JP2007141459A - 分岐用電線保持具および分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電線保持具に布線された分岐部を持ち上げることなく、簡易な操作によりクリップの固定と同時に結束バンドの締め付けが可能な分岐用電線保持具およびワイヤハーネスの製造方法を提供する。
【解決手段】略T字状の分岐部Aに対し、クリップ保持部20に保持されたクリップの挿通孔に結束バンドの先端側を挿入すると共に、案内溝16a、16bに沿って一方の支線側腕部13Aへ向けて順次挿入し、突出した結束バンドの先端部を基端部の係止部に挿通して締め付け、同様に他の結束バンドをクリップの挿通孔から他方の支線側腕部13Bへ向けて順次挿入して締め付けることで略T字状の分岐部Aにおける幹線に対し各結束バンドをクリップに向けて略V字状に締め付け固定すると共に、幹線の側面部にクリップを固定するようにしている。
【選択図】図1
【解決手段】略T字状の分岐部Aに対し、クリップ保持部20に保持されたクリップの挿通孔に結束バンドの先端側を挿入すると共に、案内溝16a、16bに沿って一方の支線側腕部13Aへ向けて順次挿入し、突出した結束バンドの先端部を基端部の係止部に挿通して締め付け、同様に他の結束バンドをクリップの挿通孔から他方の支線側腕部13Bへ向けて順次挿入して締め付けることで略T字状の分岐部Aにおける幹線に対し各結束バンドをクリップに向けて略V字状に締め付け固定すると共に、幹線の側面部にクリップを固定するようにしている。
【選択図】図1
Description
本発明は、分岐用電線保持具および分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法に関し、詳しくは、略T字状に分岐するワイヤハーネスの分岐部に対し、簡易な操作によりクリップと共に結束バンドを締め付け固定可能とするものである。
従来、自動車に配索されるワイヤハーネスには幹線から支線が分岐している箇所が多数存在し、この分岐位置がずれないように電線群にテープを巻き付けて結束している。この分岐部の結束は、ワイヤハーネス組立作業台に立設した電線保持具に電線束を布線した状態で行っている。これら電線束を結束する粘着テープは、幹線から支線が分岐する位置では、電線保持具の支持棒の間に電線束が保持されている状態では支持棒が邪魔となって粘着テープを電線束に巻き付けることができない。
そのため、電線保持具を下降させて電線束を電線保持具から外した状態で粘着テープを巻き付けている。このように、分岐部における粘着テープの巻き付け作業は熟練を要し、作業者の熟練度合いによって結束状態にバラツキが発生しやすく、かつ、ワイヤハーネスには分岐位置が多いために作業時間がかかるという問題がある。また、分岐部に粘着テープを巻き付ける際に電線束を電線保持具から取り出すため、粘着テープを巻き付ける分岐位置にずれが発生しやすく、分岐部の位置精度が低下するという問題もある。
そのため、電線保持具を下降させて電線束を電線保持具から外した状態で粘着テープを巻き付けている。このように、分岐部における粘着テープの巻き付け作業は熟練を要し、作業者の熟練度合いによって結束状態にバラツキが発生しやすく、かつ、ワイヤハーネスには分岐位置が多いために作業時間がかかるという問題がある。また、分岐部に粘着テープを巻き付ける際に電線束を電線保持具から取り出すため、粘着テープを巻き付ける分岐位置にずれが発生しやすく、分岐部の位置精度が低下するという問題もある。
そこで、本出願人は、テープ巻きに代えて汎用の結束バンドで分岐部を結束固定する分岐部結束方法を特開2005−27463号(特許文献1)で提供している。この結束方法では、図9(A)(B)に示すように、先ずワイヤハーネスの組立作業台1上に立設した電線保持具2を通して電線を布線し、この電線保持具2の上部に設けた電線保持棒2a、2b、2cの間を通して幹線Waより支線WbをT字状に分岐させている。次いで、電線束Wに対して、分岐部Pの電線束Wを電線保持具2から取り出さない状態で、一対の結束バンド3A、3Bを支線Wbの両側で幹線Waに巻き付ける。しかる後、結束バンド3A、3Bの先端側を交叉させ、他方の結束バンド3A、3Bの基部に設けた係止部3a、3bにそれぞれ挿入して係止させ、電線束Wの分岐点Pに対応する位置で結束バンド3A、3Bをたすき掛け状態に交叉させて締結している。なお、結束バンド3A、3Bは両者の基部を一定間隔に保持するための別体の補助部材4に挿通しておくことで作業性の向上を図っている。
また、分岐点Pにクリップ5を固定する場合には、図9(C)に示すように、クリップ5を有する別体の補助部材6を両方の結束バンド3A、3Bに挿通して保持させることで分岐点P付近にクリップ5を固定することができる。
また、分岐点Pにクリップ5を固定する場合には、図9(C)に示すように、クリップ5を有する別体の補助部材6を両方の結束バンド3A、3Bに挿通して保持させることで分岐点P付近にクリップ5を固定することができる。
上記のように、図9(A)(B)に示す方法によれば、電線保持具2に保持された状態の電線束Wの分岐点Pに対し、その保持状態を維持しつつ汎用の結束バンド3A、3Bを用いて結束することができる。しかしながら、分岐点Pに対し結束バンド3A、3Bを巻回するには電線保持棒2a、2b、2cを巻き込まないように注意しながら電線保持棒2a、2b、2cの内側で巻き付け作業をする必要があり、支線Wbを中心方向に寄せて結束バンド3A、3Bを挿入するスペースを確保しながらの作業になるため、その作業手順が複雑となり、更に締め付け位置の高精度の位置決めも困難である等の問題がある。
また、T字状の分岐形態においては、支線Wbの基部が膨らむと、車体へのワイヤハーネスの取付時に他部材に干渉したり、配索される電線に余長が生じたりするため、支線Wbの基部両側に近接した位置を結束バンド3A、3Bで結束するのが好ましい。このため、従来例においては、補助部材4を用いて結束作業時における結束バンド3A、3Bの間隔位置が拡がらないようにしているが、別部材を要するためコスト高になると共に、結束バンド3A、3Bを予め補助部材4に挿通しておかなければならないという問題がある。
更に、図9(C)に示す方法によれば、分岐点P付近にクリップ5を取り付けることもできるが、この場合、別体の補助部品6を別途必要とすると共に、分岐点Pの中心位置にクリップ5を取り付けることができれば、ワイヤハーネスを車体へ取り付ける場合、少ないポイントでワイヤハーネスを安定良く固定することが可能となるが、上記方法ではクリップ5の取付位置の位置決め手段がないので、分岐点に正確に合致する位置にクリップを取り付けるのが困難であるという問題がある。
また、T字状の分岐形態においては、支線Wbの基部が膨らむと、車体へのワイヤハーネスの取付時に他部材に干渉したり、配索される電線に余長が生じたりするため、支線Wbの基部両側に近接した位置を結束バンド3A、3Bで結束するのが好ましい。このため、従来例においては、補助部材4を用いて結束作業時における結束バンド3A、3Bの間隔位置が拡がらないようにしているが、別部材を要するためコスト高になると共に、結束バンド3A、3Bを予め補助部材4に挿通しておかなければならないという問題がある。
更に、図9(C)に示す方法によれば、分岐点P付近にクリップ5を取り付けることもできるが、この場合、別体の補助部品6を別途必要とすると共に、分岐点Pの中心位置にクリップ5を取り付けることができれば、ワイヤハーネスを車体へ取り付ける場合、少ないポイントでワイヤハーネスを安定良く固定することが可能となるが、上記方法ではクリップ5の取付位置の位置決め手段がないので、分岐点に正確に合致する位置にクリップを取り付けるのが困難であるという問題がある。
本発明は上記した問題に鑑みてなされたもので、熟練を要することなく簡易な操作により電線保持具に保持された状態における略T字状の分岐部に対し、汎用の結束バンドとクリップを用いて所定の結束位置に対し高精度に位置決めされた状態で結束可能な分岐用電線保持具および分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するため、本発明では、幹線の途中から該幹線に対し略直角方向に支線を分岐させることで略T字状に分岐する分岐部の電線束を保持するための電線受部と、該電線受部をワイヤハーネスの組立作業台上に立設するための支柱とからなる分岐用電線保持具であって、
前記電線受部は分岐点における前記支線の両側にそれぞれ配置した支線側腕部と、幹線を挟んで前記支線側腕部に対向して配置した幹線側腕部とを備え、該幹線側腕部と前記各支線側腕部との間の隙間部分を分岐部における幹線支持部とすると共に前記支線腕部間の隙間部分を支線支持部とし、前記幹線側腕部には幹線支持部に支持される幹線の側面に固定すべきクリップを嵌合保持可能なクリップ保持部を設け、該クリップ保持部から前記各支線側腕部の内面にわたって結束バンドをU字状に屈曲しながら案内する案内溝をそれぞれ形成し、該案内溝は前記幹線支持部に支持される幹線の電線束に干渉しないように幹線の下方を通過すると共に、前記クリッブ部に保持すべきクリップの挿通孔を通過する案内軌道に沿って形成していることを特徴とする分岐用電線保持具を提供している。
前記電線受部は分岐点における前記支線の両側にそれぞれ配置した支線側腕部と、幹線を挟んで前記支線側腕部に対向して配置した幹線側腕部とを備え、該幹線側腕部と前記各支線側腕部との間の隙間部分を分岐部における幹線支持部とすると共に前記支線腕部間の隙間部分を支線支持部とし、前記幹線側腕部には幹線支持部に支持される幹線の側面に固定すべきクリップを嵌合保持可能なクリップ保持部を設け、該クリップ保持部から前記各支線側腕部の内面にわたって結束バンドをU字状に屈曲しながら案内する案内溝をそれぞれ形成し、該案内溝は前記幹線支持部に支持される幹線の電線束に干渉しないように幹線の下方を通過すると共に、前記クリッブ部に保持すべきクリップの挿通孔を通過する案内軌道に沿って形成していることを特徴とする分岐用電線保持具を提供している。
このようにすれば、電線受部の各腕部間の支持部によって略T字状の分岐形態に保持された電線束に対し、幹線の所定位置に取り付けるべきクリップを配置して位置決めしておくことができ、このクリップの挿通孔から各支線側腕部の案内溝の軌道に沿って結束バンドを挿入するのみで、クリップの挿通孔を通した状態で各結束バンドを配置することができる。よって、各結束バンドを締め付けると同時にクリップを分岐点の所定位置に対し精度よく位置決め固定することができる。
また、前記クリップ保持部は前記幹線支持部に支持される幹線の取り出し方向に対応する方向に沿ってクリップを着脱可能に案内するガイド部を備えている。
このように構成すれば、クリップをガイド部に沿って装着するのみで、クリップを取付けるべき所定位置に対しクリップを精度良く嵌合保持しておくことができると共に、結束バンドによる締め付け固定後の電線束の取り出し時には、電線束に固定されたクリップを電線束と共に円滑に電線受部から取り外すことができる。
このように構成すれば、クリップをガイド部に沿って装着するのみで、クリップを取付けるべき所定位置に対しクリップを精度良く嵌合保持しておくことができると共に、結束バンドによる締め付け固定後の電線束の取り出し時には、電線束に固定されたクリップを電線束と共に円滑に電線受部から取り外すことができる。
また、前記クリップ保持部は前記幹線支持部に支持される幹線に対し前記クリップを所定位置に固定するためにクリップにおける皿部の両側部および下部の位置を規制する位置決め部を備えている。
このようにすれば、クリップにおける皿部に対し幅方向と高さ方向の位置決め固定がなされるため、作業中におけるクリップの位置ズレを防止して、クリップの位置決め精度を向上することができる。
このようにすれば、クリップにおける皿部に対し幅方向と高さ方向の位置決め固定がなされるため、作業中におけるクリップの位置ズレを防止して、クリップの位置決め精度を向上することができる。
また、他の発明では、前記分岐用電線保持具を用いて、分岐部を有するワイヤハーネスを製造するに際し、前記クリップ保持部にクリップを嵌合保持した後、前記電線受部の幹線支持部に沿って電線を布線すると共に、布線される電線の一部を支線支持部側へ分岐させるようにして略T字状の分岐部を構成し、
次いで、クリップ保持部に保持されたクリップの挿通孔に結束バンドの先端側を挿入すると共に、前記案内溝に沿って一方の支線側腕部へ向けて順次挿入し、該支線側腕部から突出した結束バンドの先端部を基端部の係止部に挿通して締め付け、同様に他の結束バンドを前記クリップの挿通孔から他方の支線側腕部へ向けて順次挿入し、該支線側腕部から突出した結束バンドの先端部を基端部の係止部に挿通して締め付けることで略T字状の分岐部における幹線に対し各結束バンドを前記クリップに向けて略V字状に締め付け固定すると共に、前記幹線の側面部に前記クリップを固定するようにしたことを特徴とする分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法を提供している。
次いで、クリップ保持部に保持されたクリップの挿通孔に結束バンドの先端側を挿入すると共に、前記案内溝に沿って一方の支線側腕部へ向けて順次挿入し、該支線側腕部から突出した結束バンドの先端部を基端部の係止部に挿通して締め付け、同様に他の結束バンドを前記クリップの挿通孔から他方の支線側腕部へ向けて順次挿入し、該支線側腕部から突出した結束バンドの先端部を基端部の係止部に挿通して締め付けることで略T字状の分岐部における幹線に対し各結束バンドを前記クリップに向けて略V字状に締め付け固定すると共に、前記幹線の側面部に前記クリップを固定するようにしたことを特徴とする分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法を提供している。
このようにすれば、幹線側腕部に設けたクリップ保持部に予めクリップを嵌合配置しておくのみで、配置されたクリップの挿通孔を通して布線された支線の両側に配置された各支線側腕部に対し、案内溝に沿って結束バンドを挿通して締め付け操作すると同時に電線受部に保持された電線束の分岐点に対し精度良くクリップを位置決め固定することができる。また、結束バンドは略T字状の分岐部に対し、クリップを中心とした略V字状に締め付け固定されるため、略T字状の分岐形態が膨らんだり、クリップがズレたりすることがない。よって、電線受部に電線束を保持した状態のまま分岐部の所要位置に対しクリップおよび結束バンドを容易かつ確実に締め付け固定することができる。
以上の説明より明らかなように、本発明の分岐用電線保持具によれば、ワイヤハーネスの分岐部として電線受部に、略T字状の分岐形態で保持された電線束に対し、汎用のクリップを所定位置に位置決めした状態で、分岐部の結束とクリップの固定を兼ねた結束バンドを所定の軌道に沿って案内することができる。よって、電線保持具から電線束を取り外すことなく、かつ汎用のクリップおよび結束バンドを用いて、簡易な操作により分岐部に対しクリップおよび結束バンドを正確に配置することができる。
また、分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法によれば、略T字状に支持された分岐部に対し、結束バンドによる締め付けと同時にクリップを幹線の所定位置に正確に位置決め固定することができると共に、その作業性を向上することができる。
また、分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法によれば、略T字状に支持された分岐部に対し、結束バンドによる締め付けと同時にクリップを幹線の所定位置に正確に位置決め固定することができると共に、その作業性を向上することができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1〜図8は分岐用の電線保持具の実施形態を示し、この電線保持具10は、ワイヤハーネスの組立工程において、幹線Waの途中からこの幹線Waに対し略直角方向に支線Wbを分岐させることで略T字状に分岐する電線束の分岐部Aを保持すると共に、分岐部Aの幹線Waに結束される結束バンドB1、B2とクリップCを配置するために用いられる。電線保持具10は、布線される電線束を受け入れて保持する合成樹脂製の電線受部11を上端に備えた金属製の支柱12と、この支柱12をワイヤハーネスの組立作業台Tの所定位置に取付固定するためのボルト・ナットからなる取付部18とから構成している。
図1〜図8は分岐用の電線保持具の実施形態を示し、この電線保持具10は、ワイヤハーネスの組立工程において、幹線Waの途中からこの幹線Waに対し略直角方向に支線Wbを分岐させることで略T字状に分岐する電線束の分岐部Aを保持すると共に、分岐部Aの幹線Waに結束される結束バンドB1、B2とクリップCを配置するために用いられる。電線保持具10は、布線される電線束を受け入れて保持する合成樹脂製の電線受部11を上端に備えた金属製の支柱12と、この支柱12をワイヤハーネスの組立作業台Tの所定位置に取付固定するためのボルト・ナットからなる取付部18とから構成している。
電線受部11は、ワイヤハーネスの分岐部Aに布線される電線束を所要方向に案内するために分岐点Pに対応する基部11aの中心位置に対し支線Wb側に偏在すると共に布線される支線Wbの両側に立設して配置される2本の支線側腕部13A、13Bと、布線される幹線Waを挟んで各支線側腕部13A、13Bに対向する位置に立設して配置される幹線側腕部13Cとを備えている。そして、対向する支線側腕部13A、13Bと幹線側腕部13Cとの間によって構成される溝状の隙間部分を、分岐部Aにおいて布線される幹線Waを受け入れて支持する幹線支持部14A、14Bとすると共に、支線側腕部13A、13Bの間によって構成される溝状の隙間部分を支線支持部14Cとしている。幹線側腕部13Cは幅広に形成され、その中央部にはクリップCを嵌合保持するためのクリップ保持部20を設けている。
これら幹線支持部14A、14B、支線支持部14Cの基端部14a、14b、14cは、布線される幹線Waおよび支線Wbの高さ方向の支持位置を規制する部分としている。なお、電線受部11は支柱12に対し着脱して各種形状のものに対応することができるように支柱12の上端に形成した雄ネジ部12aに対応する雌ネジ部15を備えている。
ここで、本発明で用いられる汎用のクリップCは、図3(A)〜(C)に示すように、後述の結束バンドB1、B2が重ねて挿通される挿通孔Caを形成した台部Cbと、車体の係止孔に嵌合して係止するための係止爪Ccが突設された固定部Cdと、台部Cbと固定部Cdとの中間部に形成された皿部Ceとから構成されている。また、汎用の結束バンドB1、B2は、図4(A)〜(C)に示すように、ワイヤハーネスの分岐部Aにおける幹線Waの外周対し、支線Wbの基部両側からクリップCの取付位置に向かって略V字状に結束するのに十分な長さのバンド本体部Baと、一端に設けた係止部Bbとからなっている。バンド本体部Baの内面には係止部Bbの係止爪Bcに係止してラッチ機構を構成するための係止溝Bdを備えている。
クリップ保持部20は、図2(A)〜(C)に示すように、幹線側腕部13Cの中央部に形成され、上下方向、即ち電線受部11に対する電線束の着脱方向に対応する方向に対応してクリップCを着脱可能とするとガイド部21と、所定位置にクリップCを位置決めして保持する位置決め部22とから構成している。ガイド部21は、幹線側腕部13Cの中央上端部から下方の基部へ向かって開口した開口部21aからなっている。開口部21aはクリップCの台部Cbと固定部Cdの幅寸法に対応して案内可能な幅に設定している。この開口部21aは、クリップ保持部20に保持されたクリップCの挿通孔Caに対し、結束バンドB1、B2の先端を挿通する際の作業用の開口としての機能も有している。開口部21aの両側面にはクリップCの皿部Ceの幅および厚さに対応して皿部Ceを内外両側から挟持状に上下スライド可能に案内するためのガイド溝21bを形成すると共に、ガイド溝21bの外面側にはクリップCを下部に保持するに充分な領域を残して上端から略半分の領域にわたって開口させることで窓部21cを形成している。この窓部21cを形成した領域ではクリップCの皿部Ceは、外方側の保持がフリーとなってクリップCのガイド溝21bへの装着に際し操作性を向上させることができる。
位置決め部22は、クリップ保持部20に保持されたクリップCを幹線Waの側面に対する中心位置に位置決めするため、開口部21aの下端において両側のガイド溝21bに継続して形成されクリップCの皿部Ceの下部側を当接支持して上下方向の位置を規制する段部22aと、幅方向の位置を規制するガイド溝21bとから構成している。
支線側腕部13A、13Bと幹線側腕部13Cの内面部には、クリップ保持部20の下方から各支線側腕部13A、13Bの内面にわたって結束バンドB1、B2をU字状に屈曲しながら案内する案内溝16a、16bをそれぞれ形成している。この案内溝16a、16bはクリップ保持部20に保持されたクリップCの挿通孔Caを起点として両側の支線側腕部13A、13Bに向けて結束バンドB1、B2を平面視略V字状に案内するようにしている。案内溝16a、16bは、案内すべき結束バンドB1、B2の幅寸法に略対応すると共に厚さ寸法より深く形成した断面凹状に形成している。
また、案内溝16a、16bは電線保持具10に保持された幹線Waおよび支線Wbの外周に干渉することがないように、その外周より外側下方を通過する軌道に沿って形成されている。即ち、幹線Waおよび支線Wbを支持する幹線支持部14A、14Bおよび支線支持部14Cの基端部14a、14b、14cの高さ位置より、結束バンドB1、B2の案内溝16a、16bの下端位置が下方になる寸法設定としている。
案内溝16a、16bが形成された各支線側腕部13A、13Bは、図2(A)に示すように、平面から見て案内溝16a、16bの案内軌道が幹線側腕部13Cのクリップ保持部20の中心に向かって略V字状となるように内方へ傾斜した状態で配置されている。このように配置することで、分岐部Aに結束バンドB1、B2を締め付けるに際し、各結束バンドB1、B2が幹線Waから支線Wbへの屈曲ポイントに対し食い込むように案内することができ、これによりクリップCを中心とする略V字状の安定した締め付け状態を確保することができる。
案内溝16a、16bが形成された各支線側腕部13A、13Bは、図2(A)に示すように、平面から見て案内溝16a、16bの案内軌道が幹線側腕部13Cのクリップ保持部20の中心に向かって略V字状となるように内方へ傾斜した状態で配置されている。このように配置することで、分岐部Aに結束バンドB1、B2を締め付けるに際し、各結束バンドB1、B2が幹線Waから支線Wbへの屈曲ポイントに対し食い込むように案内することができ、これによりクリップCを中心とする略V字状の安定した締め付け状態を確保することができる。
次に、上記構成からなる電線保持具10を用いて略T字状の3方向に分岐する分岐部Aを有するワイヤハーネスの製造工程について説明する。
先ず、ワイヤハーネスの組立作業台T上の布線経路に沿って立設されたU字状の通常の電線受具(図示せず)に沿って電線を布線するに際し、分岐点Pに対応する位置には、分岐用の電線保持具10を立設しておき、図5(A)(B)に示すように、電線受部11のクリップ保持部20に対し、クリップCを台部Cbが内側、固定部Cdが外側を向き、挿通孔Caが上下方向を向くようにして装着する。その際、クリップCの台部Cbをガイド部21の開口部21aに挿入すると共に、皿部Ceを窓部21c側からガイド溝21bに沿わせるようにして上端部から下方の位置決め部22へ向かってクリップCを挿入する。すると、クリップCは窓部21cを通過した途中位置から皿部Ceの両端部の内外両面と両側面が挟持された状態で保持されながら更に下方へ移動し、位置決め部22の段部22aに皿部Ceの下部が当接した時点で所定位置に嵌合保持される。
先ず、ワイヤハーネスの組立作業台T上の布線経路に沿って立設されたU字状の通常の電線受具(図示せず)に沿って電線を布線するに際し、分岐点Pに対応する位置には、分岐用の電線保持具10を立設しておき、図5(A)(B)に示すように、電線受部11のクリップ保持部20に対し、クリップCを台部Cbが内側、固定部Cdが外側を向き、挿通孔Caが上下方向を向くようにして装着する。その際、クリップCの台部Cbをガイド部21の開口部21aに挿入すると共に、皿部Ceを窓部21c側からガイド溝21bに沿わせるようにして上端部から下方の位置決め部22へ向かってクリップCを挿入する。すると、クリップCは窓部21cを通過した途中位置から皿部Ceの両端部の内外両面と両側面が挟持された状態で保持されながら更に下方へ移動し、位置決め部22の段部22aに皿部Ceの下部が当接した時点で所定位置に嵌合保持される。
そして、図6(A)(B)に示すように、幹線Waを幹線支持部14A、14Bにわたって係止するようにして直線方向に布線すると共に、幹線Waから分岐すべき支線Wbを分岐点Pにおいて幹線Waに対し略直角方向に向けて布線し、支線支持部14Cにそれぞれ係止する。このようにして、幹線Waに対し支線Wbが略T字状に分岐する分岐部Aが構成される。
次いで、図7(A)に示すように、クリップ保持部20に保持されたクリップCの挿通孔Caに一方の結束バンドB1の先端側を挿入すると共に、案内溝16aに沿って一方の支線側腕部13Aへ向けて結束バンドB1を順次挿入する。次いで、図7(B)に示すように、支線側腕部13Aの上端部から突出した結束バンドB1の先端部を、図8(A)に示すように、基端部の係止部Bbに挿通して締め付け固定する。次いで、同様に他の結束バンドB2をクリップCの挿通孔Caを通して他方の支線側腕部13Bへ向けて順次挿入し、突出した先端部を係止部Bbに挿入して締め付け固定する。なお、締め付けた結束バンドB1、B2は、必要に応じて引張り切断用の工具を用いて更に締め付けを強化すると共に、余剰の先端部を切断処理している。このようにして、図8(B)に示すように、分岐部Aの幹線Waに対し支線Wbの両側から中心位置に配置したクリップCの挿通孔Caに向けて略V字状に結束バンドB1、B2を締め付け固定すると同時に、クリップCを幹線Waの側面中央部の所定位置に精度良く取付けることができる。このため、結束バンドB1の締め付けによって、支線Wbの基部の膨らみを抑えて設計通りの分岐経路とすることができ、車体への取付時における他部材との干渉およびワイヤハーネスを構成する電線に余長が発生するのを防止できる。また、電線保持具10から幹線Waおよび支線Wbを持ち上げることなく、幹線支持部14A、14Bおよび支線支持部14Cに支持させた状態で分岐部Aに対し結束バンドB1、B2を定位置に配置して締め付け操作することができる。
以上のように、分岐用の電線保持具10を用いることで、汎用のクリップCおよび結束バンドB1、B2を用い、かつ、それぞれの結束バンドB1、B2の独立した通常の締め付け操作により分岐部Aを構成する幹線Waに対し、結束バンドB1、B2を締め付けて分岐部Aの形態を整えると同時に幹線Waの側面中央部の所定位置にクリップCを固定することができる。更に、結束バンドB1、B2による締め付け操作までの間、電線保持具10に布線された幹線Waおよび支線Wbは、幹線支持部14A、14Bおよび支線支持部14Cに支持したままで、持ち上げる必要がないので、電線束が引っ張られることによる分岐点Pの位置ズレを生じることもなく、簡易な操作により分岐点Pに対する位置決め精度のよい分岐部Aを有するワイヤハーネスを製造することができる。
また、ワイヤハーネスの組立完了に伴う電線受部11からの電線束の取り出しに際しては、電線保持具10の立設方向に沿った上方への取り出し操作に追随してクリップCをガイド溝21bに沿って無理なくクリップ保持部20から取り外すことができる。
また、ワイヤハーネスの組立完了に伴う電線受部11からの電線束の取り出しに際しては、電線保持具10の立設方向に沿った上方への取り出し操作に追随してクリップCをガイド溝21bに沿って無理なくクリップ保持部20から取り外すことができる。
なお、上記実施形態において電線受部の材質としては、結束バンドの挿入操作時の滑りのよい合成樹脂製を用いた例を示したが、金属製等他の材質を用いてもよい。上記実施形態では、2本の結束バンドを案内溝16a、16bに対し1本ずつ挿入して締め付け固定する手順を示したが、2本を各腕部に挿入してからそれぞれの締め付け操作を行うようにしてもよい。また、上記実施形態では電線受部を支柱に対し着脱交換可能な例を示したが、一体のものであってもよい。
10 電線保持具
11 電線受部
12 支柱
13A、13B 支線側腕部
13C 幹線側腕部
14A、14B 幹線支持部
14C 支線支持部
16a、16b 案内溝
20クリップ保持部
21 ガイド部
21b ガイド溝
22 位置決め部
A 分岐部
B1、B2 結束バンド
Bb 係止部
C クリップ
Ca 挿通孔
Ce 皿部
Wa 幹線
Wb 支線
P 分岐点
11 電線受部
12 支柱
13A、13B 支線側腕部
13C 幹線側腕部
14A、14B 幹線支持部
14C 支線支持部
16a、16b 案内溝
20クリップ保持部
21 ガイド部
21b ガイド溝
22 位置決め部
A 分岐部
B1、B2 結束バンド
Bb 係止部
C クリップ
Ca 挿通孔
Ce 皿部
Wa 幹線
Wb 支線
P 分岐点
Claims (4)
- 幹線の途中から該幹線に対し略直角方向に支線を分岐させることで略T字状に分岐する分岐部の電線束を保持するための電線受部と、該電線受部をワイヤハーネスの組立作業台上に立設するための支柱とからなる分岐用電線保持具であって、
前記電線受部は分岐点における前記支線の両側にそれぞれ配置した支線側腕部と、幹線を挟んで前記支線側腕部に対向して配置した幹線側腕部とを備え、該幹線側腕部と前記各支線側腕部との間の隙間部分を分岐部における幹線支持部とすると共に前記支線腕部間の隙間部分を支線支持部とし、前記幹線側腕部には幹線支持部に支持される幹線の側面に固定すべきクリップを嵌合保持可能なクリップ保持部を設け、該クリップ保持部から前記各支線側腕部の内面にわたって結束バンドをU字状に屈曲しながら案内する案内溝をそれぞれ形成し、該案内溝は前記幹線支持部に支持される幹線の電線束に干渉しないように幹線の下方を通過すると共に、前記クリッブ部に保持すべきクリップの挿通孔を通過する案内軌道に沿って形成していることを特徴とする分岐用電線保持具。 - 前記クリップ保持部は前記幹線支持部に支持される幹線の取り出し方向に対応する方向に沿ってクリップを着脱可能に案内するガイド部を備えている請求項1に記載の分岐用電線保持具。
- 前記クリップ保持部は前記幹線支持部に支持される幹線に対し前記クリップを所定位置に固定するためにクリップにおける皿部の両側部および下部の位置を規制する位置決め部を備えている請求項1または請求項2に記載の分岐用電線保持具。
- 前記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の分岐用電線保持具を用いた分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法であって、
前記クリップ保持部にクリップを嵌合保持した後、前記電線受部の幹線支持部に沿って電線を布線すると共に、布線される電線の一部を支線支持部側へ分岐させるようにして略T字状の分岐部を構成し、
次いで、クリップ保持部に保持されたクリップの挿通孔に結束バンドの先端側を挿入すると共に、前記案内溝に沿って一方の支線側腕部へ向けて順次挿入し、該支線側腕部から突出した結束バンドの先端部を基端部の係止部に挿通して締め付け、同様に他の結束バンドを前記クリップの挿通孔から他方の支線側腕部へ向けて順次挿入し、該支線側腕部から突出した結束バンドの先端部を基端部の係止部に挿通して締め付けることで略T字状の分岐部における幹線に対し各結束バンドを前記クリップに向けて略V字状に締め付け固定すると共に、前記幹線の側面部に前記クリップを固定するようにしたことを特徴とする分岐部を有するワイヤハーネスの製造方法。
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