JP2007119756A - 脱塩重縮合反応による重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 非プロトン性極性溶媒中で脱塩重縮合反応により重合体を製造する方法であって、該製造方法は、脱塩重縮合反応後に非極性溶媒を用いて抽出を行う工程を含んでなる脱塩重縮合反応による重合体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
これら重合体は、その種類に応じて様々な合成法により製造されることになるが、そのような合成法の1つに脱塩重縮合反応がある。脱塩重縮合反応による重合体の合成に関し、特定の構造を有する含フッ素アリールエーテルケトン重合体を含む低誘電性樹脂組成物が開示されており、この含フッ素アリールエーテルケトン重合体は、単量体を脱塩重縮合することにより製造されることが開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。しかしながら、これらの含フッ素アリールエーテルケトン重合体の製造においては、脱塩重縮合反応後、反応溶液を酢酸水溶液等の水系溶媒に注加して重合体を沈殿として析出させ、これを捕集する再沈殿粉砕法により重合体を得ているが、得られた重合体中に残存する溶媒や塩の量を少なくし、より高純度の重合体を得ることができる製造方法とする工夫の余地があった。
更に、ポリアリーレン系及び/又はポリアリーレンエーテル系ポリマーを溶液抽出して金属含有量を低減させる方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、この方法においても脱塩重縮合反応により得られたポリマーの溶液から、再沈殿によりポリマーを固体で取り出して金属含有量を低減させた後、更にポリマー固体を抽出溶媒に溶解して抽出していることから、より簡便な方法により、ポリマーの金属含有量を低減することができる方法する工夫の余地があった。
更に、(4)場合により、析出物を粉状にするために大型の粉砕装置が必要となる。(5)再沈殿後の析出物を更に貧溶媒(例えば水)で洗浄して、塩や良溶媒を除く工程を必要とする場合がある。等の問題もあった。
これに対し、抽出を用いた方法では、粉体で得る場合と比較して沈殿物の粉砕や粉体の乾燥の工程がなく、作業工程も少なく作業日数も大幅に短縮して重合体溶液を得ることができる。溶液状態で得られることから、取り扱いが容易で、このまま重合体溶液をキャストすることで当該組成物の膜を得ることができる。更に、この方法によると、従来脱塩重縮合反応により得られる重合体の精製工程において用いられていたクエンチング工程を含む抽出方法に比べて、より簡便な方法により生成した重合体を精製することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
以下に本発明を詳述する。
なお、本発明の重合体の製造方法は、脱塩重縮合反応を行う工程、及び、脱塩重縮合反応後に非極性溶媒を用いて抽出を行う工程を含むものである限り、その他の工程を含んでいてもよい。
なお、本発明の重合体の製造によって得られる重合体は、得られる重合体の重合鎖の少なくとも一部が脱塩重縮合反応により形成されるものである限り、重合鎖の他の部分が脱塩重縮合反応以外の反応により形成されるものであってもよい。すなわち、本発明の重合体の製造方法に原料として用いられる単量体は、脱塩重縮合反応により重合鎖を形成する単量体を含むものである限り、その他の単量体を含んでいてもよい。
1分子に同一の置換基を2つ以上有する単量体同士を組み合わせて脱塩重縮合反応を行う場合、単量体の有効利用、及び、重合体の収率の点から、1つの単量体1モルに対して、他の単量体0.5〜1.5モルの比率で用いることが好ましい。より好ましくは、1つの単量体1モルに対して他の単量体0.7〜1.3モルの比率で用いることである。
沸点の低い溶媒を抽出溶媒に選ぶことにより、それ以上の沸点の溶媒への溶媒置換が容易となるため、溶媒を選択できる。抽出に用いる非極性溶媒の使用量としては、重合溶媒の2倍以上であることが好ましく、3倍以上がより好ましい。
また重合体溶液の粘度は、50mPa・s以下であることが好ましい。粘度が50mPa・s以上の場合、水と混合したときの液粘度が高くなり、液液分離がしにくくなり、時間を要することとなる。より好ましくは、15mPa・s以下である。
なお、上記ポリエーテルスルホンは、分子中にエーテル結合とスルホン酸基とを少なくとも1つずつ有する化合物であればよく、エーテル結合とスルホン酸基との比率は特に制限されない。上記ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、及び、ポリエーテルアミドについても同様に、分子中のエーテル結合とケトン基との比率、エーテル結合とニトリル基との比率、及び、エーテル結合とアミド基との比率は、特に制限されない。
したがって、本発明の重合体の製造方法によって製造される重合体としては、フッ素原子を有するポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、及び、ポリエーテルアミドからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、これらの中でも、構造中に芳香環を有するフッ素含有ポリアリールエーテル系のものが更に好ましい。本発明の重合体の製造方法においては、これらの重合体が製造されることとなるように、上述した単量体の中から、適宜単量体を選択して脱塩重縮合反応が行われることが好ましい。
これらのなかで、下記式(1);
これらの繰り返し単位は、同一であっても異なっていてもよく、異なる繰り返し単位により構成される場合には、ブロック状、ランダム状等のいずれの形態であってもよい。フッ素含有ポリアリールエーテル系重合体がフッ素含有ポリアリールエーテルケトン構造を含む繰り返し単位、フッ素含有ポリアリールエーテルニトリル構造を含む繰り返し単位の両方を有するものである場合、両者の構成比率は特に制限されない。
これらの中でもR1としては、下記(4−1)〜(4〜20)がより好ましい。
4,4′−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(BPDE) 167.50g(0.3mol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPF) 105.12g(0.3mol)、炭酸カリウム 124.39g(0.9mol)、モレキュラーシーブ100g、及び、メチルエチルケトン(MEK) 500gを仕込み、窒素中還流条件下で7時間反応した。その後、この反応液に1.5Lの酢酸エチルを注いで攪拌後静置した。この上澄みを2Lの水と攪拌することで、塩を水層に、重合体を有機層に抽出した。抽出を4回繰り返し、有機層をろ過した後濃縮して重合体溶液を得た。その際の重合体収率(固形分換算)は93%であった。
得られた重合体溶液について、残存カリウム塩量、残存反応溶媒量、数平均分子量、及び、重合体溶液の着色を測定した。結果を表1に示す。残存カリウム(K)塩量、残揮量(残存反応溶媒量)、数平均分子量、及び、重合体溶液の着色の測定方法は、以下のとおりである。
重合体を厚膜に成型し、日本フィリップス社製蛍光X線分析装置PW2404を用いて測定した。
<残存カリウム塩の定量B法>
重合体溶液を乾燥して重合体を固体で取り出し、キシレンで希釈した後、ICP(Rigaku CIROS−120)を用いて分析した。
<残揮量測定>
実施例で得られた重合体溶液をメタノールに注いで再沈澱し、50℃で減圧乾燥してサンプルを調整した。比較例のものは、得られた粉体をそのまま用いた。測定にはVarian社製Unity Plus400を用い、溶媒プロトンと重合体プロトンの面積比により、残揮量を定量した。
<数平均分子量測定>
東ソー社製高速ゲルパーミエーションクロマトグラフ測定装置 HLC−8020を用い、展開液にTHF、標準ポリスチレンを基準として測定した。
<重合体溶液の着色>
20質量%濃度に調整した重合体溶液を準備し、分光式色彩計(日本電色工業社製 SE2000)を用いてイエローインデックス(YI)の測定を行った。比較例のものは、酢酸エチルに溶解して評価した。
BPDE 167.50g(0.3mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(Bis−AF) 100.87g(0.3ml)、炭酸カリウム 82.93g(0.6mol)、モレキュラーシーブ100g、及び、MEK 500gを仕込み、窒素中還流条件下で4時間反応した。その後、この反応液に1.5Lの酢酸エチルを注いで攪拌後静置した。この上澄みを2Lの水と攪拌することで、塩を水層に、重合体を有機層に抽出した。抽出を4回繰り返し、有機層をろ過した後濃縮して重合体溶液を得た。その際の重合体収率(固形分換算)は91%であった。
4−フェノキシ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゾニトリル(PTFBN) 80.15g(0.3ml)、BPF 105.12g(0.3ml)、炭酸カリウム 124.39g(0.9mol)、モレキュラーシーブ100g、及び、MEK 500gを仕込み、窒素中還流条件下で5時間反応した。その後、この反応液に1.5Lの酢酸エチルを注いで攪拌後静置した。この上澄みを2Lの水と攪拌することで、塩を水層に、重合体を有機層に抽出した。抽出を4回繰り返し、有機層をろ過した後濃縮して重合体溶液を得た。その際の重合体収率(固形分換算)は92%であった。
PTFBN 80.15g(0.3mol)、Bis−AF 100.87g(0.3ml)、炭酸カリウム 124.39g(0.9mol)、モレキュラーシーブ 100g、及び、MEK 500gを仕込み、窒素中還流条件下で4時間反応した。その後、この反応液に1.5Lの酢酸エチルを注いで攪拌後静置した。この上澄みを2Lの水と攪拌することで、塩を水層に、重合体を有機層に抽出した。抽出を4回繰り返し、有機層をろ過した後濃縮して重合体溶液を得た。その際の重合体収率(固形分換算)は90%であった。
2,2′−ビス(ペンタフルオロベンゾイルオキシフェニル)−1,1,3,3−ヘキサフルオロプロパン(BP6FBA) 30g(0.041mol)、Bis−AF 13.9g(0.041mol)、炭酸カリウム 17.0g(0.123mol)、モレキュラーシーブ 8.0g、及び、MEK 150gを仕込み、窒素雰囲気下75℃で反応した。その後、この反応液に酢酸エチル900gを注いで攪拌後静置した。この上澄みを脱イオン水500gで抽出洗浄した。この操作を4回繰り返し、塩を水層に除いた。有機層をろ過した後濃縮して重合体溶液を得た。その際の重合体収率(固形分換算)は90%であった。
BPDE 167.5g(0.3mol)、Bis−AF 100.87g(0.3mol)、炭酸カリウム 62.19g(0.45mol)、モレキュラーシーブ 75g、及び、MEK 630gを仕込み、窒素雰囲気下78℃で8時間反応した。その後、この反応液に酢酸ブチル2500gを投入し、粗いろ過を行い、モレキュラーシーブを取り除いた。この溶液を脱イオン水800gで抽出洗浄した。この操作を5回繰り返し、塩を水層に除いた。この有機層の粘度は3cps(B型粘度計)であった。有機層をろ過した後濃縮して重合体溶液を得た。その際の重合体収率(固形分換算)は93%であった。
実施例6の抽出溶液をメチルイソブチルケトン(MIBK)に変更した以外は同じ工程で行い、ポリマー溶液を得た。その際の重合体収率(固形分換算)は92%であった。
BPDE 167.5g(0.3mol)、Bis−AF 100.87g(0.3mol)、炭酸カリウム 62.19g(0.45mol)、モレキュラーシーブ 75g、及び、MEK 630gを仕込み、窒素雰囲気下78℃で8時間反応した。その後、この反応液に酢酸エチル2500gを投入し、粗いろ過を行いモレキュラーシーブを取り除いた。この溶液を脱イオン水800gで抽出洗浄した。この操作を5回繰り返し、塩を水層に除いた。有機層を濃縮してトルエンを投入して溶媒置換を行い、重合体溶液を得た。その際の重合体収率(固形分換算)は91%であった。
BPDE 167.50g(0.3ml)、BPF 105.12g(0.3mol)、炭酸カリウム 45.61g(0.33ml)、及び、ジメチルアセトアミド(DMAc) 800gを仕込み、窒素中60℃で7時間反応した。その後、この反応液に500mLのアセトンを注いで攪拌後静置した。次いでこの上澄みを激しく攪拌した3Lの水に落とし、粉状の重合体を得た。粉体を吸引ろ過し、10Lの水に1時間浸漬して余分なDMAcを除いた。これを吸引ろ過し、乾燥機にて12時間乾燥させて重合体粉体を得た。その際の重合体収率は82%であった。
比較例1で得た重合体粉体を再びアセトン1Lに溶解し、DMAc 200gを足した後、1gの硫酸を加えて洗浄した。この溶液を激しく攪拌した2Lの水に落とし、粉状の重合体を得た。吸引ろ過、浸漬と同様の手順を繰り返し、減圧乾燥して粉体重合体を得た。その際の重合体収率は74%であった。
BPDE 167.5g(0.3mol)、Bis−AF 100.87g(0.3mol)、炭酸カリウム 62.19g(0.45mol)、モレキュラーシーブ75g、及び、メチルエチルケトン(MEK) 630gを仕込み、窒素雰囲気下78℃で8時間反応した。この反応液にアセトン300gを注いで攪拌後静置した。この上澄みを激しく攪拌した脱イミン水を落とし、粉上の重合体を得た。粉体を吸引ろ過し、10Lの水に浸漬して溶媒を取り除き、これを吸引ろ過、乾燥機にて乾燥して重合粉体を得た。その際の重合体収率は80%であった。
実施例2で得られた重合体溶液を、予め白金膜形成したガラス板上にスピンコーターを用いて塗布した後、80℃、150℃で乾燥し、厚さ10μmの膜を得た。表面にイオンスパッタにより白金膜を形成して誘電率を測定したところ、周波数10MHzにおける誘電率が2.75であった。10点において測定を行ったが、リークすることなく、全ての点で測定できた。誘電率の測定方法は、以下のとおりである。
あらかじめ白金膜を形成したガラス板上にスピンコーターを用いて重合体溶液を塗布した後、最初80℃で、その後150℃で乾燥し、10μmの膜を得た。更に、表面にイオンスパッタにより白金膜を形成して、絶縁膜の両面に白金膜がついた評価用サンプルを作製した。このサンプルの誘電率をインビーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製 HP−4294A)により測定した。
また、実施例9の家結果から、本発明の重合体の製造方法によって得られた重合体から得られた膜は、良好な絶縁性を有する絶縁膜であることが確認された。
Claims (7)
- 非プロトン性極性溶媒中で脱塩重縮合反応により重合体を製造する方法であって、該製造方法は、脱塩重縮合反応後に非極性溶媒を用いて抽出を行う工程を含んでなる
ことを特徴とする脱塩重縮合反応による重合体の製造方法。 - 前記重合体の製造方法は、脱塩重縮合反応後に重合体を取り出す操作をすることなく抽出を行い、分液された溶液を濃縮又は溶媒置換することにより金属成分を減少させた重合体溶液を得る
ことを特徴とする請求項1記載の重合体の製造方法。 - 前記重合体は、フッ素含有芳香族系重合体であることを特徴とする請求項1又は2記載の脱塩重縮合反応による重合体の製造方法。
- 前記抽出に用いる非極性溶媒は、沸点が150℃以下の溶媒であることを特徴とする請求項1〜3記載の脱塩重縮合反応による重合体の製造方法。
- 前記抽出に用いる非極性溶媒の比重が1以下である場合、抽出時における有機層である重合体溶液の比重が0.95以下である
ことを特徴とする請求項1〜4記載の脱塩重縮合反応による重合体の製造方法。 - 前記脱塩重縮合反応に用いる非プロトン性極性溶媒は、水への溶解度が10%以上の溶媒である
ことを特徴とする請求項1〜6記載の脱塩重縮合反応による重合体の製造方法。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の方法で得られる重合体溶液を塗布した後、乾燥することにより得られる膜。
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