JP2007107250A - 制振壁構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】建物躯体に取り付けられて、建物躯体が揺れた際に、この揺れを増幅して揺動する揺動体3と、この揺動体3と建物躯体とに取り付けられた制振部材4とを備えた制振装置2を、建物の壁体1内に設置したものであり、
前記揺動体3に、この揺動体3とともに揺動する指針部材5が取り付けられ、
前記壁体1を構成する壁面材1aに、前記指針部材5の振れ幅を確認するための目盛り部6aを有する確認窓6が設けられていることを特徴とする制振壁構造A。
【選択図】図1
Description
これによって、地震等に対する制振効果を発揮するとともに、前記他方の空間に窓や扉等の設置ができ、壁空間の有効な使用ができるようになっている。
その上、点検の結果、制振装置の部品交換作業を行わなければならない時は、前記化粧壁をはがしてから作業を行わなければならなかった。
前記揺動体3に、この揺動体3とともに揺動する指針部材5が取り付けられ、
前記壁体1を構成する壁面材1aに、前記指針部材5の振れ幅を確認するための目盛り部6aを有する確認窓6が設けられていることを特徴とする。
これによって、前記揺動体3の作動状況が正常であるか否かの確認や、前記揺動体3の揺動距離の測定等を行うことができ、前記制振装置2の作動状況を確実に確認することが可能となる。
したがって、前記制振装置2のメンテナンスやバージョンアップ等の品質管理を必要に応じて適宜行うことが可能となり、地震時における安全性がさらに向上する。
前記揺動体3と指針部材5とが、前記指針部材5の振れ幅を増幅する増幅手段7を介して連結されていることを特徴とする。
前記指針部材5の先端部が、前記揺動体3の揺動基点から、離間した位置に配置されていることを特徴とする。
前記壁体1内の所定の位置に、前記揺動体3の振れ幅を検出する検出センサ8が設けられているとともに、前記検出センサ8によって検出した揺動体3の振れ幅情報を表示する表示部9が前記壁面材1aの表面に設けられていることを特徴とする。
したがって、前記制振装置2のメンテナンスやバージョンアップ等の品質管理を必要に応じて適宜行うことが可能となり、地震時における安全性がさらに向上する。
前記制振部材4は、前記揺動体3と建物躯体とに着脱可能に取り付けられており、
前記壁面材1aには、制振部材4と対向する位置に点検口10が設けられていることを特徴とする。
前記点検口10を開閉する扉10aを透明または半透明としたことを特徴とする。
本実施の形態の制振壁構造Aが採用される建物は、複数の直方体状の建物ユニットを上下左右に組み立てることによって構築されるものである。この建物ユニットは、四隅に立設される4本の柱11aと、これらの柱11aの上端間同士を結合する上梁11bと、前記柱11aの下端間同士を結合する下梁11cとで構成された骨組み11を有する。
また、これら柱11a、上梁11b、下梁11cどうし間には複数本の間柱11dや、図示はしないが、複数本の根太、天井小梁、床面材、天井面材、内壁、外壁等が取り付けられて、所定の建物ユニットが完成される。
前記揺動体3に、この揺動体3とともに揺動する指針部材5が取り付けられ、
前記壁体1を構成する壁面材1aに、前記指針部材5の振れ幅を確認するための目盛り部6aを有する確認窓6が設けられている。
なお、前記上支持部14、下支持部15、揺動体3等は、新築の建物に組み込んでもよいし、既設の建物にリフォームとして組み込んでもよい。
制振部材4としては、バネとダンパからなるもの、ゴム、オイルダンパー、粘弾性材料などが好適に使用され、さらには摩擦で震動を減衰させるものでもよい。
ここで言う揺動基点とは、後述する枢結軸24を指しており、この枢結軸24を主軸として前記揺動体3が揺動するようになっている。
すなわち、前記指針部材5は、基端部が前記揺動体3の上端部に位置するように、また、先端部が前記枢結軸24を通過し、かつ、この枢結軸24からなるべく離間するように取り付けられている。
一方、この確認窓6は、上述したように目盛り部6aを有しており、前記指針部材5の振れ幅を測定、確認することができるようになっている。
なお、この目盛り部6aは、例えば、前記指針部材5の背後に設けて、目盛り部6aの目盛りに指針部材5が上から被さるような状態にしても良く、または前記確認窓6に目盛りを直接刻み込んでも良い。本実施の形態では、前記目盛り部6aを前記指針部材5の背後に設けた状態としている。
前記架構面内に、図2(a)に示すように、上支持部14が設けられており、この上支持部14は上部構造部12に、下方に突出するようにして固定されている。
前記上支持部14は、略二等辺三角形板状の鉄板で形成されており、二つの角部がそれぞれ前記柱11aと間柱11dの上端部にそれぞれ固定されている。
前記柱11aと間柱11dの上端部にはそれぞれブラケット16、16が設けられており、これらブラケット16、16には上支持部14の両角部がボルト止めによって固定されている。
また、上支持部14は、その上辺の中央部から上方に一体的に延出するプレート17を有しており、このプレート17の上端部は上梁11bにボルト止めによって固定されている。
このようにして上支持部14は柱11aの上端部、間柱11dの上端部、上梁11bの中央部に固定されている。
前記下支持部15は、略二等辺三角形板状の建築用の構造用パネルで形成されており、下辺部が下部構造部13に以下のようにして固定されている。
すなわち、柱11aおよび間柱11dの下端部にはそれぞれブラケット18、18が設けられており、このブラケット18、18には、フレーム19の両端部がボルト止めによって固定されている。
このフレーム19の中央部は下方に延出しており、この下方に延出した部分が下梁11cにボルト止めによって固定されている。フレーム19の上面には前記下支持部15の下辺部が固定されている。
下支持部15は、複数の鉄製のフレーム20によって略二等辺三角形状の枠体を形成し、この枠体の両面に構造用合板で形成された面材21、21を取り付けてなるものである。このような下支持部15の下辺部を構成するフレーム20が前記フレーム19の上面に固定されることによって、下支持部15がフレーム19を介して下部構造部13に固定されている。
また、下支持部15の上下の長さは、前記上支持部14の上下の長さより長くなっており、下支持部15の厚さも上支持部14の厚さより厚くなっている。
下支持部15は、鉄製のフレーム20で形成された枠体の両面に、構造用合板で形成された面材21、21を取り付けた板状ものであるので、非常に剛性が高いものとなっている。
すなわち、揺動体3は、2枚の揺動板3a、3aによって構成されている。揺動板3a、3aはそれぞれ縦長の六角形板状の鉄板で形成されたものであり、これら揺動板3a、3aは、平行離間して対向している。揺動板3a、3aは上支持部14を、それと所定の隙間をもって挟むようにして配置されており、これら揺動板3a、3aの下端部には、枢結軸22が挿通されている。
一方、前記下支持部15の上端部のフレーム20には、連結部材23の下面が固定されており、この連結部材23は揺動板3a、3a間に挿入されている。そして、この連結部材23には、前記枢結軸22が挿通されており、この枢結軸22を軸として揺動体3が回転可能となっている。なお、枢結軸22を挿通する穴は上下に長い長穴30となっており、これによって、揺動体3が揺動した際の枢結軸22の若干の上方向への移動を逃がしている。
また、揺動板3a、3aの下端部には、枢結軸24が前記枢結軸22より上方位置において挿通されている。一方、前記上支持部14の下端部には、前記枢結軸24が挿通されており、この枢結軸24を軸として揺動体3が回転可能となっている。
また、上支持部14と前記揺動板3a、3aとの間には、スペーサ25、25が介装されており、これらスペーサ25、25にも前記枢結軸24が挿通されている。このスペーサ25、25は揺動板3a、3aの間隔を所定長さに保持するためのものである。
上記のようにして揺動体3は、上部構造部12と下部構造部13との間の中間部より上方位置において、上支持部14と下支持部15との双方に枢結されている。
すなわち揺動体3は上支持部14側に延出しており、この延出している延出部分が前記他方の支持部6に上部構造部12の近傍で前記制振部材4を介して連結されている。
前記揺動板3a、3aの上部裏面、つまり上部の対向する面には、それぞれプレート26、26がボルト27、27によって取り付けられており、このプレート26、26には、四角形板状の粘弾性体(制振部材)4、4が加硫接着または接着剤によって固着されている。
また、上支持部14にはプレート28、28がボルト29、29によって固定されており、このプレート28、28に前記粘弾性体4、4が加硫接着または接着剤によって固着されている。
また、これらスペーサ32・・・にも前記ボルト31、31が挿通されている。これらスペーサ32・・・は揺動板3a、3aの間隔を所定長さに保持するためのものである。また、スペーサ32・・・は上支持部14に形成された長穴30に挿通されているので、揺動体3が揺動することによってスペーサ32・・・が移動しても、長穴30内における移動となるように、長穴30の大きさが設定されている。
このようなスペーサ32・・・とボルト26によって揺動板3a、3aはその間隔が一定に保持され、これによって前記粘弾性体4、4の厚さが一定に保持されるようになっている。
枢結軸24、22が左右に変位することによって、揺動体3が、その二つの枢結位置(枢結軸24、22の位置)間の中央部を中心として振り子のように揺動し、この揺動体3の端部は振れが増幅されて変位し、これによって、前記上部構造部12と下部構造部13との変位が増幅される。
したがって、揺動体3と、上支持部14とを連結している粘弾性体(制振部材)4、4の変形を増幅できるので、骨組み11の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
この基端部には、図2(b)に示すように、取付脚部5aが設けられており、この取付脚部5aによって指針部材5が前記揺動板3aから若干離間するように設定されている。また、前記揺動板3aの略中間部に位置するようにして、もう1つの取付脚部5aが前記指針部材5に設けられており、両方の取付脚部5a、5aによって前記指針部材5が前記揺動板3aの表面に安定的に支持固定された状態となっている。
一方、前記指針部材5の先端部は、前記基端部よりも下方に位置し、上述したように、前記揺動体3の揺動基点である枢結軸24から離間した位置に配置された状態となっている。
すなわち、前記増幅手段7は、回転軸34を備えて回転可能に構成され、かつ、少なくとも一部が伸縮可能に構成されたアーム部材33と、所定の位置に固定され、前記指針部材5と前記アーム部材33とを回動可能に連結する回動支軸35とを備えている。
なお、前記回動支軸35が固定される所定の位置とは、例えば、前記回動支軸35を固定するための支持台(図示せず)を、前記壁面材1aにおいて前記制振装置2の作動に支障を来たさないような位置に設けたり、前記柱11aおよび間柱11d間に、前記制振装置2の作動に支障を来たさないような支持台(図示せず)を架設したり等、建物に振動が生じた際であっても左右に変位し難い箇所、または左右に変位しても、その変異量が小さい箇所が望ましい。
そして、前記第1アーム部33aには前記回転軸34が嵌合する長孔33cが形成されており、前記揺動体3の揺動に合わせて前記回転軸34が前記長孔33c上を移動するようになっている。図示はしないが、前記回転軸34が前記長孔33cの最上部に位置する際は、前記指針部材5が真下を向くようになっており、前記回転軸34が前記長孔33cの最下部に位置する際は、前記揺動体3が最大限まで傾いた時であり、かつ、前記指針部材5が最大限まで振れた時となるように設定されている。
すなわち、前記第1アーム部33aをより短く、これに合わせて前記回動支軸35の配置位置をより高く設定することによって、前記揺動体3とともに前記第1アーム部33aが小さく早く左右に変位し、指針部材5が、前記回動支軸35を中心として大きく、振り子のように揺動する。つまり、指針部材5の振れ幅を増幅することが可能となる。
これによって、前記揺動体3の作動状況が正常であるか否かの確認や、前記揺動体3の揺動距離の測定等を行うことができ、前記制振装置2の作動状況を確実に確認することが可能となる。
したがって、前記制振装置2のメンテナンスやバージョンアップ等の品質管理を必要に応じて適宜行うことが可能となり、地震時における安全性がさらに向上する。
次に、上述の第1の実施の形態の制振装置2とは異なる形式の制振装置2Aを用いた制振壁構造Aについて説明する。
なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。また、本実施の形態の制振壁構造Aが採用される建物は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で構築される。
前記揺動体3Aに、この揺動体3Aとともに揺動する指針部材5Aが取り付けられ、
前記壁体を構成する壁面材1Aaに、前記指針部材5Aの振れ幅を確認するための目盛り部6Aaを有する確認窓6Aが設けられている。
ここで言う揺動基点とは、後述する軸55、55を指しており、この軸55、55を主軸として前記揺動体3Aが揺動するようになっている。
一方、この壁面材1Aaは、上述したように目盛り部6Aaを有しており、前記指針部材5Aの振れ幅を測定、確認することができるようになっている。
なお、この目盛り部6Aaは、上述した第1の実施の形態とは異なり、目盛りが上方に向かって放射するような状態となっている。
前記フレーム36は、左右一対の縦フレーム40、40と、上下一対の横フレーム41、41とを矩形枠状に組み立てることによって形成されている。
一対の縦フレーム40、40は平行離間して配置されており、それぞれ帯板状の取付板44と、この取付板44に直角に立設された帯板状の立設板45とから構成され、断面T字状に形成されている。
取付板44は壁パネル1Aに形成された矩形状の開口部1Aeの内周面に取り付けられるものであり、その外側を向く面は前記開口部1Aeの内周面に当接固定される固定面46とされている。また、取付板44には、図示しないビス孔が上下に所定で2列形成されている。そして、取付板44は、その固定面46を開口部1Aeの内周面に当接固定したうえで、ビス孔にビスを通して開口部1Aeの内周面にねじ込むことによって、該内周面に取り付けられるようになっている。
また、立設板45には、上下に所定間隔で孔が複数形成されている。これら孔は、立設板45に支持部37をボルト47によって取り付ける際に使用される孔である。
また、一対の支持板38、38の上下に沿う辺部間には、前記立設板45が挿入されている。そして、一対の支持板38、38の上下に沿う辺部と、前記立設板45とにはそれぞれ孔が上下に所定間隔で複数形形されており、これら孔に、図5に示すように、ボルト47が挿通され、この挿通されたボルト47にナットを螺合して締め付けることによって、立設板6dに一対の支持板38、38、すなわち支持部37が設けられている。
すなわち、揺動体3Aは板状でかつ略菱形状に形成されており、長手方向を上下に向けて配置されている。揺動体3Aの中央部の左半分は、一方の支持部37の支持板38、38間に挟まれており、右半分は他方の支持部37の支持板38、38間に挟まれている。
また、一方の支持部37の支持板38、38の頂部には孔が形成されており、他方の支持部37の支持板38、38の頂部にも孔が形成されている。一方、揺動体3Aの中央部には、左右に離間して孔が形成されており、これら孔のうち左側の孔39は左右に長い長孔となっている。
そして、一方の支持部の支持板38、38に形成された孔と、揺動体3Aの中央部に形成された一方の長孔39とには、軸55が揺動体3Aを回転可能とするように、かつ、長穴の長さ方向に摺動可能となるように挿通されている。この軸55は例えば先端部にねじ部を有するボルト55で形成されており、このボルト55は前記孔に挿通され、これら孔に挿通されたボルト55にはナットが螺合されている。
また、他方の支持部の支持板38、38に形成された孔と、揺動体3Aの中央部に形成された他方の孔とには、軸55が揺動体3Aを回転可能とするように挿通されている。この軸55も先端部にねじ部を有するボルト55で形成されており、このボルト55は前記孔に挿通され、これら孔に挿通されたボルト55にはナットが螺合されている。
これによって、揺動体3Aは、一対の支持部37、37によって軸55、55を介して支持されており、この揺動体3Aは、震動によって一対の支持部37、37が変位した場合に、該一対の支持部37、37間の略中央部、言い換えれば、軸55、55間の中央部を中心として振れるように構成されている。
すなわち、図6に示すように、制振ボックス4Aは、フレーム36の横フレーム41に設けられた設置部54に取り付けられる箱状のボックス42と、このボックス42内に取り付けられた一対の制振ゴム(制振部材4A)43、43と、これら制振ゴム43、43間に挿入され、かつ、該一対の制振ゴム43、43に固着されたプレート57とを備えている。
ボックス42は、対向する一対の側板58、58と、該側板58、58の両端部間にそれぞれ配置され、該側板58、58に取り外し可能に対向して取り付けられた一対の端板59、59とから構成されている。一対の側板58、58の両端部には穴が形成されており、一対の端板59、59の側端面には、ボルト孔が形成されている。そして、これら孔とボルト孔を合わせたうえで、孔にボルト60を挿入してボルト孔に螺合して締め付けることによって、側板58、58と端板59、59とがボックス状に組み立てられており、ボルト60を取り外すことによって、側板58、58から端板59、59を取り外せるようになっている。また、端板59にはそれぞれ4つのボルト孔(図示せず)が形成されている。
プレート57の一端部(上端部)は、ボックス42より上方に突出しており、この突出している一端部には、3つの孔(図示せず)が形成されている。
このフレーム36を構成する一対の縦フレーム40、40の取付板44、44の外側を向く面が固定面46とされており、この固定面46が開口部1Aeの縦方向に沿う内周面に当接固定され、取付板44、44にビスを通して開口部1Aeの縦方向に沿う内周面にねじ込むことによって、該縦フレーム40、40が縦方向に沿う内周面に取り付けられている。
同様に、フレーム36を構成する一対の横レーム7、7の取付板48、48の外側を向く面が固定面50とされており、この固定面50が開口部1Aeの横縦方向に沿う内周面に当接固定され、取付板48、48にビスを通して開口部1Aeの縦方向に沿う内周面にねじ込むことによって、該横フレーム41、41が横方向に沿う内周面に取り付けられている。
このようにして、壁パネル1Aの開口部1Aeに制振装置2Aが組み込まれている。
フレーム36が略平行四辺形状に変形すると、一対の支持部37、37が斜め上下に互いに離間するようにして変位する。
一対の支持部37、37が変位することによって、揺動体3Aが一対の支持部37、37間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この揺動体3Aの端部は振れが増幅され、これによって、前記一対の支持部37、37の変位が増幅される。
そして、揺動体3Aの端部と制振ボックス4Aのプレート57とが連結されており、この連結プレート57は制振ゴム43、43間に挿入されかつ該一対の制振ゴム43、43に固着されているので、この制振ゴム43、43の変形を増幅できる。したがって、建物1の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、制振ゴム43、43の変形速度も建物1の変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する粘弾性材料から形成された制振ゴムを用いる場合には、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
また、この指針部材5Aは、上述した第1の実施の形態と同様に、取付脚部(図示せず)が設けられており、この取付脚部によって指針部材5Aが前記揺動体3Aから若干離間するように設定されている。
なお、前記揺動体3Aと指針部材5Aとを、上述したように、前記指針部材5Aの振れ幅を更に増幅させる増幅手段(図示せず)を介して連結しても良い。
次に、上述の第1および第2の実施の形態の制振装置2Bとは異なる形式の制振装置2Bを用いた制振壁構造Aについて説明する。
なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。また、本実施の形態の制振壁構造Aが採用される建物は、在来の木造軸組み工法で構築される。
前記揺動体3Bに、この揺動体3Bとともに揺動する指針部材5Bが取り付けられ、
前記壁体1Bを構成する壁面材1Baに、前記指針部材5Bの振れ幅を確認するための目盛り部6Baを有する確認窓6Bが設けられている。
したがって、矩形フレーム68は左右方向に力が作用すると平行四辺形を形成するようにして変形可能となっている。なお、縦フレーム70、横フレーム71は鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
また、縦フレーム70は、矩形フレーム68の外周面を構成する帯板状の外周板部70aと、この外周板部70aの内面に直角に形成されて、前記支持部69が取り付けられる帯板状の内側板部70bとから構成され、断面T字状に形成されている。
横フレーム71は、矩形フレーム68の外周面を構成する帯板状の外周板部71aと、この外周板部71aの両端部の内面にそれぞれ直角に形成されて、前記縦フレーム70の内側板部70bの端部にピン結合される内側板部71b、71bとを備えており、内側板部71b、71bには後述する制振ボックス4Bが取り付けられるようになっている。
さらに、矩形フレーム68の厚さは、上下の構造材64、65と左右の構造材66、67とで構成される矩形状の壁構成部分の厚さより薄くなっている。
したがって、制振装置2Bの矩形フレーム68は、上下の構造材64、65と左右の構造材66、67とで囲まれた空間内に納まる、つまり、上下の構造材64、65と左右の構造材66、67とで構成される矩形状の壁構成部分の内部に組み込むことができるようになっている。
支持部69は長方形板状の2枚の支持板69a、69aによって構成されており、支持板69a、69aの一方の側部は、前記内側板部70bを挟むようにして該内側板部70bに固定されている。支持板69a、69a間には所定の間隔が設けられており、該2枚の支持板69a、69a間には、前記制振機構を構成する揺動体3Bの中央部が挿入されて支持されるようになっている。
揺動体3Bは板状でかつ、縦長の八角形状に形成されており、長手方向を上下に向けて配置されている。揺動体3Bの中央部の左半分は、一方の支持部69の支持板69a、69a間に挟まれており、右半分は他方の支持部69の支持板69a、69a間に挟まれている。なお、揺動体3Bは鉄やアルミニウム等の金属によって形成されている。
前記一対の支持部69、69の先端部によって揺動体3Bの長手方向中央部が支持されており、この揺動体3Bは、地震等の振動によって矩形フレーム68が変形して一対の支持部69、69が変位した場合に、該一対の支持部69、69間の略中央部を中心として振れるように構成されている。
この軸72は、例えば、先端部にねじ部を有するボルト72で形成されており、このボルト72は前記孔に挿通され、これら孔に挿通されたボルト72にはナットが螺合されている。
また、他方の支持部69の支持板69a、69aに形成された孔と、揺動体3Bの中央部に形成された他方の孔とには、軸72が揺動体3Bを回転可能とするように挿通されている。この軸72も先端部にねじ部を有するボルト72で形成されており、このボルト72は前記孔に挿通され、これら孔に挿通されたボルト72にはナットが螺合されている。
これによって、揺動体3Bは、一対の支持部69、69によって軸72、17を介して支持されており、この揺動体3Bは、地震等の振動によって一対の支持部69、69が変位した場合に、該一対の支持部69、69間の略中央部、言い換えれば、軸72、72間の中央部を中心として振れるように構成されている。
ボックス73の対向する内面にはそれぞれ粘弾性体4Ba、4Baが接着剤等によって固着されている。これら粘弾性体4Ba、4Ba間には、プレート74が挿入されており、該プレート74の表面は前記粘弾性体4Ba、4Baに固着されている。プレート74の一端部は、ボックス73より突出しており、この突出している一端部は、揺動体3Bの端部に連結されている。
また、前記ボックス73の端面には、取付プレート75、75が突出形成されている。そして、制振ボックス4Bは、ボックス73を横フレーム71の外周板部71aに設置したうえで、ボックス73の取付プレート75、75を内側板部71b、71bにボルトによって連結することによって横フレーム71の略中央部に取り付けられている。
なお、制振ボックス4Bのボックス73、プレート74等は鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
すなわちまず、図7に示すように、制振装置2Bの矩形フレーム68を構成する縦フレーム70の外周板部70aには、工場等によって予め木材76が固定されている。この木材76は縦フレーム70と等しい長さの角材であり、外周板部70aに接着や釘打ち等によって固定されている。
一方、躯体を構成する左右の構造材66、67の内側面には補強材77が接着や釘打ち等によって固定されている。この補強材77は木材で形成された角材であり、上下の長さは左右の構造材(柱)66、67より若干短くなっている。なお、この補強材77は柱径が細い場合の補強のために用いるものであり、柱径が太く補強の必要がない場合は用いないこともある。
そして、木材76、76が取り付けられた制振装置2Bは、現場で上下の構造材64、65と左右の構造材66、67とで囲まれた部位(空間)に、矩形フレーム68および木材76、76を、上下の構造材64、65および左右の構造材66、67の補強材77、77から離間するようにして配置されている。この状態において、制振装置2Bの木材76、76と、左右の構造材66、67の補強材77、77との間には若干の隙間が設けられており、この隙間に埋木78・・・が充填されている。埋木78は矩形フレーム68の上下方向の端部側と中央部側とにそれぞれ複数個充填されている。また、制振装置2Bは上下の構造材64、65と左右の構造材66、67とで囲まれた部位(空間)の中央部に配置されている。
そして、一方の接合材79は一方の木材76と左の構造材66とに釘打ちや接着によって固着され、他方の接合材79は、他方の木材76と右の構造材67とに釘打ちや接着によって固着されており、これによって、左右の構造材66、67には、矩形フレーム68が接合材79、79を介して剛接合されている。
そしてこのような面材80、80は、上下の構造材64、65および左右の構造材66、67に固定されている。すなわち、上側の面材80はその上縁部を上の構造材64に当接して接着や釘打ちによって固定するとともに、左右両縁部をそれぞれ左右の補強材77、77の上端部に当接して接着や釘打ちによって固定することによって構造材に固定されている。また、下側の面材80はその下縁部を下の構造材65に当接して接着や釘打ちによって固定するとともに、左右両縁部をそれぞれ左右の補強材77、77の下端部に当接して接着や釘打ちによって固定することによって構造材に固定されている。
さらに、前記接合材79、79間には構造用合板で形成された面材81が配置されており、この面材81は前記左右の木材76、76に接着や釘打ちによって固定されている。この面材81、前記接合材79、面材80、80の表面はほぼ面一となっており、これによって、この面一の面に外装材を取り付けることができる。
矩形フレーム68が略平行四辺形状に変形すると、一対の支持部69、69が斜め上下に互いに離間するようにして変位する。
一対の支持部69、69が変位することによって、揺動体3Bが一対の支持部69、69間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この揺動体3Bの端部は振れが増幅され、これによって、前記一対の支持部69、69の変位が増幅される。
そして、揺動体3Bの端部と制振ボックス4Bのプレート74とが連結されており、この連結プレート74は粘弾性体4Ba、4Ba間に挿入されかつ該一対の粘弾性体4Ba、4Baに固着されているので、この粘弾性体4Ba、4Baの変形を増幅できる。したがって、建物の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、粘弾性体4Ba、4Baの変形速度も建物の変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する粘弾性材料から形成された粘弾性体を用いる場合には、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
なお、この指針部材5Bは、上述した第1および第2の実施の形態と同様に、取付脚部(図示せず)が設けられており、この取付脚部によって指針部材5Bが前記揺動体3Bから若干離間するように設定されている。
また、前記揺動体3Bと指針部材5Bとを、上述したように、前記指針部材5Bの振れ幅を更に増幅させる増幅手段(図示せず)を介して連結しても良い。
次に、図面を参照して本発明に係る制振壁構造Aの第4の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1〜第3の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
また、本実施の形態の制振壁構造Aが採用される建物は、複数の直方体状の建物ユニットを上下左右に組み立てることによって構築されるものである。
前記壁体1C内の所定の位置に、前記揺動体3Cの振れ幅を検出する検出センサ8が設けられているとともに、前記検出センサ8によって検出した揺動体3Cの振れ幅情報を表示する表示部9が前記壁面材(図示せず)の表面に設けられている。
前記発光部8aは、前記揺動体3Cの揺動方向に対して直交する方向に赤外線を発光するように設定されており、この発光部8aより発光された赤外線を受光部8bが受光するか否かにより揺動体3Cの存在を検知するようになっている。
なお、本実施の形態においては、前記検出センサ8として赤外線センサを用いたが、これに限られるものではなく、例えば、電波・圧力・磁気・超音波等のセンサを用いても良く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、この表示部9と連動して、例えば、スピーカ85やランプ86が作動しても良い。すなわち、前記スピーカ85からは前記揺動体3Cの振れ幅情報を音声で伝達することができ、前記ランプ86からは前記揺動体3Cの振れ幅情報を光で伝達することができるようになっている。
このように、スピーカ85やランプ86が連動して作動することによって、例えば、居住者がディスプレイ9aに表示される情報が視認できない位置にいたとしても、ランプ86の点灯によって情報を得ることができたり、スピーカ85からの音声によって情報を得ることができたり等が可能となる。
さらに、これら表示部9やスピーカ85、ランプ86の作動の組み合わせを予め設定しておくことで、伝達手段としてのバリエーションが豊富になるので、外部からは見えない揺動体3Cの作動状況をより確実に確認することが可能となる。
すなわち、建物に発生した揺れを感知した際に、その揺れがどの程度の強さの揺れなのか、またはその揺れが地震によるものなのか、風や交通振動等の生活振動等によるものなのかなどを判別することができるようになっている。
より具体的には、例えば5つの発光部を備えたランプが前記表示部9の近傍に設けられている。このようなランプは揺れを感知した際、前記5つの発光部のうち、いくつ光るかによって揺れの強さを伝達し、光った発光部の色(例えば、生活振動ならば青色、地震ならば赤色)によって揺れの種類を伝達するような構成とする。例えば、5つの発光部のうち3つ点灯し、その光の色が青だった場合には、揺れのレベルが3の生活振動が建物に発生したこととなる。また、5つの発光部のうち1つ点灯し、その光の色が赤だった場合には、揺れのレベルが1の地震が発生したこととなる。
なお、本実施の形態のランプ86および異なる態様のランプは以上のように説明したが、これに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
この情報処理部87は、前記振れ幅情報や各データを記憶するための記憶部(図示せず)や、前記表示部9に指示を送り、実行させるためのプログラムを有するプログラム部(図示せず)や、これら各部を制御するマイコン部(図示せず)とを備えて構成されている。
また、この情報処理部87は、図9に示す操作部89によって、各種設定等を行うことができるようになっている。
したがって、前記制振装置2Cのメンテナンスやバージョンアップ等の品質管理を必要に応じて適宜行うことが可能となり、地震時における安全性がさらに向上する。
次に、図面を参照して本発明に係る制振壁構造Aの第5の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1〜第4の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
すなわち、一方の建物ユニットによる建物の場合の制振部材4Dは、図2に示すように、十字状に組んだ、異なる2種類のプレート26D、26Dおよび28D、28D間に粘弾性体等が設けられることにより構成されている。
他方のパネル工法および木造軸組工法による建物の場合の制振部材4Dは、図6および図8に示すように、前記揺動体3Dの端部に取り付けられた箱状のボックス42D、73D内に取り付けられた一対の制振ゴムで構成されているものである。
すなわち、前記複数のボルトを取り外すことによって前記制振部材4Dを取り外すことができ、また、前記複数のボルトで固定することによって前記制振部材4Dを建物躯体に取り付けることができるようになっている。
さらに、この扉10aは、透明または半透明となっている。つまり、前記点検口10を開閉する扉10aが透明または半透明であることによって、外部から制振装置2Dの作動状況を容易に確認することができるようになっている。
なお、パネル工法および木造軸組み工法で構築した建物に採用される制振装置2Dの場合、揺動体3Dの上下端部に制振部材4Dが取り付けられているため、図12に示すように、前記壁面材1Daの上下に前記点検口10を設けるようにする。
次に、図面を参照して本発明に係る制振壁構造Aの第6の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1〜第5の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
また、本実施の形態の制振壁構造Aが採用される建物は、複数の直方体状の建物ユニットを上下左右に組み立てることによって構築されるものである。
次に、図面を参照して本発明に係る制振壁構造Aの第7の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1〜第6の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。また、本実施の形態の制振壁構造Aが採用される建物は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で構築される。
また、前記面材1Faが透明または半透明となっているので、クローゼット90の扉を開けただけで前記制震装置2Fの制振状況を確認することが可能となる。さらに、この面材1Faが開閉自在となっているので、上述のように制震装置2Fがクローゼット90の内部に設けられていても、メンテナンスを容易に行うことが可能となっている。
1 壁体
1a 壁面材
2 制振装置
3 揺動体
4 制振部材
5 指針部材
6 確認窓
6a 目盛り部
Claims (6)
- 建物躯体に取り付けられて、建物躯体が揺れた際に、この揺れを増幅して揺動する揺動体と、この揺動体と建物躯体とに取り付けられた制振部材とを備えた制振装置を、建物の壁体内に設置した制振壁構造において、
前記揺動体に、この揺動体とともに揺動する指針部材が取り付けられ、
前記壁体を構成する壁面材に、前記指針部材の振れ幅を確認するための目盛り部を有する確認窓が設けられていることを特徴とする制振壁構造。 - 請求項1に記載の制振壁構造において、
前記揺動体と指針部材とが、前記指針部材の振れ幅を増幅する増幅手段を介して連結されていることを特徴とする制震壁構造。 - 請求項1または2に記載の制振壁構造において、
前記指針部材の先端部が、前記揺動体の揺動基点から、離間した位置に配置されていることを特徴とする制震壁構造。 - 建物躯体に取り付けられて、建物躯体が揺れた際に、この揺れを増幅して揺動する揺動体と、この揺動体と建物躯体とに取り付けられた制振部材とを備えた制振装置を、建物の壁体内に設置した制振壁構造において、
前記壁体内の所定の位置に、前記揺動体の振れ幅を検出する検出センサが設けられているとともに、前記検出センサによって検出した揺動体の振れ幅情報を表示する表示部が前記壁面材の表面に設けられていることを特徴とする制振壁構造。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の制振壁構造において、
前記制振部材は、前記揺動体と建物躯体とに着脱可能に取り付けられており、
前記壁面材には、制振部材と対向する位置に点検口が設けられていることを特徴とする制振壁構造。 - 請求項5に記載の制振壁構造において、
前記点検口を開閉する扉を透明または半透明としたことを特徴とする制振壁構造。
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