JP5956037B1 - 偏光フィルムの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
[1] ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを作製する偏光フィルムの製造方法であって、
前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理槽に収容された処理液に浸漬させる浸漬工程と、
前記処理液に浸漬された前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをロールに沿って搬送させる搬送工程と、
前記ロールの表面をロール洗浄液で洗浄するロール洗浄工程と、を備える偏光フィルムの製造方法。
本発明において偏光フィルムは、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素(ヨウ素や二色性染料)が吸着配向しているものである。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は通常、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。そのケン化度は、通常約85モル%以上、好ましくは約90モル%以上、より好ましくは約99モル%以上である。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、例えば、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体等であることができる。共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類等を挙げることができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常約1000〜10000、好ましくは約1500〜5000程度である。
使用し得る。
橋槽に収容された架橋液(以下、「架橋浴」ともいう)に浸漬させる架橋処理工程、その後搬送工程により架橋浴から引き出された後のフィルムをフィルム洗浄槽に収容されたフィルム洗浄液(以下、「フィルム洗浄浴」ともいう)に浸漬させるフィルム洗浄工程等が挙げられる。これらの一連の浸漬工程及び搬送工程の間(すなわち、いずれか1以上の浸漬工程の前後及び/又はいずれか1以上の浸漬工程中)に、湿式又は乾式にて一軸延伸処理を施す。必要に応じて、他の処理工程を付加してもよい。上記の各浸漬工程は、1つの槽にフィルムを浸漬させる処理であってもよいし、2以上の槽に順次浸漬させる処理であってもよい。
膨潤処理工程は、原反フィルム10表面の異物除去、原反フィルム10中の可塑剤除去
、易染色性の付与、原反フィルム10の可塑化等の目的で行われる。処理条件は、当該目的が達成できる範囲で、かつ原反フィルム10の極端な溶解や失透等の不具合を生じない範囲で決定される。
Control装置:フィルムの端部を検出し、フィルムの蛇行を防止する装置)等を併用したりすることも有用である。
染色処理工程は、膨潤処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着、配向させる等の目的で行われる。処理条件は、当該目的が達成できる範囲で、かつフィルムの極端な溶解や失透等の不具合が生じない範囲で決定される。図1を参照して、染色処理工程は、ガイドロール33〜35及びニップロール51によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送させ、膨潤処理後のフィルムを染色浴15(染色槽に収容された
処理液)に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。二色性色素の染色性を高めるために、染色処理工程に供されるフィルムは、少なくともある程度の一軸延伸処理を施したフィルムであることが好ましく、又は染色処理前の一軸延伸処理の代わりに、あるいは染色処理前の一軸延伸処理に加えて、染色処理時に一軸延伸処理を行うことが好ましい。
架橋処理工程は、架橋による耐水化や色相調整(フィルムが青味がかるのを防止する等)などの目的で行う処理である。図1を参照して、架橋処理は、ガイドロール36〜38及びニップロール52によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送させ、架橋浴17(架橋槽に収容された架橋液)に染色処理後のフィルムを所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。
ウム、ヨウ化亜鉛等が挙げられる。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば、塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等を共存させてもよい。
本発明の製造方法は、架橋処理工程後のフィルム洗浄処理工程を含むことができる。フィルム洗浄処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに付着した余分なホウ酸やヨウ素等の薬剤を除去する目的で行われる。フィルム洗浄処理は、例えば、架橋処理したポリビニルアルコール系樹脂フィルムをフィルム洗浄浴19に浸漬、又は該フィルムに対してフィルム洗浄液を噴霧、若しくはこれらを併用することによって行うことができる。
は、通常2〜40℃程度であり、フィルムの浸漬時間は、通常2〜120秒程度である。
上述のように原反フィルム10は、上記一連の処理工程の間(すなわち、いずれか1以上の処理工程の前後及び/又はいずれか1以上の処理工程中)に、湿式又は乾式にて一軸延伸処理される。一軸延伸処理の具体的方法は、例えば、フィルム搬送経路を構成する2つのニップロール(例えば、処理浴の前後に配置される2つのニップロール)間に周速差をつけて縦一軸延伸を行うロール間延伸、特許第2731813号公報に記載されるような熱ロール延伸、テンター延伸等であることができ、好ましくはロール間延伸である。一軸延伸処理工程は、原反フィルム10から偏光フィルム23を得るまでの間に複数回にわたって実施することができる。上述のように延伸処理は、フィルムのシワの発生の抑制にも有利である。
洗浄処理工程の後、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させる処理を行うことが好ましい。フィルムの乾燥は特に制限されないが、図1に示される例のように乾燥炉21を用いて行うことができる。乾燥温度は、例えば30〜100℃程度であり、乾燥時間は、例えば30〜600秒程度である。以上のようにして得られる偏光フィルム23の厚みは、例えば約5〜30μm程度である。
上記した処理以外の処理を付加することもできる。追加されうる処理の例は、架橋処理工程の後に行われる、ホウ酸を含まないヨウ化物水溶液への浸漬処理(補色処理)、ホウ酸を含まず塩化亜鉛等を含有する水溶液への浸漬処理(亜鉛処理)を含む。
ロール洗浄工程は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを作製する上述の連続製造中に、二つの処理浴間の搬送路に配置された各ロールをロール洗浄液で洗浄する洗浄工程である。ロールの洗浄方法は特に限定されないが、図1に示される例のように、各ロール(ガイドロール32,35,38,41及びニップロール51,52,53,54)の表面に対向するように配置されたシャワー71〜78により、各ロールの表面にロール洗浄液を導出して、各ロールの表面が洗浄されるようにする方法を好適に採用することができる。
ましく、連続製造中に常時実施されることが好ましい。このようなロール洗浄工程により、搬送されるポリビニルアルコール系樹脂フィルム10が、処理浴中の処理液を持ち込み、これが各ロールの表面に付着しても、ロール洗浄液により直ちに洗い流されるので、塩等の析出によりロール表面が汚染されることを防ぐことができる。シャワー71〜78のロールに対する配置位置、ロール洗浄液の導出量及び導出角度は適宜調整することができ、ロールに対しロール洗浄液をロールの上側、下側や、搬送方向の上流側、下流側のいずれか一つまたは任意に組合せて浴びせてもよいが、搬送されるポリビニルアルコール系樹脂フィルムにロール洗浄液が直接浴びせられることがないように調整することが好ましい。また、ロール洗浄液の導出量は、少なくともロール表面の汚染が抑制されるために必要な量とする。
以上のようにして製造される偏光フィルムの少なくとも片面に、接着剤を介して保護フィルムを貼合することにより偏光板を得ることができる。保護フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなアセチルセルロース系樹脂からなるフィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂からなるフィルム;ポリカーボネート系樹脂フィルム、シクロオレフィン系樹脂フィルム;アクリル系樹脂フィルム;ポリプロピレン系樹脂の鎖状オレフィン系樹脂からなるフィルムが挙げられる。
<実施例1>
2つの架橋浴17(以下では、1つ目の架橋浴を第1架橋浴17aといい、2つ目の架橋浴を第2架橋浴17bという。)を用いたこと以外は図1に示される偏光フィルム製造装置と同様の装置を用いて偏光フィルムを製造した。ガイドロール30〜41にはすべてフラットロールを使用した。
各処理浴から引き出すガイドロールとニップロールを洗浄しなかったこと以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを製造した。
Claims (4)
- ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを作製する偏光フィルムの製造方法であって、
前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理槽に収容された処理液に浸漬させる浸漬工程と、
前記処理液に浸漬された前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをロールに沿って搬送させる搬送工程と、
前記ロールの表面をロール洗浄液で洗浄するロール洗浄工程と、を備え、
前記ロール洗浄工程の直前の前記浸漬工程における前記処理槽内の前記処理液が前記ロール洗浄液として前記ロールの表面に導出されて前記ロール洗浄工程が行われ、前記ロール洗浄液は、前記ロール洗浄工程の後、前記ロール洗浄工程の直前の前記浸漬工程における前記処理槽内に回収される、
偏光フィルムの製造方法。 - 前記浸漬工程は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを染色液に浸漬させて二色性色素で染色する染色処理工程または前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを架橋液に浸漬させて架橋する架橋処理工程である、請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
- ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを作製する偏光フィルムの製造装置であって、
前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理槽に収容された処理液に浸漬させる浸漬手段と、
前記処理液に浸漬された前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをロールに沿って搬送させる搬送手段と、
前記ロールの表面をロール洗浄液で洗浄するロール洗浄手段と、を備え、
前記ロール洗浄手段の直前の前記浸漬手段における前記処理槽内の前記処理液が前記ロール洗浄液として前記ロールの表面に導出されて前記ロールの表面が洗浄され、前記ロール洗浄液は、前記ロールの表面の洗浄に用いられた後に、前記ロール洗浄手段の直前の前記浸漬手段における前記処理槽内に回収される、
偏光フィルムの製造装置。 - 前記浸漬手段は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを染色液に浸漬させて二色性色素で染色する染色処理手段または前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを架橋液に浸漬させて架橋する架橋処理手段である、請求項3に記載の偏光フィルムの製造装置。
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