JP2007105788A - ピアシング方法及びそれに用いるカウンターパンチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハイドロフォーム加工により側面に円形断面の張出し部を形成する金属素管の前記張出し成形部分に、所望の開口部径と同じ外径の押圧面を有する内型とその外周側に張出し部径と同じ外径の押圧面を有する外型を組み合わせた複動式のカウンターパンチを配置した後、前記金属素管に軸方向圧縮力と内圧を加えるとともに、前記カウンターパンチを後退させて金属素管側面に円形断面の張出し部を形成させつつ、前記カウンターパンチの内型と外型を相対的に移動させて前記張出し部の先端面に前記開口部径に沿った段差部を形成させ、前記張出し部が所望高さになった時点で、前記カウンターパンチを強制後退させてカウンターパンチ内型押圧面に当接している張出し部先端面を前記段差部に沿ってせん断分離させる。
【選択図】図7
Description
ところで、ハイドロフォーム加工は、金型内に設置された管体への成形内圧と軸押し込み量の組合せによって管体を様々な形状に成形するものである。
この際、前記張出し部の形成を自由張出し成形により行うと、張出し部への材料流入が不足してその頭頂部の減肉が著しく、溶接を行うために必要な成形高さを得ることが難しくなる。そこで、張出し部の成形高さ及び平坦度を出すために、張出し部形成用孔内にカウンターパンチを配置する技術が採用されている。
金型1,2内に設置された素管Mの両端を軸押しパンチ5で固定した後、前記軸押しパンチ5を貫通している通液孔(図示せず)から液体を圧入して管内の内圧を高めていくとともに前記軸押しパンチ5に軸押し力6を加えて張出し用孔内に材料を流入させて張出し部7を形成する。この際、張出し用孔3に配置され、かつ付勢圧が加えられたカウンターパンチ4の作用により、カウンターパンチ4と上金型1との間にコーナーRが形成される。これによりカウンターパンチ4がない場合と比較して変形域が小さくなるため、割れが発生し難くすることができるものである(図3)。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、先端が開口した張出し部を有する分岐管をハイドロフォーム加工により製造する際に、張出し部の成形高さが高くしかも先端の開口をハイドロフォーム加工と同時に穿つ方法を提供することを目的とする。
張出し部の先端面に開口部径に沿った段差部を形成させるための、カウンターパンチの内型と外型の相対的な移動距離は被加工素管の板厚以下にすることが好ましい。
このカウンターパンチは、駆動用の油圧シリンダーに接続され、当該油圧シリンダーと内型の間、又は当該油圧シリンダーと外型の間にバネが介挿されていることが好ましい。
また、内型と外型がそれぞれ別々の油圧シリンダーにより接続されていてもよい。
その結果、凸型のパンチは開口部を打抜く観点では有効であるものの、ハイドロフォーム加工による成形の初期段階から凸部の溝に材料が入り込むために、当該部分に歪みが集中し、肉厚が急激に減少するため、比較的低い内圧条件下にて破断に至ることがわかった。
通常通り、型の一部に張出し用孔を有する下型又は上型を、上型又は下型と組合せ、前記張出し用孔内に付勢圧が掛けられるようにカウンターパンチを配置した金型を用いる。この際、カウンターパンチとして、その要部のみを図5に示すような複動式のものを用いる。
このカウンターパンチは、全体としては金属素管の側面に形成する張出し部の径、すなわち、金型の一部に形成した張出し用孔の内径に近似した外径を有するものであって、内型と外型が組合されている。その内型は、張出し部先端に形成する開口部の径と同じ外径の押圧面を備えている。また外型は、張出し部の径、すなわち金型に形成した張出し用孔の内径に近似した外径の押圧面を有し、内型の外周側に、その側面に沿って摺動可能に組み合わされている。なお、内型と外型は同軸に組み合わされていることが好ましい。
具体的には、例えば図6(a)に示すように、外型は直接に、内型はバネを介して油圧シリンダーの作用面に取り付ける。この際、外型及び内型の高さとバネの付勢力の調整により、カウンターパンチに成形内圧が掛かっていない状態では外型及び内型の押圧面が面一になり、成形時の最大内圧が掛かった時点で、外型の内側で内型が摺動した距離hが素管の板厚t以下になるように調整されているものとする(図6(b)参照)。
この状態で、金属素管に軸方向圧縮力と内圧を加えると、張出し用孔内で外側に張出す圧力が油圧シリンダーの付勢圧を上回ってカウンターパンチが徐々に後退するようになり、金属素管の側面に円形断面の張出し部が形成させる。
この際、カウンターパンチの内型押圧面に係る内圧がバネの付勢力を上回ると、内型と外型の押圧面に段差部が形成されるようになる(図7(b)参照)。
張出し部の高さが所望高さになった時点で、油圧シリンダーの作動をOFFにし、カウンターパンチに加えていた付勢圧を一挙に解除すると、前記張出し部の肉厚減少部は成形内圧に耐え切れなくなる。そしてその部分から張出し部先端面はせん断破断し、カウンターパンチは強制後退する(図7(c)参照)。
被加工金属素管には、まだ内圧が掛かった状態であるから、せん断破断した破断片はカウンターパンチの内型押圧面に付着した状態で、張出し部先端から離される。また、カウンターパンチ内型の押圧面は、形成しようとする開口部と同じ大きさに形作られているので、張出し部の先端には、カウンターパンチ内型の押圧面と同じ形状の開口部が形成されることになる。
このようなカウンターパンチを用いて成形した場合、開口形成部の金属壁が内側になるように段差部が形成される点以外に変形態様や肉厚減少態様に差異がない。張出し高さが所定の高さになった時点で、油圧シリンダーの作動をOFFにし、カウンターパンチの付勢圧を解除すると、同様に開口部が形成される。
この場合、張出し成形を開始し、所定の張出し高さを得るまでは2つの油圧シリンダーは、当接面積当り同じ付勢圧が掛かるように圧力調整する。そして、所定の張出し高さになった時点で何れかの油圧シリンダーの付勢圧を調整し、内型と外型の押圧面に段差部を形成させる。この際、この段差が板厚よりも僅かに小さくなるように、前記付勢圧を調整することが好ましい。形成された段差部は前記と同様に肉厚が減少している。
したがって、その後に2つの油圧シリンダーの作動を同時にOFFにし、カウンターパンチに加えていた付勢圧を一挙に解除すると、前記と同様に開口部が形成される。
金型として、図2に示す構造を持ち、S50C工具鋼製で、直線部内径:45mm,張出し部内径:42.7mmで、両者の間のコーナーRを15Rとしたものを用いた。また、カウンターパンチもS50C工具鋼製とし、外径:42mm,内径40mm,高さ:40mmの外型と、外径40mm,高さ20mmの内型を組み合わせたものを用い、内型の裏面と油圧シリンダーの間に縮み量を種々変更したスプリングバネを配した。
そして、張出し高さ(カウンターパンチ外型の移動量)が27.5mmになった時点で、カウンターパンチに加えていた圧を一挙に解除した。
その後、張出し部の成形高さ及び開口部の抜き状態を観察した。
その結果を表1に示す。
また、開口部の抜き状態については、問題なくピアシングできたものを○で,ピアシングできなかったものを×で表している。
これに対して、バネの縮み量を大きくし、所望の張出し高さ27.5mmに成形するに必要な内圧が掛かった時点で、外型の内側で内型が摺動した距離hが素管の板厚2.0mmを超えるように調整されると、ピアシングは行えたものの、張出し高さが27.5mmになる前に張出し部で破断を生じたため、目標高さが得られなかった。
5:軸押しパンチ 6:軸押し力 7:張出し部 8:抜きカス
M:素管
Claims (6)
- ハイドロフォーム加工により金属素管の側面に円形断面の張出し部を形成し、当該張出し部の先端にピアシング加工により開口部を設ける方法であって、前記金属素管の張出し成形部分に、前記開口部径と同じ外径の押圧面を有する内型とその外周側に張出し部径と同じ外径の押圧面を有する外型を組み合わせた複動式のカウンターパンチを配置した後、前記金属素管に軸方向圧縮力と内圧を加えるとともに、前記カウンターパンチを後退させて金属素管側面に円形断面の張出し部を形成させつつ、前記カウンターパンチの内型と外型を相対的に移動させて前記張出し部の先端面に前記開口部径に沿った段差部を形成させ、前記張出し部が所望高さになった時点で、前記カウンターパンチを強制後退させてカウンターパンチ内型押圧面に当接している張出し部先端面を前記段差部に沿ってせん断分離させることを特徴とするピアシング方法。
- ハイドロフォーム加工により金属素管の側面に円形断面の張出し部を形成し、当該張出し部の先端にピアシング加工により開口部を設ける方法であって、前記金属素管の張出し成形部分に、前記開口部径と同じ外径の押圧面を有する内型とその外周側に張出し部径と同じ外径の押圧面を有する外型を組み合わせた複動式のカウンターパンチを配置した後、前記金属素管に軸方向圧縮力と内圧を加えるとともに、前記カウンターパンチを後退させて金属素管側面に円形断面の張出し部を形成させ、前記張出し部が所望高さになった時点で前記カウンターパンチの内型と外型を相対的に移動させて前記張出し部の先端面に前記開口部径に沿った段差部を形成させ、その後に前記カウンターパンチを強制後退させてカウンターパンチ内型押圧面に当接している張出し部先端面を前記段差部に沿ってせん断分離させることを特徴とするピアシング方法。
- カウンターパンチの内型と外型の相対的な移動距離を被加工素管の板厚以下にする請求項1又は2に記載のピアシング方法。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載のピアシング方法に用いる複動式のカウンターパンチであって、張出し部先端の所望開口部径と同じ外径の押圧面を有する内型とその外周側に張出し部径と同じ外径の押圧面を有する外型が被加工金属素管の板厚以下の距離で相対的に移動可能に組込まれていることを特徴とするピアシング用カウンターパンチ。
- 油圧シリンダーにより駆動されるカウンターパンチであって、油圧シリンダーと内型の間、又は油圧シリンダーと外型の間にバネが介挿されている請求項4に記載のピアシング用カウンターパンチ。
- 油圧シリンダーにより駆動されるカウンターパンチであって、内型と外型がそれぞれ別々の油圧シリンダーにより接続されている請求項4に記載のピアシング用カウンターパンチ。
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