JP2007129485A - 収音装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コストを抑えながら、高周波数帯域ならびに低周波数帯域の指向制御を向上したラインアレイユニットを提供する。
【解決手段】内側10個のマイクユニット353は、等距離dに配置されている。一方でこの区間よりも外側のマイクユニット353は、ユニット数に基づいてユニット間距離を整数倍(d×整数)に広げて配列されている。つまり、内側10個は距離dで配列し、それよりも外側は、ユニット間距離を距離2d、距離3d、距離4dと広げて配列する。これにより、コストを抑えた少ないマイク個数でありながらアレイ幅Lを大きくして低周波数帯域の指向制御特性を確保することができるとともに、配列内側の密配列区間では多数のマイクユニットが距離dで等間隔に配列されるため、別の収音ビームを発生させずに高周波数帯域の指向制御特性を確保することができる。
【選択図】図5

Description

この発明は、指向制御可能な収音装置に関し、特に指向制御可能な周波数帯域を向上した収音装置に関する。
通信会議等においては、発話者の音声を的確にマイクで収音することが要求される。そのため、指向性マイクを用い、発話者の方向の音声を効率よく収音することが行われている。
また、複数のマイクユニットからなる(ライン)マイクアレイを用いて、それぞれのマイクユニットの出力に遅延時間を設定し、指向性を制御する収音装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
図11に、ラインマイクアレイの構造を示す。このラインマイクアレイは、細長い筐体に複数のマイクユニット500(500−1〜500−n)をライン上に配列して構成される。各マイクユニット500は、間隔dで等距離に配置されており、マイクアレイの幅はLとなる。
複数のマイクユニット500の前方から垂直に到来する平面音波(同位相の音波)を、それぞれのマイクユニット500で収音し、それぞれのマイクユニット500が出力する音声信号を合成すると、同位相であるために強め合う。一方で、前面以外(例えばラインマイクアレイの側面方向)から到来する音波は、それぞれのマイクユニット500で出力する音声信号の位相が異なるために、合成することで打ち消し合う。したがって、マイクアレイの感度はビーム状に絞り込まれて、前方にのみ主感度(収音ビーム)を形成する。
ここで、それぞれのマイクユニット500から出力する音声信号を一端から他端に向けて順次遅延すると、最大レベルとなる収音方向がその遅延時間に応じて傾斜し、収音ビームを斜め方向に向けることができる。
このように、複数のマイクユニットが出力する音声信号の遅延量を制御することで、目的の方向から音声を収音する(指向特性を制御する)ことが可能である。
図11に示したようなラインマイクアレイにおいては、アレイマイクの幅Lを大きく(例えばマイクユニットの数を多く)すると指向特性が鋭くなり、目的の方向に収音ビームを集中することができる。また、マイクアレイの幅Lを大きくすると、より低周波数帯域側まで指向制御が可能となる。
(マイクユニットの数を同数で)マイクアレイの幅Lを大きくするためには、マイクユニットの間隔dを大きくすればよい。しかし、マイクユニットの間隔dを大きくすると、空間的折り返し現象により、目的とする方向以外にも別の収音ビームが生じるという問題が発生するため、高周波数帯域の指向制御が困難となる。別の収音ビームを発生させずにマイクアレイの幅を大きくするためにはマイクユニットの数を増やさなければならないが、マイクユニットの数を多くするとコストがかかるという問題がある。
一方、スピーカの分野では、例えば特許文献2に示すように、各ユニットを等間隔ではなく、配列原点から順にスピーカ間距離を広げることが提案されている。
特開平5−91588号公報 特許第3274470号公報
特許文献2に記載されているスピーカシステムは、上記のような問題を解決するために、配列原点から対数的にスピーカユニット間距離を広げることが記載されている。つまり、原点付近のスピーカユニットは非常に密に配列されることとなる。しかしながら、原点付近のスピーカユニット間距離は、スピーカユニットの寸法により制限される。つまり、スピーカユニットを重ねて配列することはできず、物理的には各スピーカユニットを接触して配列することが限界である。また、厳密にはスピーカユニットの周囲にはユニットを保持するフレーム(バッフル)が必要となるので、ユニットを接触して配列することは不可能と言える。
したがって、特許文献2のような配列は、ユニット数を少なくしながらアレイの幅を広げることは可能であるが、配列原点付近ではユニットを十分に密にできず、原点から少し離れると(原点からユニットを数個程度配列すると)急激にユニット間距離が広がるという構成であった。そのため、別の音声(収音)ビームを発生させずに、高周波数帯域の指向制御を向上させるにはスピーカ(マイク)の品質と設置環境とを考慮して放音(収音)性能に妥協が必要であった。
この発明は、コストを抑えながら、高周波数帯域ならびに低周波数帯域の指向制御特性を向上した収音装置を提供することを目的とする。
この発明の収音装置は、複数のマイクユニットを直線上に配列した収音装置であって、前記マイクユニットを、配列の最も内側である配列原点から所定数等間隔に配列した密配列区間、前記密配列区間よりも外側で、配列原点からのユニット数に基づいて各ユニット間距離が広がるように配列した疎配列区間、で配列したことを特徴とする。
この発明では、マイクユニットを等間隔に配列するのではなく、位置によってユニット間の距離が異なるように配列する。つまり密となる配列区間と疎となる配列区間を設定する。密配列区間においては、等間隔で所定数(例えば10個)のマイクユニットを配列する。ユニット間距離dは、収音装置を使用する環境に応じて適宜設定すればよい。疎配列区間においては、配列ユニット数に基づいてユニット間距離を広げる。つまり、配列原点付近は等間隔に例えば10個配列し、11個目より外側は、徐々にユニット間距離を広げながら配列することとなる。これにより密配列区間においてはユニット間距離dを小さくして高周波数帯域の指向制御特性を確保し、疎配列区間においてはアレイ幅Lを大きくして低周波数帯域の指向制御特性を確保することができる。
この発明は、さらに、前記疎配列区間は、前記密配列区間におけるユニット間距離の整数倍にユニット間距離が広がるようにマイクユニットを配列したことを特徴とする。
この発明では、密配列区間においてはユニット間距離dで等間隔に配列するが、疎配列区間は「d×整数」でユニット間を広げながら配列する。つまり、配列原点付近は等間隔距離dで10個配列し、10個目と11個目との距離は2dで配置、11個目と12個目との距離は3dで配置、という様に配列する。これにより、各ユニットを等間隔dで配列したアレイから複数のユニットを間引きして配列した様な構成となり、遅延時間の計算が簡略化するため処理速度の向上が期待できる。
この発明によれば、配列原点付近の密配列区間においてはユニットを等間隔に配列し、原点から離れた疎配列区間においてはユニット間距離を広げることによって、コストを抑えながら、高周波数帯域ならびに低周波数帯域の指向制御を向上することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態である音声信号送受信装置1について詳細に説明する。音声信号送受信装置1は、ネットワーク(LAN、インターネット等)に接続され、ネットワークを介して相手方の音声信号送受信装置1との間で音声信号の送受信を行い、相手方の音声信号送受信装置1との間で音声会話を行うものである。また、複数のマイクユニットからなるマイクアレイを用いて、それぞれのマイクユニットの出力に遅延時間を設定し、指向性を制御するものである。
図1は、音声信号送受信装置1の外観を示す斜視図である。以下の説明において、音声信号送受信装置1の前方側をY、後方側を−Y、右側をX、左側を−Xと記載する。図2(A)は、図1で示す音声信号送受信装置1の平面図、同図(B)は、音声信号送受信装置1を−Y側から見た背面図であり、同図(C)は、音声信号送受信装置1をY側から見た正面図である。図3(A)は、音声信号送受信装置1をX側から見た右側面図であり、同図(B)は、音声信号送受信装置1を−X側から見た左側面図である。
音声信号送受信装置1は、長尺の略直方体形状の装置本体2が、その両側に外嵌する略ロ字状の脚部3によって設置面から所定の高さで支持される。装置本体2は、筐体として上面パネル20、下面グリル21、側面パネル22(22A、22B)を有し、この筐体内部にスピーカアレイ231(図4を用いて後述)を備えた長尺のスピーカ装置23(図6を用いて後述)と、2列のマイクアレイ331(図5、および図6を用いて後述)を備える。
スピーカアレイ231は、スピーカ装置23の下面に長手方向に一列に設けられ、マイクアレイ331はスピーカ装置23の長手方向の両側面に一列ずつ設けられている。なお、スピーカ装置23、スピーカアレイ231及びマイクアレイ331の構成については詳しくは後述する。
上面パネル20及び側面パネル22は、スピーカアレイ231及びマイクアレイ331を含む内部構造のカバーとしての樹脂パネルであり、上面パネル20は断面U字状の長尺の部材であり、側面パネル22は平板状の部材である。また、下面グリル21は、スピーカアレイ231及びマイクアレイ331の放音、収音を妨げないように、断面略U字状のパンチメッシュの鋼板である。
上面パネル20の上面のX側端部には操作部4が埋め込まれているとともに、略中央にはLED点灯部5が埋め込まれている。操作部4は、図2(A)で示すように、−X側に設定状態等を表示するためのLCD(Liquid Crystal Display)41、X側にテンキー等の通信のための操作ボタン群42が位置するように並列に備える。
更に、操作部4は、LCD41及び操作ボタン群42のY側に操作ボタン群43及び操作ボタン群44を並列的に備える。操作ボタン群43は操作ボタン群44より−X側に配置され、ボリュームのアップ、ダウンやミュートを指示するためのものである。操作ボタン群44は、本音声信号送受信装置1の設定を変更するためのものである。この設定には、たとえば後述する第1の点灯モード、第2の点灯モードのうちいずれか1の選択設定などがある。
なお、LCD41、操作ボタン群42〜44は、いずれもY側を下にして配設されており、Y側から操作及び操作確認を行うことができるようになっている。
LED点灯部5は、−Y側及びY側に複数(本実施形態では各5個)の線状のLED51を備える。複数のLED51はX−X方向に延びる同じ放物線上に位置するように配置されている。各LED51の点灯は上面パネル20の内側に取り付けられた図略の点灯制御部によって独立して制御される。具体的には、操作ボタン群44によって、第1の点灯モードが設定されている場合には、各LED51のうち後述のスピーカアレイ231からの音声ビームの指向方向が点灯するように制御される。これによって、ユーザは音声ビームの指向方向を確認することが可能になっている。
また、第2の点灯モードが設定されている場合には、後述するマイクアレイ331の収音ビームの指向方向が点灯するように制御される。なお、Y側のマイクアレイ331についてはY側のLED51群が点灯し、−Y側のマイクアレイ331については−Y側のLED51が点灯する。これによって、音声が入力されているかどうかを確認することが可能であるとともに、ユーザは収音ビームの指向方向を確認することが可能になっている。
本実施形態では、音声信号送受信装置1は、複数の領域に収音ビームを制御し、それぞれの領域における収音レベルに基づき話者の位置を検出する機能を備えるため、第2の点灯モードではユーザは話者の位置が誤検出されていないかを確認することが可能となる。
また、入出力された音声の音量によって発光態様が変わるように制御される。これによって、ユーザは音声の入出力が十分な音量でなされているかを確認することが可能となる。
X側の側面パネル22(22A)には、外部機器とのコネクタ群6が埋め込まれている(図3(A)を参照)。コネクタ群6は、LANやインターネット等のネットワークに接続するためのネットワーク端子61、オーディオ機器に接続するためのオーディオ入力端子62A及びオーディオ出力端子62B、電源に接続するための電源端子63からなる。
ネットワーク端子61にネットワークケーブルのプラグ(図略)を挿入することで、音声信号送受信装置1をネットワークに接続することが可能となる。これによって、本音声信号送受信装置1をネットワークに接続し、相手方の音声信号送受信装置1と通信可能に接続することができる。このため、相手方の音声信号送受信装置1との間で通話や音声会議を行うことができ、これによって、本音声信号送受信装置1をIP電話機や音声会議装置として用いることができるようになっている。
上述したように、コネクタ群6を1側面に向かって配設したことで、コネクタ群6を音声信号送受信装置1の上面に配設する構成に比較して、音声信号送受信装置1のコンパクト化を図ることが可能となる。
図4は、音声信号送受信装置1の下面グリル21を外した状態の底面図である。図5(A)は、上面パネル20および下面グリル21を外した状態の音声信号送受信装置1を−Y側から見た背面図であり、同図(B)は、上面パネル20および下面グリル21を外した状態の音声信号送受信装置1をY側から見た正面図である。図6は、図4の音声信号送受信装置1の斜視図である。図7は、図4の音声信号送受信装置1のA−A断面図である。
スピーカアレイ231、マイクアレイ331はともにスピーカアレイ231のバッフルを兼ねたフレーム25に取り付けられている。フレーム25は、長方形の金属製板材の四隅が上に折り曲げられた箱状の部材である。スピーカアレイ231はフレーム25の底面内側に下向きに取り付けられ、マイクアレイ331はフレーム25の側面に埋め込まれている。
また、フレーム25の上側には、スピーカアレイ231の側面を覆うように長尺な筒状の枠体232の下端が配置されており、枠体232の上端にはスピーカアレイ231の背面を覆うようにフレーム25の底面と略同寸法の天板233が配置されている。
フレーム25の側面(長手方向の折り曲げ部)には上方に延びるように金属製の板状部材である支持板26がビス27Aによって取り付けられており、支持板26の上端は内側に屈曲されている。この屈曲部分と天板233の短手方向の端部とがビス27Bによって取り付けられており、これによって。枠体233を天板233とフレーム25の底面によって挟持させている。
上述したようにスピーカアレイ231の筐体23Aは、フレーム25、天板233、および筒状の枠体232に囲まれた部分で形成される。筐体23Aの上面(天板233の上面)には、スピーカアレイ231およびマイクアレイ331の指向性制御等を行う制御部(図略)を搭載した基板(図略)が取り付けられる。スピーカ装置23は、制御部、筐体23A、およびスピーカアレイ231で構成される。
スピーカアレイ231は、複数(例えば16個)のスピーカユニット254がライン状に等間隔に配列されてなり、フレーム25の底面には各スピーカユニット254の位置にスピーカユニット254の内径と同寸法の孔251が形成され、この孔251に合わせてスピーカユニット254の放音側の部分が重ねられている。このように、孔251にスピーカユニット254を重ねた状態でフレーム25の底面とスピーカアレイ231がビス252によって取り付けられている。これによって、放音面が該底面からのぞくように取り付けられ、該底面から各スピーカユニット254の音声を出力することができるようになっている。
スピーカアレイ231を音声信号送受信装置1の底部に配置したことで、ユーザにとって操作性の良いスペース(上面)に操作部4やLED点灯部5を配置しながらも、操作部4やLED点灯部5の配置スペースとスピーカアレイ231の配置スペースを幅方向(Y−Y方向及びX−X方向)で共用することができ、音声信号送受信装置1のコンパクト化を図ることが可能となる。また、スピーカアレイ231からの音声ビームは音声信号送受信装置1の下方に出力されるが、音声信号送受信装置1は脚部3によって設置面(例えば机の天板)から所定の高さで支持されているため、この設置面に反射されて斜め上方に伝搬する。これによって、音声信号送受信装置1の上面にスピーカアレイ231を配置するのと同様の効率の良さで音声ビームをユーザに提供することが可能となる。
また、脚部3は内空構造になっているため、スピーカアレイ231による放音や接地面での反射音を妨げることなくユーザに音声を提供することが可能となっている。
制御部(図略)はネットワーク端子61を介して入力した相手方の音声信号送受信装置1からの音声信号に遅延時間を付与して、D/A変換し、レベルの増幅を行って、スピーカアレイ231に入力することで音声ビームの指向性制御を行うものである。制御部は、各スピーカユニット254に入力する音声信号の遅延量をコントロールすることで音声ビームの指向性制御を行う。
マイクアレイ331は、フレーム25の両側面(長手方向の折り曲げ部)に亘って、ライン状に配列された複数(例えば16個)のマイクユニット353から成る。マイクアレイ331は、マイクユニット353の位置に切り欠き261が形成された支持板26によってフレーム25の反対側から支持されており、切り欠き261にマイクユニット353が嵌め込まれた状態でフレーム25と支持板26とがビス止めされている。
各マイクユニット353は配列の最も内側(本実施形態では中心位置)である配列原点から左右(X側と−X側両方向に)対称に、内側の所定数(例えば10個)は等間隔に密に配列されており、それよりも外側はユニット間距離が広がるように配列されている。図5(A)、および図5(B)に示すように、内側10個のマイクユニット353Aは、等距離に配置されている。この10個のマイクユニット353Aが配置される区間(この区間を密配列区間と言う)においては、各ユニット間は距離dで配列されている。一方でこの区間よりも外側のマイクユニット353B〜Dは、ユニット数に基づいてユニット間距離を整数倍(d×整数)に広げて配列されている(この区間を疎配列区間と言う)。つまり、内側10個は距離dで配列し、それよりも外側は、ユニット間距離を距離2d、距離3d、距離4dと広げて配列する。
同図(A)、および同図(B)においては、一列に16個のマイクユニット353が配置されており、密配列区間の内側10個のマイクユニット353Aは距離dで配列され、その外側2個のマイクユニット353Bはマイクユニット353Aと距離2dで配列、さらにその外側2個のマイクユニット353Cはマイクユニット353Bと距離3dで配列、さらにその外側2個のマイクユニット353Dはマイクユニット353Cと距離4dで配列されている。つまり、疎配列区間においては、本来等間隔に設置すべきマイクユニット353の一部を省いて(距離2dでは間1個を省き、距離3dでは間2個を省き、距離4dでは間3個を省き)配列した構成となる。これにより、距離dで等間隔に配列したマイクアレイのマイクユニット必要個数28個よりも格段に少ないマイクユニット個数(16個)でありながら同様のアレイ幅を確保できることとなる。
マイクアレイ331は、上述した筐体23A上の制御部(図略)に接続されており、各マイクユニット353で収音した各信号は制御部に出力される。この出力された各信号はA/D変換後に遅延時間を付与され、合成されることによって指向性制御が行われる。合成された信号は、ネットワーク端子61(図1を参照)を介して相手方の音声信号送受信装置1に送信される。
ここで、マイクアレイの原理について説明する。図8は、マイクアレイの原理を説明するための図である。同図(A)には、全てのマイクユニット353に前方から同位相で音波が到来した場合を示している。全てのマイクユニット353に同位相で音波が到来すると、個別のマイクユニット353から出力されたオーディオ信号は、合成によって強められる。一方で、これ以外の方向から音波が到来すると、各マイクユニット353から出力されるオーディオ信号はそれぞれ位相が異なるために合成されることによって弱められる。したがって、マイクアレイの感度はビーム状に絞り込まれて前方にのみ主感度(収音ビーム)を形成する。
同図(B)は、収音ビームを斜めにする場合を示している。同図(B)では、収音ビームを、正面から右方向のθの角度に形成している。この場合、収音ビームの方向の端部(右端)から音波が到来し、収音ビーム方向と反対の端部(左端)に最後に音波が到来するので、左側のマイクユニット353から時間τが経過する毎に順次右隣のマイクユニット353から音声信号を出力するようにする。このように、一列に並んでいるマイクユニット353から出力するオーディオ信号を一端から他端に向けて順次遅延することにより、収音ビームは、図示のようにその遅延時間に応じて傾斜する。
この傾斜角度θは、音速をvとすると、sinθ=vτ/dの関係になる。したがって、τを制御することによって収音ビームの角度θを制御できることになる。
図9は、収音ビーム制御角度の例を示した図である。同図(A)に示すグラフの横軸はθ、縦軸はアレイマイクのゲイン(Gとする)を表す。同図(A)において、θ=0を目的の収音ビーム方向とし、ゲインGは、θ=0で最大となる。θ=0から離れるにつれて、各マイクユニットから出力された音声信号が打ち消されてゲインGは低下し、θ=±θ1で零となる。目的の収音ビーム方向θ=0を挟んでゲインGが零になるまでの幅をビーム幅とする。このゲインGが零となるθ1、つまり収音ビームの幅は、周波数をfとすると、以下のような数式で決定される(ただし、nはスピーカユニット数とする)。
θ1=sin−1(v/fdn)・・・数式1
ここで、例えば各マイクユニットが間隔dで等距離に配置されているとすると、マイクアレイの幅Lは、L=d(n−1)で表され、ビーム幅θ1は、数式1により、マイクユニットの間隔d、アレイマイクの幅L、および周波数fによって決定される。
同図(B)は、同図(A)の条件において、マイクユニット間の距離dを4倍(つまりアレイマイクの幅Lを4倍)とした場合の角度θとゲインGの関係を示した図である。同図(B)に示すグラフにおいても横軸はθ、縦軸はゲインを表す。同図(B)においてビーム幅は、同図(A)に示したビーム幅よりも小さく、目的の方向に鋭い指向特性を有している。また、数式1の関係から、周波数fを4倍としても同図(B)に示すようなビーム幅が得られる。
同図(C)は、同図(A)の条件において、周波数fを1/4とした場合の角度θとゲインGの関係を示した図である。同図(C)に示すグラフにおいても横軸はθ、縦軸はゲインを表す。同図(C)においては、ゲインGが零となるθ1が存在しない、つまり収音ビームを形成しない。このような低い周波数において収音ビームを形成するためにはマイクアレイの幅Lを大きくする必要がある。
同図(D)は、同図(A)の条件において、周波数fを8倍とした場合の角度θとゲインGの関係を示した図である。同図(D)に示すグラフにおいても横軸はθ、縦軸はゲインを表す。同図(D)においては、θ=0以外の方向にも収音ビームが生じている。これはいわゆる空間の折り返し現象と呼ばれるものであり、d≧v/2fとなる周波数において同図(D)に示すような現象が発生する。このような高い周波数において別の方向に収音ビームを発生させないためにはマイクユニットの間隔dを小さくする必要がある。
このように、マイクアレイは、指向制御可能となる周波数帯域が制限されており、この周波数帯域よりも低い周波数では図9(C)のように指向特性が無くなり、高い周波数では図9(D)のように、目的の方向以外にも収音ビームが生じてしまう。
ここで、図5に示したような本実施形態のマイクユニット配列構成によれば、配列内側の密配列区間では多数(10個)のマイクユニットが距離dで等間隔に配列されるため、別の収音ビームを発生させずに高周波数帯域の指向制御特性を確保することができる。一方で配列外側の疎配列区間ではコストを抑えた少ないマイク個数でありながらアレイ幅Lを大きくして低周波数帯域の指向制御特性を確保することができる。
したがって、高周波数帯域の指向制御には大きなアレイ幅は必要としないが、空間的折り返し現象を発生させないためにユニット間距離dを小さくすることが求められ、一方で低周波数帯域の指向制御にはユニット間距離dを小さくする必要はないが大きなアレイ幅が求められる、といったトレードオフの関係を解決することとなる。また、疎配列区間においては、不均等(不規則)な配列ではなく、本来設置すべき位置のマイクユニットを省くといった配列構成(整数倍にユニット間距離が広がる構成)であるから、図10に示すように、疎配列区間におけるマイクユニットの遅延時間の制御が容易(等間隔配置の場合の遅延時間×整数倍)であり、複雑な計算を必要としないため、高速な信号処理が期待できる。
なお、本実施形態においては、マイクアレイ331が複数列配設される構成であるが、本発明はこの構成に限定されず、マイクアレイ331A、331Bのうちいずれか一方が配設されればよい。
また、スピーカアレイ、およびマイクアレイの配設面は本実施形態の構成に限るものではなく、例えばスピーカアレイ、マイクアレイの両方を上面に設けてもよいし、正面に設けてもよい。
音声信号送受信装置の外観を示す斜視図 音声信号送受信装置の平面図、背面図、および正面図 音声信号送受信装置の側面図 音声信号送受信装置のグリルを外した状態の底面図 音声信号送受信装置のラインマイクアレイを示す図 音声信号送受信装置の斜視図 図4の音声信号送受信装置のA−A断面図 アレイマイクの原理を説明するための図 音声ビーム制御角度の例を示した図 本実施形態におけるマイクアレイの収音態様を説明する図 従来のラインアレイマイクを示す図
符号の説明
1−音声信号送受信装置
2−装置本体
3−脚部
4−操作部
231−スピーカアレイ
254−スピーカユニット
331−マイクアレイ
353−マイクユニット

Claims (2)

  1. 複数のマイクユニットを直線上に配列した収音装置であって、
    前記マイクユニットを、配列の最も内側である配列原点から所定数等間隔に配列した密配列区間、
    前記密配列区間よりも外側で、配列ユニット数に基づいて各ユニット間距離が広がるように配列した疎配列区間、
    で配列したことを特徴とする収音装置。
  2. 前記疎配列区間は、前記密配列区間におけるユニット間距離の整数倍にユニット間距離が広がるようにマイクユニットを配列したことを特徴とする請求項1に記載の収音装置。
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