JP2007112678A - 分離膜用アルミナ質基体管及びその製造方法 - Google Patents

分離膜用アルミナ質基体管及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、安価なアルミナ原料粉体に添加剤を添加し、アルミナ、ゼオライトをはじめとする無機分離膜形成用基体管の製造方法およびそれより得られた無機分離膜形成用アルミナ質基体管を提供する点にある。
【解決手段】(a)Al83〜94重量%含有し、(b)SiO5〜14重量%、(c)アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物1〜4重量%、(d)SiO/(アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物)重量比が1〜6、(e)気孔率が20〜50%、(f)水銀圧入法により測定した平均気孔径が0.5〜3μm、(g)バブルポイント法による気孔分布のモード径が0.15〜0.5μmであることを特徴とする分離膜用アルミナ質基体管。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミナやゼオライトをはじめとする無機分離膜形成用のアルミナ質基体管及びその製造方法に関する。
近年、廃水や上下水等の水処理や腐食性の強い有機溶剤等の濾過分離膜は、従来の高分子や多孔質ガラス等に変わって、耐食性、耐熱性に優れたセラミックス製濾過分離膜の採用が急増している。また、最近では環境の面からバイオマスアルコールのガソリンへの添加が進められつつあり、アルコールの精製には蒸留法に代わって精製コストの安価なゼオライト膜を用いたPV法(パーベーパレイション法)が注目されている。
しかしながら、セラミックス製濾過分離膜のコストは高分子等に比べて遥かに高いため、コスト低減には濾過能力及び分離精度の高い分離膜が要求されるが、これは分離膜そのものの特性以外に分離膜を支持する多孔質基体管の特性及びコストが大きな因子となっている。
特許文献1及び2には、多孔質支持体と支持体の上に多孔質薄膜を形成させた多孔質隔壁が開示されているが、支持体の材質についてはアルミナ、シリカ−アルミナ、ジルコニア、ゼオライト、多孔質ガラス、カーボン等との記載はあるが、支持体として具体的にどのような組成のものが優れた支持体なのか、また、支持体の気孔径についてのみ記載されているだけで支持体として要求される耐食性をはじめとする特性を有しているか否かは全く開示されていない。また、特許文献2には、ある特定の粒度に整粒された骨材、微粒骨材及びフリットを焼結してなるセラミック多孔質が開示されているが、得られた基材の気孔径がかなり大きな幅を有しており、また、その気孔径も開気孔、貫通気孔等様々な形態の気孔を測定してしまう水銀圧入法で測定された気孔径であるため、実際に基材として重要な貫通気孔径について一切開示されておらず、支持体として有用か否か全く不明である。
さらに、特許文献3にはアルミナを主成分とするガラス成分とある特定の成分を含有させたセラミックスフィルターが開示されているが、気孔径等については特許文献2と全く同じである。さらに、特許文献4は濾過、ガス分離等に使用される無機多孔質膜に関するものであるが、特許文献1及び2と同様で支持体として採用される材質の規定が全く無く、支持体と有用か否か全く開示がない。さらに特許文献4の実施例には支持体としてアルミナ質の多孔質支持体の製法が開示されているが、使用するアルミナ原料が粒径の揃った電融アルミナであるため、コストが高いものとなっている。
特開昭62−160121号公報 特開2003−176185号公報 特開昭63−197510号公報 特開平2−43928号公報
本発明の目的は、安価なアルミナ原料粉体に添加剤を添加し、アルミナ、ゼオライトをはじめとする無機分離膜形成用アルミナ質基体管の製造方法およびそれにより得られた無機分離膜形成用アルミナ質基体管を提供する点にある。
本発明者らは鋭意研究を重ねてきた結果、分離膜用アルミナ質基体管の製造において、SiO、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物量、SiO/(アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物)重量比、気孔率、平均気孔径などを制御することにより、無機分離膜用基体管として優れた特性を有するだけでなく、良好な製膜性を実現できることを見い出し、ここに本発明を完成したものである。
公知技術では精密に整粒した電融アルミナが使用されるが、コストが高くなるという欠点があった。しかしながら、本発明は、安価なアルミナ原料粉体を粉砕・分散によりある特定の範囲内の粒度分布(従来の基体管の製造に用いられる整粒したアルミナ原料粉体よりも広い粒度分布)に調整し、SiO、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物を特定量アルミナ結晶粒子に添加して焼成することによりSiO、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物で形成されるガラス相によって前記アルミナ結晶粒子を結合させたものであるため、原料処理後のアルミナ粉体粒度分布をほとんど保ったままで基体管を得ている。そのため、従来の基体管は気孔径分布がシャープであるのに対し、本発明の基体管は、従来の基体管より広い気孔径分布を示すが、バブルポイント法による平均気孔径及び水銀圧入法による平均気孔径をある特定の範囲内に制御することで気体透過量及び透水量を低下させることがなく、分離膜用基体管として優れたものとすることができる。
本発明でいう無機分離膜用アルミナ質基体管として優れた特性とは高い気体透過性及び透水性を有し、曲げ強さ等の機械的特性に優れ、耐食性に優れることを言う。また、良好な製膜性とは製膜した膜表面にクラックやピンホールがなく、滑らかな表面状態を実現できることをいう。
即ち、本発明の第1は、(a)Al83〜94重量%、(b)SiO5〜14重量%、(c)アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物1〜4重量%をそれぞれ含有し、(d)SiO/(アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物)重量比が1〜6、(e)気孔率が20〜50%、(f)水銀圧入法により測定した平均気孔径が0.5〜3μm、(g)バブルポイント法による気孔分布のモード径が0.15〜0.5μmであることを特徴とする分離膜用アルミナ質基体管に関する。
本発明の第2は、液圧1kgf/cmで透水させた時の純水透過流速が40m/m/day以上であることを特徴とする請求項1記載の分離膜用アルミナ質基体管に関する。
本発明の第3は、Al純度が99重量%以上で平均粒子径が5〜10μmであるアルミナ結晶粒子と、珪石、長石、粘土から選ばれる少なくとも1種以上の原料を用いて、Alを83〜94重量%、SiOを5〜14重量%、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物を1〜4重量%、それぞれ含有し、SiO/(アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物)重量比が1〜6となるように前記各成分を配合・混合し、平均粒子径が2〜6μm、粒度分布変動係数が40〜60の範囲になるように粉砕・乾燥し、バインダー及び水を加えて、押出成形し、1200〜1500℃で焼成することを特徴とする請求項1乃至2記載の分離膜用アルミナ質基体管の製造方法に関する。
以下に本発明の分離膜用アルミナ質基体管が充足すべき各要件について詳細に説明する。
(a)Alが83〜94重量%含有している点について
本発明においては、Alが83〜94重量%であることが必要であり、好ましくは85〜92重量%含有する。Al含有量が83重量%未満の場合は、アルミナ結晶粒子界面(アルミナ結晶粒子間隙)にガラス相が多くなったり、第2相が析出しやすくなり、機械的特性の低下や耐食性の低下をきたすので好ましくない。一方、Al含有量が94重量%を超えるとAl以外の成分量が少なくなり、アルミナ結晶粒子界面のガラス相量が少なくなって焼結性が低下し、同時にAl結晶粒子同士の結合力が低下し、曲げ強さ等の機械的特性の低下が起こるので好ましくない。
なお、本発明においては、Al、SiO、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物以外の不純物量は0.1重量%まで許容できるが、特にZrO及びTiOは0.01重量%未満であることが必要である。ゼオライト膜を製膜する場合、ZrO及びTiOが存在すると水熱合成時にZrOやTiO成分が溶出し、ゼオライト膜中及びゼオライトと基体管界面に不純物として混入してゼオライト膜で形成される細孔径が変動するので好ましくない。
(b)SiOが5〜14重量%含有している点について
本発明においては、SiOが5〜14重量%であることが必要であり、好ましくは6〜12重量%含有する。SiO含有量が5重量%未満の場合は、後述するアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物と形成するガラス相量が低下するため焼結性が低下するので好ましくない。SiO含有量が14重量%を超える場合には、結果的にAl含有量が低下し、耐食性が低下するので好ましくない。
(c)アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物が1〜4重量%含有する点に
ついて
本発明においては、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物が1〜4重量%であることが必要であり、好ましくは1〜3.5重量%含有する。アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物量が1重量%を下回ると、SiOと形成するガラス相量が低下し、焼結性が低下するので好ましくない。アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物が4重量%を超える場合には逆にガラス相量が増加し、Al結晶粒界のガラス相が多くなり、気孔を消滅させるような働きをし、結果的に気孔径が小さくなって好ましくなく、耐食性の低下につながるので好ましくない。
(d)SiO/(アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物)重量比が
1〜6である点について
本発明においては、SiO/(アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物)重量比が1〜6であることが必要であり、好ましくは1〜5である。SiO/(アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物)重量比が1未満の場合は、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物重量比が高くなり、焼成工程で低温でガラス相を形成しやすくなり、気孔径及び気孔量を適度に制御できないため好ましくない。一方、SiO/(アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物)重量比が6を超える場合にはSiO重量比が高くなり、焼成工程でアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物と形成するガラス相を形成する温度が高くなる傾向になり、Al結晶粒子とガラス相との結合力が低下するので好ましくない。
(e)気孔率が20〜50%である点について
本発明においては、気孔率が20〜50%であることが必要であり、好ましくは30〜50%である。気孔率が20%未満の場合は基体管の貫通気孔が減少するため基体管の気体透過量や透水量が低下するので好ましくない。気孔率が50%を超える場合には貫通気孔が増加する利点はあるが、曲げ強度等の機械的特性の低下をきたすので好ましくない。
(f)水銀圧入法により測定した平均気孔径が0.5〜3μmである点について
本発明においては、水銀圧入法により測定した平均気孔径が0.5〜3μmであることが必要であり、好ましくは1〜3μmであることが必要である。水銀圧入法で測定される気孔は開気孔や貫通気孔径等の様々な気孔であるが、本発明では、水銀圧入法で測定される気孔径は、基体管表面に膜をコーティングする際の重要な因子となる。例えば、ゼオライト膜を水熱合成により製膜する場合、水熱合成前にゼオライトの種結晶を基体管表面に塗布するが、この種結晶を均一に基体管表面に担持させることにより均一な製膜が可能となることを見出した。また、アルミナ等の膜を形成させる場合にアルミナ粉体を分散させたスラリーをディップコーティングするが、基体管表面の気孔径を適切な範囲内とすることでピンホール等の欠陥がなく、均一で密着性が高い膜を形成することができる。
いいかえれば、基体管の表面に膜を形成する場合、膜の形成状態は水銀圧入法で測定される気孔径に大きく影響を受ける。このように基体管表面に形成される膜は、基本管表面にある気孔に大きな影響を受ける。
本発明において水銀圧入法により測定した気孔径が0.5μm未満の場合は、製膜時の種結晶担持や膜コーティングスラリーが均一に塗布されず、膜厚の不均一性が発生するので好ましくない。一方、3μmを超える場合には基体管表面の気孔に種結晶やコーティングスラリーが入りすぎてしまい、製膜後の膜の均一性の低下や膜表面にピンホールの発生などが起こるので好ましくない。
なお、水銀圧入法は、JIS R 1655に準拠するが、測定条件の規定は何もなく、試料室に測定サンプルを入れて水銀を気孔の中に入れていき、水銀が入った時の圧力から気孔径を計算するものである。
(g)バブルポイント法(JIS K 3832に準拠)による気孔分布のモード径が0.15〜0.5μmである点について
本発明においては、バブルポイント法による気孔分布のモード径が0.15〜0.5μmであることが必要であり、好ましくは0.2〜0.5μmである。本発明においては、ASTM F316−70に準拠し、媒体としてフッ素系不活性液体を用いて測定する。バブルポイント法による気孔分布のモード径が0.15μm未満の場合は、基体管の気体透過量及び透水量の低下をきたすので好ましくない。一方、0.5μmを超える場合には、製膜時に水銀圧入法で測定される気孔径が大きくなった場合と同様の現象が起こり、製膜した膜表面の平坦性が低くなったり、気体透過量や透水量が大きくなりすぎて、濾過時の分離膜での急激な目つまりが発生するので好ましくない。なお、本発明においてはバブルポイント法で測定した最大細孔径は0.8〜2.5μm、とくに0.8〜2μmであることが好ましい。最大細孔径をこの範囲にすることにより気孔径分布の広い基体管となり、原料粒度を高精度で整粒して作製したシャープな貫通気孔径で貫通気孔量が多い基体管に匹敵する気体透過量及び透水量を確保できる。最大気孔径が0.8μm未満の場合は気孔分布が狭くなり、気体透過量及び透水量が低下するので好ましくなく、2.5μmを越える場合には製膜性が低下するので好ましくない。
(h)液圧1kgf/cmで透水させた時の純水透過流速が40m/m/day以上
である点について
本発明においては、液圧1kgf/cmで透水させた時の純水透過流速が40m/m/day以上であることが必要であり、好ましくは50m/m/day以上である。純水透過流速が40m/m/day未満の場合は、分離膜形成後の濾過能力が低下するので好ましくない。なお、本発明において純水透過流速の測定は下記のようにして測定する。
純水透過流速は外径φ12mm、内径φ9mm、長さ100mmのチューブをサンプルに用いて、25℃のイオン交換水により1kgf/cmの液圧をかけた時の時間当たりの水の透水量と基体管表面積(水が透過する面積)
から下式により求めた。
Figure 2007112678
なお、本発明の分離膜用アルミナ質基体管の曲げ強さは50〜100MPa、とくに55〜90MPaであることが好ましい。曲げ強さの測定はスパン:70mm、クロスヘッドスピード:0.5mm/minの条件で3点曲げにより、下式により求める。
Figure 2007112678
図1は、本発明の基体管の外表面に膜を形成させた場合の断面図である。このものの使用方法としては、濾過分離する液体等を膜側から流し、膜、基体管を通ることで濾過分離し、濾過分離した液体等を基体管内側から取り出すという態様を挙げることができる。
本発明の分離膜用アルミナ質基体管の製造方法について説明する。
本発明では、純度99%以上、好ましくは99.5%以上の平均粒子径が5〜10μm、好ましくは5〜8μmのAl原料粉体を用いる。このAl原料はバイヤー法等の製法で製造された原料粉体が使用できるが、バイヤー法で製造されたAl原料はコストが安いため好ましい。Al純度が99%未満の場合は基体管に含有する不純物量が多くなり、耐食性の低下などが起こるため好ましくない。平均粒子径が5μm未満の場合は粉砕・分散後の粉体の粒度分布が狭くなり、広い気孔径分布が得られないので好ましくなく、10μmを越える場合には所定の粉砕・分散時間が長くなり、その結果、粉砕機の摩耗による不純物が多く混入するため好ましくない。焼成工程でガラス相となる成分であるSiO、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物は珪石、長石、粘土などの原料粉体の形態で添加する方が良い。これらの原料粉体は、平均粒子径が0.5〜5μm、好ましくは0.5〜3μmであることが好ましい。平均粒子径が0.5μm未満の場合は粉体粒子の凝集が強くなり、分散しにくくなるので好ましくなく、5μmを越える場合には焼成工程におけるガラス相の均一分散性が低下し、機械的特性等の低下をきたすので好ましくない。
以上の原料を用いて所定の組成となるように配合し、湿式でポットミルやアトリッションミル等により水または有機溶媒で粉砕・分散するが、コスト等を考量すると水が好ましい。粉砕・分散後の平均粒子径及び粒度分布は粉砕・分散時の粉体濃度、使用するボール径の選択や処理時間の調整によりコントロールする。なお、粉砕・分散後の粉体の平均粒子径は2〜6μmであることが必要であり、好ましくは2〜5μmにする。平均粒子径が2μm未満の場合は、気孔径が小さくなったり、広い気孔径分布が得られないので好ましくなく、6μmを越える場合には平均気孔径が大きくなったりするので好ましくない。
本発明における粒度分布は下記で示す粒度分布変動係数が40〜60、好ましくは45〜60であることが必要である。変動係数は粒度の頻度分布を算術平均した値である平均粒子径に対する粒度分布の広がり具合を表す数値で、この値が大きいほど分布の広がりが大きいことを示す。
Figure 2007112678
変動係数が40未満の場合は、粒度分布がシャープであるため気体透過量及び透水量が低下するので好ましくなく、60を越える場合には大きな気孔が多くなったり、気孔径分布が広くなりすぎるので好ましくない。また、本発明においては、粒度分布の小径側から累積10%、累積90%に相当する粒径を各々D10、D90としたとき、D90/D10比が3以上、特に4以上であることが好ましい。
貫通気孔径の制御は、原料粒度、SiO、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物量、重量比及び焼成温度で主として制御することができるが、水銀圧入法による気孔径は貫通気孔径の制御方法に加え、場合によっては気孔形成剤を添加して制御する。使用する気孔形成剤はアクリル樹脂、多糖類粉体、セルロース等を用いることができ、これら気孔形成剤の粒子径は5〜30μmであることが好ましい。
成形は押出成形やプレス成形が採用される。
押出成形の場合は、得られた粉砕・分散スラリーを乾燥し、整粒して、押出成形用バインダー(カルボキシルメチルセルロース、ワックスエマルジョン等の公知のバインダーが使用できる)と水を添加、混合し、土練して成形用坏土とする。成形用坏土を用いて所定の形状になるように押出成形する。
一方、プレス成形する場合は、得られた粉砕・分散スラリーにバインダー(ワックスエマルジョン、PVA、アクリル樹脂等)を添加し、スプレードライヤー(SD)で乾燥させて成形用粉体を作製し、この成形粉体を型に入れてプレス成形する。
得られた成形体は大気中1200〜1500℃、好ましくは1250〜1500℃で焼成する。焼成温度が1200℃未満の場合は焼結は不十分なため、機械的特性が低く、1500℃を越える場合には焼結が進みすぎて気孔量が少なくなり、気体透過量及び透水量の低下をきたすので好ましくない。
本発明の分離膜用アルミナ質基体管は無機膜用基体管として機械的特性、気体透過量及び透水量に優れ、良好な製膜性を有するだけでなく、従来の基体管に比べて安価であるという特徴を有している。従って、アルミナやゼオライト等の無機質膜形成用のアルミナ質基体管として広く利用が可能である。
以下、実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものでない。
実施例1〜5、比較例1〜5
純度が99.5%、平均粒子径5〜10μmのアルミナ原料粉体に、長石及び粘土を表1の組成となるように配合し、水を用いて湿式で粉砕・分散させ、乾燥した。乾燥した粉体の平均粒子径及び変動係数を表1に示す。これらの粉体にバインダーとしてメチルセルロースと水とを混合・混練・土練して押出成形用坏土を作製した。なお、実施例3には平均粒子径10μmの多糖類粉体を粉体重量に対して10重量%、比較例3には平均粒子径30μmのセルロースを粉体重量に対して20重量%添加した。作製した押出成形用坏土を用いてチューブを押出成形し、得られた成形体を1180〜1500℃で焼成して外径φ12mm、内径φ9mm、長さ100mmの基体管を得た。
表1中の不純物量の項における不純物とは、例えば、Fe、TiO、ZrOなどを指す。
得られた基体管の特性を表2に示す。
気孔率はアルキメデス法(JIS R 1634に準拠)により、曲げ強さはスパン:70mm、クロスヘッドスピード:0.5mm/minの条件で3点曲げにより、気孔径は水銀圧入法及びバブルポイント法により測定した。純水透過流速は外径φ12mm、内径φ9mm、長さ100mmのチューブをサンプルとして用い、イオン交換水により1kgf/cmの液圧をかけた時の時間当たりの水の透水量と基体管表面積(水が透過する面積)から下式により求めた。
Figure 2007112678
Figure 2007112678
Figure 2007112678
図2は、本発明の実施例5と比較例5の基体管のバルブポイント法により測定した気孔径分布である。比較例5は0.41μm以上の気孔が確認されず、シャープな気孔径分布を示すのに対し、実施例5は0.8μm以上の気孔が存在し、広い気孔径分布を示し、これにより優れた気体透過性及び透水性を示す。
本発明の分離膜用アルミナ質基体管に分離膜を形成して得られたものの断面図である。 本発明の実施例5と比較例5の基体管のバルブポイント法により測定した気孔径分布を示す。

Claims (3)

  1. (a)Al83〜94重量%、(b)SiO5〜14重量%、(c)アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物1〜4重量%をそれぞれ含有し、(d)SiO/(アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物)重量比が1〜6、(e)気孔率が20〜50%、(f)水銀圧入法により測定した平均気孔径が0.5〜3μm、(g)バブルポイント法による気孔分布のモード径が0.15〜0.5μmであることを特徴とする分離膜用アルミナ質基体管。
  2. 液圧1kgf/cmで透水させた時の純水透過流速が40m/m/day以上であることを特徴とする請求項1記載の分離膜用アルミナ質基体管。
  3. Al純度が99重量%以上で平均粒子径が5〜10μmであるアルミナ結晶粒子と、珪石、長石、粘土から選ばれる少なくとも1種以上の原料を用いて、Alを83〜94重量%、SiOを5〜14重量%、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物を1〜4重量%、それぞれ含有し、SiO/(アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の酸化物)重量比が1〜6となるように前記各成分を配合・混合し、平均粒子径が2〜6μm、粒度分布変動係数が40〜60の範囲になるように粉砕・乾燥し、バインダー及び水を加えて、押出成形し、1200〜1500℃で焼成することを特徴とする請求項1乃至2記載の分離膜用アルミナ質基体管の製造方法。
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