JP2007149739A - 半導体基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ミスフィット転位による結晶欠陥の発生や亀裂の発生が抑制された結晶性の高い3C−SiC膜を備えた半導体基板およびその製造方法を提供する
【解決手段】半導体基板10は、表面が(100)面,(111)面,(110)面のいずれかの面であるMgO基板の該表面に3C−SiC膜を設けた構造を有する。この半導体基板10は、MgO基板の該表面に原子ステップを形成し(S1)、この原子ステップが形成された面にSi薄膜を成膜し(S2)、このSi薄膜13を炭化させて3C−SiC薄膜14aを形成し(S3)、3C−SiC薄膜14a上に3C−SiCをヘテロエピタキシャル成長させて、3C−SiC膜14を成膜する(S4)ことにより製造される。
【選択図】図2
【解決手段】半導体基板10は、表面が(100)面,(111)面,(110)面のいずれかの面であるMgO基板の該表面に3C−SiC膜を設けた構造を有する。この半導体基板10は、MgO基板の該表面に原子ステップを形成し(S1)、この原子ステップが形成された面にSi薄膜を成膜し(S2)、このSi薄膜13を炭化させて3C−SiC薄膜14aを形成し(S3)、3C−SiC薄膜14a上に3C−SiCをヘテロエピタキシャル成長させて、3C−SiC膜14を成膜する(S4)ことにより製造される。
【選択図】図2
Description
本発明は、高温デバイス,高耐圧電子デバイス等に応用可能なワイドギャップ半導体材料であるSiC(炭化珪素)を備えた半導体基板およびその製造方法に関する。
SiCは多数の結晶多形を持つ化合物半導体であり、そのうち、3C−SiC(立方晶炭化珪素)は、禁制帯幅が2.2eVで他の結晶多形に比べて小さいが、約1000cm2/V・sという比較的大きな電子移動度を有しているため、高温デバイスとして有望である。
3C−SiCは、昇華法や液相成長法では極めて小さな結晶しか得られない。そこで、大面積の結晶を得るために、異種基板上にヘテロエピタキシャル成長させる成膜方法が採られている。例えば、加熱されたSi基板の表面に炭化水素ガスを供給することでSi基板表面を炭化処理し、こうしてSi基板表面に化学的に薄い3C−SiC層を生成させた後、炭化水素と水素化珪素を同時に供給して3C−SiCをエピタキシャル成長させている(例えば、特許文献1参照)。
このようにして、例えば、Si(111)に3C−SiC(111)を成膜した基板は、窒化アルミニウム(AlN)や窒化ガリウム(GaN)等の六方晶基板としても有望である。このとき、3C−SiCの結晶性が高ければ、これら窒化物の結晶性も向上することがわかっている。
しかしながら、3C−SiCの熱膨張係数はSiの熱膨張係数の約1.3倍あるために、3C−SiCの結晶性を高めるためにその膜厚を厚くすると、3C−SiC膜に引張応力が働いて、亀裂が発生してしまうという問題がある。
また、Siの格子定数は0.5431nmであり、3C−SiCの格子定数は0.4358nmであるため、これらの間には約20%の開きがある。しかも、SiCはSiとCの混晶ではなく、SiとCの比に自由度はない。そのため、Siと3C−SiCとの界面での急激な格子不整合により3C−SiC膜にミスフィット転位が発生する。このミスフィット転位による結晶欠陥は、デバイス作製時に、歩留低下や特性ばらつき等を引き起こす原因となる。
特開平7−172997号公報(段落0002,0003)
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、ミスフィット転位による結晶欠陥の発生や亀裂の発生が抑制された結晶性の高い3C−SiC膜を備えた半導体基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、表面が(100)面,(111)面,(110)面のいずれかの面であるMgO基板と、前記MgO基板の該表面に設けられた3C−SiC膜と、を有することを特徴とする半導体基板が提供される。
また、本発明によれば、表面が(100)面,(111)面,(110)面のいずれかの面であるMgO基板の該表面に原子ステップを形成する工程と、前記原子ステップが形成された面にSi薄膜を成膜する工程と、前記Si薄膜を炭化させて3C−SiC薄膜を形成する工程と、前記3C−SiC薄膜上に3C−SiCをヘテロエピタキシャル成長させる工程と、を有することを特徴とする半導体基板の製造方法が提供される。
本発明によれば、3C−SiCの格子定数に近い格子定数を有するMgOを基板として用いることにより、ミスフィット転位による結晶欠陥の発生や亀裂の発生が抑制された結晶性の高い3C−SiC膜を備えた半導体基板を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1に半導体基板の概略構造を示す断面図を示す。この半導体基板10は、MgO基板12と、MgO基板12上に設けられた3C−SiC膜14とを有する。
MgO基板12の表面は、ミラー指数で(100)面,(111)面,(110)面のいずれかの面である。3C−SiC膜14は、より詳しくは後述する製造方法から明らかなように、MgO基板12表面に一時的に形成されたSi薄膜を炭化処理してなる極薄膜状3C−SiC膜の上に、ヘテロエピタキシャル3C−SiC膜を成長させた構造となっている。
次に、この半導体基板10の製造方法について説明する。図2に半導体基板10の製造工程を示すフローチャートを示す。また、図3A〜図3Dに半導体基板10の製造過程における各形態を示す。
まず、MgO基板12を準備する。通常、MgO基板12は、MgO単結晶からの切り出し、研磨という工程を経て製造されるが、その表面には研磨傷等の欠陥がある。また、MgOには潮解性があるために、その表面の結晶構造が崩れている可能性がある。そのため、このような状態では欠陥の少ないSi単結晶膜を成膜することはできない。
そこで、MgO基板12の表面に原子ステップを形成するための処理を行う(S1)。「原子ステップ」とは、一般的に知られているように、結晶表面上に存在する原子層の段差のことである。図3Aは原子ステップが形成されたMgO基板12(原子ステップは図示せず)を示している。
このS1工程は、MgO基板12を水素雰囲気中で1000℃以上1600℃以下に加熱し、所定時間保持することにより行うことができる。処理温度が1000℃未満の場合にはMgO基板12の全面に十分な原子ステップを形成することが難しく、一方、1600℃以上とすると、MgO基板12の表面が必要以上に還元されるおそれがある。
なお、S1工程で形成する原子ステップは、最終的に形成される3C−SiC膜14の性状から検討するに、シングルステップレイヤーとダブルステップレイヤーのいずれであってもよいと考えられる。
MgO基板12の表面が(111)面の場合には、欠陥の少ない3C−SiC膜を割れることなく厚膜成長させることができることが確認された。これは(111)面にはMgまたはOのいずれかの結晶面が現れるので、シングルステップレイヤーとダブルステップレイヤーのいずれであっても、次のMgO基板12の表面にSi膜を成膜するS2工程において、欠陥の少ないSi薄膜13を形成することができることによるものと考えられる。
一方、MgO基板12の表面が(100)面または(110)面の場合には、MgとOの両方が結晶面に現れるので、ダブルステップレイヤーとすることが好ましいと考えられる。しかしながら、S1工程でシングルステップレイヤーが形成されたとしても、次のS2工程において、MgO基板12の表面に極薄のSiO非晶質層が形成され、このSiO非晶質層が、MgOとSiの結晶格子のずれをキャンセルし、さらにキャリアガスとして供給される水素により還元されることによってSiのダブルステップレイヤーが形成されると推測され、これにより、最終的に欠陥の少ない3C−SiC膜14が成膜されているものと考えられる。
S1工程後、図3Bに示すように、原子ステップが形成されたMgO基板12の表面にSi薄膜13を成膜する(S2)。このS2工程は、SiH4を、水素をキャリアガスとして用い、成膜温度を800℃〜1100℃として、MgO基板12の原子ステップが形成された表面に供給することにより行うことができる。Si薄膜13の厚さは、その厚さが厚くなると結晶欠陥が発生しやすくなることや、Si薄膜13が次工程において炭化処理される際の処理効率等を考慮し、例えば、1〜10nm程度とすることが好ましい。
S2工程後、図3Cに示すように、Si薄膜13を炭化処理し、3C−SiC薄膜14aを形成する(S3)。このS3工程は、Si薄膜13を備えたMgO基板12を1000℃〜1400℃に加熱し、Si薄膜13にC3H8を供給することにより行うことができる。
S3工程後、図3Dに示すように、3C−SiC薄膜14aをヘテロエピタキシャル成長させ、これにより3C−SiC膜14を形成する(S4)。3C−SiC膜14は先に形成された3C−SiC薄膜14aを包含する。このS4工程は、Si源としてのSiH4またはSiCl2H2と、C源としてのC2H2またはC2H4を、成膜温度を1000℃〜1700℃として、MgO基板12の表面(つまり、3C−SiC薄膜14a)に供給することにより行うことができる。3C−SiC膜14の厚さはデバイス特性を考慮して設計されるが、1μm以上とすることが好ましい。
こうして製造される半導体基板10では、MgOの格子定数が0.421nmで、3C−SiCの格子定数が0.4358nmであるから、その差は約3.4%であり、この値は従来から半導体基板として汎用されているSi基板を用いる場合の差(約20%)と比較すると約1/6の大きさとなるため、3C−SiC膜14におけるミスフィット転位の発生が抑制される。また、MgOは3C−SiCに比べて熱膨張係数が大きく、そのためMgO基板12に3C−SiC膜14を成膜すると、3C−SiC膜14には引張応力が掛からず、逆に圧縮応力が掛かりやすくなる。これにより、3C−SiC膜14における亀裂の発生が抑制される。
これに対して、上述したS1〜S4工程による3C−SiC膜の成膜を、表面が(111)面であるSi基板に適用して行った場合、形成された3C−SiC膜に亀裂の発生が確認されることが多く、MgO基板を用いた場合のような性状の良好な3C−SiC膜を得ることは困難であった。
このように欠陥が少なく結晶性に優れた3C−SiC膜14を備えた半導体基板10であって、3C−SiCの(111)面を成長させたものは、AlNやGaN等の六方晶基板として有用と考えられる。なぜなら、3C−SiCの結晶性が高ければ、これら窒化物の結晶性も向上することが明らかとなっているからである。
本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
10…半導体基板、12…MgO基板、13…Si薄膜、14…3C−SiC膜、14a…3C−SiC薄膜。
Claims (6)
- 表面が(100)面,(111)面,(110)面のいずれかの面であるMgO基板と、
前記MgO基板の該表面に設けられた3C−SiC膜と、を有することを特徴とする半導体基板。 - 表面が(100)面,(111)面,(110)面のいずれかの面であるMgO基板の該表面に原子ステップを形成する工程と、
前記原子ステップが形成された面にSi薄膜を成膜する工程と、
前記Si薄膜を炭化させて3C−SiC薄膜を形成する工程と、
前記3C−SiC薄膜上に3C−SiCをヘテロエピタキシャル成長させる工程と、を有することを特徴とする半導体基板の製造方法。 - 前記原子ステップを形成する工程は、MgO基板を水素雰囲気中で1000℃以上に加熱することにより行うことを特徴とする請求項2に記載の半導体基板の製造方法。
- 前記Si薄膜を成膜する工程は、SiH4を、水素をキャリアガスとして用い、成膜温度を800℃〜1100℃とし、前記原子ステップが形成された面に供給することにより行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の半導体基板の製造方法。
- 前記Si薄膜の炭化処理は、前記MgO基板を1000℃〜1400℃に加熱し、前記Si薄膜にC3H8を供給することにより行うことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の半導体基板の製造方法。
- 前記3C−SiCをヘテロエピタキシャル成長させる工程は、Si源としてのSiH4またはSiCl2H2と、C源としてのC2H2またはC2H4を、成膜温度を1000℃〜1700℃として、前記SiC薄膜に供給することにより行うことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の半導体基板の製造方法。
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