JP2007110086A - 軟磁性膜とこの軟磁性膜を用いた記録ヘッド、ならびに前記軟磁性膜の製造方法と前記記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

軟磁性膜とこの軟磁性膜を用いた記録ヘッド、ならびに前記軟磁性膜の製造方法と前記記録ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 飽和磁束密度Bsが大きい軟磁性膜とこの軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド、ならびに安定性に優れたメッキ浴による製造効率に優れた高飽和磁束密度の前記軟磁性膜の製造方法と前記薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の軟磁性膜19,21は、CoとFeとNとOの元素のみからなるメッキ膜であり、飽和磁束密度Bsが2.39T以上である。また本発明の軟磁性膜の製造方法は、Fe塩の水溶液と、Co塩の水溶液と、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムと、L−グルタミン酸のみからなるメッキ浴により、CoとFeとNとOの元素のみで構成され且つ飽和磁束密度が2.39T以上である軟磁性膜をメッキ形成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば記録ヘッドの磁極部などに用いるのに好適な軟磁性膜に係り、特に飽和磁束密度Bsが高く緻密な結晶構造で形成される軟磁性膜とこの軟磁性膜を用いた記録ヘッド、ならびに前記軟磁性膜の製造方法と前記記録ヘッドの製造方法に関する。
例えば記録ヘッドのコア層には、特に今後の高記録密度化に伴い、高い飽和磁束密度Bsを有する磁性材料を使用し、前記コア層のギャップ近傍に磁束を集中させて、記録密度を向上させる必要がある。
前記磁性材料には従来からCoとFeとを含む合金からなる軟磁性膜がよく使用されている。
以下に示す特許文献1には、CoとFeとを含む軟磁性膜およびその製造方法が開示されている。
米国特許出願公開第2003/0209295号明細書
前記特許文献1には、CoとFeとを含む軟磁性膜の飽和磁束密度Bsを大きくするために、軟磁性膜を形成する際のメッキ浴中に酢酸とホウ酸を添加することが開示されている。
しかし、メッキ浴中に酢酸が含まれると、酢酸はCoやFeと錯体を形成し易いため、メッキ形成レートが著しく低くなる。したがって、メッキ形成レートを大きくするには、メッキ浴中のCoイオンやFeイオンの濃度を非常に高くする必要がある。このように、メッキ浴中のCoイオン濃度やFeイオン濃度を高くすると、メッキ浴を循環濾過する際に使用されるフィルターやメッキ槽などのメッキ設備などの劣化を早めるため、頻繁な設備交換を行う必要が生じる。したがって、製造効率に劣ることとなると共に、設備交換が頻繁に重なることによって、メッキ浴の循環を停止することや設備交換時のゴミの混入などにより、メッキ浴の劣化を促進することにも繋がる。
また酢酸は揮発性が大きいため、メッキ浴中における濃度の経時変化が大きいため、メッキ浴の安定性に劣るとともに作業環境上も好ましくない。
本発明は前記従来の課題を解決するものであり、飽和磁束密度Bsが高く緻密な結晶構造を有する軟磁性膜を提供することを目的としている。
また、従来に比べてメッキ浴の安定性を向上でき、飽和磁束密度Bsの高い前記軟磁性膜を、高い製造効率にてメッキ形成できる軟磁性膜の製造方法を提供することを目的としている。
さらには、前記軟磁性膜を用いた記録ヘッドに係り、特に、狭小空間内に、緻密な微細結晶構造にて高飽和磁束密度Bsを有する磁極層を形成でき、高性能で且つ安定した記録特性を有する記録ヘッド及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明の軟磁性膜は、CoFeメッキ膜中に、不純物元素としてNとOのみが添加されてなり、飽和磁束密度Bsが2.39T以上であることを特徴とするものである。
この場合、Co、Fe、N及びOの組成比の総和を100at%としたときに、前記Nの組成比が0at%より大きく4.2at%以下の範囲内であるものとして構成することが好ましい。
また、Co、Fe、N及びOの組成比の総和を100at%としたときに、前記Oの組成比が0at%より大きく10.8at%以下の範囲内であるものとして構成することが好ましい。
また本発明における軟磁性膜は、CoFeメッキ膜中に、不純物元素としてNとOのみが添加されてなり、Co、Fe、N及びOの組成比の総和を100at%としたときに、前記Nの組成比が0at%より大きく4.2at%以下の範囲内であり、前記Oの組成比が0at%より大きく10.8at%以下の範囲内であることを特徴とするものである。
本発明では、平均結晶粒径が、0.1μm以下の微細結晶構造であることが好ましい。
また、Co及びFeの組成比の総和を100wt%としたときに、前記Feの組成比は、65.5wt%以上74wt%以下の範囲内であるものとして構成できる。
この場合、前記Feの組成比は、66wt%以上73wt%以下の範囲内であるものとして構成することが好ましい。
また本発明の記録ヘッドは、下部コア層及び上部コア層と、前記下部コア層と上部コア層との間に位置し、記録媒体との対向面でトラック幅Twを規制する磁極部とを有する面内磁気記録方式の記録ヘッドであり、
前記磁極部は、下部コア層と連続する下部磁極層、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記下部磁極層と前記上部磁極層間に位置するギャップ層とで構成され、あるいは前記磁極部は、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記上部磁極層と下部コア層との間に位置するギャップ層とで構成され、
前記上部磁極層、あるいは、前記下部磁極層、または、前記上部磁極層及び前記下部磁極層は、上記のいずれかに記載された軟磁性膜によりメッキ形成されていることを特徴とするものである。
あるいは本発明における記録ヘッドは、少なくとも主磁極層を含む垂直磁気記録方式の記録ヘッドであり、前記主磁極層の記録媒体との対向面でトラック幅Twが規制され、前記主磁極層は、上記のいずれかに記載された軟磁性膜によりメッキ形成されていることを特徴とするものである。
本発明では、前記軟磁性膜でメッキ形成された前記上部磁極層、前記下部磁極層、及び前記主磁極層は、高い飽和磁束密度Bsを有するとともに、前記軟磁性膜の平均結晶粒径が、0.1μm以下の微細結晶構造で形成され、前記上部磁極層、前記下部磁極層、及び前記主磁極層の表面を高精度に平坦化形成できることで、高い記録特性と安定性に優れた記録ヘッドを実現できる。
本発明では、前記トラック幅Twは、0.05〜0.5μmで、前記上部磁極層の膜厚は0.1〜5.0μmの範囲、前記下部磁極層の膜厚は、0.1〜5.0μmの範囲であり、前記下部磁極層、あるいは、前記上部磁極層、または、前記上部磁極層及び前記下部磁極層は、トラック幅Twのどの部位においても、膜厚方向に見たときに、複数の結晶が存在していることが好ましい。
また本発明では、前記トラック幅Twは、0.1〜1.0μmで、前記主磁極層の膜厚は0.1〜2.0μmの範囲であり、前記主磁極層は、トラック幅Twのどの部位においても、膜厚方向に見たときに、複数の結晶が存在していることが好ましい。
さらに、前記膜厚方向のどの部位においても、前記トラック幅Tw方向に見たときに、複数の結晶が存在していることがより好ましい。
これにより、狭小化された前記上部磁極層、前記下部磁極層及び前記主磁極層の全域を微細結晶にて緻密に形成できる。
また本発明の軟磁性膜の製造方法は、Fe塩の水溶液と、Co塩の水溶液と、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムと、L−グルタミン酸のみからなるメッキ浴を用いて、CoFeメッキ膜中に、不純物元素としてNとOのみが添加された軟磁性膜をメッキ形成することを特徴とするものである。
本発明では、上記のように、メッキ浴中にベンゼンスルフィン酸ナトリウムとL−グルタミン酸を添加する点に特徴的部分がある。本発明では、従来のようにメッキ浴中に、酢酸やホウ酸、塩化ナトリウムを添加せず、メッキ浴組成の経時変化を小さくでき、さらにはメッキ浴のpHの変動を抑制できる等、安定性に優れたメッキ浴に出来る。そして上記メッキ浴によって、CoFeメッキ膜中に、不純物元素としてNとOのみが添加されてなり、飽和磁束密度Bsが2.39T以上である軟磁性膜を効率よくメッキ形成できる。
この場合、前記メッキ浴中に、前記ベンゼンスルフィン酸ナトリウムを0.01g/l以上0.10g/l以下の範囲内で添加するものとして構成することができる。
また、前記メッキ浴中に、前記L−グルタミン酸を0.1g/l以上0.5g/l以下の範囲内で添加するものとして構成することができる。
また本発明は、下部コア層及び上部コア層と、前記下部コア層と上部コア層との間に位置し、記録媒体との対向面でトラック幅Twを規制する磁極部とを有する面内磁気記録方式の記録ヘッドの製造方法において、
前記磁極部を、下部コア層と連続する下部磁極層、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記下部磁極層と前記上部磁極層間に位置するギャップ層とで形成し、あるいは前記磁極部を、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記上部磁極層と下部コア層との間に位置するギャップ層とで形成し、
このとき前記上部磁極層、あるいは、前記下部磁極層、または、前記上部磁極層及び前記下部磁極層を、上記のいずれかに記載された製造方法による軟磁性膜でメッキ形成することを特徴とするものである。
このとき、前記磁極部のメッキ形成工程では、前記対向面において、前記磁極部をメッキ形成するための狭小空間を有するフレームを形成し、前記狭小空間では、前記トラック幅Twを、0.05〜0.5μm、前記上部磁極層の膜厚を0.1〜5.0μmの範囲、前記下部磁極層の膜厚を0.1〜5.0μmの範囲内に規制しており、
前記狭小空間内に、前記メッキ浴を用いて、平均結晶粒径が0.1μm以下の微細結晶構造で、且つ、前記トラック幅Twのどの部位においても、膜厚方向に見たときに、複数の結晶が存在する前記上部磁極層、あるいは、前記下部磁極層、または、前記上部磁極層及び前記下部磁極層をメッキ形成することが好ましい。
あるいは本発明は、記録媒体との対向面でトラック幅Twを規制する主磁極層を含む垂直磁気記録方式の記録ヘッドの製造方法において、
前記主磁極層を、上記のいずれかに記載された製造方法による軟磁性膜でメッキ形成することを特徴とするものである。このとき、前記主磁極層のメッキ形成工程では、前記対向面において、前記主磁極層をメッキ形成するための狭小空間を有するフレームを形成し、前記狭小空間では、前記トラック幅Twを、0.1〜1.0μm、前記主磁極層の膜厚を0.1〜2.0μmの範囲に規制しており、
前記狭小空間内に、前記メッキ浴を用いて、平均結晶粒径が1μm以下の微細結晶構造で、且つ、前記トラック幅Twのどの部位においても、膜厚方向に見たときに、複数の結晶が存在する前記主磁極層をメッキ形成することが好ましい。
また本発明では、前記軟磁性膜によってメッキ形成された前記下部磁極層、前記上部磁極層、あるいは前記主磁極層は、膜厚方向のどの部位においても、トラック幅Tw方向に見たときに、複数の結晶が存在していることがより好ましい。
本発明では、上記したメッキ浴組成を用いることで、上記した狭小空間内においても、CoFeメッキ膜中に、不純物元素としてNとOのみが添加されてなり、飽和磁束密度Bsが2.39T以上である軟磁性膜を微細結晶にて緻密に形成できる。
本発明の軟磁性膜では、膜中にC、S、Cl、Bといった不純物が含有されていないため、飽和磁束密度Bsを大きくすることができ、具体的には飽和磁束密度Bsを2.39T以上とすることが可能である。また、平均結晶粒径が、0.1μm以下の微細結晶構造で形成できる。
また本発明の軟磁性膜の製造方法では、メッキ浴に酢酸およびホウ酸が添加されていた従来のメッキ浴に比べて、経時変化を小さくでき、また前記従来のメッキ浴が有していない値のpKaをも有していることから、従来のメッキ浴に比較してメッキ浴のpHの安定性を向上することができ、メッキ形成される膜の結晶性を均一にし易い。
またメッキ浴中にCoやFeと錯体を形成し易い酢酸を添加しないため、メッキ形成レートを大きくすることができる。
また、メッキ形成レートを大きくすることができるため、メッキ浴中のCoやFeの濃度を高くする必要がない。したがって、メッキ設備の劣化を抑制することができる。そのため、メッキ設備のメンテナンス回数を大幅に減らすことができ、製造効率の向上を図ることができると共に、設備交換が頻繁に重なることによって生じるメッキ浴の劣化を効果的に抑制することが可能となる。
また、メッキ浴には揮発性が高く、特有の刺激臭を持つ酢酸を添加しないので、作業環境の悪化を適切に抑制することができる。
また、メッキ浴にホウ酸を添加しないため、メッキ形成された軟磁性膜にBが含有されてしまうといったことがない。
また本発明における薄膜磁気ヘッド及びその製造方法では、上部磁極層や主磁極層の形成領域である狭小空間内へCoFeメッキ膜中に、不純物元素としてNとOのみが添加されてなり、飽和磁束密度Bsが2.39T以上である軟磁性膜を微細結晶にて緻密に形成でき、高い記録特性と安定性に優れた薄膜磁気ヘッドを実現できる。
図1は、第1実施形態の薄膜磁気ヘッドの部分正面図、図2は図1に示す薄膜磁気ヘッドを2−2線から切断し矢印方向から見た縦断面図である。
図1,図2における薄膜磁気ヘッドは、浮上式ヘッドを構成するセラミック材のスライダ11のトレーリング側端面11aに形成されたものであり、MRヘッドh1と、書込み用の記録ヘッドh2とが積層された、MR/インダクティブ複合型薄膜磁気ヘッド(以下、単に薄膜磁気ヘッドHAという)となっている。
MRヘッドh1は、磁気抵抗効果を利用してハードディスクなどの記録媒体からの洩れ磁界を検出し、記録信号を読み取るものである。
図2に示すように、前記スライダ11のトレーリング側端面11a上にAl膜12を介してNiFe等からなる磁性材料製の下部シールド層13が形成され、さらにその上に絶縁材料製の下部ギャップ層14が形成されている。
前記下部ギャップ層14上には記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)に向けて、異方性磁気抵抗効果(AMR)素子、巨大磁気抵抗効果(GMR)素子あるいはトンネル型磁気抵抗効果(TMR)素子などの磁気抵抗効果素子10が形成され、さらに前記磁気抵抗効果素子10及び下部ギャップ層14上には絶縁材料製の上部ギャップ層15が形成されている。さらに前記上部ギャップ層15の上にNiFe等の磁性材料で形成された上部シールド層16が形成されている。MRヘッドh1は、前記下部シールド層13から上部シールド層16までの積層膜で構成されている。
次に図1及び2に示す実施形態では、前記上部シールド層16が記録ヘッドh2の下部コア層としても兼用されており、前記下部コア層16上には、Gd決め層17が形成され、記録媒体との対向面から前記Gd決め層17の先端部までの長さ寸法でギャップデプス(Gd)が規制される。前記Gd決め層17は例えば有機絶縁材料で形成される。
また前記下部コア層16の上面16aは図1に示すように、後記する磁極部18の基端からトラック幅方向(図示X方向)に離れるにしたがって下面方向に傾く傾斜面で形成されており、これによりサイドフリンジングの発生を抑制することが可能である。
また図2に示すように、記録媒体との対向面から前記Gd決め層17上にかけて磁極部18が形成されている。
前記磁極部18は下から下部磁極層19、非磁性のギャップ層20、及び上部磁極層21の順に積層された層構造となっている。
前記下部磁極層19は、下部コア層16上に直接メッキ形成されている。また前記下部磁極層19の上に形成されたギャップ層20は、メッキ形成可能な非磁性金属材料で形成されていることが好ましい。具体的には、NiP、NiPd、NiW、NiMo、Au、Pt、Rh、Pd、Ru、Crのうち1種または2種以上から選択されたものであることが好ましい。
なお前記ギャップ層20にはNiPが好ましく使用される。NiPで前記ギャップ層20を形成することで前記ギャップ層20を適切に非磁性状態にできるからである。
さらに前記ギャップ層20の上に形成された上部磁極層21は、その上に形成される上部コア層22と磁気的に接続される。
上記のようにギャップ層20がメッキ形成可能な非磁性金属材料で形成されると、下部磁極層19、ギャップ層20及び上部磁極層21を連続してメッキ形成することが可能である。
なお前記磁極部18は、ギャップ層20及び上部磁極層21の2層で構成されていてもよい。
図1に示すように、前記磁極部18はトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法がトラック幅Twで形成されている。
図1及び図2に示すように、前記磁極部18のトラック幅方向(図示X方向)の両側及びハイト方向後方(図示Y方向)には絶縁層23が形成されている。前記絶縁層23の上面は前記磁極部18の上面と同一平面とされる。
図2に示すように、前記絶縁層23上にはコイル層24が螺旋状にパターン形成されている。また前記コイル層24上は有機絶縁製の絶縁層25によって覆われている。
図2に示すように、磁極部18上から絶縁層25上にかけて上部コア層22が例えばフレームメッキ法によりパターン形成されている。図1に示すように、前記上部コア層22の先端部22aは、記録媒体との対向面でのトラック幅方向における幅寸法がT1で形成され、かかる幅寸法T1はトラック幅Twよりも大きく形成されている。
また図2に示すように、前記上部コア層22の基端部22bは、下部コア層16上に形成された磁性材料製の接続層(バックギャップ層)26上に直接接続されている。
図1および図2に示す前記薄膜磁気ヘッドHAでは、前記上部磁極層21及び下部磁極層19(以下では磁極層19、21と表現する)はCoFeメッキ膜中に、不純物元素としてNとOの元素のみが添加されてなり、飽和磁束密度Bsが2.39T以上である軟磁性膜でメッキ形成されている。
CoとFeのみで構成される純粋なCoFeメッキ膜を形成しようとしても、わずかながら不純物が混入してしまう。飽和磁束密度Bsに代表される磁気特性は、不純物元素の添加量のみならず、不純物元素の種類にも左右される。
本実施形態では、上記したように、CoFeメッキ膜中に、不純物元素としてNとOの元素のみが添加されている。
前記磁極層19、21は、Co塩の水溶液、Fe塩の水溶液、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム及びL−グルタミン酸のみからなるメッキ浴を用いてメッキ形成されたものであり、これにより前記磁極層19、21を不純物元素としてNとOの元素のみが添加されたCoFeメッキ膜で形成でき、飽和磁束密度Bsを2.39T以上に大きくできる。
なおCoFe合金で形成されたバルク材の飽和磁束密度Bsは2.4T程度であるため、磁極層19、21の飽和磁束密度Bsをバルク材にかなり近い飽和磁束密度Bsにできることがわかった。
前記磁極層19、21の飽和磁束密度Bsが2.39T以上と大きく構成できるのは、前記メッキ浴によってメッキ形成された軟磁性膜は膜中にC、S、Cl、Bといった不純物が含有されていないためである。軟磁性膜中に前記した各元素が含有されていると、飽和磁束密度Bsが低下してしまうが、前記磁極層19、21は前記した各元素が含有されていない軟磁性膜で形成されることから、飽和磁束密度Bsの低下を抑制し、飽和磁束密度Bsを大きくすることが可能となるのである。
前記磁極層19、21では、Co、Fe、N及びOの組成比の総和を100at%としたときに、Nの組成比が0at%より大きく4.2at%以下の範囲内で構成されている。また、前記磁極層19、21では、Co、Fe、N及びOの組成比の総和を100at%としたときに、Oの組成比が0at%より大きく10.8at%以下の範囲内で構成されている。不純物元素としての前記Nの組成比、および前記Oの組成比を前記範囲内とすれば、後記するように、飽和磁束密度Bsを最大2.45Tと極めて大きくできることが判った。
また、前記磁極層19、21では、Co、及びFeの組成比の総和を100wt%としたときに、Feの組成比が65.5wt%(質量%)以上74wt%(質量%)以下の範囲内で構成されている。Feの組成比を前記範囲内とすると、後記するように磁極層19、21の飽和磁束密度Bsを、2.39T以上と大きくすることができることが判った。
また、前記磁極層19、21では、Feの組成比が66wt%以上73wt%以下であることがより好ましい。Feの組成比を前記範囲内とすると、後記するように磁極層19、21の飽和磁束密度Bsを2.42T以上と非常に大きくできることが判った。
このように、前記薄膜磁気ヘッドHAでは、前記磁極層19、21の飽和磁束密度Bsを大きくできるため、記録特性の大幅な向上を図ることが可能となる。
上記したCoFeメッキ膜中に不純物元素としてN及びOのみが添加された軟磁性膜は、特に、上部磁極層21や下部磁極層19のように、非常に狭い空間内にメッキ形成される軟磁性膜として適した膜構造を有している。
図1に示すトラック幅Twは、0.05〜0.5μmの範囲内で形成される。前記上部磁極層21の膜厚H1は、0.1〜5.0μmの範囲内で形成され、前記上部磁極層21の最大奥行き寸法(図示y方向への長さ寸法)L1は、1.5〜3.5μmの範囲内で形成される。また前記下部磁極層の膜厚H2は、0.1〜5.0μmの範囲内で形成され、前記下部磁極層19の奥行き寸法(図示y方向への長さ寸法)とほぼ同じとなるギャップデプスGdは0.5〜2.5μmの範囲内で形成される。ちなみに前記ギャップ層20の膜厚は0.05〜0.15μmの範囲内で形成されている。
本実施形態のCoFeメッキ膜中に不純物元素としてN及びOのみが添加された軟磁性膜は、平均結晶粒径が0.1μm以下の微結晶構造で形成されている。なお前記平均結晶粒径の下限値は0.01μm程度である。
そして、前記軟磁性膜が、上部磁極層21や下部磁極層19としてメッキ形成されることで、前記磁極層19,21全域を微細結晶構造で形成でき、少なくともトラック幅Twのどの部位においても、膜厚方向(図示Z方向)に見たときに複数の結晶が存在した膜構造となっている。加えて、膜厚方向のどの部位においても、前記トラック幅Tw方向に見たときに複数の結晶が存在する膜構造であるとより好ましい。
このため、前記磁極層19,21は多数の微細結晶で形成された緻密な膜となり、安定した磁気特性を発揮できる。しかも、前記下部磁極層19、上部磁極層21の上面をいずれも平坦化面に近づけることができ、特に前記ギャップ層20を平坦化面に近い前記下部磁極層19上にメッキ形成でき、記録特性の安定化を図ることが可能である。
以上により、磁極層19,21を高い飽和磁束密度Bsで、安定した磁気特性を発揮できる微細結晶構造の軟磁性膜で形成でき、したがって、高記録密度化に適切に対応可能な記録特性に優れた記録ヘッドを実現できる。
図3は第2実施形態の薄膜磁気ヘッドHBの縦断面図である。
この実施形態ではMRヘッドh1が図1と同じである。図3に示すように下部コア層16にはアルミナなどによる磁気ギャップ層(非磁性材料層)41が形成されている。さらに前記磁気ギャップ層41の上にはポリイミドまたはレジスト材料製の絶縁層43を介して平面的に螺旋状となるようにパターン形成されたコイル層44が設けられている。なお、前記コイル層44はCu(銅)などの電気抵抗の小さい非磁性導電性材料で形成されている。
さらに、前記コイル層44はポリイミドまたはレジスト材料で形成された絶縁層45に囲まれ、前記絶縁層45の上に軟磁性材料製の上部コア層46が形成されている。
図3に示すように、前記上部コア層46の先端部46aは、記録媒体との対向面において、下部コア層16の上に前記磁気ギャップ層41を介して対向し、磁気ギャップ長Gl1の磁気ギャップが形成されており、上部コア層46の基端部46bは図3に示すように、下部コア層16と磁気的に接続されている。
図3に示す形態では、前記上部コア層46の記録媒体との対向面でのトラック幅方向の幅寸法がトラック幅Twで規制されている。少なくとも前記上部コア層46は、図1及び図2で説明した磁極層19,21と同様に、CoFeメッキ膜中に、不純物元素としてNとOの元素のみが添加されてなり、飽和磁束密度Bsが2.39T以上である軟磁性膜でメッキ形成されている。前記上部コア層46を、図1および図2に示す前記薄膜磁気ヘッドHAの前記磁極層19、21と同様に、高い飽和磁束密度Bsで、安定した磁気特性を発揮できる微細結晶構造の軟磁性膜で形成でき、したがって、高記録密度化に適切に対応可能な記録特性に優れた記録ヘッドを実現できる。
なお図3に示す前記下部コア層16も、前記上部コア層46と同様に、CoFeメッキ膜中に不純物元素としてN及びOのみが添加され、飽和磁束密度Bsが2.39T以上である軟磁性膜で形成されてもよい。
図1ないし図3に示す薄膜磁気ヘッドHA、HBに内臓された記録ヘッドh2はいずれも記録媒体面に対し水平方向に記録する「面内磁気記録方式」であったが、上記したCoFeメッキ膜中に不純物元素としてN及びOのみが添加された軟磁性膜は、以下に示す垂直磁気記録方式の薄膜磁気ヘッドの主磁極層にも適用できる。
図4は、図5に示す薄膜磁気ヘッドを4−4線から切断し矢印方向から見た第3実施形態の薄膜磁気ヘッドHCの縦断面図、図5は、前記薄膜磁気ヘッドの部分正面図、図6は、前記薄膜磁気ヘッドを構成する主磁極層とソレノイドコイル層とを示す部分平面図、である。
図4に示す薄膜磁気ヘッドHCを構成する記録ヘッドh3は、記録媒体Mに垂直磁界を与え、記録媒体Mのハード膜Maを垂直方向に磁化させる、いわゆる垂直記録磁気ヘッドと呼ばれるものである。
記録媒体Mは例えばディスク状であり、その表面に残留磁化の高いハード膜Maが、内方に磁気透過率の高いソフト膜Mbを有しており、ディスクの中心が回転軸中心となって回転させられる。
スライダ101はAl・TiCなどの非磁性材料で形成されており、スライダ101の対向面101aが記録媒体Mに対向し、記録媒体Mが回転すると、表面の空気流によりスライダ101が記録媒体Mの表面から浮上し、またはスライダ101が記録媒体Mに摺動する。
スライダ101のトレーリング側端面101bには、AlまたはSiOなどの無機材料による非磁性絶縁層102が形成されて、この非磁性絶縁層102の上にMRヘッドh4が形成されている。
MRヘッドh4は下部シールド層103と上部シールド層106と、下部シールド層103と上部シールド層106との間の無機絶縁層(ギャップ絶縁層)105内に位置する再生素子104とを有している。再生素子104は、AMR、GMR、TMRなどの磁気抵抗効果素子である。
前記上部シールド層106の上には、コイル絶縁下地層107を介して、導電性材料で形成された複数本の第1コイル層108が形成されている。前記第1コイル層108は、例えばAu,Ag,Pt,Cu,Cr,Al,Ti,NiP,Mo,Pd,Rhから選ばれる1種、または2種以上の非磁性金属材料からなる。あるいはこれら非磁性金属材料が積層された積層構造であってもよい。
前記第1コイル層108の周囲は、Alなどの無機絶縁材料で形成されたコイル絶縁層109が形成されている。
前記コイル絶縁層109の上面109aは平坦化面に形成され、この上面109aの上に、対向面h3aからハイト方向に所定長さで形成されトラック幅方向(図示X方向)への幅寸法がトラック幅Twで形成され所定長さ寸法L2で延びている主磁極層110が形成されている。前記主磁極層110は強磁性材料でメッキ形成されたものであり、CoFeメッキ膜中に、不純物元素としてNとOのみが添加されてなり、飽和磁束密度Bsが2.39T以上である軟磁性膜で形成されている。
また、前記主磁極層110の基端部110bから前記主磁極層110と一体となり、ハイト方向(図示Y方向)へトラック幅方向への幅寸法T2が前記トラック幅Twよりも広がって延びるヨーク部121が形成されている。この主磁極層110とヨーク部121とで第1の磁性部160が構成される(図6参照)。ただし、前記主磁極層110と前記ヨーク部121とが別体で構成されるものとして構成しても良い。図4に示す前記記録ヘッドh3では、前記主磁極層110と前記ヨーク部121とで構成される第1の磁性部160が、MRヘッドh4側に位置する磁性部となる。
前記トラック幅Twは具体的には0.1μm〜1.0μm、前記長さ寸法L2は具体的には0.1μm〜1.0μmの範囲内で形成される。
また、前記ヨーク部121は、トラック幅方向(図示X方向)への幅寸法T2が最も広い部分で1μm〜100μm程度であり、また前記ヨーク部121のハイト方向への長さ寸法L3は1μm〜100μm程度である。
図5に示されるように、前記主磁極層110の周囲には、絶縁性材料層111が設けられている。そして、前記主磁極層110の上面110cと、前記主磁極層110の周囲に形成された前記絶縁性材料層111の上面111aは同一面をなしている。前記絶縁性材料層111は、例えばアルミナ(Al)、SiO、Al−Si−O、Ti、W、Crのいずれか1種または2種以上で形成することができる。
前記主磁極層110およびヨーク部121の上と前記絶縁性材料層111の上には、アルミナまたはSiOなどの無機材料によって、ギャップ層112が設けられている。
図4に示すように、前記ギャップ層112上には、コイル絶縁下地層113を介して第2コイル層114が形成されている。前記第2コイル層は前記第1コイル層108と同様に、導電性材料によって複数本形成されている。前記第2コイル層114は、例えばAu,Ag,Pt,Cu,Cr,Al,Ti,NiP,Mo,Pd,Rhから選ばれる1種、または2種以上の非磁性金属材料からなる。あるいはこれら非磁性金属材料が積層された積層構造であってもよい。
図6に示すように、前記第1コイル層108と前記第2コイル層114とは、それぞれのトラック幅方向(図示X方向)における端部108aおよび114a同士と、108bおよび114b同士が電気的に接続されており、前記第1コイル層108と前記第2コイル層114とで、前記主磁極層110および前記ヨーク部121とを軸にして巻回形成されたソレノイドコイル層120が形成されている。
図4に示すように、前記第1コイル層108のハイト方向(図示Y方向)の幅寸法W20と、前記第2コイル層114のハイト方向(図示Y方向)の幅寸法W21とは、同じ寸法で形成されている。
前記第2コイル層114の周囲は、Alなどの無機絶縁材料で形成されたコイル絶縁層115が形成され、このコイル絶縁層115の上から前記ギャップ層112上にかけて、パーマロイなどの強磁性材料によって、第2の磁性部161であるリターンパス層116が形成されている。
図5に示すように、主磁極層110の前端面110aの膜厚寸法Htは、リターンパス層116の前端面116aの厚みHrよりも小さく、主磁極層110の前端面110aでのトラック幅Twは、リターンパス層116の前端面116aの同方向での幅寸法Wrよりも十分に短くなっている。その結果、対向面h3aでは、主磁極層110の前端面110aの面積が、リターンパス層116の前端面116aでの面積よりも十分に小さい。従って、主磁極層110の前端面110aに洩れ記録磁界の磁束φが集中し、この集中している磁束φにより前記ハード膜Maが垂直方向へ磁化されて、磁気データが記録される。
前記リターンパス層116の前端面116aは、記録媒体との対向面h3aに露出している。また、対向面h3aよりも奥側で、リターンパス層116の接続部116bと前記主磁極層110とが接続されている。これにより、主磁極層110からリターンパス層116を通る磁路が形成される。
なお、前記ギャップ層112上であって、記録媒体との対向面h3aから所定距離離れた位置に、無機または有機材料によってGd決め層117が形成されている。記録媒体との対向面h3aからGd決め層117の前端縁までの距離で、記録ヘッドh3のギャップデプス長が規定される。
前記リターンパス層116の前記接続部116bのハイト方向(図示Y方向)側には、前記第2コイル層114から延出されたリード層118が、コイル絶縁下地層113を介して形成されている。そして、リターンパス層116およびリード層118が、無機非磁性絶縁材料などで形成された保護層119に覆われている。
前記記録ヘッドh3では、リード層118を介して前記第1コイル層108および第2コイル層114に記録電流が与えられると、前記第1コイル層108および前記第2コイル層114を流れる電流の電流磁界によって前記主磁極層110および前記リターンパス層116に記録磁界が誘導され、前記対向面h3aにおいて、主磁極層110の前端面110aから記録磁界の磁束φ1が飛び出し、この記録磁界の磁束φ1が記録媒体Mのハード膜Maを貫通しソフト膜Mbを通過し、これにより、記録媒体Mに記録信号が書き込まれた後、リターンパス層116の前端面116aへ前記磁束φ1が戻る。
図4に示す主磁極層110は、図1及び図2で説明した磁極層19,21と同様に、CoFeメッキ膜中に不純物元素としてN及びOのみが添加され、飽和磁束密度Bsが2.39T以上である軟磁性膜でメッキ形成されている。前記主磁極層110では、図1および図2に示す前記薄膜磁気ヘッドHAの前記磁極層19、21と同様に、飽和磁束密度Bsを大きくすることができる。
また本実施形態のCoFeメッキ膜中に不純物元素としてN及びOのみが添加された軟磁性膜は、平均結晶粒径が0.1μm以下の微結晶構造で形成されている。
前記主磁極層110は、トラック幅Twが0.1〜1.0μm、膜厚寸法Htが、0.1〜2.0μm、奥行きの長さ寸法L2が、0.1μm〜1.0μmで形成された狭小構造であり、前記軟磁性膜が、前記狭小構造の主磁極層110としてメッキ形成されることで、前記主磁極層110全域が微細結晶構造で形成され、トラック幅Twのどの部位においても、膜厚方向(図示Z方向)に見たときに複数の結晶が存在し、さらに好ましくは、膜厚方向のどの部位においてもトラック幅Tw方向に見たときに複数の結晶が存在する膜構造となっている。
このため、前記主磁極層110は多数の微細結晶で形成された緻密な膜となり、安定した磁気特性を発揮できる。しかも、前記主磁極層110の上面を平坦化面に近づけることができ、前記ギャップ層112を平坦化された前記主磁極層110上にメッキ形成でき、記録特性の安定化を図ることが可能である。
以上により、主磁極層110を高い飽和磁束密度Bsで、安定した磁気特性を発揮できる軟磁性膜で形成でき、したがって、高記録密度化に適切に対応可能な記録特性に優れた垂直磁気記録ヘッドを実現できる。
なお図4に示す記録ヘッドh3において、リターンパス層116も前記主磁極層110と同様に、上記したCoFeメッキ膜中に、不純物元素としてNとOのみが添加されてなり、飽和磁束密度Bsが2.39T以上である軟磁性膜で形成されてもよい。
また、本実施形態における、CoFeメッキ膜中に不純物元素としてN及びOのみが添加された飽和磁束密度が2.39T以上の軟磁性膜は、インダクタ等の平面型磁気素子等にも使用可能である。
次に図1及び図2に示す磁極層19、21のメッキ形成法について以下に説明する。
前記磁極層19、21をメッキ形成するためのメッキ浴は、Co塩の水溶液とFe塩の水溶液と、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムとL−グルタミン酸のみを添加して形成されたものが用いられる。前記Co塩及びFe塩は水溶液中でイオン化されている。
Co塩の水溶液には、例えば、CoSO・7HOが用いられる。またFe塩の水溶液には、例えば、FeSO・7HOが用いられる。
ベンゼンスルフィン酸ナトリウムは、前記メッキ浴中のO原子と結合してベンゼンスルフォン酸になり前記メッキ浴中の酸素を取り込む機能を有することから、メッキ形成された軟磁性膜中へのO原子の含有を適切に抑制することができる。
L−グルタミン酸は、図7に示すように、2.19、4.25、9.67の3つのpKaを有することが知られている。
一般的に、ある溶液についてのpKaが「A」という値である場合、その溶液についてのpHが前記pKaと同じ値「A」であるときには、その溶液のpHの値「A」を変化させるためには多量の酸または塩基が必要となる。すなわち、pKaの値「A」と同じpHでは、溶液の緩衝能が発揮されることが知られている。メッキ浴に緩衝能が発揮されると、メッキ浴を安定な状態で維持しやすくなるため好ましい。
前記特許文献1に記載された従来の軟磁性膜の製造方法では、メッキ浴中に酢酸とホウ酸が添加されていた(以下「従来のメッキ浴」という)。ここで図7に示すように、酢酸のpKaは4.78である。またホウ酸のpKaは9.24である。すなわち、前記従来のメッキ浴は、4.78と9.24の2つのpKaを有していることになる。
これに対して、本実施形態の磁極層19、21(軟磁性膜)の製造方法に用いられる前記メッキ浴(以下「本実施形態に係るメッキ浴」という)は、図7に示すように2.19、4.25、9.67の3つのpKaを有している。そして、本実施形態に係るメッキ浴の3つのpKaのうち、4.25と9.67は、従来のメッキ浴の2つのpKaである4.78と9.24と非常に近い値をとるものとなっている。
本実施形態に係るメッキ浴の4.25と9.67という前記2つのpKaは、主に被メッキ物表面極近傍におけるpHの値の安定性に寄与し、メッキ効率の向上に寄与するものである。
後述するように、メッキ浴全体のpHを2.19という値に調整すると、メッキ浴中における被メッキ物表面極近傍におけるメッキ浴のpHは4.25、あるいは9.67近くまで上昇することが予測される。これによって、L−グルタミン酸を添加した本実施形態に係るメッキ浴によって、CoFeメッキ膜中に不純物元素としてN及びOのみが添加され、2.39T以上の飽和磁束密度を有し、且つ良好な結晶性を有する軟磁性膜をメッキ形成することができる。
さらに本実施形態に係るメッキ浴では、従来のメッキ浴にはない2.19という値のpKaをも有している。このpKaは、メッキ浴全体のpHの値の安定性に寄与するものである。
したがって、本実施形態に係るメッキ浴では、酢酸およびホウ酸が添加されていた従来のメッキ浴に比べてメッキ浴の安定性を担保することができることに加え、さらに本実施形態に係るメッキ浴では、前記従来のメッキ浴が有していない2.19という値のpKaをも有していることから、前記従来のメッキ浴に比較してメッキ浴の安定性を向上することができるため著しいpH変動を抑制でき、メッキ形成される膜の結晶性を均一にし易い。
また、本実施形態に係るメッキ浴では、前記従来のメッキ膜と異なり、メッキ浴中に酢酸が添加されていない。酢酸はCoやFeと錯体を形成し易いため、酢酸を含むメッキ浴で形成された軟磁性膜は、メッキ形成レートが著しく低くなる。しかし、本実施形態に係るメッキ浴ではCoやFeと錯体を形成する酢酸が添加されていないため、メッキ形成レートを大きくすることができる。
また、本実施形態のメッキ浴では前記したように軟磁性膜中のCoやFeの組成比率を大きくすることができるため、メッキ浴中のCoやFeの濃度を高くする必要がない。したがって、例えばメッキ浴を循環させる際に使用されるフィルターやメッキ槽などのメッキ設備の劣化を抑制することができる。したがって、メッキ設備の設備交換などのメンテナンス回数を大幅に減らすことができる。したがって、製造効率の向上を図ることができると共に、設備交換が頻繁に重なることによってメッキ浴の循環停止や、設備交換時のゴミの混入などによる、メッキ浴の劣化を効果的に抑制することが可能となる。
また酢酸は非常に揮発性が高いため、酢酸を添加したメッキ浴では酢酸の揮発によってメッキ浴中の酢酸濃度が急激に低くなってしまうため、酢酸が添加される従来のメッキ浴では浴組成の経時変化が非常に大きく、メッキ浴の安定性に非常に劣る。また前記酢酸は特有の刺激臭があることから、メッキ浴から酢酸が揮発して周囲の環境雰囲気を悪化させ、作業環境上好ましくない。
これに対して、本発明に係るメッキ浴では酢酸が添加されていない。したがって、メッキ浴の浴組成の経時変化小さくすることができ、メッキ浴の安定性に優れるとともに、作業環境の悪化を適切に抑制することができる。
また、本実施形態に係るメッキ浴では、メッキ浴にホウ酸を添加しなくても、メッキ形成された軟磁性膜の飽和磁束密度Bsが低下しないことが判った。
本実施形態に係るメッキ浴では、前記ベンゼンスルフィン酸ナトリウムを0.01g/l以上0.05g/l以下の範囲内で添加することが好ましい。前記ベンゼンスルフィン酸ナトリウムを前記範囲内で添加すると、後記するように、飽和磁束密度Bsを確実に2.42T以上と大きくできることが判った。
また、前記L−グルタミン酸を0.1g/l以上0.5g/l以下の範囲内で添加することが好ましい。前記L−グルタミン酸を前記範囲内で添加すると、後記するように、飽和磁束密度Bsを確実に2.42T以上と大きくできることが判った。
なお、本実施形態に係るメッキ浴では、前記L−グルタミン酸に代えて異性体であるD−グルタミン酸、またはその塩を使用しても、メッキ浴に対する溶解度が非常に低いため、L−グルタミン酸を使用することが好ましい。
なお、本実施形態に係る前記メッキ浴では、腐食の原因となっていたS(硫黄)などの不純物を含むサッカリンナトリウム(CCONNaSO)などは添加されていない。また従来、耐食性の向上のために添加されていたRhなどの貴金属元素を含む化合物も添加されていない。
前記磁極層19、21は、前記メッキ浴を用いた電気メッキ法によりメッキ形成される。好ましくは、前記電気メッキ法はパルス電流を用いた電気メッキ法である。
パルス電流を用いた電気メッキ法では、例えば電流制御素子のON/OFFを繰返し、メッキ形成時に、電流を流す時間と、電流を流さない空白な時間を設ける。このように電流を流さない時間を設けることで、磁極層19、21を、少しずつメッキ形成し、そしてメッキ浴に占めるFeイオンの濃度を増やしても、従来のように直流電流を用いた場合に比べメッキ形成時における電流密度の分布の偏りを緩和することが可能になる。
なおパルス電流は、例えば数秒サイクルでON/OFFを繰返し、デューティ比を0.1〜0.5程度にすることが好ましい。
上記のようにパルス電流による電気メッキ法では、メッキ形成時における電流密度の分布の偏りを緩和することができるから、直流電流による電気メッキ法に比べて前記磁極層19,21の結晶をより微細化できる。また、前記磁極層19,21内に含まれるFe含有量を従来よりも増やすことが可能になる。
前記パルス電流による電気メッキ法を用いると、磁極層19、21に含まれるのFe量を、65.5wt%〜74wt%の範囲内、好ましくは66wt%〜73wt%の範囲内に適切且つ容易に調整できる。
図1,図2に示す磁極部18をメッキ形成する際には、まず、前記下部コア層16上に前記磁極部18を形成するためのフレームとなるレジスト層(図示しない)を塗布し、前記レジスト層に露光現像によって、前記磁極部18の形成領域に狭小空間(抜きパターン)を形成する。この狭小空間は、図1に示すトラック幅Twを有し、また前記狭小空間の高さ寸法は、少なくとも下部磁極層19、ギャップ層20及び上部磁極層21の高さ寸法を合計した高さ寸法以上で形成される。
本実施形態では、上記したCo塩の水溶液とFe塩の水溶液と、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムとL−グルタミン酸のみを添加して形成されたメッキ浴を用いて、前記狭小空間内に、CoFeメッキ膜中に不純物元素としてN及びOのみが添加され、2.39T以上の飽和磁束密度を有し、且つ良好な結晶性を有する軟磁性膜からなる下部磁極層19及び上部磁極層21をメッキ形成する。
前記軟磁性膜は、前記狭小空間内にて、平均結晶粒径が0.1μm以下の微細結晶構造にてメッキ成長し、トラック幅Tw方向のどの部位においても膜厚方向に見たときに、複数の結晶が存在し、さらに好ましくは、膜厚方向のどの部位においても前記トラック幅Tw方向に見たときに複数の結晶が存在する膜構造でメッキ成長している。
よって前記下部磁極層19及び前記上部磁極層21は、狭小空間内に微細結晶構造で緻密にメッキ形成されたものとなり、安定した磁気特性を発揮でき、また前記下部磁極層19の上面及び前記上部磁極層21の上面を効果的に平坦化面に近付けることが出来る。したがって、前記下部磁極層19上にメッキ形成されるギャップ層20を、出来る限り表面の凹凸が小さい形状にて適切にメッキ形成でき、安定した特性を有する記録ヘッドh2を適切且つ容易に製造できる。
また図4ないし図6に示す垂直磁気記録方式の記録ヘッドh3の主磁極層110も、前記磁極層19,21と同様の製造方法により形成できる。
すなわち、前記主磁極層110をメッキ形成する際には、まず、前記コイル絶縁層109上に前記主磁極層110を形成するためのフレームとなるレジスト層(図示しない)を塗布し、前記レジスト層に露光現像によって、前記主磁極層110の形成領域に狭小空間(抜きパターン)を形成する。この狭小空間は、図5,図6に示すトラック幅Twを有し、また前記狭小空間の高さ寸法は、少なくとも主磁極層110の膜厚寸法Ht以上で形成される。
本実施形態では、上記したCo塩の水溶液とFe塩の水溶液と、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムとL−グルタミン酸のみを添加して形成されたメッキ浴を用いて、前記狭小空間内に、CoFeメッキ膜中に不純物元素としてN及びOのみが添加され、2.39T以上の飽和磁束密度を有し、且つ良好な結晶性を有する軟磁性膜からなる主磁極層110をメッキ形成する。
前記軟磁性膜は、前記狭小空間内にて、平均結晶粒径が0.1μm以下の微細結晶構造にてメッキ成長し、トラック幅Tw方向のどの部位においても膜厚方向に見たときに、2個以上の結晶が存在し、さらに好ましくは、膜厚方向のどの部位においても前記トラック幅Tw方向に見たときに2個以上の結晶が存在する膜構造でメッキ成長している。
よって前記主磁極層110は、狭小空間内に微細結晶構造で緻密にメッキ形成されたものとなり、安定した磁気特性を発揮でき、また前記主磁極層110の上面を効果的に平坦化面に近付けることが出来る。したがって、前記主磁極層110上に形成されるギャップ層112を、表面の凹凸が出来る限り小さい形状にて適切にメッキ形成でき、安定した特性を有する記録ヘッドh3を適切且つ容易に製造できる。
なお図3に示す上部コア層46及び下部コア層16も、前記した本実施形態に係るメッキ浴を用いてメッキ形成される。前記コア層16、46を、パルス電流を用いた電気メッキ法によって形成する。
図8は、本実施形態に係るメッキ浴を用いて形成した軟磁性膜の実施例、および従来のメッキ浴を用いたメッキ浴で形成した軟磁性膜の比較例について、膜中に含有される検出元素の種類と組成比、および飽和磁束密度Bsとを示す表である。
ここで、本実施形態に係る実施例1を形成したメッキ浴の組成比および電流密度は、FeSO・7HOを12.45g/l、CoSO・7HOを1.431g/l、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムを0.01g/l、L−グルタミン酸を0.1g/l、電流密度を30mA/cmした。
また、従来のメッキ浴の組成および電流密度は、以下の通りである。
比較例1を形成したメッキ浴組成および電流密度:FeSO・7HOを122.00g/l、CoSO・7HOを53.00g/l、酢酸を12g/l、ホウ酸を25g/l、塩化ナトリウムを0.50g/l、電流密度を20mA/cmとした。
比較例2を形成したメッキ浴組成および電流密度:FeSO・7HOを62.95g/l、CoSO・7HOを17.54g/l、酢酸を3g/l、ホウ酸を0g/l、塩化ナトリウムを0g/l、電流密度を20mA/cmとした。
比較例3を形成したメッキ浴組成および電流密度:FeSO・7HOを8.73g/l、CoSO・7HOを1.4g/l、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムを0.01g/l、L−グルタミン酸を0.1g/l、ホウ酸を25g/l、塩化ナトリウムを0g/l、電流密度を30mA/cmとした。
比較例4を形成したメッキ浴組成および電流密度:FeSO・7HOを8.73g/l、CoSO・7HOを1.4g/l、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムを0.01g/l、L−グルタミン酸を0.1g/l、ホウ酸を0g/l、塩化ナトリウムを0.5g/l、電流密度を30mA/cmとした。
また、各試料において、メッキ浴の温度を30℃とし、またパルス電流のデューティ比を10%とし、またメッキ形成時間を30分とした。なお、これら条件は下記の実験、全てに共通させている。
なお、図8に示す検出結果は、オージェ電子分光分析法(AES)による検出結果を示している。図8に示す検出に用いた機器は、日本電子株式会社製 JAMP−7830Fである。分析条件としては、加速電圧を10kVとした。また各軽元素の感度係数はオージェ電子分光分析装置に設定されている設定値を使用した。図8の組成比はCo、Fe、N、O、C、S、Cl、Bの組成比の総和を100at%としたときの値である。
図8に示すように、比較例1では飽和磁束密度Bsが2.45Tと大きな値であるが、メッキ浴に酢酸が添加されているため、メッキ浴中からの酢酸の揮発によるメッキ浴の経時変化が激しく安定性に劣るとともに、揮発した酢酸によって作業環境が汚染される。比較例1の軟磁性膜を形成する際に使用したメッキ浴の経時変化についての実験結果は後記する。
図8に示すように、比較例2はNとOの他にCが含有されている。しかし図8に示すように、前記比較例2ではCの含有量が3.0at%と非常に大きいことから、飽和磁束密度Bsが2.11Tと小さな値になっている。
また比較例1と比較して比較例2では、ホウ酸と塩化ナトリウムを添加していないため、Oの検出量が増えてしまっていることが判る。
図8に示すように比較例3では、NとOの他にB(ホウ素)が含有されている。したがって、飽和磁束密度Bsが2.28Tと小さな値になっている。
図8に示すように比較例4では、NとOのみが含有されているが、飽和磁束密度Bsが2.18Tと小さな値になっている。これは、塩化ナトリウム添加による不均一結晶の形成が見られ、それによる飽和磁束密度Bsの低下によるものと考えられる。
これに対し実施例では図8に示すように、NとOのみが含有されており、しかも飽和磁束密度Bsが2.45Tと非常に大きな値となっていることが判る。
図9は、本実施形態に係るメッキ浴を用いて形成した軟磁性膜について、軟磁性膜中のFe量と飽和磁束密度Bsとの関係を示したグラフである。図10は、メッキ浴中のFe濃度、軟磁性膜中のFe組成及び飽和磁束密度Bsを示す表である。この際のメッキ条件として、メッキ浴中に添加したL−グルタミン酸量を0.37g/l、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムを0.035g/l、電流密度を30mA/cmとした。また、FeSO・7HOを12.45〜24.90g/l、CoSO・7HOを1.43〜4.77g/lとした。Feの組成比(wt%)は、上記したオージェ電子分光分析法(AES)で測定した。Fe及びCoを足した合計の組成比が100wt%である。また図10に示すFeの組成比(at%)は、Feの組成比(wt%)から換算した値である。よって図10に示すFeの組成比(at%)は、FeとCoを足した合計組成比(100at%)に対する値である。
図9に示すように、上記した本実施形態のメッキ浴を用いて軟磁性膜をメッキ形成すると、CoFeメッキ膜中に不純物元素としてN及びOのみが添加され、Feの組成比が65.5wt%以上74wt%以下と非常に大きなFe含有率の軟磁性膜をメッキ形成できることがわかった。また、本実施形態に係るメッキ浴でメッキ形成した軟磁性膜のFeの組成比を65.5wt%以上74wt%以下の範囲内とすると、軟磁性膜の磁束密度Bsを2.39T以上にできることが判った。また、本実施形態に係るメッキ浴を用いてメッキ形成した軟磁性膜のFe量を66wt%以上73wt%以下の範囲内とすると、飽和磁束密度Bsを2.42T以上と極めて大きくできることが判った。
図11は、本実施形態に係る前記メッキ浴に添加するL−グルタミン酸およびベンゼンスルフィン酸ナトリウムの各添加量と、飽和磁束密度Bsとを示す表である。
ここで、本実施形態に係るメッキ浴の組成比は、FeSO・7HOを12.45g/l、CoSO・7HOを1.431g/lに、図11に示す量のベンゼンスルフィン酸ナトリウムとL−グルタミン酸を添加した。なお軟磁性膜を形成するためのメッキ条件として電流密度を30mA/cmとした。
図11に示すように、前記L−グルタミン酸を0.10g/l以上0.50g/l以下の範囲内で添加すると、飽和磁束密度Bsは2.42T以上2.48T以下と非常に大きくすることができることが判った。
また図11に示すように、前記ベンゼンスルフィン酸ナトリウムを0.01g/l以上0.1g/l以下の範囲内で添加すると、飽和磁束密度Bsを2.42T以上2.48T以下と非常に大きくすることができることが判った。
図12は従来の前記メッキ浴で形成した軟磁性膜を比較例5ないし10とし、この比較例5ないし10の飽和磁束密度Bsを測定した結果を示す表である。
図12に示す表のうち、左側に示す表は従来のメッキ浴の組成である。メッキ浴の組成はメッキ浴1と2の2種類で測定を行った。メッキ条件としての電流密度を30mA/cmとした。
また右側に示す表は、建浴直後のメッキ浴でメッキ形成した比較例5および8、建浴後に48時間放置したメッキ浴でメッキ形成した比較例6および9、建浴後48時間放置後のメッキ浴によって5μm厚の軟磁性膜をメッキ形成した後のメッキ浴でメッキ形成した比較例7および10のそれぞれについて、飽和磁束密度Bsを測定し、この飽和磁束密度Bsの変化から、メッキ浴の経時変化を調べたものである。
なお、比較例5、6および7は従来のメッキ浴1でメッキ形成した軟磁性膜、比較例8、9および10は従来のメッキ浴2でメッキ形成した軟磁性膜である。
まずメッキ浴1について、建浴した直後のメッキ浴でメッキ形成した比較例5と、48時間放置したメッキ浴でメッキ形成した比較例6とを比較すると、48時間放置後のメッキ浴でメッキ形成した比較例6の方が飽和磁束密度Bsが小さくなっている。そして、48時間放置後のメッキ浴でメッキ形成した比較例6と、48時間放置後のメッキ浴によって5μm厚の軟磁性膜をメッキ形成した後のメッキ浴でメッキ形成した比較例7とを比較すると、比較例7の方は飽和磁束密度Bsが測定不能まで低下している。
またメッキ浴2について、建浴した直後のメッキ浴でメッキ形成した比較例8と、48時間放置後のメッキ浴によって5μm厚の軟磁性膜をメッキ形成した後のメッキ浴でメッキ形成した比較例10とを比較すると、比較例10の方が飽和磁束密度Bsが小さくなっている。
以上のように、従来のメッキ浴では、メッキ浴の経時変化による軟磁性膜の飽和磁束密度Bsが低下することが判った。
これは、メッキ浴に添加された酢酸の揮発が進み、メッキ浴の緩衝作用が減少するためと考えられる。
図13は図13の左側に示す表のメッキ浴の組成(上記した実施例1の軟磁性膜をメッキ形成する際に使用したメッキ浴と同じ)でメッキ形成した軟磁性膜を実施例2ないし4とし、この実施例2ないし4の飽和磁束密度Bsを測定した結果を示す表である。
図13の右側に示す表は、建浴直後のメッキ浴でメッキ形成した実施例2、建浴後に48時間放置したメッキ浴でメッキ形成した実施例3、建浴後48時間放置後のメッキ浴によって5μm厚の軟磁性膜をメッキ形成した後のメッキ浴でメッキ形成した実施例4のそれぞれについて、飽和磁束密度Bsを測定し、この飽和磁束密度Bsの変化から、メッキ浴の経時変化を調べたものである。
図13に示すように、建浴した直後のメッキ浴でメッキ形成した実施例2と、48時間放置したメッキ浴でメッキ形成した実施例3と比較すると、飽和磁束密度Bsには全く変化(減少傾向)がみられなかった。そして、48時間放置後のメッキ浴でメッキ形成した実施例3と、48時間放置後のメッキ浴によって5μm厚の軟磁性膜をメッキ形成した後のメッキ浴でメッキ形成した実施例4とを比較すると、飽和磁束密度Bsは全く変化(減少傾向)がみられなかった。図13に示すように、飽和磁束密度Bsについて、前記実施例2と実施例4とでも変化(減少傾向)がみられないため、本実施形態のメッキ浴は経時変化が少なく、非常に安定性の高いものであることが判った。
これは、本実施形態のメッキ浴には、酢酸などの揮発性が非常に高い材料が添加されていないことから、メッキ浴の浴組成変化が非常に少ないため、メッキ浴の緩衝作用が所定時間経過後にも維持され易いためと考えられる。
図14は、前記従来のメッキ浴の浴組成に対しホウ酸を含有しないメッキ浴(ホウ酸無添加メッキ浴)を形成し、このメッキ浴によってメッキ形成した軟磁性膜(図8に示す比較例2)の飽和磁束密度Bsを示した表である。
図14に示す表のうち、左側に示す表は前記ホウ酸無添加メッキ浴の組成である。
また右側に示す表は、ホウ酸無添加メッキ浴で形成した比較例2の飽和磁束密度Bsの測定結果である。
図14に示すように、前記比較例2では、飽和磁束密度Bsが2.11Tと低い値になっている。このことから、酢酸が添加された従来のメッキ浴では、ホウ酸を添加しないと飽和磁束密度Bsを大きくできないことが判った。これは、pKaが4.78の酢酸のみでは緩衝作用が不十分であり、pKaが9.24のホウ酸を添加することによって、初めて高飽和磁束密度Bsを実現できるからであると考えられる。
一方、本実施形態に係るメッキ浴では図13に示すように、ホウ酸が添加されなくても、形成された軟磁性膜(実施例2ないし4)の飽和磁束密度Bsを2.48Tと大きくできることが判った。
図15はベンゼンスルフィン酸ナトリウムとL−グルタミン酸を添加したメッキ浴にホウ酸を添加してメッキ浴(ホウ酸添加メッキ浴)を形成し、このホウ酸添加メッキ浴でメッキ形成した軟磁性膜(図8に示す比較例3)の飽和磁束密度Bsを示した表である。
図15に示す表のうち、左側に示す表は前記ホウ酸添加メッキ浴の組成である。
また右側に示す表は、ホウ酸添加メッキ浴で形成した比較例3の飽和磁束密度Bsの測定結果である。
図15に示すように、前記比較例3では、飽和磁束密度Bsが2.28Tと低い値になっている。
一方、図13に示すように、ホウ酸が添加されていない本実施形態に係るメッキ浴では、メッキ形成された軟磁性膜(実施例2ないし4)の飽和磁束密度Bsを2.48Tと大きくできることが判った。
このことから、酢酸を添加せず、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム及びL−グルタミン酸を添加したメッキ浴であっても、さらにホウ酸を添加すると飽和磁束密度Bsが小さくなってしまうことが判った。これは、メッキ形成された軟磁性膜中にBが含有されてしまうためと考えられる。
図16は、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムとL−グルタミン酸を添加したメッキ浴にNaClを添加してメッキ浴(塩化ナトリウム添加メッキ浴)を形成し、この塩化ナトリウム添加メッキ浴でメッキ形成した軟磁性膜(図8に示す比較例4)の飽和磁束密度Bsを示した表である。
図16に示す表のうち、左側に示す表は前記塩化ナトリウム添加メッキ浴の組成である。
また右側に示す表は、塩化ナトリウム添加メッキ浴でメッキ形成した比較例4の飽和磁束密度Bsの測定結果である。
図16に示すように、前記比較例4では、飽和磁束密度Bsが2.18Tと低い値になっている。
一方、図13に示すように、塩化ナトリウムが添加されていない本実施形態に係るメッキ浴では、形成された軟磁性膜(実施例2ないし4)の飽和磁束密度Bsを2.48Tと大きくできることが判った。
このことから、酢酸及びホウ酸を添加せず、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム及びL−グルタミン酸を添加したメッキ浴であっても、さらに塩化ナトリウムを添加すると飽和磁束密度Bsが小さくなってしまうことが判った。これは、塩化ナトリウム添加による不均一結晶の形成が見られ、それによる飽和磁束密度Bsの低下によるものと考えられる。
以上から、Fe塩の水溶液と、Co塩の水溶液と、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムと、L−グルタミン酸のみからなるメッキ浴を形成することで、CoFeメッキ膜中に不純物元素としてN及びOのみが添加されてなり、2.39T以上、好ましくは2.42T以上の高飽和磁束密度を有する軟磁性膜をメッキ形成できることがわかった。
次に、図12に示す従来のメッキ浴1及びメッキ浴2を用いて、また、図13に示す本実施形態のメッキ浴を用いて、夫々、直径が3インチの基板上に軟磁性膜をメッキ形成した。
そして各軟磁性膜の膜厚方向からの断面状態を集束イオンビーム加工観察装置(FIB−SIM(SII製 型式SMI−98009)にて観察した。なお実験では、Ga(ガリウム)のイオンビームを使用し、また加速電圧を30kVとした。
図17は、従来のメッキ浴2によりメッキ形成された軟磁性膜のSIM像、図18は、本実施形態のメッキ浴によりメッキ形成された軟磁性膜のSIM像である。
接触式表面粗さ測定器により表面粗さRaを測定したところ、従来のメッキ浴1によりメッキ形成された軟磁性膜、従来のメッキ浴2によりメッキ形成された軟磁性膜、及び本実施形態のメッキ浴によりメッキ形成された軟磁性膜のいずれにおいても、前記表面粗さRaは9〜11Åの範囲内となり、さほど変わらなかった。このように、本実施形態のメッキ浴でも従来のメッキ浴でもメッキ形成された軟磁性膜の表面粗さRaがさほど変わらないのは、直径が3インチの基板上の広い範囲にわたって形成された軟磁性膜の表面粗さRaを測定したものであること、また測定誤差によると考えられる。しかし、前記軟磁性膜をメッキ形成する記録ヘッドでの形成領域は非常に狭い狭小空間なので、次には、そのような狭小空間にメッキ形成される軟磁性膜の状態を測定した。
図19(a)は、幅が0.5μm、高さが1.0μmの狭小空間内に、上記した従来のメッキ浴2を用いて軟磁性膜をメッキ形成し、前記軟磁性膜の断面状態を集束イオンビーム加工観察装置(FIB−SIM(SII製 型式SMI−98009)にて観察したSIM像である。図19(b)は、図19(a)の模式図である。
図20(a)は、幅が0.5μm、高さが1.0μmの狭小空間内に、上記した本実施形態のメッキ浴組成を用いて軟磁性膜をメッキ形成し、前記軟磁性膜の断面状態を集束イオンビーム加工観察装置(FIB−SIM(SII製 型式SMI−98009)にて観察したSIM像である。図20(b)は、図20(a)の模式図である。
図19に示すように、従来のメッキ浴2でメッキ形成された軟磁性膜の結晶は膜厚方向に向かって柱状晶となっていることがわかった。特に、幅が0.5μm、高さが1.0μmの狭小空間では、下面から上面にまで貫く柱状晶が形成されており、微細結晶化しておらず、前記軟磁性膜の表面は非常に大きな凹凸形状となっていることがわかった。
一方、図20に示すように、本実施形態のメッキ浴で形成された軟磁性膜の結晶は微細結晶化し、幅が0.5μm、高さが1.0μmの狭小空間において、幅方向のどの部位においても膜厚方向に見たときに複数の結晶が存在し、且つ膜厚方向のどの部位においても幅方向に見たときに複数の結晶が存在した緻密な膜構造となっており、前記軟磁性膜の表面は、図19に比して平坦化面に近いことがわかった。
図19、図20における軟磁性膜の平均結晶粒径を、SIM像断面に現れる10個の結晶粒をランダムに選んで、トラック幅方向(X方向)の長さ寸法、及び高さ方向(Z方向)の長さ寸法をそれぞれ測定し、各長さ寸法を平均して求めた。その結果を、図21に示す。
図21に示すように、図19の従来例での軟磁性膜の平均結晶粒径は0.1μmよりも大きく、図20での実施例での軟磁性膜の平均結晶粒径は、0.1μm以下であることがわかった。
なおSIM像断面に10個以上の結晶粒が現れていない場合は、前記SIM像断面に現れる全ての結晶粒に対して上記した測定を行い平均結晶粒径を求める。
第1実施形態の薄膜磁気ヘッドの部分正面図、 図1の縦断面図、 第2実施形態の薄膜磁気ヘッドの部分縦断面図、 第3実施形態の薄膜磁気ヘッドを示す部分縦断面図、 図4に示す磁気ヘッドの正面図、 図4に示す磁気ヘッドの部分平面図、 L−グルタミン酸、酢酸、ホウ酸のpKaを示す表、 実施例、および比較例の軟磁性膜について、膜中に含有される検出元素の種類と組成比、および飽和磁束密度Bsの測定結果、 本実施形態の軟磁性膜中のFe量と飽和磁束密度Bsとの関係を示したグラフ、 メッキ浴中のFe濃度、軟磁性膜中のFe組成及び飽和磁束密度Bsを示す表、 本実施形態の製造方法で用いるメッキ浴に添加するL−グルタミン酸およびベンゼンスルフィン酸ナトリウムの各添加量と、飽和磁束密度Bsとの関係を示す表、メッキ浴中のFe濃度、軟磁性膜中のFe組成及び飽和磁束密度Bsを示す表である。 従来の製造方法で用いるメッキ浴で形成した軟磁性膜の飽和磁束密度Bsの測定結果を示す表、 本実施形態の製造方法で用いるメッキ浴で形成した軟磁性膜の飽和磁束密度Bsの測定結果を示す表、 従来の製造方法で用いるメッキ浴の浴組成に対しホウ酸を含有しないメッキ浴で形成した軟磁性膜の飽和磁束密度Bsを示した表、 本実施形態の製造方法で用いるメッキ浴にホウ酸を添加したメッキ浴で形成した軟磁性膜の飽和磁束密度Bsを示した表、 本実施形態の製造方法で用いられるメッキ浴にNaClを添加したメッキ浴で形成した軟磁性膜の飽和磁束密度Bsを示した表、 直径が3インチの基板上に、従来のメッキ浴にてメッキ形成された軟磁性膜の膜厚方向からの断面状態を集束イオンビーム加工観察装置にて観察した際のSIM像、 直径が3インチの基板上に、本実施形態のメッキ浴にてメッキ形成された軟磁性膜の膜厚方向からの断面状態を集束イオンビーム加工観察装置にて観察した際のSIM像、 (a)は、幅が0.5μm、高さが1.0μmの狭小空間内に、従来のメッキ浴組成を用いて軟磁性膜をメッキ形成し、前記軟磁性膜の断面状態を集束イオンビーム加工観察装置にて観察したSIM像であり、(b)は、(a)の模式図、 (a)は、幅が0.5μm、高さが1.0μmの狭小空間内に、本実施形態のメッキ浴組成を用いて軟磁性膜をメッキ形成し、前記軟磁性膜の断面状態を集束イオンビーム加工観察装置にて観察したSIM像であり、(b)は、(a)の模式図、 図19及び図20の各軟磁性膜のSIM像断面に現れる10個の結晶粒の粒径、及びその平均値の表、
符号の説明
11 スライダ
10 磁気抵抗効果素子
16 下部コア層(上部シールド層)
18 磁極部
19 下部磁極層
20 ギャップ層
21 上部磁極層
22、46 上部コア層
41 磁気ギャップ層
110 主磁極層
116 リターンパス層

Claims (20)

  1. CoFeメッキ膜中に、不純物元素としてNとOのみが添加されてなり、飽和磁束密度Bsが2.39T以上であることを特徴とする軟磁性膜。
  2. Co、Fe、N及びOの組成比の総和を100at%としたときに、前記Nの組成比が0at%より大きく4.2at%以下の範囲内である請求項1記載の軟磁性膜。
  3. Co、Fe、N及びOの組成比の総和を100at%としたときに、前記Oの組成比が0at%より大きく10.8at%以下の範囲内である請求項1または2に記載の軟磁性膜。
  4. CoFeメッキ膜中に、不純物元素としてNとOのみが添加されてなり、Co、Fe、N及びOの組成比の総和を100at%としたときに、前記Nの組成比が0at%より大きく4.2at%以下の範囲内であり、前記Oの組成比が0at%より大きく10.8at%以下の範囲内であることを特徴とする軟磁性膜。
  5. 平均結晶粒径が、0.1μm以下の微細結晶構造である請求項1ないし4のいずれかに記載の軟磁性膜。
  6. Co及びFeの総和を100wt%としたときに、前記Feの組成比は、65.5wt%以上74wt%以下の範囲内である請求項1ないし5のいずれかに記載の軟磁性膜。
  7. 前記Feの組成比は、66wt%以上73wt%以下の範囲内である請求項6記載の軟磁性膜。
  8. 下部コア層及び上部コア層と、前記下部コア層と上部コア層との間に位置し、記録媒体との対向面でトラック幅Twを規制する磁極部とを有する面内磁気記録方式の記録ヘッドであり、
    前記磁極部は、下部コア層と連続する下部磁極層、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記下部磁極層と前記上部磁極層間に位置するギャップ層とで構成され、あるいは前記磁極部は、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記上部磁極層と下部コア層との間に位置するギャップ層とで構成され、
    前記上部磁極層、あるいは、前記下部磁極層、または、前記上部磁極層及び前記下部磁極層は、請求項1ないし7のいずれかに記載された軟磁性膜によりメッキ形成されていることを特徴とする記録ヘッド。
  9. 前記トラック幅Twは、0.05〜0.5μmで、前記上部磁極層の膜厚は0.1〜5.0μmの範囲、前記下部磁極層の膜厚は、0.1〜5.0μmの範囲であり、前記下部磁極層、あるいは、前記上部磁極層、または、前記上部磁極層及び前記下部磁極層は、トラック幅Twのどの部位においても、膜厚方向に見たときに、複数の結晶が存在している請求項8記載の記録ヘッド。
  10. 少なくとも主磁極層を含む垂直磁気記録方式の記録ヘッドであり、前記主磁極層の記録媒体との対向面でトラック幅Twが規制され、前記主磁極層は、請求項1ないし7のいずれかに記載された軟磁性膜によりメッキ形成されていることを特徴とする記録ヘッド。
  11. 前記トラック幅Twは、0.1〜1.0μmで、前記主磁極層の膜厚は0.1〜2.0μmの範囲であり、前記主磁極層は、トラック幅Twのどの部位においても、膜厚方向に見たときに、複数の結晶が存在している請求項10記載の記録ヘッド。
  12. 前記膜厚方向のどの部位においても、前記トラック幅Tw方向に見たときに、複数の結晶が存在している請求項9または11に記載の記録ヘッド。
  13. Fe塩の水溶液と、Co塩の水溶液と、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムと、L−グルタミン酸のみからなるメッキ浴を用いて、CoFeメッキ膜中に、不純物元素としてNとOのみが添加された軟磁性膜をメッキ形成することを特徴とする軟磁性膜の製造方法。
  14. 前記メッキ浴中に、前記ベンゼンスルフィン酸ナトリウムを0.01g/l以上0.10g/l以下の範囲内で添加する請求項13記載の軟磁性膜の製造方法。
  15. 前記メッキ浴中に、前記L−グルタミン酸を0.1g/l以上0.5g/l以下の範囲内で添加する請求項13または14記載の軟磁性膜の製造方法。
  16. 下部コア層及び上部コア層と、前記下部コア層と上部コア層との間に位置し、記録媒体との対向面でトラック幅Twを規制する磁極部とを有する面内磁気記録方式の記録ヘッドの製造方法において、
    前記磁極部を、下部コア層と連続する下部磁極層、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記下部磁極層と前記上部磁極層間に位置するギャップ層とで形成し、あるいは前記磁極部を、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記上部磁極層と下部コア層との間に位置するギャップ層とで形成し、
    このとき前記上部磁極層、あるいは、前記下部磁極層、または、前記上部磁極層及び前記下部磁極層を、請求項13ないし15のいずれかに記載された製造方法による軟磁性膜でメッキ形成することを特徴とする記録ヘッドの製造方法。
  17. 前記磁極部のメッキ形成工程では、前記対向面において、前記磁極部をメッキ形成するための狭小空間を有するフレームを形成し、前記狭小空間では、前記トラック幅Twを、0.05〜0.5μm、前記上部磁極層の膜厚を0.1〜5.0μmの範囲、前記下部磁極層の膜厚を0.1〜5.0μmの範囲内に規制しており、
    前記狭小空間内に、前記メッキ浴を用いて、平均結晶粒径が0.1μm以下の微細結晶構造で、且つ、前記トラック幅Twのどの部位においても、膜厚方向に見たときに、複数の結晶が存在する前記上部磁極層、あるいは、前記下部磁極層、または、前記上部磁極層及び前記下部磁極層をメッキ形成する請求項16記載の記録ヘッドの製造方法。
  18. 記録媒体との対向面でトラック幅Twを規制する主磁極層を含む垂直磁気記録方式の記録ヘッドの製造方法において、
    前記主磁極層を、請求項13ないし15のいずれかに記載された製造方法による軟磁性膜でメッキ形成することを特徴とする記録ヘッドの製造方法。
  19. 前記主磁極層のメッキ形成工程では、前記対向面において、前記主磁極層をメッキ形成するための狭小空間を有するフレームを形成し、前記狭小空間では、前記トラック幅Twを、0.1〜1.0μm、前記主磁極層の膜厚を0.1〜2.0μmの範囲に規制しており、
    前記狭小空間内に、前記メッキ浴を用いて、平均結晶粒径が1μm以下の微細結晶構造で、且つ、前記トラック幅Twのどの部位においても、膜厚方向に見たときに、複数の結晶が存在する前記主磁極層をメッキ形成する請求項18記載の記録ヘッドの製造方法。
  20. 前記軟磁性膜によってメッキ形成された前記下部磁極層、前記上部磁極層、あるいは前記主磁極層は、膜厚方向のどの部位においても、トラック幅Tw方向に見たときに、複数の結晶が存在している請求項17または19に記載の記録ヘッドの製造方法。
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