工事等の仮設壁面の緑化については、仮設構造物が一定期間だけ過渡的に設置される性質のものであるにすぎないことから、恒久的な壁面と比べて軽視される傾向がある。しかし、周辺環境から建設現場を区画する仮囲いは、建設現場と歩道又は道路との境界に設置され、しかも、建築・土木工事は、数ヶ月〜数年に亘って継続するので、仮囲いの外観は、少なからず建設現場の周辺環境に影響する。例えば、仮囲いの安全鋼板は、2m又は3mの高さを有する無開口の壁体を形成するので、景観上の観点からは、望ましい視覚的効果又は印象を建設現場の周辺環境にもたらさない。また、建設規模が比較的大きな建設現場においては、仮囲いの仮設壁面は、かなりの距離に亘って歩道境界又は道路境界上に連続することから、歩行者は、比較的長い時間、このような安全鋼板に沿って歩行しなければならない。
また、イベント会場や、展示会等の仮設壁面は、比較的短期間の構築物ではあるものの、不特定多数の来場者に好印象を与えるように構成することが望まれる。
このような仮設壁面の緑化に関し、仮設壁面上部にプランターを係止してなる緑化装置(特開平8-93276号公報)、土壌、保水材等を収容可能な多数の膨出形ポケット部を備えた植栽マットを仮設壁面に取付けた構成の緑化装置(特開2004-267084号公報)、或いは、仮設壁面に保水マット及び植栽マットを一体的に積層した構成を有する緑化装置(特開2005-68753号公報)が知られている。
特開2004-267084号公報 特開2004-254565号公報 特開2003-155714号公報 特開2001-169658号公報 特開平8-93276号公報 特開2004-267084号公報 特開2005-68753号公報
従来の仮設壁面緑化方法は、視線を遮る安全鋼板等の板体を設置した後にその表面を緑化する緑化方法、例えば、安全鋼板の表面に取付けたマット状の植物登攀手段によって植物を登攀させる方法、或いは、安全鋼板の上部から植物を垂下させる方法を採用したものにすぎない。
しかし、このような緑化方法では、植物が根付くための土壌の収容領域を十分に確保し難く、植物育成の観点からは、望ましくない。また、植物の種類が制約されるという問題も生じる。仮に、土壌を収容した比較的大型のプランタボックスを仮設壁面の下部に配置し得たとしても、このようなプランタボックスは、仮設壁面の外側に突出するので、仮設壁面の位置を変更する必要が生じる。例えば、仮囲いを構成する安全鋼板の位置を隣地境界又は道路境界から建設現場の敷地内等にセットバックする必要が生じる。このため、大型プランタボックスを仮設壁面の下部に配置する方法は、現実には、採用し難い。
他の手段として、壁面緑化専用の緑化パネルを仮囲いの壁面全域に取付け又は係止する方法も考慮し得るが、この方法では、植物の種類の制約、植物への給水の可否等の問題が生じる。
また、このような従来の緑化方法では、初期的に仮設壁面を緑化することができず、植物を現地(建設地又はイベント会場等)で育成しなければならない。従って、期間が限定された仮設壁面の緑化方法としては、望ましくない。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、仮設壁面の外側に突出することなく、仮設壁面のセットバック又は位置変更を行うこともなく、十分な土壌収容領域を確保できる緑化ユニットを提供することにある。
本発明は又、農場等で植物を育成した後、建設現場に搬入することができ、これにより、仮設壁面の緑化効果を壁面設置当初より確保し得る緑化ユニットを提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、植物を植栽するための土壌を収容可能なプランタボックス部分と、植物が登攀可能又は垂下可能な正面を有する垂直パネル部分とを一体化した壁面緑化用の緑化ユニットであって、
前記プランタボックス部分は、前記垂直パネル部分から後方に突出し、該垂直パネル部分は、前記プランタボックス部分の植物が前記垂直パネル部分の正面を登攀又は垂下するように、前記プランタボックス部分の上側に開口部を有し、
植物が登攀可能な下面を有する傾斜パネルが、前記開口部の上縁部分から後方且つ下方に延びることを特徴とする緑化ユニットを提供する。
本発明の上記構成によれば、プランタボックスの植物は、傾斜パネルの下面を登攀し、開口部から垂直パネル部分の正面に伸び、垂直パネル部分の正面を登攀し又は垂下する。このような緑化ユニットを建設現場の仮囲いとして使用した場合、或いは、上記構成の緑化ユニットをイベント会場等の簡易間仕切壁に用いた場合、プランタボックス部分を仮設壁面の背後(例えば、建設現場の敷地内)に配置することができる。垂直パネルは、仮設壁面の正面側からその裏側への視線をパネル自体の構造により遮り、或いは、垂直パネルを被覆する植物と協働して遮る。
また、プランタボックス部分と垂直パネル部分とを一体化した緑化ユニットは、植物を農場、園芸場等において植栽・育成した後に設置場所に搬送又は輸送することができる。従って、建設現場やイベント会場等の仮設壁面を設置した当初から仮設壁面を緑化することができる。
本発明の緑化ユニットによれば、仮設壁面の外側に突出することなく、仮設壁面のセットバック又は位置変更を行うこともなく、十分な土壌収容領域を確保することができる。
また、本発明の緑化ユニットによれば、農場等で植物を育成した後、建設現場に搬入することができ、これにより、仮設壁面の緑化効果を壁面設置当初より確保することができる。
本発明の好適な実施形態によれば、緑化ユニットは、建設現場の仮囲いを構成するように仮囲いの安全鋼板と実質的に同一の高さを有する。更に好ましくは、緑化ユニットを安全鋼板と置換可能にするため、緑化ユニットの幅は、安全鋼板の幅と実質的に同一の寸法、或いは、安全鋼板の幅の整数倍の寸法に設定される。
好ましくは、垂直パネル部分は、上下に分割され、緑化ユニットは、プランタボックス部分と一体化したユニット本体と、垂直パネル部分を上方に延長するためのパネル延長部とから構成される。仮囲い用の安全鋼板として、高さ2m及び高さ3mの二種類の安全鋼板が一般に使用されることから、緑化ユニットを建設工事の仮囲いとして使用する場合、ユニット本体の高さを約2mに設定し、パネル延長部の高さを約1mに設定することが望ましい。また、このような緑化ユニットの上下分割は、農場等から建設現場へのトラック輸送等を容易にする。このように上下分割した緑化ユニットを用いる場合、農場等においてユニット本体で植物を育成した後、別体のパネル延長部と一緒に現地(建設現場等)に搬送又は輸送し、現地においてパネル延長部をユニット本体に連結することができる。ユニット本体の植物は、現地においてパネル延長部を登攀する。なお、緑化ユニットをこのように構成した場合、緑化ユニット設置当初の初期的な緑化範囲は、人が接する高さ範囲(高さ約2mの範囲)に限定される。
更に好ましくは、緑化ユニットは、人手で緑化ユニットを運搬可能にするキャスタ等のユニット移動手段を有する。ユニット移動手段は、農場等における緑化ユニットの移動、緑化ユニットの輸送・搬送・現地搬入、現地における緑化ユニットの移動等を容易にする。
本発明の更に好適な実施形態によれば、緑化ユニットは、仮囲いの横地(横架材)に係止する係止手段を有する。係止手段は、緑化ユニットの水平荷重及び/又は鉛直荷重を横地に伝達するように緑化ユニットを横地に係止する。係止手段は、横地の管体と係合するブラケット、フック又はクランプ部材等の部材からなり、緑化ユニットの傾倒、水平変位又は垂直変位を防止し、緑化ユニットの位置を安定させる。
本発明の好ましい実施形態によれば、プランタボックスの奥行寸法は、建設工事の仮囲いの支持構造体を配置するために必要な仮囲い設置帯域(控え部材接地位置と安全鋼板との間の帯域)の奥行寸法よりも小さい。横地、縦地、控え、根がらみ、捨てパイプ等を構成する単管、殊に、控え及び根がらみの単管は、隣地境界又は道路境界から敷地内にかなり引っ込んだ位置に配置され、控え及び根がらみを配置した敷地境界近傍の帯域は、作業通路等の他の用途には使用し難い。従って、通常の建設現場においては、プランタボックスがこの帯域に納まる限り、プランタボックスは、建設工事の作業性を阻害しない。
好ましくは、垂直パネル部分及び傾斜パネルは、植物が登攀可能な繊維質マットと、マットを支持する枠体と、垂直パネル部分の正面側又は傾斜パネルの下側に配置された線材とを有する。線材は、植物の登攀を補助するとともに、マットの位置を安定させるように機能する。
更に好ましくは、水平面に対する傾斜パネルの傾斜角度は、30〜60°の範囲内に設定され、傾斜パネルは、垂直パネル部分の開口部の上縁部分からプランタボックス部分の後部上縁部まで延びる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係る緑化ユニットの全体構成を示す斜視図である。図2、図3及び図4は、ユニット本体の構造を示す正面図、背面図、側面図、I−I線断面図、II−II線断面図及びIII−III線断面図であり、図5は、登攀パネル延長部の構造を示す正面図及び縦断面図である。
緑化ユニット1は、ユニット本体2と、ユニット本体2を上方に延長するための登攀パネル延長部5とから構成される。ユニット本体2は、プランタボックス10、垂直登攀パネル20及び傾斜登攀パネル30を備える。
ユニット本体2は、垂直支柱11、12及び横架材13、14、15、16からなる枠体を有する。支柱11、12及び横架材13、14、15、16は、アングル形鋼等の形鋼材からなり、溶接又はボルト等の固着手段によって一体的に相互連結される。枠体は、土壌4を収容可能なプランタボックス10の骨組を構成するとともに、登攀パネル20を支持する支持体を構成する。左右一対の支柱11は、仮囲いの安全鋼板(図示せず)と実質的に同一の間隔W(約500mm)を隔てて配置され、支柱12は、支柱11の背後に配置される。
一般に、安全鋼板は、高さ2m又は3mの規格寸法のものが市場に流通しており、これら2種類の安全鋼板は、建設現場の状況に応じて使い分けられる。支柱11の全高h1は、高さ2mの安全鋼板と整列するように約2mに設定される。支柱12の高さh3は、適当なサイズのプランタボックス10を支柱11の背後に形成し得る高さ(本例では、約500mm)に設定される。支柱11、12の相互間隔Dは、適切なプランタボックス10の奥行と同等の寸法(本例では、約400mm)に設定される。
支柱11、12及び横架材13、14は、プランタボックス10の方形枠体を構成する。プランタボックス10の両側面、正面及び背面に形成された方形開口部には、線材18が縦横に配置される。図4(B)に示すように、プランタボックス10の底部には、有孔底板17が配置される。底板17の外縁部は、横架材13、14によって支持される。底板17は、金属製ワイヤメッシュ又はパンチングメタル等の有孔金属材料からなる。底板17の孔又は開口(図示せず)は、プランタボックス10の排水手段を構成する。所望により、集水樋等の排水設備が底板17の下側に配設される。
線材18(図1)は、例えば、円形断面の金属線材からなり、各線材18の端部は、溶接等の固着手段によって支柱11、12及び横架材13、14に固定される。所望により、金属製ワイヤメッシュ又はパンチングメタル等の有孔金属材料をプランタボックス10の各開口部に取付けても良い。
プランタボックス10内には、植物を育成するための土壌40が収容される。土壌40は、例えば、植栽用の軽量土壌と、排水層用の土壌改良資材(黒曜石パーライト等)とを箱状又は袋状の不織布内に充填した土壌ユニットからなる。ヘデラ等の蔦植物(蔦類)又はつる植物の苗が土壌40に植栽される。
垂直登攀パネル20の骨組は、左右の支柱11と、上下の横架材15、16とによって形成される。登攀パネル延長部5を接続するための左右一対のボルト孔19が横架材16に穿設される。左右の支柱11と上下の横架材15、16とによって囲まれた方形開口部には、垂直線材21、水平線材22及び植物登攀用マット材料23が配設される。線材21、22は、所定直径(例えば、直径約3mm)の円形断面を有する金属線材からなり、線材21、22の端部は、溶接等の固着手段によって支柱11及び横架材15、16に固定される。蔦又はつるがマット材料23上を登攀し易くするために、線材21は局部的に屈曲し、線材22とマット材料23とは若干離間する。本例では、マット材料23は、やし繊維をマット状に成形したやしマット等の植生用繊維質マットからなり、ビス又はボルト等の係止手段23a(図4(A))によって支柱11及び横架材15、16に係止され、パネル20の方形開口部に張設される。マット材料23は、蔦植物又はつる植物が登攀可能な垂直面を形成し且つ視線を遮る効果を有するマット状又は平板状の材料あれば良く、例えば、石膏ボード等のボード建材、或いは、多孔性セラミックス板等をマット材料23として使用しても良い。
プランタボックス10及び垂直登攀パネル20は、上下方向に離間し、方形開口部25が、緑化ユニット1の正面において横架材13、15の間に画成される。図3に示すように、パネル20の下端部と、プランタボックス10の後側上部の横架材13とを架橋するように、傾斜登攀パネル30が所定角度αをなしてプランタボックス10の上側に配置される。角度αは、好ましくは、30〜60°の範囲内に設定される。
図2(B)及び図3(B)に示すように、傾斜登攀パネル30は、横架材31と、左右一対の傾斜材32と、複数の傾斜線材33と、複数の水平線材34と、登攀面を斜め下方に向けた植物登攀用マット材料35とから構成される。横架材31及び傾斜材32は、アングル形鋼等の形鋼材からなる。横架材31は、支柱11の間に水平に延びる。横架材31の両端部は、溶接等の固着手段によって左右の支柱11に固定される。傾斜材32の正面側端部が、溶接等の固着手段によって横架材31に固定され、傾斜材32の背面側端部が、溶接等の固着手段によって支柱12及び横架材13、14の接合部に固定される。水平線材33の両端部が、溶接等の固着手段によって傾斜材32に固定される。傾斜線材34の正面側端部が、溶接等の固着手段によって横架材13に固定され、傾斜線材34の背面側端部が、溶接等の固着手段によって横架材13に固定される。線材33、34は、例えば、円形断面の金属線材からなる。蔦又はつるがマット材料35の下側面を登攀し易くするために、線材33は局部的に屈曲し、線材34とマット材料35とは若干離間する。本例では、マット材料35は、マット材料23と同じく、やしマット等の植生用繊維質マットからなる。マット材料35として、石膏ボード等のボード建材、或いは、多孔性セラミックス板等を使用しても良い。
図5に示す如く、登攀パネル延長部5は、左右の垂直支柱51と、上下の横架材52、53とを溶接等の固着手段によって相互連結した方形枠体を有する。登攀パネル延長部5は、ユニット本体2と同一の幅Wを有する。枠体内の方形開口部には、垂直線材54、水平線材55及び植物登攀用マット材料56が配設される。線材54、55は、所定直径(例えば、直径約3mm)の円形断面を有する金属線材からなり、線材54、55の端部は、溶接等の固着手段によって支柱51又は横架材52、53に固定される。蔦又はつるがマット材料56上を登攀し易くするために、線材54は局部的に屈曲し、線材55とマット材料56とは若干離間する。マット材料56は、垂直登攀パネル20のマット材料23と同様、やしマット等の植生用繊維質マットからなり、ビス又はボルト等の係止手段(図示せず)によって支柱51及び横架材52、53に係止され、登攀パネル延長部5の方形開口部に張設される。マット材料56として、例えば、石膏ボード等のボード建材、或いは、多孔性セラミックス板等を使用しても良い。
ボルト孔19と整合可能なボルト孔59が下側の横架材52に形成される。図1に示す如く、登攀パネル延長部5は、登攀パネル20上に接続され、ボルト孔19、59に挿通したボルト・ナット組立体(図示せず)によって相互連結される。
支柱11、12、51、横架材13、14、15、16、31、52、53、傾斜材32及び線材18、21、22、33、34、54、55として、亜鉛メッキ鋼材、樹脂被覆鋼材、ステンレス鋼材等の各種金属材料の形材又は線材を使用し得る。所望により、支柱11、12、51、横架材13、14、15、16、31、52、53、傾斜材32及び線材18、21、22、33、34、54、55に対して、耐候性塗料等の塗装仕上を施しても良い。
図1及び図2に示す如く、緑化ユニット1は、水平管材71、72、73に係止可能な係止具61、62、63を備える。水平管材71、72、73は、後述する仮囲いの横地である。係止具61は、横架材14及び/又は支柱11に固定され、横架材14から垂下する。係止具62は、支柱11に固定され、係止具62から後方に突出する。係止具61、62は、下方に開口した半円形開口部64、65を有し、開口部64、65は、管材71、72の外形に相補する輪郭を有し、管材71、72の半部を受入れる。係止具63は、図5(B)に示すように、支柱51に固定された固定部66と、固定部66に回動可能に取付けられた可動部67と、可動部67を固定部66に係止する係止部68とを備えたクランプ式連結具からなる。係止具63は、その中空部に管材73を保持する。係止具63として、単管足場等の連結金具として使用されるクランプ式連結具を好適に使用し得る。
図1に示すように、係止具61、62は、管材71、72の半部を受入れた状態で管材71、72上に支承される。係止具63は、可動部67を開放した状態で管材73を収容し、可動部67の閉鎖および係止具68の締付けによって管材73をその中空部内に保持する。
図6(A)及び図6(B)は、緑化ユニット1の使用形態を示す仮囲いの正面図である。図7(A)、図7(B)及び図7(C)は、図6のIV−IV線、V−V線及びVI− VI線における断面図である。
図6には、建設工事現場の隣地境界又は道路境界に配置された仮囲い6が示されている。仮囲い6は、高さ3mの安全鋼板7を境界に沿って地盤G上に立設した仮囲いであり、安全鋼板7は、部分的に緑化ユニット1に置換されている。本例では、仮囲い6の一部は、多数の緑化ブロック90を有する緑化パネル9によって形成される。緑化ユニット1は、安全鋼板7の壁面と連続する壁面を形成する。緑化ユニット1は、安全鋼板7の幅W(500mm)及び高さH(3m)と同一の幅W及び高さH(=h1+h2)を有するので、安全鋼板7の一部を緑化ユニット1に置換することができる。
安全鋼板7は、図7(A)に示す如く、鋼管(単管パイプ)からなる縦地70、管材71、72、73の横地、控え(やらず)74、根がらみ75及び捨てパイプ77(仮想線で示す)をクランプ式連結具76によって一体的に組付けた構成を有する。安全鋼板7は、汎用の固定具によって横地71、72、73に係留される。
図7(B)に示す如く、緑化ユニット1の係止具61、62、63は、下段、中段及び上段の横地71、72、73に夫々係止し、緑化ユニット1を所定位置に係留する。緑化ユニット1に作用し得る地震力、風圧等の短期水平荷重や、機材等の衝突による衝撃は、係止具61、62、63に伝達し、係止具61、62、63は、このような横力又は水位荷重に抗して緑化ユニット1の傾倒又は水平変位を阻止する。
地盤Gが平坦に整地され、しかも、適切な地耐力を有する場合には、緑化ユニット1の鉛直荷重は、支柱11、12の鉛直荷重として地盤Gに伝達し、緑化ユニット1は、地盤Gによって支持される。しかし、地盤Gが比較的軟弱である場合、或いは、図7(B)に仮想線G’で示すように地盤Gに不陸、起伏、傾斜又は凹凸等がある場合、支柱11、12の脚部が地盤Gに適切に接地せず、緑化ユニット1が部分的又は全体的に傾倒又は垂直変位し得る状況が生じる。しかしながら、緑化ユニット1の鉛直荷重は、係止具61、62、63を介して横地71、72、73に伝達し、横地71、72、73に伝達した荷重は、安全鋼板7の支持構造体(縦地72、横地73、控え74、根がらみ75及び捨てパイプ77)によって支持される。従って、緑化ユニット1の傾倒又は垂直変位は、生じない。
プランタボックス10の奥行Dは、控え74の接地位置と安全鋼板7との間の距離D’よりも小さい。安全鋼板7の裏側の帯域(距離D’の範囲内)は、通路等の他の用途に使用し難い領域であるので、この帯域におけるプランタボックス10の配置によっては、工事現場の作業性は格別に損なわれない。
緑化パネル9は、図7(C)に示すように、補助部材(取付けフレーム)92によって多数の緑化ブロック90を支持体91に取付けた構成を有する。支持体91は、垂直支柱93及び水平補強部材94、95をクランプ式連結具96によって連結した構造を有し、水平補強部材94、95は、仮囲い6の縦地70等に連結される。緑化ユニット1及び緑化ブロック90の緑化面は、安全鋼板7と実質的に連続する壁面を形成し、仮囲い6を部分的に緑化する。
緑化ユニット1は、図1に示す如く、土壌4をプランタボックス10内に収容し、土壌4に植栽した蔦植物等は、傾斜登攀パネル30の下面を登攀し、垂直登攀パネル20上に伸びる。植物は更に、マット材料23の表面を登攀し、登攀パネル延長部5に伸び、マット材料56の表面を登攀する。植物の一部は、プランタボックス10の上縁(正面側上部の横架材13)から下方に垂下し、プランタボックス10の正面を覆う。
好ましくは、土壌40の植物を農場、園芸場等において育成し、植物が少なくとも垂直登攀パネル20を登攀した状態で、別体の登攀パネル延長部5と一緒に垂直登攀パネル20を建設現場に搬入する。現場搬入した緑化ユニット1は、図6及び図7に示す如く、仮囲い1の所定位置に配置される。これにより、仮囲い1の壁面を建設工事初期から緑化することができる。
なお、図6及び図7に示す仮囲い1は、高さ3mの安全鋼板7を使用したものであるが、高さ2mの安全鋼板によって仮囲い1を形成する場合には、ユニット本体2のみを使用すれば良い。また、所望により、仮囲い6の全域を緑化ユニット1によって緑化しても良い。
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
例えば、図1及び図3(B)に仮想線で示す如く、給水装置100を緑化ユニット1の開口部25に配置することができる。給水装置100は、例えば、土壌4の上方に配置された有孔散水管と、散水管に給水を圧送する給水圧送装置と、散水時間等を制御する制御部とから構成される。
また、図3(A)に仮想線で示すように、人手による緑化ユニット1の運搬を容易にするキャスタを支柱11、12の下端部に配設しても良い。
更に、上記実施例においては、プランタボックス10を緑化ユニット1の最下部に配置したが、プランタボックス10を緑化ユニット1の中間高さ部分又は上部に配置しても良い。この場合、緑化ユニット1の壁面緑化は、植物の垂下に主に依存する。
また、植物の種類は、任意であり、登攀用マットの材質・種類、登攀補助用の線材の配置及び構造、プランタボックスの寸法・構造、土壌の種類及び量、植物への散水方法等は、植物の種類に相応して適宜設計変更し得るものである。
本発明の緑化ユニットは、殊に、建設工事の仮囲い等の外観を向上すべく仮囲い等を天然植物で緑化するのに使用される。本発明の緑化ユニットは、イベント会場、展示会等の仮設壁面を緑化するための緑化ユニットとしても好適に使用し得る。本発明の緑化ユニットを恒久的な壁体の緑化や、簡易間仕切壁の緑化、庭園又は公園等の壁面緑化等に使用しても良い。本発明の緑化ユニットは、各種方式の緑化手段、例えば、緑化ブロックを使用した緑化壁面、ワイヤー等の補助材を用いた緑化壁面等と組合せて使用することにより、種々の形態で使用することができるので、かなり広範な用途に応用することが可能である。
本発明の実施例に係る緑化ユニットの全体構成を示す斜視図である。 図1に示すユニット本体の構造を示す正面図及び背面図である。 図2に示すユニット本体の側面図及びI−I線断面図である。 図2のII−II線及びIII−III線における断面図である。 図1に示す登攀パネル延長部の正面図及び縦断面図である。 緑化ユニット1の使用形態を示す建設工事用仮囲いの正面図である。 図6のIV−IV線、V−V線及びVI−VI線における断面図である。
符号の説明
1 緑化ユニット
2 ユニット本体
5 登攀パネル延長部
10 プランタボックス
11、12、51 垂直支柱
13、14、15、16、31、52、53 横架材
18、21、22、33、34、54、55 線材
20 垂直登攀パネル
23、35、56 マット材料
25 方形開口部
30 傾斜登攀パネル
32 傾斜材
40 土壌
61、62、63 係止具

Claims (10)

  1. 植物を植栽するための土壌を収容可能なプランタボックス部分と、植物が登攀可能又は垂下可能な正面を有する垂直パネル部分とを一体化した壁面緑化用の緑化ユニットであって、
    前記プランタボックス部分は、前記垂直パネル部分から後方に突出し、該垂直パネル部分は、前記プランタボックス部分の植物が前記垂直パネル部分の正面を登攀又は垂下するように、前記プランタボックス部分の上側に開口部を有し、
    植物が登攀可能な下面を有する傾斜パネルが、前記開口部の上縁部分から後方且つ下方に延びることを特徴とする緑化ユニット。
  2. 前記緑化ユニットは、建設現場等の仮囲いを構成するように該仮囲いの安全鋼板と実質的に同一の高さを有することを特徴とする請求項1に記載の緑化ユニット。
  3. 建設現場等の仮囲いを構成する安全鋼板と緑化ユニットとを置換可能にするため、前記緑化ユニットの幅は、安全鋼板の幅と実質的に同一、或いは、安全鋼板の幅の整数倍に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の緑化ユニット。
  4. 前記垂直パネル部分は、上下に分割され、緑化ユニットは、前記プランタボックス部分と一体化したユニット本体と、該ユニット本体を上方に延長するためのパネル延長部とから構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の緑化ユニット。
  5. 人手で緑化ユニットを運搬可能にするユニット移動手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の緑化ユニット。
  6. 背後に配置された横架材に係止する係止手段を更に有し、該係止手段は、緑化ユニットに作用する水平荷重及び/又は鉛直荷重を横架材に伝達するように緑化ユニットを横架材に係止することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の緑化ユニット。
  7. 前記プランタボックス部分の奥行寸法は、前記安全鋼板の支持構造体を配置するために必要な仮囲い設置帯域の奥行寸法よりも小さいことを特徴とする請求項2又は3に記載の緑化ユニット。
  8. 前記垂直パネル部分及び前記傾斜パネルは、植物が登攀可能な繊維質マットと、該マットを支持する枠体と、前記垂直パネル部分の正面側および前記傾斜パネルの下側に夫々配置され、前記マットの位置を安定させる線材とを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の緑化ユニット。
  9. 水平面に対する前記傾斜パネルの傾斜角度は、30〜60°の範囲内に設定されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の緑化ユニット。
  10. 前記傾斜パネルは、前記開口部の上縁部分から前記プランタボックス部分の後部上縁部まで延びることを特徴とする請求項9に記載の緑化ユニット。
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