JP2007140068A - 位相差板、位相差板の製造方法、液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】配向膜と、該配向膜上に設けられた、少なくとも一種の液晶性化合物を含む光学異方性層とを有し、前記配向膜が、ESCA測定によって得られるC−O結合を有する炭素原子に由来するピークの強度(A)とC=O結合を有する炭素原子に由来するピークの強度(B)との比率(B/A)が、0.25以下である表面状態を有する、位相差板。
【選択図】 なし
Description
(1)配向膜と、該配向膜上に設けられた、少なくとも一種の液晶性化合物を含む光学異方性層とを有し、前記配向膜が、ESCA測定によって得られるC−O結合を有する炭素原子に由来するピークの強度(A)とC=O結合を有する炭素原子に由来するピークの強度(B)との比率(B/A)が、0.25以下である表面状態を有する、位相差板。
(2)前記液晶性化合物が、下記一般式(DI)で表される化合物である、(1)に記載の位相差板。
一般式(DI)
一般式(DI−A)
一般式(DI−B)
R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、下記一般式(DI−R)を表し;
一般式(DI−R)
*−(−L21−F1)n1−L22−L23−Q1
(一般式(DI−R)中、*は一般式(DI)中のH1、H2またはH3に結合する位置を表し;L21は単結合または二価の連結基を表し;F1は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の環状連結基を表し;n1は0〜4の整数を表し;L22は*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−NH−、*−SO2−、*−CH2−、*−CH=CH−または*−C≡C−を表し(ここで、*はL23と反対の側に結合する位置を表す);L23は−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し;上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよく;Q1は重合性基または水素原子を表す。)
(3)前記光学異方性層が、下記一般式(I)で表される重合性化合物の少なくとも一種をさらに含有する、(1)または(2)に記載の位相差板。
一般式(I)
(4)前記一般式(I)で表される重合性化合物が、下記一般式(II)で表される重合性化合物である、(3)に記載の位相差板。
一般式(II)
(5)前記配向膜は、一般式(T)で表されるポリマーを用いてなる、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の位相差板。
一般式(T)
(6)配向膜にラビング処理を施す工程を含む、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の位相差板の製造方法。
(7)配向膜の表面の、ESCA測定によって得られるC−O結合を有する炭素原子に由来するピークの強度(A)とC=O結合を有する炭素原子に由来するピークの強度(B)との比率(B/A)を0.25以下となるようにする工程を含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の位相差板の製造方法。
(8)配向膜と、該配向膜上に設けられた液晶性化合物を含む光学異方性層とを有する、位相差板の前記配向膜の表面の、ESCA測定によって得られるC−O結合を有する炭素原子に由来するピークの強度(A)とC=O結合を有する炭素原子に由来するピークの強度(B)との比率(B/A)を0.25以下とする工程を含む、位相差板における液晶性化合物の配向欠陥を減少させる方法。
(9)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の位相差板を用いた液晶表示装置。
まず、本明細書における、Re(λ)、Rth(λ)、チルト角および平均チルト角の詳細について以下に記す。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、それぞれ、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
本手法では算出を容易にすべく、下記の2点を仮定し、光学異方性層の2つの界面におけるチルト角とする。
1.光学異方性層はディスコティック液晶性化合物や棒状液晶性化合物を含む層で構成された多層体と仮定する。さらに、それを構成する最小単位の層(ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物のチルト角は該層内において一様と仮定)は光学的に一軸と仮定する。
2.各層のチルト角は光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化すると仮定する。
(1)各層のチルト角が光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化する面内で、光学異方性層への測定光の入射角を変化させ、3つ以上の測定角でレターデーション値を測定する。測定および計算を簡便にするためには、光学異方性層に対する法線方向を0°とし、−40°、0°、+40°の3つの測定角でレターデーション値を測定することが好ましい。このような測定は、KOBRA−21ADHおよびKOBRA−WR(王子計測器(株)製)、透過型のエリプソメーターAEP−100((株)島津製作所製)、M150およびM520(日本分光(株)製)、ABR10A(ユニオプト(株)製)で行うことができる。
(2)上記のモデルにおいて、各層の常光の屈折率をno、異常光の屈折率をne(neは各々すべての層において同じ値、noも同様とする)、および多層体全体の厚みをdとする。さらに各層におけるチルト方向とその層の一軸の光軸方向とは一致するとの仮定の元に、光学異方性層のレターデーション値の角度依存性の計算が測定値に一致するように、光学異方性層の一方の面におけるチルト角θ1および他方の面のチルト角θ2を変数としてフィッティングを行い、θ1およびθ2を算出する。
ここで、noおよびneは文献値、カタログ値等の既知の値を用いることができる。値が未知の場合はアッベ屈折計を用いて測定することもできる。光学異方性層の厚みは、光学干渉膜厚計、走査型電子顕微鏡の断面写真等により測定数することができる。
1.液晶性化合物由来の光学異方性層
本発明の位相差板は、配向膜上に液晶性化合物組成物由来の光学異方性層を有する。以下に本発明の位相差板に用いられる、棒状液晶性化合物およびディスコティック液晶性化合物、更にこれら液晶性化合物が配向固定化された光学異方性層を形成するための各種添加剤(例えば、光重合開始剤、増感剤、配向制御剤等)の詳細を記す。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物の他、高分子液晶性化合物も用いることができる。
Q51−L51−Cy51−L52−(Cy52−L53)n−Cy53−L54−Q52
(一般式(V)中、Q51およびQ52はそれぞれ独立に重合性基であり、L51およびL54はそれぞれ独立に二価の連結基であり、L52およびL53はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基であり、Cy51、Cy52およびCy53はそれぞれ独立に二価の環状基であり、nは0、1または2である。)
L51およびL54の例を以下に示す。ここで、左側がQ51またはQ52に、右側がCy51またはCy53に結合する。
L−2:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−
L−3:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−4:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−
L−5:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−O−
L−6:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−O−CO−
L−7:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−8:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−9:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
L−10:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−
L−11:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−O−
L−12:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−O−CO−
L−13:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−14:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−15:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
L−16:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−
L−17:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−18:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−19:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−20:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−21:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
アルキレン基は分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は1〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素原子数は2〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素原子数は2〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることが好ましい。
環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基およびナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1〜5のアルキル基、炭素原子数が1〜5のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1〜5のアルコキシ基、炭素原子数が1〜5のアルキルチオ基、炭素原子数が2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数が2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜6のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2〜6のアシルアミノ基が含まれる。
本発明における、ディスコティック液晶性化合物としては、公知の文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されているものを採用できる。ディスコティック液晶性化合物の重合については、例えば、特開平8−27284公報に記載のものを採用できる。ディスコティック液晶性化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性化合物のディスコティックコアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、ディスコティックコアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる場合がある。そこで、ディスコティックコアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物は、下記一般式(VI)で表わされる化合物であることが好ましい。
D(−M−P)n6
(一般式(VI)中、Dはディスコティックコアであり;Mは二価の連結基であり;Pは重合性基であり;そして、n6は4〜12の整数である。一般式(VI)のディスコティックコア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、MP(またはPM)は、二価の連結基(M)と重合性基(P)との組み合わせを意味する。
M1:−AL−CO−O−AL−
M2:−AL−CO−O−AL−O−
M3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
M4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
M5:−CO−AR−O−AL−
M6:−CO−AR−O−AL−O−
M7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
M8:−CO−NH−AL−
M9:−NH−AL−O−
M10:−NH−AL−O−CO−
M12:−O−AL−O−
M13:−O−AL−O−CO−
M14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
M15:−O−AL−S−AL−
M16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
M17:−O−CO−AR−O−AL−CO−
M18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
M19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
M20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
M21:−S−AL−
M22:−S−AL−O−
M23:−S−AL−O−CO−
M24:−S−AL−S−AL−
M25:−S−AR−AL−
一般式(VI)において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、ディスコティックコア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のMとPの組み合わせは、それぞれ、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。二種類以上のディスコティック液晶性化合物(例えば、二価の連結基に不斉炭素原子を有する分子と有していない分子)を併用してもよい。
本発明に用いられるディスコティック液晶として、さらに一般式(DI)表される化合物が挙げられる。
一般式(DI−R)
*−(−L21−F1)n1−L22−L23−Q1
L21は単結合または二価の連結基である。L21が二価の連結基の場合、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−および−C≡C−、ならびに、それらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数1〜7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
X3は酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表す。X3としては、酸素原子であることが好ましい。
一般式(DIII)
Y41、Y42およびY43は、いずれもメチンであることがより好ましく、メチンは無置換であることが最も好ましい。
(3)−1 光重合開始剤、および、増感剤
液晶性化合物は、配向状態を維持して固定することが好ましく、固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基(例えば、一般式(VI)で表すところのP)の重合反応により実施することが好ましい。固定化には所望の光学異方性の発現と安定化が目的であり、その結果、液晶性が失われる事は何ら差し支えない。そのためには、前記塗布液中には、重合開始剤を含有させるのが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応、光重合開始剤を用いる光重合反応(光硬化)、および電子線を用いるEB硬化が含まれる。このうち、光重合反応およびEB硬化が好ましい。光の作用によりラジカルを発生させる重合開始剤としては、α−カルボニル化合物(例えば、米国特許2367661号、同2367670号の各明細書に記載のもの)、アシロインエーテル(例えば、米国特許2448828号明細書に記載のもの)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(例えば、米国特許2722512号明細書に記載のもの)、多核キノン化合物(例えば、米国特許3046127号、同2951758号の各明細書に記載のもの)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(例えば、米国特許3549367号明細書に記載のもの)、アクリジンおよびフェナジン化合物(例えば、特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書に記載のもの)、オキサジアゾール化合物(例えば、米国特許4212970号明細書に記載のもの)、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物およびチオキサントン系化合物等が好ましい。
アセトフェノン系化合物としては、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン等が好ましい例として挙げられる。
ベンジル系化合物としては、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が好ましい例として挙げられる。
ベンゾインエーテル系化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が好ましい例として挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーズケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン等が好ましい例として挙げられる。
チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が好ましい例として挙げられる。
このような芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤の中でも、アセトフェノン系化合物およびベンジル系化合物が、硬化特性、保存安定性、臭気等の面で特に好ましい。
また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン等が含まれる。
液晶性化合物の重合のための光照射は紫外線を用いることが好ましい。
これら液晶性化合物組成物由来の層は、液晶性化合物、および所望により重合性開始剤や他の添加剤を含む液晶性化合物塗布液を塗布し、液晶性化合物を配向、固定化することで形成することができる。液晶性化合物を配向および固定化した後は、支持体を剥離してもよい。すなわち、本発明の位相差板は、支持体を有することを必須の要件としない。
液晶性化合物塗布液中には、上述のとおり、重合開始剤以外にも適宜添加剤を添加してもよい。例えば、可塑剤、モノマー、界面活性剤、セルロースエステル、配向制御剤およびカイラル剤等が挙げられる。
以下、配向制御剤について詳細に説明する。
本発明における配向制御剤とは、液晶性化合物塗布液に添加され、塗布後に液晶性化合物の層の表面、つまり、空気界面側に偏在することによって、空気界面側での液晶性化合物の配向を制御するのに寄与する化合物を意味する。この配向制御剤の構造によっては、液晶性化合物を空気界面側で略垂直に配向させたり、逆に略水平に配向させることもできるが、本発明においては、例えば、ディスコティック液晶性化合物を空気界面側で略垂直に配向させる添加剤が好ましく用いられる。ディスコティック液晶性化合物の分子をその様に配向させ得る添加剤としては、特開2000−344734号公報等に記載の下記一般式(VII)で表されるような化合物を例示することができる。
一般式(VII)
(Hb−)mL(−Bu)n
一般式(VII)中、Hbは、炭素原子数が1〜40のフッ素置換アルキル基、炭素原子数が6〜40のフッ素置換アリール基、炭素原子数が6〜60のアルキル基および炭素原子数が1〜60のアルキル置換オリゴシロキサノキシ基からなる群より選ばれる疎水性基であり、Buは少なくとも二つの環状構造を含む排除体積効果を有する基であり、Lは(m+n)価の連結基であり、mおよびnはそれぞれ独立に、1〜12の整数である。
ポリテトラメチレンオキシド
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリメラミン
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,2−ブチレン グリコール)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレン アジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
ポリ(3−ヒドロキシブチリックアシッド)
一般式(II)
一般式(II)中、R301とR302は結合して環を形成してもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基が好ましい。
アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の直鎖状、分枝状、または環状のアルケニル基が好ましい。
アリール基の具体例としては、1〜4個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と不飽和五員環とが縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としてはフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基、ピレニル基等が挙げられる。
また、これらの置換基は、可能であるならば置換基同士、または置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよい。
また、一般式(II)中のX1およびZは、それぞれ、一般式(I)中のX1およびZと同義であり、好ましい範囲も同義である。
以下に一般式(I)で表される好ましい重合性化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の位相差板は、例えば、支持体上に形成され、且つ、配向性が付与された配向膜上に液晶性化合物由来の層を形成する工程を含む。このような方法としては、液晶性化合物を可溶できる溶媒に溶解して調製した液晶性化合物塗布液を、配向膜上に塗布して、液晶性化合物塗布層とする方法が挙げられる。また、可能であれば蒸着により同様の層を形成してもよいが、塗布により形成する方法が好ましい。塗布方法としてはカーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーテティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。次いで、25℃〜130℃において用いた溶媒を乾燥すると同時に、液晶性化合物を配向させ、更に、所望により紫外線照射等によって固定化することによって、液晶性化合物由来の光学異方性層が形成される。重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。このようにして形成された光学異方性層の厚さは、用途に応じて、例えば、最適なレターデーションの値に応じて、その好ましい範囲も異なる。
次に本発明に用いられる配向膜について以下に説明する。
本発明に用いられる配向膜は下記一般式(T)で表されるポリビニールアルコール類を含んで成ることが好ましい。
水酸基の含率が高いポリビニルアルコール類を用いることにより、配向膜全体の水酸基の含率を高くすることができる。すなわち、一般式(T)において、aの値が高くb、cの値が低くなることが好ましい。この場合、好ましくは90≦a≦100、0≦b≦10、0≦c≦10であり、より好ましくは95≦a≦100、0≦b≦5、0≦c≦5であり、さらに好ましくは98≦a≦100、0≦b≦2、0≦c≦2である。
比較的低ケン化度のポリビニルアルコール類(ビニルアルコール単位の含量が低い)を用いることによっても、十分にラビング処理を施すことにより、B/Aが本発明の要件を満たすような表面状態とすることができる。この場合の各構造単位の好ましい組成は、50≦a≦100、0≦b≦50、0≦c≦50であり、より好ましくは、60≦a≦100、0≦b≦40、0≦c≦40であり、特に好ましくは70≦a≦100、0≦b≦30、0≦c≦30である。
本発明における配向膜用ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させてもよい。架橋剤の例には、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。また、二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒドが好ましく、グルタルアルデヒドがより好ましい。
位相差板は、支持体を有していてもよく、該支持体は、透明支持体であるのが好ましい。前記支持体は、主に、光学的等方性で、光透過率が80%以上であれば、特に材料の制限はないが、ポリマーフィルムが好ましい。ポリマーの具体例として、セルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、ノルボルネン系ポリマー類、ポリ(メタ)アクリレートエステル類のフィルムなどを挙げることができ、多くの市販のポリマーを好適に用いることが可能である。このうち、光学性能の観点からセルロースエステル類が好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下脂肪酸で、炭素原子数は、2、3、4であることが好ましい。具体的には、セルロースアセテート、セルロースプロピオネートまたはセルロースブチレートが挙げられる。この中でも、セルローストリアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても、例えば、国際公開第00/26705号パンフレットに記載の分子を修飾することで該発現性を低下させたもの等も用いることができる。
セルロースエステルとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。特に酢化度が57.0〜62.0%であることが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
セルロースエステルでは、セルロースの2位、3位、6位の水酸基が全体の置換度の1/3ずつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。セルロースの6位水酸基の置換度が、2位、3位に比べて多いほうが好ましい。全体の置換度に対して6位の水酸基が30%〜40%の割合でアシル基によって置換されていることが好ましく、31%以上がアシル基によって置換されていることがより好ましく、32%以上がアシル基によって置換されていることがさらに好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素原子数3以上のアシル基(例えば、プロピオニル基、ブチリル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基)で置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求める事ができる。6位水酸基の置換度が高いセルロースエステルは、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、段落番号0051〜0052に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
ここでいう芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環の他、芳香族性ヘテロ環を含む趣旨である。
ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、 2〜6頁、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されている。
劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量を0.01質量%以上とすることにより、劣化防止剤の効果がより発揮されやすい傾向にある。また、添加量を1質量%以下とすることにより、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)をより少なくできる傾向にある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤は、特開平7−11056号公報に記載のものを採用できる。
以下、アルカリ鹸化処理を例に、具体的に説明する。
アルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられる。水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましく、0.5〜2.0Nの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温(例えば、25℃)〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
セルロースアセテートフィルムの厚さは、5〜500μmの範囲が好ましく、20〜250μmの範囲がより好ましく、30〜180μmの範囲がさらに好ましく、30〜110μmの範囲が最も好ましい。
本発明の位相差板と偏光膜を積層することによって楕円偏光板を作製することができる。本発明の位相差板を利用することにより、液晶表示装置の視野角を拡大し得る楕円偏光板を提供することができる。前記偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
本発明の位相差板は、液晶表示装置の視野角の拡大に寄与する。液晶表示装置は、通常、液晶セル、偏光板および位相差板(光学補償シート)を有する。前記偏光板は、一般に偏光膜と保護膜からなり、偏光膜と保護膜については、上記楕円偏光で説明したものを用いることができる。TNモードの液晶セル用位相差板(光学補償シート)は、例えば、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、ドイツ特許公報3911620A1号の各明細書の記載に従って作製することができる。また、IPSモードまたはFDCモードの液晶セル用位相差板は、例えば、特開平10−54982号公報の記載に従って作製することができる。さらに、OCBモードまたはHANモードの液晶セル用位相差板は、例えば、米国特許5805253号明細書および国際公開WO96/37804号公報の記載に従って作製することができる。さらにまた、STNモードの液晶セル用位相差板は、例えば、特開平9−26572号公報の記載に従って作製することができる。そして、VAモードの液晶セル用位相差板は、例えば、特許登録第2866372号公報の記載に従って作製することができる。
下記スキームに従って合成した。
3−シアノ安息香酸クロライド2.5gをテトラヒドロフラン(THF)20mlに溶解させ、3−クロロ−1−プロパノール1.3ml、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)3.0mlを添加後、室温で1時間撹拌した。反応液に水を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を減圧濃縮した。残渣をメタノール(MeOH)100mlに溶解させ、50%ヒドロキシルアミン溶液2.8mlを添加後、40℃で1時間撹拌した。冷却後、反応液に水を加え、析出した結晶を濾別、乾燥し、D3−10Aを3.4g得た。
3.4gのD3−10Aをジメチルアセトアミド(DMAc)10mlに溶解させ、ピリジン(Pyridine)1.2ml、トリメシン酸クロライド1.2gを添加後、120℃で1時間撹拌した。冷却後、メタノールを添加し、析出した結晶を濾取して乾燥し、3.9gのD3−10Bを得た。
3.9gのD3−10Bをジメチルアセトアミド50mlに溶解させ、炭酸カリウム3.7g、ヨウ化ナトリウム2.0g、アクリル酸1.9mlを添加後、100℃で3時間撹拌した。反応液に水を加え、析出した結晶をろ過により濾取した。カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、3.0gのD3−10を得た。得られたD3−10のNMRスペクトルは以下の通りであった。
以下のスキームに従って、配向膜用ポリマー(P−4)を合成した。
[透明支持体の作製]
下記に示すセルロースアセテート溶液組成の各成分をミキシングタンクに投入し、加熱攪拌して、セルロースアセテート溶液(以下、ドープと呼ぶことがある)を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアセテート溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート 6.5質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 5.2質量部
下記のレターデーション上昇剤(1) 0.1質量部
下記のレターデーション上昇剤(2) 0.2質量部
メチレンクロライド 310.25質量部
メタノール 54.75質量部
1−ブタノール 10.95質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記透明支持体の上に、下記の組成の第1下塗り層塗布液を28mD/m2塗布し、乾燥して、第1下塗り層を形成した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第1下塗り層塗布液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ゼラチン 5.44質量部
ホルムアルデヒド 1.38質量部
サリチル酸 1.62質量部
アセトン 391質量部
メタノール 158質量部
メチレンクロライド 406質量部
水 12質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第1下塗り層の上に、下記の組成の第2下塗り層塗布液を7mD/m2塗布し、乾燥して、第2下塗り層を形成した。
第2下塗り層塗布液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記のアニオン性ポリマー 0.77質量部
クエン酸モノエチルエステル 10.1質量部
アセトン 200質量部
メタノール 877質量部
水 40.5質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
透明支持体の反対側の面に、下記の組成のバック層塗布液を25mD/m2塗布し、乾燥して、バック層を形成した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
バック層塗布液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
酢化度55%のセルロースジアセテート 6.56質量部
シリカ系マット剤(平均粒子サイズ:1μm) 0.65質量部
アセトン 679質量部
メタノール 104質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(1)配向膜(AF1)の形成(本発明)
上記一般式(T)で表されるポリマーの例であるP−1に相当するポリマーとして、PVA103(ポリビニルアルコール、クラレ製)とグルタルアルデヒド(前記PVA103に対して5質量%)を水/メタノール混合液に、4質量%となるように希釈し、配向膜塗布液を調液した。該配向膜塗布液を、上記透明支持体(幅150mm、長さ200mに裁断したもの)の第2下塗り層の表面に塗布して、配向膜塗布層を形成した。該配向膜塗布層を120℃で2分間加熱して、乾燥し、厚さ1μmの膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向(搬送方向)にラビング処理を実施した。ラビング処理は金属筒表面にレーヨンを貼り付けたラビングローラー(直径65mm)を用い、下記条件の下でラビング処理を実施し、AF1の配向膜を得た。
ラビング布とフィルム面との距離(d):*mm
ラビングローラー回転数:1000rpm
支持体搬送速度:0.3m/min
上記AF1において用いる配向膜用ポリマー、添加剤、ラビング布とフィルム面との距離(d)を表3のように変えた以外はAF1と同様に行い、AF2〜18の配向膜を得た。
AF1において用いる配向膜用ポリマー、添加剤、ラビング布とフィルム面との距離(d)を表3のように変えた以外はAF1と同様に行い、AF19〜21の配向膜を得た。尚、表3中、PVA505は、(株)クラレ製ポリビニルアルコール(ケン化度72.5〜74.5mol%)を示している。
得られたAF1〜21の配向膜の表面組成を決定すべく、ESCA測定を行った。C−O結合を形成している炭素原子に由来するピーク(287.5eV)の強度AとC=O結合を形成している炭素原子に由来するピーク(290.5eV)の強度Bとの比、つまりB/Aの値を表3に併記した。なお、測定にはKRATOS ANALYTICAL社製ESCAを用い、以下の条件で測定した。
X線源:MgKα
加速電圧:12kV
電流値:12mA
パスエネルギー:75eV
(1)棒状液晶性分子組成物層の形成
上記のように形成した配向膜の上に、下記の組成の塗布液(RL−1)をバーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を80℃で30秒間加熱して、棒状液晶性分子を配向させた。その温度で10秒間、600mj/cm2の紫外線を照射し、棒状液晶性分子を重合させ、配向状態を固定した。このようにして棒状液晶性分子組成物由来の層を形成した。この層の厚みは約80nmであった。
───────────────────────────────────
棒状液晶性分子組成物層の塗布液組成
───────────────────────────────────
下記の棒状液晶性化合物 V−1 14.4質量%
下記の増感剤 0.14質量%
下記の光重合開始剤 0.42質量%
メチルエチルケトン 85.04質量%
───────────────────────────────────
上記のように形成した配向膜の上に、下記の組成の塗布液(RL−2)をバーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を125℃で1分間加熱して、ディスコティック液晶性分子を配向させた。その温度で4秒間、600mj/cm2の紫外線を照射してディスコティック液晶性分子を重合させ、配向状態を固定した。このようにして光学異方性層(厚み1.5μm)を形成た。
───────────────────────────────────
ディスコティック液晶性分子(VI−1)組成物層の塗布液組成−1
───────────────────────────────────
下記のディスコティック液晶性化合物 VI−1 14.5質量%
下記の増感剤 0.15質量%
下記の光重合開始剤 0.45質量%
下記の配向制御剤 D−5 0.10質量%
メチルエチルケトン 84.8質量%
───────────────────────────────────
上記のように形成した配向膜の上に、下記の組成の塗布液(RL−3)を、バーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を125℃で1分間加熱して、ディスコティック液晶性分子を配向させた。その温度で4秒間、600mj/cm2の紫外線を照射してディスコティック液晶性分子を重合させ、配向状態を固定した。このようにして光学異方性層(厚み1.5μm)を形成した。
───────────────────────────────────
ディスコティック液晶性分子(VI−1)組成物層の塗布液組成−2
───────────────────────────────────
上記のディスコティック液晶性化合物 VI−1 14.5質量%
上記の増感剤 0.15質量%
上記の光重合開始剤 0.45質量%
上記の配向制御剤 D−5 0.10質量%
例示化合物 I−6(密着性改良添加剤) 0.07質量%
メチルエチルケトン 84.73質量%
───────────────────────────────────
ラビング処理を行った配向膜の上に、下記の組成の塗布液(RL−4)を、バーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を120℃で1分間加熱して、ディスコティック液晶性分子を配向させた。その温度で4秒間、600mj/cm2の紫外線を照射してディスコティック液晶性分子を重合させ、配向状態を固定した。このようにして光学異方性層(厚み1.0μm)を形成し、本発明の位相差板を作製した。
───────────────────────────────────
ディスコティック液晶性分子(D3−10)組成物層の塗布液組成−1
───────────────────────────────────
・例示化合物 D3−10 14.13質量%
・イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))
0.42質量%
・ジエチルチオキサントン(重合開始剤) 0.14質量%
・メチルエチルケトン 85.3質量%
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ラビング処理を行った配向膜の上に、下記の組成の塗布液(RL−5)をバーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を120℃で1分間加熱して、ディスコティック液晶性分子を配向させた。その温度で4秒間、600mj/cm2の紫外線を照射してディスコティック液晶性分子を重合させ、配向状態を固定した。このようにして光学異方性層(厚み1.0μm)を形成し、本発明の位相差板を作製した。
───────────────────────────────────
ディスコティック液晶性分子(D3−10)組成物層の塗布液組成−1
───────────────────────────────────
・例示化合物 D3−10 14.13質量%
・イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))
0.42質量%
・ジエチルチオキサントン(重合開始剤) 0.14質量%
・例示化合物 I−6(密着性改良添加剤) 0.07質量%
・メチルエチルケトン 85.24質量%
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記の方法により作製した位相差板(後述する表4の実施例1〜28および比較例1〜6に相当するもの)について下記評価を行った。
上述した方法により、KOBRA−WRを用いθ1及びθ2を算出した(λ=589nm)。この値の平均値((θ1+θ2)/2)を求め、平均チルト角とした。
上記方法で得られた位相差板を、偏光顕微鏡下で観察し、配向欠陥の評価を行った。評価は以下の基準に基づき行った。
著しい欠陥(スジ状、点状)が観られる:×
正常領域中に欠陥(スジ状、点状)が観られる:△
欠陥がほとんど観られない:〇
このようにして評価した各位相差板の配向欠陥の評価を以下の表4に記載した。
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。偏光膜の一方の面に、ケン化処理したロール状セルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フィルム(株)製)と、他方の面にケン化処理したロール状光学異方性層の透明支持体を、連続して貼り合わせ、偏光板を作製した。
ITO透明電極が設けられたガラス基板の上に、ポリイミド配向膜を設け、ラビング処理を行った。5μmのスペーサーを介して、二枚の基板を配向膜面が向き合い、かつ配向膜のラビング方向が直交するように配置した。二枚の基板の間隙に、棒状液晶性化合物(ZD4792、メルク社製)を注入し、棒状液晶性化合物層を形成した。棒状液晶性化合物のΔnは0.0969であった。以上のようにして作製したTN液晶セルの両側に、上記で作製した位相差板のうちディスコティック液晶性化合物を用いたものをそれぞれ二枚配置し、光学異方性層が液晶セルの基板と対面するように貼り付けた。さらにそれらの外側に、上記のようにして作製した偏光板二枚を貼り付けて液晶表示装置を作製した。位相差板の配向膜のラビング方向と、それに隣接する液晶セルの配向膜のラビング方向とは、反平行になるように配置した。また、偏光板の吸収軸と、液晶セルのラビング方向とは平行になるように配置した。
それぞれ作製した液晶表示装置の液晶セルに電圧を印加し、白表示2V、黒表示5Vにおける白表示と黒表示との透過率をコントラスト比として、上下左右でコントラスト比10、かつ階調反転のない領域を視野角として測定した。また、白表示時と黒表示時における色味の角度依存性を目視にて行った。その結果を表4に示した。
Claims (7)
- 配向膜と、該配向膜上に設けられた、少なくとも一種の液晶性化合物を含む光学異方性層とを有し、前記配向膜が、ESCA測定によって得られるC−O結合を有する炭素原子に由来するピークの強度(A)とC=O結合を有する炭素原子に由来するピークの強度(B)との比率(B/A)が、0.25以下である表面状態を有する、位相差板。
- 前記液晶性化合物が、下記一般式(DI)で表される化合物である、請求項1に記載の位相差板。
一般式(DI)
(一般式(DI)中、Y11、Y12およびY13はそれぞれ独立に、メチンまたは窒素原子を表し;L1、L2およびL3はそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表し;H1、H2およびH3はそれぞれ独立に、下記一般式(DI−A)または下記一般式(DI−B)を表し;
一般式(DI−A)
一般式(DI−B)
R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、下記一般式(DI−R)を表す;
一般式(DI−R)
*−(−L21−F1)n1−L22−L23−Q1
(一般式(DI−R)中、*は一般式(DI)中のH1、H2またはH3に結合する位置を表し;L21は単結合または二価の連結基を表し;F1は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の環状連結基を表し;n1は0〜4の整数を表し;L22は*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−NH−、*−SO2−、*−CH2−、*−CH=CH−または*−C≡C−を表し(ここで、*はL23と反対の側に結合する位置を表す);L23は−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し;上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよく;Q1は重合性基または水素原子を表す。)) - 配向膜にラビング処理を施す工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差板の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差板を用いた液晶表示装置。
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2005
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