JP2007150254A - 磁気抵抗効果素子、基体、ウエハ、ヘッドジンバルアセンブリ、ハードディスク装置、磁気メモリ素子、および磁気センサアセンブリ - Google Patents

磁気抵抗効果素子、基体、ウエハ、ヘッドジンバルアセンブリ、ハードディスク装置、磁気メモリ素子、および磁気センサアセンブリ Download PDF

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    • G01R33/093Magnetoresistive devices using multilayer structures, e.g. giant magnetoresistance sensors

Abstract

【課題】CPP−GMR素子において、大きな磁気抵抗変化率とフリー層の良好な軟磁気特性とを両立させつつ、SV膜厚の低減を図る。
【解決手段】磁気抵抗効果素子は、外部磁界に対して磁化方向が固定されたピンド層7と、外部磁界に応じて磁化方向が変化するフリー9層と、ピンド層7とフリー層9とに挟まれた、銅からなるスペーサ層8とを有している。ピンド層7、スペーサ層8、およびフリー層9の各層を膜面垂直方向にセンス電流22が流れるようにされている。フリー層9は、銅を主成分とする非磁性層92a,92bと、非磁性層の両側界面に設けられたコバルト・鉄・ニッケルの三元合金層91a〜91cとを有し、三元合金層の、ニッケルおよび鉄の合計原子分率に対するニッケルの原子分率の比率xは27%≦x≦45%の範囲にある。
【選択図】図2

Description

本発明は磁気抵抗効果素子、それを用いた基体、ウエハ、ヘッドジンバルアセンブリ、ハードディスク装置の他、磁気メモリ素子、および磁気センサアセンブリに関し、特にハードディスク装置の等の磁気記録装置の薄膜磁気ヘッドに用いられる磁気抵抗効果素子に関する。
磁気記録の高密度化に対応するため、再生素子としてGMR(Giant Magneto-resistive)素子を用いた磁気ヘッドが用いられている。とりわけ、スピンバルブ(SV)膜を用いたGMR素子は、記録媒体の記録を読み出すために素子に流されるセンス電流に対する抵抗変化が大きく、より高感度の磁気ヘッドを提供することができる。ここでSV膜とは、磁化の方向が一方向に固定された強磁性膜(以下、ピンド層という。)と、記録媒体が発生する外部磁界に応じて磁化の方向を変える強磁性膜(以下、フリー層という。)と、ピンド層とフリー層との間に挟まれた非磁性中間層とを備えた積層膜である。SV膜では、フリー層の磁化方向は、ピンド層の磁化方向に対して、外部磁界に応じて相対角度をなし、この相対角度に応じて伝導電子のスピン依存散乱が変化して磁気抵抗変化が生じる。磁気ヘッドは、この磁気抵抗変化を検出して、記録媒体の磁気情報を読み取る。
SV膜を使用したMR素子は、従来、膜面に平行にセンス電流を流すCIP(Current in Plane)-GMR素子が中心であったが、最近では、更なる高密度化に対応するため、膜面垂直方向にセンス電流を流すCPP(Current Perpendicular to the Plane)-GMR素子を用いた磁気ヘッドの開発も進められている。CPPタイプの素子としては、他にTMR(Tunnel Magneto-resistance)膜を用いたTMR素子があるが、CPP-GMR素子は、TMR素子と比較して低抵抗であること、CIP-GMR素子と比較して狭トラック幅での読み取りでも高出力が得られることから、高いポテンシャルを持つ素子として期待されている。
しかしながら、CIP-GMR素子と同様の膜構成のSV膜をそのままCPP-GMR素子に適用しても、十分な磁気抵抗変化を得ることができない。これは、抵抗変化に寄与する部分(フリー層、ピンド層、非磁性中間層)の抵抗が素子の全体抵抗の中で占める割合が小さいことが主な原因である。すなわち、CIP-GMR素子の場合、通電方向は膜面内方向であるため、界面におけるスピン依存散乱による磁気抵抗変化が面内方向に十分得られるのに対し、CPP-GMR素子では、センス電流は膜面すなわち界面を垂直に通過するので、界面におけるスピン依存散乱が十分に生じず、しかも、通常のGMR素子では、界面は非磁性中間層とフリー層との間、および非磁性中間層とピンド層との間の2つしかないため、界面の磁気抵抗変化への寄与が少ないことが大きな要因である。一方、CPP-GMR素子においては、センス電流が各層を貫通して流れることから、各層内部の伝導電子の散乱、すなわちバルク散乱は一般にCIP-GMR素子よりも大きく、磁気抵抗変化に寄与しやすい。このため、CPP-GMR素子では、フリー層、ピンド層を厚くすることが大きな磁気抵抗変化を得るために効果的である。
また、SV膜のフリー層、ピンド層を厚くする代わりに、フリー層またはピンド層に非磁性中間層を挿入し、界面数を増やすことによって磁気抵抗効果を大きくする技術も開示されている(特許文献1参照。)。具体的には、CoFeB合金層と、Cu非磁性層と、CoFeB合金層とを積層したフリー層構成が提案されている(CoFeB/Cu/CoFeB積層構造)。このような膜構成では、CoFe系合金とCuとの間の界面のスピン分極が大きいため、スピン依存散乱が促進され、大きな磁気抵抗変化を得ることができる。
さらに、大きな磁気抵抗変化を得る目的で、フリー層またはピンド層の少なくとも一方がニッケル・鉄・コバルトの3元合金を備えたSV膜構成も開示されている(特許文献2参照。)。
特開2003−152239号公報 特開2003−133614号公報
このように、CPP−GMR素子ではフリー層、ピンド層を厚くし、バルク散乱の寄与を大きくすることが大きな磁気抵抗変化率を得るために効果的である。しかしながら、SV膜の膜厚を厚くすることは、シールド間ギャップを拡げることになる。これは、高線記録密度のためには好ましくない。したがって、薄いフリー層で大きな磁気抵抗変化率を得ることができれば、SV膜も薄くすることができ、好ましい。また、磁気ヘッドの読み取り素子として用いるためには、フリー層には、大きな磁気抵抗変化率と同時に、良好な軟磁気特性が要求される。具体的には、低保磁力と低磁歪とが要求される。
そこで、本発明は、大きな磁気抵抗変化率とフリー層の良好な軟磁気特性とを両立させつつ、SV膜厚の低減が可能なCPP−GMR型の磁気抵抗効果素子を提供することを目的とする。また、本発明は、かかる磁気抵抗効果素子を適用したハードディスク装置等を提供することを目的とする。
本発明の磁気抵抗効果素子は、外部磁界に対して磁化方向が固定されたピンド層と、外部磁界に応じて磁化方向が変化するフリー層と、ピンド層とフリー層とに挟まれた、銅からなるスペーサ層とを有している。ピンド層、スペーサ層、およびフリー層の各層を膜面垂直方向にセンス電流が流れるようにされている。フリー層は、銅を主成分とする非磁性層と、非磁性層の両側界面に設けられたコバルト・鉄・ニッケルの三元合金層とを有し、三元合金層の、ニッケルおよび鉄の合計原子分率に対するニッケルの原子分率の比率xは27%≦x≦45%の範囲にある。
ニッケルの原子分率の比率xが27%≦x≦45%の範囲となる特定の低ニッケル組成領域では、軟磁気特性(保磁力、磁歪)の悪化を最小限に留め、磁気抵抗変化率を向上させることができる。一方、CoFe層が不要になったことで軟磁気特性が改善され、Coを加えることで磁歪と磁気抵抗変化率が改善される。この結果、磁歪を実用レベルに維持ながら、磁気抵抗変化率と保磁力の改善が可能となる、しかも、従来のフリー層においてNiFe層の両側をCoFe層で挟んでいた3層積層構成を、コバルト・鉄・ニッケルの三元合金層に置換することが可能となるため、磁気抵抗効果素子のトータル膜厚の低減にも寄与する。
ニッケル、鉄、およびコバルトの合計原子分率に対するコバルトの合計原子分率の比率yは42%≦y≦76%の範囲にあることが望ましい。比率yは52%≦y≦65%の範囲にあることがさらに望ましい。
フリー層は、1層の非磁性層と、非磁性層の両側界面に設けられた2つの三元合金層とからなり、各三元合金層の膜厚tは、1.3nm≦t≦3.5nmの範囲にあることが望ましい。
フリー層は、2つの非磁性層と、各非磁性層の両側界面に設けられた合計3つの三元合金層とからなり、各三元合金層の膜厚tは、1.3nm≦t≦2.3nmの範囲にあることが望ましい。各三元合金層の膜厚tは、1.6nm≦t≦2.3nmの範囲にあることがさらに望ましい。
フリー層は、3つ以上の非磁性層と、各非磁性層の両側界面に設けられた三元合金層とを有していてもよい。
本発明の基体は、上述の磁気抵抗効果素子を備えている。
本発明のウエハは、上述基体の製造に用いる、少なくとも1つの薄膜磁気変換素子が設けられている。
本発明のヘッドジンバルアセンブリは、上述の基体を含み、記録媒体に対向して配置されるスライダと、スライダを弾性的に支持するサスペンションとを有している。
本発明のハードディスク装置は、上述の基体を含み、回転駆動される円盤状の記録媒体に対向して配置されるスライダと、スライダを支持するとともに、記録媒体に対して位置決めする位置決め装置とを有している。
本発明の磁気メモリ素子は、上記の複数の磁気抵抗効果素子と、複数の磁気抵抗効果素子に接続され、複数の磁気抵抗効果素子の任意の一つに選択的に情報を書込み、または任意の一つから選択的に情報を読出す配線部とを有している。
本発明の磁気センサアセンブリは、上記の磁気抵抗効果素子が設けられた基板と、磁気抵抗効果素子に接続され、磁気抵抗効果素子で検出した外部磁界の磁気情報を出力するリード線とを有している。
以上説明したように、本発明によれば、大きな磁気抵抗変化率とフリー層の良好な軟磁気特性とを両立させつつ、SV膜厚の低減が可能となる。このため、将来の高線記録密度化への対応が容易で、かつ読込み性能にも優れた磁気抵抗効果素子およびハードディスク装置等を提供することが可能となる。
本発明の磁気抵抗効果素子(以下CPP素子2という。)の実施形態を、図面を用いて説明する。図1は本発明の磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッドの部分斜視図である。薄膜磁気ヘッド1は読み込み専用のヘッドでもよく、記録部をさらに有するMR/インダクティブ複合ヘッドでもよい。CPP素子2は、上部電極兼シールド3と下部電極兼シールド4との間に挟まれ、先端部が記録媒体21と対向する位置に配置されている。CPP素子2には、図1中の矢印に示すように、上部電極兼シールド3と下部電極兼シールド4との間にかかる電圧によって、上部電極兼シールド3からCPP素子2を積層方向に貫通して、膜面垂直方向に下部電極兼シールド4に向かうセンス電流22が流れている。CPP素子2との対向面における記録媒体21の磁界は、記録媒体21の移動方向23への移動につれて変化する。CPP素子2は、この磁界の変化を、GMR効果によって得られるセンス電流22の電気抵抗変化として検出することにより、記録媒体21の各磁区に書き込まれた磁気情報を読み出すことができる。
図2は、図1におけるA−A方向からみたCPP素子の側面図であり、ABS側の積層構造を示している。ABSとは、薄膜磁気ヘッド1の、記録媒体21との対向面である。表1は、本発明のCPP素子2の詳細な膜構成の代表例を示す。ここで、本明細書の各表(図面中の表を含む。)において、「組成」を表す欄中の数値は各原子の原子分率を示す。また、括弧の後の数値は括弧内の組成物の全体に対する原子分率を示す。例えば、表1中で(Ni35Fe65)40Co60とあるのは、NiとFeとの相対的な原子分率が35:65で、NiとFeとを合わせた部分とCoとの相対的な原子分率が40:60であることを示す。すなわち、(Ni35Fe65)40Co60は、Ni14Fe26Co60と等価である。
Figure 2007150254
CPP素子2(SV膜)は、下部電極兼シールド4と上部電極兼シールド3との間に、下部電極兼シールド4から上部電極兼シールド3に向かって、バッファー層5、反強磁性層6、ピンド層7、スペーサ層8、フリー層9、キャップ層10が、この順に互いに隣接して積層されて形成されている。ピンド層7は、外部磁界に対して磁化の向きが固定された下部層であり、フリー層9は、外部磁界に応じて磁化の向きが変わることができる上部層である。スペーサ層8はピンド層7とフリー層9との間に挟まれている。センス電流をこれらの各層を貫く向き(膜面垂直方向)に流すと、外部磁界に応じてフリー層7とピンド層9との磁化の相対角度が変化し、センス電流22に対する抵抗値が変化する。この抵抗値の変化を検出することによって、外部磁界の大きさを検知し、記録媒体の磁気データを読み出すことができる。以下、CPP素子2の主要部の構成について詳細に説明する。
まず、アルティック(Al23・TiC)からなる基板上(図示せず)に、アルミナ(Al23)からなる下地層(図示せず)を介して、パーマロイ(NiFe)からなる下部電極兼シールド4が形成されている。下部電極兼シールド4の上には、バッファー層5が形成されている。バッファー層5は、例えばTa層からなる金属層と、例えばNiFeCr層からなる下地層とが積層されて形成されている。
下地層の上には、反強磁性層6を介して、ピンド層7が設けられている。反強磁性層6は後述するアウターピンド層71の磁化を固定させるためのもので、IrMnの他、PtMn、RuRhMn、FeMn、NiMn、PdPtMn、RhMn、またはCrMnPtなどのMn系合金を用いることができる。
ピンド層7は本実施形態ではシンセティックピンド層であり、積層方向下方からアウターピンド層71、非磁性中間層72、インナーピンド層73がこの順に積層されて形成されている。インナーピンド層73は、非磁性中間層72を介したアウターピンド層71との反強磁性的結合によって、その磁化方向が所定方向に固定されている。シンセティックピンド層では、アウターピンド層71とインナーピンド層73の磁気モーメントが互いに相殺されて、全体としての漏れ磁界が抑えられるとともに、インナーピンド層73の磁化の向きが強固に固定される。なお、ピンド層7としては、必ずしもシンセティックピンド層である必要はなく、非磁性中間層のない単層構成としてもよい。
アウターピンド層71およびインナーピンド層73は、CoFeからなるが、この他、CoFeB、Fe、Co、Ni、FeCo、NiFeまたはFeCoNiなどの強磁性合金材料を広く用いることができる。非磁性中間層72としては、例えばRuが用いられる。
シンセティックピンド層において、磁気抵抗効果に寄与しているのはインナーピンド層73であり、また、CPP−GMR素子では、磁気抵抗効果に対するバルク散乱の寄与が大きい。そのため、インナーピンド層73の膜厚を大きくすることで、より大きな抵抗変化が得られる。このとき、インナーピンド層73とアウターピンド層71の磁気モーメントを揃える必要があるので、結果的にアウターピンド層71も厚くなる。インナーピンド層73の間にCu層が挿入されているのは、磁気抵抗効果に寄与するインナーピンド層73にCuとCoFeとの界面を形成し、界面散乱効果を高めて、磁気抵抗変化率の向上を図るためである。
スペーサ層8はCuからなり、膜厚は3nm程度である。
フリー層9は、Cuを主成分とする第1、第2非磁性層92a,92bと、第1、第2非磁性層92a,92bの両側界面に設けられたコバルト・鉄・ニッケルの第1〜第3三元合金層91a,91b,91cとから構成されている。各三元合金層91a,91b,91cの、ニッケルおよび鉄の合計原子分率に対するニッケルの原子分率の比率xは、27%≦x≦45%の範囲にあるのが好ましく、特に35%前後であるのが望ましい。ニッケル、鉄、およびコバルトの合計原子分率に対するコバルトの合計原子分率の比率yは42%≦y≦76%の範囲にあるのが好ましく、特に52%≦y≦65%の範囲にあるのが好ましい。各三元合金層91a,91b,91cの膜厚tは、1.3nm≦t≦2.3nmの範囲にあるのが好ましく、特に1.6nm≦t≦2.3nmの範囲にあるのが望ましい。これらの比率x,y、および膜厚tは三元合金層91a,91b,91cで共通であってもよいし、上記の範囲内で互いに異なっていてもよい。これらの数値の根拠については後述する。
フリー層9は、1層の非磁性層と、非磁性層の両側界面に設けられた2つの三元合金層とで構成されていてもよい。この場合、各三元合金層の膜厚tは、1.3nm≦t≦3.5nmの範囲にあるのが望ましい。また、フリー層9は、3つ以上の非磁性層と、各非磁性層の両側界面に設けられた三元合金層とで構成されていてもよい。
フリー層9は、上記のようにコバルト・鉄・ニッケルの三元合金層を有しているが、さらにボロン等が添加物として微量含まれていてもよい。
キャップ層10はCPP素子2の劣化防止のために設けられ、上部電極兼シールド3からの電流を通すため、導電体であるCu層とRu層とがこの順で積層されて形成されている。キャップ層10の材料としてはこの他、Ru,Ta、Rh,Pd,Ag,Ir,Pt,Au、またはこれらの合金等を用いることができる。
CPP素子2のトラック幅方向(図2中白抜き矢印の方向)の両側側方部には、一対のバイアス膜11が設けられている。バイアス膜11はフリー層9にトラック幅方向のバイアス磁界を印加する磁区制御膜である。これによってフリー層9の磁化の向きは、記録媒体からの外部磁界を受けないときにはトラック幅方向を向く。バイアス膜11は、CoCrPt、CoPt等の硬磁性材料で一体で形成される他、軟磁性層と反強磁性層とがこの順に積層されて形成されていてもよい。バイアス膜11とCPP素子2との間には、センス電流22がバイアス膜11をバイパスすることを防止するため、Al23などで形成された絶縁層12が設けられている。トラック幅はCPP素子2の幅によって規定され、0.1μm以下程度の幅に形成されている。
また、図示は省略するが、CPP素子2の上方にはさらに書込み素子が設けられている。書込み素子の上方はアルミナなどからなるオーバーコート層で覆われている。
(実施例)次に、以上説明したCPP素子の適切な膜構成を得るためにおこなった検討結果を実施例として示す。まず、検討対象とした素子および評価項目について説明する。
図3に、磁気抵抗変化率の測定に用いた素子の断面を概略的に示す。下部電極4aは、SV膜の下地状態を同じにするため、NiFe合金からなる。上部電極3aにはCu膜を用いた。SV膜はミリングによって加工され、周囲をAl23からなる絶縁膜12aで埋め戻した。パターンは、0.2μm径のピラー形状とした。図4には、測定したMR曲線の一例を示す。縦軸が磁気抵抗変化率で、約±75kA/m(±1kOe)印加時のピラー抵抗をR、抵抗変化をdRとしたときに、dR/Rとして定義している。通常、磁気抵抗変化率と呼ぶ値は、この最大値である。
保磁力、磁歪の評価には、酸化Si基板上に成膜したべた膜のSV膜を用いた。図5に、CPP-GMR膜に面内方向に電流を流したときのMR曲線の例を示す。この場合、縦軸の磁気抵抗変化率はあくまで参考値である。本明細書において保磁力という場合は、このMR曲線のマイナーループの保磁力を意味する。保磁力はMR曲線から見積もることもできるが、VSM(Vibration Sample Magnetometer)による測定のほうがより正確と考えられるため、このような算定方式を採用した。
表2には、本実施例で述べる膜構成の比較例を示す。右欄の参考例はCPP−GMR素子の一般的な膜構成である。左欄の比較例は、参考例に対してフリー層にCu層を挿入するとともに、Cu層との界面散乱効果の高いCoFe層をCu層の両側に挿入したものである。Cu層の挿入により磁気抵抗変化率が大幅に向上している。以下の説明では、この比較例を基準ケースとして適宜用いる。また、以降の各検討の概略についても示した。
Figure 2007150254
(検討1−1)まず、さらなる磁気抵抗変化率の向上のため、比較例をベースに、フリー層のNiFe層の組成だけを変化させ、磁気抵抗変化率等への影響を調べた。これは、本願発明者は、NiFe層の組成をFeリッチにすることにより、磁気モーメントが増加すると同時にバルク散乱係数も増加し、高い磁気抵抗変化率が得られる可能性があると考えたためである。表3および図6に結果を示す。図表中、「MR比」とは磁気抵抗変化率のことである。Feリッチ(Niの原子分率は減少)にすることにより磁気抵抗変化率が増加している。一方、軟磁気特性を示す保磁力Hcは増加する傾向にあるが、Niの原子分率が35%付近の領域では小さくなることが確認できた。
Figure 2007150254
(検討1−2)FeリッチなNiFeの場合、軟磁気特性は下地層に強く依存する。そこで、bcc(体心立方構造)のCo70Fe30をfcc(面心立方構造)のCo90Fe10に置き換えて同様の検討をおこなった。表4および図7に結果を示す。検討1−1と同様、Feリッチにすることにより磁気抵抗変化率が増加している。保磁力Hcについても、検討1−1と同様、Niの原子分率が35%付近の領域では小さくなることが確認できた。さらに、この領域では、軟磁気特性に大きな影響のある磁歪λも比較的小さく抑えられることも確認できた。これは、Niの原子分率が小さい特定の領域をうまく活用することによって、大きな磁気抵抗変化率とともに、比較的良好な軟磁気特性を実現できる可能性があることを示すものである。
Figure 2007150254
(検討2−1)次に、表2の比較例の膜構成において、フリー層のCoFe/NiFe/CoFe(本明細書ではa/b/cの表記は層a〜cがこの順に積層されていることを示す。)の部分をNiFe層に置き換え、NiFe層の組成をパラメータとして磁気抵抗変化率等を調べた。これは、以下のような意図に基づく。すなわち、従来技術のフリー層では、軟磁気特性をNiFeに分担させ、磁気抵抗変化率の向上のためにCoFeを挿入する膜構成としていたために、結果として膜厚が厚くなっていた。しかし、検討1−1,1−2に示したようにニッケルの原子分率xを小さくすると、磁気抵抗変化率は増加する傾向にあることから、CoFe/NiFe/CoFeをNiFe層に置換してもNiの原子分率を適切に設定することによって、なお良好な磁気特性が得られることが期待されたためである。Cu層を挟んだ2つのNiFe層の膜厚は2.5nmとした。結果を表5および図8に示す。なお、磁歪λは負値であるが、図8においては絶対値で示す。図表中、「MR比」とは磁気抵抗変化率のことである。
Figure 2007150254
これより、Feの原子分率が増えて(Niの原子分率が減って)磁気モーメントが大きくなるにしたがって、より大きな磁気抵抗変化率が得られることが確認できた。ただし、Feの原子分率が65%を超えると(Niの原子分率が35%を下回ると)、磁気抵抗変化率は一定となる。一方、軟磁気特性を示す保磁力Hcは、Niの原子分率が27%付近から45%付近の領域で小さくなることが確認できた。さらに、この領域では、軟磁気特性に大きな影響のある磁歪λも比較的小さく抑えられることも確認できた。これより、NiFe/Cu/NiFeの基本構成を有するフリー層において、Niの原子分率が小さい特定の領域をうまく活用することによって、大きな磁気抵抗変化率とともに、比較的良好な軟磁気特性を実現できることがわかった。これが、前述したニッケルの原子分率の比率xを27%≦x≦45%とした根拠である。以降の検討では、比率xを軟磁気特性の特に良好な35%とした。
(検討2−2)さらにNiFe層の膜厚の影響を検討するため、Ni35Fe65の組成で、NiFe層の膜厚をパラメータとして同様の検討をおこなった。結果を表6に示す。磁気モーメントの増加によりNiFe層のバルク散乱は大きくなっていると考えられるが、NiFe/Cu界面の散乱効果が不十分なため、検討1−1,1−2に比べて磁気抵抗変化率はむしろ小さくなった。膜厚を下げていくと磁歪λは若干改善されるが、その絶対値は比較的大きく、軟磁気特性の改善が望まれる結果となった。
Figure 2007150254
(検討3)そこで、磁歪の絶対値を低減させるとともに、界面散乱の効果を高めて磁気抵抗変化率を向上させるために、NiFe層にCoを添加した。膜構成は表6のNiFe層をNi,Fe,Coの三元合金層に置き換えたもので、各三元合金層の膜厚は3.5nmに固定した。Co原子分率yと保磁力Hc、磁歪λ、および磁気抵抗変化率との関係を表7および図9A,9Bに示す。なお、磁歪λは負値であるが、図9A,9Bにおいては絶対値で示す。図表中、「MR比」とは磁気抵抗変化率のことである。
Figure 2007150254
図9Aを参照すると、少量、すなわち10%原子分率程度のCo添加により、磁歪λは一旦増加するが、さらにCoを添加すると減少に転ずる。保磁力HcもCoの原子分率が一定以上まで増加すると減少に転ずる。しかし、Coの原子分率をさらに高めていくと、磁気抵抗変化率が落ちるのみでなく、磁気特性(Hc,λ)もむしろ悪化し、好ましくない(たとえば90%では、保磁力HcはCoのない場合と比べ1.6倍以上悪化する。)。Co添加のない場合と比較すると、コバルト原子分率の比率yが約42%〜76%の範囲で、保磁力Hcと磁歪λの双方が改善される。また、この範囲では磁気抵抗変化率も比較的良好である。そこで、コバルト原子分率の比率yは、42%≦y≦76%程度の範囲にするのが望ましい。次に、保磁力Hcおよび磁歪λの絶対値に着目すると、保磁力Hcは400A/m(約5Oe)程度、磁歪λは3×10-6程度が実用的に望ましい範囲と考えられる。図9Bを参照すると、これらの基準を満たすコバルト原子分率の比率yの範囲は52%から65%程度の範囲である。そこで、コバルト原子分率の比率yは52%≦y≦65%程度がより望ましい。なかでも、コバルト原子分率の特に良好な比率yは60%程度である。
(検討4)以上述べたように、Ni,Fe、Coの三元合金層は、NiFe層の軟磁気特性と、CoFe層の磁気抵抗変化率改善特性とを併せ持ち、従来のCoFe/NiFe/CoFeの3層構成を三元合金層に置換できる可能性が確認された。そこで、この利点を活用し、本発明のもう一つの目的であるSV膜厚の低減を図るため、三元合金層の膜厚の最適範囲を検討した。以下の検討では、検討3と同じ膜構成を用い、上述の結果に基づいて、三元合金層のコバルト原子分率の比率yを60%とした。結果を表8および図10に示す。なお、磁歪λは負値であるが、図10においては絶対値で示す。図表中、「MR比」とは磁気抵抗変化率のことである。
Figure 2007150254
図10を参照すると、膜厚の減少にしたがってバルク散乱の効果が小さくなるため、磁気抵抗変化率は小さくなる傾向にあるが、大きな変化はない。しかし、膜厚が1nm付近まで減少すると、磁気抵抗変化率は急激に低下し、保磁力Hcも悪化する。保磁力Hcおよび磁歪λの目安値を検討3と同じ値に設定すると、膜厚tが約1.3nm以上の範囲で、保磁力Hcと磁歪λの双方が改善されている。一方、膜厚tを増加していっても、磁気抵抗変化率、保磁力Hcおよび磁歪λは大きく改善されない。そこで、膜厚低減の観点から膜厚tの上限を比較例の膜厚程度(7.2nm:表2参照)と考えると、フリー層9の膜厚tは、1.3nm≦t≦3.5nm程度の範囲にするのが望ましい(三元合金層膜厚3.5nm×2+Cu非磁性層膜厚0.2nm×1=7.2nmとなる。)。
(検討5)次に、Cu非磁性層の層数の影響を調べるため、Cu非磁性層を2層挿入した膜構成で磁気抵抗変化率等を調べた。これはCu層を挿入し、界面数を増やすことで、磁気抵抗変化率向上が期待できるためである。表9および図11A,11Bに結果を示す。なお、磁歪λは負値であるが、図11A,11Bにおいては絶対値で示す。図表中、「MR比」とは磁気抵抗変化率のことである。
Figure 2007150254
図11Aを参照すると、膜厚が小さくなると磁気抵抗変化率、保磁力Hcとも悪化する。保磁力Hcおよび磁歪λの目安値を検討3と同じ値に設定すると、膜厚tが約1.3nm以上の範囲で、保磁力Hcと磁歪λの双方が改善されている。一方、膜厚tを増加していっても、磁気抵抗変化率、保磁力Hc、および磁歪λは大きく改善されない。そこで、検討4と同様、膜厚低減の観点から膜厚tの上限を比較例の膜厚程度(7.2nm)と考えると、フリー層9の膜厚tは、1.3nm≦t≦2.3nm程度の範囲にするのが望ましい(三元合金層膜厚2.3nm×3+Cu非磁性層膜厚0.2nm×2=7.3nmとなる。)。
さらに、検討4と同様に、保磁力Hcの望ましい範囲を400A/m(約5Oe)程度以下、磁歪λを3×10-6程度以下に設定し、図11Bを参照すると、膜厚tは、これらの基準を満たす1.6nm≦t≦2.3nm程度の範囲とするのが望ましい。なかでも膜厚2nm程度が総合的に最も良好である。
(検討6)最後に、図2に示した素子構造の磁気ヘッドを試作し、孤立再生波の出力と、出力の半値幅であるPW50を測定した。膜構成と主な特性を表10に示す。表中、実施例1,2とも、検討5におけるCu非磁性層を2層挿入した膜構成とし、三元合金層の膜厚だけを変えた。実施例2は表1に示す膜構成と同一である。ジャンクションサイズは0.1×0.1μm2、Al23ギャップ膜厚は10nmとし、硬磁性層としてはCoCrPt膜(膜厚30nm)を用いた。測定時のセンス電流は、5mAとした。結果は、比較例を1として規準化して示している。
Figure 2007150254
これより、孤立再生波出力、PW50とも比較例よりも改善されたことが確認された。PW50が狭いということは、シールド間ギャップが狭くなったことを意味する。実際、SV膜のトータル膜厚は、表に示すように、比較例の40.2nmから2nm程度減少しており、その分の狭ギャップ化が図れたものと考えられる。
以上を総括し、三元合金層が特定の組成範囲で良好なMR特性および軟磁気特性を示す理由をまとめると、以下の通りと考えられる。すなわち、従来はNiFe合金層で軟磁気特性を確保し、CoFe合金層でCu層との界面散乱効果を稼ぐため、CoFe/NiFe/CoFeの積層構造としていた。しかし、CoFe/NiFe/CoFeの積層構造に代えて、ニッケルの原子分率の比率xが27%≦x≦45%である特定の低ニッケル組成を有するNiFe膜を用いることによって、軟磁気特性と磁歪の低下を最小限に留め、かつ磁気抵抗変化率を向上させることができる。CoFe層が不要になったことで軟磁気特性が改善され、さらに、低ニッケル合金層にCoを加えることで磁歪と磁気抵抗変化率とを改善することができる。低ニッケル組成化によって相対的にFeとCoの比率が増加し、バルク散乱効果が増えたことによるため、膜厚を減らしても、磁気抵抗変化率の向上が可能である。以上のことから、磁気抵抗変化率および軟磁性特性を改善しつつ、SV膜厚の減少が可能となった。
次に、上述した薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるウエハについて説明する。図12はウエハの概念的な平面図である。ウエハ1001は、少なくとも下部電極兼シールド4から上部電極兼シールド3までが積層された複数の薄膜磁気変換素子1002を含んでいる。ウエハ1001を切断することによって、薄膜磁気変換素子1002が一列に配列された複数のバー1003に分割される。バー1003は、媒体対向面を研磨加工する際の作業単位となる。バー1003は、研磨加工後さらに切断されて、薄膜磁気ヘッドを含むスライダに分離される。ウエハ1001には、バー1003およびスライダに切断するための切り代(図示せず)が設けられている。
次に、薄膜磁気ヘッドを用いたヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置について説明する。まず、図13を参照して、ヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダ210について説明する。スライダ210は、ハードディスク装置内に、回転駆動される円盤状の記録媒体であるハードディスクに対向するように配置されている。スライダ210は、ほぼ六面体形状をなす基体であり、そのうちの一面はハードディスクと対向する媒体対向面ABSとなっている。ハードディスクが図13におけるz方向に回転すると、ハードディスクとスライダ210との間を通過する空気流によって、スライダ210に、y方向下向きに揚力が生じる。スライダ210は、この揚力によってハードディスクの表面から浮上するようになっている。スライダ210の空気流出側の端部(図13における左下の端部)の近傍には、薄膜磁気ヘッド10が形成されている。
次に、図14を参照して、薄膜磁気ヘッドを備えたヘッドジンバルアセンブリ220について説明する。ヘッドジンバルアセンブリ220は、スライダ210と、スライダ210を弾性的に支持するサスペンション221とを備えている。サスペンション221は、例えばステンレス鋼によって形成された板ばね状のロードビーム222と、ロードビーム222の一端部に設けられると共にスライダ210が接合され、スライダ210に適度な自由度を与えるフレクシャ223と、ロードビーム222の他端部に設けられたベースプレート224とを有している。フレクシャ223の、スライダ210が取り付けられる部分には、スライダ210の姿勢を一定に保つためのジンバル部が設けられている。
ヘッドジンバルアセンブリ220を1つのアーム230に取り付けたものはヘッドアームアセンブリと呼ばれる。アーム230は、スライダ210をハードディスク262のトラック横断方向xに移動させる。アーム230の一端はベースプレート224に取り付けられている。アーム230の他端部には、ボイスコイルモータの一部となるコイル231が取り付けられている。アーム230の中間部には、アーム230を回動自在に支持する軸234が取り付けられた軸受け部233が設けられている。アーム230および、アーム230を駆動するボイスコイルモータは、アクチュエータを構成する。
次に、図15および図16を参照して、薄膜磁気ヘッドをヘッド素子として用いたヘッドスタックアセンブリとハードディスク装置について説明する。ヘッドスタックアセンブリとは、複数のアームを有するキャリッジの各アームにヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものである。図15はハードディスク装置の要部を示す説明図、図16はハードディスク装置の平面図である。ヘッドスタックアセンブリ250は、複数のアーム252を有するキャリッジ251を有している。各々のアーム252には、ヘッドジンバルアセンブリ220が、互いに間隔を開けて垂直方向に並ぶように取り付けられている。キャリッジ251の、アーム252の反対側には、ボイスコイルモータの一部となるコイル253が取り付けられている。ボイスコイルモータは、コイル253を挟んで対向する位置に配置された永久磁石263を有している。
図16を参照すると、ヘッドスタックアセンブリ250は、ハードディスク装置に組み込まれている。ハードディスク装置は、スピンドルモータ261に取り付けられた複数枚のハードディスク262を有している。ハードディスク262毎に、ハードディスク262を挟んで対向するように2つのスライダ210が配置されている。スライダ210を除くヘッドスタックアセンブリ250およびアクチュエータは、本発明における位置決め装置に対応し、スライダ210を支持すると共に、スライダ210をハードディスク262に対して位置決めする。スライダ210はアクチュエータによって、ハードディスク262のトラック横断方向に動かされ、ハードディスク262に対して位置決めされる。スライダ210に含まれる薄膜磁気ヘッド1は、記録ヘッドによってハードディスク262に情報を記録し、再生ヘッドによってハードディスク262に記録されている情報を再生する。
以上、本発明の磁気抵抗効果素子およびそれを用いた薄膜磁気ヘッドについて説明したが、本発明の磁気抵抗効果素子は磁気メモリ素子や磁気センサアセンブリに用いることもできる。ここで、磁気メモリ素子とは、上記に説明した磁気抵抗効果素子を複数個備え、複数の磁気抵抗効果素子に接続された配線部を有している。配線部は、複数の磁気抵抗効果素子の任意の一つに選択的に情報を書込み、または任意の一つから選択的に情報を読出す。磁気センサアセンブリは、上記の磁気抵抗効果素子が設けられた基板と、磁気抵抗効果素子に接続され、磁気抵抗効果素子で検出した外部磁界の磁気情報を出力するリード線とを有している。
本発明の磁気抵抗素子を用いた薄膜磁気ヘッドの部分斜視図である。 図1におけるA−A方向からみたCPP素子の側面図である。 磁気抵抗変化率測定に用いた素子の概略断面図である。 測定したMR曲線の一例である。 CPP-GMR素子に面内方向に電流を流した場合のMR曲線の一例である。 フリー層のNiFe層の組成だけを変化させたときの磁気抵抗変化率等への影響を示すグラフである。 Co90Fe10を用い、フリー層のNiFe層の組成を変化させたときの磁気抵抗変化率等への影響を示すグラフである。 フリー層のCoFe/NiFe/CoFeをFeリッチのNiFe層に置き換えたときの磁気抵抗変化率等への影響を示すグラフである。 NiFe層にCoを添加したときの磁気抵抗変化率等への影響を示すグラフである。 NiFe層にCoを添加したときの磁気抵抗変化率等への影響を示すグラフである。 三元合金層の膜厚の磁気抵抗変化率等への影響を示すグラフである。 Cu非磁性層を2層挿入したときの磁気抵抗変化率等への影響を示すグラフである。 Cu非磁性層を2層挿入したときの磁気抵抗変化率等への影響を示すグラフである。 薄膜磁気ヘッドの製造に係るウエハの平面図である。 薄膜磁気ヘッドを組み込んだヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダを示す斜視図である。 薄膜磁気ヘッドを組み込んだヘッドジンバルアセンブリを含むヘッドアームアセンブリを示す斜視図である。 薄膜磁気ヘッドを組み込んだハードディスク装置の要部を示す説明図である。 薄膜磁気ヘッドを組み込んだハードディスク装置の平面図である。
符号の説明
1 薄膜磁気ヘッド
2 CPP素子
3 上部電極兼シールド
4 下部電極兼シールド
5 バッファー層
6 反強磁性層
7 ピンド層
8 スペーサ層
9 フリー層
91a,91b,91c 三元合金層
92a,92b 非磁性層
10 キャップ層
11 バイアス膜
12 絶縁層
22 センス電流

Claims (13)

  1. 外部磁界に対して磁化方向が固定されたピンド層と、
    前記外部磁界に応じて磁化方向が変化するフリー層と、
    前記ピンド層と前記フリー層とに挟まれた、銅からなるスペーサ層と、
    を有し、
    前記ピンド層、前記スペーサ層、および前記フリー層の各層を膜面垂直方向にセンス電流が流れるようにされ、
    前記フリー層は、銅を主成分とする非磁性層と、該非磁性層の両側界面に設けられたコバルト・鉄・ニッケルの三元合金層と、を有し、
    前記三元合金層の、ニッケルおよび鉄の合計原子分率に対するニッケルの原子分率の比率xは27%≦x≦45%の範囲にある、
    磁気抵抗効果素子。
  2. ニッケル、鉄、およびコバルトの合計原子分率に対するコバルトの合計原子分率の比率yは42%≦y≦76%の範囲にある、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記比率yは52%≦y≦65%の範囲にある、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記フリー層は、1層の前記非磁性層と、該非磁性層の両側界面に設けられた2つの前記三元合金層とからなり、
    前記各三元合金層の膜厚tは、1.3nm≦t≦3.5nmの範囲にある、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記フリー層は、2つの前記非磁性層と、各非磁性層の両側界面に設けられた合計3つの前記三元合金層と、からなり、
    前記各三元合金層の膜厚tは、1.3nm≦t≦2.3nmの範囲にある、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記各三元合金層の膜厚tは、1.6nm≦t≦2.3nmの範囲にある、請求項5に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記フリー層は、3つ以上の前記非磁性層と、各非磁性層の両側界面に設けられた前記三元合金層とを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を備えた基体。
  9. 請求項8に記載の基体の製造に用いる、少なくとも1つの薄膜磁気変換素子が設けられたウエハ。
  10. 請求項8に記載の基体を含み、記録媒体に対向して配置されるスライダと、
    前記スライダを弾性的に支持するサスペンションと、
    を有するヘッドジンバルアセンブリ。
  11. 請求項8に記載の基体を含み、回転駆動される円盤状の記録媒体に対向して配置されるスライダと、
    前記スライダを支持するとともに、前記記録媒体に対して位置決めする位置決め装置と、
    を有するハードディスク装置。
  12. 請求項1から7のいずれか1項に記載の複数の磁気抵抗効果素子と、
    前記複数の磁気抵抗効果素子に接続され、前記複数の磁気抵抗効果素子の任意の一つに選択的に情報を書込み、または任意の一つから選択的に情報を読出す配線部と、
    を有する磁気メモリ素子。
  13. 請求項1から7のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子が設けられた基板と、
    前記磁気抵抗効果素子に接続され、該磁気抵抗効果素子で検出した前記外部磁界の磁気情報を出力するリード線と、
    を有する磁気センサアセンブリ。
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