JP3700614B2 - 駐車支援装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、駐車支援装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の後進時に運転者が車両の死角により目標とする場所が見えなくなった場合に、モニタに車両の後方視界を写し出すようにした装置が提案されている。例えば、特公平2−36417号公報には、車両後方を撮影するテレビカメラと、このテレビカメラのとらえた映像を写し出すモニタテレビと、タイヤ操舵角に係る情報信号を出力するセンサと、このセンサからの情報信号に応じてマーカー信号を発生し、テレビ画面上にマーカーを重畳表示させる回路とからなる車両の後方監視モニタ装置が開示されている。この装置では、タイヤの操舵角データとその操舵角に対応する車両の後進方向に沿ったマーカー位置データがROMに蓄積されており、そのときの操舵角に応じた車両の予想後進軌跡がマーカーの列としてテレビ画面上にテレビカメラで撮影された映像に重畳して表示される。
【0003】
このような装置によれば、車両の後進時に後方の道路の状況等の視界と共に操舵角に応じた車両の予想後進軌跡がモニタテレビの画面上に表示されるため、運転者は、後方を振り向くことなくテレビ画面を見たままでハンドルを操作して車両を後退させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば並列駐車や縦列駐車を行う際に、従来の後方監視モニタ装置において、運転者がテレビ画面上で後方の視界と車両の予想後進軌跡とを見ただけでは、どのタイミングでどの程度の操舵角で駐車のための運転操作をすればよいのか判断し難く、駐車時の十分な支援を行うことができないという問題点があった。
また、従来の後方監視モニタ装置では、運転者がテレビ画面を見ながら運転操作を行う必要があるが、運転者は車両周辺への安全確認も行わなければならず、運転者にかかる負担が大きいという問題点もあった。
【0005】
さらに、現在では、目的地への案内情報を提供するナビゲーションシステムを塔載する車両が多く、音声入出力、画像表示、スイッチなどのナビゲーションシステムの既存のヒューマン・マシン・インターフェイスや制御部分を用いて駐車時の支援を行うことができれば、コスト面や構造の簡易化の面で非常に好適である。
【0006】
したがって、本発明は、このような従来からの要望に鑑みてなされたものであり、運転者に大きな負担をかけることなく駐車の際の運転操作を的確に案内することができ、且つナビゲーションシステムとの融合が容易に行える駐車支援装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明の駐車支援装置は、車両のヨー角を検出するヨー角検出手段と、ナビゲーション機能制御部及び駐車支援機能制御部を有するコントローラと、ナビゲーションモードから駐車支援モードへの導入を決定する導入スイッチと、ナビゲーションモードにおいてナビゲーション情報を提供すると共に、駐車支援モードにおいて駐車スペースに対して所定の位置である初期停車位置を車両のヨー角が所定の値となる基準位置として設定し且つ予め決められた駐車態様を選択するモニタと、運転者に駐車支援情報を提供する情報提供手段とを備え、駐車態様は、初期停車位置から一定の操舵角に保持した状態で車両を第1の旋回角度まで前進させた後、停止した状態で逆方向の一定の操舵角にし、一定の操舵角に保持した状態で車両を第2の旋回角度まで後退させる並列駐車、及び初期停車位置から一定の操舵角に保持した状態で車両を第1の旋回角度まで前進させた後、停止した状態で逆方向の一定の操舵角にし、一定の操舵角に保持した状態で車両を第2の旋回角度まで後退させ、さらに停止した状態で逆方向の一定の操舵角にし、一定の操舵角に保持した状態で車両を第3の旋回角度まで後退させる縦列駐車であり、コントローラは並列駐車における第1及び第2の旋回角度及び縦列駐車における第1〜第3の旋回角度を記憶し、モニタにより選択された駐車態様に応じて記憶されている旋回角度とヨー角検出手段から検出されたヨー角を比較することによって車両の位置を特定し、特定された車両の位置と選択された駐車態様に応じて駐車支援情報を情報提供手段により提供することを特徴とする。
【0008】
好適には、一定の操舵角は、最大操舵角である。
駐車支援装置は、音声入力により、ナビゲーション機能命令、前記ヨー角の基準位置の設定命令、及び、駐車態様の選択命令を受けることができる音声認識機能部を、モニタに代えて又は加えて、備えていてもよい。
また、コントローラには、ナビゲーション情報と、選択された駐車態様に関する情報とを音声により案内するための音声発生機能部を有すると好適である。
駐車支援装置は、警報発生用センサを更に備え、情報提供手段より警報を提供するようにしてもよい。
駐車支援装置は、後退シフト信号検出部を更に備え、コントローラは後退シフト信号を考慮して、車両が前進してヨー角が変化している状態と、後退してヨー角が変化している状態とを区別し、その状態が選択された駐車態様通りに正常旋回をしている状態か否かの判断を行い、情報提供手段は正常旋回をしている状態か否かに関する駐車支援情報を提供するようにしてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1にこの発明の実施の形態1に係る駐車支援装置の構成を示す。駐車支援装置1は、コントローラ2と、それぞれコントローラ2に接続されるヨーレートセンサ3、導入スイッチ4、モニタ5及びスピーカ6とを備えている。
【0010】
まず、ヨーレートセンサ3は、車両のヨー角方向の角速度を検出するものであり、ナビゲーションシステムにおける既存のセンサを用いている。導入スイッチ4は、ナビゲーションモードから駐車支援モードへの導入命令をコントローラ2に付与するためのスイッチである。導入スイッチ4は、本実施の形態では、ナビゲーションシステムとは別に新たに設けられた専用スイッチであるが(図1参照)、これに代えてナビゲーションシステムのファンクションスイッチなどの既存のスイッチを用いてもよく、あるいはモニタ5の画面上に設けたタッチスイッチでもよい。モニタ5は、ナビゲーションシステムの既存のモニタを用いており、地図情報、位置情報、操舵情報などのナビゲーション情報を画像表示できると共に、車両の駐車態様を選択してコントローラ2に知らせるための並列モードスイッチ5a及び縦列モードスイッチ5bからなるタッチスイッチを画像表示することもできる。なお、ナビゲーション情報とタッチスイッチの表示とは、導入スイッチ4を介して切り換わる選択的な表示態様となっている。スピーカ6は、カーステレオやナビゲーションシステムの既存のスピーカを用いている。
【0011】
コントローラ2は、その内部にナビゲーション機能制御部2aと、駐車支援機能制御部2bとを備えている。すなわち、コントローラ2は、ナビゲーションシステムにおける既存のコントローラに、駐車支援機能制御部分を組み込んだものであり、例えば、ナビゲーションシステムの制御ソフトに、駐車支援機能を実現するためのソフトを付加することにより、ハードウェア的な追加を伴わずに構成され得る。
【0012】
コントローラ2の駐車支援機能制御部2bは、図示しないCPUと制御プログラムを記憶したROMと作業用のRAMとを備えている。ROMには、車両のハンドルが最大に操舵されて車両が旋回する場合の最小旋回半径Rcから得られる駐車操作に必要な目標角度が記憶されると共に並列駐車時及び縦列駐車時の駐車支援を行う制御プログラムが格納されている。CPUはROMに記憶された制御プログラムに基づいて動作する。コントローラ2は、ヨーレートセンサ3から入力される車両の角速度から車両のヨー角を算出し、車両の旋回角度を算出して駐車運転中の各ステップにおける操作方法や操作タイミングに関する情報をスピーカ6に出力する。
【0013】
ここで、この実施の形態の駐車支援装置が、車両にどのような軌跡を描かせて駐車を支援するのかを説明する。
まずはじめに、図2を用いて、並列駐車を行う場合について説明する。
車両10が駐車しようとする駐車スペースTの入口の中央点を原点Oとし、道路と垂直で駐車スペースTにおける車両10の後退方向にY軸をとり、道路と平行にすなわち、Y軸と直角にX軸をとる。また、駐車スペースTの駐車枠の幅をW1とする。リヤアクスル中心HOが駐車スペースTの幅方向の中央になり且つ駐車スペースTの長さ方向に平行になる車両位置H1に、車両10が適正に駐車されるように駐車支援装置が運転者を支援するものとする。
【0014】
まず、初期停車位置として、駐車スペースTに垂直で車両10のリヤアクスル中心EOが駐車スペースTの入口からDの距離で且つ駐車スペースTの側部T1と車両10の運転者の位置DRとが一致する車両位置E1に車両10を停止させるものとする。
次に、車両位置E1にある車両10が、ハンドルの操舵角を左側最大にして半径Rcで旋回しつつ、旋回角度θまで前進し、車両位置F1になったところで、ハンドルの操舵角を右側最大にして旋回半径Rcで旋回しつつ、旋回角度φだけ後退し、車両10が駐車スペースTに平行になった車両位置G1でハンドルを直進状態に戻してさらに後退して駐車スペースT内の車両位置H1に適正に駐車するものとする。
また、車両位置E1,F1,G1におけるリヤアクスル中心をそれぞれ、EO,FO,GOとする。
【0015】
ここで、車両位置E1における運転者の位置DRとリヤアクスル中心EOとのX軸方向の距離をLとすると、車両位置E1から車両位置F1まで車両10が旋回する際の旋回中心C1の座標(C1x,C1y)は、
C1x=L−W1/2
C1y=−(D+Rc)
で表される。
車両位置F1から車両位置G1まで車両10が旋回する際の旋回中心C2の座標(C2x,C2y)は、
C2x=−(Rc+Rc)・sinθ+C1x=−2Rc・sinθ+L−W1/2
C2y=(Rc+Rc)・cosθ+C1y=2Rc・cosθ−(D+Rc)
で表され、このうち、X座標C2xは、
C2x=−Rc
としても表される。
【0016】
X座標C2xの2つの関係式からsinθは、
sinθ=(Rc+L−W1/2)/2Rc
で表され、このθの値を既知のRc、L及びW1を用いて算出することができ、このθの値をコントローラ2は設定値θとして記憶している。
さらに、車両位置F1から車両位置G1まで車両10が旋回する旋回角度φは、
φ=π/2−θ
で表される。
【0017】
次に、本実施の形態に係る駐車支援装置の並列駐車時の動作について説明する。
まず、運転者が車両10を車両位置E1に停止させ、ここで、導入スイッチ4を作動させて、モニタ画面上に並列モードスイッチ5a及び縦列モードスイッチ5bを表示さる。その後、モニタ画面上の並列モードスイッチ5aをタッチすると、コントローラ2は、車両位置E1を車両のヨー角が0度の位置として設定すると共に並列駐車のプログラムを起動させる。次に、運転者は、ハンドルを左側最大に操舵してフル切り状態にし、そのまま車両10を前進させる。
【0018】
コントローラ2は、ヨーレートセンサ3から入力される車両10の角速度から車両のヨー角を算出して、このヨー角と設定値θの値とを比較する。車両10が、車両位置E1から車両位置F1に近づくにつれて、コントローラ2は、ヨー角と設定値θとの差を基に、車両位置F1に接近したことを知らせる接近情報と、車両位置F1に到達したことを知らせる到達情報とをスピーカ6を介して運転者に知らせる。
例えば、接近情報として、スピーカ6から「ピッ、ピッ」という間欠音が発せられ、この間欠音及び点滅の周期は、ヨー角と設定値θとの差が少なくなると共に短くなる。ヨー角と設定値θとの差がなくなると、到達情報として、スピーカ6から「ピー」という連続音が発せられる。
運転者は、到達情報に従って車両10を車両位置F1に停止させる。次に、運転者は、ハンドルを右側最大に操舵してフル切り状態にし、そのまま車両10を後退させる。コントローラ2は、車両10のヨー角が90度に近づくにつれて、車両10が駐車スペースTに平行になった車両位置G1に接近したことを知らせる接近情報と、車両位置G1に到達したことを知らせる到達情報とをスピーカ6を介して運転者に知らせる。運転者は、到達情報に従って車両10を車両位置G1で停止させた後、ハンドルを直進状態に戻してから車両10を後退させ、駐車スペースTに車両10が収まったら駐車を完了する。
【0019】
次に、図3を用いて、縦列駐車を行う場合について説明する。
車両10のリヤ左端が駐車スペースTの奥のコーナーS2に一致するように、車両10を駐車スペースTに駐車するものとする。この状態の車両位置M1における車両10のリヤアクスル中心MOを原点とし、道路と平行で車両10の後退方向にY軸をとり、Y軸と直角にX軸をとる。また、駐車スペースTの奥のコーナーの座標をS2(W2/2,a2)とする。ここで、a2、W2は、車両10のリヤオーバハング、車幅をそれぞれ示す。
車両位置J1にある車両10が、ハンドルの操舵角を右側最大にして半径Rcで旋回しつつ前進し、車両位置K1になったところで、操舵角を左側最大にして半径Rcで旋回しつつ後退し、車両位置L1になったところで操舵角を右側最大にして半径Rcで旋回しつつ後退し、駐車スペースT内の車両位置M1に適正に駐車するものとする。
【0020】
まず、駐車スペースTの前方の所定位置に駐車中の車両20を目安にして、車両10を車両位置J1に停車した状態を初期停車位置として、縦列駐車を開始するものとする。
車両位置J1は、車両10の運転者の位置DRのY座標が駐車中の車両20の後端20aのY座標に一致する位置で且つ駐車スペースTに平行な位置であり並びに車両10と車両20とが所定の車両間隔dである位置とする。したがって、車両位置J1のリヤアクスル中心JOの座標(JOx,JOy)は、車両20の後端部20aの座標と運転者の位置DRとリヤアクスル中心JOとの関係および車両間隔dから一義的に定められる。
車両位置J1にある車両10が、ハンドルの操舵角を右側最大にして半径Rcで旋回しつつ車両位置K1まで前進する。その際の旋回中心をC3とし、旋回角度をβとする。また、車両位置K1にある車両10が操舵角を左側最大にして半径Rcで旋回しつつ車両位置L1まで後退する。その際の旋回中心をC4とし、旋回角度をδとする。さらに、車両位置L1でハンドルを反対方向に切り返して、操舵角を右側最大にして半径Rcで旋回しつつ車両位置M1まで後退する。その際の旋回中心をC5とし、旋回角度をαとする。
また、車両位置K1,L1におけるリヤアクスル中心をそれぞれKO,LOとする。
【0021】
旋回角度α,β,δには、
δ=α−β
の関係がある。
旋回中心C5の座標(C5x,C5y)は、
C5x=−Rc
C5y=0
で表される。
旋回中心C4の座標(C4x,C4y)は、
C4x=C5x+(Rc+Rc)・cosα=−Rc+2Rc・cosα
C4y=C5y−(Rc+Rc)・sinα=−2Rc・sinα
で表される。
旋回中心C3の座標(C3x,C3y)は、
C3x=C4x−(Rc+Rc)・cosβ=−Rc+2Rc・cosα−2Rc・cosβ
C3y=C4y+(Rc+Rc)・sinβ=−2Rc・sinα+2Rc・sinβ
で表される。
また、車両位置J1のリヤアクスル中心JOの座標(JOx,JOy)は、
で表される。
【0022】
ここで、式(1)及び(2)を三角関数の公式を用いて、変形すると、
tan(α/2+β/2)=JOx/JOy
sin2(α/2−β/2)=(JOx2+JOy2)/(16Rc2)
となり、α、βを、既知のリヤアクスル中心JOの座標(JOx,JOy)を用いて算出することができ、この値が設定値α、βとしてコントローラ2に記憶されている。
リヤアクスル中心JOの座標(JOx,JOy)は、車両10を車両20の後方に無理のない操作で駐車できる値として、例えば、JOx=2.3m、JOy=4.5mの値を用いている。
リヤアクスル中心JOの座標JOxおよびJOyは、車両10の車格、操舵特性などに応じて値を設定することが望ましい。
【0023】
次に、本実施の形態に係る駐車支援装置の縦列駐車時の動作について説明する。
まず、運転者が、運転者の位置DRのY座標が駐車中の車両20の後端20aのY座標に一致し、車両10が車両20に対して車両間隔dとなるように車両位置J1に停止させる。ここで、まず導入スイッチ4を作動させて、モニタ画面上に並列モードスイッチ5a及び縦列モードスイッチ5bを表示させ、その後、縦列モードスイッチ5bをタッチすると、コントローラ2は、車両位置J1を車両のヨー角が0度の位置として設定すると共に縦列駐車のためのプログラムを起動させる。次に、運転者は、車両10のハンドルを右側最大に操舵してフル切り状態にし、そのまま車両10を前進させる。コントローラ2は、ヨーレートセンサ3から入力される車両10の角速度から車両のヨー角を算出して、このヨー角と設定値βの値とを比較する。車両10が、車両位置J1から車両位置K1に近づくにつれて、コントローラ2は、ヨー角と設定値βとの差を基に、並列駐車時と同様に、車両位置K1に接近したことを知らせる接近情報と、車両位置K1に到達したことを知らせる到達情報とをスピーカ6を介して運転者に知らせる。
【0024】
運転者は、到達情報に従って車両10を車両位置K1に停止させる。次に、運転者は、ハンドルを左にいっぱい操舵してフル切り状態にし、そのまま車両10を後退させる。コントローラ2は、車両のヨー角と設定値α(=β+δ)の値とを比較する。車両10が、車両位置K1から車両位置L1に近づくにつれて、すなわち、車両のヨー角が設定値αの値に近づくにつれて、コントローラ2は、ヨー角と設定値αとの差を基に、並列駐車時と同様に、車両位置L1に接近したことを知らせる接近情報と、車両位置L1に到達したことを知らせる到達情報とをスピーカ6を介して運転者に知らせる。
【0025】
運転者は、到達情報に従って車両10を車両位置L1に停止させる。次に、運転者は、車両位置L1でハンドルを反対方向に切り返して、右側最大に操舵してフル切り状態にし、そのまま車両10を後退させる。コントローラ2は、車両10のヨー角が0度に近づくにつれて、車両10が駐車スペースT内の車両位置M1に接近したことを知らせる接近情報と、車両位置M1に到達したことを知らせる到達情報とをスピーカ6を介して運転者に知らせる。これにより、運転者は、車両位置M1で車両10を停止させ、駐車を完了することができる。
【0026】
なお、この実施の形態ではヨー角を検出するのに、ヨーレートセンサを用いたが、ヨー角を検出する手段は、ポジションジャイロを用いる方法や左右車輪にそれぞれ回転センサを装着しそれらの回転差からヨー角を検出する方法でもよく、さらに、地磁気センサやGPSシステムを用いた方法でもよい。
接近情報及び到達情報を運転者に知らせる手段は、スピーカ6に限定されるものではなく、他の聴覚的情報の提供手段、あるいは、視覚的情報又は触覚的情報の提供手段であってもよい。また、スピーカ6から音声を発するようにしてもよい。さらに、接近情報や到達情報は、接近あるいは到達の目標となる車両位置ごとに、スピーカ6から発する音の音量及び音色を変えたり、内容の異なる音声を発するようにしてもよい。
【0027】
このように本実施の形態の駐車支援装置よれば、適切な駐車支援が可能となり、運転者に大きな負担をかけることなく駐車の際の運転操作を的確に案内することが可能である。また、ナビゲーションシステムに駐車支援機能を融合させることで、ナビゲーションシステムの既存のヒューマン・マシン・インターフェイスや制御部分を用いることができ、ソフトウェアを変更するだけでハードウェアの追加をすることなく駐車支援機能を実現することが可能となり、コスト面や構造の簡易化の面で非常に好適である。
【0028】
実施の形態2.
次に、図4を基に本発明の実施の形態2に係る駐車支援装置を説明する。
本駐車支援装置101は、実施の形態1と同様に、コントローラ102と、それぞれコントローラ102に接続されるヨーレートセンサ3、導入スイッチ4、モニタ5及びスピーカ6とを備えている。コントローラ102は、その内部にナビゲーション機能制御部102aと、駐車支援機能制御部102bとを備えている。そして、これらナビゲーション機能制御部102aと駐車支援機能制御部102bとが共有する部分として、音声発生機能部102cが設けられている。音声発生機能部102cは、ナビゲーションシステムのコントローラに設けられていた既存の音声発生機能部であり、地図情報、位置情報、操舵情報などのナビゲーション情報をスピーカ6を介して音声により提供するために機能するものである。そして、本実施の形態では、音声発生機能部102cは、モニタ5上で、並列モードスイッチ5aあるいは縦列モードスイッチ5bを介して選択された車両の駐車態様に関する情報をスピーカ6を介して音声により提供するためにも機能する。すなわち、音声発生機能部102cは、ナビゲーションシステムにおける既存の音声発生機能部に、駐車態様に関する音声情報の発生機能を組み込んだものであり、例えば、ナビゲーションシステムの制御ソフトに、駐車態様に関する音声情報の発生機能を実現するためのソフトを付加することにより、ハードウェア的な追加を伴わずに構成され得る。
【0029】
これにより、本実施の形態では、実施の形態1における駐車支援情報の提供に加え、例えば、縦列モードスイッチ5bを介して運転者が縦列駐車の態様を選択すると、音声発生機能部102cが機能し、スピーカ6を介して例えば「縦列駐車を案内します」といった音声情報が駐車開始に際して提供される。よって、ナビゲーションシステムの既存のヒューマン・マシン・インターフェイスや制御部分を用いることで簡易な構造且つ安価に、駐車支援を行うことができる。
【0030】
実施の形態3.
次に、図5を基に本発明の実施の形態3に係る駐車支援装置を説明する。
本駐車支援装置201は、実施の形態2と同様に、コントローラ102と、それぞれコントローラ102に接続されるヨーレートセンサ3、導入スイッチ4、モニタ5及びスピーカ6とを備えている。本実施の形態のモニタ5においては、車両の駐車態様を選択してコントローラ102に知らせるためのタッチスイッチとして、左側並列モードスイッチ5c、右側並列モードスイッチ5d、左側縦列モードスイッチ5e及び右側縦列モードスイッチ5fが画像表示される。
【0031】
これにより、本実施の形態では、実施の形態1における駐車支援情報の提供に加え、運転者が例えば左側縦列モードスイッチ5eを作動させ縦列の左側駐車を選択した場合には、音声発生機能部102cが機能し、スピーカ6を介して例えば「左側縦列を案内します。ハンドルを右に一杯に切って、ゆっくりと前進して下さい」といった音声情報が駐車開始に際して提供される。また、音声発生機能部102cを機能させることにより、ハンドルの切り替えし位置(図3の車両位置K1やL1)では、例えば「ハンドルを左(車両位置K1のとき){右(車両位置L1のとき)}に一杯に切って、ゆっくりと後退して下さい」といった駐車支援情報を音声により提供することもできる。なお、左側駐車とは、縦列・並列ともに、目標駐車スペースが駐車スタート位置における自車両の左側にある場合の駐車をいい、右側駐車はその逆の態様の駐車をいうものとする。このように、本実施の形態の駐車支援装置によれば、ナビゲーションシステムの既存のヒューマン・マシン・インターフェイスや制御部分を用いることで簡易な構造且つ安価に、駐車支援を行うことができ、しかも、駐車の流れに沿ってそのとき必要な情報を音声で案内することもできる。
【0032】
実施の形態4.
次に、図6を基に本発明の実施の形態4に係る駐車支援装置を説明する。
本駐車支援装置301は、実施の形態2と同様に、コントローラ102と、それぞれコントローラ102に接続されるヨーレートセンサ3、導入スイッチ4、モニタ5及びスピーカ6とを備え、さらに、コントローラ102に接続されるマイク7を備えている。コントローラ102は、その内部にナビゲーション機能制御部102aと、駐車支援機能制御部102bとを備えている。そして、これらナビゲーション機能制御部102aと駐車支援機能制御部102bとが共有する部分として、音声認識機能部102dが設けられている。音声認識機能部102dは、運転者が目的地の指定や到着時間の指定などのナビゲーション機能命令を音声入力することができるナビゲーションシステムのコントローラに設けられていた既存の音声認識機能部である。そして、本実施の形態では、音声認識機能部102dは、運転者がマイク7を介して、駐車態様の選択命令を音声で入力することができるように機能する。すなわち、音声認識機能部102dは、ナビゲーションシステムにおける既存の音声認識機能部に、音声による駐車態様の選択命令を認識することができる機能を組み込んだものであり、例えば、ナビゲーションシステムの制御ソフトに、駐車態様の選択命令を認識するためのソフトを付加することにより、ハードウェア的な追加を伴わずに構成され得る。また、マイク7は、音声認識機能部102dと同様に、ナビゲーション機能命令を音声入力することができるナビゲーションシステムに設けられていた既存のマイクが用いられている。なお、音声による駐車態様の選択命令は、上記実施の形態におけるモニタ5に表示されたタッチスイッチと同じ役割を有しており、すなわち、ヨー角の基準位置の設定と駐車態様の選択との役割を有している。
【0033】
このような駐車支援装置においては、実施の形態1における駐車支援情報の提供に加え、運転者が例えば、「左側並列」、「右側並列」、「左側縦列」あるいは「右側縦列」のいずれかの指示音声をマイク7に入力すれば、コントローラ102内の音声認識機能部102dによって適切な駐車態様が選択され、実施の形態2又は3のような選択した駐車態様に関する駐車支援情報がスピーカ6を介して提供される。よって、この駐車支援装置によれば、ナビゲーションシステムの既存のヒューマン・マシン・インターフェイスや制御部分を用いることで簡易な構造且つ安価に、駐車支援を行うことができ、しかも、駐車の流れに沿ってそのとき必要な情報を音声で案内することができ、さらに運転者が手で操作する機会を減らし運転操作により専念させることが可能となる。
【0034】
実施の形態5.
次に、図7を基に本発明の実施の形態5に係る駐車支援装置を説明する。
本駐車支援装置401は、実施の形態1と同様に、コントローラ2と、それぞれコントローラ2に接続されるヨーレートセンサ3、導入スイッチ4、モニタ5及びスピーカ6とを備え、さらに、コントローラ2に接続されるコーナーセンサ8を備えている。コーナーセンサ8は、車両に設けられた既存のコーナーセンサを用いる。
【0035】
このような駐車支援装置においては、実施の形態1における駐車支援情報の提供に加え、コーナーセンサ8からの信号を利用し、駐車操作の途中で他車や障害物との干渉などの恐れがあるときに、何らかの方法で運転者に警報を出して注意を促す。例えば、スピーカ6を介して、「左前が障害物と干渉する可能性があります」といった音声情報を出すことができる。なお、本実施の形態は、コーナーセンサを用いることに限定するものではなく、他の警報発生用センサを広く用いることが可能である。本実施の形態によれば、もともと車両に設けられていた他のセンサと協調することにより、別置きの駐車支援装置では実現が困難であった車両からの各種信号を利用してより細やかな駐車支援情報を提供することが可能となった。
【0036】
実施の形態6.
次に、図8を基に本発明の実施の形態6に係る駐車支援装置を説明する。
本駐車支援装置501は、実施の形態1と同様に、コントローラ2と、それぞれコントローラ2に接続されるヨーレートセンサ3、導入スイッチ4、モニタ5及びスピーカ6とを備え、さらに、コントローラ2に接続される後退シフト信号検出部9を備えている。後退シフト信号検出部9は、車両に設けられた既存のものを用い、車両のシフトが前進状態にあるか後退状態にあるかといった情報の信号をコントローラ2に伝達する。
【0037】
このような駐車支援装置においては、実施の形態1における駐車支援情報の提供に加え、車両が図2又は図3に示された工程に従って正常に旋回しているか否かといった情報を駐車支援情報の一つとして提供する。すなわち、例えば、図3に示す縦列駐車工程において、車両が位置K1を通り越して前進している非正常な状態と、位置K1から位置L1へと後退している正常な状態とでは、車両のヨー角は共に増加する。しかし、本実施の形態では、後退シフト信号検出部9より前進後退の情報がコントローラ2に伝達されるので、コントローラ2は、車両のヨー角の増減だけでなく、この後退シフト信号も考慮して、車両が所期の正常旋回をしているか否かの判断を行い、これに基づいてスピーカ6より正常旋回をしているか否かに関する駐車支援情報を提供する。よって、本実施の形態によれば、ナビゲーションシステムの既存のヒューマン・マシン・インターフェイスや制御部分を用いることで簡易な構造且つ安価に、駐車支援を行うことができ、しかも、正常旋回をしているか否かに関する駐車支援情報も提供することができる。
【0038】
他の実施の形態.
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、以下のような改変を行って実施することも可能である。まず、導入スイッチと駐車態様を選択するタッチスイッチとは個別に設けられている態様に限定されるものではない。すなわち、駐車態様を選択するタッチスイッチを常にモニタに表示させておき、このタッチスイッチの作動により、ナビゲーションモードから駐車支援モードへの導入命令と、ヨー角の基準位置の設定命令と、駐車態様の選択命令とをコントローラへ一緒に出力するような態様でもよい。また、導入スイッチ及び駐車態様を選択するタッチスイッチの一方又は双方の役割を、音声入力により実現させることも可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の駐車支援装置によれば、適切な駐車支援が可能となり、運転者に大きな負担をかけることなく駐車の際の運転操作を的確に案内することが可能である。また、ナビゲーションシステムに駐車支援機能を融合させ、ナビゲーションシステムの既存のヒューマン・マシン・インターフェイスや制御部分を用いることにより、簡易な構造且つ安価に駐車支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る駐車支援装置の構成を示す図である。
【図2】 並列駐車時の車両の位置を段階的且つ模式的に示す図である。
【図3】 縦列駐車時の車両の位置を段階的且つ模式的に示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態2に係る駐車支援装置の構成を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態3に係る駐車支援装置の構成を示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態4に係る駐車支援装置の構成を示す図である。
【図7】 本発明の実施の形態5に係る駐車支援装置の構成を示す図である。
【図8】 本発明の実施の形態6に係る駐車支援装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
2,102…コントローラ
3…ヨーレートセンサ(第1手段)
4…導入スイッチ(第2手段)
5…モニタ(第3手段)
6…スピーカ(第4手段)
7…マイク(第5手段)
Claims (6)
- 車両のヨー角を検出するヨー角検出手段と、
ナビゲーション機能制御部及び駐車支援機能制御部を有するコントローラと、
ナビゲーションモードから駐車支援モードへの導入を決定する導入スイッチと、
前記ナビゲーションモードにおいてナビゲーション情報を提供すると共に、前記駐車支援モードにおいて駐車スペースに対して所定の位置である初期停車位置を前記車両のヨー角が所定の値となる基準位置として設定し且つ予め決められた駐車態様を選択するモニタと、
運転者に駐車支援情報を提供する情報提供手段と
を備え、
前記駐車態様は、前記初期停車位置から一定の操舵角に保持した状態で車両を第1の旋回角度まで前進させた後、停止した状態で逆方向の一定の操舵角にし、一定の操舵角に保持した状態で車両を第2の旋回角度まで後退させる並列駐車、及び前記初期停車位置から一定の操舵角に保持した状態で車両を第1の旋回角度まで前進させた後、停止した状態で逆方向の一定の操舵角にし、一定の操舵角に保持した状態で車両を第2の旋回角度まで後退させ、さらに停止した状態で逆方向の一定の操舵角にし、一定の操舵角に保持した状態で車両を第3の旋回角度まで後退させる縦列駐車であり、
前記コントローラは並列駐車における前記第1及び第2の旋回角度及び縦列駐車における前記第1〜第3の旋回角度を記憶し、前記モニタにより選択された駐車態様に応じて記憶されている旋回角度と前記ヨー角検出手段から検出されたヨー角を比較することによって車両の位置を特定し、特定された車両の位置と選択された駐車態様に応じて駐車支援情報を前記情報提供手段により提供することを特徴とする駐車支援装置。 - 前記一定の操舵角は、最大操舵角である請求項1に記載の駐車支援装置。
- 音声入力により、ナビゲーション機能命令、前記ヨー角の基準位置の設定命令、及び、駐車態様の選択命令を受けることができる音声認識機能部を、前記モニタに代えて又は加えて、備えた請求項1または2に記載の駐車支援装置。
- 前記コントローラには、ナビゲーション情報と、選択された駐車態様に関する情報とを音声により案内するための音声発生機能部を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
- 警報発生用センサを更に備え、前記情報提供手段より警報を提供する請求項1〜4のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
- 後退シフト信号検出部を更に備え、前記コントローラは後退シフト信号を考慮して、車両が前進してヨー角が変化している状態と、後退してヨー角が変化している状態とを区別し、その状態が選択された前記駐車態様通りに正常旋回をしている状態か否かの判断を行い、前記情報提供手段は正常旋回をしている状態か否かに関する駐車支援情報を提供する請求項1〜5のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
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