JP2007147880A - 遮光羽根およびこれを用いた光路開閉装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度かつ高弾性を有する安定した品質の安価な遮光羽根がなかった。
【解決手段】光路を開閉し得る液晶ポリマーフィルムを用いた本発明による遮光羽根は、押し出し方向に沿った曲げ弾性率が6GPa以上の液晶ポリマーフィルムを用いている。また、この液晶ポリマーフィルムは、その押し出し方向に沿った曲げ弾性率が押し出し方向と直交するフィルム面に沿った方向の曲げ弾性率に対して1〜20倍の範囲にある。本発明によると、押し出し方向に裂け難く、高強度かつ高弾性率の遮光羽根を安価に安定した品質で供給することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶ポリマーフィルムを用い、カメラなどの光学機器などにおける光路を開閉するための遮光羽根およびこの遮光羽根を用いた光路開閉装置に関する。
カメラなどの光学機器の光路を開閉するシャッタや絞りなどの光路開閉装置において、シャッタ羽根や絞り羽根を構成する遮光羽根は、極めて短時間の間に光路を横切るように移動およびその停止を行う必要がある。そこで、駆動源の負荷を軽減するために遮光羽根を軽量かつ高剛性にすることが望まれる。また、これらの遮光羽根はフィルムやCCDなどの感光体に対して光を遮る必要があることから、遮光性を有すると同時に表面の反射率が低く、しかもある程度の平面性が要求される。さらに、光路開閉装置においては複数枚の遮光羽根を重ね合わせて作動させる構成となっているものが多く、相互に重なり合う接触部分の潤滑性や帯電防止性が必要となる。上述した遮光羽根の表面の平面性は、その作動時において隣り合う遮光羽根との衝突による破損を防止する上でも重要となる。
このような遮光羽根に要求される特性を満たすため、従来から種々の素材を用いたものが提案されている。例えば、特許文献1には、複数のポリエステルなどの結晶性高分子化合物のフィルム層間に、少なくとも一層の金属層を挟んで遮光手段としたカメラ用シャッタが開示されている。また、プラスチックフィルム層の間に、一層以上の黒色塗料などの塗膜層を挟んで遮光手段とすることを教示している。加えて、プラスチックフィルムの少なくとも一層に、黒色顔料あるいは黒色染料を含有させることが開示されている。特許文献2にも光学機器用プラスチック製羽根が開示されている。これは、フィルム厚が100μm程度以下、好ましくは70μm以下で10程度以上の光学濃度が得られるような組成からなる二軸延伸ポリエステルフィルムに、熱硬化性の艶消し塗料をコーティングし、さらに帯電防止材を付着させたものである。特許文献3には、基材フィルムに熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムを用い、その両面にカーボンブラック,滑材および艶消し剤を含む熱硬化性樹脂からなる層を設けて遮光性フィルムを構成することが開示されている。特許文献4にはアルミニウム合金を素材にしたカメラ用の遮光羽根が開示されている。特許文献5には炭素繊維強化熱硬化性樹脂薄板(以下、CFRPと記述する)をシャッタ羽根に適用すること、およびそのマトリックス樹脂にカーボンブラックなどを含む黒色顔料を混入することで遮光性を得ることが開示されている。さらに、特許文献6には反りの少ないCFRPが開示され、特許文献7には、CFRPが軽量,高強度,高弾性,耐衝撃性および振動減衰性を備えていることが開示されている。
特開昭57−60315号公報 特開昭57−118226号公報 特開平9−274218号公報 特開昭57−24925号公報 特開昭49−84232号公報 特開昭51−14969号公報 特開昭53−101080号公報
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記述する)を素材にした遮光羽根は、製造コストが低く、比重も軽いため、低価格領域のカメラなどで広く使用されている。しかしながら、PETは引張弾性率などの機械的強度が弱いため、走行中もしくは制動時に発生する振動や衝撃などで遮光羽根が撓んでしまう。この結果、遮光羽根相互の衝突やこれによる破損が発生しやすく、高速で走行するフォーカルプレーンシャッタなどで用いることができない。
また、アルミニウム合金などの金属を素材にした遮光羽根は、機械的強度も高く、高速のシャッタ装置に組み込むことが可能であるが、材料自体の比重が大きいことから遮光羽根自体の重量が嵩み、大きなチャージエネルギーを必要とする。さらに、走行中および制動時に発生する振動、いわゆる波打ちが非常に大きく、この波打ち状態がなかなか収まらないため、上述したPETと同様に遮光羽根相互の衝突ならびに破損の発生という問題がある。
一方、CFRPを素材とした遮光羽根は、軽量で弾性率も高く、シャッタ速度が高速であっても走行中および制動中の波打ちが非常に少なく、仮に波打ちが発生したとしても迅速に減衰してしまう特性を有する。従って、遮光羽根相互の衝突やこれによる破損の可能性がなく、非常に高い耐久性を実現することが可能である。しかしながら、CFRPはその材料自体が高価である上、その製造時の前駆体であるプリプレグシートを複数枚積層し、この積層物をプレスしたまま加熱するという非常に手間のかかる工程で製造する必要がある。また、これによって得られたシートも、炭素繊維のばらつきによる目開きなどの不良が発生しやすく、強度のばらつきや反りなどによる不良品の発生率が高い欠点を有するため、品質管理の手間が掛かることと相俟って製造コストも非常に高いものとなってしまう。
ところで、液晶ポリマー(以下、LCPと記述する場合がある)は一般の高分子物質と同様な低密度を有するエンジニアリングプラスチックとして知られている。このLCPを押し出し成形によりフィルム状に成形した場合、各ドメイン(ポリマー鎖)毎にランダムな方向を向いていた各分子が押し出し方向(以下、MD方向と記述する場合がある)に沿って向きを揃え、配向性を示すこととなる。これにより、LCPは一般の高分子物質に見られない高強度および高弾性を示す。つまり、LCPにおける高弾性の発現機構は、ドメインの成形方向への配向に依存しているため、その弾性率は異方性を示すこととなる。つまり、成形方向に沿っては高弾性率を有するものの、これと直交する成形面に沿った方向(以下、これをTD方向と記述する場合がある)の弾性率が著しく低くなる場合がほとんどである。この結果、成形方向に沿って簡単に裂けるようなLCPフィルムができてしまうことが多かった。構造材料としてLCPの使用を考慮した場合、上述したような弾性率の著しい異方性は、信頼性の欠如をもたらすと共にその実用化を困難なものとしている。
本発明は、高強度かつ軽量であって安定した品質の液晶ポリマーフィルムを用いた安価な遮光羽根およびこの遮光羽根を用いた光路開閉装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の形態は、光路を開閉し得る液晶ポリマーフィルムを用いた遮光羽根にある。この遮光羽根を構成する液晶ポリマーフィルムは、押し出し方向に沿った曲げ弾性率が6GPa以上かつこの押し出し方向に沿った曲げ弾性率が押し出し方向と直交するフィルム面に沿った方向の曲げ弾性率に対して1〜20倍の範囲にある。
本発明においては、LCPフィルムのMD方向に沿った曲げ弾性率EMがTD方向に沿った曲げ弾性率ETの20倍を越えると、TD方向の強度が弱くなりすぎてしまい、遮光羽根として使用する場合の強度が不足してしまう。また、この曲げ弾性率比EM/ET(TD方向に沿った曲げ弾性率に対するMD方向に沿った曲げ弾性率の割合)が1、つまりLCPフィルムが等方性を示す場合、LCPフィルムの全体的な機械的強度が小さくなってしまう。しかしながら、その曲げ弾性率EMが6GPa以上であれば、フォーカルプレーンシャッタなどの高速シャッタ装置の遮光羽根として使用可能である。
本発明で用いるLCPは、機械的強度を勘案すると全芳香族系LCP、特にサーモトロピックLCPと呼称されるポリエステルが好ましい。
本発明の第1の形態による遮光羽根において、遮光羽根が細長い短冊状をなす場合、その長手方向がLCPフィルムの押し出し方向とほぼ平行となるように設定することが好ましい。
LCPフィルムが充填材を添加したものであってよい。
LCPフィルムの表面に遮光性,潤滑性および帯電防止性のうちの少なくとも1つの機能を向上させるための機能向上層を形成することが有効である。
本発明の第2の形態は、本発明の第1の形態による遮光羽根を用いた光路開閉装置であって、液晶ポリマーフィルムの押し出し方向が遮光羽根の移動方向に対してほぼ直交していることを特徴とするものである。
本発明においては、長手方向に沿って高い曲げ弾性率を持つ遮光羽根により、光路開閉装置を構成する遮光羽根の長手方向に沿って進行し、その表面に対して垂直な方向に振動する横波が効率良く抑制される。
本発明の遮光羽根によると、押し出し方向に沿った曲げ弾性率が6GPa以上のLCPフィルムを用いている。しかも、この押し出し方向に沿った曲げ弾性率が押し出し方向と直交するフィルム面に沿った方向の曲げ弾性率に対して1〜20倍の範囲にあるLCPフィルムを用いているので、高弾性かつ安定した品質の遮光羽根を安価に供給することができる。
遮光羽根を細長い短冊状とし、その長手方向をLCPフィルムの押し出し方向とほぼ平行に設定した場合、遮光羽根の長手方向に沿った裂けを抑えることができる。しかも、遮光羽根の長手方向に沿った弾性率がその幅方向に沿った弾性率よりも高くなっているため、この遮光羽根の長手方向に沿って進行し、その表面に対して垂直な方向に振動する横波を効率良く抑制することが可能となる。
LCPフィルムに充填材を添加した場合、LCPの弾性率の異方性が緩和され、遮光羽根の長手方向に沿った裂けを抑えることができると共に切断面の毛羽立ちを抑えることも可能となる。しかも、軽量で高剛性かつ低コストの遮光羽根を安定した品質で提供することができる。
このような遮光羽根は、工業的見地からLCPフィルムをロール材で連続的に供給し、これをプレス加工によって所定形状に打ち抜くことにより、少ない工数にて容易かつ連続的に製造することが可能となる。また、遮光羽根に反りなどの不良が発生した場合、熱プレスにより歪を除去して簡単に修正することが可能であり、材料の歩留まりを向上させて良品率を上げることができる。
LCPフィルムの表面に遮光性,潤滑性および帯電防止性のうちの少なくとも1つの機能を向上させるための機能向上層を形成した場合、遮光性を持った機能向上層を形成することにより、所望の遮光性を得ることができる。これは、例えば遮光羽根を薄くしたことによって充分な遮光性が得られない場合に有効である。また、表面反射を極力少なくする必要がある場合には、低反射率の機能向上層を形成すれば良い。あるいは、フォーカルプレーンシャッタのように遮光羽根が相互に摺接するような場合には、潤滑性および帯電防止性の機能を持った機能向上層を形成する。これにより、遮光羽根の円滑な移動および帯電によるゴミの付着を防止することができる。
なお、CFRPを用いた従来の遮光羽根においては、プリプレグシートを作成する際にマトリックス樹脂の前駆体となる樹脂液中にカーボンブラックを添加分散させる必要がある。あるいは、カーボンブラックを高濃度に混合した樹脂液を別途用意し、これをロールコータなどを用いてプリプレグシートに圧入浸透させるという手間が必要である。しかしながら、本願発明の遮光羽根はこれらの手間が全く不要である。つまり、LCPの成形時にカーボンブラックなどの黒色顔料を分散状態で練り込むことが可能であり、従来のものよりも多くの黒色顔料を均一に混入させて遮光特性を向上させることができる。
本発明の遮光羽根を用いた光路開閉装置によると、LCPフィルムの押し出し方向が遮光羽根の移動方向に対してほぼ直交しているので、遮光羽根の長手方向に沿った弾性率がその幅方向に沿った弾性率よりも高くすることかできる。この結果、遮光羽根の長手方向に沿って進行し、かつその表面に対して垂直な方向に振動する横波を効率良く抑制できる軽量な遮光羽根を用いた光路開閉装置を実現可能である。
本発明による光路開閉装置をフォーカルプレーンシャッタに応用した一実施形態について、図1〜図3を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明はこのような実施形態のみに限らず、特許請求の範囲に記載された本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が可能であり、従って本発明の精神に帰属する他の技術にも当然応用することができる。
本実施形態によるフォーカルプレーンシャッタユニットの正面形状を図1に示し、そのII−II矢視断面構造を図2に示す。すなわち、このフォーカルプレーンシャッタユニット10は、いわゆる縦走りタイプと呼称されているものである。フォーカルプレーンシャッタユニット10は、図1中、上下方向に走行する先幕11および後幕12として相互に重なり合う複数枚(図示例ではそれぞれ5枚および4枚)の遮光羽根13,14,15,16,17,18,19,20,21を用いている。複数のスペーサ22を介して相互に平行に組み付けられた枠状のカバー板23と枠状のシャッタ地板24との間には、先幕11と後幕12とを仕切る枠状の仕切り板25が傾斜状態で組み付けられている。先幕11はカバー板23と仕切り板25との間に配され、後幕12は仕切り板25とシャッタ地板24との間に配されている。先幕11を構成する遮光羽根13〜17の長手方向一端側(図1中、左側)には、先幕支持アーム26と先幕駆動アーム27とがそれぞれピン止めされている。同様に、後幕12を構成する遮光羽根18〜21の長手方向一端側にも後幕支持アーム28と後幕駆動アーム29とがそれぞれピン止めされている。これら先幕駆動アーム27および後幕駆動アーム29は、カバー板23およびシャッタ地板24に形成された円弧状の案内溝30,31に対してそれぞれ摺動自在に係合している。そして、これらの基端部が先幕11および後幕12を開閉するための図示しない駆動源にそれぞれ連結されている。
なお、このようなフォーカルプレーンシャッタユニット10自体の具体的構成は、特開平10−186448号公報,特開2002−229097号公報,特開2003−280065号公報などで周知の通りである。
本実施形態における遮光羽根13〜21の表裏両面には、その遮光性を改善するための黒色塗料が5μmの膜厚にて塗布され、本発明における機能向上層を構成している。また、図2中、上下方向に走行する本実施形態における遮光羽根13〜21は、それぞれ細長い矩形のシート状をなし、これら遮光羽根13〜21はカーボンブラックなどの遮光剤を均一に分散混入させたLCPシートを所定形状に打ち抜いたものである。この場合、遮光羽根13〜21の長手方向(図1中、左右方向)がLCPシートの押し出し方向、つまりMD方向と合致するように設定されている。
このような構成の遮光羽根13〜21を製造するに際し、まずLCPをフィルム化する必要がある。この場合、LCPのフィルムを押出して2軸延伸できればよい。ただし、LCPの場合には押出し後の硬化が早いので、1軸または2軸の押出機を用いて環状ダイスから溶融樹脂を円筒状に押出し、冷却して巻き取るインフレーション成形法が好ましい。このインフレーション成形の場合、MD方向の曲げ弾性率EMとTD方向の曲げ弾性率ETとの割合、つまり曲げ弾性率比EM/ETを任意に制御することが可能である。これは、MD方向の延伸倍率DMに対し、気体の供給量の調整によるTD方向の延伸倍率DTを調整することによってなされる。
曲げ弾性率比EM/ETが1〜20の範囲にあるLCPフィルムは、その分子配向度、つまりSOR(Segment Orientation Ratio)が1.0〜1.5となり、本発明による遮光羽根はこの範囲内に制御される。曲げ弾性率比EM/ETが20を越えると、LCPフィルムのTD方向の強度が弱くなりすぎ、遮光羽根としての強度が不足してしまう。この結果、MD方向に沿って容易に裂けてしまうようなLCPフィルムとなる可能性が高い。また、曲げ弾性率比EM/ETが1というのは、MD方向およびTD方向における機械的強度の差が小さく、LCPフィルムがほぼ等方性の状態を示すことを表す。この場合、機械的強度の値は小さくなるが、その曲げ弾性率が6GPa以上であれば、現在広く用いられている2軸延伸PETフィルムよりも高い弾性率を示す。このため、フォーカルプレーンシャッタなどの高速シャッタ羽根にも使用することが可能である。
分子配向度(以下、SORと記述する)は、対象物の分子を構成するセグメントについての分子配向の度合いを表す指標であり、従来のMOR(Molecular Orientation Ratio)とは異なり、対象物の厚さに無関係な値である。このSORは、以下のようにして算出される。すなわち、まず周知のマイクロ波分子配向度測定機を用い、そのマイクロ波の進行方向に対してLCPフィルムの表面(フィルム面)が垂直になるように、LCPフィルムをマイクロ波共振導波管中に位置決め固定する。次いで、LCPフィルムを透過するマイクロ波の電場強度、つまりマイクロ波透過強度を測定する。そして、この測定値に基づいて次式により屈折率mと呼称される値をまず算出する。
m=(Z0/Δz)×(1−νmax/ν0)
ここで、Z0はマイクロ波分子配向度測定機に固有の装置定数,ΔzはLCPフィルムの平均膜厚である。また、νmaxはマイクロ波の振動数を変化させた場合、最大のマイクロ波透過強度を与える振動数,ν0は測定物体がない場合において最大のマイクロ波透過強度を与える振動数である。
次に、SORをm0/m90から算出する。m0は、マイクロ波の振動方向に対する測定物体の回転角が0°の場合、つまりマイクロ波の振動方向と、測定物体の分子が最もよく配向している方向かつ最小マイクロ波透過強度を与える方向とが合致している場合の屈折率である。また、m90はこれに対して回転角が90°の場合の屈折率である。
なお、曲げ弾性率比EM/ETが1よりも小さいというのは、MD方向の延伸倍率DMが小さい場合に取り得る値であり、TD方向の曲げ弾性率ETが大きなLCPフィルムを作成することができる。しかしながら、LCPフィルムの異方性を制御する方法として、MD方向の曲げ弾性率EMが大きなLCPフィルムを作成する場合と原理的に同じである上、TD方向の延伸倍率DTをせいぜい10倍程度までしか設定することができない。このため、最大となる曲げ弾性率比も2程度が現実的であり、異方性を制御し得る幅が狭く、あまり実用的な方法ではない。しかも、MD方向の延伸倍率DMが大きい場合、それ以上にTD方向の延伸倍率DTを大きくしなければならず、インフレーション成形においては不可能ではないけれども一般的とは言えない方法である。
上述したインフレーション成形は、筒状をなすフィルムを膨張させてTD方向に延伸すると同時にこれを引っ張りながらドラフトをかけてMD方向にも延伸させている。筒状フィルムの膨張は、筒状フィルムの内部に気体を圧入することによって行うことができる。この場合、必要に応じて圧入する気体の流量,圧力および温度などを筒状フィルムの膨張性を損なわない範囲で調整することが好ましい。
TD方向の延伸倍率DT、すなわちブロー比は、1.5〜10倍、好ましくは2〜8倍程度である。TD方向の延伸倍率DTが1.5倍未満の場合には延伸効果が小さく、異方性が大きくなってしまう。逆にTD方向の延伸倍率DTが10倍を越えると、筒状フィルムが破裂する場合が生ずる。一方、MD方向の延伸倍率DM、すなわちMD方向のドラフト比は1.5〜40倍、好ましくは5〜25倍程度である。MD方向の延伸倍率DMが1.5倍未満の場合、バブルと称される筒状フィルムの安定した膨張が困難であり、逆にMD方向の延伸倍率DMが40倍を越える、MD方向の配向が強くなって異方性の大きなフィルムとなってしまう。つまり、インフレーション成形においては、TD方向の延伸倍率DTとMD方向の延伸倍率DMとの比率DM/DTを制御することにより、LCPフィルムの曲げ弾性率の異方性を制御することが可能となる。
曲げ弾性率比EM/ETが1〜20の範囲に収まるLCPフィルムを得るためには、TD方向の延伸倍率DTに対するMD方向の延伸倍率DMの比、つまり延伸倍率比DM/DTが1から25の範囲に収まるように延伸させればよい。この延伸倍率比DM/DTと上述した曲げ弾性率比EM/ETとの関係を図3に模式的に示す。
延伸倍率比DM/DTが同じでも、特にTD方向の延伸倍率DTが異なると、曲げ弾性率比EM/ETが異なる場合がある。TD方向の延伸倍率DTおよびMD方向の延伸倍率DMは以下の式で表される。
DT=d/D
DM=v/V=s/S
ここで、dはインフレーションダイの環状スリットの直径,Dは膨張したバブル状の筒状フィルムの直径,Vは環状スリットからの溶融フィルムの吐出線速度,vは筒状フィルムの引取り速度,sは環状スリットの面積,Sは筒状フィルムの断面積である。
本実施形態のように、LCPフィルムをインフレーション成形した場合、原料をロール状で供給し、プレス加工により打ち抜いて遮光羽根を製造することができる。
このようにして得られたLCPフィルムは、必要に応じて熱処理が施される。この熱処理は、LCPフィルムの緊張下または無緊張下で周知の雰囲気、例えば空気,窒素,真空等の雰囲気中で室温〜熱変形温度以下の範囲に調整して行うことができる。
カーボンブラックなどの遮光材に代表される充填材をLCPフィルム中に分散させる方法も周知の方法を用いることができるが、工業的見地からすると、溶融状態のLCPに対して遮光材を混練する方法が好ましい。充填材の溶融混練を行う場合、一軸または二軸の押出し機や各種ニーダーなどに付設される一般的な混練装置を用いることができるが、特に二軸の高混練機が好ましい。この混練に際しては、充填材を予めタンブラーまたはヘンシェルミキサーのような装置で均一に混合しても良いし、このような混合処理を省き、混練装置に各充填材を別個に定量供給する方法も採用可能である。
LCPの場合、PET単独フィルムなどと比較すると、素材自体が不透明であって遮光性に優れている。つまり、PET単独の場合の光学濃度はほとんど0と見なすことができるのに対し、LCPの場合は25μmのフィルム状態で0.5程度の光学濃度を有している。しかも、上記の如きカーボンブラックをLCPに例えば2重量%添加することにより、光学濃度を6以上にすることができる。
LCPフィルムは、その厚みが50〜200μm、より好ましくは70 〜120μmの範囲となるように作成される。厚みが50μm未満の場合、遮光羽根としての機械的強度が不足する上に遮光性も低下してしまう。逆に、厚みが200μmを超えると、機械的強度は増加するものの遮光羽根自体の重量が嵩んで慣性モーメントの増加により遮光羽根として不利である。特に、これをフォーカルプレーンシャッタに採用した場合、先膜と後膜の距離が離れてしまってシャッタ効率が低下する不具合を招く。
LCPは、一般的に接着性や塗装性が悪く、接着強度が弱くなりやすい傾向を持つ。このため、LCPフィルムの表面に機能向上層を形成する場合、その形成前にコロナ放電などの周知の親水化表面処理を施した後、機能向上層を形成することが好ましい。
次に、本発明による遮光羽根13〜21の曲げ弾性率およびクロスカット試験による塗装強度を実施例1〜5として比較参考のための比較例1〜3と共に以下の表1に示す。なお、曲げ弾性率は、遮光羽根13〜21と同じ製造方法によって短辺が50mmで長辺が100mmの短冊状をなす試料を作成して行った。より具体的には、テンシロン万能試験機を用いて各試料の両端側を30mm隔てて支持し、その中央部に4mmの変位を加えた時の荷重から求めている。この場合、試料の長辺を押し出し方向と平行に設定した。
また、実施例1〜5および比較例1〜3にて得られる遮光羽根13〜21を図1,図2に示すフォーカルプレーンシャッタユニット10の先幕11および後幕12として組み込み、光源から2万ルクスの明るさの光を照射した場合の光線漏れの評価を行った。さらに、常温常湿にて1/8000秒のシャッタ速度にて15万回の開閉試験を行い、その耐久性を調べた。これらの結果を併せて表1に示す。
原料は、上野製薬株式会社製の UENO LCP8000 にカーボンブラックを2重量%混入したものである。押出機は、インフレーションダイを備えたLCP用のものであり、その押出シリンダの温度を250℃に設定すると共に円筒ダイの温度を270℃に設定した。押出機の円筒ダイから溶融状態の原料を上方へ押出し、これによって形成される筒状フィルムの中空部に乾燥空気を圧送し、筒状フィルムを膨張させ、次いで冷却してニップロールに通し、平均膜厚が75μmでSORが1.20の黒色LCPフィルムを巻き取った。この場合、MD方向のドラフト比を20に調整すると共にTD方向のブロー比を5に調整して延伸倍率比DM/DTが4となるように制御した。さらに、ロール状に巻き取られた黒色LCPフィルムを空気雰囲気中でコロナ放電処理を行った後、黒色塗料をその表裏両面に5μmの厚さで塗布してこれを所定寸法に切り出し、試料とした。
MD方向のドラフト比を15に調整すると共にTD方向のブロー比を5に調整して延伸倍率比DM/DTが3となるように制御した以外は、実施例1と同様である。得られる黒色LCPフィルムの平均膜厚は75μmであるが、SORは1.15であった。
MD方向のドラフト比を5に調整すると共にTD方向のブロー比を5に調整して延伸倍率比DM/DTが1となるように制御した以外は、実施例1と同じである。この場合、黒色LCPフィルムのSORは1.01となった。
MD方向のドラフト比を30に調整すると共にTD方向のブロー比を2.5に調整して延伸倍率比DM/DTが12となるように制御した以外は、実施例1と同じである。得られた黒色LCPフィルムのSORは1.28であった。
MD方向のドラフト比が37.5に調整すると共にTD方向のブロー比を1.5に調整して延伸倍率比DM/DTが25となるように制御した以外は、実施例1と同様である。この場合、黒色LCPフィルムのSORは1.43であった。
(比較例1)
原料は実施例1と同じものである。押出機は株式会社テクノベル製の KZW15-30MG2 を使用し、押出シリンダの温度を250℃に設定すると共にTダイの温度を270℃に設定した。そして、ダイ幅が120mmでダイギャップを1mmに設定したTダイから下方へ溶融原料を押出し、厚さが75μmでSORが1.5の黒色LCPフィルムを作成した。この黒色LCPフィルムにコロナ放電処理を行わずに黒色塗料をその表裏両面に5μmの厚さで塗布したものを試料とした。
(比較例2)
従来の遮光羽根の原料として用いられている25μm厚のCFRPのプリプレグ(ブラックプリプレグ使用せず)を3枚用した。そして、これらの炭素繊維方向が0°/90°/0°となるように積層し、この状態にて熱プレスを用いてまず10分間加圧せずに120℃で予熱した。しかる後、加熱温度を130℃に上げ、この状態にて5kg/cm2の圧力で120分間加圧し、3層構造の積層体を作成してこれを試料とした。なお、この場合の曲げ弾性率は、0°がMD方向に対応し、90°がTD方向に相当する。
(比較例3)
PETにカーボンブラックを2重量%練り混んだものを原料とした。これを2軸押出し機によって2軸延伸し、厚さ75μmのPETフィルムを作成し、これを試料とした。なお、この場合の押出しシリンダの温度を260℃,Tダイの温度を270〜275℃に設定し、延伸倍率を縦方向および横方向共に3〜4倍に設定した。
Figure 2007147880
光線漏れにおいて「なし」というのは、光線漏れがほとんど起こらないことを示しており、本発明による遮光羽根13〜21は、充分な遮光性を有していることが確認できた。比較例2の場合、カーボンブラックを含浸させていないため、遮光性の点で問題が生じた。
耐久性において、比較例1,3の場合の「破損」というのは押出成形時の材料の流動方向に沿って亀裂が入ったことを示している。この耐久性に関して本発明の遮光羽根13〜21は、従来品と同等以上の性能を有することが確認できた。
塗装強度において、表面親水化処理を行っていない比較例3の場合の「剥離発生」というのは、クロスカット部から機能向上層である塗膜が剥離したことを示している。
本発明による光路開閉装置をフォーカルプレーンシャッタに応用した一実施形態の外観を表す正面図である。 図1中のII−II矢視断面図である。 インフレーション成形で作成したLCPフィルムのTD方向に対するMD方向の延伸倍率比と、そのTD方向の弾性率に対するMD方向の弾性率比との関係を表すグラフである。
符号の説明
10 フォーカルプレーンシャッタユニット
11 先幕
12 後幕
13〜21 遮光羽根
22 スペーサ
23 カバー板
24 シャッタ地板
25 仕切り板
26 先幕支持アーム
27 先幕駆動アーム
28 後幕支持アーム
29 後幕駆動アーム
30,31 案内溝

Claims (5)

  1. 光路を開閉し得る液晶ポリマーフィルムを用いた遮光羽根であって、前記液晶ポリマーフィルムは、その押し出し方向に沿った曲げ弾性率が6GPa以上かつこの押し出し方向に沿った曲げ弾性率が押し出し方向と直交するフィルム面に沿った方向の曲げ弾性率に対して1〜20倍の範囲にあることを特徴とする遮光羽根。
  2. 遮光羽根が細長い短冊状をなし、その長手方向が液晶ポリマーフィルムの押し出し方向とほぼ平行となるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の遮光羽根。
  3. 前記液晶ポリマーフィルムには充填材が添加されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遮光羽根。
  4. 前記液晶ポリマーフィルムの表面には遮光性,潤滑性および帯電防止性のうちの少なくとも1つの機能を向上させるための機能向上層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の遮光羽根。
  5. 請求項1から請求項4の何れかに記載の遮光羽根を用いた光路開閉装置であって、液晶ポリマーフィルムの押し出し方向が遮光羽根の移動方向に対してほぼ直交していることを特徴とする光路開閉装置。
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