JP2007126317A - 高流動繊維補強モルタルまたはコンクリート混練物、およびその硬化体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 以下のように骨材の最大粒径が調整されている高流動繊維補強モルタルまたはコンクリート混練物。(1)平均繊維長5〜25mm、密度7〜10g/cm3の短繊維が分散混合され、骨材の最大粒径が0.3〜2.5mmであるもの、(2)平均繊維長25超え〜70mm、密度7〜10g/cm3の短繊維が分散混合され、骨材の最大粒径が1.2〜20mmであるもの、(3)平均繊維長5〜25mm、密度0.9〜2.6g/cm3の短繊維が分散混合され、骨材の最大粒径が0.15〜2.5mmであるもの、(4)平均繊維長25超え〜70mm、密度0.9〜2.6g/cm3の短繊維が分散混合され、骨材の最大粒径が0.6〜20mmであるもの。
【選択図】図3
Description
本発明はこのような現状に鑑み、繊維を混合した高流動性のモルタルまたはコンクリートにおいて、混練したのち打設が完了するまでの間に繊維の分散性が安定して高く維持できるものを提供する。
(1)平均繊維長5〜25mm、密度7〜10g/cm3の短繊維が分散混合され、骨材の最大粒径が0.3〜2.5mmに調整されている高流動繊維補強モルタルまたはコンクリート混練物。
特に、平均繊維長10〜25mm好ましくは10〜20mm、密度7.5〜8.0g/cm3の短繊維が好適な対象となる。
(2)平均繊維長25超え〜70mm、密度7〜10g/cm3の短繊維が分散混合され、骨材の最大粒径が1.2〜20mmに調整されている高流動繊維補強モルタルまたはコンクリート混練物。
特に、平均繊維長25超え〜50mm好ましくは30〜45mm、密度7.5〜8.0g/cm3の短繊維が好適な対象となる。
(3)平均繊維長5〜25mm、密度0.9〜2.6g/cm3の短繊維が分散混合され、骨材の最大粒径が0.15〜2.5mmに調整されている高流動繊維補強モルタルまたはコンクリート混練物。
特に、平均繊維長10〜25mm好ましくは10〜20mm、密度0.9〜2.0g/cm3好ましくは1.0〜1.5g/cm3の短繊維が好適な対象となる。
(4)平均繊維長25超え〜70mm、密度0.9〜2.6g/cm3の短繊維が分散混合され、骨材の最大粒径が0.6〜20mmに調整されている高流動繊維補強モルタルまたはコンクリート混練物。
特に、平均繊維長25超え〜50mm好ましくは30〜40mm、密度0.9〜2.0g/cm3好ましくは1.0〜1.5g/cm3の短繊維が好適な対象となる。
種類の異なる2種以上の繊維をブレンドして配合させてもよい。その場合、各種繊維が上記規定範囲内の密度を有する繊維であり、かつ全体の平均繊維長が上記規定範囲内にあることが好ましい。
骨材の最大粒径は、JIS A1102に規定されるふるいの中で、骨材の質量の90%以上が通るふるいのうち、最小寸法のふるいの公称値で表される。
ここで、モルタルフローはJIS R5201に準じて落下運動を加えない方法により求めた値が採用される。またスランプフローはJIS A1150が採用される。
したがって本発明は、繊維補強により曲げ強度や靱性を向上させた高流動モルタルおよびコンクリート、特に自己流動性モルタルおよびコンクリートの実用化に大きく寄与するものである。
なお、上記の曲げ強度は「鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法(JSCE−G 552−1999)」に規定の試験方法に準拠してモルタルの場合40×40×160mm、コンクリートの場合100×100×400mmの試験体を用いて測定される値が採用される。
骨材粒子のサイズが繊維長に対し小さすぎると繊維粒子を運ぶ(連れて行く)力が繊維粒子に十分に加わらないことにより、繊維粒子は骨材粒子よりも相対的に移動速度が遅くなり、その結果、流動中に繊維の分布状態が場所により不均一になる。
骨材粒子のサイズが繊維長に対し大きすぎると繊維粒子は骨材粒子の隙間に残留しやすくなり、この場合も繊維粒子は骨材粒子よりも相対的に移動速度が遅くなり、その結果、流動中に繊維の分布状態が場所により不均一になる。
骨材粒子のサイズが適正な場合は、骨材粒子の移動に伴って繊維粒子を動かす力が骨材粒子から繊維粒子に働くとともに、骨材粒子の隙間は繊維粒子が滞留するほど小さくないため、動き出した繊維粒子は骨材粒子に連れられて運ばれる。つまり、骨材粒子と繊維粒子の移動速度の差は小さくなり、流動中に繊維の分散性は高く維持される。
ただし、繊維の密度(比重)は混練物の分散維持性に大きく影響する。
このようなことから、繊維に関するパラメーターとしては繊維長と密度を取り上げ、前記(1)〜(4)に示したそれぞれの繊維ごとに最大粒径の適正範囲が定められた。
〔セメント〕
各種セメントが使用できる。
〔水〕
コンクリート用練り混ぜ水に適合する一般的な水が使用できる。
〔骨材〕
前記(1)〜(4)の各態様に従って粒度調整されていることを除き、その他の性質は一般的なモルタルまたはコンクリートに適合する骨材が使用できる。2種類以上の骨材をブレンドすることも差し支えない。例えばコンクリートの場合には通常のように細骨材と粗骨材を混ぜて使用する。この場合、配合される全骨材について(1)〜(4)の最大粒径が適用される。
モルタルまたはコンクリートに使用される公知の混和材が使用できる。例えば、石灰石微粉末、フライアッシュ、シリカフューム、石膏、高炉スラグなどが挙げられる。これらの材料をセメントとプレミックスした製品を前記セメントの代わりに使用することもできる。
セメントを含む微粉末の分散を実現できる混和剤として、例えば、高性能AE減水剤、高性能減水剤、AE減水剤などが使用できる。また、混練物中の繊維の分散性を改善する混和剤として、例えば、増粘剤、水中不分離性混和剤などが挙げられる。さらに、コンクリート中の空気量調整剤などが挙げられる。
平均繊維径0.1〜1.5mm好ましくは0.1〜1.1mm、繊維引張強度100〜10000N/mm2好ましくは500〜3000N/mm2の各種繊維が使用できる。平均繊維長および密度については前記(1)〜(4)の各態様における規定に従う。前述のように、2種類以上の短繊維製品をブレンドして使用することも可能である。また、個々の繊維粒子の繊維長が比較的ブロードな分布を持っていても構わない。ただし、質量割合で全繊維粒子の90%以上の繊維粒子が、前記(1)〜(4)の各態様で許容される平均繊維長の範囲の繊維長を持つことが望ましい。また繊維径に関しても、質量割合で全繊維粒子の90%以上の繊維粒子が、0.1〜1.5mm好ましくは0.1〜1.1mmの範囲の繊維径を持つことが望ましい。ここで、繊維径は繊維の長手方向に概ね垂直な断面における最大径である。
前記(3)、(4)の態様に適合する密度の繊維としては、PVA、高強力PVA、ポリエチレン、高強力ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、PBO、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、アラミド、炭素、ガラス等が挙げられる。
繊維の形状は、成形加工されていないストレート型でも有効であるが、波型加工やインデント加工の他、繊維両端部に曲げ加工などの引き抜け防止加工が施された繊維を使用することもできる。さらに断面形状についても、円形のみならず、三日月型や長方形型などの繊維も有効に利用できる。
〔繊維添加率〕
混練物中への繊維の添加率は、使用する繊維の形状にもよるが、容積換算で0.1〜5.0%の範囲とすることが望ましい。添加率が0.1%未満では、アンカー効果の高い形状に成形加工されたものでも曲げ強度や靱性の向上効果を十分に引き出すことができない。5.0%を超えて多量に添加すると混練物の流動性が阻害され自己充填性を呈するセメント系材料を得ることが難しくなる。
繊維を除く他の材料の配合量は、既往の高流動モルタルまたはコンクリートの配合に従うことができる。混練物の流動性としては、モルタルフロー200mm以上好ましくは230mm以上、あるいはスランプフロー500mm以上好ましくは600mm以上となるようにすることが望ましい。
混練方法は、一般的な高流動モルタルまたはコンクリートの場合に従うことができる。ただ、本発明の混練物は繊維の分散維持性が顕著に改善されているので、繊維の添加時期は従来のようにできるだけ打設直前に行う配慮から解放されるメリットがある。したがって、混練物の準備には以下に示すような多様な方法が採用でき、作業計画の自由度が拡がる。
(方法1)
モルタルまたはコンクリート製造プラントにおいて、上述の材料をすべて一括して練り混ぜる。
(方法2)
モルタルまたはコンクリート製造プラントにおいて、上述の材料のうち繊維以外の材料を練り混ぜ、その後、繊維を全量一括投入して練り混ぜる。
(方法3)
モルタルまたはコンクリート製造プラントにおいて、上述の材料のうち繊維以外の材料を練り混ぜ、その後、繊維を分割投入して順次練り混ぜる。
(方法4)
モルタルまたはコンクリート製造プラントにおいて、上述の材料のうち繊維以外の材料を練り混ぜ、アジテータ車にて打設現場に到着した後、繊維をアジテータ車に一括投入して高速攪拌する。
(方法5)
モルタルまたはコンクリート製造プラントにおいて、上述の材料のうち繊維以外の材料を練り混ぜ、アジテータ車にて打設現場に到着した後、繊維をアジテータ車に分割投入して順次高速攪拌する。
(1)の繊維……表2(1)
(2)の繊維……表2(2)
(3)の繊維……表2(3)
(4)の繊維……表2(4)
混練作業はすべての材料を一括して練り混ぜる方法で行った。
図1に流動実験に用いた木製の型枠(以下「実験型枠」という)の構造を模式的に示す。各枠部材を構成する材料はコンクリートの打設に一般的に使用される木枠(ベニヤ板)と同様のものである。この実験型枠は筒枠1と流動枠2で構成される。筒枠1は内のり寸法が高さ1000mm、幅300mm、長さ600mmであり、一部の側面の下端に高さ100mm×幅300mmの開口部3を有している。この開口部3は流動枠2につながっている。流動枠2は高さ100mmの枠で囲まれ、幅300mmのまま筒枠1の後端(開口部3の反対側の端部)から3000mmの位置までまっすぐ伸びている。筒枠1および流動枠2の底面はフラットで、かつ水平に置かれている。
繊維減少率=(X1−X2)/X0×100 ……[1]
結果を表2(1)〜2(4)、および図3、4に示す。表2(1)〜2(4)では配合値X1およびX2をそれぞれ「流し込み口」および「流動先端」と表記して区別してある。
また、各セメント系材料混練物についてモルタルフローあるいはスランプフローを前記の方法で測定した。その結果も表2(1)〜2(4)に示した。
繊維減少率が適正範囲を超えて大きくなると、当該セメント系材料が硬化した構造物において繊維補強によって見込まれる曲げ強度や靱性が得られない部位が生じる恐れがあり、好ましくない。あるいは、曲げ強度等のレベルを低く見積もった構造設計とする必要があり、その場合は目標の強度レベルに対して過剰量の繊維を使用しなければならず、コスト的に不利となる。
〔繊維減少率の適正範囲〕
(1)の繊維:5%以下
(2)の繊維:9%以下
(3)の繊維:2%以下
(4)の繊維:3%以下
これらの適正範囲を満たすものを表2(1)〜2(4)では繊維の分散維持性を○と表示し、図3、4では黒塗りのプロットで示した。
2 流動枠
3 開口部
4 仕切り板
5 混練物
6 仕切り板
Claims (6)
- 平均繊維長5〜25mm、密度7〜10g/cm3の短繊維が分散混合され、骨材の最大粒径が0.3〜2.5mmに調整されている高流動繊維補強モルタルまたはコンクリート混練物。
- 平均繊維長25超え〜70mm、密度7〜10g/cm3の短繊維が分散混合され、骨材の最大粒径が1.2〜20mmに調整されている高流動繊維補強モルタルまたはコンクリート混練物。
- 平均繊維長5〜25mm、密度0.9〜2.6g/cm3の短繊維が分散混合され、骨材の最大粒径が0.15〜2.5mmに調整されている高流動繊維補強モルタルまたはコンクリート混練物。
- 平均繊維長25超え〜70mm、密度0.9〜2.6g/cm3の短繊維が分散混合され、骨材の最大粒径が0.6〜20mmに調整されている高流動繊維補強モルタルまたはコンクリート混練物。
- 当該混練物は、モルタルフロー200mm以上またはスランプロフロー500mm以上の高流動性を呈するものである請求項1〜4のいずれかに記載の高流動繊維補強モルタルまたはコンクリート混練物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の混練物が硬化したモルタルまたはコンクリート硬化体。
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