JP2007130896A - 液体噴射装置及びそのメンテナンスユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】キャップが液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止した際に、ラック・ピニオン機構により力点側と反力点側が各々支持された状態で昇降されるスライダの傾きを抑制する。
【解決手段】メンテナンスユニットは、円筒カムによって一端側が片持ち支持された状態で昇降されるスライダと、該スライダに支持されるとともに該スライダの上昇により記録ヘッドのノズル形成面を封止可能なキャップとを備える。スライダには後側ピニオン38a及び前側ピニオン38bが互いに回転軸38により一体回転可能に設けられ、ラック39(ユニットケースの右側壁)の内面には両ピニオン38a,38bとそれぞれ噛合する後側歯列39a及び前側歯列39bが備えられる。そして、両歯列39a,39bは、後側歯列39aよりも前側歯列39bの方が歯列同士で対応する歯が高くなるように互いに位置ずれして配設される。
【選択図】図4
【解決手段】メンテナンスユニットは、円筒カムによって一端側が片持ち支持された状態で昇降されるスライダと、該スライダに支持されるとともに該スライダの上昇により記録ヘッドのノズル形成面を封止可能なキャップとを備える。スライダには後側ピニオン38a及び前側ピニオン38bが互いに回転軸38により一体回転可能に設けられ、ラック39(ユニットケースの右側壁)の内面には両ピニオン38a,38bとそれぞれ噛合する後側歯列39a及び前側歯列39bが備えられる。そして、両歯列39a,39bは、後側歯列39aよりも前側歯列39bの方が歯列同士で対応する歯が高くなるように互いに位置ずれして配設される。
【選択図】図4
Description
本発明は、例えばインクジェット式プリンタ等の液体噴射装置及びこれに備えられるメンテナンスユニットに関する。
一般に、液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンタ(以下、単に「プリンタ」と言う)は、キャリッジに搭載された記録ヘッド(液体噴射ヘッド)にノズル及び圧電素子を備え、該圧電素子の駆動によりノズル内に充填したインク(液体)をノズルの開口から記録媒体に噴射することで印刷を行うようにしている。そのため、こうしたプリンタでは、ノズルの開口からノズル内のインク溶媒が蒸発しやすくなっており、インクの粘度が上昇してノズルが目詰まりしやすく、また、ノズルの開口からインク内に大気が混入することにより、インク内に気泡が発生してドット抜け等の印刷不良が生じることがあった。
そこで、このような不具合を解消するために、上記したプリンタでは、記録ヘッドのノズル形成面を封止するためのキャップと、該キャップ内を吸引する吸引ポンプとを含んでなるメンテナンスユニットとを備え、該メンテナンスユニットにより、いわゆるフラッシングやクリーニングを適宜行うようにしている。ここで、フラッシングとは、印刷時(本吐出時)以外にノズルの目詰まりを防止する目的で、印刷とは関係のないフラッシング駆動信号を出力して圧電素子を駆動し、インクをキャップ内等に空吐出することである。また、クリーニングとは、キャップにてノズル形成面を封止した状態で、吸引ポンプを駆動して吸引することにより、ノズルから増粘したインクや気泡などを、キャップを介して排出することである。
また、上記のようなプリンタでは、その不使用時に、昇降手段によってキャップを上昇させることで、該キャップにより記録ヘッドのノズル形成面を封止してノズルの開口からのインク溶媒の蒸発を抑制するようにしている。そして、従来、このようなキャップを昇降させる昇降手段を備えたプリンタとして、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
この特許文献1のプリンタでは、平面視略矩形状をなすキャップの両短辺側から記録ヘッドの移動方向に沿って延びる支持軸をそれぞれ回動自在に突設させている。そして、該各支持軸の先端部にはピニオンを一体回転可能にそれぞれ固着し、一方の支持軸のピニオンよりも基端側の部分が記録ヘッドの移動方向と直交する方向に移動自在なカム部材(昇降手段)の傾斜部を含んでなる長孔に挿通されるようにしている。また、キャップの近傍には固定フレームを配置すると共に、その固定フレームにはキャップの昇降方向に沿って延びるラックをそれぞれ設け、それらの各ラックに対して各支持軸のピニオンが噛合するようにしている。
そして、駆動源からの駆動力によりカム部材が所定方向に移動されると、そのカム部材の長孔に挿通された一方の支持軸が長孔の傾斜部に沿って上下方向に案内移動され、その際に各支持軸がピニオンを対応するラックに噛合させながらキャップと共に昇降移動するようになっている。したがって、カム部材の何れか一方への移動に伴い、支持軸と共にキャップが上昇した場合には、該キャップにより記録ヘッドのノズル形成面が封止されるようになっている。この場合、両ピニオンと両ラックとの噛合により、キャップの昇降時におけるキャップの水平状態を維持するようにしている。
特開2003−127401号公報
ところで、特許文献1のプリンタでは、キャップがカム部材の長孔に挿通された一方の支持軸を力点とし、該力点となる一方の支持軸に対してカム部材から付与される駆動力によって昇降される。そのため、メンテナンスユニットを構成する各種部品の寸法のバラツキ等により、特にキャップの上昇時には、反力点側となる他方の支持軸側が低くなるようにキャップが傾くことがある。したがって、キャップが傾いたままの状態で該キャップにより記録ヘッドのノズル形成面が封止されることとなり、キャップに対して高い負荷がかかっていた。そして、このように、キャップに高い負荷がかかった状態で特許文献1のプリンタが長期間放置された場合には、キャップがこの負荷によってクリープ変形されて、該キャップのノズル形成面に対する密閉性が低下するという問題があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、キャップが液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止した際に、ラック・ピニオン機構により力点側と反力点側が各々支持された状態で昇降されるスライダの傾きを抑制することが可能な液体噴射装置及びそのメンテナンスユニットを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置のメンテナンスユニットは、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置に備えられ、一端側に設けられた力点を介して昇降手段により昇降されるスライダと、該スライダに支持されるとともに該スライダの上昇により前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止可能なキャップとを備え、前記スライダにおける一端側の側面部と交差する側面部及び該側面部に対面するように前記スライダの近傍に立設された他部材の側面部のうち、その一方側には複数のピニオンが互いに同軸により一体回転可能に設けられる一方、その他方側には前記各ピニオンとそれぞれ噛合する複数の歯列を有するラックが設けられ、前記各ピニオンの軸は、前記スライダの一端側から他端側に向かって延びているとともに、前記ラックの各歯列は、前記スライダが昇降する方向に沿って延びており、且つ、前記スライダの一端側に位置する歯列よりも他端側に位置する歯列の方が、歯列同士で対応する歯が高くなるように互いに位置ずれしている。
一般に、スライダは、一端側に設けられた力点を介して昇降手段から付与される駆動力により上昇すると、該スライダに支持したキャップが液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止した際に、該スライダの一端側から他端側に向かって下がるように傾くことがある。しかしながら、この発明によれば、ラックの各歯列は、スライダの一端側に位置する歯列よりも他端側に位置する歯列の方が、歯列同士で対応する歯が高くなるように互いに位置ずれしている。すなわち、スライダは、キャップが液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止していない状態では、その他端側が力点の設けられた一端側よりも高くなるように傾いた状態で、ラックの各歯列と各ピニオンの歯とが噛合している。そして、昇降手段から一端側の力点に付与される駆動力によりスライダが上昇してキャップが液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止した際には、スライダは、上昇時における一端側から他端側に向かって下がるように生じる傾きと、予め設定したラックの各歯列と各ピニオンの歯とが互いに位置ずれした状態で噛合することによる傾きとが相殺される。この結果、キャップが液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止した際には、ラック・ピニオン機構により力点側と反力点側が各々支持された状態で昇降されるスライダの傾きを抑制することが可能となる。
本発明の液体噴射装置のメンテナンスユニットは、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置に備えられ、一端側に設けられた力点を介して昇降手段により昇降されるスライダと、該スライダに支持されるとともに該スライダの上昇により前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止可能なキャップとを備え、前記スライダにおける一端側の側面部と交差する側面部及び該側面部に対面するように前記スライダの近傍に立設された他部材の側面部のうち、その一方側には複数のピニオンが互いに同軸により一体回転可能に設けられる一方、その他方側には前記各ピニオンとそれぞれ噛合する複数の歯列を有するラックが設けられ、前記各ピニオンの軸は、前記スライダの一端側から他端側に向かって延びているとともに、前記ラックの各歯列は、前記スライダが昇降する方向に沿って延びており、更に、前記スライダの他端側に位置する歯列は、その歯列を構成する各歯のうち少なくとも一部の歯のピッチが、前記スライダの一端側に位置する歯列において対応する歯のピッチよりも大きくなるように設定されている。
一般に、スライダは、一端側に設けられた力点を介して昇降手段から付与される駆動力により上昇すると、該スライダに支持したキャップが液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止した際に、該スライダの一端側から他端側に向かって下がるように傾くことがある。しかしながら、この発明によれば、ラックの各歯列におけるスライダの他端側に位置する歯列は、その歯列を構成する各歯のうち少なくとも一部の歯のピッチが、スライダの一端側に位置する歯列において対応する歯のピッチよりも大きくなるように設定されている。このため、スライダの上昇にともなって、スライダの他端側に位置する歯列と噛合するピニオンが、スライダの一端側に位置する歯列と噛合するピニオンよりも速く上昇するようになる。これにより、ラックの各歯列と各ピニオンの歯とが、スライダの一端側が力点となることによる傾きを吸収する方向に位置ずれした状態で噛合するようになる。この結果、キャップが液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止した際に、ラック・ピニオン機構により力点側と反力点側が各々支持された状態で昇降されるスライダの傾きを抑制することが可能となる。
本発明の液体噴射装置のメンテナンスユニットは、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置に備えられ、一端側に設けられた力点を介して昇降手段により昇降されるスライダと、該スライダに支持されるとともに該スライダの上昇により前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止可能なキャップとを備え、前記スライダにおける一端側の側面部と交差する側面部及び該側面部に対面するように前記スライダの近傍に立設された他部材の側面部のうち、その一方側には複数のピニオンが互いに同軸により一体回転可能に設けられる一方、その他方側には前記各ピニオンとそれぞれ噛合する複数の歯列を有するラックが設けられ、前記各ピニオンの軸は、前記スライダの一端側から他端側に向かって延びているとともに、前記ラックの各歯列は、前記スライダが昇降する方向に沿って延びており、更に、前記スライダの他端側に位置するピニオンのピッチ円の方が前記スライダの一端側に位置するピニオンのピッチ円よりも大きくなるように、該各ピニオンの歯と前記ラックの各歯列を構成する歯とのうち少なくとも一方の形状が設定されている。
一般に、スライダは、一端側に設けられた力点を介して昇降手段から付与される駆動力により上昇すると、該スライダに支持したキャップが液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止した際に、該スライダの一端側から他端側に向かって下がるように傾くことがある。しかしながら、この発明によれば、ラックの各歯列におけるスライダの他端側に位置するピニオンのピッチ円の方がスライダの一端側に位置するピニオンのピッチ円よりも大きくなるように、該各ピニオンの歯とラックの各歯列を構成する歯とのうち少なくとも一方の形状が設定されている。このため、スライダの上昇にともなって、スライダの他端側に位置する歯列と噛合するピニオンが、スライダの一端側に位置する歯列と噛合するピニオンよりも速く上昇するようになる。これにより、ラックの各歯列と各ピニオンの歯とが、スライダの一端側が力点となることによる傾きを吸収する方向に位置ずれした状態で噛合するようになる。この結果、キャップが液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止した際に、ラック・ピニオン機構により力点側と反力点側が各々支持された状態で昇降されるスライダの傾きを抑制することが可能となる。
本発明の液体噴射装置のメンテナンスユニットは、前記スライダが昇降する際に、該スライダの一部に摺接して該スライダを昇降方向に沿ってガイドするガイド部を更に備えている。
この発明によれば、スライダの昇降時に、該スライダが、その昇降方向に沿ってガイド部によりガイドされるため、該スライダが安定した状態で昇降されるようになる。
本発明の液体噴射装置は、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、上記構成の液体噴射装置のメンテナンスユニットとを備えた。
本発明の液体噴射装置は、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、上記構成の液体噴射装置のメンテナンスユニットとを備えた。
この発明によれば、上記構成の液体噴射装置のメンテナンスユニットと同様の作用効果を得ることが可能となる。
(第1実施形態)
以下、本発明の液体噴射装置をインクジェット式プリンタに具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」をいう場合は、特に説明がない限り、図1を基準とした場合の「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」と一致するものとする。
以下、本発明の液体噴射装置をインクジェット式プリンタに具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」をいう場合は、特に説明がない限り、図1を基準とした場合の「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」と一致するものとする。
図1に示すように、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ11は、フレーム12を備えており、該フレーム12内には、プラテン13が架設されている。プラテン13上には、紙送りモータ14を有する紙送り機構によりターゲットとしての記録用紙Pが給送されるようになっている。また、フレーム12には、プラテン13の長手方向と平行に、棒状のガイド部材15が架設されている。
ガイド部材15には、キャリッジ16が、該ガイド部材15の軸線方向に往復移動可能に挿通支持されている。キャリッジ16は、フレーム12に設けられたタイミングベルト17を介してキャリッジモータ18に連結されている。そして、キャリッジ16は、キャリッジモータ18の駆動により、ガイド部材15に沿って往復移動されるようになっている。
キャリッジ16の下面には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド19が搭載されている。記録ヘッド19の下面はノズル形成面19aになっており、該ノズル形成面19aには複数(本実施形態では6つ)のノズル20が設けられている(図5参照)。キャリッジ16における記録ヘッド19の上側には、液体貯留手段としてのインクカートリッジ21が着脱可能に搭載されている。インクカートリッジ21内には、顔料を含む複数色(本実施形態では6色)の液体としてのインクがそれぞれ記録ヘッド19に供給可能に収容されている。
そして、記録ヘッド19に備えられた図示しない圧電素子の駆動により、インクカートリッジ21から記録ヘッド19へと各インクが供給され、該各インクが各ノズル20からプラテン13上に給送された記録用紙Pにそれぞれ噴射されて印刷が行われるようになっている。また、フレーム12内の右端部に位置する非印刷領域には、非印刷時に記録ヘッド19のクリーニング等のメンテナンスを行うためのメンテナンスユニット22が設けられている。
次にメンテナンスユニット22の構成について詳述する。
図2及び図3に示すように、メンテナンスユニット22は、上端が開口した略有底四角箱状のユニットケース23を備えている。そして、ユニットケース23内において、前方側にはキャッピング装置25が配置され、後方側にはキャッピング装置25を駆動する正逆回転可能な駆動モータ26が配置されている。駆動モータ26は上方に向かって延びるモータ軸26aを有しており、該モータ軸26aの上端にはモータ歯車26bが設けられている。
図2及び図3に示すように、メンテナンスユニット22は、上端が開口した略有底四角箱状のユニットケース23を備えている。そして、ユニットケース23内において、前方側にはキャッピング装置25が配置され、後方側にはキャッピング装置25を駆動する正逆回転可能な駆動モータ26が配置されている。駆動モータ26は上方に向かって延びるモータ軸26aを有しており、該モータ軸26aの上端にはモータ歯車26bが設けられている。
モータ歯車26bには、上下方向に延びる伝達軸27を中心に回転する伝達歯車28が噛合されている。伝達歯車28には、上下方向に延びるカム軸29を中心に回転する昇降手段としての円筒カム30の上端部に設けられたカム歯車31が噛合されている。したがって、駆動モータ26の駆動により、その駆動力がモータ歯車26b、伝達歯車28、及びカム歯車31を介して円筒カム30に伝達され、該円筒カム30が回転されるようになっている。なお、円筒カム30の周面には、カム溝30aが螺旋状をなすように形成されている。
キャッピング装置25は、有底四角箱状をなすキャップ32と、該キャップ32を収容支持する有底四角箱状のキャップホルダ33と、該キャップホルダ33を収容支持する有底四角箱状のスライダ34とを備えている。これらキャップ32、キャップホルダ33、及びスライダ34は、ともに合成樹脂からなっている。
スライダ34の内底面とキャップホルダ33との間には、該キャップホルダ33を上方へ付勢するコイルバネ35が介設されている。スライダ34の後側面における左右方向のほぼ中央部には、後方に向かって延びるピン36が設けられている。ピン36の先端部は、円筒カム30のカム溝30aに、該カム溝30aに沿って摺動可能に挿通されている。
したがって、円筒カム30の回転により、カム溝30a内に沿ってピン36が摺動することで、スライダ34が昇降されるようになっている。すなわち、この場合、スライダ34は、その後端部側がピン36を介して円筒カム30に片持ち支持された状態で昇降されるようになっている。
スライダ34の右側面(側面部)には、一対のアーム37が前後方向に所定間隔をおいて並設されており、該一対のアーム37には、前後方向に延びる棒状の回転軸38が回転可能に支持されている。回転軸38の後端部には、後側ピニオン38aが設けられ、回転軸38の前端部には、前側ピニオン38bが設けられている。そして、両ピニオン38a,38bは、互いに同軸(回転軸38)により一体回転するようになっている。なお、両ピニオン38a,38bは、合成樹脂よりなり、互いに同一の形状をなしている。
スライダ34の右側近傍には、該スライダ34の右側面と対向(対面)する平板状のラック39が立設されている。ラック39は、他部材としてのユニットケース23の右側壁のほぼ前側半分を構成している。ラック39は、合成樹脂よりなり、その左側面に両ピニオン38a,38bとそれぞれ噛合する後側歯列39aと前側歯列39bとを有している。両歯列39a,39bは、歯の大きさ、歯の形状、歯のピッチ、及び歯数が互いに同一であり、ともに上下方向に延びている。
スライダ34の後側面におけるピン36の左側には、上下方向に延びる後側凹溝34aが形成されており、スライダ34の前側面における左右方向の中央部には、上下方向に延びる前側凹溝34bが形成されている。そして、後側凹溝34aの内面と摺接するように、四角柱状の柱状部材40がユニットケース23の内底面に立設されており、前側凹溝34bの内面と摺接するように、上下方向に延びる凸条41がユニットケース23の前壁の内面に設けられている。
したがって、スライダ34の昇降時に、該スライダ34が、後側凹溝34a及び前側凹溝34bにおいて、それぞれ柱状部材40及び凸条41によりガイドされるようになっている。なお、柱状部材40と凸条41とによりガイド部が形成されている。
図4に示すように、両歯列39a,39bは、前側歯列39bが後側歯列39aよりも所定距離A(この所定距離Aの値については後述する)だけ高くなるように、互いに上下方向(スライダ34の昇降方向)に平行に位置ずれして配設されている。すなわち、両歯列39a,39bは、前側歯列39bの各歯が、該前側歯列39bの各歯とそれぞれ対応する後側歯列39aの各歯よりもそれぞれ所定距離Aだけ高くなるように、互いに位置ずれして配設されている。
図5に示すように、キャッピング装置25は、キャリッジ16を非印刷領域に移動させた場合に、キャップ32を上昇させることで、記録ヘッド19のノズル形成面19a(各ノズル20)をキャップ32により封止するようになっている。キャップ32内には、該キャップ32内に各ノズル20から噴射されたり吸引されたりしたインクを吸収保持して該キャップ32内の空間を保湿する保湿インク吸収材42が配置されている。
キャップ32の周壁の上面全体には、該上面全体と対応するように、可撓性材料からなる四角枠状のシール部材43が設けられている。キャップ32の底壁には、該キャップ32内のインクを排出する排出部44が下方に向かって突設されており、該排出部44内には、排出通路44aが形成されている。
排出部44には、可撓性材料よりなる排出チューブ45の基端が接続されており、該排出チューブ45の先端は、該排出チューブ45よりも下側に位置する回収容器としての有底四角箱状をなす廃インクタンク46内に挿入されている。
キャップ32内と排出チューブ45内とは、排出通路44aを介して連通しており、排出チューブ45の中間部には、キャップ32内を吸引するチューブポンプ47が配設されている。なお、廃インクタンク46内には、多孔質部材からなる廃インク吸収材48が収容されており、該廃インクタンク46内に排出されたインクを吸収保持するようになっている。
そして、記録ヘッド19のノズル形成面19a(各ノズル20)をキャップ32により封止した状態でチューブポンプ47を駆動することで、各ノズル20内の増粘したインクが、気泡等とともに吸引されて、キャップ32及び排出チューブ45を介して廃インクタンク46内に排出される、いわゆるヘッドクリーニングが行われるようになっている。なお、図5は、理解を容易にするために、キャップホルダ33及びスライダ34を省略して示している。
ここで、前述した所定距離Aの値について説明する。
スライダ34は、その後端部側(一端側)に設けられたピン36を介して円筒カム30に片持ち支持された状態で昇降される。すなわち、スライダ34においては、後端部側(一端側)のピン36が円筒カム30から昇降方向への駆動力を付与される力点として機能する構成とされている。そのため、キャップ32が記録ヘッド19のノズル形成面19a(各ノズル20)を封止するまでスライダ34を上昇させた場合には、通常、各種部品の寸法のバラツキ等により該スライダ34の後端部側に比して前端部側が低くなるように傾く。そこで、本実施形態においては、このような場合のスライダ34の傾きが吸収されて、該スライダ34が水平状態になるような値に、前記所定距離Aの値が設定されている。なお、この所定距離Aの値は、予め行われる実験等により求められる。
スライダ34は、その後端部側(一端側)に設けられたピン36を介して円筒カム30に片持ち支持された状態で昇降される。すなわち、スライダ34においては、後端部側(一端側)のピン36が円筒カム30から昇降方向への駆動力を付与される力点として機能する構成とされている。そのため、キャップ32が記録ヘッド19のノズル形成面19a(各ノズル20)を封止するまでスライダ34を上昇させた場合には、通常、各種部品の寸法のバラツキ等により該スライダ34の後端部側に比して前端部側が低くなるように傾く。そこで、本実施形態においては、このような場合のスライダ34の傾きが吸収されて、該スライダ34が水平状態になるような値に、前記所定距離Aの値が設定されている。なお、この所定距離Aの値は、予め行われる実験等により求められる。
次に、メンテナンスユニット22の作用について説明する。
さて、記録ヘッド19のヘッドクリーニングを行う場合には、まずキャリッジ16を右方向に移動させて、該キャリッジ16をメンテナンスユニット22の真上で停止させる。引き続き、駆動モータ26を駆動して円筒カム30を正回転させると、スライダ34の後端部側が力点となるピン36を介して円筒カム30に片持ち支持された状態で上昇される。
さて、記録ヘッド19のヘッドクリーニングを行う場合には、まずキャリッジ16を右方向に移動させて、該キャリッジ16をメンテナンスユニット22の真上で停止させる。引き続き、駆動モータ26を駆動して円筒カム30を正回転させると、スライダ34の後端部側が力点となるピン36を介して円筒カム30に片持ち支持された状態で上昇される。
このとき、ラック39は、前側歯列39bの各歯が、該前側歯列39bの各歯とそれぞれ対応する後側歯列39aの各歯よりもそれぞれ所定距離Aだけ高くなるように、予め互いに位置ずれして配設されている。このため、上昇される前のスライダ34は、その前端部側が、その後端部側よりも、所定距離Aだけ高くなるように傾いている。
引き続きスライダ34を上昇させると、スライダ34は、その後端部側が片持ち支持されているため、該スライダ34に対してその前端部側が低くなる方向に傾く力が働く。引き続きスライダ34が上昇されると、キャップ32が記録ヘッド19のノズル形成面19a(各ノズル20)に当接する。このとき、スライダ34は、該スライダ34の上昇される前の前端部側が高い傾きと、該スライダ34の上昇時の前端部側が低くなる傾きとが相殺されて、水平状態になっている。
これにより、キャップ32は、コイルバネ35の弾性力により、キャップホルダ33を介してノズル形成面19aに向かってまっすぐに均一に押し付けられるため、キャップ32とノズル形成面19aとの密着性が高められる。すなわち、キャップ32内の空間の密閉性が高められる。
引き続き、チューブポンプ47を駆動すると、各ノズル20内のインクが、該廃インクタンク46内に排出されて、ヘッドクリーニングが完了する。このように、キャップ32がノズル形成面19aに対して当接する際にスライダ34が水平状態になることで、キャップ32内の空間の密閉性が高められるため、効率よくヘッドクリーニングを行うことができる。
また、インクジェット式プリンタ11が使用されない場合には、各ノズル20の開口からのインク溶媒の蒸発を抑制するために、上述したヘッドクリーニングと同様に、キャップ32がノズル形成面19a(各ノズル20)を封止した状態で維持される。この場合、仮にスライダ34が傾いた状態でキャップ32がノズル形成面19a(各ノズル20)を封止すると、スライダ34やコイルバネ35に対して偏った負荷がかかった状態となる。
そして、この状態のままインクジェット式プリンタ11が長期間使用されなかった場合には、この負荷により、スライダ34がクリープ変形(塑性変形)したり、コイルバネ35のバネ荷重が低下したりするおそれがある。しかしながら、本実施形態では、ラック39と両ピニオン38a,38bとの作用により、キャップ32がノズル形成面19aを封止した際のスライダ34の傾きが解消される。すなわち、スライダ34を水平状態にした状態で、キャップ32によりノズル形成面19a(各ノズル20)を封止することができる。
したがって、インクジェット式プリンタ11が長期間使用されなくても、スライダ34やコイルバネ35に対して偏った負荷がかかることなく、キャップ32によりノズル形成面19a(各ノズル20)を封止することができる。この結果、スライダ34のクリープ変形(塑性変形)や、コイルバネ35のバネ荷重の低下を抑制することができる。
以上、詳述した第1実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)ラック39は、前側歯列39bの各歯が、該前側歯列39bの各歯とそれぞれ対応する後側歯列39aの各歯よりもそれぞれ所定距離Aだけ高くなるように、互いに位置ずれして配設されている。このため、上昇される前のスライダ34は、その前端部側が高くなるように傾けられる。これにより、スライダ34が力点となるピン36を介して片持ち支持された状態で上昇されてキャップ32が記録ヘッド19のノズル形成面19aを封止した際には、スライダ34は、その片持ち支持された状態での上昇時に生じる傾きと、その上昇される前の傾きとが相殺される。この結果、キャップ32が記録ヘッド19のノズル形成面19aを封止した際に、スライダ34を水平状態にすることができる。
(1)ラック39は、前側歯列39bの各歯が、該前側歯列39bの各歯とそれぞれ対応する後側歯列39aの各歯よりもそれぞれ所定距離Aだけ高くなるように、互いに位置ずれして配設されている。このため、上昇される前のスライダ34は、その前端部側が高くなるように傾けられる。これにより、スライダ34が力点となるピン36を介して片持ち支持された状態で上昇されてキャップ32が記録ヘッド19のノズル形成面19aを封止した際には、スライダ34は、その片持ち支持された状態での上昇時に生じる傾きと、その上昇される前の傾きとが相殺される。この結果、キャップ32が記録ヘッド19のノズル形成面19aを封止した際に、スライダ34を水平状態にすることができる。
(2)スライダ34は、その昇降時に、後側凹溝34a及び前側凹溝34bにおいて、それぞれ柱状部材40及び凸条41によりガイドされる。このため、スライダ34を安定した状態で昇降させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図6に示すように、この第2実施形態は、上記第1実施形態におけるラック39の前側歯列39bの各歯のピッチを、上方に向かうにつれて徐々に大きくなるように設定したものである。すなわち、前側歯列39bの各歯のピッチと、該各歯とそれぞれ対応する後側歯列39aの各歯のピッチとの差が上方に向かうにつれて徐々に大きくなっている。
次に、本発明の第2実施形態を上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図6に示すように、この第2実施形態は、上記第1実施形態におけるラック39の前側歯列39bの各歯のピッチを、上方に向かうにつれて徐々に大きくなるように設定したものである。すなわち、前側歯列39bの各歯のピッチと、該各歯とそれぞれ対応する後側歯列39aの各歯のピッチとの差が上方に向かうにつれて徐々に大きくなっている。
そして、本実施形態では、キャップ32が記録ヘッド19のノズル形成面19a(各ノズル20)に当接するまでスライダ34を上昇させた際に、片持ち支持による該スライダ34の傾きが解消される程度の所定距離Bだけ、前側ピニオン38bが後側ピニオン38aを追い越すように、前側歯列39bの各歯のピッチが設定されている。なお、この所定距離Bは、予め実験等により求められる。
さて、記録ヘッド19のヘッドクリーニングを行う場合には、まずキャリッジ16を右方向に移動させて、該キャリッジ16をメンテナンスユニット22の真上で停止させる。引き続き、駆動モータ26を駆動して円筒カム30を正回転させると、スライダ34の後端部側がピン36を介して円筒カム30に片持ち支持された状態で上昇される。
引き続きスライダ34を上昇させると、スライダ34は、その後端部側が片持ち支持されているため、該スライダ34に対してその前端部側が低くなる方向に傾く力が働く。このとき、ラック39は、前側歯列39bの各歯のピッチと、該前側歯列39bの各歯とそれぞれ対応する後側歯列39aの各歯のピッチとの差が上方に向かうにつれて大きくなっているため、スライダ34が上昇するにつれて、前側ピニオン38bの上昇速度が速くなる。
引き続きスライダ34が上昇されると、キャップ32が記録ヘッド19のノズル形成面19a(各ノズル20)に当接する。このとき、片持ち支持された状態での上昇により生じる該スライダ34の傾きが解消される程度の所定距離Bだけ前側ピニオン38bが後側ピニオン38aを追い抜くため、スライダ34は水平状態になる。
これにより、キャップ32は、コイルバネ35の弾性力により、キャップホルダ33を介してノズル形成面19aに向かってまっすぐに均一に押し付けられるため、キャップ32とノズル形成面19aとの密着性が高められる。すなわち、キャップ32内の空間の密閉性が高められる。
引き続き、チューブポンプ47を駆動すると、各ノズル20内のインクが、該廃インクタンク46内に排出されて、ヘッドクリーニングが完了する。このように、キャップ32がノズル形成面19aに対して当接する際にスライダ34が水平状態になることで、キャップ32内の空間の密閉性が高められるため、効率よくヘッドクリーニングを行うことができる。
また、インクジェット式プリンタ11が使用されない場合には、各ノズル20の開口からのインク溶媒の蒸発を抑制するために、上述したヘッドクリーニングと同様に、キャップ32がノズル形成面19a(各ノズル20)を封止した状態で維持される。この場合、仮にスライダ34が傾いた状態でキャップ32がノズル形成面19a(各ノズル20)を封止すると、スライダ34やコイルバネ35に対して偏った負荷がかかった状態となる。
そして、この状態のままインクジェット式プリンタ11が長期間使用されなかった場合には、この負荷により、スライダ34がクリープ変形(塑性変形)したり、コイルバネ35のバネ荷重が低下したりするおそれがある。しかしながら、本実施形態では、ラック39と両ピニオン38a,38bとの作用により、キャップ32がノズル形成面19aを封止した際のスライダ34の傾きが解消される。すなわち、スライダ34を水平状態にした状態で、キャップ32によりノズル形成面19a(各ノズル20)を封止することができる。
したがって、インクジェット式プリンタ11が長期間使用されなくても、スライダ34やコイルバネ35に対して偏った負荷がかかることなく、キャップ32によりノズル形成面19a(各ノズル20)を封止することができる。この結果、スライダ34のクリープ変形(塑性変形)や、コイルバネ35のバネ荷重の低下を抑制することができる。
以上、詳述した第2実施形態によれば上記(2)の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(3)ラック39の前側歯列39bを構成する各歯のピッチが、該各歯に対応する後側歯列39aの各歯のピッチよりも大きくなるように設定されている。このため、スライダ34の上昇にともなって、前側ピニオン38bが後側ピニオン38aよりも速く上昇するようになる。これにより、ラック39の両歯列39a,39bの各歯と両ピニオン38a,38bの各歯とが、スライダ34の片持ち支持されることによる傾きを吸収する方向に位置ずれした状態で噛合するようになる。この結果、キャップ32が記録ヘッド19のノズル形成面19aを封止した際に、スライダ34を水平状態にすることができる。
(3)ラック39の前側歯列39bを構成する各歯のピッチが、該各歯に対応する後側歯列39aの各歯のピッチよりも大きくなるように設定されている。このため、スライダ34の上昇にともなって、前側ピニオン38bが後側ピニオン38aよりも速く上昇するようになる。これにより、ラック39の両歯列39a,39bの各歯と両ピニオン38a,38bの各歯とが、スライダ34の片持ち支持されることによる傾きを吸収する方向に位置ずれした状態で噛合するようになる。この結果、キャップ32が記録ヘッド19のノズル形成面19aを封止した際に、スライダ34を水平状態にすることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図7に示すように、この第3実施形態は、上記第1実施形態において、前側ピニオン38bのピッチ円Nの方が、後側ピニオン38aのピッチ円Mよりも大きくなるように、後側ピニオン38aの各歯の形状が設定されている。
次に、本発明の第3実施形態を上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図7に示すように、この第3実施形態は、上記第1実施形態において、前側ピニオン38bのピッチ円Nの方が、後側ピニオン38aのピッチ円Mよりも大きくなるように、後側ピニオン38aの各歯の形状が設定されている。
すなわち、図8(a)、(b)に示すように、後側ピニオン38aの各歯をこれらの歯元部分の厚みが太い形状とし、該後側ピニオン38aの歯とラック39の後側歯列39aの歯との接点P1が、前側ピニオン38bの歯とラック39の前側歯列39bの歯との接点P2よりも回転軸38に近くなっている。
そして、本実施形態では、キャップ32が記録ヘッド19のノズル形成面19a(各ノズル20)に当接するまでスライダ34を上昇させた際に、片持ち支持による該スライダ34の傾きが解消される程度の所定距離Cだけ前側ピニオン38bが後側ピニオン38aを追い越すように、ピッチ円Nとピッチ円Mとの大きさが設定されている。なお、この所定距離Cは、予め実験等により求められる。
さて、記録ヘッド19のヘッドクリーニングを行う場合には、まずキャリッジ16を右方向に移動させて、該キャリッジ16をメンテナンスユニット22の真上で停止させる。引き続き、駆動モータ26を駆動して円筒カム30を正回転させると、スライダ34の後端部側がピン36を介して円筒カム30に片持ち支持された状態で上昇される。
引き続きスライダ34を上昇させると、スライダ34は、その後端部側が片持ち支持されているため、該スライダ34に対してその前端部側が低くなる方向に傾く力が働く。このとき、前側ピニオン38bは、後側ピニオン38aのピッチ円Mよりも大きいピッチ円Nで回転するため、スライダ34の上昇時には、後側ピニオン38aの上昇速度よりも前側ピニオン38bの上昇速度の方が速くなる。すなわち、前側ピニオン38bと後側ピニオン38aとは、ともに同じ回転軸38を中心に回転するため、後側ピニオン38aのピッチ円Mよりも大きいピッチ円Nで回転する前側ピニオン38bの方が、後側ピニオン38aに比して1回転あたりに進む距離が長くなる。
引き続きスライダ34が上昇されると、キャップ32が記録ヘッド19のノズル形成面19a(各ノズル20)に当接する。このとき、片持ち支持された状態での上昇により生じる該スライダ34の傾きが解消される程度の所定距離Cだけ前側ピニオン38bが後側ピニオン38aを追い抜くため、スライダ34は水平状態になる。
これにより、キャップ32は、コイルバネ35の弾性力により、キャップホルダ33を介してノズル形成面19aに向かってまっすぐに均一に押し付けられるため、キャップ32とノズル形成面19aとの密着性が高められる。すなわち、キャップ32内の空間の密閉性が高められる。
引き続き、チューブポンプ47を駆動すると、各ノズル20内のインクが、該廃インクタンク46内に排出されて、ヘッドクリーニングが完了する。このように、キャップ32がノズル形成面19aに対して当接する際にスライダ34が水平状態になることで、キャップ32内の空間の密閉性が高められるため、効率よくヘッドクリーニングを行うことができる。
また、インクジェット式プリンタ11が使用されない場合には、各ノズル20の開口からのインク溶媒の蒸発を抑制するために、上述したヘッドクリーニングと同様に、キャップ32がノズル形成面19a(各ノズル20)を封止した状態で維持される。この場合、仮にスライダ34が傾いた状態でキャップ32がノズル形成面19a(各ノズル20)を封止すると、スライダ34やコイルバネ35に対して偏った負荷がかかった状態となる。
そして、この状態のままインクジェット式プリンタ11が長期間使用されなかった場合には、この負荷により、スライダ34がクリープ変形(塑性変形)したり、コイルバネ35のバネ荷重が低下したりするおそれがある。しかしながら、本実施形態では、前側ピニオン38bのピッチ円Nの方が後側ピニオン38aのピッチ円Mよりも大きくなるように後側ピニオン38aの各歯の形状が設定されているため、キャップ32がノズル形成面19aを封止した際のスライダ34の傾きが解消される。すなわち、スライダ34を水平状態にした状態で、キャップ32によりノズル形成面19a(各ノズル20)を封止することができる。
したがって、インクジェット式プリンタ11が長期間使用されなくても、スライダ34やコイルバネ35に対して偏った負荷がかかることなく、キャップ32によりノズル形成面19a(各ノズル20)を封止することができる。この結果、スライダ34のクリープ変形(塑性変形)や、コイルバネ35のバネ荷重の低下を抑制することができる。
以上、詳述した第3実施形態によれば上記(2)の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(4)前側ピニオン38bのピッチ円Nの方が、後側ピニオン38aのピッチ円Mよりも大きくなるように、後側ピニオン38aの各歯の形状が設定されている。このため、スライダ34の上昇時には、後側ピニオン38aの上昇速度よりも前側ピニオン38bの上昇速度の方が速くなる。これにより、ラック39の両歯列39a,39bの各歯と両ピニオン38a,38bの各歯とが、スライダ34の片持ち支持されることによる傾きを吸収する方向に位置ずれした状態で噛合するようになる。この結果、キャップ32が記録ヘッド19のノズル形成面19aを封止した際に、スライダ34を水平状態にすることができる。
(変更例)
なお、上記各実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
(4)前側ピニオン38bのピッチ円Nの方が、後側ピニオン38aのピッチ円Mよりも大きくなるように、後側ピニオン38aの各歯の形状が設定されている。このため、スライダ34の上昇時には、後側ピニオン38aの上昇速度よりも前側ピニオン38bの上昇速度の方が速くなる。これにより、ラック39の両歯列39a,39bの各歯と両ピニオン38a,38bの各歯とが、スライダ34の片持ち支持されることによる傾きを吸収する方向に位置ずれした状態で噛合するようになる。この結果、キャップ32が記録ヘッド19のノズル形成面19aを封止した際に、スライダ34を水平状態にすることができる。
(変更例)
なお、上記各実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
・各実施形態において、柱状部材40及び凸条41のうち少なくとも一方を省略してもよい。
・各実施形態において、後側歯列39aと前側歯列39bとは、互いに異なる部材(ラック)に形成されていてもよい。
・各実施形態において、後側歯列39aと前側歯列39bとは、互いに異なる部材(ラック)に形成されていてもよい。
・各実施形態において、ラック39と両ピニオン38a,38bとを入れ替えた構成としてもよい。すなわち、スライダ34の右側面にラック39を設け、該ラック39と対応するユニットケース23の右側壁の内面に両ピニオン38a,38bを軸支するようにしてもよい。
・各実施形態において、両ピニオン38a,38bに加えて新たに別のピニオンを設けることでピニオンを3つ以上にしてもよい。この場合、ピニオンの数に合わせてラック39の歯列も増やす必要がある。
・第2実施形態において、前側歯列39bの各歯のピッチが、該各歯とそれぞれ対応する後側歯列39aの各歯のピッチよりも、全て一定の値だけ大きくなるように構成してもよい。
・第2実施形態において、ラック39の前側歯列39bの各歯のピッチは全て同じにし、後側歯列39aの各歯のピッチを、上方に向かうにつれて徐々に小さくなるように設定してもよい。
・第2実施形態において、前側歯列39bの各歯のピッチが、例えば下から3〜4番目の歯から下方の歯ほどピッチが大きくなるようにしてもよい。 すなわち、スライダ34が最も下降した状態にある場合、キャップ32に対する排出チューブ45の接続位置や排出チューブ45引き回し方によっては、スライダ34が排出チューブ45の反力を受けて該スライダ34の前端部側が上側に突き上げられるように傾くこともある。
この点、この別例のように構成すれば、スライダ34が最も下降した状態にある場合、該スライダ34は、前端部側が低くなるように傾くことになるため、この傾きと排出チューブ45の上方へ突き上げる反力とが相殺される。このため、スライダ34が最も下降した状態において、該スライダ34に対して作用する排出チューブ45の反力が軽減される。したがって、スライダ34が最も下降した状態において長期間放置されたとしても、該スライダ34がクリープ変形し難くなる。
・第3実施形態において、前側ピニオン38bのピッチ円Nの方が後側ピニオン38aのピッチ円Mよりも大きくなるように、前側ピニオン38bの各歯の形状、前側歯列39bの各歯の形状、及び後側歯列39aの各歯の形状のうち少なくとも1つを変更するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンタ11として具体化したが、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタの製造や、有機ELディスプレイ等の画素形成に利用される液体噴射装置であってもよい。
11…液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ、19…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、19a…ノズル形成面、20…ノズル、22…メンテナンスユニット、30…昇降手段としての円筒カム、32…キャップ、34…スライダ、38a…後側ピニオン、38b…前側ピニオン、39…他部材を構成するラック、39a…後側歯列、39b…前側歯列、40…ガイド部を構成する柱状部材、41…ガイド部を構成する凸条、N…前側ピニオン38bのピッチ円、M…後側ピニオン38aのピッチ円。
Claims (5)
- ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置に備えられ、一端側に設けられた力点を介して昇降手段により昇降されるスライダと、該スライダに支持されるとともに該スライダの上昇により前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止可能なキャップとを備えた液体噴射装置のメンテナンスユニットにおいて、
前記スライダにおける一端側の側面部と交差する側面部及び該側面部に対面するように前記スライダの近傍に立設された他部材の側面部のうち、その一方側には複数のピニオンが互いに同軸により一体回転可能に設けられる一方、その他方側には前記各ピニオンとそれぞれ噛合する複数の歯列を有するラックが設けられ、
前記各ピニオンの軸は、前記スライダの一端側から他端側に向かって延びているとともに、前記ラックの各歯列は、前記スライダが昇降する方向に沿って延びており、且つ、前記スライダの一端側に位置する歯列よりも他端側に位置する歯列の方が、歯列同士で対応する歯が高くなるように互いに位置ずれしていることを特徴とする液体噴射装置のメンテナンスユニット。 - ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置に備えられ、一端側に設けられた力点を介して昇降手段により昇降されるスライダと、該スライダに支持されるとともに該スライダの上昇により前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止可能なキャップとを備えた液体噴射装置のメンテナンスユニットにおいて、
前記スライダにおける一端側の側面部と交差する側面部及び該側面部に対面するように前記スライダの近傍に立設された他部材の側面部のうち、その一方側には複数のピニオンが互いに同軸により一体回転可能に設けられる一方、その他方側には前記各ピニオンとそれぞれ噛合する複数の歯列を有するラックが設けられ、
前記各ピニオンの軸は、前記スライダの一端側から他端側に向かって延びているとともに、前記ラックの各歯列は、前記スライダが昇降する方向に沿って延びており、更に、前記スライダの他端側に位置する歯列は、その歯列を構成する各歯のうち少なくとも一部の歯のピッチが、前記スライダの一端側に位置する歯列において対応する歯のピッチよりも大きくなるように設定されていることを特徴とする液体噴射装置のメンテナンスユニット。 - ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置に備えられ、一端側に設けられた力点を介して昇降手段により昇降されるスライダと、該スライダに支持されるとともに該スライダの上昇により前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止可能なキャップとを備えた液体噴射装置のメンテナンスユニットにおいて、
前記スライダにおける一端側の側面部と交差する側面部及び該側面部に対面するように前記スライダの近傍に立設された他部材の側面部のうち、その一方側には複数のピニオンが互いに同軸により一体回転可能に設けられる一方、その他方側には前記各ピニオンとそれぞれ噛合する複数の歯列を有するラックが設けられ、
前記各ピニオンの軸は、前記スライダの一端側から他端側に向かって延びているとともに、前記ラックの各歯列は、前記スライダが昇降する方向に沿って延びており、更に、前記スライダの他端側に位置するピニオンのピッチ円の方が前記スライダの一端側に位置するピニオンのピッチ円よりも大きくなるように、該各ピニオンの歯と前記ラックの各歯列を構成する歯とのうち少なくとも一方の形状が設定されていることを特徴とする液体噴射装置のメンテナンスユニット。 - 前記スライダが昇降する際に、該スライダの一部に摺接して該スライダを昇降方向に沿ってガイドするガイド部を更に備えていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の液体噴射装置のメンテナンスユニット。
- ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の液体噴射装置のメンテナンスユニットとを備えたことを特徴とする液体噴射装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013154587A (ja) * | 2012-01-31 | 2013-08-15 | Seiko Epson Corp | 記録装置 |
CN103419490A (zh) * | 2012-05-16 | 2013-12-04 | 精工爱普生株式会社 | 液体喷射装置 |
-
2005
- 2005-11-10 JP JP2005326448A patent/JP2007130896A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013154587A (ja) * | 2012-01-31 | 2013-08-15 | Seiko Epson Corp | 記録装置 |
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