JP2007111437A - 高機能性フィルター及びその製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 2価以上の金属イオンを含有する繊維に、エピガロカテキンガレート含有組成物を結合させることにより、上記課題を解決する。
【選択図】なし
Description
用途については、肌と接触する用途、ファッション性を有する用途のほか、空気清浄機やエアーコンディショナーのフィルター等しても用いることができるとしている。
そのほか、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂やビスコースレーヨン、アンモニアレーヨン、アセテート、トリアセテート等のセルロース系高分子を不織布化したものや紙製品、木製品等も本発明にいう繊維として使用可能である。
得られた抽出物中のエピガロカテキンガレートは特に単離する必要はないが、抽出物中のエピガロカテキンガレート含量は、抽出物中の総カテキン含量に対して好ましくは30%以上であり、より好ましくは40%以上である。
なお、サンフェノン(太陽化学株式会社製)、カメリアエキス(太陽化学株式会社製)、テアフラン(株式会社伊藤園製)、ポリフェノン(東京フードテクノ株式会社製)等、市販のエピガロカテキンガレート含有素材も使用できる。
金属イオンの種類によって結合状態が異なるが、好ましくは銅イオン又はアルミニウムイオンである。
銅イオン又はアルミニウムイオンとしては、特に限定するものではないが、好ましくは硫酸銅又はミョウバンを使用するとよい。
2価以上の金属イオンを含む溶液の温度についても特に限定するものではないが、10℃〜沸騰温度までの水又は温水が好ましい。
また、処理時間は特に限定するものではないが、5分〜5時間が好ましく、より好ましくは30分から2時間である。
2価以上の金属イオンの繊維製品への付着量としては特に限定するものではないが、繊維重量に対して0.01重量%〜5重量%が好ましく、0.05重量%〜2重量%がさらに好ましい。
2価以上の金属イオンの繊維への混入量としては特に限定するものではないが、繊維重量に対して0.01重量%〜5重量%が好ましく、0.05重量%〜2重量%がさらに好ましい。
さらに、エピガロカテキンガレートの効果を持続させるために、アスコルビン酸を結合させることが好ましい。アスコルビン酸を結合させる方法としては、アスコルビン酸を含む溶液に繊維を含浸させればよい。
この時、2価以上の金属イオンを含有する繊維を、エピガロカテキンガレートを含む溶液に含浸させた後、アスコルビン酸を含む溶液に含浸させてもよいし、エピガロカテキンガレート及びアスコルビン酸の両方を含む溶液に含浸させてもよい。エピガロカテキンガレート及びアスコルビン酸の両方を含む溶液に繊維を含浸させた方が、工程が簡単となるため好ましい。
エピガロカテキンガレートとアスコルビン酸を含む溶液の温度についても特に限定するものではないが、10℃〜沸騰温度までの水又は温水が好ましい。
また、処理時間は特に限定するものではないが、5分〜5時間が好ましく、より好ましくは30分から2時間である。
エピガロカテキンガレートを含む組成物の一例として、緑茶抽出物(商品名:サンフェノン100S、太陽化学株式会社製、総カテキン含量に対するエピガロカテキンガレート含量:40%)を、繊維の一例として、ろ紙(材質:セルロース繊維、30cm×30cm,10g)を使用した。2価以上の金属として硫酸銅溶液、ミョウバンを使用した。
硫酸銅15gを、水300mlに溶解し、2価以上の金属イオンを含む処理液を調製した。この処理液にろ紙10gを80℃で30分含浸させ、自然乾燥処理をおこなった。
緑茶抽出物(サンフェノン100S、太陽化学製)15gを300mlの水に溶解した後、この溶液中に上述処理後のろ紙を、80℃で30分含浸させた。
次いで、水洗・自然乾燥処理をおこない、本願発明品のフィルターAを得た。
得られたフィルターへの銅イオンの付着量は0.1g(1%)、エピガロカテキンガレートの結合量は0.054gであった。
硫酸銅15gを、水300mlに溶解し、2価以上の金属を含む処理液を調製した。この処理液にろ紙10gを80℃で30分含浸させ、自然乾燥処理をおこなった。
緑茶抽出物(サンフェノン100S、太陽化学製)15g、アスコルビン酸(和光純薬製)1.5gを300mlの水に溶解し、エピガロカテキンガレートとアスコルビン酸を含む処理液を調製した。この処理液中に上述処理後のろ紙を、80℃で30分含浸させた。
次いで、水洗・自然乾燥処理をおこない、本願発明品のフィルターBを得た。
得られたフィルターへの銅イオンの付着量は0.1g(1%)、エピガロカテキンガレートの結合量は0.054gであった。
ミョウバン15gを、水300mlに溶解し、2価以上の金属を含む処理液を調製した。この処理液にろ紙10gを80℃で30分含浸させ、自然乾燥処理をおこなった。
緑茶抽出物(サンフェノン100S、太陽化学製)15g、アスコルビン酸(和光純薬製)1.5gを300mlの水に溶解し、エピガロカテキンガレートとアスコルビン酸を含む処理液を調製した。この処理液中に上述処理後のろ紙を、80℃で30分含浸させた。
次いで、水洗・自然乾燥処理をおこない、本願発明品のフィルターCを得た。
得られたフィルターへのアルミニウムイオンの付着量は0.1g(1%)、エピガロカテキンガレートの結合量は0.051gであった。
緑茶抽出物(サンフェノン100S、太陽化学製)15gを300mlの水に溶解した後、この溶液中に上述処理後のろ紙を、80℃で1時間含浸させた。
次いで、水洗・自然乾燥処理をおこない、比較品のフィルターDを得た。
得られたフィルターへのエピガロカテキンガレートの結合量は0.025gであった。
硫酸銅15gを、水300mlに溶解し、2価以上の金属を含む処理液を調製した。この処理液にろ紙10gを80℃で30分含浸させ、自然乾燥処理をおこなった。
ブドウ種子ポリフェノール(グラヴィノール、キッコーマン製、エピガロカテキンガレート含量:0重量%)15g、アスコルビン酸(和光純薬製)1.5gを300mlの水に溶解し、処理液を調製した。この処理液中に上述処理後のろ紙を、80℃で30分含浸させた。
次いで、水洗・自然乾燥処理をおこない、比較品のフィルターEを得た。
得られたフィルターへの銅イオンの付着量は0.1g(1%)であった。
滅菌処理したマンニット食塩寒天培地を滅菌シャーレに分注し固めた後、実施例1,2,3、比較例1,2で得られたフィルター及び無加工のろ紙(対照として)を1cm四方に切ったものをのせ、さらにその上から黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus IFO 12732)を1.0×103/mlに調製したブイヨン懸濁液を注ぎ、37℃のインキュベーターで24時間培養後の生菌数を計測した。菌数測定法により黄色ブドウ状球菌に対する抗菌活性を調べた。結果を表1に示す。
次に、本願発明品の消臭効果持続性試験をおこなった。
実施例1,2,3、比較例1,2で得られたフィルターの使用回数とタバコ臭に対する消臭率との関係を調べた。
タバコ臭の測定方法は、以下の装置を用いておこなった。1m3の密閉されたアクリル製反応器内に、喫煙機、攪拌ファン及びフィルターを装着した吸引ヘッドをセットし、攪拌ファンを回しながら、喫煙機に差し込んだタバコ5本を燃焼させた。測定口よりタバコ臭の成分であるアンモニアの初期濃度を検知管(ガステック製)で測定した。攪拌ファンを停止し、カテキンエアフィルタ用ファン(300m3/hrs.)で30分間運転、ファンの吸引力で反応器の気体をフィルターに通過させ、残存濃度を測定した。この操作を20回まで繰り返し、使用回数による消臭率の変化を調べた。
消臭率はフィルターを使用しないときのアンモニア濃度を100とし、下記の式により計算した。
消臭率=(1−C0/C)×100
C:初期濃度(ppm)
C0:残存濃度(ppm)
結果を表2に示す。
なお、使用回数が1回目の消臭率に対する各回数の消臭率の割合(%)を括弧内に併記した。
実施例1,2,3、比較例1で得られたフィルターについて、洗浄回数とエピガロカテキンガレートの担持量との関係を調べた。なお、比較例2のフィルターは、エピガロカテキンガレートを担持していないため、試験から除外した。
洗浄・乾燥方法は、フィルター10gを100mlの水に1分間含浸させ、取り出し、自然乾燥をおこなった。洗浄・乾燥の操作を30回まで繰り返し、フィルターに残存しているエピガロカテキンガレート含量を測定した。
試験に供したフィルターを抽出しやすいように細かく切り、0.1%塩酸入りの80%メタノールで30分間抽出しフィルター(PTFE,0.45μm)でろ過後、島津製作所社製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い以下の条件で分析をおこなった。
(分析条件)
サンプル注入量:10μL
流量:0.8mL/min
UV検出器波長:280nm
溶離液A:メタノール/水/リン酸 (17:83:0.5)
カラム:CAPCELL PAK C18 UG120 S3(内径4.6mm×長さ100mm;資生堂)
ガードカラム:CAPCELL PAK C18 UG120 guard cartridge(内径2.0mm×長さ10mm;資生堂)
温度 : 35℃
ここで求めたエリア%から標準物質により重量%を求めた。
結果はフィルター10gあたりに保持されているエピガロカテキンガレート含量(g)で表し、表3に示した。(表中“−”は、検出されなかったことを意味する)
なお、未洗浄の担持量に対する洗浄回数が各回数目の担持量の割合(%)を括弧内に併記した。
フィルター素材であるポリプロピレン300gに、硫酸銅3gを混合し、200〜250℃で溶融し、その後、フィルム状に成形し、カッティングし不織布化を行った。この不織布をフィルターに成形し、緑茶抽出物(サンフェノン100S)5gを300mlに溶解した溶液中に80℃、30分含浸させた。
このフィルターの抗菌性、消臭効果持続性、洗浄残存性を試験したところ、繊維の製造過程において2価以上の金属を練りこんだフィルターにおいても、フィルターを2価以上の金属を含む処理液に浸漬した時と同様の効果があることが判明した。
(1) 2価以上の金属イオンを含む溶液で含浸処理した繊維に、エピガロカテキンガレート含有組成物を結合させたことを特徴とするフィルター。
(2) 2価以上の金属イオンを含有した高分子素材を加工したフィルター素材に、エピガロカテキンガレート含有組成物を結合させたことを特徴とする前記(1)記載のフィルター。
(3) アスコルビン酸を結合させたことを特徴とする前記(1)又は(2)いずれか記載のフィルター。
(4) エピガロカテキンガレートが緑茶より抽出して得られたものであることを特徴とする前記(1)〜(3)記載のフィルター。
(5) 2価以上の金属イオンが、銅イオン又はアルミニウムイオンであることを特徴とする前記(1)〜(4)いずれか記載のフィルター。
(6) 2価以上の金属イオンとして、硫酸銅又はミョウバンを使用することを特徴とする前記(1)〜(4)いずれか記載のフィルター。
(7) 2価以上の金属イオンの繊維製品への付着量が、繊維重量に対して0.01重量%〜5重量%であることを特徴とする前記(1)〜(6)いずれか記載のフィルター。
(8) 2価以上の金属イオンの繊維製品への付着量が、繊維重量に対して0.05重量%〜2重量%であることを特徴とする前記(1)〜(6)いずれか記載のフィルター。
(9) 2価以上の金属イオンを含有する繊維に、エピガロカテキンガレート含有組成物を結合させることを特徴とするフィルターの製造法。
(10) 2価以上の金属イオンを含有した高分子素材を加工したフィルター素材に、エピガロカテキンガレート含有組成物を結合させることを特徴とするフィルターの製造法。
(11) 2価以上の金属イオンを含有する繊維に、エピガロカテキンガレート含有組成物及びアスコルビン酸を結合させることを特徴とするフィルターの製造法。
(12) 2価以上の金属イオンを含有した高分子素材を加工したフィルター素材に、エピガロカテキンガレート及びアスコルビン酸を結合させることを特徴とするフィルターの製造法。
Claims (5)
- 2価以上の金属イオンを含有する繊維に、エピガロカテキンガレート含有組成物を結合させたことを特徴とするフィルター。
- 2価以上の金属イオンを含有した高分子素材を用いて加工したフィルター素材に、エピガロカテキンガレート含有組成物を結合させたことを特徴とする請求項1記載のフィルター。
- アスコルビン酸を含有することを特徴とする請求項1又は2記載のフィルター。
- 2価以上の金属イオンを含有する繊維に、エピガロカテキンガレート含有組成物を結合させることを特徴とするフィルターの製造法。
- 2価以上の金属イオンを含有する繊維に、エピガロカテキンガレート含有組成物及びアスコルビン酸を結合させることを特徴とするフィルターの製造法。
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