JP2007126555A - レーザーマーキング用難燃性ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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尚哉 岩村
Makoto Kobayashi
誠 小林
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Abstract


【課題】
耐熱性、耐薬品性、難燃性を有し、かつレーザーマーキングにより鮮明な黒色印字が実現できる難燃性ポリアミド樹脂組成物および該樹脂組成物からなる成形品を提供すること。
【解決手段】
(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、(B)平均粒径が2〜30μmであるトリアジン系難燃剤3〜10重量部、(C)臭素系難燃剤28〜42重量部、(D)アンチモン化合物10〜20重量部が配合されてなることを特徴とするレーザーマーキング用難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、レーザーマーキングにより鮮明な黒色印字が実現できる難燃性ポリアミド樹脂組成物、およびこのレーザーマーキング用難燃性ポリアミド樹脂組成物からなる成形品に関する。
従来、ポリアミド樹脂は、引張、曲げなどの強度、弾性率などの機械的性質に優れ、しかも耐熱性、耐薬品性、難燃性が良好であることから、電気・電子部品、自動車用部品、建材部品、機械部品等に広く利用されている。しかしながら、ポリアミド樹脂は、元来レーザーによる局所加熱に対して発泡しやすいため、白色マーキングは可能であったが、鮮明な黒色マーキングを得ることが困難であった。一方、黒色マーキングが可能な熱可塑性樹脂としては、ABS樹脂、ポリエステルなどが使用されてきた。しかし、ABS樹脂は無機強化剤による高剛性化に不適であり、耐熱性が低く、また易燃焼性であるため、その使用範囲に制限があった。また、同じく黒色マーキングが可能なポリエステルは靭性が低く、その使用範囲に制約があった。このため、黒色マーキングが可能であり、靭性、剛性といった機械特性に優れる熱可塑性難燃樹脂組成物が求められていた。
例えば特許文献1には、ポリアミド系樹脂にアミノ基含有トリアジン類の塩を配合するレーザーマーキング用樹脂組成物が提案されているが、本発明者の実験でも、レーザーによる局所過熱により、アミノ基含有トリアジン類の塩が、昇華、分解、発泡されるため、鮮明な黒色マーキングが得られなかった。特許文献2には、ポリアミド樹脂にトリアジン系難燃剤、臭素系難燃剤、およびアンチモン化合物を配合する難燃性ポリアミド樹脂組成物が提案されているが、レーザーマーキングによる黒色マーキングについての記載は全くなく、本発明者の実験でも鮮明な黒色マーキングは得られなかった。
特開2005−162913号公報 特開2005−200636号公報
本発明は、耐熱性、耐薬品性、難燃性に優れ、黒色マーキングが可能なレーザーマーキング用難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂に特定粒径のトリアジン系難燃剤、臭素系難燃剤、およびアンチモン化合物を特定の量比で配合することにより、難燃性ポリアミド樹脂からなる成形品の表面に鮮明で堅固な黒色マーキングを印字できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、(B)平均粒径が2〜30μmであるトリアジン系難燃剤3〜10重量部、(C)臭素系難燃剤28〜42重量部、(D)アンチモン化合物10〜20重量部が配合されてなることを特徴とするレーザーマーキング用難燃性ポリアミド樹脂組成物、
(2)上記(1)のレーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物に、更に、ポリアミド樹脂100重量部に対し、(E)無機充填材15〜250重量部が配合されてなるレーザーマーキング用難燃性ポリアミド樹脂組成物、
である。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、レーザー光線を照射することにより前記難燃性ポリアミド樹脂組成物からなる成形品の表面に鮮明で堅固な黒色マーキングを印字でき、かつ優れた機械特性と難燃性を同時に実現することができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
本発明で用いられる(A)ポリアミド樹脂としては、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミドである。その主要構成成分の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクをロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるナイロンホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
本発明において、特に有用なポリアミド樹脂は、150℃以上の融点を有する耐熱性や強度に優れたポリアミド樹脂であり、具体的な例としてはポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ポリアミド6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ポリアミド6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンジアパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミド(ポリアミド66/6I/6)、ポリキシリレンアジパミド(ポリアミドXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/M5T)、ポリノメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)およびこれらの混合物などが挙げられる。
とりわけ好ましいポリアミド樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66およびポリアミド6/66などの脂肪族ポリアミド樹脂、ポリアミド6I/66、ポリアミド6T/66、ポリアミド6T/6I、ポリアミド66/6I/6などの芳香族単位を有する共重合体を挙げることができ、更にこれらのポリアミド樹脂を成形加工性、相溶性などの必要特性に応じて混合物として用いることも実用上好適である。
これらポリアミド樹脂の重合度には特に制限がないが、サンプル濃度0.5wt/vol%の96%硫酸溶液中、25℃で測定した粘度数としては、50〜200の範囲のものが好ましく、より好ましくは60〜180、特に好ましくは70〜170範囲である。
本発明で用いられる(B)トリアジン系難燃剤としては、環内に3個の窒素原子をもつアジンのことをいい、その具体例としては、シアヌル酸メラミン、メラミン、硫酸ジメラミン、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン等のメラミン化合物およびポリリン酸アンモニウムをなどが挙げられ、本発明においては、各々単独または混合物の形で用いることができる。特に好ましいトリアジン系難燃剤としては、シアヌル酸メラミン、ポリリン酸メラミンである。
(B)トリアジン系難燃剤の添加量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し3〜10重量部であり、好ましくは4〜9重量部、より好ましくは5〜8重量部であり、3重量部未満または10重量部を越える場合、レーザーマーキングにおいて黒色マーキング性が低下することから好ましくない。
(B)トリアジン系難燃剤の平均粒径は、2〜30μmであり、好ましくは3〜25μm、より好ましくは4〜20μmである。トリアジン系難燃剤の平均粒径が2μm未満では、コンパウンド時のハンドリング性が悪く、30μmを越えるとポリアミド樹脂のレーザーマーキングにおいて、鮮明な黒色マーキングを得ることができない。尚、(B)トリアジン系難燃剤の平均粒径は、セイシン企業製LMS−24を用いてレーザー回折散乱法で測定した。
本発明では、(B)トリアジン系化合物を(C)臭素系難燃剤と(D)アンチモン化合物に添加配合した組成物をポリアミド樹脂に添加することで、得られる難燃性ポリアミド樹脂組成物はレーザーマーキングにおいて、優れた黒色マーキングを得ることができる。
本発明で用いられる(C)臭素系難燃剤としては、芳香族臭素置換体、脂肪族臭素置換体等であり、分子内にリン、窒素等が同時に存在するものであっても差し支えない。具体的には、テトラブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル等のジフェニルエーテルの臭素化合物やトリフェニレンオキサイドの臭素化物、テトラブロモビスフェノールA、トリブロモフェノール、トリス(トリブロモフェニル)ホスファイト、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、テトラブロモ無水フタル酸とジアミンのイミド縮合物、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモベンゼン、トリス(トリブロモフェノキシ)シアヌレート、1,2−ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン等や、さらにはテトラブロモビスフェノールA、ジグリシジルエーテルのポリマーやトリブロモフェノールの付加物、テトラブロモビスフェノールAのポリカーボネート、臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン、臭素化ポリフェニレンオキサイド等の含臭素ポリマーも含まれる。
臭素系難燃剤中の臭素含有量は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上である。臭素含有量が60%以上である臭素系難燃剤としては、具体的には臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン、臭素化ポリフェニレンオキサイドが好ましいものとして挙げられる。
臭素系難燃剤の配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し28〜42重量部であり、好ましくは29〜41重量部、より好ましくは30〜40重量部である。28重量部未満では、ポリアミド樹脂のUL94規格による難燃性が低下し、42重量部を越えるとポリアミド樹脂の機械特性が低下することから好ましくない。
本発明で用いられる(D)アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられるが、臭素系難燃剤と併用して使用した場合、相乗効果により難燃効果を発揮する三酸化アンチモンが好ましい。
アンチモン化合物の配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し10〜20重量部であり、好ましくは11〜19重量部、より好ましくは12〜18重量部である。10重量部未満ではアンチモン化合物の併用添加による難燃性改良効果およびレーザーマーキング性が充分でなく、20重量部を越えるとポリアミド樹脂組成物の機械的性質が損なわれるため好ましくない。さらには添加した難燃剤の臭素原子2〜5個に対しアンチモン化合物中のアンチモン原子1個の割合で添加するのが好ましい。
本発明においては、難燃性ポリアミド樹脂組成物の機械的物性を向上させるために、さらに(E)無機充填材を加えることが好ましい。本発明に用いる(E)無機充填剤としては、難燃性ポリアミド樹脂組成物の物性向上に寄与するものであれば特に限定されるものではないが、繊維状無機充填剤を用いることが、強化剤としての特性上好ましく、具体的には、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、ワラステナイトなどの繊維状、ウィスカー状充填材が挙げられる。上記充填材中、ガラス繊維、ワラステナイトおよび導電性が必要な場合にはPAN系の炭素繊維が好ましく使用される。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、上記の充填材は2種以上を併用して使用することもできる。なお、本発明に使用する上記の充填材はその表面をシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤などのカップリング剤その他の表面処理剤および膨潤性の層状珪酸塩では有機化オニウムイオンで予備処理することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被膜あるいは集束されていてもよい。
(E)無機充填材の配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し15〜250重量部が好ましく、より好ましくは18〜245重量部、特に好ましくは20〜240重量部であり、15重量部未満では機械特性の向上がみられない場合があり、250重量部を越えると成形時の流動性が損なわれるばかりか機械特性の向上も認められない場合がある。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物には、さらに本発明の目的を損なわない範囲で、銅系熱安定剤、ヒンダードフェノール系、リン系およびイオウ系などの酸化防止剤、ヒンダードアミン系などの光安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、サリシレート系およびセラミックス系などの紫外線吸収剤、帯電防止剤、核剤および染料・顔料を含む着色剤などの通常の添加剤を1種以上添加することができる。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物の製造方法には特に制限はなく、例えばポリアミド樹脂、トリアジン系難燃剤、臭素系難燃剤、アンチモン化合物、無機充填材を単軸または2軸の押出機やニーダー等の混練機を用いて220〜330℃の温度で溶融混練する方法等が挙げられる。機械特性向上の観点からは、2軸押出機を使用することが好ましく、無機充填材をサイドフィード添加することが好ましい。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形など各種成形に適用でき、中でも射出成形が好適に用いられる。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物からなる成形品には、任意の方法でレーザーマーキングを行うことが出来る。具体例としては、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー、Arレーザー、エキシマレーザー(KrF、XeCl、XeFエキシマレーザーなど)などの慣用のレーザーを使用することが出来るが、これらに限定されるものではない。レーザーマーキングのマーキング方式は、マスク方式であってもスキャン方式であってもよい。レーザーの発振形態は、連続方式、パルス方式であってもよい。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、レーザーマーキングによる黒色マーキング性に優れ、かつ機械特性にすぐれているため、成形品の表面に文字や図柄を印刷して使用される広範囲の用途に使用できる。例えば、コネクター、ブレーカー、スイッチ、コイルボビン、ホルダー、プラグ、リレー、リレーボックス、ターミナル、タンク類、OA機器、オフィス家具、結束バンド、コイルボビン、パソコン、液晶プロジェクター、モバイル機器および携帯電話などの筐体、電動工具のハウジング等の電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品などの用途に好適に用いることができる。
以下、実施例、比較例により具体的に説明するが、これらは例示として記載するものであって、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、以下に説明する実施例および比較例で得られた難燃性ポリアミド樹脂組成物の性能は、下記(1)〜(4)に記載の測定法により評価した。
(1)粘度数
ISO307に従って、サンプル濃度0.5wt/vol%の96%硫酸溶液中、25℃でポリアミド樹脂の粘度数を測定した。
(2)機械特性
ISO1874−2に従い、日精樹脂工業(株)製の射出成形機PS60により、シリンダー温度300℃、金型表面温度100℃、スクリュー回転数150rpm、平行部流速200mm/秒、射出/冷却=20/20秒の条件でISO 3167多目的試験片A形の試験片を成形した。得られた試験片を用い、以下の標準方法に従って23℃にて測定した。
引張特性 :ISO 527−1,2
曲げ特性 :ISO 178
シャルピー衝撃強さ:ISO 179
(3)難燃性
UL94(米国Under Writer Laboratories Incで定められた規格)の方法に従って測定した。
(4)レーザーマーキング性
マーキングは多目的試験片A形に実施した。ロフィン・バーゼルジャパン(株)製RSM 30D Nd;YAGレーザー装置を用い、1064nmの波長、0.1mmのマーキング距離及び30Wの出力で実施した。電波強度は30〜34A及び3500〜8000Hzの周波数に設定した。試験は400mm/秒のマーキング速度で行った。黒色マーキングの鮮明性を目視によって、下記の5段階の基準により評価した。
等級:1=非常に優れている
2=優れている
3=満足できる
4=不鮮明
5=許容不可能
[実施例および比較例で用いた配合材]
(1)ポリアミド樹脂
A−1:ポリアミド6 粘度数130(PA6:東レ(株)製CM1010)
A−2:ポリアミド66 粘度数132(PA66:東レ(株)製CM3007)
(2)トリアジン系難燃剤
B−1:メラミンシアヌレート 平均粒径6.3μm(MC塩:日産化学工業(株)製MC−440)
B−2:メラミンシアヌレート 平均粒径1.1μm(B−1の篩い分級品)
B−3:メラミンシアヌレート 平均粒径50μm(B−1の篩い分級品)
(3)臭素系難燃剤
FR−1:臭素化ポリスチレン(Br−PS:アルベマール日本(株)製HP7010G)
FR−2:臭素化ポリフェニレンオキサイド(Br−PPO:第一エフ・アール(株)製SR−460B)
(4)アンチモン化合物
SBO−1:三酸化アンチモン(日本精鉱(株)製PATOX−MK)
(5)無機充填材
GF−1:ガラス繊維(日本電気硝子(株)製T−289)
[実施例1〜3]、[比較例1〜8]
前述のようにして用意した無機充填材を除く各材料を表1に示す割合でドライブレンドした後元込めし、無機充填材をサイドフィードし、280℃の押出条件に設定した直径57mmの2軸押出機により溶融混練後ペレタイズした。その後、得られたペレットを前述した方法により射出成形を行い、得られた試験片にて引張特性、曲げ特性、シャルピー衝撃強さ、難燃性、レーザーマーキング性を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2007126555
実施例および比較例より、本発明の方法によれば、レーザーザーマーキングによる黒色マーキング性に非常に優れ、かつ難燃性、機械特性に優れたポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、レーザーマーキングによる黒色マーキング性に優れ、かつ機械特性にすぐれているため、成形品の表面に文字や図柄を印刷して使用される広範囲の用途に使用できる。例えば、コネクター、ブレーカー、スイッチ、コイルボビン、ホルダー、プラグ、リレー、リレーボックス、ターミナル、タンク類、OA機器、オフィス家具、結束バンド、コイルボビン、パソコン、液晶プロジェクター、モバイル機器および携帯電話などの筐体、電動工具のハウジング等の電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品などの用途に好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. (A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、(B)平均粒径が2〜30μmであるトリアジン系難燃剤3〜10重量部、(C)臭素系難燃剤28〜42重量部、(D)アンチモン化合物10〜20重量部が配合されてなることを特徴とするレーザーマーキング用難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  2. 更に、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、(E)無機充填材15〜250重量部が配合されてなる請求項1記載のレーザーマーキング用難燃性ポリアミド樹脂組成物。
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