JP2010225734A - 半導体基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性に優れかつ高強度である高品質な炭化珪素膜を低温で成長させることが可能な半導体基板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の半導体基板の製造方法は、少なくとも一面が単結晶シリコン膜で形成された基板上に炭化珪素膜を積層してなる半導体基板の製造方法であって、前記炭化珪素膜の形成工程が、炭素源としてネオペンタンガスを用い、シリコン源としてジシランガス又はトリシランガスを用いて、CVD法により、前記基板の一面に炭化珪素膜を形成することを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の半導体基板の製造方法は、少なくとも一面が単結晶シリコン膜で形成された基板上に炭化珪素膜を積層してなる半導体基板の製造方法であって、前記炭化珪素膜の形成工程が、炭素源としてネオペンタンガスを用い、シリコン源としてジシランガス又はトリシランガスを用いて、CVD法により、前記基板の一面に炭化珪素膜を形成することを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、強度や耐摩耗性が高く、MEMS等の構造材や有接点電極として期待される炭化珪素膜を備えた半導体基板の製造方法に関するものである。
炭化珪素膜は、強度が非常に高く、かつ耐摩耗性に優れているため、シリコン基板上に形成することができれば、MEMS等の構造材や有接点部の電極材料として有望である。一般にシリコンウェハ上への炭化珪素膜の形成方法としては、炭化水素等の炭素源とシラン等のシリコン源を基板上に照射する熱CVD法やプラズマCVD法で形成するのが一般的である(特許文献1参照)。
しかしながら、熱CVD法では良質な薄膜を得るためには一般に1000℃以上の高温が必要であり、耐熱性が低いデバイスに適用するのは難しかった。一方、プラズマCVD法では低温で形成できるものの(特許文献1参照)、水素やハロゲン等の不純物が混入し易く、高品質の膜を形成することが難しかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、耐摩耗性に優れかつ高強度である高品質な炭化珪素膜を低温で成長させることが可能な半導体基板の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の半導体基板の製造方法は、一面に単結晶シリコン膜を有する基板の前記一面側に炭化珪素膜を有する半導体基板の製造方法であって、炭素源およびシリコン源を用いたCVD法により前記炭化珪素膜を形成する第1の工程を含み、前記炭素源はネオペンタンガスであり、前記シリコン源はジシランガス又はトリシランガスである、ことを特徴とする。
ネオペンタン、ジシラン、トリシランは、いずれも400℃程度から熱分解を起こし、CH3ラジカルとSiH2ラジカルを放出することが知られている。CH3ラジカルとSiH2ラジカルは、550℃程度まで温度を上昇させて反応させることにより炭化珪素膜を形成する。その結果、従来よりも非常に低い温度で、耐摩耗性に優れ、かつ高強度である高品質な炭化珪素膜を成長させることができ、それにより、比較的耐熱性の低いMEMSデバイスの電極等に適用することが可能となる。
本発明の半導体基板の製造方法においては、前記CVD法は、400℃以上1100℃以下で行われることが望ましい。
このようにシリコンの溶融温度よりも低い温度で炭化珪素膜を形成することにより、シリコン原子の蒸発を確実に防止し、ボイドやミスフィット転位の少ない高品位な炭化珪素膜を形成することができる。
本発明の半導体基板の製造方法においては、前記CVD法は、圧力が1×10−4Pa以下で行われることが望ましい。
このように低い形成圧力で炭化珪素膜を成長させることにより、結晶性の向上を図ることができる。
本発明の半導体基板の製造方法においては、更に、前記第1の工程の前に、前記一面上に炭化緩衝膜を形成する第2の工程を含み、前記第2の工程は、前記一面にネオペンタガスを供給し加熱することで行うことが望ましい。
この方法によれば、低温で熱分解可能なネオペンタンを用いて炭化緩衝層を形成するため、基板の表面の荒れ(シリコン原子の蒸発に起因するもの)を防止しつつ、炭化緩衝層上に結晶欠陥の少ない炭化珪素膜を製造することができる。
本発明の半導体基板の製造方法においては、前記第2の工程は、400℃以上1100℃以下で行われることが望ましい。
このようにシリコンの溶融温度よりも低い温度で炭化緩衝層を形成することにより、シリコン原子の蒸発を確実に防止し、ボイドやミスフィット転位の少ない高品位な炭化珪素膜を形成することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
図1は、本発明の半導体基板の第1実施形態を示す断面図である。本実施形態の半導体基板10は、一面11aが単結晶シリコンで構成された基板11と、基板11の一面11aを炭化処理して形成された炭化緩衝層12と、炭化緩衝層12の一面12aに形成された炭化珪素膜13とを備えている。
基板11は、少なくとも一面11aが単結晶シリコン膜によって形成されていれば良く、シリコン基板(シリコン単結晶基板)が好適に採用されるが、ガラス、石英、プラスチック、ステンレス等からなる基体上に単結晶シリコン膜を形成したものでも良い。基板11の一面11aに露出する単結晶シリコンの結晶面は、例えば、ミラー指数(100)で表される結晶面(以下、単に(100)面と略記する。)を成すものとされるが、(100)面以外にも、(100)面に対して54.73°傾斜した(111)面であってもよい。このような単結晶シリコンの格子定数は0.543nmである。
炭化珪素膜13は、後述する炭化緩衝層12の一面12aに、熱CVD法やプラズマCVD法によって形成された炭化珪素の薄膜である。この炭化珪素膜13は、立方晶の炭化珪素(3C−SiC)から形成されている。炭化珪素膜13は強度が非常に高く、かつ耐摩耗性に優れているため、MEMS等の構造材や有接点部の電極材料として好適である。このような3C−SiCからなるエピタキシャル層13は、格子定数が0.435nmである。
炭化緩衝層12は、基板11と炭化珪素膜13との間に形成された炭化珪素(3C−SiC)の単結晶層又は多結晶層である。炭化緩衝層12は、基板11の一面11aを炭化処理することにより、炭化珪素膜13を形成する際の基板表面からのシリコン原子の脱離(蒸発)を防止すると共に、基板11(より詳しくは基板11の一面11aを構成する単結晶シリコン膜)と炭化珪素膜13との格子不整合を緩和し、炭化珪素膜13に転移欠陥が生じるのを防止する機能を有するものである。炭化緩衝層12の厚みは、少なくとも1原子層分の厚みで形成されればよく、本実施形態では2nm以上30nm以下の厚みとされている。
図2により半導体基板10の製造方法を説明することができる。図2において横軸は時間、縦軸は基板11に加える熱処理の温度を示している。
本実施形態の半導体基板10の製造方法は、基板11の一面11aに露出した単結晶シリコン膜を炭化処理し、基板11の一面11aに炭化珪素膜からなる炭化緩衝層12を形成する工程と、基板11を冷却して炭化緩衝層12の結晶性を安定させる工程と、炭化緩衝層12の一面12aに炭化珪素膜13を形成する工程と、を有する。
本実施形態の半導体基板10の製造方法では、一面11aが単結晶シリコンで構成された基板11を真空チャンバに導入し、炭化緩衝層12の原料ガス(炭素源)であるネオペンタンガスを真空チャンバ内に10sccm導入し、そのまま基板温度を上昇させて一定時間維持することにより、基板11の一面11aに炭化緩衝層12を形成する。
炭化緩衝層12は、基板11の一面11aを覆うことにより基板11からのシリコン原子の脱離(蒸発)を防止するものである。炭化緩衝層12は基板表面のシリコン原子とネオペンタンガス(より詳しくは、その分解生成物であるCH3ラジカル)とを反応させて形成されるが、炭化緩衝層12の形成温度が高くなると、基板11からのシリコン原子の脱離が促進されてしまう。また、炭化緩衝層12を形成した後には、炭化緩衝層12の結晶性を安定させるために基板11を室温付近まで冷却するが、そのとき、炭化珪素とシリコンの熱膨張係数の違いから、基板11の冷却時に新たな結晶欠陥を引き起こす惧れがある。そのため、炭化緩衝層12はなるべく低い温度で形成することが望ましい。
ここで、炭化緩衝層12の原料ガスとして用いるネオペンタン(neo−C5H12、2,2−ジメチルプロパンとも言う)は、400℃程度から熱分解を起こし、CH3ラジカルを放出することが知られている。CH3ラジカルはシリコン原子と反応して炭化緩衝層の形成に寄与する。そのため、本実施形態では、基板11をネオペンタンが熱分解可能な550℃の温度まで昇温し、基板温度550℃でネオペンタンを真空チャンバ内に導入し、そのまま基板温度を30分間維持することにより、炭化緩衝層12を形成している。こうすることで、基板11からのシリコンの脱離を最小限に抑えることができ、その結果、炭化緩衝層12上に形成される炭化珪素膜13へのボイドやミスフィット転位の発生を防止することができる。
なお、本実施形態では基板11の温度を550℃まで上昇させたが、この基板温度はネオペンタンの熱分解が促進される温度であれば良く、具体的には、400℃以上1100℃以下であれば良い。
基板11上に炭化緩衝層12を形成したら、基板11をいったん室温(25℃)まで冷却し、一定時間保持して炭化緩衝層12の結晶性を安定させる。そして、基板11を再び所定温度まで上昇させ、炭化珪素膜13の炭素源であるネオペンタンガスを5sccm、シリコン源であるジシランガスを3sccm、それぞれ真空チャンバ内に導入し、炭化緩衝層12の一面12aに炭化珪素膜13を所望の膜厚まで形成する。
基板11の温度は、原料ガスであるネオペンタンガスとジシランガスが熱分解可能な温度まで上昇される。本実施形態では、炭化緩衝層12の形成温度と同じ550℃まで上昇させるが、この基板温度は400℃以上1100℃以下であれば良い。シリコン源としてはジシランガスの他にトリシランガスを用いることもできるが、この場合も基板温度を400℃以上1100℃以下とすることで、トリシランガスが熱分解し、炭化緩衝層12上に炭化珪素膜13を形成することが可能である。
炭化珪素膜13の形成圧力は1×10−4Pa以下であることが望ましい。このように低い形成圧力で炭化珪素膜13を成長させることにより、炭化珪素膜13の結晶性の向上を図ることができる。
ネオペンタン、ジシラン又はトリシランとも400℃程度から熱分解を起こし、CH3ラジカルとSiH2ラジカルを放出することが知られている。基板温度を550℃程度まで上昇させて反応させることによりCH3ラジカルとSiH2ラジカルが反応して炭化珪素膜の形成に寄与する。その結果、550℃という低温でありながら、耐摩耗性に優れ、かつ高強度である高品質な炭化珪素膜を成長させることが可能となり、比較的耐熱性の低いMEMSデバイスの電極等に適用することができる。
また、比較的低温で熱分解するため、炭化珪素膜13を形成した後基板11を室温に戻すときに、炭化珪素膜13と基板11(より詳しくは基板表面の単結晶シリコン膜)との間の熱膨張係数の違いによって、新たな結晶欠陥を引き起こす惧れも少ない。さらに、低温で熱分解可能なネオペンタンとジシラン又はトリシランを用いて炭化緩衝層12と炭化珪素膜13を形成するため、基板11の表面の荒れ(シリコン原子の蒸発に起因するもの)を防止しつつ、炭化緩衝層12上に結晶欠陥の少ない炭化珪素膜13を製造することができる。
図3は、本発明の半導体基板の第2実施形態を示す断面図である。本実施形態の半導体基板20において第1実施形態の半導体基板10と異なる点は、基板21と炭化珪素膜23との間の炭化緩衝層を省略した点である。
半導体基板20の製造方法は、炭化緩衝層の形成工程を省略した以外は、第1実施形態の半導体基板10の製造方法と同じである。この方法では、炭化緩衝層を省略したので、炭化珪素膜23の結晶性は第1実施形態の半導体基板10より若干劣るものの、工程を一つ省略できるので、生産性が高くコストダウンが可能であるという利点がある。
もともと炭化緩衝層は、炭化珪素膜23を形成する際の高温の熱処理によって基板21からシリコン原子が脱離することを防止するものであるが、本実施形態の炭化珪素膜の形成方法では、原料ガスとして比較的低い温度で熱分解可能なネオペンタンとジシラン又はトリシランを用いているため、炭化緩衝層を形成しなくてもシリコン原子の脱離が防止され高品質な炭化珪素膜が形成される。また、MEMS等の構造材や有接点部の電極材料として用いる場合には、パワーデバイスで必要とされるほどの結晶性は必要ないため、上記の製造方法を用いても十分な品質が確保される。
10…半導体基板、11…基板、12…炭化緩衝層、13…炭化珪素膜、20…半導体基板、23…炭化珪素膜
Claims (5)
- 一面に単結晶シリコン膜を有する基板の前記一面側に炭化珪素膜を有する半導体基板の製造方法であって、
炭素源およびシリコン源を用いたCVD法により前記炭化珪素膜を形成する第1の工程を含み、
前記炭素源はネオペンタンガスであり、
前記シリコン源はジシランガス又はトリシランガスである、
ことを特徴とする半導体基板の製造方法。 - 前記CVD法は、400℃以上1100℃以下で行われることを特徴とする請求項1に記載の半導体基板の製造方法。
- 前記CVD法は、圧力が1×10−4Pa以下で行われることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
- 更に、前記第1の工程の前に、前記一面上に炭化緩衝膜を形成する第2の工程を含み、
前記第2の工程は、前記一面にネオペンタガスを供給し加熱することで行うこと、
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。 - 前記第2の工程は、400℃以上1100℃以下で行われることを特徴とする請求項4に記載の半導体基板の製造方法。
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JP2009069670A JP2010225734A (ja) | 2009-03-23 | 2009-03-23 | 半導体基板の製造方法 |
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JP2012171830A (ja) * | 2011-02-21 | 2012-09-10 | Seiko Epson Corp | 立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法 |
JP2012195493A (ja) * | 2011-03-17 | 2012-10-11 | Seiko Epson Corp | 半導体基板及び半導体基板の製造方法 |
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2009
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