JP5180575B2 - 建具 - Google Patents

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Description

本発明は、スライド開閉可能な障子を備えた建具に関する。
従来、片引き窓や引き込み窓など、障子を障子収納部に収納して全開することが可能な建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された建具は、片側一対2枚の障子がそれぞれ障子収納部に引き込まれて全開される四枚建ての引き分け、引き込み窓であり、各一対の障子(室内側障子および室外側障子)は、それぞれ左右スライド自在に窓枠に支持され、障子収納部に収納されることで全開可能に構成されている。また、この引き込み窓では、室内側障子の一方の縦框(戸先框)が障子収納部の側端縁(方立)に重なるとともに、室内外の障子の縦框(召合せ框)同士が見込み方向に重なることで閉鎖可能に構成されている。この閉鎖状態において、左右各組の室外側障子における縦框(戸先框)同士が当接することで窓全体が閉鎖されるようになっている。
特開2006−70578号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載されたような従来の引き込み窓では、全開状態において、室内側障子の召合せ框(閉鎖方向端縁を構成する縦框)が方立の見込み方向に重ならず、室内側障子の障子ストッパーが方立の見込み面に当接する位置までしか開放されない。つまり、従来の引き込み窓では、障子の引き残しが大きくなってしまい、このため、全開時の開口面積が十分に拡大できないという問題がある。
また、従来の引き込み窓において、開口面積を拡大しようとして障子ストッパーを省略した場合には、室内側障子の召合せ框が方立の見込み面に当接してしまうこととなる。このため、室内側障子の支持位置(および室外側障子の支持位置)を室外側に移動させ、召合せ框が方立ての室外側に重なるようにした構成が考えられるが、このような構成を採用した場合には、窓全体の見込み寸法が拡大するとともに、外壁面からの突出量も大きくなってしまい、製造コストや施工性、意匠性の点などで不都合を生じる。
本発明の目的は、建具全体の見込み寸法拡大を防止しつつ有効開口面積が拡大できる建具を提供することにある。
本発明の建具は、枠体と、この枠体にスライド開閉自在に支持された障子と、この障子の閉鎖状態において当該障子の開放方向側端縁の見込み方向室内側に重なる縦部材とを備えた建具であって、前記障子は、開放方向側端縁を構成する第1框と、閉鎖方向側端縁を構成する第2框とを有するとともに、前記第1框が前記縦部材の見込み方向室外側に重なる全閉位置から、前記第2框が前記縦部材の見込み方向室外側に重なる全開位置までの間を移動可能に構成され、前記縦部材には、前記全閉位置にある障子の前記第1框と係合する係合部と、この係合部よりも前記障子の閉鎖方向側にて当該係合部よりも見込み方向室内側に後退した後退部とが形成され、前記縦部材の後退部における前記閉鎖方向側の端部には、弾性変形可能なカバー部材が設けられ、前記障子を全開した状態において、前記第2框の見込み方向室内側面における室内側先端部が前記係合部よりも閉鎖方向側に位置して設けられていることを特徴とする。
ここで、本発明の建具としては、縦部材に第2框が重なって全開される障子を備えたものであればよく、1枚の障子を備えた片引き形式の建具でもよく、一対2枚の障子が片側方向に開放される二枚建て形式のものや、3枚の障子が片側方向に開放される三枚建て形式のものであってもよい。さらに、本発明の建具は、左右対称に配置された障子が引き分け形式で開放される二枚建てや四枚建ての引き分け形式の建具でもよい。また、縦部材としては、窓枠に一体に設けられた縦材や中桟であってもよく、外壁などの壁体の端縁で構成されたものでもよく、固定パネルや固定障子などの面材の端縁で構成されたものや、可動障子の縦框(召合せ框)で構成されたものでもよい。
以上の本発明によれば、第2框が縦部材の見込み方向室外側に重なって障子が全開されるので、有効開口面積を拡大することができるとともに、全開時に障子が目立たなくなることで、建具の意匠性が良好にできる。この際、縦部材の閉鎖方向側にて係合部よりも見込み方向室内側に後退部を形成するとともに、障子を全開した状態において、第2框の見込み方向室内側面における室内側先端部が、係合部よりも閉鎖方向側に位置することで、第2框と縦部材とが当接しないことから、障子の支持位置を見込み方向室外側に移動させる必要がない。従って、窓枠の見込み寸法、すなわち建具全体の見込み寸法が拡大することが防止できる。
また、全開状態において、第2框の見込み方向室内側の先端部と縦部材の係合部とが見込み方向において対向しないことで、障子を開閉操作する際に第2框の室内側先端部を手で持って障子を開放しても、この第2框の室内側先端部と縦部材の係合部との間に手が挟まれにくくすることができる。
さらに、障子を全開した状態で第2框の見込み方向室内側面と縦部材の後退部との隙間がカバー部材で覆われるので、隙間の内部が見えないようになって意匠性を向上させることができる。さらに、カバー部材が弾性変形可能であり、変形した状態のカバー部材と第2框との間に隙間を設けることができるので、万一、第2框とカバー部材との間に手が挿入されても、手の怪我が防止できる。また、障子を閉じる際に第2框と縦部材との間に手が引き込まれそうになっても、手が当たってカバー部材が弾性変形することで、即座に利用者が気付いて手を離すことができるので、手が引き込まれることが防止できる。
この際、本発明の建具では、前記第2框の見込み方向室内側面は、前記室内側先端部よりも開放方向側が傾斜面状、曲面状または段付き状に形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、第2框の見込み方向室内側面が後退部から係合部に近づくにしたがって係合部から離れるような形態や、係合部および後退部の外形に沿った形態に構成できる。これにより、第2框の見込み方向室内側面と係合部との間に所定の隙間を確保しつつ、係合部と後退部との見付け方向の距離を近づけて縦部材の見付け寸法をコンパクトにすることができる。さらに、第2框の室内側面が傾斜面状や曲面状に形成されていれば、この第2框が掴みにくくなるので、第2框を持って障子を開閉する操作を予防することができ、第2框と縦部材との間に手が挟まれにくくすることができる。
さらに、本発明の建具では、前記第2框の見込み方向室内側面は、前記室内側先端部よりも閉鎖方向側が傾斜面状、曲面状または段付き状に形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、第2框の見込み方向室内側面を対称形状に形成したことで、第2框の意匠性が向上できるとともに、見込み方向室内側先端部に向かって徐々に細くなる形態となってさらに掴みにくくなるので、この先端部を持った操作を予防することができる。
また、本発明の建具では、前記枠体には、前記障子である内障子の室外側に沿って外障子がスライド開閉自在に支持されており、前記縦部材は、前記枠体または当該枠体が固定される躯体に対して移動不能に設けられ、この縦部材よりも開放方向側かつ見込み方向室外側には、全開状態における前記内外障子を収納する収納部が設けられ、前記外障子は、開放方向側端縁を構成する第3框と、閉鎖方向側端縁を構成する第4框とを有するとともに、前記全閉位置にある内障子における前記第2框の見込み方向室外側に前記第3框が重なる全閉位置から、前記収納部に収納される全開位置までの間を移動可能に構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、内障子および外障子からなる一対2枚の障子を備えた二枚建て片引きの建具や、これら一対の障子を左右対称に配置した4枚の障子を備えた四枚建て引き分け形式の建具が構成できる。そして、内障子の第2框と外障子の第3框とが見込み方向に重なって2枚の障子が閉じる、つまり第2框および第3框によって召合せ框が構成される場合において、第2框が框突出部を有して構成されているので、第2框の強度および剛性が確保でき、内障子および外障子に面外方向から作用する風圧力等に対する抵抗力を確保することができる。すなわち、召合せ框を構成する第2框および第3框は、閉鎖状態において縦枠などに支持されないため、風圧力等に抵抗するために見込み寸法を大きくする必要があるが、第2框の見込み寸法が大きく形成されていることで、面外方向の強度、剛性が確保できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る建具であるサッシ窓1を示す横断面図である。
図1において、サッシ窓1は、建物の外壁開口部に設けられて建物の室内空間と室外空間とを仕切る二枚建て片引き形式(引き込み形式)の全開口タイプの建具である。このサッシ窓1は、外壁Wに固定される枠体としての窓枠2と、この窓枠2に左右スライド開閉自在に支持された一対2枚の障子10と、障子10の室外側に左右スライド開閉自在に支持された網戸20とを備えて構成されている。
窓枠2は、四周枠組みされた上枠(不図示)、下枠3、および左右の縦枠4,5と、その内部にて上枠と下枠3とに渡って架設された縦部材としての縦材6とを有して構成され、外壁Wから室外側に突出して固定されている。縦材6は、外壁開口部WOの開口側端縁を構成するものであって、縦額縁材Gの室外側に位置して外壁Wに固定されている。そして、窓枠2の内部において、縦材6と一方(図1中、右側)の縦枠4との間でかつ外壁Wの室外側には、2枚の障子10を収納する障子収納部7が形成されている。この障子収納部7における縦材6と縦枠4との間には、外壁Wと同様の外装材WSが取り付けられ、外壁Wと連続した外観意匠が構成されるようになっている。
障子10は、室内側障子(内障子)10Aおよび室外側障子(外障子)10Bからなる一対で構成され、室内側障子10Aおよび室外側障子10Bが片側方向(図1では右側)に全開可能で、全開位置において障子収納部7に収納されるようになっている。これらの障子10は、それぞれ四周框組みした上框、下框(不図示)および左右の縦框11,12,13,14と、その内部に支持された面材としてのガラスパネル15とを備えて構成されている。そして、室内側障子10Aは、障子収納部7に収納された全開位置から、図1に示す全閉位置までの間を開閉移動可能とされている。一方、室外側障子10Bは、障子収納部7に収納された全開位置から、室内側障子10Aの全閉位置を通過して図1に示す全閉位置までの間を開閉移動可能とされている。
以上の各障子10において、室内側障子10Aの一方(図1中、右側)の縦框11は、全閉位置で縦材6の室外側に重なって閉じ、他方(図1中、左側)の縦框12は、全閉位置で室外側障子10Bにおける一方(図1中、右側)の縦框13の室内側に重なって閉じ、室外側障子10Bの他方(図1中、左側)の縦框14は、他方の縦枠5と当接して閉じるようになっている。すなわち、室内側障子10Aの一方の縦框11によって第1框としての戸先框が構成され、他方の縦框12によって第2框としての内召合せ框が構成されるとともに、室外側障子10Bの一方の縦框13によって第3框としての外召合せ框が構成され、他方の縦框14によって第4框としての戸先框が構成されている。また、窓枠2の上枠には、室内側障子10Aおよび室外側障子10Bをそれぞれ案内する内外の上レールが設けられ、下枠3には、室内側障子10Aおよび室外側障子10Bをそれぞれ案内する室内側下レール3Aおよび室外側下レール3Bが設けられている。
次に、図2、図3も参照して窓枠2の縦材6および障子10の縦框11,12,13,14について詳しく説明する。ここで、図2は、縦材6および室内側障子10Aの縦框11(戸先框)の部分を拡大して示す横断面図である。図3は、室内外の障子10A,10Bの縦框12,13(召合せ框)の部分を拡大して示す横断面図である。
図2に示すように、窓枠2の縦材6は、それぞれアルミ形材製の室内部材6Aおよび室外部材6Bと、これらの室内部材6Aと室外部材6Bとを連結する樹脂製の断熱部材6Cとを備えて構成されている。室内部材6Aは、断面矩形中空状の室内部材本体61と、この室内部材本体61の見付け方向内端から室内側に延びて縦額縁材Gに当接する延出片部62と、室内部材本体61の見付け方向内端寄りでかつ室外側側面に設けられた断面略凹状の保持部63とを有して形成されている。室外部材6Bは、断面矩形中空状の室外部材本体64と、この室外部材本体64の室内側端部から見付け方向外側に延びて外壁Wに固定される固定片部65と、室外部材本体64の室外側側面から突出して見付け方向外側に折れ曲がった断面略L字形の係合部66とを有して形成されている。
そして、縦材6において、室内部材6Aの室内部材本体61の見込み寸法は、室外部材6Bの室外部材本体64の見込み寸法よりも小さく形成され、室内部材本体61の室外側側面が室外部材本体64の室外側側面よりも室内側に後退して設けられている。そして、室内部材本体61の室外側側面と断熱部材6Cの室外側側面とが略フラットに形成されており、これらの室内部材本体61および断熱部材6Cの室外側側面によって縦材6の後退部6Dが構成されている。すなわち、後退部6Dは、係合部66よりも室内側障子10Aの閉鎖方向側(図2中、左側)に形成されるとともに、係合部66よりも室内側障子10Aから離れる側(室内側)に形成されている。また、縦材6における室内部材6Aの保持部63には、軟質ゴム製で弾性変形可能なカバー部材6Eが室内側障子10A側(室外側)に向かって突出して取り付けられている。
一方、室内側障子10Aの縦框11は、アルミ形材製の縦框本体11Aと、この縦框本体11Aにおける室内空間側に取り付けられた樹脂製の框室内部材11Bとを有して構成されている。すなわち、框室内部材11Bは、縦框本体11Aの見付け方向内側でかつガラスパネル15よりも室内側に係合して取り付けられている。縦框本体11Aは、室内側障子10Aの閉鎖状態において、縦材6の室外側に対向する矩形中空状の框本体室内部11Cと、框本体室内部11Cの室外側に設けられた矩形中空状の框本体室外部11Dと、ガスケット15Aを介してガラスパネル15の側端縁を保持するパネル保持部11Eとを有して形成されている。そして、框本体室内部11Cの室内側側面には、室内側に突出して見付け方向内側に折れ曲がった断面略L字形の係合部11Fが形成されている。室内側障子10Aの閉鎖状態において、縦框11の係合部11Fと縦材6の係合部66とが係合するとともに、カバー部材6Eによって框本体室内部11Cと縦材6の後退部6Dとの隙間が覆われるようになっている。
次に、図3に示すように、室内側障子10Aの縦框12は、それぞれアルミ形材製の框室内部材12Aおよび框室外部材12Bと、これらの框室内部材12Aと框室外部材12Bとを連結する樹脂製の断熱部材12Cとを備えて構成されている。そして、框室内部材12Aと框室外部材12Bとの間には、ガスケット15Aを介してガラスパネル15の側端縁を保持するパネル保持部12Dが形成され、框室外部材12Bの室外側側面には、室外側に突出して見付け方向内側に折れ曲がった断面略L字形の係合部12Eが形成されている。一方、室外側障子10Bの縦框13は、アルミ形材製の一体成形部材であって、その見付け方向内側には、ガスケット15Aを介してガラスパネル15の側端縁を保持するパネル保持部13Aが形成され、縦框13の室内側側面には、室内側に突出して見付け方向内側に折れ曲がった断面略L字形の係合部13Bが形成されている。そして、室内側障子10Aおよび室外側障子10Bの閉鎖状態において、縦框12の係合部12Eと縦框13の係合部13Bとが係合するようになっている。
また、室内側障子10Aの縦框12は、ガラスパネル15よりも見込み方向室内側に突出した框突出部121を有して形成されている。この框突出部121の見込み方向室内側最先端部は、前記縦框11における框本体室内部11Cの室内側側面と略同一見込み位置に設けられている。そして、框突出部121において、室内側障子10Aの開放方向側(図3の右側)には、框突出部121の突出方向である室内側に向かうにしたがって閉鎖方向(図3の左側)に円弧状に傾斜した第1曲面状部122が形成されている。また、框突出部121の閉鎖方向側(図3の左側)には、室内側に向かうにしたがって開放方向(図3の右側)に円弧状に傾斜した第2曲面状部123が形成されている。これらの第1曲面状部122と第2曲面状部123とは、左右略対称形状に形成されている。
次に、図4も参照して室内側障子10Aを開放した状態について詳しく説明する。ここで、図4は、開放した室内側障子10Aと縦材6とを示す横断面図である。
図4に実線で示すように、全開状態における室内側障子10Aの縦框12は、縦材6の見込み方向室外側に重なり、縦框12および縦材6の見込み面(閉鎖方向の端面)が略同一面内に位置するように室内側障子10Aが開放されるようになっている。このような全開位置に至るまでの開閉移動時において、縦框12は、図4に仮想線(二点鎖線)で示すように、框突出部121の見込み方向室内側最先端部が縦材6の保持部63およびカバー部材6Eの位置を通過することとなる。この縦材6の保持部63の位置を通過する際に、框突出部121の見込み方向室内側最先端部が縦材6の室内部材6Aに最も接近することとなり、そのような框突出部121と保持部63との間に間隔寸法L1となる隙間が設けられている。この際、縦材6の後退部6Dが保持部63よりも室内側に後退して設けられているため、この後退部6Dと框突出部121との間には、間隔寸法L1よりも大きな隙間が設けられるようになっている。
また、室内側障子10Aが全開位置まで開放された状態において、縦框12における框突出部121の第1曲面状部122と、縦材6の係合部66および室外部材本体64とが接近することとなる。このような框突出部121の第1曲面状部122と縦材6の係合部66との間には、間隔寸法L2となる隙間が設けられ、第1曲面状部122と室外部材本体64の室外側角部との間には、間隔寸法L3となる隙間が設けられている。また、カバー部材6Eは、図4に仮想線(二点鎖線)で示すように、縦材6の後退部6Dに沿った位置に弾性変形可能に構成されており、このように変形した状態において、カバー部材6Eと縦框12の框突出部121との間には、間隔寸法L4となる隙間が設けられている。この間隔寸法L4は、カバー部材6Eが変形した際の厚さ分だけ保持部63との間隔寸法L1よりも小さくなっている。
以上のような各間隔寸法L1〜L4は、それぞれ縦框12の框突出部121と縦材6との隙間に、指が挟まれない程度の寸法(所定寸法であり、例えば、15mm程度)以上となるように設定されている。従って、室内側障子10Aの開閉移動時において、框突出部121の見込み方向室内側最先端部が縦材6の保持部63およびカバー部材6Eの位置を通過する際に、框突出部121を手で操作していたとしても、カバー部材6Eが弾性変形することで、カバー部材6Eと框突出部121先端との間に間隔寸法L4の隙間が形成され、この隙間から容易に指を抜くことができるようになっている。また、室内側障子10Aを全開する際に、框突出部121の第1曲面状部122に指が掛かっていたとしても、第1曲面状部122と縦材6の係合部66および室内部材6Aとの間に間隔寸法L2,L3以上の隙間が形成され、縦框12と縦材6とで指が挟まれないようになっている。
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)すなわち、障子収納部7の端縁を構成する縦材6の室外側に縦框12が重なって室内側障子10Aが全開されるので、有効開口面積を拡大することができるとともに、全開時に障子10が目立たなくなることで、サッシ窓1の意匠性が良好にできる。そして、縦框12の框突出部121と縦材6との間に間隔寸法L1〜L4の隙間が設けられているので、室内側障子10Aを開閉する際に框突出部121を手で操作したとしても、縦框12と縦材6の間に指が挟まれることが防止できる。
(2)また、室内側障子10Aが全開された状態において、縦框12の見込み方向室内側最先端部が縦材6の係合部66よりも閉鎖方向側に位置するとともに、縦框12の框突出部121に応じて縦材6に後退部6Dが形成されることで、前述の隙間が確保されていることから、障子10の支持位置である上レールや下レール3A,3Bを室外側に移動させなくても、指挟みを抑制することができる。従って、窓枠2の見込み寸法の拡大が防止でき、部材断面の拡大による製造コストの増加や施工性の低下を招くことなく、かつサッシ窓1全体の外壁Wからの突出寸法を抑制することによる意匠性の向上を図ることができる。
(3)また、框突出部121に室内側かつ閉鎖方向に傾斜した第1曲面状部122が形成されていることで、縦材6の係合部66および室外部材本体64の位置を開放方向に大きくずらさなくても、第1曲面状部122と縦材6の係合部66および室外部材本体64との間に間隔寸法L2,L3の隙間を確保することができる。従って、係合部66を室内部材6A側に近づけて形成することができるので、縦材6の見付け寸法の拡大が防止でき、これに伴って縦框11の見付け寸法の拡大も防止することができる。
(4)さらに、框突出部121には、第1曲面状部122と左右対称な第2曲面状部123が形成されているので、框突出部121が掴みにくくでき、框突出部121を掴んで室内側障子10Aを開閉する操作を予防することができる。従って、室内側障子10Aの開放操作時に障子収納部7側に手が引き込まれることがより抑制できるとともに、縦框12の意匠性が向上できる。
(5)また、縦材6にカバー部材6Eが設けられているので、室内側障子10Aの全閉状体で縦框11と縦材6との隙間をカバー部材6Eで覆い、全開状態で縦框12と縦材6との隙間をカバー部材6Eで覆うことができ、これらの隙間内部が見えないようになって意匠性を向上させることができる。さらに、カバー部材6Eが弾性変形した状態において、カバー部材6Eと縦框12の框突出部121の見込み方向室内側最先端部との間に間隔寸法L4の隙間が設けられているので、これらの間に指が挟まれることが防止できる。そして、室内側障子10Aを閉じる際に縦框12と縦材6との間に手が引き込まれそうになっても、カバー部材6Eに手が当たってカバー部材6Eが弾性変形することで、即座に利用者が気付いて手を離すことができるので、手が引き込まれることが抑制できる。
(6)また、室内側障子10Aの召合せ框である縦框12が框突出部121を有し、見込み寸法が大きく形成されているので、縦框12の強度および剛性が確保でき、室内側障子10Aおよび室外側障子10Bに面外方向から作用する風圧力等に対する抵抗力を確保することができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、二枚建て引き込み開放形式の全開口タイプのサッシ窓1を例示して説明したが、本発明の建具はこのようなサッシ窓1に限られない。すなわち、本発明の建具は、前記室内側障子10Aに相当する1枚の障子を有した片引き窓でもよく、また前記室内側障子10Aおよび室外側障子10Bに相当する一対の障子が左右対称に配置された四枚建て引き分け、引き込み開放形式の窓でもよい。また、縦部材としては、窓枠2の内部にて上枠と下枠3とに渡って架設された縦材6に限らず、外壁などの壁体の端縁を縦部材としてもよく、固定パネルや固定障子などの面材の端縁や、可動障子の縦框(召合せ框)で縦部材を構成してもよい。
また、前記実施形態では、框突出部121に左右対称な第1曲面状部122および第2曲面状部123を形成したが、このような曲面状部は必須ではなく、框突出部を矩形状に形成してもよい。さらには、曲面状部122,123に替えて、框突出部が断面略三角形状となるような傾斜面部を形成してもよく、また、縦材6の係合部66および室外部材本体64の外形に沿って段付き状に形成された段付き状部を有して框突出部が断面凸状に形成されていてもよい。
また、前記実施形態では、縦材6にカバー部材6Eを設けたが、このカバー部材6Eは必須ではなく、省略してもよい。また、カバー部材としては、弾性変形可能な軟質ゴム製のものに限らず、縦材6に対して回動可能またはスライド可能に支持された硬質な部材で構成されていてもよい。
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明の実施形態に係る建具を示す横断面図である。 前記建具における内障子の戸先部分を拡大して示す横断面図である。 前記建具における内外障子の召合せ部分を拡大して示す横断面図である。 前記建具における内障子の開放状態を示す横断面図である。
符号の説明
1…サッシ窓(建具)、2…窓枠(枠体)、6…縦材(縦部材)、6D…後退部、6E…カバー部材、7…障子収納部(収納部)、10…障子、10A…室内側障子(内障子)、10B…室外側障子(外障子)、11…縦框(第1框)、12…縦框(第2框)、13…縦框(第3框)、14…縦框(第4框)、66…係合部、122…第1曲面状部、123…第2曲面状部。

Claims (4)

  1. 枠体と、この枠体にスライド開閉自在に支持された障子と、この障子の閉鎖状態において当該障子の開放方向側端縁の見込み方向室内側に重なる縦部材とを備えた建具であって、
    前記障子は、開放方向側端縁を構成する第1框と、閉鎖方向側端縁を構成する第2框とを有するとともに、前記第1框が前記縦部材の見込み方向室外側に重なる全閉位置から、前記第2框が前記縦部材の見込み方向室外側に重なる全開位置までの間を移動可能に構成され、
    前記縦部材には、前記全閉位置にある障子の前記第1框と係合する係合部と、この係合部よりも前記障子の閉鎖方向側にて当該係合部よりも見込み方向室内側に後退した後退部とが形成され、
    前記縦部材の後退部における前記閉鎖方向側の端部には、弾性変形可能なカバー部材が設けられ、
    前記障子を全開した状態において、前記第2框の見込み方向室内側面における室内側先端部が前記係合部よりも閉鎖方向側に位置して設けられている建具。
  2. 前記第2框の見込み方向室内側面は、前記室内側先端部よりも開放方向側が傾斜面状、曲面状または段付き状に形成されている請求項1に記載の建具。
  3. 前記第2框の見込み方向室内側面は、前記室内側先端部よりも閉鎖方向側が傾斜面状、曲面状または段付き状に形成されている請求項2に記載の建具。
  4. 前記枠体には、前記障子である内障子の室外側に沿って外障子がスライド開閉自在に支持されており、
    前記縦部材は、前記枠体または当該枠体が固定される躯体に対して移動不能に設けられ、この縦部材よりも開放方向側かつ見込み方向室外側には、全開状態における前記内外障子を収納する収納部が設けられ、
    前記外障子は、開放方向側端縁を構成する第3框と、閉鎖方向側端縁を構成する第4框とを有するとともに、前記全閉位置にある内障子における前記第2框の見込み方向室外側に前記第3框が重なる全閉位置から、前記収納部に収納される全開位置までの間を移動可能に構成されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の建具。
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