JP2007127610A - 形状認識装置及び歪評価装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スプリングバックなどによる変形が発生していたとしても被測定面の形状認識を正確に行うことができる形状認識装置を提供する。
【解決手段】被測定面の三次元計測データに基づいて形状認識を行う形状認識装置50が被測定面の凹凸を表す計測データの二次元断面データのうち、断面の長さ方向に沿った複数の第1データ群に対して、一定の曲率を有する第1近似曲線を夫々適用する近似曲線適用手段43と、複数の第1近似曲線の曲率を導出する曲率導出手段44と、曲率導出手段44により導出された複数の曲率の、断面の長さ方向に沿った変化データに基づいて、曲率が断面の長さ方向に沿って一様な一様範囲を決定する一様範囲決定手段45と、二次元断面データのうち一様範囲決定手段45が決定した一様範囲内に存在する第2データ群に関して、一定の曲率を有する第2近似曲線を導出する近似曲線導出手段46とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、被測定面の三次元計測データに基づいてその被測定面の形状認識を行う形状認識装置、及び、認識された被測定面の形状を用いて歪の評価を行う歪評価装置に関する。
鋼板を用いて作製された車両のボディ表面には、鋼板の板厚・組成などに応じて、設計通りに作製されたのとは異なる形状(つまり、歪)が発生することがある。そして、その歪が許容できる程度のものであるか否かの判定が、熟練した人間の感性による官能評価に依って行われている。但し、長い年月の間、様々な歪を見てきた経験のある熟練者でなければ、歪の程度の評価を一定の基準の下で的確に行えない。そのため、ボディ表面などの被測定面の歪から何らかの特徴を機械的に抽出して、歪の程度の官能評価を定量的に行うことを目的とした歪評価装置が提案されている。
特許文献1に記載の歪評価装置は、被測定面の計測データと、CAD装置に予め記憶されている被測定面のCADデータとを比較し、被測定面上の各点での差分データを作成している。そして、その差分データに基づいて被測定面の歪の評価を行っている。つまり、特許文献1に記載の歪評価装置は、差分データに含まれる情報が被測定面の歪の情報のみであるという考えに基づいた処理を行っている。
特開2003−21511号公報
鋼板を用いて実際に作成されたボディ表面には、上述した歪などとは別にスプリングバックなどの若干の変形が発生していることがある。その場合、被測定面の実際の計測データはCADデータとは一致しなくなる。そして、上記差分データには、歪を表す情報に加えて、スプリングバックを表す情報も含まれることになる。しかしながら、スプリングバックを表す情報は、被測定面の本来の形状を表す情報であり、歪ではない。つまり、上述した特許文献1に記載の歪評価装置は、被測定面の本来の形状と、その形状に発生している歪とを別々に認識できていない。
以上のように、従来の歪評価装置は、被測定面の不正確な形状認識に基づいて被測定面の歪の評価を行っているため、正確な歪の評価を行っているとは言えない。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、スプリングバックなどによる変形が発生していたとしても被測定面の形状認識を正確に行うことができる形状認識装置を提供する点にあり、加えて、その形状認識の結果に基づいて正確な歪評価を行える歪評価装置を提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る形状認識装置の特徴構成は、被測定面の三次元計測データに基づいて形状認識を行う形状認識装置であって、前記被測定面の凹凸を表す計測データの二次元断面データのうち、前記断面の長さ方向に沿った複数の第1データ群に対して、一定の曲率を有する第1近似曲線を夫々適用する近似曲線適用手段と、複数の前記第1近似曲線の曲率を導出する曲率導出手段と、前記曲率導出手段によって導出された複数の曲率の、前記断面の長さ方向に沿った変化データに基づいて、曲率が前記断面の長さ方向に沿って一様である一様範囲を決定する一様範囲決定手段と、前記二次元断面データのうち、前記一様範囲決定手段が決定した前記一様範囲内に存在する第2データ群に関して、一定の曲率を有する第2近似曲線を導出する近似曲線導出手段と点にある。
上記特徴構成によれば、近似曲線適用手段が、前記被測定面の凹凸を表す計測データの二次元断面データのうち、前記断面の長さ方向に沿った複数の第1データ群に対して、一定の曲率を有する第1近似曲線を夫々適用し、複数の前記第1近似曲線の曲率を導出することで、つまり、断面の長さ方向に沿った各位置における局所的な曲率を導出することで、断面の長さ方向に沿った曲率変化の傾向を知ることができる。
加えて、一様範囲決定手段が、前記曲率導出手段によって導出された複数の曲率の、前記断面の長さ方向に沿った変化データに基づいて、曲率が前記断面の長さ方向に沿って一様である一様範囲を決定し、近似曲線導出手段が、前記二次元断面データのうち、前記一様範囲決定手段が決定した前記一様範囲内に存在する第2データ群に関して、一定の曲率を有する第2近似曲線を導出するように構成されている。つまり、断面の長さ方向に沿って曲率が一様である、即ち、被測定面の断面形状がほぼ一定の曲率である一様範囲を決定でき、その一様範囲に存在する第2データ群を抽出できる。従って、第2データ群に関して導出された、一定の曲率を有する第2近似曲線は、被測定面の断面形状がほぼ一定の曲率である部分に相当する。
以上のように、本発明に係る形状認識装置を用いることで、スプリングバックなどによる変形の有無に拘わらず、断面形状がほぼ一定の曲率である被測定面の部分の二次元断面データを抽出できる。その結果、歪を含まない被測定面の本来の形状を知ることできる。
上記目的を達成するための本発明に係る歪評価装置の特徴構成は、前記一様範囲内に存在する前記第2データ群を前記第2近似曲線と比較して、前記第2近似曲線からの逸脱量が設定許容差以上のデータを歪データとして抽出する歪データ抽出手段を備える点にある。
上記特徴構成によれば、歪を含まない被測定面の本来の形状を表す第2近似曲線と第2データ群と比較することで、第2データ群に含まれる被測定面の本来の形状とは異なる形状を抽出し、それを歪データとすることができる。従って、歪の正確な評価が可能となる。
本発明に係る歪評価装置の別の特徴構成は、前記歪データ抽出手段は、前記二次元断面データのうち、前記第1近似曲線の曲率が設定曲率以上である前記第1データ群に対応するデータに対しては前記歪データの抽出は行わないように構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、曲率が設定曲率以上である部分、つまり、被測定面の形状が当初より急激に変化している部分では、例え歪が発生していたとしても目立たないため、歪評価において無視しても構わない。その結果、不要な歪評価を行わないようにして、ハードウェア資源を有効に活用できる。
図1は、被測定面の形状を三次元で計測する非接触三次元計測システム、並びに、本発明に係る形状認識装置50及び歪評価装置40の機能ブロック図である。この非接触三次元計測システムは、鋼板を金型でプレス加工して作製されたドアパネルやボディなどの形状を非接触で三次元計測するものである。このシステムは、まず、測定ヘッド移動手段としてのロボットハンド10と、ロボットハンド10による例えばドアパネル表面追従走査の下で位相シフトしながら被検査面上に投影される格子パターンの撮像画像を縞解析して撮像画像の画素毎に三次元座標値を求め、画素毎に三次元距離データを割り当てられた測定画像(正確には画像を構成する画素の値が三次元距離データであり、一般的な画像とは異なるが、ここでは理解し易いように測定画像と呼ぶことにする)を出力する非接触三次元測定手段20とを備える。さらに、この非接触三次元測定手段20から順次送られてくる、ドアパネル表面の一部の測定画像を処理してドアパネル表面全体の三次元計測データを生成する三次元計測コンロトールユニット30を備えている。また、形状認識装置50及び歪評価装置40は、コンピュータなどの演算処理装置と所定のプログラムとの組み合わせによって実現できる。
ロボットハンド10自体は公知のものであり、先端に三次元位置移動可能なツール装着部11aを有するアーム機構11と、このアーム機構11の動きを制御するロボットハンドコントローラ12とからなる。
非接触三次元測定手段20は、格子パターンを被測定面に投影するプロジェクタとして機能する縞投影部21aと被測定面に投影されて変形した格子像を撮影するカメラ部21bとからなる測定ヘッド21と、縞投影部21aやカメラ部21bを制御する制御部22と、カメラ部21bから送られてきた撮像画面の画像を分析して上述した測定画像を生成出力する三次元距離データ測定部23とを備えている。このような非接触三次元測定手段20は、格子パターン投影に位相シフトを組み合わすことによってより精度の高い測定が可能となるが、その測定原理や仕組みは公知であり、例えば、特開2004−317495号公報や特開2002−257528号公報に説明されている。測定ヘッド21はロボットハンド10のツール装着部11aに取り付けられているので、任意の三次元位置に移動して三次元測定を行うことができる。
上述のようにして生成された三次元計測データは、三次元計測コントロールユニット30から形状認識装置50を備える歪評価装置40へ渡される。以下に、形状認識装置50及び歪評価装置40の構成と、形状認識装置50を用いて行われる被測定面の形状認識方法並びに歪評価装置40を用いて行われる歪評価方法とについて説明する。
本発明に係る形状認識装置50は、近似曲線適用手段43と、曲率導出手段44と、一様範囲決定手段45と、近似曲線導出手段46とを備える。更に、形状認識装置50は、三次元計測コントロールユニットで生成された三次元計測データのデータ変換を行うデータ変換手段41と、そのデータのノイズ除去を行うノイズ除去手段42とを備える。
また、本発明に係る歪評価装置40は、被測定面に存在する歪データを抽出する歪データ抽出手段47を備え、更に、入力されたデータ・演算処理中のデータ・演算処理後のデータなど、取り扱われる種々のデータを表示可能な表示手段48とを備える。
上述したデータ変換手段41・ノイズ除去手段42・近似曲線適用手段43・曲率導出手段44・一様範囲決定手段45・近似曲線導出手段46、及び、歪データ抽出手段47は、形状認識装置50及び歪評価装置40を構成するコンピュータなどの演算処理装置によって実現される。
図2は、データ変換手段41によるデータ変換を説明する図である。上記データ変換手段41は、被測定面の表面形状を三次元で表す点群データである三次元計測データを、後の処理において利用し易いデータにするためにデータ変換する機能を実現する。図2において、三次元計測データの実測データは白丸で表し、変換後の変換データは黒丸で表す。具体的には、データ変換手段41は、実際の三次元計測データからX−Y平面の格子点上のデータを演算して、実際の三次元計測データを構成する点群データをX−Y平面の格子点上の点群データに変換する。
図3は、ノイズ除去手段42によるノイズ除去を説明する図である。ノイズ除去手段42は、ノイズ除去の対象とする特定点Pと、その特定点Pに対して間隔をおいて隣接する点との比較を行う。本実施形態において、ノイズ除去手段42は、特異点Pを挟むようにして二つ離れて存在する点Pv+2,Pv−2と、特異点PとのZ値(被測定面の高さ方向の値)との比較を行う。
図3のグラフA−1に示すように、ノイズ除去手段42は、特定点Pからの差異が大きい方の点Pv−2との差異値Dvを導出し、その差異値Dvを許容差異値Diと比較する。そして、図3のグラフA−1に示すようにDv<Diであれば、図3のグラフB−1に示すように、特異点Pを隣接するデータの近似線上に補正するスムージング処理を行う。
他方で、図3のグラフA−2に示すように、ノイズ除去手段42は、特異点Pと点Pv+2とを比較したときDv>Diであれば、図3のグラフB−2に示すように、特異点Pに対するスムージング処理を行わない。以上のようにして、各データ点に対するノイズ除去処理を行うことで、グラフCに示すようなデータ群が得られる。そして、以降の処理では、このノイズ除去されたデータ群を被測定面の三次元計測データ(又は、被測定面の凹凸を表す計測データの二次元断面データ)として用いる。
図4は、近似曲線適用手段43の機能を説明する図である。この近似曲線適用手段43は、被測定面の凹凸を表す計測データの二次元断面データのうち、その断面の長さ方向に沿った複数の第1データ群に対して、一定の曲率を有する第1近似曲線を夫々適用するように構成されている。具体的には、図4(a)に示すように、断面の長さ方向に沿った二次元断面データP、P、P、・・・・の夫々のデータ点に対して第1近似曲線を適用する。
以降の説明では、被測定面の特定の計測データに係る二次元断面データに対する処理を説明するが、被測定面を構成する他の二次元断面データに対しても同様の処理が行われる。
まず、図4(a)に示すように、Pを中心とした、一定間隔の両端の点をPsi,Peiとし、その3点からサークルを描く。このとき設定した公差内に全ての点が収まれば、Piの曲率はその算出した値になる。もし、一点でも公差の外れた点があれば、si=si+1,ei=ei−1とし、公差内に入るまで繰り返す。
これでも最適なサークルを見つけることが出来ない場合がある。
図4(b)では、近似曲線適用手段43が実行するデータ点Pにおける第1近似曲線の適用の手法について説明する。図示したように、一定ピッチ内に形状(〔Pi-5,Pi-3〕区間)または変曲点が存在すれば、形状または変曲点が存在する方(図4(b)では、Psi側)を固定して計算を始める。計算方法は上記と同じであり、(Pi-2,P,Pei)→(Pi-2,P,Pei-1)→(Pi-2,P,Pei-2)→・・・→(Pi-2,P,Pi+2)→(Pi-1,P,Pi+2)→(Pi-1,P,Pi+1)の順でサークル近似する。
これにより、全ての点の曲率を求めることができる。
上記方式でサークルを近似する方法の例を表しているが、その方式が常に固定されているわけではない。より大きく且つ正確なサークルに近似するために両側から点を減らす方法を変更したり、決定されたサークルの近似区間のうち、中心とした点Pを移動することもできる。
図4(c)に例示するのは、以上のようにして作成された第1近似曲線R1,R4,R6の例である。例えば、点Pに対する第1近似曲線R4は、P,P及びPを第1データ群としている。このように、各第1近似曲線は断面の長さ方向に沿った位置情報、即ち、どの点に対して作成されたのかを表す情報と関連付けられ、後の工程に引き渡される。
図5は、曲率導出手段44が導出した、二次元断面データの各点に対して適用された第1近似曲線の曲率のデータである。曲率ρは第1近似曲線の半径Rの絶対値の逆数としている。尚、二次元断面データが上に凸の形状であるときの第1近似曲線の半径の符号を正とし、二次元断面データが下に凸の形状であるときの第1近似曲線の半径の符号を負としている。例えば、図4(a)の第1近似曲線R1、R4の半径の符号は正であり、第1近似曲線R6の半径の符号は負である。
次に、一様範囲決定手段45は、図5に例示したような、曲率導出手段44によって導出された複数の曲率の、被測定面の断面の長さ方向に沿った変化データに基づいて、曲率が断面の長さ方向に沿って一様である一様範囲を決定する。図5では、範囲A及び範囲Cは一様範囲であるが、範囲Bは一様範囲ではない。図5に示すように、一様範囲A及び一様範囲Cにおいて、被測定面の断面の方向に沿って曲率が一様であるということは、その範囲に対応する位置の被測定面が、広い範囲に渡って一定の曲率を有する面であることを意味している。尚、上記A,B,Cの曲率はプラスであり、これらの領域は凸状の曲面である。
本実施形態では、一様範囲内に存在するそれぞれの曲率値には、被測定面の断面方向に沿ったどの位置に対して適用された第1近似曲線の曲率値であるのかに関する情報が関連付けられている。従って、一様範囲決定手段45が曲率の情報に関して一様範囲を決定することは、間接的に、二次元断面データに関して一様範囲を決定していることになる。
その後、近似曲線導出手段46は、二次元断面データのうち、上記一様範囲決定手段45が決定した前記一様範囲内に存在するデータを第2データ群として抽出し、その第2データ群に関して一定の曲率を有する第2近似曲線を導出する。図6は、二次元断面データのうち、特定の一様範囲内に存在する複数のデータ点(第2データ群)を示すグラフである。図示する各点は、被測定面の断面の方向に沿った点であり、各点には上記第1近似曲線の曲率に関する情報が関連付けられている。よって、近似曲線導出手段46は、第2データ群に存在する各点の曲率を平均化することで、第2データ群に関して一定の曲率を有する第2近似曲線を導出できる。また、近似曲線導出手段46は、この第2近似曲線の導出を各一様範囲に対して行う。
以上のように、図6に示す第2近似曲線は、被測定面の特定の範囲に渡って一定の曲率を有する面の断面形状を表す線である。つまり、本発明の形状認識装置50を用いることで、被測定面にスプリングバックによる変形が発生しているか否かに拘わらず、実際に計測された被測定面の二次元断面データのみを用いて、歪などを含まない被測定面自体の形状を認識できる。
更に、本発明に係る歪評価装置40は、形状認識装置50において導出された上記第2近似曲線を用いて被測定面に存在する歪を抽出できる。図1に示すように、歪評価装置40は、上記形状認識装置50において導出された一様範囲内に存在する第2データ群を第2近似曲線と比較して、第2近似曲線からの逸脱量が設定許容差以上のデータを歪データとして抽出する歪データ抽出手段47を備える。具体的には、図6に示すように、歪データ抽出手段47は、第2近似曲線の増加側及び減少側のそれぞれに対して設定許容差d1,d2を設定し、第2データ群を構成するデータのうち、第2近似曲線からの逸脱量がその設定許容差以上であるデータを抽出する。図6に示した例では、データ領域Daに存在するデータの逸脱量は設定許容差未満であるが、データ領域Db及びデータ領域Dcに存在するデータの逸脱量は設定許容差以上である。よって、歪データ抽出手段47は、被測定面の二次元断面データのうち、データ領域Db及びデータ領域Dcに存在するデータを歪データとして抽出する。また、歪データ抽出手段47は、上記近似曲線導出手段46が導出した被測定面を構成する全ての断面における各第2近似曲線を用いて、各一様範囲における歪データの抽出を同様に行う。
但し、歪データ抽出手段47は、被測定面の二次元断面データのうち、第1近似曲線の曲率が凹凸何れの場合も図5に示す設定曲率ρTH以上である第1データ群に対応するデータに対しては、第1近似曲線の曲率が一様であっても、上述したような歪データの抽出は行わない。これは、曲率が設定曲率ρTH以上である部分、つまり、被測定面の形状が当初より急激に変化している部分では、例え歪が発生していたとしても目立たないため、歪評価において無視しても構わないからである。例えば、図4に例示した第1近似曲線R4の曲率が設定曲率ρTH以上であれば、点Pに関して第1データ群を構成する点P,P,Pは歪データではないと見なして上述した歪データの抽出の対象としない。
また、図5に示した範囲Bなど、一様範囲以外の部分に存在するデータに対しても歪データの抽出は行わない。
図7は、車両のボディ表面の給油口付近を被測定面とし、その被測定面において歪データ抽出手段47が抽出した歪データを表示手段48で表示したときの表示画面例である。但し、歪データは、その値の大きさに応じたグレースケールの分布図で描いている。図7からは、歪が給油口の四隅(領域S3,S4,S5,S6)付近に集中的に現れ、その他の部分ではほとんど現れていないことが分かる。
以上のように、形状認識装置50が認識した、歪を含まない被測定面の本来の形状を表す第2近似曲線と、それに対応する第2データ群と比較することで、第2データ群に含まれる被測定面の本来の形状とは異なる形状を抽出し、それを歪データとすることができる。特に、図7の分布図では、第2近似曲線からの逸脱量が設定許容差未満である部分、第1近似曲線の曲率が設定曲率ρTH以上である部分、及び、図5に示した範囲Bなど、一様範囲以外の部分は、領域S1、S2のように平坦面として表示される。つまり、領域S1,S2に対応する被測定面の形状が実際には曲率を持っていたとしても、その曲率を有する部分は歪ではないと認識される。そして、図7のように、歪の存在のみが容易に認識できる分布図が得られる。
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、図1の機能ブロック図において、歪評価装置40が形状認識装置50を含むように図示したが、形状認識装置50と歪評価装置40とを別体で構成してもよい。例えば、形状認識装置50を実現するコンピュータなどの演算処理装置と、歪評価装置40を実現するコンピュータなどの演算処理装置とを別体で構成してもよい。更に、形状認識装置50及び歪評価装置40のそれぞれの機能が複数台の演算処理装置によって実現されるように構成してもよい。
<2>
上記実施形態では、ノイズ除去手段42が、図3を参照して説明した手法を用いて二次元断面データのノイズ除去を行う例について説明したが、ノイズ除去の手法として従来から存在する様々な手法を採用することが可能である。
本発明に係る形状認識装置は、曲率が一定である表面を有する物体であれば、あらゆる物の形状を認識するために利用できる。また、本発明に係る歪評価装置は、自動車等のボディ表面の歪を定量的に評価する際に利用できる。従って、プレス加工により作製された、例えば車両のドアパネル表面に生じた歪を一定の基準の下で適切に発見できるので、そのプレス加工に用いた金型を、以後、歪を発生させないように適切に修正できるようになる。また、微量(0.1mmオーダー)の修正が加わったプレス金型のデータを精度高く表現するためにも形状認識装置を利用できる。このように、本発明の歪評価装置は、プレス加工に用いる金型の検査等についても非常に有用である。
さらに、パネル形状の設計・金型の設計・プレス加工・歪評価・金型修正といった工程を繰り返し行って技術の蓄積を行うことで、歪が発生し難いパネル形状の設計及び金型の設計を行う際のCAE(computer-aided engineering)を含めた予測技術を向上させることができる。
更に、歪の程度の評価結果が定量的に行われることを利用して、人間の感性による歪の程度の官能評価が適当か否かを判定するために、つまり、経験の少ない人間を熟練者へ育成するという技術継承に利用できる。
非接触三次元計測システム、形状認識装置、及び、歪評価装置の機能ブロック図 データ変換手段によるデータ変換を説明する図 ノイズ除去手段によるノイズ除去を説明する図 近似曲線適用手段の機能を説明するグラフ 曲率導出手段が導出した、計測データの二次元断面データの各点に対して適用された第1近似曲線の曲率のグラフ 計測データの二次元断面データのうち、特定の一様範囲内に存在する複数のデータ点(第2データ群)を示すグラフ 被測定面における歪データの表示画面の例を示す図
符号の説明
40 歪評価装置
43 近似曲線適用手段
44 曲率導出手段
45 一様範囲決定手段
46 近似曲線導出手段
47 歪データ抽出手段
50 形状認識装置

Claims (3)

  1. 被測定面の三次元計測データに基づいて形状認識を行う形状認識装置であって、
    前記被測定面の凹凸を表す計測データの2次元断面データのうち、前記断面の長さ方向に沿った複数の第1データ群に対して、一定の曲率を有する第1近似曲線を夫々適用する近似曲線適用手段と、
    複数の前記第1近似曲線の曲率を導出する曲率導出手段と、
    前記曲率導出手段によって導出された複数の曲率の、前記断面の長さ方向に沿った変化データに基づいて、曲率が前記断面の長さ方向に沿って一様である一様範囲を決定する一様範囲決定手段と、
    前記二次元断面データのうち、前記一様範囲決定手段が決定した前記一様範囲内に存在する第2データ群に関して、一定の曲率を有する第2近似曲線を導出する近似曲線導出手段と、を備える形状認識装置。
  2. 請求項1に記載の形状認識装置において導出された、前記一様範囲内に存在する前記第2データ群を前記第2近似曲線と比較して、前記第2近似曲線からの逸脱量が設定許容差以上のデータを歪データとして抽出する歪データ抽出手段を備える歪評価装置。
  3. 前記歪データ抽出手段は、前記二次元断面データのうち、前記第1近似曲線の曲率が設定曲率以上である前記第1データ群に対応するデータに対しては前記歪データの抽出は行わないように構成されている請求項2記載の歪評価装置。
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