JP2007120251A - 開口部装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】通常と異なるやり方で障子を戸袋等の障子収納部に収納する際などに、手の指が部材同士の間に巻き込まれるような事態を防止できる開口部装置を提供する。
【解決手段】開口部装置は、枠体Aと、この枠体A内に左右方向に移動可能に設けられた障子Cと、この障子Cを収納する障子収納部Dとを備える。枠体Aの開口部Fと障子収納部Dとの間の室内側には方立Eが設けられる。方立Eは、障子Cを障子収納部Dに収納する際に障子Cの障子収納部Dの反対側となる縦框23と前後に重なる。方立Eの開口部F側の端面には、合成樹脂製のアングル33aが取り付けられる。アングル33aは、方立Eの前記端面から所定距離はなれた位置で前記端面を覆う樹脂板34aを備える。樹脂板34aの室内側は、軟質樹脂からなる軟質板部37とされるとともに、軟質板部37の方立E側に軟質板部37を弾性変形可能とする空間が配置される。
【選択図】図1

Description

本発明は、引き込み障子、引き分け障子、引き違い障子または片引き障子等のように左右方向に移動可能な障子が枠体内に設けられた開口部装置に関する。
この種の開口部装置の一つとして、建物の開口部の周りに設けられる上枠、下枠および左右の縦枠からなる枠体と、この枠体内に左右方向に移動可能に設けられた障子と、この障子を引き込み形式で収納する戸袋とを備え、開口部を全開にすることができる全開口型サッシ(全開サッシ)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような全開口型サッシにあっては、障子を開けて戸袋に収容するときに、例えば、取っ手等を持たずに障子の縦框を手の指で左右に挟んだ状態に掴んで障子を動かすと、戸袋の開口部側を形成する方立や間柱等の縦部材に手の指が激しく当たったり、これら縦部材と障子との間に縦框を掴んだ手の指が挟まれたりする虞がある。
そこで、例えば、図3および図4に示すように、建物の開口部の周りに設けられる上枠、下枠および左右の縦枠からなる枠体Aと、この枠体A内に左右方向に移動可能に設けられた障子Bと、この障子Bを引き込み形式で収納する戸袋(障子収納部D)とを備える開口部装置において、障子Bの戸先側の縦框より障子収納部D側の位置にストッパHを室内側に突出させ形成したものが知られている。これにより、縦框を持った手の指が戸袋の開口部F側を形成する方立Eや間柱等に当たる前にストッパHが前記方立E等に当たって障子Bの移動を止め、手の指が挟まれるのを防止することができる。
また、図3および図4に示される開口部装置は、いわゆる断熱サッシであり、障子Bに嵌め込まれるパネルとして複層ガラスJが用いられて断熱性が高められるとともに、アルミ(合金)製のサッシの障子Bの框や枠体A等の室内側に露出する部分に合成樹脂性の部材(樹脂形材)が取り付けられ、室内側を合成樹脂製とした複合構造とすることにより断熱性をさらに高めている。また、このような断熱サッシでは、室内側に樹脂形材を用いることで、アルミやその合金では困難な色や質感を出すことができ、室内側の装飾性(意匠性)を高めている。
また、開口部Fの内周面の室内側には枠状(額縁状)に室内側に突出するアングルKが取り付けられるが、複合構造を有する断熱サッシでは、このアングルKが樹脂形材として合成樹脂製となる。この場合に、方立Eの内周面には、上述の合成樹脂製のアングルKが樹脂形材として設けられていることになる。したがって、ストッパHを設けない構造として上述のように方立E等に手(指)をぶつけたり、挟んだりした場合に、指が金属のアルミではなく、樹脂形材(アングルK)に当たることになり、手が直接アルミに当たった場合よりは衝撃が緩和される。
特開平6−26286号公報
ところで、前記ストッパHを用いた場合は、障子Bの把手の部分が開口部Fの内側に残った状態となり、開口部Fを完全に開放することができない。
また、上述のような断熱サッシによれば、障子Bを開放した場合に手が当たる可能性がある部分(指を挟む可能性がある部分)が樹脂形材であるアングルKとなることで、アルミの場合より衝撃が緩和されるが、アングルKは、取り付けのためや所定形状を維持するためや上述のようなストッパHを受けるためなどにより強度を必要とし、軟質樹脂やゴム等ではなく、一般的な硬質樹脂からなり、衝撃が大きく緩和されることはない。
なお、方立Eの内周側の側面に設けられた上述のアングルKには、その内周側でかつ室外側に向かう角部に障子Bに向かって突出するリブIが上下に延在するように一体成型されており、障子Bを閉めた際に障子Bの縦框等に前記リブIが接触して気密性を高めるようになっている。また、前記リブIは、障子Bに接触しても障子Bを傷つけることがないように軟質樹脂製となっており、硬質樹脂より衝撃の緩和能力が高いが、方立と障子Bとの間となる極めて狭い間隔に設けられるため、手が当たる可能性が低く、また、手が当たっても変位量が小さいので実質的に衝撃を緩和するような機能はない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、障子を戸袋等の障子収納部に収納する際などに、例えば、障子の縦框と方立等との間に手の指が挟まれるそうになっても、手が接触する部分が大きく変位して衝撃を吸収することができるとともに、これにより障子の縦框と方立との間などに指が巻き込まれるのを防止することができる開口部装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の開口部装置は、枠体と、この枠体内に左右方向に移動可能に設けられた障子とを備え、かつ、室内側に合成樹脂製の樹脂形材が設けられた複合構造を有し、
障子の開閉動作時に、一つの障子より室内側で、当該障子の一方の縦框の室内側面と重ならない位置から重なる位置に前記障子の縦框に対して相対的に移動する縦部材を備えた開口部装置であって、
前記縦部材が前記障子の縦框と重ならない位置となった際に、前記障子の縦框側を向く前記縦部材の左もしくは右の端面に設けられた前記縦部材用樹脂形材に、前記縦部材の端面から所定距離だけ離れた位置で前記端面を覆う樹脂板が設けられ、
前記樹脂板は、室内側の硬質樹脂からなる硬質板部と当該硬質板部の室外側に設けられた軟質樹脂からなる軟質板部とから形成され、
前記軟質板部を有する前記縦部材用樹脂形材が一体に硬質樹脂と軟質樹脂との共押し出し成型により形成され、
前記軟質板部の室内側の基端部が前記硬質板部と一体とされて固定され、前記軟質板部の室外側の先端部が開放端とされ、
前記軟質板部と前記縦部材との間には、前記軟質板部の先端部を前記縦部材側に近づけるように弾性変形可能な空間が形成されていることを特徴とする。
前記縦部材は、枠体の縦枠等のような枠体の一部や枠体に取り付けられた方立や間柱等の固定部材であってもよいし、前記障子の室内側に配置される他の障子の縦框等のように移動する部材であってもよい。軟質樹脂および硬質樹脂は、周知の軟質樹脂および硬質樹脂を用いることができるが、軟質樹脂と硬質樹脂の組み合わせにおいて、軟質樹脂と硬質樹脂とが強固に接合されることが知られている組み合わせとすることが好ましい。
請求項1に記載の開口部装置によれば、例えば、障子の縦框を手の指で掴んで障子を開閉動作した場合に、当該障子の縦框に、他の障子の縦框や、枠体や方立や間柱等の開口部内周側に形成されてアングル等の樹脂形材が取り付けられる縦部材が重なる状態となるとこれらの縦部材に手の指が当たる可能性があるが、これら縦部材の手の当たる部分に複合構造となった開口部装置の樹脂形材が設けられているとともに、樹脂形材に設けられた樹脂板の軟質板部に手が当たることで、軟質板部が大きく弾性変形して、衝撃を緩和する。さらに、指が当たった際に障子の縦框と縦部材との隙間に指を巻き込むのを防止することができる。
また、上述のような軟質板部を設ける際に、硬質樹脂からなる部分と軟質樹脂からなる軟質板部とを共押し出し成型で一体に形成することで、硬質樹脂と軟質樹脂との境界部分を判り辛い構造とすることができるとともに、硬質樹脂と軟質樹脂とを顔料の調整等により同系色とすれば、硬質樹脂部分と軟質樹脂部分とで外観上の差をほとんどなくすことも可能となり、複合構造を有する開口部装置における樹脂形材による意匠性の向上を妨げることがない。すなわち、本発明の軟質板部に代えてゴム等の硬質樹脂部分とは異質の軟質な弾性部材を用いた場合のように、軟質板部の部分で他の樹脂形材の部分とは明らかに異なる質感、異なる色の部分ができてしまうのに比較して意匠性を向上することができる。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1および図2は、本発明の実施の形態に係る2枚建て片引き全開口タイプのサッシを示す図であって、図1は、全開口状態の横断面図であり、図2は、閉じた状態の横断面図である。
このサッシ(開口部装置)は、2枚の障子を内外に引き違いに配置した片引き全開口タイプ(片引き込みタイプ)のサッシである。このサッシは、建物の開口部に取り付けられる枠体Aと、この枠体A内に左右方向(水平方向)に移動可能に設けられた外障子(障子)Bおよび内障子(障子)Cとを備えている。
枠体Aの内側の一方(この例では右側)の側部には、障子B,Cを収納可能な障子収納部(戸袋部ともいう。)Dが設けられており、障子収納部Dは、方立Eによりサッシの開口部Fと仕切られている。このサッシでは、外障子Bおよび内障子Cを右側の障子収納部Dに収納することによって、開口部Fを全開状態にすることができるようになっている(図1参照)。なお、開口部Fは、建物の開口部と略重なるように配置されており、建物に形成された開口部をほぼ全開状態とすることができるようになっている。なお、枠体Aの障子B,Cより外側には、網戸M,Nが二枚引き違いに配置されており、網戸M,Nも障子収納部D側に引き込むことで、開口部Fを全開状態とすることが可能となっている。
また、前記方立Eは、本発明の一つの障子となる内障子Cより室内側で、内障子Cの後述の一方の縦框24の室内側面と重ならない位置から重なる位置に内障子Cの縦框24に対して相対的に移動する縦部材となる。なお、実際に移動するのは内障子Cの縦框24である。
また、前記方立Eの内周側面となる右側の端面が、縦部材が内障子Cの縦框24と重ならない位置となった際に、内障子Cの縦框24側を向く前記縦部材の端面となる。
枠体Aは、上枠(図示略)、下枠2および左右の縦枠3、4により方形枠状に組み立てられて構成されている。
外障子Bは、上框(図示略)、下框12および左右の縦框13、14により方形枠状の框組体が組み立てられ、この框組体にパネルである複層ガラス16が組み込まれて構成されている。また、内障子Cは、上框(図示略)、下框22および左右の縦框23、24により方形の框組体が組み立てられ、この框組体にパネルである複層ガラス26が組み込まれて構成されている。
外障子B及び内障子Cの上框、下框12,22および左右の縦框13,23、14,24は、例えば、アルミ合金等の金属からなり、複層ガラス26の室内側の側面よりさらに室内側に突出して設けられるとともに、その室内側に露出する面は、複合構造を有する断熱サッシの樹脂形材としての樹脂カバーにより覆われた状態となっており、上述の金属部分が室内側に露出しない状態となっている。すなわち、外障子B及び内障子Cは、室外側がアルミ合金等の金属もしくはその塗装面が露出し、室内側が合成樹脂製の樹脂カバーで覆われた複合構造を有する断熱サッシの障子B,Cとなっている。
また、2枚建て片引きサッシとして、外障子Bは、開口部Fを閉じる際に、枠体Aの障子収納部Dの反対側すなわち左側の縦枠3に当接して、開口部Fの左側に配置され、内障子Cは、開口部Fの障子収納部D側である右側に配置される。
外障子Bの戸先側の縦框13の室内側面(見付け面)には、引き手17が設けられている。なお、この例においては、後述のように外障子Bの戸先側の縦框13の室内側面に近接して、方立Eや内障子Cの召合せ側縦框23が重なって配置されるようなことがなく、引き手17は、凹部ではなく室内側に突出する構造となっている。
また、外障子Bの召合い側となる縦框14には、図1に示すように、室内側面に所謂煙返し18が形成されおり、後述する内障子Cの召合い側となる縦框23の室外側面に形成された煙返し28と係合するようになっている。そして、図2に示すように、外障子Bを開口部Fを閉塞する側に移動した場合に、途中で、外障子Bの煙返し18が内障子Cの煙返し28に係合し、外障子Bに連動して内障子Cが閉塞側に移動するようになっている。また、外障子Bを開口部Fを開放する側に移動した場合には、外障子Bの煙返し18と内障子Cの煙返し28との係合が解除されるようになっている。
内障子Cの召合い側の縦框23の室外側面には、上述の煙り返し28が形成されている。また、内障子Cの戸先側(障子収納部D側)の縦框24の室内側面には、後述する方立Eの煙返し31と係合する煙返し29が形成されている。これにより、内障子Cは、障子収納部Dから引き出して内障子Cの障子収納部D側の縦框24と、方立Eが室内−室外方向で重なって煙返し29と煙返し31が係合した状態となるとそれ以上障子収納部Dから離れる方向に移動できなくなる。よって、開口部Fを外障子Bと内障子Cとで閉塞した状態で、内障子Cが外障子B側に移動することで、開口部Fの内障子側(右側)が開放するようなことがない。
また、内障子Cの戸先側(障子収納部D側)の縦框14の室外側面には、外障子Bの移動を規制するストッパ突起27が形成され、外障子Bを開口部Fを開放する方向に移動した場合に、外障子Bの召合い側となる縦框14の右側の端面が内障子Cのストッパ突起27に当接するようになっている。そして、外障子Bを開放側に移動中に、外障子Bが内障子Cのストッパ突起27に当接した際に、内障子Cの召合い側端面が外障子Bの引き手17が形成された縦框13より障子収納部D側(右側、外障子Bの召合い側)となるようになっており、引き手17が形成された縦框13が室内側から見て内障子Cに隠されずに必ず露出するようになっている。言い換えれば、外障子Bの戸先側の縦框13が室内−室外方向に内障子Bと重なることがないようになっている。これにより、縦框13や引き手17に手をかけて外障子Bを開放側に移動した場合に、縦框13や引き手17にかけた手が内障子Cに当たったり、外障子Bと内障子Cとの間に挟まれたりすることがないようになっている。なお、外障子Bが内障子Cのストッパ突起27に当接した状態で、外障子Bの戸先側端面と、内障子Cの召合い側端面の間の左右の距離は、例えば、外障子B(内障子C)の縦框13,14(23,24)の左右幅より僅かに長いものとなっている。
また、外障子Bを開放側に移動する際に、内障子Cのストッパ突起27に外障子Bが当接すると、外障子Bの開放側への移動に対応して内障子Cも開放側に移動することになる。すなわち、外障子Bが内障子Cのストッパ突起27を押して内障子Cを開放側に連動して移動可能となっている。
ここで、枠体Aの障子収納部D側の縦枠4の内側には、内障子Cが配置される前後位置に内障子Cの枠体Aの縦枠4への接触を規制するようにストッパ部材32が配置されている。
そして、外障子Bの戸先側の端面が略完全に開口部Fから出て障子収納部Dに入った状態(外障子Bの戸先側の端面と、方立Eの開口部Fの内周側となる端面とが略同一平面内に配置された状態)となった際に、ちょうど内障子Cがストッパ部材32に当接し、内障子Cのそれ以上の開放側への移動が規制され、内障子Cの移動が規制されることで、内障子Cのストッパ突起27に当接する外障子Bの開放側への移動が規制される。
従って、外障子Bは、開放側へ移動した際に、上述のように外障子Bの戸先側の端面と、方立Eの開口部F側の端面とが略同一平面内に配置された状態となり開口部Fを略完全に開口した状態で外障子Bの開放側への移動が停止するようになっており、これにより、外障子Bが障子収納部Dの奥側に入ってしまい障子収納部Dから取り出しずらい状態となるのを防止することができる。
また、この際には、内障子Cは、上述のように外障子Bが内障子Cのストッパ突起27に当接した状態であり、上述のように外障子Bの戸先側端面と内障子Cの召合い側端面との間に縦框13,14(23,24)の左右幅より僅かに長い間隔があいていることになる。
以上のことから、外障子Bを完全に開放した状態とすることにより、方立Eと引き手17を有する外障子Bの戸先側の縦框13が室内−室外方向に重なった状態、すなわち外障子Bの引き手17が室内側からみて方立Eの裏側に隠れて配置された状態となっても、外障子Bを上述のように完全に開口した状態では、外障子Bの戸先側の縦框13と方立Eとの間に内障子Cの前後幅(縦框23,24の前後幅)分の間隔があいた状態となっており、外障子Bの引き手17や縦框13に手をかけた状態で外障子Bを開放側に移動した際に、上述のように手が内障子Cにぶつかったり、外障子Bと内障子Cとの間に挟まれたりすることがないとともに、手が方立Eとの間に挟まれるようなこともない。また、外障子Bを完全に開放する際に方立Eが邪魔となることもない。
さらに、完全に開放された状態の外障子Bを閉鎖側に移動する際に、外障子Bの引き手17と方立Eが上述のように重なった状態となっても、外障子Bの引き手17を有する縦框13と方立Eとの間に手を入れて容易に引き手17に手をかけることができる。従って、外障子Bが開口部Fの外側に出て開口部F内に露出していない状態となっていても、問題なく閉鎖方向に移動することができる。
前記枠体Aの上記開口部Fと障子収納部Dとの間に上下に延在する前記方立Eが設けられている。方立Eは、その上端部が上枠に接合され、下端部が下枠2に接合されている。また、枠体Aの方立Eより障子収納部D側は建物の開口部の外側となり室内側からは壁によって見えない状態となっている。
一方、開口部Fは建物の開口部により室内側からその内周部分が露出した状態となっている。そして、矩形状の開口部Fの周囲は、上側が枠体Aの上枠、下側が枠体Aの下枠2、左側が枠体Aの縦枠3、右側が方立Eにより構成されている。
そして、これら上枠、下枠2、縦枠3及び方立Eから構成される開口部Fの内周面側には、アングル33が取り付けられるとともに、アングル33は、断熱サッシの上述の複合構造の樹脂形材であり、合成樹脂から形成される。
このアングル33は、所謂サッシのアングルとして機能するとともに、アングル33を合成樹脂製とすることで断熱性を向上し、かつ、上述の開口部Fの内周面を覆ってアルミ合金からなる部材を隠すことにより内装材(化粧部材、装飾部材)として機能するものであり、基本的に、開口部Fの内周面から間隔をあけて内周面Fと略平行に配置される樹脂板34と、樹脂板34を開口部Fの内周面を構成する上述の上枠、下枠2、縦枠3及び方立Eに取り付けるための取付部材35とからなっている。
なお、樹脂板34は、意匠性を高めるために、単なる平板ではなく、段差や凹部や凸部や突条や溝等が形成されていても良い。また、樹脂板34は、室内側の窓等の開口部用の内装材の上側(表側)に重なるように、枠体A及び方立Eより開口部F内周面に沿って室内側に向かって延出した状態となっている。
そして、アングル33のうちの方立Eに取り付けられるアングル33a(縦部材用樹脂形材)は、枠体Aの上枠、下枠2、縦枠3に取り付けられるアングル33が一種類の硬質樹脂から押し出し成型されているのに対して、硬質樹脂と軟質樹脂との少なくとも二種類(複数種類)の合成樹脂からなっている。なお、硬質樹脂および軟質樹脂は周知の合成樹脂が用いられている。
そして、方立Eに用いられるアングル33aは、例えば、図1および図2に示すように、上述の樹脂板34aと、取付部材35aとが一体成型されたものであり、方立Eの上下の長さ方向に沿って、開口部Fの上下に対応する長さだけ延在した状態に配置される。
取付部材35aは、方立Eの端面(内周側面)の室外側縁よりも室内側にあり、例えば、取付部材35aの室外側の側面と方立Eの室外側側面との間の室内−室外方向に沿った距離は、例えば、方立Eの室内−室外方向に沿った幅の1/3〜1/5程度となっている。また、前記距離は、例えば、指の先端から最初の関節程度までの距離とほぼ同じ程度の長さとなっており、指の先端部分の太さよりも長いものとなっている。
また、取付部材35aの左右方向の長さ、すなわち、樹脂板34と方立Eの端面との間の距離は、上述の取付部材35aの室外側の側面と方立Eの室外側側面との間の室内−室外方向に沿った距離とほぼ等しい距離となっている。
前記樹脂板34aは、上述の軟質樹脂と硬質樹脂とから一体に形成されているとともに、樹脂板34aは、その室外側が方立Eの室外側側面より僅かに室外側すなわち内障子C側に突出しており、内障子Cの戸先側の縦框24の室内側に突出する部分に当接もしくは近接する状態となっている。そして、樹脂板34aは、例えば、開口部Fを閉塞した状態で内障子Eに当接若しくは近接することで、開口部装置の気密性を高めるようになっている。
また、樹脂板34aの室内側は、上述のように方立Eの室内側面より室内側に延出して形成されている。
そして、樹脂板34aは、前記取付部材35aの室外側面より室内側となる硬質板部36が硬質樹脂から形成され、前記取付部材35aの室外側面より室外側となる軟質板部37が軟質樹脂から形成されている。
軟質樹脂からなる軟質板部37は、取付部材35aの内周側面と室外側面との角部から室内−室外方向に沿って室外側に延出した状態に形成され、基端部が硬質板部36および取付部材35aに固定されて支持された状態で、先端部が開放端となっており、軟質樹脂からなることから先端部が僅かな力で容易に大きく変位可能(弾性変形可能)となっている。特に、軟質板部37の方立E側には、樹脂板34aを方立Eに取り付ける取付部材35aが軟質板部37の基端部を除いて存在せず、軟質板部37の方立Eに近づく方向への変位(弾性変形)を可能とする空間が形成されている。すなわち、軟質板部37の基端部から先端部までの間の方立E側には、軟質板部37と方立Eとの距離だけ間隔が設けられており、例えば、先端部が方立Eに接触するまで、軟質板部37を変位可能となっている。
また、軟質板部37の前後方向に沿った長さは、取付部材35aの室外側の側面と方立Eの室外側側面との間の前後方向に沿った距離、および、樹脂板34と方立Eの左側となる端面との間の距離より僅かに長いものとなっている。
そして、方立Eのアングル33aは、開口部Fの他の内周側に設けられたアングル33とともに、アルミ合金部材に対して断熱性を高めるために配置されるとともに、アングル33aの樹脂板34が開口部Fの室内側の内装材と連携して開口部Fの室内側の障子B,Cの近傍部分の装飾を行うものである。
そして、上記方立Eのアングル33aの樹脂板34aは、上述のように開口部F内周の装飾となるとともに、室外側部分が大きく変位可能となっているので、例えば、内障子Cの複層ガラス26の室内側面より突出した召合い側の縦框23と方立Eとの間に手の指が巻き込まれるのを防止するとともに、手の指が方立Eにあたった場合の衝撃を吸収するものである。
ここで、通常の使用方法として、上述のように外障子B及び内障子Cを外障子Bの引き手17に手をかけて開閉した場合に、指を方立Eと内障子Cの召合い側縦框23との間に挟むようなことは有り得ないが、上述のように内障子Cの召合い側縦框23が複層ガラス26の室内側面より突出していることにより、内障子Cの縦框23に手の指をかけたり、縦框23を左右から指で挟んで掴んだりすることで、内障子Cの開閉を行う可能性がある。
この場合に、上述のように召合い側の縦框23と方立Eとの間に手の指が挟みこまれる可能性が発生するが、方立Eの手の当たる部分に上述のアングル33aの樹脂板34aの軟質樹脂からなる軟質板部37が設けられており、この軟質板部37が上述のように方立E側に向かって大きく弾性変形可能となっている。従って、上述のように指が挟まれそうになった場合に、内障子Cの召合せ側の縦框23の方立E側にかけられた指が、方立Eの内周面側(端面)の軟質板部37に当たった際に、軟質板部37が基端部を固定された状態で先端部側が方立Eに近づくように大きく変位することになる。
これによって、指が方立Eにあたる衝撃が大きく緩和されるとともに、指に接触した軟質板部37が弾性変形する際に、軟質板部37の弾性力と指や縦框23に対する摩擦力で内障子Cの開放側への移動速度を減衰させ、内障子Cの移動が停止する。これにより指が方立Eと縦框23との間に巻き込まれるのを防止することができる。
また、方立E用の軟質樹脂および硬質樹脂からなるアングル33aは軟質樹脂と硬質樹脂とを共押し出し成型することにより一体に形成されており、少ない工程で安価に製造可能である。また、樹脂を成型する際に、軟質樹脂と、硬質樹脂とで例えば略同色になるように顔料等の配合割合を調整した軟質樹脂および硬質樹脂を使用することで、一見して軟質樹脂部分と硬質樹脂部分との違いが判らないように製造することが可能であり、軟質樹脂部分が従来の樹脂形材のリブより大きく容易に見た目で認識可能なサイズとなっていても、樹脂形材の意匠性に全く影響を与えることがない。
上記例では、2枚建て片引き全開口タイプのサッシに本発明を適用したが、その他のタイプのサッシにも適用可能であり、例えば、合掌式に左右に2枚ずつの障子を配置した両寄せ全開口タイプのサッシにも適用可能である。
さらに、全開口タイプ以外でも、例えば、引き違いサッシにおいて、内障子と外障子を通常の開口部を閉めた状態の配置と逆配置とするような場合に、内障子の召合い側の縦框と、外障子の戸先側の縦框との間で、上述の方立Eと縦框23との間に指が挟まれるような状況が発生する可能性があるが、この際に内障子の召合せ側縦框の端面に上述の方立Eのアングル33aのような軟質板部37を有する構造の樹脂形材を設けることで、上記例と同様の作用効果を得ることができる。
すなわち、本発明においては、室内側に樹脂形材が取り付けられた断熱サッシにおいて、障子の移動に際して、障子の縦框部材と室内−室外方向(前後方向)に重なる状態と重ならない状態とに変換可能で上下に延在した縦部材がある場合に適用可能であり、前記縦部材が上述のような方立Eの場合もあるし、前記障子とは別の障子の縦框である場合もある。
また、取っ手が有るにも係らず取っ手に手を掛けずに障子の縦框を持って障子を移動した場合に、障子が左右に移動するサッシならば、障子の縦框と枠体の縦枠との間で指を挟む可能性もあり、枠体の内周面側に取り付けられる合成樹脂性のアングルの部分に上述の軟質板部を有する構造を設けても良い。
本発明の実施の形態に係る2枚建て片引き全開口タイプのサッシを示す図であって、開口状態の横断面図である。 同、閉じた状態の横断面図である。 従来のサッシであって、開口状態の横断面図である。 同、閉じた状態の横断面図である。
符号の説明
A 枠体
C 内障子(障子)
E 方立(縦部材)
23 縦框
33a アングル(縦部材用樹脂形材)
34a 樹脂板
36 硬質板部
37 軟質板部

Claims (1)

  1. 枠体と、この枠体内に左右方向に移動可能に設けられた障子とを備え、かつ、室内側に合成樹脂製の樹脂形材が設けられた複合構造を有し、
    障子の開閉動作時に、一つの障子より室内側で、当該障子の一方の縦框の室内側面と重ならない位置から重なる位置に前記障子の縦框に対して相対的に移動する縦部材を備えた開口部装置であって、
    前記縦部材が前記障子の縦框と重ならない位置となった際に、前記障子の縦框側を向く前記縦部材の左もしくは右の端面に設けられた前記縦部材用樹脂形材に、前記縦部材の端面から所定距離だけ離れた位置で前記端面を覆う樹脂板が設けられ、
    前記樹脂板は、室内側の硬質樹脂からなる硬質板部と当該硬質板部の室外側に設けられた軟質樹脂からなる軟質板部とから形成され、
    前記軟質板部を有する前記縦部材用樹脂形材が一体に硬質樹脂と軟質樹脂との共押し出し成型により形成され、
    前記軟質板部の室内側の基端部が前記硬質板部と一体とされて固定され、前記軟質板部の室外側の先端部が開放端とされ、
    前記軟質板部と前記縦部材との間には、前記軟質板部の先端部を前記縦部材側に近づけるように弾性変形可能な空間が形成されていることを特徴とする開口部装置。
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