JP5790350B2 - プレス成形装置及びプレス成形方法 - Google Patents
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Description
図11はこのようなハット状断面形状の構造部材をプレス成形する装置及び方法を説明する説明図である。まず、図11に基づいてハット状断面形状のプレス成形装置及び方法を概説する。
このように構成されたプレス成形装置41によってハット状断面形状の部材を成形する方法は、ダイ43の凹陥部を覆うように金属素板7を配置すると共にしわ押さえ47によって金属素板7を所定の押圧力で押え、パンチを金属素板の上面から凹陥部に挿入する。
そこで、このような現象を極力小さくして所望の形状を得ようとした工夫が行われている。
例えば、特許文献1においては、第1成形工程で成形した仮成形体がダイの成形凹部に収容保持された状態でパンチをダイの成形凹部に挿入する第2成形工程を行う成形方法が開示されている。
このようなフランジと縦壁部とをつなぐ部位の曲率が大きいハット状断面形状をプレス成形する場合、例えば特許文献1において適用されている2工程での成形が考えられる。つまり、いったん小さな曲率を持つ金型で中間的な形状にプレス成形し、その後この中間的な形状のプレス成形対象物をさらに大きな曲率を持つ金型でプレス成形するというものである。
しかし、このようなプレス成形方法だと、金型が2種類必要であり、かつ金型を代えての2工程でのプレス成形となり、経済性、生産性に劣る。
前記ダイは、前記凹陥の肩部に開口孔が形成されていると共に該開口孔に出没可能に配設された先端に曲率を有する肩部材と、該肩部材を常時は先端が前記開口孔の内部に引っ込んだ状態で保持し、成形途中において前記開口孔から出る方向に押圧する押圧手段を備え、
前記肩部材の曲率は前記開口部の開口孔端部を繋いで形成される円弧の曲率半径よりも小さい曲率半径を有することを特徴とするものである。
該第1工程において、前記パンチが全ストロークの70%以上移動したときに前記肩部材を前記開口孔から突出させて前記ハット状断面の縦壁とフランジ部の連結部を成形する第2成形工程とを備えてなることを特徴とするものである。
本発明の実施の形態について図1〜図4に基づいて説明する。本実施の形態は、金属素板7をハット断面形状にプレス成形するプレス成形装置1を示している。図11に示したものと天地逆になっているが、原理的には同じである。
油圧シリンダ15には図示しない油圧ポンプが接続されており、油圧ポンプはやはり図示しない制御装置によって駆動制御され、それによって作動油が配管17を介して肩部材13を押圧する先端部18に送られる。これによって、ダイ3の下降途中における予め定められたタイミングにて肩部材13は開口孔11から突出するように押圧される。
開口孔11の端部には、図3に示すように曲率半径R2、R3をもつ滑らかな円弧状が形成されている。
成形が開始されると、図4(b)に示すように、ダイ3が下降してパンチ5によって金属素板7がダイ3の凹陥部に入り込むように変形される。その後、図4(c)の状態を経て図4(d)に示すようにダイ3が下死点に達すると、図4(e)に示すように、肩部材13を開口孔11から突出させ、ハット状断面形状におけるフランジと縦壁部とをつなぐ部位を肩部材13によって成形する。
なお、肩部材13を突出させるタイミングとして、ハット状断面形状の縦壁の70%以上が成形される前に肩部材13を突出させると、肩部材13の先端の曲率が大きい(曲率半径が小さい)ので抵抗が大きくなり、成形不良が生ずる可能性がある。
0.25≦R4/R1≦0.8 (1)
R4/R1の値が0.25を下回ると、曲率半径R1に対して肩部材13の曲率半径R4が相対的に小さく、先端が尖った形状になるため、肩部材13を開口孔11から突出させて金属素板7を押圧する際に、肩部材13によって金属素板7に穴があく可能性がある。
またR4/R1の値が0.8を超えると、肩部材13を開口孔11から突出させ金属素板7を押圧しても、プレス成形後の金属素板7のスプリングバックにより、成形目標形状に成形できない可能性がある。
肩部材13を引き込ませる距離dが、金属素板7の板厚を超えている場合、金属素板7をプレス成形していく過程において、開口孔11に金属素板7が入り込み、開口孔11端部によって金属素板7に穴が開いてしまう可能性がある。
しかし、距離dが金属素板7の板厚以下であれば、プレス成形していく過程において、金属素板7を肩部材13の先端で保持することができるため、金属素板7が開口孔11に入り込まず、金属素板7に孔が開いてしまうことを防ぐことができる。
本発明の他の実施の形態のプレス成形装置31を図5に基づいて説明する。
実施の形態1においては押圧手段として油圧シリンダ15を示したが、本実施の形態においては押圧手段の他の例として、カム装置によるものを示す。なお、本実施の形態のプレス成形装置31は、押圧手段以外のパンチ5やしわ押さえ9等は実施の形態1のプレス成形装置と同じであるので、図5中では実施の形態1と同じものについては、同じ符号を付している。
固定カムドライバ35には、傾斜面35aが形成されている。また、カムスライダ37の一端部には固定カムドライバ35の傾斜面35aと当接可能な第1傾斜面37aが形成され、またカムスライダ37の他端部には肩部材13の基端側の端面13aと当接可能な第2傾斜面37bが形成されている。
また、図示を省略しているが、カムスライダ37には、カムスライダ37を固定カムドライバ35方向に常時引っ張るバネなどの弾性手段が設けられている。
なお、肩部材13は実施の形態1と同様に、ダイ33の開口孔11に出没可能に設置され、常時はダイ33の開口孔11の中に引っ込んだ状態となっている。
プレス成形時には、ダイ33が下降するにつれ、ダイ33に設置されたカムスライダ37がダイ33と共に下降し、カムスライダ37の第1傾斜面37aと固定カムドライバ35の傾斜面35aが当接する。この状態でダイ33がさらに下降すると、カムスライダ37は固定カムドライバ35に押され、ダイ33の横孔33a内を内側に移動する。カムスライダ37がダイ33の内側に移動すると、肩部材13の端面13aがカムスライダ37の第2傾斜面37bに押され、肩部材13が開口孔11から突出する
実施例1では、図3に示すダイ肩部の曲率半径R1が10mm、肩部材13の曲率半径R4が3mmとした。肩部材13の曲率半径R4のダイ肩部の曲率半径R1に対する比は0.3であり、式1の条件を満たしている。
実施例2では、ダイ肩部の曲率半径R1が5mm、肩部材13の曲率半径R4が2mmとした。肩部材13の曲率半径R4のダイ肩部の曲率半径R1に対する比は0.4であり、式1の条件を満たしている。
比較例1では、ダイ肩部の曲率半径が10mmの第1工程用のダイ53と、これに対応する第1工程用のパンチ55で構成される第1工程用の金型51を用いてプレス成形して中間的な形状に加工し(図6(a)を参照)、その後、この中間的な形状のプレス成形対象物に対して、ダイ肩部の曲率半径が3mmの第2工程用のダイ63と、これに対応する第2工程用のパンチ65で構成される第2工程用の金型61を用いてプレス成形し(図6(b)を参照)、ハット状断面形状におけるフランジと縦壁部とをつなぐ部位の曲率半径Rが3mmとなるようにした。
比較例2では、ダイ肩部の曲率半径が5mmの第1工程用のダイと、これに対応する第1工程用パンチで構成される第1工程用の金型と、ダイ肩部の曲率半径が2mmの第2工程用のダイと、これに対応する第2工程用のパンチで構成される第2工程用の金型を用いた。
また、比較例3および比較例4のダイ73のダイ肩部の曲率半径は、肩部材13の曲率半径R4に相当するため、表1中にそのように表記している。
また、表1中の成形欄では、プレス成形ができた場合は○印を、金属素板7の破断等によって成形できなかった場合は×印を表記している。また、精度欄ではR4/R1の値が同じものと比較的して精度が高いものに○印を、比較的精度が低いものには×印を、プレス成形ができず精度を比較できないものは‐印を表記している。
実施例2でも、実施例1と同様に金属素板7を破断させることなく成形することができた。また、R4/R1の値がおなじ0.4である比較例2と比較してみると、図9に示す通り、ハット断面形状におけるフランジのスプリングバック量が小さく押さえられ、縦壁も成形目標形状に近づいており、プレス成形の精度を高くすることができた。
3 ダイ
5 パンチ
7 金属素板
9 しわ押さえ
11 開口孔
13 肩部材
13a 端面
15 油圧シリンダ
17 配管
18 先端部
31 プレス成形装置
32 カム装置
33 ダイ
33a 横孔
35 固定カムドライバ
35a 傾斜面
37 カムスライダ
37a 第1傾斜面
37b 第2傾斜面
51 第1工程用の金型
53 第1工程用のダイ
55 第1工程用のパンチ
61 第2工程用の金型
63 第2工程用のダイ
65 第2工程用のパンチ
71 1組の金型
73 ダイ
75 パンチ
Claims (3)
- 成形目標形状に対応した凹陥部が形成されたダイと、ダイに形成された凹陥部に挿入可能なパンチと、成形時に成形対象となる金属素板を押さえて該金属素板にしわが形成されるのを防止するしわ押さえを備え、断面がハット状の成形部材を成形するプレス成形装置であって、
前記ダイは、前記凹陥の肩部に開口孔が形成されていると共に該開口孔に出没可能に配設された先端に曲率を有する肩部材と、該肩部材を常時は先端が前記開口孔の内部に引っ込んだ状態で保持し、成形途中において前記開口孔から出る方向に押圧する押圧手段を備え、
前記肩部材の曲率は前記開口部の開口孔端部を繋いで形成される円弧の曲率半径よりも小さい曲率半径を有することを特徴とするプレス成形装置。 - 前記開口端部を繋いで形成される仮想的な曲率半径をR1、前記肩部材の曲率半径をR4としたときに、R1とR4とが、0.25≦R4/R1≦0.8という関係を満たすことを特徴とする請求項1記載のプレス成形装置。
- 請求項1又は請求項2記載のプレス成形装置を用いたプレス成形方法であって、
ダイ上に金属素板を載置すると共にしわ押さえにより所定の押圧力で前記金属素板を押さえた状態で前記パンチによって金属素板を略ハット状に成形する第1工程と、
該第1工程において、前記パンチが全ストロークの70%以上移動したときに前記肩部材を前記開口孔から突出させて前記ハット状断面の縦壁とフランジ部の連結部を成形する第2成形工程とを備えてなることを特徴とするプレス成形方法。
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