JP2007126604A - ポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物及び樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
離型性、耐金型汚染性及び連続成形性が改善され、成形生産性の優れたポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物を提供する。更には、エポキシ化合物の存在下でも、耐加水分解性と離型性等の性能を両立できるポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
(A)ポリアルキレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、(B)炭素数25〜36の高級アルコールから構成される高級脂肪酸エステルを0.005〜5重量部含有することを特徴とするポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物、及び、この樹脂組成物を溶融成形してなる樹脂成形品。
【選択図】 なし
Description
例えば、特許文献1及び2には、離型剤として種々の高級脂肪酸エステルが開示されており、その構成成分である脂肪酸成分としては、炭素数10〜36と広い範囲のものが示されている。一方、アルコール成分については、一価や多価のものが開示されているが、多価アルコールとしては、炭素数10以下の低分子化合物のみが開示されており、一価アルコールについても、具体例として開示されているのは炭素数20以下の例のみである。このような炭素数10〜36の脂肪酸と炭素数20以下の一価アルコールから構成される脂肪酸エステルは、鯨蝋から安価に工業的に生産され広く使用されてきた。
これらの文献においては、機械的物性や外観等の特性については着目しているが、離型性や耐金型汚染性、連続成形性という観点については、何ら着目されていない。
従って、耐加水分解性が要求される用途においても、潤滑性、耐金型汚染性及び連続成形性に優れる樹脂組成物が望まれていた。
(A)ポリアルキレンテレフタレート樹脂
本発明における(A)ポリアルキレンテレフタレート樹脂としては、単独のポリアルキレンテレフタレート樹脂の他、アルキレンテレフタレートのコポリエステル、複数種類のポリアルキレンテレフタレート樹脂の混合物などが挙げられる。
高級脂肪酸エステルは、高級アルコール成分と脂肪酸成分とから構成されるが、本発明においては、(A)ポリアルキレンテレフタレート樹脂に、特定の炭素数の高級アルコールから構成される高級脂肪酸エステルを配合することを特徴とする。これにより、樹脂組成物の潤滑性、耐金型汚染性及び連続成形性が改善されるというメリットがある。
また、(B)高級脂肪酸エステルの具体例としては、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、セロチン酸エステル等が挙げられるが、中でもパルミチン酸ミリシルが特に好ましい。
本発明でワックスを使用する場合には、上述した特定の(B)高級脂肪酸エステルを50重量%以上、更には60重量%以上、特には65重量%以上含有するワックスを使用するのが好ましい。
蜜蝋はミツバチの腹部にある蝋線から分泌され、ミツバチの巣の主成分をなしている蝋であり、蜜蝋の65〜75重量%を占める成分である蝋ワックスは、12〜36の偶数の炭素数を有する直鎖状脂肪酸と、24〜36の偶数の炭素数を有する一価の直鎖状高級アルコールとからなる高級脂肪酸エステルであり、この蝋ワックスの主成分は、パルミチン酸ミリシル(C16H31O2・C30H61)である。
このように蜜蝋には、本発明の特定の(B)高級脂肪酸エステルであるパルミチン酸ミリシルが含有されているため、この蜜蝋を(A)ポリアルキレンテレフタレート樹脂にそのまま配合することにより、本発明の効果を達成することが可能となる。
本発明の樹脂組成物には、更に(C)エポキシ化合物を配合することが好ましい。これにより、ポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物の耐加水分解性を向上させることができ、上述した(A)ポリアルキレンテレフタレート樹脂、及び(B)高級脂肪酸エステルと組み合わせて使用することにより、離型性、耐金型汚染性及び連続成形性にも優れた樹脂組成物とすることができる。
(一般式(I)中、Xは、各々独立に、水素原子又はハロゲン原子を表し、Yは、各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルキリデン基、炭素数3〜10のシクロアルカン基、カルボニル基、−O−、−S−、−SO2−、又は直接結合を表し、nは6〜20の数平均重合度を表す)。
このようにして得られた樹脂成形品は、耐加水分解性が要求される成形品の射出成形においても、優れた離型性、耐金型汚染性及び連続成形性を示し、耐加水分解性と離型性等の性能を両立できるため、コネクタ等の電気・電子部品、特には自動車部品に好適である。
(A)ポリアルキレンテレフタレート樹脂
(a−1)ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT−1):三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製 商品名ノバデュラン(登録商標)(A)、固有粘度=1.2
(a−2)ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT−2):三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製 商品名ノバデュラン(登録商標)(B)、固有粘度=0.85
(b−1)蜜蝋:三木化学社製 商品名ゴールデンブランドパウダー(パルミチン酸ミリシル(アルコール成分の炭素数は30)含有量=67〜72重量%、遊離脂肪酸含有量=13〜16重量%、炭化水素含有量=10〜14重量%、遊離アルコール含有量=1〜2重量%)
(b−2)ステアリルステアレート:理研ビタミン社製 商品名SL−900(アルコール成分の炭素数は18)
(c−1)ビスフェノールAのジグリシジルエーテル:旭電化工業社製 商品名アデカサイザー EP−17、エポキシ当量=185g/eq当量、分子量=370
(c−2)ビスフェノール型エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン社製 商品名エピコート1010K、エポキシ当量=3000〜5000g/eq当量、分子量=5500
(c−3)臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂:阪本薬品社製 商品名SR−T5000、エポキシ当量=5000
なお、上記(c−2)と(c−3)のエポキシ当量は、後述する方法により測定した。
(d−1)ガラス繊維(GF):日本電気硝子社製 商品名T−187
(d−2)三酸化アンチモン(Sb2O3):鈴裕化学社製 商品名AT−3CN
本発明で使用するエポキシ樹脂のエポキシ当量は、以下の方法により測定した。即ち、エポキシ樹脂0.1mgを80mlのジクロロメタンに溶解した後、20mlの氷酢酸と2gの臭化セチルトリメリルアンモニウムを加え、0.1N過塩素酸標準溶液を用いて、電位差滴定装置で分極滴定を行った。エポキシ当量の値は、下記式により求めた。
エポキシ当量(g/eq)=(1000×W)/[(S−B)×N×F×P]
W:試料の重量(g)
B:空試験の滴定に要した0.1N過塩素酸標準溶液の量(ml)
S:試料の滴定に要した0.1N過塩素酸標準溶液の量(ml)
N:過塩素酸標準溶液の規定度
F:過塩素酸標準溶液の力価
P:過塩素酸標準溶液の体積補正係数
(1)耐加水分解性
実施例及び比較例において得られた樹脂組成物のペレットについて、日本製鋼所製J75ED成形機を用い、シリンダー温度240〜270℃、金型温度100℃の条件下で射出成形を行い、ダンベル試験片を作製した。この試験片を、120℃の水蒸気下で24時間処理し、その処理の前後の引張強度を測定し、処理後の引張り強度の保持率(%)を測定した。保持率が高いほど耐加水分解性が良好であることを示す。
実施例及び比較例において得られた樹脂組成物のペレットを、120℃で8時間乾燥させた後、日本製鋼社J75ED(型締め75t、油圧)成形機を用い、シリンダー温度270℃、成形サイクル30秒の条件下で、連続成形を実施した。この時の離型性、耐金型汚染性及び連続成形性を、以下の基準に従って評価した。
連続成形において、金型表面にガスが付着したり、離型不良により樹脂スキン層が金型に付着する現象により、成形品の表面外観が悪化するか否かを評価した。
◎:離型時に音はせず、速やかに成形品が外れた
○:離型時に音はせず、特に不具合なく成形品が外れた
△:離型時に音がするが、製品スキン層の剥離はなし
×:離型時に音がし、製品スキン層の剥離が見られた
××:金型面に付着した製品スキン層が顕著であり、成形品の折れが見られた
連続成形において、金型表面の外観の変化を観察した。
○:金型表面の外観の変化なし
△:金型表面の光沢面にわずかに曇りが見られた
×:金型表面の光沢面の曇りが顕著であった
××:金型表面に製品スキン層が付着していた
成形品の表面外観に顕著な欠陥が確認されるまでの連続成形ショット数を確認した。連続成形ショット数が多い程、連続成形性に優れている。
表1及び表2に示す配合割合となるよう、ガラス繊維以外の各成分を混合した後、日本製鋼所製TEX30C型2軸押出機を用いて、シリンダー温度240〜270℃、スクリュー回転数200rpmの条件下、溶融混練してPBT樹脂組成物のペレットを得た。ガラス繊維を使用した例においては、ガラス繊維はサイドフィードにて押出機に供給した。得られたペレットについて、上述した方法により成形品の特性を評価し、その結果を表1及び表2に示した。
(1)実施例1を比較例1及び2と比較すると、本発明の特定の高級脂肪酸エステル(高級アルコール成分の炭素数30)を含む蜜蝋を使用した実施例1においては、高級アルコール成分の炭素数が18である高級脂肪酸エステルを使用した比較例2の場合に比べて、特に連続成形性に優れることが分かる。
(2)エポキシ化合物を含有する組成物である実施例2と比較例3・4とを比較すると、蜜蝋を使用した実施例2においては、耐加水分解性、離型性、耐金属汚染性、連続成形性の全てについて改善効果が著しいことが分かる。
(3)臭素化エポキシ樹脂を用いて難燃性を付与し、無機充填剤を配合した実施例4及び5は、比較例6及び7に比べ、耐加水分解性、耐金属汚染性、連続成形性の改善効果が著しいことが分かる。
Claims (6)
- (A)ポリアルキレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、(B)炭素数25〜36の高級アルコールから構成される高級脂肪酸エステルを0.005〜5重量部含有することを特徴とするポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物。
- 該(B)高級脂肪酸エステルが、炭素数12〜36の直鎖状脂肪酸と、炭素数28〜33の一価直鎖状高級アルコールとから構成されるものである請求項1に記載のポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物。
- 該(B)高級脂肪酸エステルを、蜜蝋として含有させる請求項1又は2に記載のポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物。
- 該(A)ポリアルキレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、蜜蝋を0.01〜5重量部含有することを特徴とするポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物。
- 該(A)ポリアルキレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、更に(C)エポキシ化合物を0.05〜40重量部含有する請求項1〜4のいずれかに記載のポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物を溶融成形してなることを特徴とする樹脂成形品。
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2005
- 2005-11-07 JP JP2005322299A patent/JP2007126604A/ja active Pending
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