図1は本発明の実施例1に係る駐車支援装置の構成図である。同図において、本実施例の駐車支援装置は、カメラ(撮影手段)100、舵角センサ(操舵角検出手段)110、車輪速センサ120およびコントロールユニット201を備え、また、モニタ130、スピーカ131、ステアリングアクチュエータ(STRG ACTR)132またはブレーキアクチュエータ(ブレーキACTR)133を備えて構成されている。
カメラ(撮影手段)100は、例えば車両後方部に設置されており、駐車枠線等を撮影して駐車枠線と自車の位置関係を把握するための画像を取得する。また、舵角センサ(操舵角検出手段)110は、ハンドルに設置されており、並列駐車場への後退駐車時に、自車両の内側後輪を始点とした旋回半径の軌跡を求めるための舵角を取得する。さらに、車輪速センサ120はアクスル部に設置されており、自車両の移動距離を算出するための車輪速を検出する。
また、モニタ130は、例えば車両のセンターコンソール付近に設置され、並列駐車場への後退駐車時に、カメラ100で撮像した車両後方の映像に現在の舵角に基づく旋回軌跡等を重ねて描き、内側後輪の旋回軌跡上に設定されたハンドル中立戻し位置を識別表示する。また、スピーカ131は車室内に設置され、自車位置とハンドル中立戻し位置との距離に応じて警報音を変化させるなどして、運転者に注意を促す。ここで、ハンドル中立戻し位置は、ハンドルを中立に戻すことにより自車両が駐車枠に対して平行になる位置であり、後述するコントロールユニット201によって算出される。
また、自車両が自動制動するブレーキアクチュエータ133を備えている場合には、コントロールユニット201において、自車両がハンドル中立戻し位置に達したと判断された時に、ブレーキアクチュエータ133に命令を送信して自動制動で自車両を停止するようにしても良い。
さらに、自車両がハンドルを自動操舵するステアリングアクチュエータ132を備えている場合には、コントロールユニット201において、自車両がハンドル中立戻し位置に達したと判断された時に、ステアリングアクチュエータ132に命令を送信して自動操舵で自車両を駐車枠線と平行にしても良い。
次に、コントロールユニット201は、車室内に設置され、例えばCPUやROM、RAM、周辺インターフェース等を有するマイクロコンピュータによって実現される。コントロールユニット201はその構成要素として、画像処理部(駐車枠線認識手段および基準点距離検出手段)11、後輪〜枠線距離監視部12、余裕円設定部(余裕円設定手段)13、円弧Rl設定部(円弧設定手段)14、自車旋回半径軌跡Rv算出部(旋回軌跡算出手段)15、ハンドル中立戻し位置設定部(ハンドル中立戻し位置算出手段)16、自車位置検出部(自車位置検出手段)17、警報位置判断部18、舵角変化監視部(操舵角変化監視手段)19、車幅記憶部20および駐車可否判断部(枠内駐車可否判断手段)21を備える。なお、これら構成要素は、CPU上で実行されるプログラムの機能的なまとまりを表したものである。
画像処理部11は、自車両の後方にある駐車車両に略平行に引かれた駐車枠線を認識する駐車枠線認識手段と、該駐車枠線認識手段で認識した駐車枠線のうち自車両が後退するときの旋回軌跡の内側にある駐車枠線について、該駐車枠線の自車両寄りの端部を基準点とし、該基準点と自車両との距離を検出する基準点距離検出手段に該当する。
すなわち、画像処理部11では、カメラ100により取得した画像に基づき、エッジ検出処理等を用いて、駐車枠線の端部(基準点)、該端部(基準点)と自車両の内側後輪との距離、並びに自車両の前後方向と駐車枠線の奥行き方向とのなす角度を検出する。具体的には、撮影された画像と、カメラ100の設置位置やカメラ100(レンズ)の画角や焦点距離などの情報から、エッジ検出により特定された駐車枠線に該当する画素それぞれが、自車両からどの程度の距離に相当するものかを求める。
また、後輪〜枠線距離監視部12は、画像処理部11で検出した駐車枠線の端部(基準点)と自車両の内側後輪との距離を監視して、所定値(例えば50[cm])以下になったか否かを判断する。
また、余裕円設定部13は、駐車枠線の端部(基準点)と自車両との距離が所定値以下になったとき、該駐車枠線の端部(基準点)中心に該所定値を半径とした余裕円を設定する余裕円設定手段に該当する。すなわち、余裕円設定部13は、後輪〜枠線距離監視部12において、駐車枠線の端部(基準点)と自車両の内側後輪との距離が所定値(50[cm])以下になったと判断されたときに、駐車枠線の端部(基準点)を中心に半径rが駐車枠線の端部(基準点)と自車両の内側後輪との距離となる余裕円を設定する。ここで、余裕円の半径rは、目標とする駐車枠の駐車枠線間の距離から自車両の車幅を引いた距離の2分の1未満とするのが望ましい。
また、自車旋回半径軌跡Rv算出部15は、自車両が後退するときの舵角センサ110で検出した操舵角に基づく旋回軌跡と、該旋回軌跡の旋回半径とを算出する旋回軌跡算出手段に該当する。すなわち、自車旋回半径軌跡Rv算出部15は、画像処理部11で検出した自車両の前後方向と駐車枠線の奥行き方向とのなす角度から、自車両の内側後輪の位置を始点にして、舵角センサ110で検出した操舵角に従った内側後輪の旋回半径Rの旋回軌跡Rvを設定する。
また、円弧Rl設定部14は、自車旋回半径軌跡Rv算出部15で算出した旋回半径Rから余裕円設定部13で設定した余裕円半径rを引いた距離(R−r)を半径とする円弧Rlを、余裕円と駐車枠線の端部間を結んだ直線との交点で該余裕円に接するように設定する円弧設定手段に該当する。
すなわち、円弧Rl設定部14は、舵角センサ110で検出した操舵角に従った内側後輪の旋回半径Rから余裕円の半径rを引いた距離(R−r)を半径Rlとし、余裕円と駐車枠線の端部間を結んだ(基準点を通る)直線との交点で該余裕円に接するような円弧Rlの軌跡を設定する。ここで、円弧Rlと余裕円の接点は駐車枠線の端部間を結んだ(基準点を通る)直線上に固定されているものとし、舵角センサ110で検出される操舵角の変化、即ち内側後輪の旋回半径Rの変化に伴ってのみ、円弧Rlの半径も変化する。
また、ハンドル中立戻し位置設定部16は、自車旋回半径軌跡Rv算出部15で算出した旋回軌跡Rvと円弧Rl設定部14で設定した円弧Rlとの交点のうち、目標とする駐車枠の駐車枠線間にある点をハンドル中立戻し位置として設定するハンドル中立戻し位置算出手段に該当する。
また、自車位置検出部17は、自車両の位置を検出する自車位置検出手段に該当し、車輪速センサ120で検出された車輪速に基づき自車両の移動距離を算出して、舵角センサ110で検出した操舵角に従った内側後輪の旋回軌跡Rv上の自車両の位置を算出する。
また、警報位置判断部18は、自車位置検出部17で検出した自車両の位置が、ハンドル中立戻し位置設定部16で設定されたハンドル中立戻し位置に達したか否かを判断し、達した場合には提示手段を介して運転者に対しハンドルを中立位置に戻す旨を提示する。すなわち、モニタ130の表示画面上で識別表示されたハンドル中立戻し位置により、或いは、スピーカ131から発せられる警報音により、運転者はハンドルを中立位置に戻すべきハンドル中立戻し位置に達したことを認識する。また、ブレーキアクチュエータ133やステアリングアクチュエータ132を備えている場合には、それぞれに対して命令を送信する。
また、舵角変化監視部19は、操舵角が変化したか否かを監視する操舵角変化監視手段に該当し、自車旋回半径軌跡Rv算出部15により内側後輪の旋回軌跡Rvが設定され、円弧Rl設定部14により円弧Rlが設定された後に、舵角センサ110で検出した操舵角に変化が無いか否かを監視する。なお、舵角変化監視部19において操舵角の変化が検出された場合には、該変化後の操舵角に基づく自車旋回半径軌跡Rv算出部15、円弧Rl設定部14およびハンドル中立戻し位置設定部16の再計算によりハンドル中立戻し位置を再設定する。
さらに、車幅記憶部20は、自車両の車幅方向の寸法を記憶している。また、駐車可否判断部21は、駐車枠線の線間の距離、自車両の車幅およびハンドル中立戻し位置に基づき、目標とする駐車枠内へ駐車可能か否かを判断する枠内駐車可否判断手段に該当する。すなわち、目標とする駐車枠の駐車枠線間の領域の内、基準点が設定されている駐車枠線から「駐車枠線の線間の距離−車幅記憶部20に記憶されている車幅」の幅を持つ領域を設定し、ハンドル中立戻し位置設定部16により設定されたハンドル中立戻し位置が該設定領域内にあるか否かを判断して、目標とする駐車枠内へ駐車可能か否かを判断する。
次に、以上のように構成される本実施例の駐車支援装置における駐車支援方法の手順について、駐車枠線を備えた並列駐車場への後退駐車を支援する場合を例にして、図2および図3を参照しながら説明する。ここで、図2および図3は実施例1の駐車支援装置による駐車支援方法を説明するフローチャートである。
車両がリバースレンジにシフトされたことをトリガにして、カメラ100により取得した画像に基づき、画像処理部11により自車両の後方にある駐車車両に略平行に引かれた駐車枠線を認識し、自車両が後退するときの旋回軌跡の内側にある駐車枠線について、該駐車枠線の自車両寄りの端部を基準点とするときの該基準点と自車両との距離を検出する(ステップS101)。
この時、後輪〜枠線距離監視部12では、画像処理部11で検出した駐車枠線の端部(基準点)と自車両の内側後輪との距離を監視して、該距離が所定値(例えばr=50[cm])以下になったか否かを判断し(ステップS102)、所定値以下の場合にはステップS103へ進み、所定値以下でない場合にはステップS101へ戻って、画像処理部11および後輪〜枠線距離監視部12による基準点と自車両との距離の検出および監視を継続する。
基準点と自車両との距離が所定値(r=50[cm])以下となった場合には、余裕円設定部13により、駐車枠線の端部(基準点)を中心に所定値rを半径とした余裕円を設定する(ステップS103)。
次に、舵角センサ110により自車両が後退するときの操舵角を検出し、自車旋回半径軌跡Rv算出部15において、該操舵角に基づく内側後輪の旋回軌跡の旋回半径Rを算出する(ステップS104)。
次に、円弧Rl設定部14により、自車旋回半径軌跡Rv算出部15で算出した旋回半径Rから余裕円設定部13で設定した余裕円半径rを引いた距離(R−r)を半径とする円弧Rlを、余裕円と駐車枠線の端部間を結んだ(基準点を通る)直線との交点で該余裕円に接するように設定する(ステップS105)。
次に、画像処理部11において、カメラ100により取得した画像に基づき、自車両の前後方向と駐車枠線の奥行き方向とのなす角度を検出する(ステップS106)。
次に、自車旋回半径軌跡Rv算出部15において、自車両の前後方向と駐車枠線の奥行き方向とのなす角度と、舵角センサ110により検出した自車両が後退するときの操舵角に基づく内側後輪の旋回軌跡の旋回半径Rとから、自車両の内側後輪の位置を始点にして、舵角センサ110で検出した操舵角に従った内側後輪の旋回半径Rの旋回軌跡Rvを設定する(ステップS107)。
次に、ハンドル中立戻し位置設定部16により、自車旋回半径軌跡Rv算出部15で算出した旋回軌跡Rvと円弧Rl設定部14で設定した円弧Rlとの交点のうち、目標とする駐車枠の駐車枠線間にある点をハンドル中立戻し位置として設定する(ステップS108)。
次に、舵角変化監視部19により、舵角センサ110の出力を監視して操舵角が変化したか否かを判断する。操舵角に変化が無い場合は図3のステップS110に進むが、操舵角の変化がある場合は、内側後輪の旋回軌跡Rvが設定され、円弧Rlが設定された後に、操舵角が変化しているので、ステップS103に戻って、変化後の操舵角に基づき、画像処理部11、自車旋回半径軌跡Rv算出部15、円弧Rl設定部14およびハンドル中立戻し位置設定部16の再計算によりハンドル中立戻し位置を再設定する。
一方、操舵角に変化が無い場合には、図3のステップS110において、駐車可否判断部21により、目標とする駐車枠の駐車枠線間の領域の内、基準点が設定されている駐車枠線から「駐車枠線の線間の距離−車幅記憶部20に記憶されている車幅」の幅を持つ領域(後述の領域A)を設定する。
次に、ハンドル中立戻し位置設定部16により設定したハンドル中立戻し位置が駐車可否判断部21により設定した領域A内にあるか否かを判断する(ステップS111)。ここで、ハンドル中立戻し位置が領域A内にある場合はステップS112へ進み、ハンドル中立戻し位置が領域A内に無い場合はステップS117へ進む。
ハンドル中立戻し位置が領域A内にある場合には、モニタ130上に、カメラ100で撮像した車両後方の映像に現在の繰舵角に基づく旋回軌跡等を重ねて描き、内側後輪の旋回軌跡上に設定されたハンドル中立戻し位置を識別表示する(ステップS112)。また、スピーカ131による警告音等で運転者へ提示する場合や、ステアリングアクチュエータ132による自動操舵、或いは、ブレーキアクチュエータ133による自動制動を行う場合は、それらのコントロールユニットに対してハンドル中立戻し位置をセットする。
次に、ハンドル中立戻し位置が設定された時点の操舵角を保持して後退する旨を、モニタ130等を介して運転者に対し提示する(ステップS113)。また、ステアリングアクチュエータ132による自動操舵でハンドルを制御する場合には、該操舵角を自動で保持するようステアリングアクチュエータ132を制御する。
また、自車位置検出部17において、舵角センサ110と車輪速センサ120の出力をモニタして(ステップS114)、車輪速センサ120で検出された車輪速に基づき自車両の移動距離を算出して、舵角センサ110で検出した操舵角に従った内側後輪の旋回軌跡Rv上の自車両の位置を算出し、操舵角が保持された状態で、且つ、ハンドル中立戻し位置に達する迄の距離を監視する。
次に、警報位置判断部18により、自車位置検出部17で検出した自車両の位置が、ハンドル中立戻し位置設定部16で設定されたハンドル中立戻し位置に達したか否かを判断する(ステップS115)。ここで、自車両の位置がハンドル中立戻し位置に達していない場合には、ステップS114に戻る。
また、自車両の位置がハンドル中立戻し位置に達した場合には、内側後輪の位置がハンドル中立戻し位置に到着したことを運転車へ報知するために、モニタ130を介してハンドルを中立位置に戻す旨を表示する(ステップS116)。また、スピーカ131による警報音で提示する場合には警報音を発する。また、ステアリングアクチュエータ132による自動操舵でハンドルを制御する場合には、ステアリングアクチュエータ132へハンドルを中立位置へ戻すよう制御する。さらに、ブレーキアクチュエータ133による自動制動でブレーキを制御する場合には、ブレーキアクチュエータ133を制御して自車を停止させる等の処理を実施して、本処理を終了する。
なお、ステップS111において、ハンドル中立戻し位置が領域A内に無い場合はステップS117に進むが、この場合、現状のまま後退すると旋回軌跡外側に存在する駐車枠線を超える(現在位置または現繰舵角で後退しても駐車枠に入らない)旨をモニタ130へ表示するか、或いはスピーカ131で運転者へ報知する。
さらに、自車位置検出部17により、舵角センサ110と車輪速センサ120の出力をモニタして、車両の位置がステップS117における位置から移動したか否かを判断し(ステップS118)、車両の位置が移動した場合には、本処理の最初のステップS101に戻って、ハンドル中立戻し位置を再計算し、また他方、車両の位置が移動していない場合には、移動するまでステップS117によるメッセージの報知を継続する。
次に、本実施例の駐車支援装置における駐車支援方法について、平行に2本の駐車枠線が引かれている並列駐車場への後退駐車を支援する場合を具体例として、図4〜図12を参照しながら説明する。なお、以下の具体例の説明において、図2および図3のフローチャートにおけるステップ番号を括弧書きで付する。
ここで、図4は余裕円設定部13による余裕円の設定を説明する説明図、図5は自車旋回半径軌跡Rv算出部15による内側後輪の旋回半径Rの旋回軌跡Rvの設定を説明する説明図、図6は円弧Rl設定部14による円弧Rlの軌跡設定を説明する説明図、図7〜図9はハンドル中立戻し位置設定部16によるハンドル中立戻し位置の設定を説明する説明図、図10は駐車可否判断部21による領域Aの設定を説明する説明図、図11はモニタ130による車両後方映像への旋回軌跡等を重ね表示とハンドル中立戻し位置の識別表示を例示する説明図、図12はスピーカ131による警告音の変化を例示する説明図である。
なお、以下の説明では、説明を簡素化するため、上面図に置き換えて、駐車枠線、自車位置等の説明を行うが、車両に固定されたカメラ100の設置位置からこれらの位置関係を把握して領域を特定しても良いし、或いは、固定カメラの撮像を上面からの視点に視点変換を行って処理するようにしても良い。
また、図中の旋回軌跡は全て内側(図中:右側)の後輪位置の旋回軌跡として説明するが、内側後輪の旋回軌跡とは後退時の旋回軌跡の内側輪軌跡とし、例えば図とは逆に、図の左上方向から後退を開始し同駐車枠へ駐車を行う場合には、内側後輪は自車の左後輪となる。
さらに、基準とする駐車枠線端部の位置についても、後退時の旋回軌跡における内側輪が接近する側の駐車枠線の開口部側とし、図において、右側の駐車枠線の端部の開口部側に基準点を設定するが、例えば図とは逆に、図の左上方向から後退を開始し同駐車枠へ駐車を行う場合には、図の左側の駐車枠線の端部の開口部側に基準点が設定されることとなる。
まず、図4を参照して、余裕円設定部13による余裕円の設定(ステップS103)を説明する。図4(a)は、自車両が図の右上方面から後退して駐車枠内に駐車しようと接近している様子を表し、図4(b)は、駐車枠線の端部(基準点)と自車両の内側後輪との距離が所定値以下になった様子を示している。図中、300,301は車両、310,311は車両300,301の内側後輪の接地部位置、320は右側終車枠線330Rの端部、330R,330Lはそれぞれ右側および左側駐車枠線、340は半径rの余裕円である。
なお、内側後輪位置310は、自車両300の内側後輪位置でタイヤ接地部の最も外側の位置として、以下説明を行うが、内側後輪位置310をタイヤの左右方向の中心位置としても良い。また、画像処理部11において、認識した駐車枠線330R,330Lのうち自車両が後退するときの旋回軌跡の内側にある駐車枠線330Rについて、該駐車枠線330Rの自車両寄りの端部320を基準点としている。
図4(a)において、自車両300は、後退して駐車枠線330R,330Lの駐車枠に駐車しようとしている状態であり、後輪〜枠線距離監視部12により、車両300に設置されたカメラ100の撮像から内側後輪位置310と、駐車枠線330Rの端部320との距離を監視中であるが、所定値(r)以上の距離がある状態である。
次に、図4(b)において、自車両はさらに後退して駐車枠330Rに接近し、後輪〜枠線距離監視部12により、駐車枠線の端部(基準点)320と自車両301の内側後輪311との距離が所定値(例えばr=50[cm])以下になったと判断し、余裕円設定部13により、駐車枠線の端部(基準点)320を中心に所定値rを半径とした余裕円340を設定する。このように、内側後輪位置311と、駐車枠線の端部320との距離が所定値(r)になった状態で、余裕円340が設定されると共に、後述するハンドル中立戻し位置の算出を開始するトリガとなる。
次に、図5を参照して、自車旋回半径軌跡Rv算出部15による内側後輪の旋回半径Rの旋回軌跡Rvの設定(ステップS104およびS107)を説明する。図5において、自車両の位置301は図4(b)と同じであり、図中、361a,361b,361c,361dは、舵角センサ110で検出した操舵角に従った内側後輪位置311の旋回軌跡である。
361aは、自車両301がフル転舵状態であり、最小半径での内側後輪位置311の旋回軌跡を示している。また、361b,361c,361dは、フル転舵状態からハンドルを中立方向で保持された状態での内側後輪位置310の旋回軌跡である。なお、操舵角は、ハンドル中立位置を0度とした時、361aの操舵角>361bの操舵角>361cの操舵角>361dの操舵角となる。
なお、自車両301の操舵角に基づく内側後輪位置311の旋回軌跡は、内側後輪位置311を通リ且つ車両301の前後方向をなす直線(図示せず)と、内側後輪位置311で接することとなる。
次に、図6を参照して、円弧Rl設定部14による円弧Rlの軌跡設定(ステップS105)を説明する。図6において、自車両の位置301は図4(b)および図5と同じであり、図中、381a,381b,381c,381dは、円弧Rl設定部14により設定される円弧である。
すなわち、円弧Rl設定部14においては、自車旋回半径軌跡Rv算出部15で算出した旋回軌跡361a,361b,361c,361dの旋回半径Rから余裕円設定部13で設定した余裕円340の半径rを引いた距離(R−r)を半径とする円弧381a,381b,381c,381dを、余裕円340と駐車枠線の端部(基準点)320間を結んだ直線との交点の内の駐車枠線330Rの内側方向の点370で該余裕円340に接するように設定する。
円弧381aは、自車両301がフル転舵状態で最小半径での内側後輪位置311の旋回軌跡361aの旋回半径Rから余裕円340の半径rを引いた距離(R−r)を半径とする円弧であり、同様に、円弧381b,381c,381dは、それぞれ旋回軌跡361b,361c,361dに対応する円弧である。
次に図7を参照して、ハンドル中立戻し位置設定部16によるハンドル中立戻し位置の設定を説明する。図7(a)において、自車両の位置301は図4(b)、図5および図6と同じであり、図中、391a,391b,391c,391dは、ハンドル中立戻し位置設定部16により設定されるハンドル中立戻し位置である。
すなわち、ハンドル中立戻し位置設定部16においては、自車旋回半径軌跡Rv算出部15で算出した旋回軌跡Rvと円弧Rl設定部14で設定した円弧Rlとの交点のうち、目標とする駐車枠の駐車枠線330R,330L間にある点を、現操舵角で後退した際に駐車枠線330Rと車両の前後方向が平行になるハンドル中立戻し位置として設定する
ハンドル中立戻し位置391aは、自車両301がフル転舵状態で最小半径での内側後輪位置311の旋回軌跡361aと、該旋回軌跡361aの旋回半径Rから余裕円半径rを引いた円弧381aとの交点であり、車両が図の位置301からフル転舵で最小回転半径の旋回軌跡361aに沿って後退してきた場合には、ハンドル中立戻し位置391aでハンドルを中立位置に戻すことで、駐車枠線330Rと車両の前後方向を平行にすることができる。
また同様に、ハンドル中立戻し位置391b,391c,391dは、自車両301がそれぞれの繰舵角での内側後輪位置311の旋回軌跡361b,361c,361dと、該旋回軌跡361b,361c,361dの旋回半径Rから余裕円半径rを引いた円弧381b,381c,381dとの交点であり、車両が図の位置301からそれぞれの操舵角で後退してきた場合には、ハンドル中立戻し位置391b,391c,391dでハンドルを中立位置に戻すことで、駐車枠線330Rと車両の前後方向を平行にすることができる。
ここで、図7(b)を参照して、内側後輪位置311の旋回軌跡361aと、該旋回軌跡361aの旋回半径Rから余裕円半径rを引いた円弧381aとの交点391aが、現操舵角で後退した際に駐車枠線330Rと車両の前後方向が平行になるハンドル中立戻し位置となることについて、原理的な説明をしておく。図中、Oは旋回軌跡361aの円弧の中心位置、Qは円弧381aの中心位置である。
上述の設定条件に従って円弧381aを描画するとき、線分(Q−320)=線分(O−391a)=Rで、線分(Q−391a)=線分(O−320)=R−rとなり、「Q−320−O−391a」は平行四辺形を形成することになる。一方、旋回軌跡361aの円弧について、点391aで垂直方向に引かれる線は旋回軌跡361aの接線であると共に、内側後輪位置311が点391aにある時の車両の前後方向を表している。この垂直方向の線は駐車枠線330Rと平行であり、従って、点391aでハンドルを中立位置に戻すことで、駐車枠線330Rと車両の前後方向を平行にすることができることとなる。
次に、図8および図9を参照して、ハンドル中立戻し位置設定部16によるハンドル中立戻し位置の設定後に、再びハンドル操作が行われた場合(ステップS109でステップS104に分岐後に行われるステップS104〜S108による再設定)について説明する。
図8において、自車両の位置301は図4(b)、図5、図6および図7(a)と同じであり、この時点で、自車旋回半径軌跡Rv算出部15により、操舵角に従った内側後輪位置311の旋回軌跡361a,361b,361c,361dが設定され、円弧Rl設定部14により、旋回軌跡361a,361b,361c,361dに対応した円弧381a,381b,381c,381dが設定される。
図8では、車両の位置301において、その時点のハンドル操作の操舵角に従った内側後輪位置311の旋回軌跡361cが設定され、旋回軌跡361cに対応した円弧381cが設定され、ハンドル中立戻し位置391cが設定され、その後、該繰舵角で少し後退した車両の位置302において、ハンドル操作が行われ、左方向フル転舵に変わって操舵角が変化した場合を示している。
この場合、舵角変化監視部19において操舵角が変化したと判断され、変化後の操舵角に基づき、画像処理部11、自車旋回半径軌跡Rv算出部15、円弧Rl設定部14およびハンドル中立戻し位置設定部16の再計算によりハンドル中立戻し位置が再設定される。
すなわち、自車旋回半径軌跡Rv算出部15により、フル転舵状態の車両302について、最小半径での内側後輪位置312の旋回軌跡362aが再設定され、円弧Rl設定部14により、内側後輪位置312の旋回軌跡362aの旋回半径Rから余裕円340の半径rを引いた距離(R−r)を半径とする円弧381aが再設定される。但し、円弧381aについては、余裕円340の半径rとその時の操舵角に従った旋回半径Rにのみ影響されるので、繰舵角の変化前と同一となる。
そして、ハンドル中立戻し位置設定部16により、内側後輪位置312の旋回軌跡362aと円弧381aとの交点のうち、駐車枠線330R,330L間にある点392aが、ハンドル中立戻し位置として再設定されることになる。
図9は、ハンドル中立戻し位置392aが再設定された後に左方向フル転舵で後退し、ハンドル中立戻し位置392aに達した車両の位置305において、駐車枠線330Rと自車305とが平行になった状態を示している。この車両の位置305でハンドルを中立に戻し、そのまま直進後退することで、駐車枠と平行に駐車を完了させることができる。
次に、図10を参照して、駐車可否判断部21による領域Aの設定(ステップS110)を説明する。領域Aは、ハンドル中立戻し位置のうち、自車両が駐車枠に収まる(駐車枠をはみ出さない)点のみを教示する時に用いる領域であり、目標とする駐車枠の駐車枠線330R,330L間の領域の内、基準点320が設定されている駐車枠線330Rから「駐車枠線330R,330Lの線間の距離−車幅記憶部20に記憶されている車幅L」の幅を持つ領域として、駐車可否判断部21により設定される。
図10において、自車両の位置301は図4(b)、図5、図6、図7および図8と同じであり、図中、350は駐車枠線330R,330Lの端部間を結んだ直線であり、400は左側駐車枠線330Lから自車両301の幅と同じ距離離れた位置を示す駐車枠線の平行線であり、410は直線350、平行線400および駐車枠線330Rで囲まれた領域Aである。
車両の位置301から各操舵角の旋回軌跡に沿って後退した場合、図中左側の駐車枠線330Lに自車両の左側後方部が接触または交差する旋回軌跡が多数存在する。仮に、駐車枠線330Lの左側に既に駐車している車両があった場合には、左側駐車枠線330Lと接触または交差する旋回軌跡では、後退途中で切返しを行わない限り駐車枠に納めることができない。そこで、左側駐車枠線330Lと接触または交差する旋回軌跡についてはハンドル中立戻し位置を提示せず、左側駐車枠線330Lをはみ出さない後退軌跡のハンドル中立戻し位置のみを提示することにした。
左側の駐車枠線330Lに自車両の左側後方部が接触または交差しない旋回軌跡とするための条件は、その旋回軌跡におけるハンドル中立戻し位置と右側駐車枠線330Rとの距離が「駐車枠線330R,330Lの線間の距離−車幅L」以下であることであり、車両位置301の時点で、運転者によって採られた繰舵角に基づく内側後輪の旋回軌跡上のハンドル中立戻し位置が上記領域A(410)内にあるか否かを駐車可否判断部21によって判断(ステップS111)し、ハンドル中立戻し位置が領域A(410)内にある場合にのみ、該ハンドル中立戻し位置を運転者に提示する(ステップS112)ことにしている。
図10では、車両位置301の時点でフル転舵状態とした場合に、内側後輪位置311の旋回軌跡361a上に設定されるハンドル中立戻し位置391aが領域A(410)内に存在し、その他の繰舵角の場合にはハンドル中立戻し位置391b,391c,391dが領域A(410)外となっており、フル転舵状態とした場合にのみ、ハンドル中立戻し位置391aが運転者に提示されることになる。
なお、いずれの操舵角であっても領域A(410)内にハンドル中立戻し位置が存在しない場合には、自車両の位置若しくは自車両の向きを変更しなければ、左側の駐車枠線330Lに自車両の左側後方部が接触または交差すること無く駐車できないため、現在位置から移動するように運転者へ提示する。
次に、図11を参照して、モニタ130による車両後方映像への旋回軌跡等を重ね表示とハンドル中立戻し位置の識別表示(ステップS112)について具体的に説明する。
図11(a)において、自車両の位置302は図8と同じであり、ハンドル中立戻し位置392aが再設定された後に左方向フル転舵で後退しようとする状態を示している。この時、ハンドル中立戻し位置392aを運転者に提示するためのモニタ130の表示は、同図(b)に示す通りとなる。
カメラ100で撮像した車両後方の映像に、現在の繰舵角に基づく旋回軌跡362aおよび余裕円340等が重ねて描かれ、内側後輪の旋回軌跡362a上に設定されたハンドル中立戻し位置392aが二重丸で識別表示されている。なお、右側駐車枠線330Rの端部を中心に設定される余裕円340は、該余裕円340の円周に内側後輪が沿うように自車を後退させてくる際の目印となるので、同図に示すように、逢わせて表示するのが望ましい。
また、図11(b)では、カメラ100の撮像を視点変換して上方からの図を作成して表示を行っており、自車両の後退する軌跡を容易に把握することができると共に、内側後輪がハンドル中立戻し位置392aに到達した時にハンドルを戻せば良いことが理解しやすい表示となっている。
なお、本具体例では、車内に設けられたモニタ130への表示として説明したが、これに限定されるものでは無く、例えば、フロントガラスやリヤガラスへのHUD(Head Up Display)表示であっても良いし、また、カメラ100の撮像を視点変換して上方からの図を作成してHUD表示しても良い。
次に、図12を参照して、スピーカ131により自車位置とハンドル中立戻し位置との距離に応じて警報音を変化させて(ステップS112およびS116)、運転者に注意を促すやり方について説明する。
図12(a)において、車両の位置301は図4(b)、図5、図6、図7(a)および図8と同じであり、この時点でハンドル中立戻し位置391aが設定されている。また、車両の位置303は、車両の位置301から後退してハンドル中立戻し位置391aに到達するまでの中途の位置を示し、車両の位置306は、車両の位置301から後退してハンドル中立戻し位置391aに到達した時点の位置を示している。また、480は、内側後輪の旋回軌跡上で車両が少し後退した時点の内側後輪の位置を示し、490は、内側後輪の旋回軌跡上でハンドル中立戻し位置391aに到達する直前の内側後輪の位置を示している。
また、図12(b)は、図12(a)に示した各車両位置での警報音を例示したものであり、横軸は警報音を発している時間、縦軸は警報音のON/OFFを示す。ここで、(b−1)、(b−2)および(b−3)は、それぞれ内側後輪位置が480、490およびハンドル中立戻し位置391aにある時の車両位置における警報音である。
つまり、車両の位置301から少し後退した時点では、図12(b−1)に示すようなOFF周期の長い断続音の警報音が発せられ、その後車両の後退に応じて徐々にOFF周期が短くなるように制御され、車両がハンドル中立戻し位置391aに到達する直前には、図12(b−2)に示すようなOFF周期の短い断続音の警報音が発せられ、車両がハンドル中立戻し位置391aに到達した時点では、図12(b−3)に示すような連続音の警報音が発せられる。
このように、ハンドル中立戻し位置391aまでの距離に応じて警報音の周期を変化させているため、ハンドル中立戻し位置391aまでに比較的距離がある時には煩わしさを感じさせない程度にOFF周期の長い警報音を発し、その後距離が短くなるにつれてOFF周期の短い警報音に変化させ、さらに、ハンドル中立戻し位置391aに到達した時には連続音の警報にしてハンドルを中立に戻すよう提示しているので、運転者はハンドル中立戻し位置391aまでの距離を予測しやすくなり、特に、ハンドル中立戻し位置391a付近では、減速操作(ブレーキ操作)のタイミングを事前に予測することができ、指定位置に正確に停車させることができる。
なお、本具体例では、警報周期について3通りの警報音で説明したが、内側後輪の旋回軌跡をさらに細かく分解して、多種の警報音を段階的に発するようにしても良いし、ハンドル中立戻し位置391aまでの距離に基づき、警報音周期を連続的に変化させても良い。
以上説明したように、本実施例の駐車支援装置および駐車支援方法では、駐車枠線を備えた並列駐車場への後退駐車を支援する駐車支援装置および駐車支援方法であって、駐車枠線に対して自車両を平行な位置に合わせる運転操作を支援するべく、コントロールユニット201(制御手段または制御ステップ)で後退駐車操作中に自車両が駐車枠に対して平行になる位置を算出し、該算出した位置をモニタ130またはスピーカ131(提示手段または提示ステップ)を介して運転者へ提示する。
また、本実施例の駐車支援装置および駐車支援方法では、舵角センサ110(操舵角検出手段または操舵角検出ステップ)により自車両の操舵角を検出し、コントロールユニット201(制御手段または制御ステップ)において、後退並列駐車時に駐車枠線の先端近傍に車両の自車両の内側後輪を位置させた状態から後退を行う際に、検出した操舵角に基づき自車両が駐車枠に対して平行になる位置を算出する。
従来技術では、初心者や低スキル運転者は、特に自車左側の車両感覚に乏しく、特に自車左側のギャップに不安を感じているといった理由により、駐車支援プログラムのガイダンスに従って後退した場合であっても、駐車枠に平行に車両を止めることが難しいという事情があったが、本実施例によれば、後退駐車時に、自車両が駐車枠に対して平行となる位置、即ちハンドルを中立に戻す位置を提示するようにしているため、駐車枠線と平行になる操作を容易に行うことができる。
また、本実施例の駐車支援装置および駐車支援方法では、駐車枠線を備えた並列駐車場への後退駐車を支援する駐車支援装置および駐車支援方法であって、画像処理部11(駐車枠線認識手段または駐車枠線認識ステップ)により、自車両の後方にある駐車車両に略平行に引かれた駐車枠線を認識し、また、舵角センサ110(操舵角検出手段または操舵角検出ステップ)により自車両の操舵角を検出し、自車旋回半径軌跡Rv算出部15(旋回軌跡算出手段または旋回軌跡算出ステップ)により、自車両が後退するときの検出した操舵角に基づく旋回軌跡と、該旋回軌跡の旋回半径を算出し、画像処理部11(基準点距離検出手段または基準点距離検出ステップ)により、認識した駐車枠線のうち自車両が後退するときの旋回軌跡の内側にある駐車枠線について、該駐車枠線の自車両寄りの端部を基準点として該基準点と自車両との距離を検出し、余裕円設定部13(余裕円設定手段または余裕円設定ステップ)により、基準点と自車両との距離が所定距離以下になったとき、該基準点を中心に該所定距離を半径とした余裕円を設定し、円弧Rl設定部14(円弧設定手段または円弧設定ステップ)により、算出した旋回半径から設定した余裕円半径を引いた距離を半径とする円弧を、余裕円と駐車枠線の端部間を結んだ直線との交点で該余裕円に接するように設定し、ハンドル中立戻し位置設定部16(ハンドル中立戻し位置算出手段またはハンドル中立戻し位置算出ステップ)により、算出した旋回軌跡と設定した円弧との交点のうち目標とする駐車枠の駐車枠線間にある点をハンドル中立戻し位置として設定し、さらに、モニタ130またはスピーカ131(提示手段または提示ステップ)を介して、設定されたハンドル中立戻し位置を運転者へ提示する。
このように、本実施例では、駐車枠線に対して自車両を平行な位置に合わせる運転操作を支援するべく、後退駐車操作中に自車両が駐車枠に対して平行になる位置(ハンドル中立戻し位置)を算出して、該位置(ハンドル中立戻し位置)を運転者へ提示するので、駐車支援を開始する車両位置を限定することなく、ラフな初期位置からでも後退駐車を支援して駐車枠線に対して自車両を平行な位置に確実に収めることができ、また、内側後輪の旋回軌跡を基に駐車支援を行うので、自車左側の車両感覚に乏しい初心者や低スキル運転者でも、自車両を駐車枠線内に確実に収めることができる。
例えば上記具体例でも説明したように、自車両が駐車枠線へ接近し、自車両の内側後輪から駐車枠線の端部との距離が余裕円340の半径である所定距離rになると、その時点での操舵角を検出し、該操舵角での自車両の内側後輪の旋回軌跡Rvを算出し、同時に余裕円340上の所定位置を始点に「該操舵角での内側後輪の旋回半径R−余裕円半径r」の距離を半径とする円弧Rlを設定し、自車両の旋回軌跡Rvと円弧Rlとの交点をハンドル中立戻し位置として設定する。このように、ハンドル中立戻し位置の設定は、舵角センサ110の出力値と、予め設定されている余裕円340の半径rのみに基づくため、簡単な計算でハンドル中立戻し位置を求めることができる。また、初心者や低スキル運転者にとっても、自ら設定可能な軌跡で駐車枠線にアプローチして、提示されたハンドル中立戻し位置でハンドルを中立に戻すことにより、駐車枠線と自車両の向きを平行に合わせることができる。
ここで、図13を参照して上記効果をより具体的に説明する。図13は本実施例の駐車支援装置においてサポート可能な車両の初期位置を説明する説明図である。
図中、340は余裕円で駐車枠線330Rの端部320を中心とした半径rが所定距離(例えば50[cm])の円を示す。また420は、駐車枠線330Rの端部320から、駐車枠線330Rに垂直で、且つ余裕円340の半径rだけ離れた(余裕円340に接している)位置にある直線を示す。また430は、駐車枠線330Rの端部320から、駐車枠線330Rに平行で、且つ余裕円340の半径rだけ離れた(余裕円340に接している)位置にある直線を示す。さらに440は、直線420と、直線430と、余裕円340で囲まれた領域Bを示す。
図13において、本実施例の駐車支援装置および駐車支援方法では、自車両301,308,309の内側後輪311,318,319が領域B(440)にあるとき、領域B(440)のいずれの方向からアプローチされた場合であっても、ハンドル中立戻し位置を算出することができる。したがって、初心者や低スキル運転者が苦手とする駐車支援装置の算出した軌跡に沿って駐車枠へアプローチすることが不要となる。
また、特に初心者や低スキル運転者が乏しい自車左側の車両感覚についても、余裕円340を設定して、該余裕円340の円周軌跡をなぞらせるようにしている。また、運転者は駐車時の注意を自車両の右側についてのみ集中すればよく、従来の駐車枠中心に誘導する装置では左右の両方に注意を分配していたものに比べて、注意の配分を一箇所にすることができ、マルチタスクの苦手な初心者や低スキル運転者にとっての負担を低減させることができる。
さらに、初心者や低スキル運転者にとって、後退時に自車両の前後方向と駐車枠線の奥行き方向とを平行に合わせる操作が非常に難しいことが実験結果から実証されているが、本実施例では、後退駐車時に駐車枠線と平行になる操作、即ち平行になる位置でハンドルを中立に戻すことを提示しており、このこと自体、絶大な効果であると言える。
なお、余裕円の半径rは、目標とする駐車枠の駐車枠線間の距離から自車両の車幅を引いた距離の2分の1未満とするのが望ましい。上述のように、駐車枠線330Rを基準にして自車両を余裕円340に寄せる操作を取るので、ミラーや目視で確認できる右側を駐車枠線や隣接車に寄せて、死角が多く目視では確認できない左側を可能な限り左側駐車枠線330Lから離して操作することになり、安心して駐車操作を行うことができる。
また、本実施例の駐車支援装置では、カメラ100(撮影手段)で自車両の後方または後側方を撮影し、画像処理部11(駐車枠線認識手段)では、撮影した画像の画像処理に基づき自車両の後方にある駐車枠線を認識し、モニタ130(提示手段)上に撮影した画像を表示し、該画像上に、自車旋回半径軌跡Rv算出部15(旋回軌跡算出手段)で算出した旋回軌跡およびハンドル中立戻し位置設定部16(ハンドル中立戻し位置算出手段)で算出したハンドル中立戻し位置を重ねて表示する。
このように、自車両の後方の駐車枠線画像に加えて後退軌跡上にハンドル中立戻し位置を表示することで、どの位置でハンドルを中立に戻せば駐車枠に平行に駐車できるかを、把握しやすい表示で提供することができる。したがって、初心者や低スキル運転者とっても、駐車枠線と平行にするためのハンドル中立戻し位置を把握しやすく、容易に駐車することができる。
また、本実施例の駐車支援装置では、自車位置検出部17(自車位置検出手段)により自車両の位置を検出し、後退の際に、検出した自車位置とハンドル中立戻し位置設定部16(ハンドル中立戻し位置算出手段)で算出したハンドル中立戻し位置との距離に基づきスピーカ131(提示手段;警報装置)の警報音を変化させる。
例えば上記具体例で説明したように、ハンドル中立戻し位置との距離に応じて、警報音の周期を短くしてゆき、ハンドル中立戻し位置では連続音とすることで、どの位置でハンドルを中立に戻せば駐車枠に平行に駐車できるかを把握しやすくなり、容易に駐車することができる。また、その結果として、初心者や低スキル運転者にとっても、駐車枠線と平行にするためのハンドル中立戻し位置が予測しやすくなり、容易に駐車することができる。
また、本実施例の駐車支援装置では、舵角変化監視部(操舵角変化監視手段)19により操舵角が変化したか否かを監視し、操舵角の変化が検出された場合には、該変化後の操舵角に基づく自車旋回半径軌跡Rv算出部15(旋回軌跡算出手段)、円弧Rl設定部14(円弧設定手段)およびハンドル中立戻し位置設定部16(ハンドル中立戻し位置算出手段)の再計算により、ハンドル中立戻し位置を再設定する。
但し、実際には、上記具体例で説明したように、一旦ハンドル中立戻し位置が設定された後に、再度ハンドル操作が行われた(繰舵角変化の)場合であっても、自車両の操舵角に基づいた内側後輪の旋回半径軌跡のみを再計算すれば良く、容易に且つ短時間で新たなハンドル中立戻し位置を求めることができる。また、その結果として、初心者や低スキル運転者とって操舵角を保持できない場合であっても、短時間で新たなハンドル中立戻し位置が提示され、その位置でハンドルを中立に戻すことで駐車枠線と自車両の向きを平行に合わせることができる。
また、本実施例の駐車支援装置では、駐車可否判断部21(枠内駐車可否判断手)により、駐車枠線の線間の距離、自車両の車幅およびハンドル中立戻し位置に基づき目標とする駐車枠内へ駐車可能か否かを判断し、駐車可能と判断された場合に、モニタ130またはスピーカ131(提示手段)を介してハンドル中立戻し位置を提示する。
上記具体例で説明したように、自車両の車幅を考慮した領域A内にハンドル中立戻し位置が存在する場合は、運転者の操作した操舵角での後退結果を提示するのみでなく、逆に自車位置からどのくらいの操舵角で後退し、更にどの位置でハンドルを中立に戻せば駐車枠に平行に駐車できるかを教示することができる。また、その結果として、初心者や低スキル運転者に対しても、駐車枠線と平行にするためのハンドル中立戻し位置だけでなく、後退時の操舵角も教示することができ、容易な駐車を支援することができる。
また、本実施例の駐車支援装置では、自車両が自動制動するブレーキアクチュエータ133を備えている場合には、コントロールユニット201において、自車両がハンドル中立戻し位置に達したと判断された時に、ブレーキアクチュエータ133に命令を送信して自動制動で自車両を停止するようにする。これにより、自動制動への対応が可能となる。
さらに、本実施例の駐車支援装置では、自車両がハンドルを自動操舵するステアリングアクチュエータ132を備えている場合には、コントロールユニット201において、自車両がハンドル中立戻し位置に達したと判断された時に、ステアリングアクチュエータ132に命令を送信して自動操舵で自車両を駐車枠線と平行にする。これにより、自動操舵への対応が可能となる。
次に、図14は本発明の実施例2に係る駐車支援装置の構成図である。同図において、本実施例の駐車支援装置は、カメラ(撮影手段)100、舵角センサ(操舵角検出手段)110、車輪速センサ120、超音速センサ140、およびコントロールユニット202を備え、また、モニタ130、スピーカ131、ステアリングアクチュエータ(STRG ACTR)132またはブレーキアクチュエータ(ブレーキACTR)133を備えて構成されている。実施例1と同等の構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
超音速センサ140は、自車両の後方または後側方に設置され、自車両が後退するときの進行方向に存在する障害物を検出する。具体的には、自車両の後方または後側方に隣接する駐車枠に停車している車両の有無を検出するためのセンサであり、後述の隣接車両検出部42による隣接車の有無に基づく駐車可否の判断、並びに、ハンドル中立戻し位置の提示をするか否かの判断に供する。
次に、コントロールユニット202は、実施例1と同様に、車室内に設置され、マイクロコンピュータ等によって実現される。コントロールユニット202はその構成要素として、画像処理部(駐車枠線認識手段および基準点距離検出手段)31、後輪〜枠線距離監視部32、余裕円設定部(余裕円設定手段)33、円弧Rl設定部(円弧設定手段)34、自車旋回半径軌跡Rv算出部(旋回軌跡算出手段)35、ハンドル中立戻し位置設定部(ハンドル中立戻し位置算出手段)36、自車位置検出部(自車位置検出手段)37、警報位置判断部38、舵角変化監視部(操舵角変化監視手段)39、車幅記憶部40、駐車可否判断部(枠内駐車可否判断手)41および隣接車両検出部(隣接駐車枠停止車両検出手段)42を備える。なお、これら構成要素は、CPU上で実行されるプログラムの機能的なまとまりを表したものである。
隣接車両検出部42は、超音速センサ140と合わせて、目標とする駐車枠と自車両の後退旋回軌跡の外側で隣接する駐車枠における停止車両の有無を検出する隣接駐車枠停止車両検出手段に該当し、超音速センサ140からの信号と、画像処理部31の処理結果に基づき、自車両が後退中に、(後退旋回軌跡の外側に)隣接する駐車枠に停止車両が有るか否かを検出する。
また、警報位置判断部38は、隣接車両検出部42による隣接車両の有無と、領域A(実施例1における図10と同様)内に存在するハンドル中立戻し位置とに基づいて、駐車の可否を判断し、ハンドル中立戻し位置を提示するか否かを決定する。
その他の構成要素については、実施例1のコントロールユニット201の構成要素と同等であり、同一の構成要素名を付して説明を省略する。
次に、以上のように構成される本実施例の駐車支援装置における駐車支援方法の手順について、駐車枠線を備えた並列駐車場への後退駐車を支援する場合を例にして、図2および図15を参照しながら説明する。ここで、図15は実施例2の駐車支援装置による駐車支援方法の後半部分を説明するフローチャートである。
画像処理部31によるエッジ検出処理を開始してから、余裕円設定部33により余裕円を設定し、円弧Rl設定部34により円弧Rlを設定し、自車旋回半径軌跡Rv算出部35により内側後輪の旋回軌跡Rvを設定し、ハンドル中立戻し位置設定部36によりハンドル中立戻し位置として設定し、舵角変化監視部39により操舵角変化の有無を判断するまでの処理は、実施例1において図2に示したフローチャートと同等であるので、説明を省略する。
図2のステップS109において、操舵角に変化が無い場合には、図15のステップS210に進み、隣接車両検出部42により、自車両の後方または後側方に設置された超音波センサ140の出力をモニタする。そして、自車後退時の進行方向に障害物の有無を検出すると共に、画像処理部31で検出した駐車枠線の外側、即ち隣接する駐車枠に存在する障害物(隣接車両)であるか否かを判断する(ステップS211)。ステップS211において、隣接車両が無い場合にはステップS212へ進み、隣接車両がある場合にはステップS217へ進む。
隣接車両検出部42により隣接車両が無いと判断された場合には、自車両が駐車枠線からはみ出して後退しても接触事故等を起こすことは無いので、そのまま算出されたハンドル中立戻し位置を提示する(ステップS212)。
他方、隣接車両検出部42により隣接車両があると判断された場合には、自車両が駐車枠線からはみ出して後退することを避けるため、駐車可否判断部41により、目標とする駐車枠の駐車枠線間の領域の内、基準点が設定されている駐車枠線から「駐車枠線の線間の距離−車幅記憶部40に記憶されている車幅」の幅を持つ領域Aを設定する(ステップS217)。
そして、ハンドル中立戻し位置設定部36により設定したハンドル中立戻し位置が駐車可否判断部41により設定した領域A内にあるか否かを判断する(ステップS218)。ここで、ハンドル中立戻し位置が領域A内にある場合はステップS212へ進み、ハンドル中立戻し位置が領域A内に無い場合はステップS219へ進む。
隣接車両が無いか、或いは隣接車両があってもハンドル中立戻し位置が領域A内にある場合には、モニタ130上に、カメラ100で撮像した車両後方の映像に現在の繰舵角に基づく旋回軌跡等を重ねて描き、内側後輪の旋回軌跡上に設定されたハンドル中立戻し位置を識別表示する(ステップS212)。また、スピーカ131による警告音等で運転者へ提示する場合や、ステアリングアクチュエータ132による自動操舵、或いは、ブレーキアクチュエータ133による自動制動を行う場合は、それらのコントロールユニットに対してハンドル中立戻し位置をセットする。
次に、ハンドル中立戻し位置が設定された時点の操舵角を保持して後退する旨を、モニタ130等を介して運転者に対し提示する(ステップS213)。また、ステアリングアクチュエータ132による自動操舵でハンドルを制御する場合には、該操舵角を自動で保持するようステアリングアクチュエータ132を制御する。
また、自車位置検出部37において、舵角センサ110と車輪速センサ120の出力をモニタして(ステップS214)、車輪速センサ120で検出された車輪速に基づき自車両の移動距離を算出して、舵角センサ110で検出した操舵角に従った内側後輪の旋回軌跡Rv上の自車両の位置を算出し、操舵角が保持された状態で、且つ、ハンドル中立戻し位置に達する迄の距離を監視する。
次に、警報位置判断部38により、自車位置検出部37で検出した自車両の位置が、ハンドル中立戻し位置設定部36で設定されたハンドル中立戻し位置に達したか否かを判断する(ステップS215)。ここで、自車両の位置がハンドル中立戻し位置に達していない場合には、ステップS214に戻る。
また、自車両の位置がハンドル中立戻し位置に達した場合には、内側後輪の位置がハンドル中立戻し位置に到着したことを運転車へ報知するために、モニタ130を介してハンドルを中立位置に戻す旨を表示する(ステップS216)。また、スピーカ131による警報音で提示する場合には警報音を発する。また、ステアリングアクチュエータ132による自動操舵でハンドルを制御する場合には、ステアリングアクチュエータ132へハンドルを中立位置へ戻すよう制御する。さらに、ブレーキアクチュエータ133による自動制動でブレーキを制御する場合には、ブレーキアクチュエータ133を制御して自車を停止させる等の処理を実施して、本処理を終了する。
なお、ステップS218において、ハンドル中立戻し位置が領域A内に無い場合はステップS219に進むが、この場合、現状のまま後退すると旋回軌跡外側にある隣接車と接触する旨をモニタ130へ表示するか、或いはスピーカ131で運転者へ報知する。
さらに、自車位置検出部37により、舵角センサ110と車輪速センサ120の出力をモニタして、車両の位置がステップS219における位置から移動したか否かを判断し(ステップS220)、車両の位置が移動した場合には、本処理の最初である図2のステップS101に戻って、ハンドル中立戻し位置を再計算し、また他方、車両の位置が移動していない場合には、移動するまでステップS219によるメッセージの報知を継続する。
次に、本実施例の駐車支援装置における駐車支援方法について、平行に2本の駐車枠線が引かれている並列駐車場への後退駐車を支援する場合を具体例として、図16を参照しながら説明する。ここで、図16は、実施例2によるハンドル中立戻し位置設定方法について説明する説明図である。
図16において、500は自車両の開始位置であり、この位置500から図中の右上方面へ前進し、後退を開始して駐車をしようとする状態を示す。また140は、自車両の後部または後側部に設置された超音波センサで、自車両が後退中に、例えば自車両と障害物(隣接車)との距離が1[m]以下になったことを検出する。ここで、140Aが超音波センサ140でセンシング可能な領域を示している。また520は、自車両が駐車しようとする駐車枠線330R,330Lによる駐車枠の隣枠に駐車している隣接車を示す。また501は、自車両が開始位置500から前進して、図中の右上方面から後退を開始して、自車両の内側後輪の位置と駐車枠線330Rの端部との距離が余裕円340の半径である所定値(例えば50[cm])になった状態位置を示す。さらに503は、自車両が車両位置501から後退して、超音波センサ140が隣接車520を検出した位置を示す。
なお、領域A(410)は、目標とする駐車枠の駐車枠線330R,330L間の領域の内、基準点が設定されている駐車枠線330Rから「駐車枠線330R,330Lの線間の距離−車幅記憶部40に記憶されている車幅L」の幅を持つ領域であり、実施例1(図10参照)と同等である。
実施例1でも説明したように、自車両が位置501(実施例1の図10における車両位置301と同等)にあって、領域A(410)内にハンドル中立戻し位置(図示せず)が存在する場合には、自車両は該繰舵角のまま後退しても、左側駐車枠線330Lに接触または交差すること無くハンドル中立戻し位置に到達することができる。つまり、領域A(410)内にハンドル中立戻し位置が存在する場合は、隣接車520の有無に関わらず駐車が可能である。
他方、領域A(410)内にハンドル中立戻し位置が存在しない場合には、自車両は該繰舵角のまま後退すると、左側駐車枠線330Lに接触または交差する後退旋回軌跡となり、駐車枠線330Lの左隣の駐車枠に隣接車520がある場合には、該隣接者520と接触する可能性があるので、超音波センサ140で隣駐車枠の隣接車520の有無を確認する必要がある。本実施例では、超音波センサ140および隣接車両検出部42により確認した結果、隣駐車枠に隣接車520が存在する場合は、そのままの操舵角で、或いはそのままの車両位置からの後退では該隣接車520と接触してしまうため、操舵角または車両の位置を変更するように、運転者へ提示する。
なお、隣駐車枠に隣接車520が無い場合には、そのままの操舵角で、或いはそのままの車両位置から後退しても、左側駐車枠線330Lに接触または交差してしまうものの、接触事故等が起こる可能性は無いため、その旨を運転者へ提示した上でハンドル中立戻し位置を提示する。
以上説明したように、本実施例の駐車支援装置では、超音波センサ140および隣接車両検出部42(隣接駐車枠停止車両検出手段)により、目標とする駐車枠と自車両の後退旋回軌跡の外側で隣接する駐車枠における停止車両の有無を検出し、停止車両が検出された場合には、駐車可否判断部21(枠内駐車可否判断手)により駐車可能か否かの判断を行う。
つまり、上記具体例で説明したように、隣の駐車枠に隣接車520が無い場合には、そのまま後退しても接触の可能性が無いので、ハンドル中立戻し位置の提示を行い、隣の駐車枠に隣接車520が有る場合には領域A(410)内にハンドル中立戻し位置が存在するか否かを確認し、ハンドル中立戻し位置が存在する場合には、自駐車枠からはみ出すこと無く後退可能であるのでハンドル中立戻し位置を提示し、また、領域A(410)内にハンドル中立戻し位置が存在しない場合には、その位置からでは自駐車枠をはみ出すこと無く後退可能な旋回軌跡が存在しないため、ハンドル中立戻し位置を表示せず、位置を移動する旨を教示する。これにより、目標とする駐車枠と自車両の後退旋回軌跡の外側で隣接する駐車枠に停止車両が存在する場合、該停止車両との接触事故等を確実に回避して、駐車枠線に対して自車両を平行な位置に確実に収めることができる。
次に、図17は本発明の実施例3に係る駐車支援装置の構成図である。上述した実施例1および実施例2においては、自車両の旋回半径から余裕円半径を引いた距離の円弧を算出したのに対して、実施例3においては、自車両の後退旋回軌跡上において自車両の前後方向が駐車枠線と平行になる位置までの距離を算出するようにしている。
図17において、本実施例の駐車支援装置は、カメラ(撮影手段)100、舵角センサ(操舵角検出手段)110、車輪速センサ120、モニタ130およびコントロールユニット203を備えて構成されている。なお、提示手段としてモニタ130を備えた構成としているが、実施例1および実施例2と同様に、スピーカ131、ステアリングアクチュエータ(STRG ACTR)132またはブレーキアクチュエータ(ブレーキACTR)133を備えた構成としても良い。また、実施例1と同等の構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
コントロールユニット203は、実施例1と同様に、車室内に設置され、マイクロコンピュータ等によって実現される。コントロールユニット203はその構成要素として、画像処理部(駐車枠線認識手段および基準点距離検出手段)51、後輪〜枠線距離監視部52、余裕円設定部(余裕円設定手段)53、自車旋回半径軌跡Rv算出部(旋回軌跡算出手段)55、ハンドル中立戻し位置設定部(ハンドル中立戻し位置算出手段)56、後退距離算出部(後退距離算出手段)57、警報位置判断部58および舵角変化監視部(操舵角変化監視手段)59を備える。なお、これら構成要素は、CPU上で実行されるプログラムの機能的なまとまりを表したものである。
画像処理部51は、自車両の後方にある駐車車両に略平行に引かれた駐車枠線を認識し、該駐車枠線の奥行き方向と自車両の前後方向とのなす角度を検出する駐車枠線認識手段と、該駐車枠線認識手段で認識した駐車枠線のうち自車両が後退するときの旋回軌跡の内側にある駐車枠線について、該駐車枠線の自車両寄りの端部を基準点とし、該基準点と自車両との距離を検出する基準点距離検出手段に該当する。
すなわち、画像処理部11では、カメラ100により取得した画像に基づき、エッジ検出処理等を用いて、駐車枠線の端部(基準点)、該端部(基準点)と自車両の内側後輪との距離、並びに自車両の前後方向と駐車枠線の奥行き方向とのなす角度αを検出する。具体的には、撮影された画像と、カメラ100の設置位置やカメラ100(レンズ)の画角や焦点距離などの情報から、エッジ検出により特定された駐車枠線に該当する画素それぞれが、自車両からどの程度の距離に相当するものかを求める。
また、後退距離算出部57は、現在の操舵角で自車両を後退させるとき、画像処理部51で検出した角度を無く(角度αを0度に)して自車両の前後方向が駐車枠線の奥行き方向と平行になるまでに必要な自車両の後退距離を算出する後退距離算出手段に該当する。
すなわち、後退距離算出部57では、舵角センサ110により検出された繰舵角のまま該繰舵角に対応する内側後輪の旋回軌跡に沿って自車両を後退させるときに、画像処理部51により検出された自車両の前後方向と駐車枠線の奥行き方向とのなす角度αを0度にして、自車両の前後方向が駐車枠線の奥行き方向と平行になるまでに自車両が移動しなければならない旋回軌跡上の後退距離を算出する。
また、ハンドル中立戻し位置設定部56は、自車旋回半径軌跡Rv算出部55で算出した旋回軌跡上を後退距離算出部57で算出した後退距離だけ後退したときの位置をハンドル中立戻し位置として設定するハンドル中立戻し位置算出手段に該当する。
また、警報位置判断部58は、実施例1における自車位置検出部17の機能をも合わせて持ち、車輪速センサ120で検出された車輪速に基づき自車両の移動距離を算出して、自車両の位置が、ハンドル中立戻し位置設定部56で設定されたハンドル中立戻し位置に達したか否かを判断し、達した場合には提示手段を介して運転者に対しハンドルを中立位置に戻す旨を提示する。
その他の構成要素については、実施例1のコントロールユニット201の構成要素と同等であり、同一の構成要素名を付して説明を省略する。
次に、以上のように構成される本実施例の駐車支援装置における駐車支援方法の手順について簡単に説明する。本実施例の駐車支援方法は、実施例1の駐車支援方法(図2および図3のフローチャート)において、以下のように変更することにより実現できる。
図2において、ステップS104およびS105の処理を削除して、ステップS108を次の処理に置き換える。すなわち、「後退距離算出部57において、舵角センサ110により検出された繰舵角のまま該繰舵角に対応する内側後輪の旋回軌跡Rvに沿って自車両を後退させるときに、ステップS106で検出した自車両の前後方向と駐車枠線の奥行き方向とのなす角度αを0度にして、自車両の前後方向が駐車枠線の奥行き方向と平行になるまでに自車両が移動しなければならない旋回軌跡Rv上の後退距離を算出し、ハンドル中立戻し位置設定部56により、旋回軌跡Rv上を後退距離算出部57で算出した後退距離だけ後退したときの位置をハンドル中立戻し位置として設定する」処理である。
そして、図3におけるステップS112からステップS116までの処理を行って終了する。
なお、実施例1のコントロールユニット201と同様に、コントロールユニット203内に車幅記憶部20および駐車可否判断部21を付加した構成とすれば、上記図2に対応した処理を実施後に図3のフローチャートをそのまま適用でき、実施例1の該当する効果と同等の効果を奏することができる。
また、実施例2のコントロールユニット202と同様に、コントロールユニット203内に隣接車両検出部42をさらに付加した構成とすれば、上記図2に対応した処理を実施後に図15のフローチャートをそのまま適用でき、実施例2の該当する効果と同等の効果を奏することができる。
次に、以上のように構成される本実施例の駐車支援装置における駐車支援方法について、平行に2本の駐車枠線が引かれている並列駐車場への後退駐車を支援する場合を具体例として、図18を参照しながら説明する。ここで、図18は、実施例3によるハンドル中立戻し位置設定方法について説明する説明図である。
まず、図18(a)に示すように、駐車枠線の奥行き方向と自車両の前後方向とのなす角度αが90度の状態にある車両600を、繰舵角に対応する内側後輪の旋回軌跡Rv(旋回半径R)に沿って後退させ、自車両の前後方向と駐車枠線の奥行き方向とのなす角度αが0度となる、即ち、自車両の前後方向が駐車枠線の奥行き方向と平行になる位置605まで自車両を移動させる場合について考える。この場合、α=90度だけ自車両の前後方向を変えるために必要となる旋回半径Rの旋回軌跡Rv上の距離は「2πR/4」となる。
これより、図18(b)に示すように、駐車枠線の奥行き方向と自車両の前後方向とのなす角度が任意のαである車両601を、旋回軌跡Rv(旋回半径R)に沿って後退させ、自車両の前後方向が駐車枠線の奥行き方向と平行になる位置まで自車両を移動させる場合に必要となる旋回軌跡Rv上の距離Xは「X=(α/90)×(2πR/4)」となる。
したがって、自車両が位置601(内側後輪が余裕円に接している状態)にあって、駐車枠線の奥行き方向と自車両の前後方向とのなす角度がαのとき、余裕円が設定された時点の舵角センサ110により検出された繰舵角に対応する内側後輪の旋回軌跡Rvの旋回半径がRの場合には、自車両の前後方向が駐車枠線と平行になるハンドル中立戻し位置は、内側後輪が旋回軌跡Rv上を上記距離Xだけ移動したときの位置となる。
なお、警報位置判断部18では、車輪速センサ120で検出された車輪速に基づき自車両の移動距離をモニタして、自車両の位置がハンドル中立戻し位置に達したか否かを判断し、達した場合には、提示手段を介して運転者に対しハンドルを中立位置に戻す旨を提示することとなる(図3のフローチャートにおいてステップS114〜S116に該当する処理)。
以上説明したように、本実施例の駐車支援装置および駐車支援方法では、駐車枠線を備えた並列駐車場への後退駐車を支援する駐車支援装置および駐車支援方法であって、画像処理部51(駐車枠線認識手段または駐車枠線認識ステップ)により、自車両の後方にある駐車車両に略平行に引かれた駐車枠線を認識して、該駐車枠線の奥行き方向と自車両の前後方向とのなす角度を検出し、また、舵角センサ110(操舵角検出手段または操舵角検出ステップ)により自車両の操舵角を検出し、自車旋回半径軌跡Rv算出部55(旋回軌跡算出手段または旋回軌跡算出ステップ)により、自車両が後退するときの検出した操舵角に基づく旋回軌跡と、該旋回軌跡の旋回半径を算出し、画像処理部51(基準点距離検出手段または基準点距離検出ステップ)により、認識した駐車枠線のうち自車両が後退するときの旋回軌跡の内側にある駐車枠線について、該駐車枠線の自車両寄りの端部を基準点として該基準点と自車両との距離を検出し、余裕円設定部53(余裕円設定手段または余裕円設定ステップ)により、基準点と自車両との距離が所定距離以下になったとき、該基準点を中心に該所定距離を半径とした余裕円を設定し、後退距離算出手段部57(後退距離算出手段または後退距離算出ステップ)により、現在の操舵角で自車両を後退させるとき、前記駐車枠認識手段で検出した角度を無くして自車両の前後方向が駐車枠線の奥行き方向と平行になるまでに必要な後退距離を算出し、ハンドル中立戻し位置設定部56(ハンドル中立戻し位置算出手段またはハンドル中立戻し位置算出ステップ)により、自車旋回半径軌跡Rv算出部55(旋回軌跡算出手段または旋回軌跡算出ステップ)で算出した旋回軌跡上を後退距離算出手段部57(後退距離算出手段または後退距離算出ステップ)で算出した後退距離だけ後退したときの位置をハンドル中立戻し位置として設定し、さらに、モニタ130(提示手段または提示ステップ)を介して、設定されたハンドル中立戻し位置を運転者へ提示する。
このように、本実施例では、駐車枠線に対して自車両を平行な位置に合わせる運転操作を支援するべく、後退駐車操作中に自車両が駐車枠に対して平行になる位置(ハンドル中立戻し位置)を算出して、該位置(ハンドル中立戻し位置)を運転者へ提示するので、駐車支援を開始する車両位置を限定することなく、ラフな初期位置からでも後退駐車を支援して駐車枠線に対して自車両を平行な位置に確実に収めることができ、また、内側後輪の旋回軌跡を基に駐車支援を行うので、自車左側の車両感覚に乏しい初心者や低スキル運転者でも、自車両を駐車枠線内に確実に収めることができる。
また、実施例1および実施例2のような軌跡計算を行わなくても、より単純な計算によってハンドル中立戻し位置を求めることができ、演算手段であるCPUの負荷を軽減することができると共に、より短時間で算出処理を行うことができる。