JP2007105662A - 光学用プラスチックフィルムの洗浄方法、光学用プラスチックフィルムの製造方法及び光学用プラスチックフィルムの洗浄装置並びに塗工装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プラスチックフィルムを巻回したロールよりプラスチックフィルム1を巻き出す巻出し部5と、プラスチックフィルム1に洗浄水として純水を供給して複数段での洗浄を行う洗浄部と、ニップロール3及び/又はエアーナイフ4による水切り部と、プラスチックフィルム1の乾燥を行う乾燥部50と、乾燥を終えたプラスチックフィルム1をロール状に巻き取る巻取り部8とを順に設ける光学用プラスチックフィルムの洗浄装置である。上記洗浄部は、プラスチックフィルム1を純水12の浴槽11中に浸漬し洗浄する第1の洗浄部10Aと、該第1の洗浄を終えたプラスチックフィルム1を純水を用いてスプレー洗浄する第2の洗浄部10Bとからなる。
【選択図】図1
Description
このような問題を解消する方法として、粘着ロールを用いて、プラスチックフィルム表面から埃、繊維、フィルム粕を除去する取組みが行われているが、粘着ロールからの塵芥の再転移等により、異物除去の効果は充分ではない。更に、粘着ロールから剥離する際に発生する静電気がプラスチックフィルムに残存するため、周辺の異物を引き寄せる結果、欠陥頻度が増すといった問題が懸念される。
プラスチックフィルムに高圧のエアーを吹き付けと吸引を連続で実施し、塵芥を除去する取組みが実施されているが、強固に付着したものについては、十分に除去できないという問題がある。
また、下記特許文献2では、フィルムを、超音波で振動させつつ界面活性剤を含有する洗浄液で洗浄した後、フィルム両面にスリットノズル又は直列多孔ノズルにより、フィルムの進行方向前方から斜めにエアーを吹き付けて乾燥する洗浄装置が提案されている。洗浄液に界面活性剤が含有している場合、フィルム表面の濡れ性の低下を起こる。結果、フィルム表面に塗工層を設ける場合に、塗工液のはじきや塗工層の密着低下といった問題が起こり、汎用性が得られない。
さらに、下記特許文献4では、洗浄手段として洗浄ノズルから連続して洗浄液を噴霧し、洗浄液再循環手段として落下した洗浄液を再循環させ、乾燥手段が連続して温風を吹き付ける光学用プラスチックフィルムの洗浄・乾燥方法が提案されている。洗浄液としてアルコール、エステル等を使用した場合は、光学プラスチックフィルムの可塑剤が溶出し、フィルム特性の変化と均一性の低下が問題となる。また、ロールまたはバーによるスキージングのみでは、洗浄液を十分除去できず、生産性が低いという問題がある。
また、前記水きり工程は、ニップロール及び/又はエアーナイフを使用することが好ましい。前記水切り工程は、ニップロール、エアーナイフをこの順に設けることがさらに好ましい。
また、前記洗浄水の温度が80℃未満であることが好ましい。
また、前記乾燥工程の温度が、プラスチックフィルムの耐熱温度以下であることが好ましい。
図1は、本発明の光学用プラスチックフィルムの洗浄方法を実施する洗浄装置と、該洗浄装置を塗工部の前に設置した塗工装置の全体構成を示す概略側面図である。
図1の概略側面図に示すように、プラスチックフィルムロールの巻出し部5、プラスチックフィルムを純水の浴槽中に浸漬し洗浄する第1の洗浄部10A(前段の洗浄部)、プラスチックフィルムを純水を用いスプレー洗浄する第2の洗浄部10B(後段の洗浄部)、ニップロール3及びエアーナイフ4による水切り部、乾燥部50、塗工部60、乾燥部(塗工後の乾燥部)70、巻取り部8を順に設けている。
プラスチックフィルムロールの巻出し部5より順次巻き出されたシート状のプラスチックフィルム1は、搬送ロール6,7で次の洗浄部へ搬送される。
本発明における第1番目の洗浄部10Aは、プラスチックフィルム1を純水12の浴槽11中に浸漬し、洗浄を行う。すなわち、第1の洗浄部10Aへ搬送されてきたプラスチックフィルム1は、搬送ロール15,16で浴槽11内を搬送されながら、純水12中に浸漬され洗浄が行われる。ここで、純水は、一般水中の異物除去フィルター81、一般水中の塩素を取り除く活性炭フィルター82、逆浸透膜フィルター83を用いて製造される。好ましくは、本実施の形態のように、イオン交換樹脂フィルター84を更に用いると、不純物の除去精度が向上する。異物除去フィルター81は、10μm以下の異物、好ましくは3μm以下、更に好ましくは1μm以下の異物を除去できるものであれば、特に限定しない。異物の除去効果を高める為に、2種類以上のフィルターを用いても良い。活性炭フィルター82、逆浸透膜フィルター83、イオン交換樹脂フィルター84は、一般水中の塩素、金属イオンを除去できれば、特に限定しない。製造された純水は、洗浄水タンク80内に貯水され、上記浴槽11内の洗浄水として使用される。浴槽11内の洗浄水量は、排水弁90により適宜調整される。また、本実施の形態のように、洗浄水タンク80からポンプ100により後述のスプレー洗浄部へ供給される供給路101に、異物除去フィルター81、活性炭フィルター82、逆浸透膜フィルター83、イオン交換樹脂フィルター84を更に用いると、混入異物の除去精度が向上し、プラスチックフィルムの洗浄効果が向上するので好ましい。
ところで、プラスチックフィルム洗浄時の純水の温度は、80℃未満、好ましくは10℃以上80℃未満、更に好ましくは15℃以上60℃未満とすることが好ましい。80℃以上の洗浄水でプラスチックフィルムを処理した場合、プラスチックフィルム中に含まれる紫外線吸収剤、可塑剤などの内添物が溶出し、プラスチックフィルムの変質を生じることがある。また、処理する洗浄水の汚染、および処理廃水を河川等に放出した場合、環境への悪影響が懸念される。また、洗浄水が10℃未満の場合、洗浄装置を含む結露の発生、プラスチックフィルムの乾燥時の負荷増が発生する。
また、本発明におけるエアーナイフ4による水切り部は、一定のスリット幅でプラスチックフィルムの幅方向全域をカバーできるノズル形状であれば、特に限定しない。スリット幅は、1000μm以下、好ましくは500μm以下、特に好ましくは300μm以下とし、吹き付ける風量は、1m3/分以上であることが好ましい。
本実施の形態では、プラスチックフィルム1は、塗工後、搬送ロール71〜74で搬送されながら上記乾燥部70を通過し、そしてプラスチックフィルム(塗工フィルム2)は巻取り部8にてロール状態に巻き取られる。
本発明に用いられるプラスチックフィルムの厚さは、5〜2000μm、好ましくは15〜500μm、特に好ましくは20〜200μmの範囲から任意に選択できる。
[実施例1]
図1に示した装置を用いて、プラスチックフィルムとして、80μm厚のトリアセチルセルロースフィルム(商品名:フジタック、富士写真フィルム社製、耐熱温度:150℃)、洗浄液として純水、洗浄水の温度を40℃、乾燥温度を60℃とし、洗浄を実施した。また、引続いて、下記表1に記載の塗料を用い、グラビア塗工ヘッドにて塗工後、紫外線により硬化させ、上記フィルム上に10μmの塗工層を形成した。
プラスチックフィルムとして、100μm厚のポリエステルフィルム(商品名:A4300、東洋紡社製、耐熱温度:150℃)、洗浄水の温度を60℃、乾燥温度を60℃とした以外は、実施例1と同様の方法にて洗浄と塗工層を形成した。
洗浄装置による洗浄は行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法にて塗工層を形成した。
[比較例2]
洗浄液としてメタノールを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて洗浄と塗工層を形成した。
洗浄水の温度を80℃とした以外は、実施例1と同様の方法にて洗浄と塗工層を形成した。
[比較例4]
乾燥温度を155℃とした以外は、実施例1と同様の方法にて洗浄と塗工層を形成した。
<評価方法>
・異物個数:洗浄処理前後のプラスチックフィルムを目視にて確認し、埃、繊維、フィルム片等の付着個数を確認した。目視で確認した異物の大きさは、15μm以上であった。
・プラスチックフィルムの変質:洗浄処理前後のフィルムを目視にて確認し、曇り等の発生有無を確認した。
・洗浄液への溶出物の確認:洗浄処理後の純水を、分光光度計(日立製U-3310)を用い、300nm〜700nmにおける吸収有無から、UV吸収剤、可塑剤といったプラスチックフィルムの内添物質の溶出有無を確認した。検出限界以下は、溶出無しと判断した。
・プラスチックフィルムの均一性:平坦な机の上にフィルムを置き、凸凹の発生状況を目視で確認。大きな凸凹が発生:×、僅かな凸凹が発生:△、凸凹無し:○
・塗工品の欠陥個数:洗浄有無のプラスチックフィルムに塗工処理を実施し、目視にて欠陥の個数を確認した。目視で確認した異物の大きさは、15μm以上であった。
・塗工品の品質:
1)全光線透過率、ヘイズをヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、HM-150)により測定した。
2)塗膜密着(JIS K 5400)を実施した。
3 ニップロール
4 エアーナイフ
5 巻出し部
8 巻取り部
10A 第1の洗浄部
10B 第2の洗浄部
50 乾燥部
60 塗工部
70 乾燥部
80 洗浄水タンク
Claims (11)
- プラスチックフィルムを巻回したロールよりプラスチックフィルムを巻出す工程と、プラスチックフィルムに洗浄水として純水を供給して複数段での洗浄を行う洗浄工程と、プラスチックフィルム上の水分を除去する水切り工程と、プラスチックフィルムの乾燥を行う乾燥工程と、乾燥を終えたプラスチックフィルムをロール状に巻き取る工程とを順に設けることを特徴とする光学用プラスチックフィルムの洗浄方法。
- 前記洗浄工程は、前記プラスチックフィルムを純水の浴槽中に浸漬し洗浄する第1の洗浄工程と、該第1の洗浄工程を終えた前記プラスチックフィルムを純水を用いてスプレー洗浄する第2の洗浄工程とからなることを特徴とする請求項1記載の光学用プラスチックフィルムの洗浄方法。
- 前記水きり工程は、ニップロール及び/又はエアーナイフを使用することを特徴とする請求項1又は2記載の光学用プラスチックフィルムの洗浄方法。
- 前記水切り工程は、ニップロール、エアーナイフをこの順に設けることを特徴とする請求項3記載の光学用プラスチックフィルムの洗浄方法。
- 前記洗浄水の温度が80℃未満であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の光学用プラスチックフィルムの洗浄方法。
- 前記乾燥工程の温度が、プラスチックフィルムの耐熱温度以下であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載の光学用プラスチックフィルムの洗浄方法。
- 請求項1乃至6の何れか一に記載の光学用プラスチックフィルムの洗浄方法によりプラスチックフィルムの洗浄を行う工程を有することを特徴とする光学用プラスチックフィルムの製造方法。
- プラスチックフィルムを巻回したロールよりプラスチックフィルムを巻き出す巻出し部と、プラスチックフィルムに洗浄水として純水を供給して複数段での洗浄を行う洗浄部と、ニップロール及び/又はエアーナイフによるプラスチックフィルム上の水分を除去する水切り部と、プラスチックフィルムの乾燥を行う乾燥部と、乾燥を終えたプラスチックフィルムをロール状に巻き取る巻取り部とを順に設けることを特徴とする光学用プラスチックフィルムの洗浄装置。
- 前記洗浄部は、前記プラスチックフィルムを純水の浴槽中に浸漬し洗浄する第1の洗浄部と、該第1の洗浄部による洗浄を終えた前記プラスチックフィルムを純水を用いてスプレー洗浄する第2の洗浄部とからなることを特徴とする請求項8記載の光学用プラスチックフィルムの洗浄装置。
- 洗浄水を循環使用するように構成したことを特徴とする請求項8又は9記載の光学用プラスチックフィルムの洗浄装置。
- プラスチックフィルム表面上に塗工層を設けた光学用塗工プラスチックフィルムを製造する塗工装置であって、請求項8乃至10の何れか一に記載の洗浄装置を塗工部の前に設置したことを特徴とする塗工装置。
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